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2015年02月18日の記事は以下のとおりです。

パナコランの充電仕様解析

 「パナコラン」という変な名前の健康機器,ご存じですか?

 今のパナソニック電工が1989年に発売した,高周波治療器です。肩凝りに効能があるという事で,薬事法に従った形で臨床試験を経て,医療機器として販売されているものです。

 低周波治療器は当時の松下電工やオムロンなど複数社から出ていましたが,この手の高周波治療器は現在に至るまで,この製品が唯一無二の存在でした。

 でした,と過去形なのは,現在は販売されていないからです。

 高周波治療器も,整骨院などで使われる大型のマイクロ波加熱のものは電子レンジと似たようなもので,高周波の電力を患部に当て,深い部分を発熱させて痛みを取ったり血行をよくしたりします。

 パナコランもそういうものかと当時思っていたのですが,どうも違うようです。微弱な9MHzという短波を,体に密着させた機器から長時間照射し続けるというもので,どっちかというとピップエレキバンのような磁気を使ったものに近い感じです。

 臨床試験も行って,肩凝りに効果があると謳っていますから,そこはウソはないのでしょうが,原理が分からずじまいなんだそうで,結果だけを見るとこんな微弱な電波でも,血行が良くなっていることは実験で確かめられているらしいです。

 調べてみると「効果がある」「自分はさっぱりだが嫁さんが手放せないといっている」「再発売しろ」「これがないと生きていけない」と,熱烈なファンがいるようです。

 その,人間をはじめ,およそ生き物は電気と化学で動いています。磁気と電気は表裏一体で,電磁波はその両方で出来るものですから,高周波を体に当ててなんらかの変化が出ることは,十分考え得ることです。

 とはいえ,ここから先が大事なことなのですが,科学的に根拠のない事を宣わったあげくに,効能を過大に語るようなことをすると,これはウソで詐欺になります。単なるオカルトなのか,気分のものなのか,それとも本当に意味があるのかは,個人差があることも考慮に入れて,それぞれが自分の責任で判断すべき事だと思います。

 閑話休題。

 そのパナコランですが,当時から肩凝りがひどく,その対処方法が分からなかった私は,この製品を欲しいと思いました。しかし当時の価格で22000円。大衆は治療器が1万円以下だったことを考えると,やっぱり手が出ません。

 低周波治療器に手を出しましたが,これは結局疲れるだけで,余計にこりがひどくなりますし,電極のメンテが面倒な事もあって,使いこなすまでに至りませんでした。無駄なことをしたと思います。

 そんなこんなで,強い頭痛薬を飲めば肩凝りが楽になることを知り,肩凝りを治すのではなく,上手に付き合う方法を見つけるに至って,その存在を長く忘れていました。

 ですが,12月末の事故以来,しくしくと痛む肩の脱臼を向き合うに,パナコランのことをふと思い出すに至ったわけです。

 使ってみたい,試してみたい,当時は高くてあきらめたけど,今ならなんとか。

 でも,今でも買えるのかどうか?

 一時期販売が止まっていたらしいのですが,昨年までは入手可能な状態でした。ヨドバシでも2014年9月までは販売されていたようです。がっかり。

 しかし,google先生は「交換用の本体ならあるよ」と言ってきます。

 なんじゃそりゃ?

 調べてみると,パナコランというのは500円玉を少し大きくしたくらいの円盤状のもので,これが本体です。この中に電子回路と電池が入っており,充電器にはめ込んで4時間充電してから充電器から取り外すと,2,3日連続動作して9MHzの電波を出し続けるんだそうです。

 ですが,二次電池ですから,充放電を繰り返すとサイクル寿命がいずれ尽きてしまいます。そうなると電池を交換することになるんですが,パナコランは電池交換ができません。

 そこで,大体3年くらいを目安に,本体だけをサービス部品として買い換えて下さい,と言う話なんだそうです。

 そのサービス部品としての本体は1個3500円ほど。これが今でもamazonやヨドバシで買えることが分かったのです。2つで7000円。昨年までの販売価格が11000円でったことを考えると,妥当な値段でしょう。

 とりあえずこれを買えば,念願のパナコランが手に入ることはわかりました。

 しかし,充電はどうするの?

 それは,買ってから考えようという事で,とりあえず2つ注文しました。

 昨日届いたら,早速検討開始です。

 まず,本来の充電器ですが,単三か単四の乾電池で動きます。パナコランをはめ込む丸いくぼみがあり,電極が出ています。使わない時はここにはめ込み,使う時は取り出すと言うのが使い方のようで,はめ込むと勝手に充電開始,取り出すと勝手に電波が出るようになっていて,電源スイッチは本体にも充電器にもついていません。

 もう1つこの充電器には役割があり,電波が出ているかどうかを確かめるチェッカーがついています。パナコラン本体にはLEDがついていて,動作中は点滅します。この状態でチェッカー部に近づけると,ピーとブザーがなるんだそうです。

 どうもこれは,テスト販売の段階で「振動も熱もなく,ただ張り付けているだけの機器が,本当に動作しているのか不安だ」というユーザーの声を反映させたもののようで,なんというか,80年代独特の牧歌的な工夫に思わずニンマリしてしまいます。

 この2つの機能を用意出来れば,私は晴れてパナコランのユーザーになることができます。

 まず最初に簡単な方,電波が出ているかどうかのチェックです。LEDが点滅していれば出ているに違いないのですから,気にしないというのも手です。でも最初は確認したいじゃないですか。

 そこで広帯域受信機の出番です。私の持っているIC-R5は9MHzあたりを受信する力があります。これを使えばいいでしょう。

 問題は充電です。

 充電の制御をどこがやっているのか,充電器側がやっているとして,その制御はどんな風になっているのか,充電電流は?充電完了の検知は?充電時間は?温度管理は?・・・いろいろ考えるべき事があります。

 それ以前の問題として,パナコランの下側にある電極の役割がわかりません。中央に3mm程の丸,その周囲をぐるっと囲うようにしてある金メッキのパターンですが,2極ですから本体と充電器が通信するようなことは,やってないでしょう。

 とにかく,1つ壊してしまうつもりで,本体をこじ開けてみます。パナコランは防水加工されているそうで,フタは協力に接着されています。これを無理にこじ開けると,電池がマウントされた丸い基板が目に入ってきます。

 電池は,他の方の解析記事でVN1616というバナジウム・ニオブ・リチウム二次電池出ある事がわかっています。公称電圧1.5V,容量は8mAhで,ボタン型のNiCd電池を置き換え可能です。

 ただ,これも1993年頃までの資料には記載がありますが,それ以後は全く見かけなくなります。名称もIECに従った命名方法ではありませんし,もう作っていないんじゃないかと思います。1.5Vではちょっと使い道が限られますしね。

 でも,8mAhという容量で丸2日持つというのは結構たいしたものですね。

 ぱっと計算すると,160uA程度の消費電流です。消費電力で言えばわずか250uWですよ。

 1990年頃に,点滅とは言えLEDまで光らせて,よく頑張ったなあと思います。

 逆の見方をすれば,9MHzの電波の出力は絶対に250uW以下でないといけないわけです。実際にはこの何十分の一でしょう。

 さて,この手の電池の充電の場合,マイナス側がGNDに落ちている場合が多いです。とすれば,端子のどちらかがGNDに落ちていますから,電池のマイナス側と端子の間がゼロΩになっている側が,きっとマイナス側です。

 そこまで分かればもう片側にプラスの電圧をかけ,徐々に上げていき,電流を見ていけばいいでしょう。8mAhの容量を4時間で満充電にするのですから,充電電流はざっと2mAです。このくらいの電流になるような定電流回路を作ってやれば,大丈夫そうです。

 ところが,電池のマイナス側と電極の抵抗値をみれば,どちらもゼロΩになります。こまった。電池とこの電極は,どうやら別の回路で繋がっているようです。

 こうなると,もう一か八かで端子に電圧を加えて,電池電圧の上昇を見て判断するしかありません。

 分解して基板だけになったパナコランにリード線をハンダ付けし,端子と電源器の間に電流計,電池の両端には電圧計を取り付け,内側をマイナス,外側をプラスに接続して電圧を上げていきました。

