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2011年10月03日の記事は以下のとおりです。

Pogoplugを買いました,が

  • 2011/10/03 18:59
  • カテゴリー:散財

 今年の初め頃から少しずつ話題になっていたPogoplugを買いました。

 事の始まりは,嫁さんがiPad2をいたく気に入り,寝ているときとご飯を食べているときと風呂に言っているとき以外はずっとiPad2を使っている状況を見て,NASを導入しないといけないなあと思ったことです。

 うちには一人一台以上のコンピュータが稼働しています。ローカルストレージ以外は信じないという唯我独尊の古い人間である私は,NASもクラウドも設定が面倒な割には使い物にならないと信じていたので,ファイルの移動はUSBメモリを使っています。

 しかし,嫁さんと私との間でデータを共有したり,親に写真を渡すなど外部とのやりとりをする必要が出てきた事,そしてiPad2(と私のIDEOSとMacBookAir)のストレージを拡大する事を考えたいと思うようになりました。

 これらの要件を全て満たすには単純なNASではダメで,DropBoxなどを使う必要が出てきます。しかし,あれば便利だという程度の話で費用の発生も惜しいし,最終的な物理メディアは手元に置いて管理したいという希望もあって,Pogoplugを思いついたのです。

 Pogoplugは,Linuxの動作するスタンドアロンの小型コンピュータです。プロセッサはARMで,内部には必要最小限のRAMとフラッシュしか持ちません。USBを4つ持ち,ストレージはこのUSBに繋いで使います。

 Pogoplugは,メーカーであるクラウドエンジン社のサーバに繋がって,基本的には他とは繋がりません。PCなどのクライアントとはこのサーバを介して,認証とデータの転送が行われます。

 例外はローカルネットワーク内の話で,認証だけはサーバで行われますが,実際の転送は直接接続されて行われます。

 自分の家にあるストレージを外からアクセス出来るようにすると,セキュリティの問題が発生します。外から安全に自分のファイルにアクセスするには,クラウドサービスを利用するのが確実ですが,これには相応の費用もかかるし,容量に制限があります。

 Pogoplugは,認証とストレージを分離したものと考えて良くて,ストレージは手元に置き,認証と転送をサーバで行うようにしたものだと言えます。

 なかなか画期的で面白そうだなと思ったのですが,うちはADSLで遅いですし,ファイルの転送時間が遅すぎて使い物にならないだろうと思っていました。

 ですが,前述の通りローカルネットワーク内ならば,認証だけがサーバで行われるわけで,転送についてはそこそこの速度を期待できるのではないかと思ったのです。外からのアクセスはむしろおまけと割り切り,使う事にすればいいのでは?

 値段を調べると,随分値下がりしています。ヨドバシ.comでもポイントを差し引くと7600円ほどです。即納という事でポチりました。

 届くまでの間に,いろいろ調べてみると,Openpogoなるキーワードが目に付きます。Openpogoというのは,PogoplugにUSBメモリを追加し,ここにいろいろなプログラムを追加してLinuxベースの汎用サーバを作る仕組みです。sambaもFTPもHTTPもDDNSもNTPも追加できます。

 これはうまくすると,私が今立ち上げているノートPCによるLinuxサーバを置き換えることが出来るかも知れないと思ったわけです。Openpogoを入れてもPogoplugとしての機能は全く損なわれませんので,運用に入る前にOpenpogp化しておこうと思いました。

(1)まずはアクティベーション

 とはいえ,初期不良があっても困りますので,まずはアクティベーションまではやっておきましょう。

 Pogoplugは60秒で設定完了を豪語する簡単さです。ほんまかいなと思いますが,やってみるとあまりに簡単に出来てしまい,驚きました。

 Pogoplugをネットワークに繋ぎ,電源に繋いで,ランプが緑に点灯になったら正常動作完了です。Pogoplugはサーバに届いています。この状態でホームページにアクセスすると,このPogoplugをアクティベーションすることができます。

 話はこれだけです。

 例えばIPアドレスやDNSの設定,ルータの設定,NATやポートの設定など,全然必要ありません。そのかわり,IPアドレスはDHCPのみです。

 そしてホームページからアクティベーションを行うのもメールアドレスを設定するだけです。あとはPogoplugの状態がちゃんと見えるようになります。

 私の場合,基本的に固定IPで運用しており,それら手動設定が出来ないと困ってしまいます。ですが,冷静に考えてみるとDHCPのリソースを1つだけ予約し,これしか割り当てられないようにした上でDHCPをONにすればいいだけのことだとわかって,ルータの設定をちょこっといじって,事なきを得ました。

 ここまではあっけないほど簡単でした。

 本来のPogoplugとして使うなら,これほど簡単なものもありません。


(2)Openpogo化

 前述のように,Pogoplugに1GB程度のUSBメモリを差し込み,ここにLinuxのコマンドなどをおくことで,Pogoplugの機能を温存したまま,Linuxの環境を構築出来ます。これを利用して,各種サーバの機能をpogoplugに追加することが出来ます。

