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2012年07月27日の記事は以下のとおりです。

Mountain Lionをインストールしてみる

 7月下旬というアナウンス通り,日本時間の7月25日の夜,Mac用の新しいOS,OS X 10.8 Mountain Lionがリリースされました。

 価格は1700円という,有償のOSの価格としては安い価格設定です。機能は200を越えるという事ですが,見た目の違いが乏しいため,比較的地味なアップデートという感じがします。

 販売方法はダウンロードのみ。物理メディアでの提供は現時点ではないという話ですが,どうしてもブロードバンド環境がない人はApple Storeへ持ち込めとありますので,将来的にもダウンロードのみではないかと思います。

 容量は約4.3GBですので,私のような低速ADSLの人だと,実に4時間もかかってしまいました。趣味や仕事だけではなく,コンピュータの維持管理に光回線が必要になる時代が来ようとは,思ってもみませんでした。

 Mountain Lionのコンセプトは,クラウドとの親和性です。1つ前のLionでiOSとの距離を縮める戦略は十分に理解されたとみて良いですが,iCloudをOSでサポートすることで,iOSの搭載機器との間で,データのみならず,「今していたこと」さえもシームレスに連携することになりました。

 まあ,これってOSそのもの,あるいはMacそのものの高機能化というより,iOS機器との抱き合わせのような気がしてくるので,iPadやiPhoneを持たない(ついでにいうと反りが合わない)私のようなマイノリティにとっては,あまり魅力的に見えないアップデートのはずでした。

 セキュリティアップデートのつもりで1700円を支払ったわけですが,実際にインストールして使って見ると,その考えは間違っていたとの認識に至りました。

 ということで,私の独断と偏見による,Mountain Lionの注目すべきポイントです。

(1)完全64ビットOS

 今なお名作の誉れ高い10.6,Snow LeopardでMacOSは64ビットOSへの道を邁進してきたわけですが,巧妙な方法でアプリケーションは32/64ビットを区別なく実行出来るOSであることは,今回のMountain Lionでも代わりません。

 とはいえ,カーネルやドライバは両用には出来ませんので,起動時にどちらか一方を選ぶ事になります。もちろん,メモリ空間もパフォーマンスも64ビットの方が有利なことはいう間でもありません。

 Mountain Lionでは,カーネルやドライバが32ビットでは起動せず,64ビット専用となりました。自動的に,Snow LeopardやLionの時に64ビットモードで起動出来ない古いMacは,動作非対象となります。

 私はMacBookAirの2010年モデルを使っていますが,カーネルはもちろん,ドライバも完全に64ビットのものに揃っており,気持ち悪さが払拭されました。まあ,もともと私は所有する2つのMacのいずれも64ビットモードで動かしていましたので,そんなに変化があるという事ではありません。

 ただ,このことはもっと大きく扱われて良いと思います。Macは68000から68020や68030への移行時,68kからPowerPCへの移行時,PowerPCからx86への移行時,さらにMacOS9からMacOSXへの移行時に,互換性の問題を巧みに回避してきました。

 1つはエミュレーションで,1つはAPIの追加で,1つはフォルダを「アプリケーション」に見せるNeXT由来の技術で,我々は非互換という精神的にも大きな打撃のある問題を,直視せずに済んできたのです。

 気が付いたら移行が終わっていた,どれもそんな感じがします。しかし,その移行は大きな事件として常に取り扱われ,過渡期の対応策の巧みさが賞賛されることも常だったわけです。

 今PCの世界で起こっている64ビットOSへの移行は,まさにこれだと私は思っています。Macが今後も「コンテンツを創るマシン」として生き延びるには,64ビット化が避けられません。しかし,一方で保守的なクリエイター達が反発せず,32ビットから64ビットへの移行を「気付かないうち」に行わねばなりません。

 アップルとMacは,またしてもこの移行を,深く静かに行ったわけです。

 同じCPUですし,あまり違いが取り沙汰されることはないようですが,64ビットと32ビットでは,もう別物だと私は考えています。移行期であったSnow LoepardとLionは,大変に見事でした。

 そして満を持して,Mountain Lionで完全64ビットになったのです。脱落者は,そろそろ買い換えを行う方が良い古いハードウェアを所有する人達だけです。アプリケーションについては,相変わらず32ビットでも動作しますから,ここでの脱落者はいません。

 これでMacは,当分安定したコンピュータでいられるでしょう。なにせ64ビットのアドレス空間は途方もなく広大で,使い切るのに当分かかるはずですから。

 今回の移行は,アーキテクチャを根幹から変えてしまう大きな変革です。他のOSのように古いアーキテクチャと新しいアーキテクチャを混在させれば,メーカーは別に非難もされませんし,ユーザーも不満を訴えませんが,あえてそうしなかったアップルの,シンプルで美しものを求める姿勢は,相変わらず健在です。


(2)音声認識

 デフォルトではOFFになっている機能ですが,実は密かに凄いことになっています。音声合成(Text-to-Speech)は以前からそこそこ使えるものになっていましたが,いかんせん実用性が乏しく,実際に使っている人も少ないのではないでしょうか。

 これが音声認識となると,桁違いの技術的な難易度であり,実用性を議論する前に使い物になるかどうかという時代が長く続きました。私も,結局ニーズもないまま,音声認識は特殊機能まま終わってしまうんじゃないかと思っていました。

 ところが,Siriによって音声認識が使い物になることを示したアップルは,Macにも使い物になる音声認識を機能として入れ込んできました。

 コントロールパネルから音声認識をONにしてから,Fnキーを2回押すと,音声認識モードになります。音声を入力してからFnキーを1度押すと,しばらく悩んだ後に,ほぼ正確なテキストを入力してくれます。簡単な単語なら,まず間違いません。

 一種のインプットメソッドですので,テキスト入力が可能な場所ならすべて利用可能です。また,これまでによく見られた音声認識ソフトのように,音声入力の始まりと終わりをキーの押下で明示しないものではないため,長い話し言葉を文章にするとか,スピーチを書き起こすとか,そういう用途には向いていないと思いますが,それくらいに割り切ってあるから,この認識率なんでしょう。

 実際の所,Twitterのような短い入力を,いちいちキーボードから打ち込むのは面倒なときがありますが,音声認識を使えば文字通り,つぶやくことが出来るわけです。

 私も面白がって試して見ましたが,本体内蔵のマイクでも概ね良好な認識率でした。私としては,とりあえずカナで入力してもらって,かな漢字変換はATOKで出来ればより高い認識率を目指せるんじゃないかと思っていたのですが,そういうことは出来ないようです。


(3)NotificationのOSへの統合

 アプリケーションからの通知が,OSによって用意された通知エリアに表示されるようになった機能については,iOSの機能を取り入れたという文脈で語られることが多いのですが,少し違って見方をしてもよいと思います。

 ファイルの読み書きなどの標準的な入出力やメモリ管理,タスク管理という,どんなアプリにも必要な機能を,共通のソフトとして用意しておくという発想から生まれたのが,Operationg Systemというソフトウェアです。

 OSは基本的なサービスを提供するだけではなく,GUI,グラフィック,検索などの機能も取り込み,それぞれのアプリケーションに提供するようになりました。現代のコンピュータ,とりわけパーソナルコンピュータにおいてOSの果たす役割は極めて大きいと言えます。

 それだけ肥大化したOSにおいて,アプリケーションからユーザーに対して知らせる通知が,各々のアプリケーション任せになっていたことは,考えてみれば不思議なことです。特にマルチタスクが当たり前になった現代のOSで,バックグランドのアプリからの通知が,それぞれに任されているというのは,非常に不自然でした。

 おそらく画面の広さという制約からでしょうが,androidではここをちゃんとOSでサポートしていて,アプリはOSに通知したい内容を渡せば,すべてのアプリに共通化された方法で,通知が行われるようになっていました。

 iOSはこの方法をパクったわけですが,さらにこれはOS Xにも導入されることになりました。これまでアプリが個別に行っていた通知を,一度OSが集約し,OSがユーザーに共通の土俵で伝える仕組みに整理されたわけです。これにより,タッチパッドのジェスチャー入力とも紐付けられ,「大きなお世話」と感じずに済む程度の,絶妙な通知を行ってくれるようになりました。

 Macでは,growlという通知を出すためのフリーソフトが事実上の標準となっており,これに対応したソフトは多く存在しました。私はgrowlは好きにはなれず,全く使っていませんが,この機能が全体のバランスを崩さない形でアップルの手によってOSに統合されるのであれば,大歓迎です。

 Macほど,アプリケーションの流儀にうるさいマシンもありません。どんなAPIを使えとか,そういう話のみならず,その背景や思想まで記述されたガイドラインに従ってソフトを書かねばなりません。なのに,通知をOSでサポートしていなかったというのは,今思えばおかしな話だと思います。


(4)Safari6

 Safariは良くなりました。滑らかになりましたし,高速になりました。私はQNAPのNASを使っていますが,WEBからNASの設定を行う際に,そのキビキビした動きはあらゆるブラウザの中でもはっきりわかる速度です。

 Safariで面白いのは,検索フィールドがなくなったことで,アドレスを入力するフィールドと統合されました。それがURLなのか検索文字列なのかを判断するロジックが入っているわけですが,慣れてしまえばこっちの方が絶対に便利だし,自然です。なにせ,我々はそのWEBページを見たいわけで,手段はどうでもいいのですから。


(5)全体的な速度と快適性

 SnowLeopardからLIonになった時,ちょっと引っかかるような不愉快な感じがあって,残念な気持ちになりました。しかし,今回のMountain Lionは全体にサクサク感が増して,スムーズに動くようになりました。スクロールの端に到達したときのスプリングも少し小さな動きになり,全体の小気味良い動きを後押ししています。


 というところで,全体的に好印象なMountain Lionですが,当然メジャーアップデートですから問題点も出ています。

 まず,QNAPのNASでTimeMachineが動作しなくなったことです。同じ症状の人がそれなりにいるようで,NASのファームウェアがアップデートするまで,TimeMachieは使えません。Lionの時にも同じ事があったそうですが,なんで事前に対応して置いてくれないのかなあと,思います。バックアップの話ですから,早めに解決して欲しいです。

 次に,ソフトウェアアップデートがAppStoreに統合されたことです。長年親しんだソフトウェアアップデートは,OSのアップデートなどの重要なものが一目で分かるものだったのですが,これがAppStoreに統合されると,他のアプリと同じ扱いになってしまい,あまり目立ってくれません。また,AppStoreって無駄に画面が広いので,面倒臭いなあという印象が先に来ます。ま,これは慣れればどってことないかも知れません。

 不具合らしいものは,今のところこのくらいですが,作業用のマシンであるMacBookProへのインストールは,少なくともNASでTimeMachineが動くようになってからにしたいと思います。ソフトの互換性やドライバの問題などで,いろいろ面倒が起こりそうな気がします。

 ということで,1700円という価格なら,やっぱりやっとくべき,アップデートだという結論です。マシンの買い換えまで必要かと問われれば,そこまでではないかなと思いますが,対象機種の方ならやって置いた方がよいと思います。

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