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2012年10月31日の記事は以下のとおりです。

ドリル?サンダー?ジグソー?丸鋸?

  • 2012/10/31 15:56
  • カテゴリー:散財

 男の子は基本的に道具マニアです。子供の頃に憧れた道具は,大人になってある程度の経済力が手に入ると,ついついそうした物を買っては悦に入ってしまいます。

 道具という言葉の範疇には,のこぎりやドリルのような工具は当然として,テスターやオシロスコープのような測定器,カメラやナイフといった趣味性の強い物,腕時計なんかの宝飾品としての機能を持つものも含まれると思います。

 コンピュータは計算や記憶の道具であることに誰も疑問を持たないでしょうし,携帯電話は物理的距離を超えて意思疎通を図る道具です。

 さらに極論すれば自動車も航空機もそうですし,特殊車両だってそうでしょう。戦車やミサイルなんかの兵器も含まれると思いますが,これらはさすがに個人所有は不可能ですから,まあ除外しましょうか。

 私も道具は好きで,なんでかなあとつくづく考えると,道具によって自分に出来る事が増える事の心地よさと,道具としての機能を高めるためにちりばめられた知恵と工夫にぽんと膝を打つ,あの感覚がたまらないからだと思います。

 道具は,自分の能力を拡大するものです。シロスコープは電子の動きをつかまえる新しい視覚ですし,電動工具は力と持久力を飛躍的に高める新しい筋肉です。コンピュータは単純な計算を膨大な回数の繰り返しで正確にこなし,かつ膨大な記憶力を持つ新しい脳ですし,携帯電話は距離に影響を受けないゼロの新しい耳と口です。

 これらは体の中に埋め込まれれば「サイボーグ」を構成するわけですが,今の我々はすでにサイボーグになることと同じくらい,人間本来の能力をはるかに超える存在に発達したと言えるかも知れません。

 話が逸れますが,ならばサイボーグに対する畏敬の念の源泉は,おそらくサイボーグに「なってしまう」ことによる,非可逆な身体的変化とそれに伴うリスクの大きさを越えてまで手に入れるという,その覚悟に対する憧れにあるのではないでしょうか。

 話が大きくなりすぎました。

 自分に出来る事が増えるだけではなく,綺麗に出来る,素早く出来る,という実用性が拡大する事も道具の素晴らしさです。生まれて初めて1mmの鉄の板に穴を開けねばならないとき,なにも持っていなければ穴を開けることすら出来ずに終わったでしょう。

 私の場合は偶然家にあった木工用ドリルビットとハンドドリルで,なんとか穴を開けることができましたが,1つの穴に10分以上もかかり,しかもドリルビットは使い物にならなくなりました。穴の仕上がりも汚いものでした。

 これが,電動のドリルと鉄鋼用のドリルビットを手に入れる事で,わずか数秒で穴を開け,しかも仕上がりは綺麗になりました。道具が自分の能力を高めてくれた瞬間です。

 もちろん,効き目の大きな道具ほどリスクも大きく,危険な場合もしばしばです。私が最初に手に入れた電動ドリルはAC100Vで動作する強力なもので,速度調整も出来ない安物でした。おかげで指をどれほどケガしたかわかりません。ばっくり割れた大きな切れ目から血がドバドバ出る時の,ちっとも痛くないのに頭の中が真っ白になるあの感覚は今でもゾッとします。

 それでも,高校生の時にようやく念願かなって手に入れたリョービのMD-10という電動ドリルには随分助けてもらいました。5980円だったように思います。

 やがてAC100Vは強烈過ぎる上,電源コードの煩わしさもあって,安いコードレスドリルを買ったのですが,確か7.2VのNi-Cd電池が内蔵された非力な安物でした。電動ドライバとしては十分だったのですが,ドリルとしてはパワーも足りず,電池も早く切れて仕事になりません。充電は何時間もかかって,思いつきで作業が出来ないもどかしさもありましたし,なによりチャックの精度が低くて,センターがぶれるのが困った奴でした。

 2005年の夏でしたか,近所の東急ハンズが閉店するというので処分価格で出ていたそれなりにちゃんとした電動ドリルをようやく買ったのですが,台湾製のノーブランド品です。取り外し可能な12VのNi-Cd電池を使ったもので,60分で充電可能な急速充電器が付属していて,思いつきの作業にも使えました。

 パワーもそこそこありますし,精度も安い割には十分で,これも随分助けてもらったのですが,2年ほど前に変速ギアのレバーが壊れてしまい,ギアが外れやすくなりました。使っていると突然ギアが抜けることがあるくらいで,別に使えなくなったわけではないのですが,大きなトルクのかかるハンドツールですので,怖いなと思いながら使っていました。

 買い換えないといけないなあと思っていたのですが,先日目に付いた電動工具に,私は「これだ!」と確信し,数秒以内にポチっていました。

 ブラックアンドデッカーの,multievoです。

 このmultievo,みんなが夢見た,アタッチメント方式の電動工具です。ドリルになったりジグソーになったり,サンダーになったりするのです。

 それぞれの機能に最適化された専用工具はさすがに使いやすいのですが,それなりの値段がしますし,滅多に使わない工具だったりすると邪魔になるものです。私は100Vで動くサンダーを10年前に買いましたが,今までに一度も使ったことがありません・・・

 しかし,合体ロボットで育った子供は,大人になる過程でアタッチメントや合体は,結局専用機に負けるという事実を学ぶことになります。いかに工夫をしようと,便利さと引き替えに,本来の機能を犠牲にしてしまうのが,1台X役,という触れ込みの道具なわけです。

 だから,muitievoを見た時,いかにそれがブラックアンドデッカーの製品であっても,やっぱり駄目だろうという気しか起こりませんでした。

 ところが,最終的に私がポチってしまったのは,アタッチメントに丸鋸があったからです。丸鋸は木の板を,まっすぐ,直角に切り出すためには絶対に必要な道具です。しかし,危険性が高く,板と一緒に指まで切り落としてしまうことは普通に起こります。

 怖い物知らずの私が電動丸鋸にビビって手を出さなかったことで,もしかすると私の指は10本揃っているのかもしれないと思うほどです。

 しかし,手動ののこぎりで綺麗に木の板を切り出すのは不可能に近いです。安全で,小型で,出来れば電池で動く程度のパワーでの丸鋸があったら欲しいなあと,そんな風にずっと思っていた所に,このmultievoを見たわけですから,もう止まりません。

 しかも,本来別売りの丸鋸が,今なら誰でもわかるクイズに正解するだけで,無料でもらえます。スターターキットが2万円,これを買えばドリル/ドライバー,ジグソー,サンダーが手に入り,しかも予備の電池パックと充電器,キャリングケースが付いてきます。

 半年先には引っ越しもあり,組み立て家具を買うこともあると思ってましたから,電動ドライバーはどちらにせよ用意しておく必要があります。ブラックアンドデッカーのブランドで,18Vのリチウム二次電池で動作する万能工具は,私の今求めている物にバチッとはまったのです。

 とはいえ,それぞれの能力が中途半端なら無駄な買い物です。ちょうど新発売ということでレビューが出ていましたが,どれも実用性抜群で,しっかり作ってあるとの評価です。特に使用頻度の高いと思われるドリル/ドライバーは,チャックの精度がきになるところですが,そこも問題なしとの話です。

 しかし,ブラックアンドデッカーは,総じて動作音が大きくて,うるさいんですよ。家がでかくて近所迷惑になりにくく,DIYもお互い様というアメリカの会社だけあって,その辺は余り頓着しないようです。日本ではDIY=変人の趣味という印象もままあり,近所迷惑もあってあまりおおっぴらに電動工具をブイブイ言わせないものですから,不安もありました。

 果たして,我が家に届いたmultievoは,どうだったか。

 結論から言うと,これはいいです。これが2万円なら,もうアマチュアにはこれ以外の選択肢はないんじゃないでしょうか。

 それぞれのアタッチメントはしっかり作ってあり,不安はありません。精度もきちんと出ているようですし,使いにくかったり限界が低かったりという話はなさそうです。

 本体との勘合部分もしっかりしており,十分な耐久性がありそうです。ただ,カメラのレンズのように,取り外しがスムーズでまるで吸い込まれるように行われるわけではなく,そこは2万円という安価で無骨な工具だけに,過度な期待は禁物です。

 トリガーによる無段階調速が可能ですが,ドリル/ドライバーには変速ギアの切り替え器機構はありませんので,ちょっと使い勝手が悪化しそうです。でも,握りやすくてふらふらしない秀逸なグリップ感は,微妙な操作も十分可能になると思います。

 ただし,必ずしも操作がしやすく,使いやすいわけではありません。クラッチの調整ダイアルは指のかかる場所がないので回しにくく,数字を合わせる指標もありません。私はぐっと握って回した時に,親指を他の突起部分に擦ってしまい,皮を剥いてしまいました。

 夜でしたので,実際の作業は行っていませんし,ジグソーは取り付けることも出来なかったのですが,音はそんなに大きなものではなく,ごく普通という感じです。なにより,この1つだけでおよそ木工のほとんどが綺麗に出来てしまうと言うワクワクした感覚が,とても心地よいです。
 
 軽くて大容量のリチウム二次電池が電動工具に使われるようになったのは10年ほど前で,それは大電流を泰時間で引っ張ることの出来る全く新しいリチウム二次電池が開発されたからなのですが,以後特に家庭用,DIY用の工具はほとんどがそれまでのNi-CdやNi-MHにかわって,メリットの大きいリチウム二次電池を使うようになりました。

 multievoも18Vのリチウム電池パックを使ったコードレスタイプなのですが,電圧が高い性もあってパワーは十分です。前述のように予備の電池までありますから,作業が止まらずに済むのはありがたいです。

 惜しいのは,アタッチメントがまだまだ少ないなあということです。ドリル/ドライバーとジグソーに丸鋸があればほとんど揃ったようなものですが,これだけ完成度の高いシステムなら,いろいろなアタッチメントをついつい期待してしまいます。

 アタッチメントも,1つ5000円程度ですので,妥当な価格とは思いますが,安い物なら同じような価格で買える工具もありますから,難しい所です。

 そんなわけで,欲しいアタッチメントを書いてみます。あれば買うなと思う,本当に欲しいアタッチメントを書こうと思っていましたが,後半は結構無理矢理です。


・ベルトサンダー

 まずはこれ,ベルトサンダーです。サンダーとなにが違うの,と思うかも知れませんが,これはベルト状になった布ヤスリをぐるぐる回転させるサンダーです。サンダーはまさに紙やすりを電動でかけるものですが,ベルトサンダーは普通の棒状のヤスリを電動でかけるものです。

 角穴を仕上げる,角材を削る,バリを取るなど,金属加工を中心に行っている私にとって,棒ヤスリの出番はとても多いのですが,これを電動化するベルトサンダーをはじめて使った時には,その便利さに感動しました。結局小型の物を1つ買ったのですが,とてもうるさくて便利なことは分かっていても,なかなか使えません。

 しかし,multievoで使えるようになったら,きっと使用頻度も上がるでしょう。


・ニブリングツール

 ハンドニブラーという工具をご存じでしょうか。握ると刃が金属の板を噛み込んで切断し,自由な形に切り抜くことの出来る工具ですが,これはなかなか手が疲れてしまうのです。

