エントリー

2011年09月20日の記事は以下のとおりです。

秋月の8桁周波数カウンタをレストアする計画

  • 2011/09/20 19:21
  • カテゴリー:make:

 先日書いた,秋月のベストセラーキットの1つ,8桁周波数カウンタのレストアを先日の週末から本格的に始めました。

 このキットを完成させたのは1991年3月だったと記録が残っていますが,完成後にこれを使って便利だったと思う記憶はほとんどありません。思うに,使いにくい,性能が信用出来ない,見た目に格好が悪いという理由で,自然に遠ざかったのだと思います。

 まず性能ですが,8桁のカウンタなのに,基準クロックの偏差が20ppmも30ppmもあるので,今ひとつ信用出来ないということです。これは先日,12.8MHzのTCXOからPLLで10MHzを生成する回路が完成したことで,解決しそうです。

 性能と言えば,なぜかDCから10MHzの入力感度が低いのです。5Vの矩形波を入れてもミスカウントが起こります。おそらく入力アンプが上手く動いていないのだと思いますが,こんなもんかなとそのままにしてありました。

 さらに,8桁目のLEDがうっすらと点灯しているのです。実害はないのですが,どうも不細工で好きになれません。この問題は,WEB上では全く見かけませんが,CQ出版から出ていた秋月のキットの本には問題の1つとして採り上げられているので,回路設計上の問題でしょう。

 ケースが鉄製でガチャガチャと嫌な音を立てることも嫌いでしたし,7セグLEDが大きすぎて,操作部が窮屈になることも嫌いでした。さらに,入力端子をBNCにしたのはよいのですが,周波数測定に適当なケーブルがなくて,結局オシロで確認する方が早いし楽だということになりました。

 また,せっかくの8桁カウンタも,プリスケーラを使わない場合は10MHzまでということで,その真価を発揮できませんでした。当時私は,2.4GHzのプリスケーラ付きを奮発しましたが,1/1024分周されることで測定周波数の上限拡大と引き替えに,周波数の分解能が犠牲になることをあまり深く考えてなかったようです。おかげで,例えば12.8MHzを測定すると,プリスケーラなしでは感度不足で動かず,プリスケーラを通すと12.8MHzとオシロ以下の精度しか出ません。

 今にして思えば,1/100分周のプリスケーラを搭載した250MHzまでのバージョンを買うべきだったと思うのですが,まあ済んでしまったことは仕方がありません。

 そしてとどめは,なぜかスイッチ類に油が浸透していて,まともに機能しなくなってしまっていることです。プリスケーラの切り替え,レンジや機能の切り替えなども上手く切り替わらないことがありますし,AC100VをON/OFFするスイッチなど,こわくて触りたくもありません。

 とまあいうわけで,このボロボロの周波数カウンタキットをレストアし,使える測定器にすることにします。

(1)精度

 何度も書いているように,20年前に秋月で買った12.8MHzのTCXOを活用すべく,TC5081を使ってPLLを組み上げ,10MHzのクロックを作る事が出来ています。このTCXOは年間1ppmの変化率,温度変化に対しては2から3ppmということですので,8桁精度としてはやや心許ないですが,安価な既製品の周波数カウンタの精度くらいは出ていますので,なんとか使い物になるという感じでしょうか。

 ところで,12.8MHzのTCXOの発振周波数の調整は,とある所のとある測定器を使って,なんとか小数点以下6桁まであわせることが出来ました。ということは8桁精度ですかね,本来8桁のカウンタに使うには,9桁精度以上が必要ですが,まあやむを得ません。


(2)入力回路

 プリアンプは,初段は2SK241のソースフォロワ,2段目は2SC1815,3段目は2SA1015という構成で,これが74HC14に入ります。74HC14には470kΩで負帰還がかかり,シュミット電圧幅を小さくして,上手く調整をすると20mVくらいの感度を持つように出来るそうです。

 この回路については,トラ技の製作記事にそのままパクられたりするほど良い回路らしく,特に問題も見聞きしません。しかし私は上手く動いていません。5Vのロジックを見るときでも,ミスカウントします。DCバランスを崩せば上手くカウントしますが,それだと感度は稼げていないでしょう。

 部品の故障やハンダ付けのミスなどを洗ってみてもいいのですが,面倒くさいので1段減らしたシンプルなプリアンプに置き換えることを計画中です。


(3)プリスケーラ使用時のクロック

 このキットに使われているプリスケーラは1/1024分周です。従ってカウント結果を直読出来ません。これは面倒ですので,普段は10MHzの基準クロックを,1/1.024の9.765625MHzにすることで,直読が可能になっています。

 10MHzの水晶発振子はカウンタLSIであるICM7216の直下に配置し,LSIの発熱で簡易恒温槽を作るという面白い工夫をしてありますが,プリスケーラ用の9.765625MHzの水晶発振子は,普通に基板の上に置かれています。

 だから,プリスケーラを使った状態では精度が随分悪いと予想されます。もともと1/1024の分解能になってしまうのですから,20ppmや30ppmでも実質問題はないよという考え方もあるのですが,それでも1GHz以上を測定するようなことがあると,結構気になるところでしょう。

 そこで,ICM7216の直下に置く水晶発振子を10MHzから9.765625MHzに置き換えることにしました。10MHzについては先程のTCXOとPLLで作り,外部発振器入力に入れて使う事になりますので,ちょうどよいです。


(4)8桁目の7セグLEDがうっすらと点灯する

 8桁目がぼんやり点灯する問題については,ダイナミックドライブゆえに,おそらく8桁目から1桁目に切り替わるときに,8桁目のドライブトランジスタのOFFになる時間が長くかかって,1桁目がドライブされる時刻でもまだONになったままだからではないかと思います。

