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2013年05月22日の記事は以下のとおりです。

とうとうSSGを買ってしまいました

  • 2013/05/22 09:44
  • カテゴリー:散財

 F-757というパイオニアのFMチューナーは,バブル末期に登場した高級FMチューナーの1つです。CDが登場するまでの間,FM放送は高音質ソースとしてLPレコードやテープデッキと列んで一定の地位を占めていました。

 もちろん,ラジオであればそこそこの音質でしょうが,ここに相応の物量を投入したHiFiコンポーネントとしてのFMチューナーを起用すれば,かなりの高音質が得られます。

 私の場合,お金を出しても買うことの出来ないライブなどのオリジナル音源が放送されることに大変な魅力を感じて,FM放送を出来るだけよい音で受信し,録音することにこだわった時期がありました。

 無論,料金がかからないFM放送のことですから,そのCDを買うべきかどうかを品定めするサンプラーとしての役割も大きかったですし(今でしたらYouTubeなんでしょうね),今まで聞いたことのないような音楽に触れるきっかけにもなっていました。

 DJだってAMラジオと違って,音楽の好きな人が聞いていることを前提にしたものになっているので,とても楽しい物です。

 そんなわけで,20歳頃のこと,念願の購入チューナーを買うことにしました。定価で5万円以上であることを目標にしていましたが,そんなに高価なものは買えず,結果として型落ちだったF-757を買いました。

 F-757は私にとって初めてのシンセサイザーチューナーでしたから,高音質もさることながら,周波数安定度も抜群で,もうこれでFMチューナーを買い換えることはないと思いました。

 時は流れ,高級なFMチューナーが絶滅し,現在入手出来るものはラジカセ内蔵程度のものになってしまいました。FMが好きなおっさん達は,かつての高級チューナーを貴重品として高価な値段で取引しては,FM放送のポテンシャルの高さに唸っています。

 F-757は高級機として登場しましたが,検波回路が中級機種並みのクアドラチュア検波で,人気は今ひとつです。それでも縁あって私の手もとにやってきて,長年にわたって私に仕えた老兵です。

 今から5年ほど前でしょうか,毎年秋に行われている東京Jazzの生中継を聞くのに,F-757を再調整しようと思い立ったのは良かったのですが,標準信号発生器なんて気の利いた測定器もなく,FMトランスミッタICの評価基板を使ってやっつけで調整をしたままになっていました。そういえば歪率計もなくて,PCのスペアナソフトを使うという有様でした。

 歪みのひどさはマルチパスだけではなさそうですが,しかし調整をやり直すにも機材がありません。

 せっかくFMアンテナが良い状態の電波をつかまえるようになったのに,肝心なFMチューナーがひどいままでは気分が悪いです。メーカーに調整をしてもらうか,新しいチューナーを買うか,あるいは自分でちゃんと調整出来る環境を整えるか,迷いました。

 といいますか,迷うもなにも,自分で調整する環境を整えるかどうか迷っただけで,そんなもんものの数秒で払拭しました。買うんですよ,標準信号発生器を。

 まともに買えば100万円,中古で買っても10万円という測定器です。設計開発用と言うより,工場での生産設備の1つとして大量導入された標準信号発生器,略してSSGは,ジャンク品扱いであれば数万円で買うことが出来ます。

 ただ,いろいろなメーカーが多くの品種を出しており,スペックの違いからなかなか良いものを選ぶのも難しい世界です。私は高周波が苦手ですので,余計にわかりません。

 欲張らず,FMチューナーの調整が出来ればそれでよいので,PLLで100MHz程度,ただしFMステレオモジュレータは内蔵していて欲しいところです。パナソニックならVP-8174AやVP-8175A,リーダーなら3216,目黒ならMSG-2570あたりでしょうか。

 ジャンク品は,最近は店頭よりも,オークションの方が手軽です。早速探してみますと,なかなか出ていないものです。FMステレオモジュレータなしのSSGはちらほらあるのですが・・・

 ええい,FMステレオモジュレータなどどうにでもなるわ,と,勢い余ってVP-8191AというSSGを買ってしまいました。2万円程度だったので,ちょっと高かったかなと反省です。

 まー,こればっかは代用品もありませんし,ラジオを作ったり調整するにはあった方が楽で便利な測定器ですから,この際買ってしまうというのも,悪くない判断だったと思います。

 VP-8191AはFMとAMのSSGですが,ステレオモジュレータは内蔵していません。周波数は100kHzから135MHzで,出力レベルは-17.9~126dB EMF(0dB=1uV)です。内蔵の1kHzと400Hzの発振器の出力を変調した信号も出すことが出来ますし,外部入力から入れた信号を変調することもできます。要するに,高精度な微少出力送信機,です。

 連休中に届いたVP-8191Aは,特別程度が良いというわけではありませんが,想定していた程度のもので,これでちゃんと動けば問題なしかなと思うレベルです。通電してみますが,あれ,表示が出ず,うんともすんともいいません。

 やられた!

