エントリー

2013年09月04日の記事は以下のとおりです。

燃えろ!アナライザ基板!

  • 2013/09/04 09:05
  • カテゴリー:make:

 VP-7722Aの修理の続きです。片CHは生きていましたし,低歪み発振器も生きていますので,とりあえずこの状態で「使える」ものであることは,かなりの安心感を与えてくれました。

 しかし,人間欲が出ますね。両CHが使えたら,どんなに面白いでしょう。

 VP-7722Aは,2次側の電源にヒューズを入れてくれていたので,他のブロックを壊さずに済んだ可能性があります。電源部もヒューズの交換だけで動いていますし,もともとCH2用だったANALYZER BOARDをCH1のスロットに差し込んでやると,CH1の入力で動作してくれます。

 修理をするのに,正しく動作する現物があるとどれほど助かるかわかりません。回路図はありませんが,似たような回路であると思われるVP-7720Aの回路図はあります。

 まずは,焦げた部品の特定です。

 +15Vと-15Vラインに入っている10オームは,跡形もなく吹き飛んでいます。入力保護と思われる22オームも吹き飛んでいますし,入力とGNDの間に入っている保護ダイオードも真っ白です。

 なにを血迷ったか,この基板をもう一度差し込んで電源を入れてみました。案の定ヒューズは飛び,表示も消えてしまいました。

 白くなったダイオードをテスターで当たってみると,完全にショートしています。+15Vと-15VとGNDがつながっているのですから,そりゃーヒューズも飛ぶってなもんです。

 貴重なヒューズを再度交換し,原状復帰をしたところで,本格的に修理再開です。

 どうやら,入力に過大入力を入れたか,例えば,大出力のパワーアンプを入れたとか,ダミーロードが外れたとか,そういう話ですね。

 まず過大入力でダイオードが破損,ショートして電源がショート,直列に入っている10Ωが燃えたというわけです。入力の22Ωが焼き切れるより先に,ダイオードがショートしたわけです。まあ,概ねこんなところでしょう。

 目で見て明らかに壊れている部品は交換するとして,見た目になにも変わらないけど壊れている部品をどうやって見つけ出すかです。

 回路図を元に特定するのも良いですが,気持ち悪いので,抵抗は基本的に全部交換します。ただし,高精度のものは特殊なので,値を測定してそのまま使います。

 抵抗を交換し,付近にあったトランジスタ(出力用)を一度外してhFEを計ります。一応動作しているようなので元に戻して,ダイオードを1N4148に交換します。

 これで基板を差し込み,電源を入れます。

 今度はヒューズは飛びません。しかし,値は全然でたらめです。基板の部品をあちこち触ると値がコロコロ変わります。もっとも値が変わる部分を調べて,そこを重点的に調べていきます。

 もしかするとツェナーダイオードかも知れません。結構よく壊れるんですよ。

 外して調べてみると,これは正常です。

 ここでまた数日膠着状態に陥りました。

 仕方がないので,トランジスタも交換することを考えてみます。しかし,特殊なトランジスタもあるので,すべてを交換することは出来ません。高周波用の2SC1215と初段差動増幅用デュアルFETのuPA70Mです。

 高周波用の2SC1215は2SC1906で代用できるとして,uPA70Mは他に変わるものはありません。デュアルであるかどうかもそうですが,それ以外のスペック,VGSやgmもなかなかぴったりのものがありません。

 他の2SC828や2SA564は,hFEさえあっていれば2SC1815と2SA1015で置き換え可能ですから,ちゃんとペアを取っていきましょう。ダイオードは1N4148に交換です。

 一気にトランジスタを外して,hFEを確認します。ほぼ200前後で揃っています。2SC1215も問題ないようです。しかし,2SA564の1つだけ,100程度しかないものがありました。不良とは言いにくいのですが,気持ち悪いのでこれだけ200程度の2SA1015に交換します。また,ペアが組めないので,単独で使われている部分にあてがいます。

 トランジスタとダイオードをはずした基板を改めて見てみると,焦げたパターンが良く見えます。一応確認しておくかと,導通を見ていたら,見た目には正常なパターン切れを見つけました。燃えた抵抗の近くの電源のパターンです。