 ICM7216で直接ドライブすればこんな問題はなかったのでしょうが,秋月のキットはトランジスタによるドライバを使っていますので,この問題が起きているのだと思います。

 実は,ICM7216のスキャン周波数は500Hzと,この手の周波数としては高めです。データシートによると,1桁分のLEDがONになる時間は244us,6usのブランキング時間を加えて合計250usです。これが8桁ですから8倍して2ms,つまり500Hzです。

 ダイナミックドライブが目の残像を利用する以上,スキャン周波数が30Hz程度だと結構ちらついて見えるものですが,高ければいいという物でもなくて,100Hzもあれば十分です。

 ですがこの回路では,500KHzという速度で100mA近い電流をバシバシ切り替えているわけで,トランジスタの仕事としては結構荷が重く,キャリア蓄積のせいでしばらくしてからでないとOFFにならないという現象が起きてしまいそうです。

 手としては,トランジスタのベース抵抗に200pF程度のコンデンサをパラに付けるか,電荷を抜く抵抗をベースとエミッタの間に入れるか,を考えています。ま,最悪駆動電流を減らして,目立たなくしてしまうと言う作戦もありでしょう。

 しかしですね,キャリア蓄積による遅延は,2SA1015なんかだと2から3us程度じゃなかったかなと思います。ブランキング時間を6usも確保してくれてあるのに,本当にこれが原因なのかどうかは,波形を見てみるしかありません。

(5)常用域でのプリスケーラ

 10MHzを境に,それ以上はいきなり精度が1/1000になるというのは,大変使いにくいものです。そこで,1/10のプリスケーラを追加することにしました。

 といっても,専用のICなど持っていませんので,74HC390を使います。30MHzくらいまでなら動いてくれるでしょう。どうせ入力アンプの帯域もこのくらいでしょうが,それでも30MHzまで1/10の分解能くらいで観測出来るのであれば,これまで1/1000になってしまったことを考えると,かなり便利なはずです。


(6)ケースと使い勝手

 薄い鉄製のケースは精度も低く,私の加工も下手で見るからにボロボロだったのですが,今回はタカチのYM-200という定番アルミケースを使う事にしました。以前のケースよりも一回り小さく,なかなか良い感じです。

 しかし,従来の7セグLEDをそのまま使うと,フロントパネルに他のスイッチやコネクタを置けません。あちゃー,と思っても後の祭りです。

 もともとLEDが大きすぎるのが嫌だったわけですし,小型の7セグに置き換えましょう。ということで,秋月の4桁ダイナミックドライブ用の7セグを買いました。ピュアグリーンなので楽しみだなと思っていたら,届いた実物の大きさが従来のLEDと同じであることがわかり,がっかりです。

 しかも,ICM7216がカソードコモンのLEDを使うので,てっきり同じと思っていたら,ドライバ回路を外付けにしてあり,アノードコモンが使われていました。さらにがっかり。

 秋月でアノードコモンの7セグを探すと,シャープの小型7セグが10個150円と大特価でさらにがっかり。悔しいのでこれと,スタンレー製のさらに小さいもの(1個50円)を買いました。

 届いてみると,スタンレーの超小型は,ピンピッチが2mmで,穴あき基板に載りません。無理に載せることも考えましたが,ここはおとなしくシャープのものを使う事にしました。文字高さは10mmで,従来が約14.2mmですので,随分小さいです。

 これで7セグ基板を作ってみると,予想通り小型にまとまってくれました。それでもYM-200の大きさと考えると,もうギリギリです。

 BNCコネクタを2つ,プリスケーラ切り替えスイッチを2つ,レンジとファンクションのロータリースイッチを並べると,もういっぱいです。これまで装備していたリセットスイッチやホールドスイッチはもう使わないと割り切って廃止します。

 ところで,周波数カウンタ(正確にはユニバーサルカウンタ)は,なにせ機能が豊富で切り替えが多いため,パネルの文字入れがたくさん必要です。文字入れをしないでおくと,実用も難しい位です。そこで以前はインレタでコツコツと文字を入れたのですが,今回はプリンタでシールを印刷し,これをパネルに貼り付けることにします。


(7)スイッチ類

 スイッチ類は,なぜか油で壊れていました。ロータリースイッチは今は入手が難しいアルプス製のものですが,接点数が希望の物とは違ったらしく,分解して無理矢理改造してありました。油のせいでこの改造も壊れていて,再利用は無理です。

 そこで,買い置きしてあったロータリースイッチを使う事にしました。このロータリースイッチは中国製だと思うのですが,接点の数を自分で決められる優れものなのです。

 2回路と1回路があり,1回路だと12接点まで,2回路だと6接点まで,金具を掛け替えるだけで設定出来るのです。素晴らしい。今回は1回路で十分ですので,ファンクションを5接点,レンジを4接点にして使う事にします。

 ただ,このスイッチは,感触はあまりよくありません。剛性感がないのと,精度が低いので,そこは我慢ですね。

 他のトグルスイッチ類は,小型のものを選びました。電源スイッチは背面に持っていきます。今回はAC電源を内蔵することはせず,5Vのスイッチング式ACアダプタから給電することにしますので,電源スイッチの重要性はそれほど高くはありません。

 
 ということで,冷静に考えてみると,キットを作るという手間(そしてそれが一番楽しい作業)がないだけで,あとはほぼ完全に作り直しになっているレストアですが,やるからには実用レベルにしないといけません。念願だったTCXOも搭載出来る目処が立ったのですから,頑張って仕上げたいと思います。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2011年09月

- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed