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2011年10月11日の記事は以下のとおりです。

周波数カウンタをグレードアップ

  • 2011/10/11 14:59
  • カテゴリー:make:

 周波数カウンタの改良をしました。

(1)精度

 これまでは,12.8000MHzに調整したTCXOを使っていました。しかし,これも25年近く前の部品ですし,調整だってスペアナの周波数カウンタ機能を使って行った物ですので,どうも自信がありません。

 そこで,某巨大オークション経由でOCXOを買いました。といってもジャンクの外し品で,精度もどれくらい出ているかわかりません。値段も安く,あてにする方が間違いと思われるほどです。

 周波数カウンタへの内蔵も考えたので5Vで動く物を選びましたが,現物が届いてあきらめました。まず想像以上に大きいこと。そして大飯ぐらいなこと,特に起動直後は800mA近くも電流を食っています。そして熱いこと。OXCOなんですから当たり前ですが,この熱さでは小さいケースに閉じ込めるわけにいきません。致命的なのは,ウォームアップに1時間ほどかかったことです。

 15分ほどで安定してきますが,そこから1時間くらいはゆっくり周波数が上がっていきます。最終的に落ち着いたのは,電源投入後3時間を経過してからでした。これはちょっと厳しいです。

 そこで,このOCXOはリファレンスクロックとして使い,これを元にTCXOを再調整します。

 ほとんどずれておらず,気温25度で30Hzほど低くなっていました。10MHzに対して30Hzですので,-3ppmですか。おー,結構いい数字だったんですね。

 これをもう少し追い込んで,10時間で±5Hzの変動になるようにしました。これで±0.5ppmです。温度変化に対して±3ppmという仕様ですので,これを加味しても10MHzフルカウントに対し,誤差は±35Hz以内ということになります。

 まあ,8桁のカウンタとしては少々心許ないのですが,ここから先はもう泥沼になりそうなので,妥協することにします。

 それにしても,実力は10MHzに対し3Hz程度のズレだったりしますので,素人が使う測定器としては十分という事にしておきましょう。

 この検討で分かったもう1つのことは,PLLが大変安定して動作していたことでした。12.8MHzから10MHzを作るPLLは,もしかすると周波数の揺らぎが長周期であるのではないかと思っていましたが,電源投入後に30秒もすると,ぴたっと数字が止まって動きません。これなら十分使い物になります。


(2)広帯域化

 現状は,1/10プリスケーラを使った場合,DC~24MHzまででした。プリスケーラを使って精度を一桁悪くして,24MHzくらいで頭打ちというのはあまりに惜しいので,以下の改造を行います。

・高速ロジックICへの交換

 プリアンプ出力を波形整形する74HC14と,1/10分周を行う74HC390の2つが広帯域化を阻んでいますので,これを74ACシリーズに交換します。入手がそろそろ難しくなってくるころかも知れませんので,早めに手配が肝心です。

 74AC14と74AC390は,本来100MHz以上でも動作する高速C-MOSロジックです。一気に100MHzを狙えるかと思いましたが,まずICだけを交換したところ,50MHz位でミスカウントを起こします。それでも随分改善した物ですが,これはもうプリアンプに手を入れないと,実力を発揮できません。

・プリアンプのトランジスタを交換

 プリアンプは,初段が2SK241,2段目が2SC1815,3段目が2SA1015の校正です。2段目と3段目でしっかりゲインを確保して,次の74AC14に送り出します。

 実は,仕様書にかかれた2SC1815や2SA1015のfT(80MHz)は結構控えめな数字で,ちゃんとコレクタ電流を流してやると200MHzくらいまで伸びてきます。FMラジオくらいなら十分作る事が出来る性能です。

 ですが,さすがにしっかりゲインを確保するのは難しいようで,ここに定番の高周波トランジスタである2SC1906を使う事にしました。

 ピン配置も同じですので,まずは2SC1815を交換します。ついでに,電源のノイズ対策(フェライトビーズとパスコン追加)と,シュミットインバータの帰還抵抗を大きなリード部品から,チップ部品に変更しておきます。

 お,60MHzくらいまで伸びました。けど64MHzではコケますね。

 仕方がありません,あまり気乗りしませんが2SA1015を交換しましょう。PNPの高周波用トランジスタというのは品種が少なく,ちょっと定番が思いつきません。ぱっと調べて2SA1161という謎のトランジスタを購入しました。

 東芝のトランジスタなのですが,データシートが見つからず,CQ出版のデータブックで概略を掴んだ程度です。2GHzを越えるfTは立派なものですが,hFEが20というのは小さすぎないか?まるでゲルマニウム時代の2SDxxみたいです。

 これに2SA1015を交換しますと,おおー,なんと68MHzをラクラククリア。シュミットをバイパスして直接プリアンプ出力を74AC390に入れると,100MHzもカウントします。さすが高周波用トランジスタです。

 しかし,今度は低周波で感度がガタ落ちです。従来,1kHzで20mVrmsだった感度は,100mVrmsを越えてもカウントしません。ガタ落ちというか,もう低周波領域では動かなくなったといってもいいでしょう。波形を見ると,ゲインが低いようで波高値が小さいままです。

 こりゃいかんということで,手持ちのPNPトランジスタを片っ端から試すことにします。fTが1GHzの2SA711なんかは期待できそうだったのですが,いまいち。

 で,試行錯誤の末最も良い結果を出したのが,2SA562。2SC1959のコンプリです。2SC1959といえば,2SC1815ではちょっと心許ない時に使う,1ランク大きな電流を扱える便利なトランジスタです。今時はもう1ランク上の2SC2120などが定番化しているのですが,2SC1959は高周波特性も良好で,ちょっと他に変わりがないトランジスタだなあと思ったりします。

 で,2SA562と2SA1015を比べてみると,2SA562はコレクタ電流が大きくても小さくても,fTがあまり変化しません。150MHzから300MHzくらいです。一方の2SA1015は,コレクタ電流が小さい時のfTの低下が顕著で,コレクタ電流が低いときは50MHzを割り込みます。でも,コレクタ電流を50mAも流すと,fTは一気に400MHzを越えるのです。

 だから,今回の回路でもコレクタ電流を増やしてやるだけで済んだことかもしれないのですが,面倒なので2SA562に置き換えることで決着です。低周波特性も変わらず,20mVrmsを維持しつつ,高周波は68MHzをクリアする性能を実現しました。

・その他対策

 74AC390の入力部にプローブを当てると,特に64MHzを越えるところでミスカウントがウソのようになくなります。波形の乱れによってトゲが出ているのが,プローブのような小容量のコンデンサをあてがうと消えるので,ミスカウントしなくなるのではないかと思います。

 そこで,10pFくらいのコンデンサをGNDとの間に入れました。これで高周波でもミスカウントしなくなります。

 また,74AC390からの出力ですが,74ACのような高速で強力なドライバを持つICは,出力波形が結構暴れます。そこでダンピング抵抗をいれました。分周後ですので10MHz未満ですからいらないといえばいらないのですが,後段のICを保護する目的もあり,オーバーシュートとアンダーシュートを小さくする目的で,330Ωという結構重い抵抗を入れました。


 ということで,高精度化と広帯域化を実現した周波数カウンタは,かなり使える機材となった気がします。本当なら1/10プリスケーラで100MHzくらいまで測定出来ると素晴らしかったのですが,実際にそこまで必要な事は少ないでしょうし,あまりいじくり回して壊してしまっても残念なので,このくらいでよいことにします。

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