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2014年11月05日の記事は以下のとおりです。

私の夢,300dpi

  • 2014/11/05 16:39
  • カテゴリー:散財

 Kindleの2014年モデルの最上位機種,Kindle Voyageを買いました。幸いないことに発売日である11月4日に届きました。

 購入したのは最も安価なモデルである,WiFiモデルでキャンペーン表示ありのものです。それでも価格は21480円です。

 ここのところの円安と消費税アップという2つの要因で,この手のガジェットの値頃感が変わって来つつあるなあと思う昨今ですが,海外で$199のこのモデルが,日本でこの値段というのであれば,私は非常に良心的だと思います。

 なんだかんだで毎年Kindleを買っている私ですが,今回のKindle Voyageはまさに躊躇なく購入に至ったモデルです。十分な性能を持つKindle Paperwhiteの価格の2倍もする高額な電子書籍端末で,見送りという人がちらほらといる中で,私が迷わず購入した理由は,300dpiが私の夢だったから,です。

 いや,すでにLCDの解像度が300dpiを越えていることは承知しています。ですが,高コントラスト,紙と同じ反射型のデバイスである電子ペーパーで300dpiというのは,1つの目標だったと思うのです。

 電子ペーパーが世に出たとき,それは名前の通り紙を置き換えるものという期待が込められていました。色にしてもコントラストにしても,反射型であることも含め,そのスペックは紙,当時でも新聞紙程度の性能は持っていたのです。

 しかし,唯一紙にかなわず,そして当面紙を越えられないであろうと思われたのが,解像度でした。

 人間の目の分解能は,300dpi程度の解像度の印刷物で飽和するそうで,それ以上解像度を上げてもあまり意味がないと言われています。そもそも,180dpiという解像度が10ポイントで漢字を省略せずにきちんと表現出来るギリギリの解像度として選択されたものでしたが,この300dpiという数字は人間の視覚から選ばれた数字なのです。

 当時の電子ペーパーは300dpiは言うに及ばず,180dpiにさえも手が届かないものでした。こうなると,いかに紙に近いディスプレイと言われてても,印刷物には到底及ばないわけで,最初からユーザーに「我慢と妥協」を強いるものになったいたのです。

 さらに悪いことに,この解像度は電子ペーパーそのものの物理的な制約と言うよりは,電子ペーパーをドットマトリクスで駆動するための仕組みに起因していました。簡単に言うと,この仕組みはLCDのものと同じなのです。当時のLCDの最高解像度がようやく300dpiを越えるかどうかというレベルでしたから,これが電子ペーパーにおりてくるのは絶望的でした。

 あれから10年,ようやく私は300dpiの電子ペーパーを持つ電子書籍端末を手にしました。実に感慨深いです。そう,この電子書籍端末は,やっと紙に印刷された「印刷物」に並んだのです。これは本当に,私の夢でした。

 この間,電子ペーパーは解像度だけではなく,表示品質を高め,さらにコントラストも向上させ,十分に紙の代わりになりうるだけのポテンシャルを手に入れています。これらと相まって,おそらくKindle Voyageは私の期待に応えてくれるはずと,予約開始と同時に注文をしたというわけです。

 6インチのディスプレイで300dpiということですの,ピクセル数は1440x1080ドットです。数字だけを見るとHD解像度にも達していませんが,6インチなら文庫本は十分収まります。つまり文庫本を300dpiでスキャンすれば,そのままドットバイドットで表示出来てしまうだけの能力を持っています。コミックもそうですね。

 ハードカバーの文芸書も,余白を切り落とせばほぼ収まります。これが300dpiで表現出来るのですから,Kindle Voyageは持ち歩きが現実的に可能な本の大半を,印刷物と同じと見なしていいだけの表示品質で扱えるようになったといえます。

 高品質なベクトルフォントをこの電子ペーパーに表示することは,つまりレーザープリンターで印刷物を作ることと同じです。スキャナーで取り込んだ本をこの電子ペーパーで表示することは,つまりコピーを取ることと同じです。

 ようやくここまできました。

 で,早速使ってみました。先に書きますが,素晴らしいです。高価な端末なので持ち歩くのは当面ひかえようかと思いましたが,その表示品質の高さに私は虜になり,もう2013年モデルのKindle Paperwhiteを使う気にならなくなってしまいました。

(1)表示品質

 300dpiのCatraは,やはり伊達ではありません。216dpiのPaperwhiteと比べて見るまでもなく,文字の潰れがほとんどなく,線がくっきりと出て本当に印刷物のようです。

 Paperwhiteでは画数の多い漢字は潰れてしまい,一部濃淡で表現している部分もあるのですが,この濃淡が全体のコントラストを下げる要因になっています。これがVoyageでは濃淡で潰れた線をごまかすことなく,きちんと線として表現出来るので,無理に濃淡に頼ることがありません。従って,全体のコントラストの低下もありません。

 普通に使ってもその違いはよく分かりますが,ルーペで拡大するとさらによくわかります。もう紙を見ているような錯覚に陥るほどの表示です。


 そして,色調も良く整えられ,ムラもほとんどなくなったフロントライトも,表示品質の向上に大きく貢献しています。Paperwhiteも2012年モデルと2013年モデルで色が違っていたりしましたが,Voyageのフロントライトはこれまでのもののなかで,最高のものだと思います。色は限りなく純白に近く,輝度ムラもありません。

 電子パーパーにおけるフロントライトは,暗いところで明るくする補助光ではなく,白をさらに白くする,コントラスト向上のためのものです。ですから,明るいところでは明るく,暗いところでは暗く点灯するように設定します。

 ですが,この輝度の調整がなかなか難しく,周囲の明るさと紙の反射率から我々の目に入ってきた時の明るさにあわせ込むのがなかなか面倒です。しかも周囲の明るさが変わると極端に見え方も変わって来ますから,こまめな調整も必要です。

 フロントライトの基本性能の向上と共に,私がよいと思ったのはフロントライトの輝度調整が自動になったことです。この手の自動調整というのは案外使い物にならないもので,結局手動調整に頼ることになるのが常ですが,今回は違います。

 周囲の明るさが変化しても,紙に近い見やすさを維持出来ており,寝室でも屋外でも自動で調整してくれることがとても便利です。

 もう1つ,表示品質に貢献しているのが,段差のないフラットな画面です。フレームと画面の間の段差がなくなり,1枚のノングレアのガラス板になりました。

 ディスプレイも奥に引っ込んでおらず,表面の硝子の真下にある感じです。これが,まるで店頭展示用のモックに紙を貼り付けたものと見間違うほどのリアリティを生んでいます。特に少し斜めから見たときの表示品質の高さには感激します。

 このこのことによる没入感は想像以上のものがあり,Kindle Voyageをテーブルにおいて離れて眺めてみると,それはもう印刷物といっても見分けがつきません。

 本当に素晴らしいです。


(2)全体の質感

 軽くなりましたし,やや小さくなりました。薄くなった事もあって,手で持つのが随分楽になりました。Paperwhiteに比べると剛性感がなくなって,倍の価格の商品として少々がっかりしますが,決して悪くはありません。

 悲しいのは背面の上部にある,つやつやのプラスチック部品です。おそらくWiFiや3Gのアンテナが収まっているのだと思いますが,指紋も目立つし,傷も付くのでわざわざつやありにしない方がよいなと思いました。

 私の場合,この部品に成形時のヒケがあり,つやがあることで余計に目立ってしまいます。これは残念です。

(3)データの作り方

 ダウンロードコンテンツはよいとして,私の場合自炊したコンテンツを読む事も多いので,そのデータの作り方が非常に重要です。

 Kindle Paperwhiteのころから,私は「かんたんPDFダイエット」を使っています。かつては頻繁にアップデートがあったのですが,ここしばらくは更新されず,昨年10月のバージョンか最新のままです。

 正直なところ,アップデートによってついた機能が邪魔だったり,画像の品質が落ちたりと,更新を素直に受け入れることが出来なかったのですが,この1年はそういうこともなく平和でした。

 ですが,設定に最新の端末が追加されない状況はちょっとだけ問題で,仕方がないので自分でKindle Voyage用の設定を組み込みました。といっても,解像度に1440x1080を加えただけです。

 ただ,この1440x1080という解像度は,amazonの公式資料にはなく,いくつかの記事に出ていた推測の値に過ぎません。実は1439ピクセルだったり1081ピクセルだったりするかも知れず,そういう場合はドットバイドットでは表示されないことになるので,表示品質が大きく低下する可能性があります。

