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2011年10月06日の記事は以下のとおりです。

スティーブ・ジョブズがなくなったこと

 いろいろな理由で触れたくない話なのですが,とても大きな話なので,書かざるを得ません。

 スティーブ・ジョブズが,なくなりました。享年56歳。

 そんなに具合が悪かったのか,が最初に思いついたことでした。ギリギリまで走り続けて,ほっと一息付く間もなく,なくなってしまうなんて。

 互いに面識もなく,年齢も立場もあらゆる面で私と接点のない,しかも外国人の死を,まるで友人の死のような気分で受け止めることになるとは,私にとっても驚きでした。

 いや,もっと強いかも知れません。友人ではなく,共に時代を生きた仲間か,あるいはちょっと年の離れた憧れの兄貴,ちょっと違いますけど若いときに心酔したロックミュージシャンが亡くなったような。なにが言いたいかというと,精神面での影響が大きいなということです。

 やんちゃで,絶対な自信で周囲を引っ張り,かつ振り回し,大きな成功も大きな失敗も経験し,でもぶれない信念がある,まぶしくて強くて,でもどこか華奢な兄貴。

 Apple][,Macintosh,NeXT,MacOSX,iPod,iTunes。彼の生み出した物は,常に私を魅了しました。

 彼の前に道はなく,彼の後に道は出来ます。

 時に,若かったころの私の前には,それはまだまだ細く,整備されていない,でも自由で活気にあふれた,かろうじて道と呼べる物がありました。

 ハードウェアは自分で組み立てる必要があり,プログラムは機械語が当たり前,マクロアセンブラが使えるのは一部のお金持ちに限られた険しい道で,そんな道でも自分の知力と体力で少しずつ前に進むのがとても楽しかった,そんな思い出があふれてきます。

 むろん,ジョブズははるか前にいました。いや,前じゃないですね。別の道を切り開いていました。時々彼の動静を耳にすると,すごいな,ということと,相変わらずだな,ということを,いつも思ったものです。

 ジョブズを語る人は,いくらでもいます。

 ジョブズを知る本や映像も,いくらでもあります。
 
 でも,私にとってのジョブズは,30年常に憧れ,時に反目した,とても身近な人でした。リアルタイムで蓄積してきた彼の記憶で,私はもう十分です。

 その記憶が,とてもよく映像化されていると思う唯一無二の「バトルオブシリコンバレー」を,酒でも飲みながら見るのが,私の弔いです。

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