 ちょっと焦る私は,一度電源を切り,もう一度電源を入れ直します。

 おー,動いた。

 VP-8191Aはメモリーバックアップのバッテリーが干上がると,内蔵のマイコンのリセットがうまくかからないそうです。以後この症状は出ていませんが,私のVP-8191Aも,バッテリーが切れかかっているのかもしれませんね。

 ちょっと波形を見てみましたが,周波数のズレもなく,変調もちゃんとかかっています。うん,大丈夫そうです。

 ですが,外部変調入力のコネクタの部分に「EXT FM MOD」とシールをわざわざ貼ってあります。なんかおかしいなあと思っていたのですが,謎が解けました。ここに発振器を繋いで波形を見ていたのですが,外部入力からの変調が,FMだけしか出来ません。AMでは全く変調がかからないのです。

 わざわざシールを貼ってあるのですから,きっとメーカーが特別に改造したものなんだろうと思います(背面の機銘板にMOD.Fと改造を意味していると思われる表示があった)が,なんの意味があるのかよくわかりません。

 気になったので,元に戻してみようと検討を開始です。

 まず,内部を見てみると,ジャンパがあるわあるわ。AF&I/Oという基板で,ここはアナログスイッチとDAコンバータが多数搭載されており,マイコン〈8085です)から制御される部分です。

 低周波発振器もここにあるので,どうもこのあたりの改造であることは間違いなさそうです。

 ジャンパはアナログスイッチ(サービスマニュアルによるとTL191)にいっぱい付いています。でも,どうも改造によるジャンパではなさそうです。VLLという端子の電圧が,15Vから5Vにしてあります。

 しかも,アナログスイッチはIH5043に置き換わっています。多分,TL191(オリジナルはDG191)から置き換えた際の,改造でしょう。

 基板の裏側を見てみます。パターンを3箇所カットしてあります。これだ,これに間違いないと,切れたパターンを元に戻していざ通電です。

 ・・・だめでした。中途半端な変調がかかり,操作しても波形に変化が出なくなりました。

 ということで,もう一度基板を見てみます。内心,もう外部変調はFMだけでいいやーと,あきらめていたんですが・・・

 で,ふと背面に,見慣れないBNCコネクタがあるのに気が付きました。あれ,こんなのあったっけ?

 コネクタの下には,シールで「EXT AM INPUT」とあります。ぴーんときました。このコネクタから伸びる配線をたどると,基板のある抵抗につながっています。そして,その手前でパターンがカットされています。

 なるほど,標準仕様では,外部変調の入力はAMとFMで共用で,切り替えていたんですね。しかし,本来AMとFMの変調入力は別の回路であり,入力も別です。ですが共用にするためにこの2つの入力が基板上でつなげてあったのですね。

 これを分離すれば,AMとFMの外部変調入力を分けることが出来ます。同時に2つの外部入力をかけることはできないと思いますが,AM用の信号とFMようの信号を,それぞれ別に用意しておき,常時繋ぎっぱなしに出来ることは確かに製造現場では重宝しそうです。

 そうと分かれば,パターンを繋いで通電です。よしよし,問題なし,AMもFMも,切り替えて外部変調をかける事が出来るようになりました。晴れてシールを剥がすことができます。

 なんだか随分回り道をしましたが,結果はこれで上々です。なお,背面の元AM外部変調入力はその機能を失っていますが,記念に残しておくことにします。結局この改造に関係なかった他のジャンパについては,回路図を見る限り,やはりIH5043への置き換えに伴って必要になった改造のようです。ここは元に戻しておきました。

 他にも,ツマミも標準のものとは違っています。黒でやや小振りのツマミがついているはずなのですが,私のものは白でやや大きめの後継のツマミです。

 中の部品を改めて見てみると,1996年頃のものと判明。15年近く前ですが,それでも新しい方でしょう。しかも,2008年10月に修理を行ったと言うシールが貼られていました。ということは,性能保証の状態から4年半しか経過していません。こいつはなかなかいいかも知れないです。