 真空管のアンプを作るときには,トランスの角穴を開ける必要がありますが,これをチマチマとドリルの小穴を繋いで開けるというのは,時間もかかるし綺麗に仕上がりません。シャシーの板厚が1.5mmにもなると,もう絶望的な気分になります。

 そこでハンドニブラーですが,これもかなり疲れます。私はこれを動力化したニブリングツールを買いましたが,AC100Vで動作するもので,かなりの速度でガシガシ切り進んでいくパワーを誇りますが,ベルトサンダー以上に騒音が激しく,滅多に使えません。まるで金槌でガンガン叩くような音がします。

 multievoでは電池駆動ですし,高速動作は難しいでしょう。ギアで減速して,1秒間に1回か2回ほどのゆっくりしたストロークで,じっくり切り進んでいくようなタイプだと,そんなにひどい音もせず,とても使いやすくなるでしょう。是非欲しいです。


・コンプレッサー

 模型の塗装用のコンプレッサーです。空気入れとは違います。空気入れなら空気圧が変動してもよいですが,塗装用ですから空気圧にムラがあっては困ります。

 圧力は,贅沢は言いませんが0.1MPaくらいあるとかなり普通に使えます。出来ればレギュレータも内蔵しておいてくれるとうれしいですが,multievoには致命的な問題が・・・

 モーターの回転をずっとONにしておく方法がないのです。トリガの押し具合で回転数の調整が出来るのはよいのですが,指を放せば止まってしまうので,コンプレッサーとして使うには致命的でしょう。

 この部分はアタッチメントに関係ない,本体の機能ですから,残念ながらなにか特別な部品を取り付けるしかありません。安全性を考えるとそれもないなあと思うので,結局のところコンプレッサーが用意されることはないように思います。


・噴霧器

 除草剤を散布するための噴霧器ですが,買えば結構な値段がします。噴霧器といっても本当に霧状にされると困るので,電動のジョウロという感じでも十分です。


・せん定はさみ

 ボッシュから安価な物が出ていますが,ボタンを押すとはさみが閉じるやつです。せん定ってやってみれば分かるのですが,とにかく疲れます。枝は結構太くてかたいですから,電動で動くと思いの外楽ちんなのです。


・植木バリカン

 これも革命的な植木用具ですね。以前は生け垣のせん定を植木はさみで行っていたものですが,これもなかなか綺麗に出来るわけではなく,特に直線が出ないものです。ところがバリカンを使うとあっという間に綺麗に揃った生け垣が完成します。

 しかし,これも期待薄ですね。バリカンを実現するにはちょっとパワーが足りないように思います。バリカンの長さが25cm程度でも十分便利だと思いますから,ぜひ出て欲しいなあと思います。


・リューター

 リューターとして使う場合には,完全い動力部である本体は据え置きで使い,ここから動力伝達を行うチューブを引っ張って手もとのリューターを回転させるしかないでしょうけど,結構お金がかかりそうで,フットスイッチも付かない上に,ちゃんとしたリューターだってそんなに高価ではありませんから,これは最初からないですね。


・旋盤,ボール盤,フライス盤

 ここまでくると無茶苦茶だなあと思いますが,本体を手で持たずに据え置きの動力源とすれば,もうなんでもありです。

 ただ,ボール盤やフライス盤は別にしても,横置き可能な旋盤は案外可能性があるように思います。その代わり,お値段は5000円程度というわけにはいかないでしょう。アタッチメントの方が本体よりも大きくて,アタッチメントに本体を差し込むようなイメージですが,これはこれでありなんじゃないでしょうか。

 仮に2万円で小型旋盤のアタッチメントが手に入ったら,これは絶対買いますね。
 


 とまあ,そんなわけで,電動工具歴25年にして,ようやくまともなメーカーの,まともな電動工具を買いました。しかも最新のアタッチメント型です。今後どんなアタッチメントが登場するのか,そういう楽しみもあります。

 ますます工作が楽しくなりそうです。

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