 Openpogoは非常にスタンダードなHackであり,多少のLinuxの知識があれば大丈夫と思って,取りかかりました。が,これがもう大変で,結果的には断念しました。


(3)USBメモリの初期化

 Openpogo化の最初のステップは,USBメモリをext2/ext3にフォーマットすることです。その方法もすぐに見つかり,手順通りにやったのですが,うまくいきません。

 1GBのUSBメモリをPogoplugに差し込むと,Pogoplugでマウントします。これをWEBからアンマウントし,ターミナルでログインしてでfdiskで初期化します。SSHでログインまではなんでもなかったのですが,fdiskでこけるのです。

 どうも,USBメモリをアンマウントすると,/dev/sdaも見えなくなってしまうようなのです。ならばマウントしたままでいこうとしたのですが,hbwdというデーモンを殺すとUSBメモリが外された状態になり,/dev/sdaも見えなくなるのです。

 ならばと,hbwdを殺さずにfdiskです。そうするとパーティション情報を書き込む時にwarningが出ます。しかし無視してあらかじめダウンロードしておいたmke2fsでフォーマットです。

 これは問題なく出来たので,次に進みます。なお,USBメモリの不良かと思ったのですがそういう訳ではなく,他のUSBメモリでもやっぱり同じでした。


(3)Openpogoのインストール

 再起動し,先程のUSBメモリを差し込んで,正常にマウントすることを確認します。SSHで炉群印紙,dfで確認するとちゃんとext2/ext3のUSBメモリがマウントしています。

 WEB経由であらかじめ用意して置いたopt.tar.gzをUSBメモリに転送,tarをほどきます。そして解凍したディレクトリを/optにリンクします。これで本来,/optでUSBメモリを参照できるはずです。

 終わったら,起動時に自動マウントするように/etc/init.d/rcSを書き換えます。手順に従って,profileやらmount用のスクリプトやらを揃えて行きます。

 そして再起動。残念ながら,上手く動きません。

 起動の様子を見ていると,どうやら一度緑にランプが変わってから,もう一度ランプが消え,点滅から再度点灯に変わるときに,USBメモリがアンマウントされてしまうようなのです。

 起動中の画面が出ていないので詳しいことは分かりませんが,自動マウントをせずにスクリプトを手動で起動してしてやれば問題なく/optでUSBメモリがアクセス出来ます。スクリプトの記述ミスなどはなさそうです。


(4)失敗その1

 /etc/init.d/rcSをviでいじれるようになったので,固定IPに出来ないかとスケベ心をだしてしまいました。元々のIPをコメントアウトし,私の家のローカルアドレスを割り当てて,DHCPをOFFにしました。

 再起動すると,オレンジのランプが点灯します。失敗です。

 慌ててSSHでログインしようとしますが,繋がりません。ターミナルを遡ると,コメントアウトしたアドレスは,私のローカルアドレスの方で,デフォルトのアドレスが有効になっていました。

 このアドレスでSSHを試みますが,当然弾かれます。やばい。

 慌てず,別のマシンを持ってきて,デフォルトのアドレスと1番違いのアドレスを設定し,これと直結しました。すると無事ログインでき,胸をなで下ろします。

 なお,正しい方のIPアドレスに設定しましたが,DHCPをOFFにすると上手く動いてくれないようで,SSHではログイン出来てもWEBでアクセス出来なくなりました。

 やむなく,DHCPで運用することに決定です。


(5)失敗その2

 これが地獄でした。

 どうも,hbwdが起動するときに,USBメモリがアンマウントされてしまうように思ったので,このデーモンを起動しないよう,/etc/init.d/rcSのこの行をコメントアウトしました。

 そして再起動。

 LEDは緑で点滅から点灯,その後あるはずの消灯から点滅,点灯がなくなりました。USBメモリはアンマウントされないはずと思いましたが,SSHでログイン出来なくなりました。

 えーと,SSHのデーモンが上がっているわけではなかったのですね。hbwdというPogoplugの各種サービスを提供するデーモンの中に,SSHまで含まれていたようです。

 pingでPogoplugの生死を確認すれば,当然反応はあります。しかし,telnetもSSHも弾かれてしまえば,もうrcSを元に戻す方法はありません。

 やってしまいました。もうゴミです。


(6)死の淵から復活

 この手のマシンには,デバッグシリアルが用意されています。ネットワークで繋がるまでの開発はデバッグシリアル主体で行いますし,起動メッセージもデバッグシリアルからしか見えないですから,必ずあるはずです。もしデバッグシリアルがあれば,ここからログインしてrcSを元に戻せるでしょう。

 しかし,デバッグシリアルはあくまで開発用の端子です。量産時には削除してしまうこともあります。しかも最近の半導体はBGAですので,LSIの足から直接デバッグシリアルを取り出すことは絶望的です。

 もう怖い物のなくなった私は,バリバリとカニをばらすかのように,Pogoplugを分解していきます。そして,それらしい端子を見つけました。

 ここでgoogle先生に聞いてみると,やはり先人達がチャレンジしているようで,4つの端子のアサインを公開してくれています。

 レベルは3.3Vですので,USBに繋ぐ場合にはUSB-シリアルコンバータが必要ですし,シリアルポートに繋ぐならレベルコンバータを使わねばなりません。

 オシロで信号を見ると,なにやら波形が出ているので,Pogoplugは声にならない叫びを上げています。なんとかせねば。

 しかし,私はマイコンいじりが趣味な割に,USB-シリアル変換器を持っていないことに気が付きました。

 そこで,AVRライタに付いているFT232RLを使う事を考えました。が,このFT232RLはライタとして認識するようになっているので,残念ながらCOMポートには見えてくれません。

 万事休すか,と思ったところで,MAX238という古いICを使ったレベルコンバータ基板が出てきました。調べてみると5Vでしか動きません。ダメモトで試しますが,やっぱりダメでした。

 これでもう本当に終わったのか,と思ったのですが,もしかすると・・・とトランジスタ技術の付録基板を探してみると,なんと3.3Vで動くレベルコンバータICを搭載した基板が出てきました。2005年4月号の付録だったと思います。

 パターンを切り,Pogoplugに繋ぎます。

 なにやらゴミがターミナルに出てきますが,まともな文字ではありません。ボーレートがあっていないのかと思いますが,それだけではなく,このレベルコンバータICをEnableにする端子がオープンになっていました。

 ここをきちんと処理すると,ちゃんと動くようになりました。

 あとは,ここから/etc/init.d/rcSを元に戻すだけです。


(7)復活,そしてあきらめ

 この段階で,なんとか正常に起動するようになり,SSHでも繋がるようになりました。このトラブルのせいで休日のほとんどを費やした私は,もうこれ以上深追いするのはやめようと,rcSを元に戻し,追加したファイルも削除し,純粋なPogoplugとして使う決心をしました。Openpogoにして,なにかをしようと思ったわけではありませんし。

 調べていて分かったことですが,私と同じようにfdiskで/dev/sdaがないと怒られて先に進めない人は,何人もいるようなのです。しかし解決策は出ていません。Openpogo化出来ないという書き込みに対して複数の人が試行錯誤を行っているスレッドも見つかりましたが,そこでも結局解決してなかったようです。

 結局,hbwdに左右されているような感じがあって,もし双だとするともう手出しできません。ここであきらめるのは正しい判断だと思いました。


(8)Pogoplugの使い心地

 標準状態のPogoplugですが,私はもうこれで十分です。かなり面白いです。

 まず,HDDは2TBのWDのやつ。これに2000円のケースをあてがい,Pogoplug専用にします。HFS+でフォーマットし,MacでPDFやら音楽やらを一気にコピーします。

 そしてPogoplugにマウント。MacやIDEOSに入れたアプリから,このHDDが見えるようになっています。

 嫁さんのiPad2とどうやって共有するかも考えましたが,xxxな写真やビデオを入れないようにして,私のアカウントをそのまま使ってもらうことにしました。これで2TBのストレージを持つiPad2の誕生です。

 Pogoplugの音楽ファイルから,MacBookAirで再生をすることも全然問題なし。嫁さんのiPad2からPDFを選び,iBooksから開いて読む事も可能。ちょっと待たされますが,一度表示が出てくればあとはそんなにストレスなく読み進めることが出来ます。

 これで私の蔵書は,世界中どこに行ってもアクセス可能。私と嫁さんで念願の本棚共有です。

 そしてまだ1.3TBも空きスペースがあります。ここにドンドンファイルを入れていきましょう。


(9)そして

 ということで,Pogoplugは普通の使い方になりましたが,その普通の使い方というのが,とても面白いわけです。

 うちのADSLが遅いせいで,外からの接続は今ひとつですし,家の中でもWiFi経由だと全然速度が出ないので大きなファイルのコピーは出来ませんが,すでにコピーされたデータの共有であるとか,200MB位までのファイルのやりとりなら,全然問題はありません。60GBになる音楽ファイルもローカルに持たず全て参照可能,CDDAをロスレスでバックアップしたファイルも置いておきましたので,手軽にPCオーディオの世界にも手を出せそうです。

 こんな速度では,動画はちょっと厳しそうです。しかし,そもそも動画を見る必要性も低いので,それ程問題とは思えません。

 写真などのファイルを第三者と受け渡しする時にも便利です。

 とにかく,大きなストレージがどこからでもアクセス可能というのは,夢のある話です。具体的な使い方はこれから研究していきますが,いろいろ遊べるというのは確かでしょう。

 楽しみなことです。

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