 これが切れていたため,電源が供給されず,まともに動かなかったようです。

 他に似たような箇所がないかを総点検し,トランジスタを取り付けます。そして切れたパターンをつないで,満を持して本体に差し込みます。

 電源を入れます。

 おおお,左右で同じような値を示しています。レベルも歪みも,ほぼ同じ値です。とりあえず修理出来たようです。なにがよかったって,2SC1215とuPA70Mが死んでいなかったことです。

 uPA70Mのオフセットだけはなんとか調整し,左右の基板のワイアリングをうまく調整して,左右の値が近づくように調整します。入力端子から遠いCH2だけは,ちょっとだけ歪率が悪く出る傾向があるようです。

 レベルが小さい時,周波数が高いときの歪率は,修理した方が悪い値を出します。ダイオードの問題か,ノイズの問題でしょう。

 オリジナルのダイオードは1SS101らしく,これがなかなか絶妙な小信号用ショットキーなんですね。手持ちのショットキーを探してみたら,電源用だったりするので容量(キャパシタンス)が大きかったり,速度が遅かったりと今ひとつです。結局一番近いスペックだったのが,接合型の1N4148だったのですが,高周波特性に違いがあったり,小信号時のリニアリティに差があったりするのかも知れません。

 まあ,それは頭に入れて使えば良いだけのことです。1kHzで2Vrmsくらいなら,左右の差はほとんどありません。

 ということで,VP-7722Aは一応実用レベルに復活しました。

 自作の歪率計は調整が狂っていて,確からしい値が出てきていないのですが,自作の発振器の歪率をVP-7722Aで調べてみると,完成時の値にほぼ一致した値が出てきます。0.0006%程度です。VP-7722Aの発振器が0.0004%くらいですので,自作の発振器は大健闘,VP-7722Aの発振器はまずます優秀ということになります。

 実は,0.0002%くらいまで追い込もうかと思ったのですが,発振器が悪いのか,歪率計が悪いのかわかりませんし,あちこちいじって壊すのも嫌だったので,このくらいで妥協しました。

 ここまでくると愛着がわいてくるものです。

 ケースを分解し,水洗いです。スイッチ類も丁寧に拭き掃除をし,可能な限りホコリを掃除機で吸い取ります。

 冷却ファンは密封されたデジタル部に1つ,全体の廃熱に1つ付いていますが,先の部品屋で280円で出ていたファンがデジタル部に使えそうだったので交換しました。全体の廃熱ファンは同じ物が手持ちになかったのですが,一回り大きなものが新品であったので,これを無理矢理取り付けました。ファンが壊れると,全体がダメージを受けますので,新品交換はぜひやっておきたいです。

 再度組み立てて,ワイアリングを綺麗に行い,チェックしてからケースを閉じます。完成です。

 
 それにしても,なかなかVP-7722Aは便利です。ぱっと入力信号に同調してすぐにひずみ率が出てきますし,左右のレベル差をdBで表示すればセパレーションが一発です。S/Nも自動化されていて,発振器の動作を制御して無音時と信号入力時の比率を一撃で表示してくれます。

 まだ試していませんが,当然フローティング入力にも対応しているので,BTLのアンプでも2CH同時測定可能です。また,レベルの相対値表示も出来るのですが,これも上手に使えば便利に使えそうです。

 VP-7722Aが結局3万円だったと考えれば,まあ相場程度かなと思う訳ですが,壊れたものを買わされて,あげく自分で修理する羽目になるとは,とんだ失敗です。修理をしている間,部屋は散らかり放題,大きな筐体にたくさんの部品と基板で足の踏み場もなく,しかもどれも真っ黒に汚れていて,スリッパの裏側が黒くなります。

 検討部屋ではこれ以外に何も出来ず,早く片付けたいというプレッシャーもきついものがありました。

 今回は修理出来ましたが,いつもこうとは限りません。過大入力で初段のFETが壊れていたらもうアウトでしたし,DSPが死んでもアウト,ROMが死んでいてもアウトです。電源が壊れておかしな電圧が出たら,すべてのボードが全滅したでしょう。交換する部品は容易に入手出来ても,どこが壊れているか特定するのは困難だったでしょうし,なにが正しい状態かわからないと,ゴールも決められません。

 やはり,オークションにはそれ相応の目利きが必要だと,痛感した一件でした。

 
 え,これで測定器祭りが終わりと思ってる?

 まだまだ,続きますよ。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2013年09月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed