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2013年10月21日の記事は以下のとおりです。

安定化電源器を買って速攻改造

  • 2013/10/21 12:29
  • カテゴリー:make:

 今年の春から,少しずつ(いや急激にといった方がいいか)整備を続けてきた測定器環境ですが,最後に残ったのが安定化電源器です。

 すべての回路のエネルギー供給を担う電源ですが,これほど手軽でこれほど身近で,しかしこれほど奥の深いものはないのではないかと思います。

 その範囲は広く,しかもそれぞれにノウハウが詰まった深さがあり・・・と語り出すときりがないのでやめておきますが,ここでいう安定化電源というのは,実験用の電源器で,平たく言えば電池の代わりになるものです。

 そう,我々日本人と電池の関わりは,本当に幼いころから始まります。存在を意識するのは,オモチャを動かすエネルギー源としてでしょう。動かなくなった理由が,電池切れであることから,ものを動かすには原動力が必要で,それは有限であることを学ぶわけですね。

 ところが,エネルギーを蓄えている電池が,そのエネルギーを放出して「ゴミ」になるのを見ていくと,一部の子供は疑問を感じるようになります。テレビや洗濯機はコンセントから電源を取るから電池交換が必要ない,つまりコンセントは「無限エネルギー」だ!

 これが大きな誤解であることはすぐに分かるわけですが,少なくとも小学生の私はそういう「夢」を,あのコンセントに投影していました。だから,電池から取り出せる電気を,コンセントから得られれば,もう電池交換から解放されると考えるのは,我ながら自然な事です。

 だから,我が家に最初のACアダプタがやってきたときには,まさにこれだと思いました。思えば,これが原点だったんですね。

 前置きが長すぎました。本題に戻ります。

 やがていろいろな機器に電源を供給することが出てくると,電圧の可変と3Aクラスの大容量が電源に求められるようになってきます。そうなるともうちゃんとした安定化電源器という装置が欲しくなってきます。これは自作の定番ですが,私は以前書いたように,小学校高学年くらいで手に入れた共立電子産業オリジナルの安定化電源器キットを買って,以来今まで使い続けています。

 0V付近から可変できる電源器は自作では希で,最大値は14V,3A近くまで出力が取れて,しかもサイリスタによる保護回路までついています。値段の張るトランスまで入って4000円ほどだったように思いますが,実はケースと放熱器という高価な部品が必要で,合計すると7000円近い値段になることを計算に入れてなかった私は,日本橋からの帰宅の途,カバンの重さとゴツゴツした放熱器の角があたる痛みに,打ちひしがれていたのでした。

 作ったときは2N3055の絶縁の仕方を間違えていて,動作しないばかりか一部の部品を壊していたことが,駆け込んだキット相談会で設計者に指摘されました。散々悩んで動かなかったものが動くようになったときのうれしさは格別でしたが,仮に動くようになっても予算の都合で電圧計も電流計もない電源器は,とても使いにくいものでした。

 しばらくして1500円の電圧計を取り付け,一応完成を見たわけですが,当時のことを思い出すと,このクラスの安定化電源器が8000円くらいなら,十分安いと言えたのです。

 使い始めて10年ほどしてから,放熱器をケースの中に置くこともテーマに置いて,新しいケースに入れ直しました。電圧計はデジタルにし電流計も装備して,さらに20年使い続けることになるのですが,長く使っていると問題点も見えてきます。

 1つは,案外安定度が低いこと。誤差増幅器のゲインが低いのが原因でしょうが,電圧の変動が結構あります。大電流を引くと,明らかに電圧が落ちますし,そこからの回復もゆっくりです。

 また,保護回路の仕組みがくせ者で,電流が増えると突然バシッと出力が0Vになるのです。すぐに切断されるので,突入電流でも切れてしまいますから,大きめの電解コンデンサを電源ラインに入れたりすると,さっと動いてくれません。

 そもそも,作ってからすでに30年ですから,そろそろ新しいものにしないと,危険かもしれません。それで,一昨年から秋月のキットを,今の電源器のケースとトランスと放熱器を流用することを考えていたのです。

 しかし,ここ最近,まとまった時間が確保出来ずに,ずっと棚上げになっていました。安定化電源器はちょっとした実験でも使うものですから,使えない時間は出来るだけ短くしたいと思う訳ですが,そんなことをいっていると,いつまで経っても取りかかれません。

 ですが,大人はお金で時間を買うことが出来ます。作る楽しみは逃してしまいますが,完成品を買ってしまえば問題は解決です。

 かくして,安くて使い物になりそうなものを,探してみることにしました。結果だけ書きますが,エーアンドディーのAD-8724Dを13600円で買うことにしました。この機種は16000円くらいが相場なので,安いと思います。

 いや,もっと安い中華製の物もあったのです。しかし,見るからに怪しいし,安いものにはそれなりの理由があるものです。一応国内の,測定器では有名なメーカーのブランドで売られていていますので,おかしなものではないだろうという期待もありました。

 AD-8724Dは,最大30V-2.5Aの電源器ですが,ファン内蔵で小さく安価なことが特徴です。その代わり出力をON/OFFするスイッチもないし,出力がGNDからフローティングされていません。電圧可変のボリュームは通常の1回転型で,やはりちゃんと作った電源器とは違うんだなと,カタログレベルでもわかります。

 ちょっと,仕様を他のメーカーのモデルと比較してみましょう。安定化電源器といえば,私は旧ケンウッドがお気に入りです。このうち,18V-2AタイプのPA18-2Aと比べてみます。

 まず,定電圧動作時の入力電圧変動ですが,AC100Vが±10%変動した場合の,出力電圧の変動は,PA18-2Aが1mVに対し,AD-8724Dは±(0.05%+2mV)です。比較のために18Vの出力をした場合,AD-8724Dは実に±11mVもの差が出ることになります。これはPA18-2Aが圧勝です。というか,差が大きすぎないか?

 次に負荷変動です。これも結構重要です。PA18-2Aは2.5mVで,AD-8724Dは±(0.05%+3mV)とあります。同じように18Vで計算をすると,±12mVですか。いやはや,結構大きいじゃないですか。なんかいまいちですよ。

 続けてリップルとノイズです。PA18-2Aは0.5mVrmsです。一方のAD-8724Dは±5mVrmsです。ヒトケタ違いますか・・・

 リカバリタイムは,PA18-2Aが50usec(typ)に対し,AD-8724Dは200msec以下とあります。これもPA18-2Aの圧勝。

 気を取り直して,定電流動作時です。入力変動はPA18-2Aが2mA,AD-8724Dが±(0.2%+2mA)です。比較のために2Aとすれば,AD-8724Dは±6mAとなります。
 
 むむー,では負荷変動はどうだ。PA18-2Aは10mAですが,AD-8724Dは±(0.2%+3mA)です。2Aで計算すると7mAです。おお,はじめてPA18-2Aに勝った!

 リップルとノイズは,PA18-2Aが1mArmsで,AD-8724Dが±3mArmsです。

 電圧計と電流計の精度については,PA18-2Aが0.2%+1digitと1.0%+2digitですが,AD8724Dは1.0%+2digitと2.0%+2digitです。まあ,これらは電圧のレンジが違いますので単純比較は出来ませんが,やっぱりAD-8724Dが負けているということです。

 総じて分かった事は,AD-8724Dはやっぱり安いなりのもんだということです。これなら,PAA18-2Aの中古でも探して,1万円そこそこで買った方が良かったかもしれません。正直,AD-8724Dがこの程度とは思っていませんでした。

 ま,新品が13000円ほどですので,これはもう部品代だと思って,買うことにします。

 届いたものは,そんなに悪いものではありません。2Aを越える電源器にしては小型ですし,放熱器が外に出ていない上,奥行きも小さいので,設置面積の小ささと相まって,置き場所には困らないように思います。(反面,放熱設計は大丈夫なんかいなと,不安になりますが)

 ケースは鉄製で,塗装は厚めですが,塗膜は柔らかくて,傷は付きやすいです。パネルはABS製ですが,デザインもいまいちですし,仕上げもよくありません。いかにも中華製という感じです。

 後述しますが,電源投入時に,一瞬大電流が流れることがあるようで,この時にトランスが大きく振動します。その時に「ブーン」と大きな音を出すのですが,ケースのビビリがあって,壊れたのかと思うほどです。これは対策しないと行けないですね。

 もう1つ,CVとCCの状態を示すLEDです。印刷を抜いた部分がLEDの光を通すようにしてあるシートがパネルには貼り付けられていますが,このLEDのあいた部分にも,両面テープが残っているのです。見た目にもどうも不細工です。

 電圧と電流の設定は,通常の1回転のボリュームで行いますが,このボリュームが16mmタイプのとても安価なもので,私のものは外側のカバーが錆びていました。密閉されたものでもないし,感触も悪く,ここの信頼性は電源の供給先を壊してしまう可能性に直結するわけですから,こだわって欲しかったなあと思います。

 お金のかかった電源器は,ここに多回転ボリュームを使って,10回転とか5回転で幅広い電圧幅を可変するようにするか,あるいは微調整用のボリュームをもう1つ用意するか,どちらかなのですが,そのどちらでもない電源器というのは,自作品の香りさえしますね。

 背面のファンですが,取説によると,温度が上がると自動的に回るとあるので,普段は止まっているのだと思っていました。ところが私のものは,電源を入れると同時に,ファンが回り出します。といっても,音がするほど回転するわけではなく,ゆっくり回っているだけです。内部の温度が上がると,もっと高速に回転するようになるのかも知れないですね。

 てな具合に,しげしげと届いたAD-8724Dを見ていると,やぱりもっと使いやすいものにしたいなと思うようになりました。maker:としては自然な感情ですが,問題はどこまでやるかです。


(1)多回転型ボリュームへの交換

 安定化電源器を自作する予定で,バーンズの多回転型ボリュームと専用のツマミを買ってありました。抵抗値も10kΩで交換可能なのですが,問題は物理的なサイズです。

 試して見ると,やはりパネル背面の基板にぶつかってしまいます。悔しいので基板を削って,うまく収めました。

 次にツマミです。ボリューム本体がパネル表面に取り付けられていることが前提で,シャフトの飛び出しがそれなりにないと取り付けられないのですが,今回はボリュームを5mmほど窪んだところに取り付けています。

 ツマミのイモネジがギリギリシャフトにかかるかどうか,というところでしたが,やっぱり駄目でした。このままでは取り付けできません。

 そこで,ツマミの台座ををはずし,高さを低くし,さらにツマミとパネルを密着しておくように,接着剤で外枠を貼り付けました。

 これでイモネジがシャフトに届いたのですが,接着剤で固定したが故に,ツマミの偏心を吸収することが出来ず,回転トルクにムラが出ます。これは操作感の悪さ以上に,ボリューム本体にも悪影響があるでしょう。

 これはまずいと,最後の手段です。

 ツマミが来るところに張り付けられている,パネルの化粧シートを丸く切り抜き,0.5mほど稼ぎました。そしてこの部分を遊びとし,接着剤を使わずに,回転防止のボス穴だけあけて取り付けました。

 結果は上々で,偏心をうまく吸収し,スムーズに回転するようになりました。残念なのは,このシートのくり抜きが下手くそで,真円に綺麗になっていないことでしょうか。まあ私は鈍くさい人ですので,こればかりはどうしようもないとあきらめていますが・・・

 電圧の可変も10回転型ですので気分良くできます。使い勝手も向上し,信頼性も上がりました。これは良いです。


(2)電源スイッチの交換

 電源スイッチはよくあるサイズの波動スイッチです。しかし,感触も見た目も悪く,これはいやだと体が拒みます。

 そこで,手持ちの国産のスイッチにしました。とはいえ,長く使っていないものなので,端子が酸化して黒くなっています。ハンダゴテを当てすぎて熱で壊れたのですが,捨てるのも惜しいので,もう片方の回路を使って逃げました。情けない。

 感触もよく,見た目もよいので,小さな改造ですが,満足ですね。


(3)バックライト

 純緑のバックライトは品がないので,アンバーにしようと思いましたが,バックライトの交換はLCDまで分解しないといけない構造になっていたので,やめました。


(4)トランスのうなり

 トランスのうなりは仕方がないのですが,これが筐体を振動させるのがどうも許せません。特に,上ケースと下ケースのつなぎ目の部分にある隙間で,ビビリが出ているのは看過できず,ここにスポンジを貼りました。

 まだどっかがびびっていますが,かなりましになりました。このくらいでもういいことにします。


 ということで,これで一応電源器の改造はこれでおしまい。使い勝手はかなり向上しましたが,いかんせん基本性能の低さは解決が難しいので,このままにしたいと思います。

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