 早速F-757の調整にかかりたいところですが,なかなか時間がなくて,先日ようやく取りかかりました。といっても,まずは練習みたいなものです。

 前回はSiliconLabのFMトランスミッタICの評価ボードにPCのスペアナソフトでしたから,今回のようなSSGに自作とはいえちゃんとした歪率計を使って調整出来るというのは,大変うれしいことです。

 まず,バリキャップの電圧調整です。SSGの出力を止めて,90MHzでTP1の電圧が24.0VになるようにL18を調整します。以前は海外仕様のサービスマニュアルを見て調整したので,ここが21Vになっていました。無茶苦茶です。

 この結果,76MHzでは7.5Vと規定の電圧になっています。うむ。

 次にトラッキングです。76MHzを受信し,TP10の電圧が最大になるようにL1,T1,T2を調整します。そして90MHzを受信し,TC1,TC2,TC3を調整し,TP10が最大になるようにします。これを何度か繰り返します。私の場合,4.2V程度が最大でした。

 次はIF調整です。83MHzを受信し,T3,T101,T102,T103を調整し,TP10が最大になるようにします。ここはそれほど狂っていませんでした。

 さて,次はいよいよ検波の調整です。83MHzを受信し,T201AとVR208を調整し,オーディオ出力の歪率が最も低くなるようにします。続けてTP4とTP5の間の電圧が0Vになるよう,T201Bを調整します。

 これを何度か繰り返します。ところがですね,どれだけ頑張っても1.3%以下にならないのです。いくらなんでも1%以下にならないのはおかしいので,T201Aを思い切って回してみます。

 すると,ぐっと歪率が悪化してから,すーっと下がるポイントが見つかりました。これだとVR208の中点付近で最小にできます。T201Bのコアを前回割ってしまっていて,慎重に調整をします。

 しかし,歪率はどれだけ追い込んでも0.6%弱です。0.3%以下にしろということですし,カタログスペックではCDに迫る歪率ですので,ちょっと悪すぎかなあと思います。

 以前の1.3%は聞けば歪みっぽさが分かる程度でしたし,0.6%でも随分良くなっていることは間違いないのですが,もっと良くなると思っていただけに,ここは不本意な結果です。

 可能性の問題として,SSGの不良というのがあります。低歪みの外部発振器から正弦波を入れても歪率は下がらなかったので,内蔵発振器の問題という話はないのでしょうが,変調の部分で故障している可能性は拭えません。しかし,これを確かめる方法は,歪率が分かっている(しかも低歪みで高性能な)FMチューナーを使って測定をしてみるという方法しかありません。FMチューナーの調整をするのに,さらに高性能なFMチューナーを入手するというのは,さすがに抵抗があります。

 次にSメーター調整です。VR202を調整し,45dBの出力でTP10を5Vにします。今度はVR101を調整し,75dBでTP2が1.4Vになるようにします。そしてVR201を調整し,12dBでミューティングかかかるようにして,RFの調整はおしまいです。

 VP-8191Aで出来る調整はここまでです。ここから先は,ステレオ復調の調整ですので,ステレオモジュレータが必要です。

 一応,入り口の部分だけやっておきましょう。83MHzを受信し,TP3が最小になるように,VR203を調整します。次に変調をかけず83MHzを受信して,TP7が38kHzになるよう,VR601を調整します。

 続けて,19KHzのパイロット信号の漏れを最小にする,セパレーションや歪率を調整するなどがひかえていますが,これはVP-8191Aでは出来ません。

 さて,ついでにAM部も調整してみましょう・・・取りかかって見ましたが,どうもうまく調整出来ませんでした。そんなに狂っていた様子もないので,もう適当な所でやめておきます。

 さて,ここまで行ってF-757はモノラルなら調整済みというステータスになったはずなのですが,どうも音質はよくありません。こんなもの,といえばそうなんでしょうが,これだけよい電波を捉えているのに,この妙な歪みっぽさはなんだという感じがします。

 特にステレオ放送の歪みっぽさが問題で,慌てず冷静にステレオモジュレータ内蔵のSSGを買えば良かったかなあと,ちょっと後悔です。

 うむ,やむを得ません。ステレオモジュレータを自作してみましょう。

 そして調整はこれが完成してから,やり直すことにしましょう。

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