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2010年11月15日の記事は以下のとおりです。

パンダGOPANだゴパンだ

  • 2010/11/15 18:58
  • カテゴリー:散財

 三洋電機という会社,私は大好きです。ここは一言で言うなら鈍くさい会社で,決して要領のいい会社ではありませんけども,実力は非常に高く,みんな真面目で純粋で,安いものから高級品まで揃え,その上でどれも一定水準を満たしてハズレがないという,なんとも「損をしている」メーカーです。

 イメージ先行でいうなら,三洋電機は2番手グループでしょう。しかし,彼らが出している商品はどれも本当に消費者本位であり,押しつけがありません。会社としてみると,数年前の中越沖地震での半導体工場の大被害など,リスク管理が全然甘いと思うところもあるのですが,まあどんな世の中にも完璧なものはありません。

 自社の商品を声高に連呼し,買ってみるとうんざりするような製品が多い中,多くを語らずしっかり作ってある製品が多い三洋電機くらい朴訥とした製造業というのも,好感が持てるというものです。

 三洋電機を買収したパナソニックは,商売も技術もお金も世界随一,そんななか三洋はいつも「弟分」と言われ続けてきましたが,戦前から続く名門・松下電器産業の背中は,やはり大きなものだったということでしょうか。

 しかし,兄弟というのは,共通点がありながらも,不思議と個性がはっきり分かれて,それぞれに強みを持つように育ちます。松下と三洋,まさにこれだと私は思っています。

 個人的経験でいうと,三洋の製品を使っていて,故障や使い勝手の悪さ,価格も含め,とにかく嫌だ,と思った事がただの1つもありません。どれもこれも本当に真面目に作ってあり,こちらが求めるものにストレートに応えてくれますし,お金にならんのじゃないかなと思うことで,ちゃんとやってくれたりするので,かえって心配になるほどです。

 カーナビのゴリラ,布団乾燥機,電気敷き毛布,エネループ,電子工作で使った半導体やコンデンサ,仕事で関わったARM9コアのSoC,どれも真面目で,着眼点に個性があり,すべてがユーザーの満足度を上げていく,そりゃこんなことをやっていたら,どっかに買収されてしまうわなと,ファンとしては寂しい気持ちが先に来ます。

 半導体は元モトローラのオンセミコンダクターに,それ以外は基本的にパナソニックに買収されて,おそらくどちらも三洋のブランドを残すことはしないでしょう。これも寂しいですが,三洋の皆さんの,きまじめなスピリットだけは,消えないで欲しいと心から願っています。

 閑話休題。

 そうなのです,大人気のGOPAN,欲しくて欲しくてたまらんかったこのコメからパンを作る夢のマシン,発売と同時に手に入れました。なにやら年内絶望という声も聞こえてきますが,ここまでヒットする白物家電も最近珍しいんじゃないかと思います。

 コメの粉を砕いて粉にするには,大きな筒の中で空気をグルグル回し,壁にぶつけて砕くという仕組みを使うそうです。この設備に億単位のお金がかかることが,お米の粉が小麦粉よりも高価な理由の1つでだそうですが,パンを焼くだけなら別にペースト状でもいいじゃないかという素晴らしい発想で誕生したのが,GOPANです。

 私が子供だった1980年代,お米はパンにシェアを奪われ,その消費量が減り続けた結果,食糧政策はコメ余りと減反政策に揺れ続け,米でパンを作って消費拡大,などという戯言が,出ては消え出ては消えを繰り返して,いつしか人々の気を引くようなものではなくなりました。

 しかし,ここへ来てお米で出来たパンがとてもおいしく作る事が出来るようになり,高いけどおいしい,どこでも買える訳ではないけど食べたい,と言う評価が定まるようになりました。家で作って焼きたてを食べたいという声が大きくなってきたのは当然と言えるでしょう。

 でも,米の粉は相変わらず手軽なものにならず,三洋も前の機種で市販の米粉を使った製パン機を出しますが売れず,消えていきました。

 GOPANは,そうした前の機種の弱点を,いかに克服するかという正攻法で誕生した,これまた生真面目なマシンなのです。

 それに,さすが三洋ですね。米でパンを作ることだけにあぐらをかかず,餅もつけます。いや,ほんとよくわかってらっしゃる。私たちはご飯が好きで,当然餅も大好きです。私は関西人ですので丸餅ですが,嫁さんは関東人なので切り餅です。この差を埋めるには自分で作るしかありません。

 それに経験した人は分かると思いますが,餅つきというのは実に楽しいのです。わいわいやるにはぴったりです。

 もし,単に米が使える製パン機だというなら,私はきっと買いませんでした。私の基準では,製パン機は餅もつけねばなりません。ですからGOPANの予約が始まった時,5万円という高価格にもひるまず,私はGOPANの購入を即決できたのでした。

 買ったのは手堅くヨドバシ.com。実はクレジットカードの番号が某所から流出したため,予約中にカードの番号を変えるという事故が発生して一悶着あったのですが,ヨドバシ.comのおかげでちゃんと発売日に届きました。