 電圧を少しずつ上げていくと,電流が流れ始め,電池の電圧も上昇し始めました。端子を逆にすると電池電圧も上がりませんので,これはきっと逆でしょう。

 電圧を上げていくと,3.7Vくらいで急に3mA程の電流が流れ,そこから先は電圧を上げても変化しません。電池の電圧もグングン上がっていきますが,本体に流れ込む電流は3mAのままです。

 ということは,充電回路は本体に入っているということですね。充電器は,特になにもせず,ただ電源を供給するだけの役割をしているということでしょう。

 パナコランの説明書によると,充電は電池電圧と時間で監視しているとありますので,電池が内蔵されていて外から見えないなら,電池電圧の監視も本体内部でやっていることは間違いないです。

 ただ,安全回路としてのタイマーくらいは,充電器側に入っているかも知れません。

 こうして10分ほど充電して,電源を外すと,本体のLEDが点滅を始めます。おお,動いているようです。

 さらに充電を続けて電池電圧を監視します。1時間半ほど充電すると電池電圧が1.8Vくらいになりました。ここで取り外し,IC-R5で電波を見てみますが,私のパナコランは8.25MHz付近の電波を出していることがわかりました。1kHz程度の音声を連続で変調してあり,LEDが点灯するタイミングの時だけぽつっと電波が止まります。

 ここで,もう1つの分解しなかったパナコランを取り出し,充電するための工作をします。

 本体を開けたりハンダ付けするのはもう嫌なので,あたりを見回しホルダーの様なものを作る材料を探してみます。

 あったあった,割り箸の末端部です。ここをパナコランの裏側のくぼみにはまるくらいの長さに切り,ねじって固定です。このくぼみは真円ではなく,一部が切り欠いてありますので,ここに引っかけるわけですね。

 割り箸には,電極にあたる部分に穴を開け,直径3mmの銅で出来たバネを埋め込みます。これにリードをハンダ付けして固定し,完成です。作業時間10分です。

 早速試してみると,うまくいきました。電源器の出力は4.5V,本体に流れる電流は2.9mAと少し小さめですが,大丈夫そうです。

 充電を始めた時刻が22時だったので,4時間後はもう寝ていますから充電停止が本当に起こるのかわかりません。もし止まらなかったら壊れてしまいますが,大丈夫とふんで,充電したまま寝ます。

 朝起きると,ちゃんと充電は止まっていました。成功です。

 とまあ,こんな感じで充電出来たパナコランを早速脱臼した部分に張り付けて寝たのですが,朝起きても特に良くもなく,悪くもなく,何も変わっていないという感じです。

 劇的に良くなっているなど,過度な期待はしていませんでしたが,もうちょっとなにか変化があったら良かったのになと思いました。そもそも,肩凝りの効能はあっても,それ以外は未確認というのがメーカーの立場ですので,脱臼の痛みが取れることは,最初から無理なのかも知れませんし。

 だとすれば,普通の肩凝りがどのくらい改善するかを確かめる必要がありますね。今夜試して見ましょう。

 と,ここまで考えて1つ気が付きました。

 充電器に入れておくと,満充電後に充電が止まります。充電器から外せばすぐに動作を開始し,2,3日で電池が切れるんですね。

 ということは,外して置いておくことは出来ません。充電器にセットし,かつ電圧が本体にかかった状態を維持しないといけないのです。

 私の手元のパナコランは2個。割り箸を加工して作った充電の治具は1つ。しかも電源器から電源を入れなければならず,はめにくくて面倒です。

 これでは不便です。使いたい時には満充電の状態でさっと使いたいわけですからね。

 そう考えると,パナコランの充電器というのは,なかなか良く出来ていて,あれは電気回路は簡単でも,収納と取り出しが簡単にできるようなものになっているんですね。まさかメカ的な理由で「必須」になっているとは,思いもよりませんでした。

 ここは,割り箸を加工してもう1つ同じ物をつくってしのぎ,乾電池を繋いでしのぎ,そのうちにちゃんとした充電器を作るか,オークションあたりで充電器だけを落札できるようにしてみましょう。

 いずれにせよ,パナコランを手に入れるのになかなか手間がかかってしまったので,なんらかの効果があって欲しいなと,思います。もうちょっと試して見ましょう。

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