 あれこれ悩んでいても仕方がないので,とにかくこの設定で処理をしてものをKindle Voyageで表示させてみました。結果は上々で,おそらくですが,きちんとドットバイドットで表示されています。階調の表示の適切で,まさに紙に印刷したかのような美しさです。

 ただし,データの量は2倍近くになりました。解像度が300dpiになったことで約1.4倍,これがピクセル数で縦と横にかかってきますので約1.96倍。計算通りです。

 データの量が2倍になったと言うことは,同じストレージに半分しか入らないという事になりますので,ここはとても残念です。

 せっかく高価な最高級の電子書籍端末として登場したのですから,データの増加分にあわせてストレージも倍にして欲しかったと思います。今どき8GB位のストレージを積むのに,そんなにお金もかからないと思います。唯一の不満です。


(4)操作について

 電源ボタンの位置が下端から背面右側に大きく移動しました。別にこんな部分に動かす必要性はないと思うのですが,利便性ではなくなにか別の理由,設計上の制約などで動いたんじゃないかと思います。慣れればなんということはないですが,あまり便利とは思いません。

 従来通り,画面のスワイプで操作もできますが,Kindle Voyageの特徴の1つとして,専用の送り/戻しのエリアが出来た事があります。

 送りと戻しのエリアが画面の左と右それぞれに用意されています。左利きでも右利きでも不便にならないようにという配慮は,かつてのKindle同様で好ましいです。

 面白いのは,このエリアを押してやると,バイブレータがぶるっと振動して,フィードバックがあることです。

 それも,回転型の振動モーターなどではなく,スマートフォンによく使われるようになった,リニアアクチュエータです。なかなか良い反応で,邪魔になりません。本をめくるときに振動とは,今ひとつピンと来ないものがありますが,もともとここにはクリック感のあるボタンを使いたかったのでしょうね。

 それが証拠に,画面をスワイプしてページをめくったときには,振動はおきません。

 個人的には,こんな振動はあってもなくてもよいと思うのですが,もし振動をさせるのであれば画面のスワイプでも振動して欲しかったなと思います。振動がボタンのクリックの代わりに限定されるというのは,ちょっと理解が難しいのではないでしょうか。

 ところでこの送り/戻しエリアの操作感ですが,悪くはありません。単なるタッチセンサかと思っていたので,触れれば反応すると思っていたのですが,さすがにそれではスイッチの代わりにならないと思ったのか,あるいは使いにくくなると思ったのか,結構正確な場所をぐぐっと押し込まないと,反応しません。

 こういう押圧を検知する仕組みは,それなりに普及してきたとはいえ,広く一般的に使われていて,ユーザーの習熟度が高まっているとは言えません。結局使いこなせず,画面のスワイプで済ませてしまう人が多いのではないかと思います。


(5)キャンペーンについて

 今回初めてキャンペーン表示ありのモデルを買いました。amazonのポリシーとしては,この手の広告を本文に入れたりして,本来の役割である読書を妨げるようなことはしないというのがあり,私はそれを信じたのです。

 確かに偽りなしで,読書中にキャンペーンの広告に患わされることは全くありません。これで何千円か安くなるなら全然構わないのですが,1つだけ気になる事があります。

 それは,電源投入時の操作です。パスワードによるロックを設定すると,電源投入時にパスワードの入力が必要ですが,この後さらに広告を飛ばすためにスワイプが必要になるのです。

 キャンペーンなしのモデルなら,パスワードの解除だけですぐに本文が表示されますが,ここに1つ操作が入ってくるわけで,これは気分的に結構重たいものがあります。

 まあ,今の段階では,その広告にも有用なものがあったりするので(1000円以下のkindle本の半額を割り引くクーポンの案内とか),必ずしも悪いものではないと思うのですが,これがamazonではなく他の業者の,下品な広告になってくると,追加料金を支払ってでも見ないようにする方法が欲しくなるかもしれません。


 ということで,Kindle Voyageですが,確かに価格は高いと思いますし,この値段でタブレットを買えばもっといろいろ出来ると言うもわかります。ただ,紙に印刷した本にこれほど肉薄した機器を,我々はかつて手にしたことがないわけで,全く新しい体験を期待するなら,この金額は実に意味のあるものになると私は思います。

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