 米のパンを作るのに必要となるグルテンも一緒に買いました。市販の米粉ミックスにはこれが含まれているそうですが,米粒から作るGOPANには,このグルテンの供給が最も心許ないポイントでしょう。スーパーで売られるようになるのはまだ先だとは思いますが,それも米粉を使った製パン機の普及次第です。


 そんなこんなで早速ですが,お米でパンを焼いてみました。インプレッションいってみましょう。


(1)大きさ,質感

 まず,大きいです。普通の製パン機が横に大きくなった感じですので,設置面積はガスストーブや小型の石油ファンヒータくらい見ておく必要があります。そして重いです。私は製パン機を買ったことがありませんので比較は出来ませんが,ずっしりと重い鉄の塊という印象です。そうですね,ブリキのバケツに水をしっかり張ったと気の重さという感じでしょうか。

 そんな重さ,大きさですので,いちいち押し入れや戸棚に片付けるというのはちょっと無理があり,おそらく片付けたら最後,使わなくなると思われます。そこで我々はテレビと食器棚のスペースに置くことにしました。

 そうなると見た目が問題です。今回買ったのはワインレッドですが,表面はとてもプラスチッキーで,高級感はありません。本体はツヤあり,フタの部分がシボのあるつや消しで,どうも不格好なのです。デザインはあまりよいとは言えませんし,これを置いておくと部屋が狭くなった気もするし,生活感も増すので,そういうのがお嫌いな方は面倒でもいちいち片付けることを前提にすべきです。


(2)音

 音はtwitterでもつぶやいている人が多いのでご存じかも知れませんが,とにかく音が大きいです。何事かと思うような爆音です。コメを水に浸し,ミルが動作を始めると,まるで削岩機かと思うような音が30秒続き,5分間止まり,また30秒動作して5分休んで・・・を1時間ほど繰り返します。ミルの動作中はテレビの音もきこえなければ,普通の会話も難しいくらいです。

 音の大きさもそうですが,耳障りな音でもありますので,壁の薄いアパートやマンションなどで,上下左右の方に怒られるかも知れません。夜は絶対出来ません。

 こういっては何ですが,開発された方はこういう音が気にならないような,大きな一戸建てのお家に住んでいるのでしょうね。都会の小さい部屋に住んでいると,この音が出たときに「これじゃダメだ」と思うんじゃないかと思います。


(3)問題点

 昨日2回,お米のパンを作りましたが,2回とも成功とは言いにくいものでした。特に1回目はひどく,私のこのマシンに対する信用度はほぼゼロになったほどです。

 というのは,こねる工程で,羽根が回転しなかったのです。

 WEBの説明によると,米パン用の羽根は,左回転の時は米を砕く歯が6300rpmで回転,こねるときは羽根が右回転で400rpmで回るのだそうです。

 パンケースに材料を入れる前に,ミルの付いた専用の羽根を軸に取り付けるのですが,説明書では軸に差し込んで,左右に何回か回せとありました。私は回す作業を忘れていて,軸に差し込んだだけで,材料を入れたのです。とはいえ,しっかり奥まで差し込んだことは確認しました。

 しばらくしてミルが動作し,米がドンドン砕けていきます。牛乳のように白い液体になってから,グルテンとドライイーストが自動投入され,LCDにはこねる行程に入ったことが表示されています。

 しかし,羽根が全然まわりません。こんなものかと眺めていましたが,一向にこねる気配もなく,音だけブーンといっているので,これはおかしいとフタを開け,止まっている羽根を少しだけ触ってみたところ,突然勢いよく右回転を始め,グルテンとドライイーストをパンケースの外に飛び散らせました。

 あわててフタをしますが,すでにこねる行程は終わりに近づいた頃で,満足にこねられることなく,発酵にすすんでしまいました。

 しばらくして焼きの工程に進んだのですが,パンケースから飛び散った粉が焦げて焦げ臭い匂いが立ちこめました。そして出来上がった米パン第一号はあまり膨らまず,底の部分はお餅のようにドロドロの状態でした。

 羽根を見ると,何かにぶつけてひっかいたような2つのやや深い傷がついています。このパンのどこかに,金属粉が混じっているのでしょうか。

 この段階で,私は怒り心頭でした。1.5合ものお米が,無駄になってしまったかもしれないのです。こんなもったいないことが許されるはずがありません。

 確かに羽根の取り付けで,左右に回さなかったことは私の誤りでしたが,納得いかないのは左右に回したところで,くるくる回るだけの話であり,別にかちっと手応えがあるとか,音がするとか,そんな訳ではありません。つまり,どうなったら確実にセットされたのか,全く分からないのです。

 ということは,上手く羽根が回るかどうかは,その時次第の運。こんな恐ろしい装置,はっきりいって使えません。

 失敗の後,掃除をしてから何度か羽根を観察したり,軸に取り付けたりして見ましたが,右回転の時にラッチがかからず,空回りすることがどうやって防止できるのか,やっぱり分かりません。

 なるほど,パンケースの内壁に出っ張りがあり,この出っ張りと羽根の先端に付いているシリコーンゴムのブレードが接触していれば,左回転のミルの時は羽根は回らず,右回転になった瞬間にラッチがかかり,羽根が回る仕組みになっているようです。

 しかし,今回の失敗時,羽根の先端のブレードは内壁の出っ張りには接触しておらず,ミルの時もこねるときも同じ位置にありました。お米というのは重いですから,少なくともミルで回転しているとき羽根は回転しないでしょうし,こねる場合に右回転を始めたとき,運悪くラッチが外れるような位置にいたら,羽根が回らないことになります。

 取り付け時に左右に何度か回すだけでそれが防げるとはちょっと思えず,どうやったらこの致命的な誤動作を完全に防げるのか,見当も付かないのです。これでは予約で外出中に米パンを作る事などできず,基本的につきっきりで見ていないといけなくなります。
 
 2回目は,一応正しい流れでパンが焼けました。1回目に比べてはるかにパンらしいものではありましたが,だからといって綺麗に膨らんだわけではなく,やや小さい膨らみ方でした。

 ただし,生の部分などはありません。1回目は羽根が突然回転したときに,ドライイーストも飛び出してしまい,少なめになっていました。また,新米は水を少なめにとありましたので,1回目は水を10g少なくしましたが,今回は10g増やして,標準的な量にしました。

 おかげでなんとかギリギリ,パンと呼べるものになったのだと思います。うーん,塩が多いと膨らみが小さくなるのですが,入れたバターが有塩だったことや,グルテンが実は専用計量スプーンだとやや多めに入るという罠があったことも,いまいちだった理由かも知れません。


(4)味

 これが一番言いたかったことなのですが,米パンは,パンではありません。あくまで米であり,その点でご飯そのものです。パンの気分で食べるとすぐに満腹になりますし,腹持ちが良いのでなかなか満腹感がなかなかおさまりません。

 お米独特の香りや食感はありますが,小麦独特の香ばしさや軽い食感がないので,これはもう別の食べ物と考えた方がよいのではないかと思います。パンをお米で作るのではなく,お米使った新しい食べものが出来たということです。

 私は,米で作るパンがおいしいといいなあと思っていたのですが,確かにおいしいとはいえ,やはり小麦で作るパンにはかないません。

 ただ,ちょっと思ったのは,このお米のパンの重さというのは,イングリッシュマフィンに近いかも知れません。イングリッシュマフィンは,ハムやレタス,チーズを挟むととてもおいしく食べる事が出来るのですが,もしかするとこの米パンも,そうした具材を載せたり挟むと,おいしいかもしれないですね。


(5)取説

 最近の家電品には珍しく,取説がわかりにくく,どこに何を書いているのか,さっぱりわかりません。系統立てて書かれていない,大事な事が小さく書かれている,どうなっていれば正常なのかがわかりにくく,今起きていることが正しいのかまずいのか分からないなど,とにかく取説があてになりません。

 先程の羽根を取り付ける話もそうですが,軸に差し込んだ後左右に回すことが必要だとして,もし回さないとどうなってしまうのか,回したあとどうなっていれば正常なのか,そういうことが書かれていないので,これで大丈夫なんだろうかという心配がつきまといます。結果は数時間後までわかりませんし,失敗していた場合も途中でやり直せません。

 また,パンケースを本体にセットした後,取っ手を前側に倒す必要があります。後ろ側にも倒せるのですが,そうするとグルテンとドライイーストの投入を行うとき,フタが取っ手にぶつかってしまい,投入に失敗するのだそうです。後ろに倒れないようにするのがまず先にすべきことでしょうし,それが出来ないなら取説には大きく目立つように書いておかなければならないでしょう。

 失敗すると取り返しがつかないことなのですから,ここはユーザーの心配を払拭できるような情報を,きちんと記載しておいて欲しいと思います。


(6)まとめ

 正直なところ,綺麗に作るのがとても難しい上,それほどおいしいとも思わなかった米パンを家のお米から作ることが出来るという機能に,通常の製パン機よりも数万円高いことを,どれだけ納得出来るかにかかってくると思います。

 通常のパンをおいしく作る事が出来るのはあたりまえとして,もちがつけることまで考えても,3万円くらいまでで買うことが出来ると思います。

 そこから1万円以上も高価であることが理解できる人というのは,米パンというものがどんな味の食べ物かをよく知っていて,その焼きたてを食べたいというとても贅沢な望みのある人なのではないでしょうか。私は,やっぱり小麦のパンがよいです。

 
(7)おすすめできるか

 かつてはかりも使わず,オーブントースターだけでそこそこおいしいパンを焼いた経験のある私から言わせると,迷っている方は様子を見た方がいいと思います。

 お米からのパン作りは画期的ですが,あの爆音は間違いなく近所迷惑ですし,ミルの歯が欠けて金属が混じる事故とか起きそうです。グルテンは専用品しか使う事が出来ず,入手にも不安があります。

 お米のパンがおいしいかどうかは個人差があるとして,素直に強力粉を使って作ればとてもおいしいパンが出来上がるのですから,別に普通の製パン機でも十分といえるでしょう。なぜ米パンなのか,なぜ家の米から作らねばならないのか,その辺をよく考えて,ブームが落ち着いてから買っても遅くはないと思います。

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