エントリー

2012年04月09日の記事は以下のとおりです。

N-30の真骨頂,ハイレゾ音源を体験する

 ネットワークプレイヤーN-30の,さらにその後です。

 今回は,とうとうハイレゾ音源へのチャレンジです。

(1)ハイレゾ音源の入手

 CDが16bit/44.1kHzという器の大きさしか持たない以上,それ以上の情報量を持つ,いわゆる「ハイレゾ音源」をパッケージソフトとして手に入れるのはなかなか難しいおが実情です。

 いや,ちょっと語弊がありますね。SACDはハイレゾ音源をパッケージする,実質的に唯一のオーディオ専用メディアです。

 ただ,SACDは物理的にデータを読み出すドライブがほとんど入手出来ないこと,DSDという独自のデータ形式になっていること,そしてそれら技術的な問題が解決しても,DRMがかかっているために,リッピングを行うことは限りなく不可能に近いです。

 私は,24bit/96kHzといったハイレゾ音源は,もはや配信でしか入手出来ないものと思い込んでいたのですが,旧世代のジジイである私としては,やはり実体のある「メディア」を手元に置いておきたいと思うもので,ちょっと躊躇していたのです。

 で,つらつらと考えていたのですが,DVDはすでに,リッピングされるようになって久しく,ということはDVD-Audioはすでにリッピングできるようになっているのではないのか,と閃いたのです。

 閃いたとは大げさで,ようやくそこに気が付いたということですが,調べてみると,やはり可能になっているようです。合法なのか非合法なのか,すっきりしないところがあるわけですが,堂々とそのやり方を商業ベースのWEBサイトに紹介が出ているあたり,すでに死んだメディアゆえお咎め無し,誰も損をしないから,というのが,どうやら実情のようです。

 ほぼ完璧な著作権保護を達成したSACDが生き残り,自由度の高いDVD-Audioが死に絶えたというのはちょっと興味深い結果ですが,DVD-Audioが現在入手が絶望的な状態なんだから,もうどうでもいい話です。

 で,さらにつらつらと考えていると,私自身はDVD-Audioなど全く鼻にもかけなかったのですが,嫁さんがなんか持っていたよなあと,思い出しました。

 そう,嫁さんはBeach Boysのマニアであり,数年前に発売になった,DVD-Audio版のPet Soundsを,買っていたのです。

 いやはや,なんとも恐ろしいですね。嫁さんは当時も今も,DVD-Audioを再生する機器を持っていません。コレクターズアイテムとして買うという無茶は,狂信的マニアにしか真似の出来ない芸当です。

 我が家で唯一であったこのDVD-Audioは,これまでは醜いアヒルの子でした。高音質なSACD,そして多数派のCDたちから蔑まれ,すでに存在しないことにすらなっていた,不遇な時間を過ごしてきました。

 しかし,とうとう,純白の白鳥として,翼を広げて,大空に飛び立ち,その美しさを我々に見せつけるときが,やってきたのです。なんと感動的なことよ。

 てことで,とっととリッピングをしてみます。いろいろなフォーマットで記録されていますが,ここでは最高音質である24bit/96kHzでリッピングです。6chのMLPで記録されたデータを,6chのflacと2chステレオのflacで保存します。

 そしてこれをPogoplugにコピーし,ネットワーク経由でN-30で再生します。ちゃんと24bit/96kHzで認識し,正しく再生されました。

 うーん,もともとのPet Soundsを聞き込んだわけではないので,正直ハイレゾ音源であることの価値は,よくわかりません。

 それに,もともとのデータが6chですから,ステレオといってもこれをダウンミックスしているわけで,その正しさも正直よくわかりません。一応,DVDオーディオは6chから2chへのダウンミックスを行う場合の,各チャネルの係数を記録することが出来るので,それに従ってダウンミックスすれば正しいステレオデータが得られることになってはいます。しかし,本当にその係数を使っているのか,使っていても正しい演算が行われているのかどうか,気持ち悪いことに変わりはありません。

 もっと気持ち悪いのは,title1とtitle2として,全く同じデータが2つ記録されていることです。違いは何だろうとバイナリで比較して見ましたが全く同じもの。

 パッケージには,6chと2ch,そしてmonoの3つを楽しむことが出来,しかもmonoはBrian Wilson御大が直々に監修しておるということで,本来別のデータになってしかるべきなのかなあと思う訳です。まあ,データは同じでもmonoか2chかでデータを共用する仕組みがないとか,係数が異なっているとか,そういう事情があるのかも知れません。

 どうもスッキリしませんが,まあいいでしょう。

 このころの音楽はアナログテープレコーダで制作されていて,その情報量はCDのフォーマットでは収まりきらないというのはもはや常識です。よってPet Soundsもハイレゾ音源の価値はあるはず,なのです。

 ですが,最初からハイレゾ音源で作られた音楽とは素性が違います。確かに聞き比べればその違いははっきりわかるのですが,これでなければならない,という程のアドバンテージは,正直ないように思います。まあ,N-30が安物だからかも知れませんが・・・

 ただ,このDVD-Audio版のPet Sounds,ボーナストラックが充実しています。これを聴けるだけでも実は価値のあることだと,マニアは思っているようです。

 
(2)配信で買ってみる

 私はSACDを買うときでも,余程のものでない限り録音の時点でSACDを前提にしてあるものしか手を出さない人ですが,24bit/96kHzのようなハイレゾ音源も同じであると考えた時に,もはや配信でしかまともなものは買えないと判断,試しに入手してみることにしました。

 OTOTOY,e-ONKYOなど,ハイレゾ音源を扱うサイトも充実してきましたが,ここではジャズやクラシックに力が入っているe-ONKYOを試してみます。

 幸いにして,ケニー・バロン(p),ロン・カーター(ba),レニー・ホワイト(ds)というまさにプレミアムなトリオによる,「Softly, As In A Morning Sunrise」が昨年夏に配信スタートとなっています。24bit/96kHzでDRMなしですから,ちょうどよいです。

 お値段は3000円。実体もなく印刷物もない「データ」に,同額以上のものを支払うことにやや躊躇するのは,やはり旧世代ゆえでしょうか。

 ということで,FLACで購入手続き,そしてWAVに展開し,データを早速N-30で再生してみます。

 おお,これはいいですね。SACDでもそうだったのですが,ハイレゾ音源で最もわかりやすいのは,ハイハットです。ハイハットの音が「しゃっ」と短く切れるのがCDなら,「しゃっー」と小さくなりながら長く伸びるのが24bit/96kHzです。ハイハットのような金属製の打楽器は高域まで非整数次倍音がたっぷり入っています。

 ホールでの演奏で聞こえる反射音とか,打楽器の音が消えゆく時のように,小音量の再現性の素晴らしさは,さすがに24bitだということでしょう。

 あと,バスドラムやスネアなどドラムの生々しさがすごいです。バスドラムの空気の振動,スネアドラムの機構からやむなく発せられる動作音のようなものまで,見事に取り込まれています。24bit/96kHz万歳です。

 このデータを,AppleがMasiter for iTunes用のツールとして配布されている,afconverで16bit/44.1kHzに変換してCDに焼いて見ましたが,もう全然だめです。一聴して違いが歴然,広がりがなくなり,狭いところで窮屈に演奏している印象があります。小さい音はつぶれてきこえなくなり,減衰音は途中で途切れて聞こえます。総じて,レースのカーテンを隔てて聴いているようなもどかしさです。

 もっとも,afconvertのダウンコンバートのアルゴリズムが悪いせいかもしれませんのでなんとも言えませんが,このツールと使って256kbpsのAACを生成することが推奨されていることを考えると,そんなにおかしいものでもないでしょう。

 これだけの差があると,今後は積極的に24bit/96kHzのソースを手に入れようとするでしょう。個人的な印象では,SACDよりも上だと思いました。

 これは大満足です。愛聴盤(盤じゃないですが)に決定です。


(3)調子に乗って

 SACDすらすでに死に体と言われる昨今,せっかくプレイヤーを持ってるのだからと,久しぶりにSACDの新譜をチェックしてみました。

 残念ながら新譜に惹かれるものはなかったのですが,オルガニストである吉田恵さんの「バッハ:オルガン作品集 VOL.1」がよさそうな感じで,買うことにしました。ちょっと小フーガ ト短調が聴きたくなって探したところ,もっとも新しい録音がこれだということがわかったのですが,どうもSACDというのは,演奏家という切り口ではなく,誰がマスタリングしたか,どのホールで録音されたかが重要とされる向きがあり,SACDも随分尖ってるなあと思います。

 日曜日に届いたのですが,音質も飛び抜けてすごいというわけではなく,加えて演奏もどうもすっきりしない感じで,リヒターのような堅い演奏が好きな私としては,ちょっと甘口で心許ないという感じです。まあ,初心が偉そうなことを言うのはやめておきます。

 で,カラヤンの1962年の録音で,ベートーベンの交響曲全集も買いました。海外からの輸入だと7000円弱ですから,これはお買い得ですね。私はクラシックはさっぱりですけど,ベートーベンのシンフォニーとピアノくらいは教養として聴いておかねばならないと思っていたところでしたので,ちょうどよかったです。

 アメリカの業者から購入したので,2週間ほどかかるでしょう。中学生以来のクラシックファンである嫁さんも楽しみにしていましたし,私も楽しみです。
 

 てことで,音楽というのは,聴きたいときにそばにあることも,とても大事な事です。配信という仕組みはその究極形態だとは思いますが,ネットワークの帯域に制限のある現状では,手元にディスクなりデータが存在することが,とても大きな意味を持ちます。

 それに,配信の仕組みは,欲しい音楽を手に入れるための検索,ブラウズに限界があります。リアルCDショップやamazonの便利さに比べて,まだまだ貧弱です。音楽を聴きたいだけなのに,音楽を探し当てることで十分疲れてしまうのは,ちょっと残念な気がします。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2012年04月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed