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2015年05月08日の記事は以下のとおりです。

チェキと銀塩

 私がカメラを構えているのを見て,娘も小さなデジカメを見よう見まねで構えるようになりました。

 しかし,撮影をしても,すぐに紙になって出てくるわけではなく,LCDに表示させるには別の操作が必要になったりするので,結果を見ることが出来ずに今ひとつ楽しい者とは思えないようです。

 そこでふと思い出したのが,チェキです。

 フジフイルムが独自仕様で作った名刺サイズのインスタントフィルムである,インスタックスminiを,安価でポップなデザインのカメラに仕上げて出したものがチェキで,今から15年ほど前の話だったと思います。

 私は,福袋か何かで手に入れたものを嫁さんにあげたのですが,物持ちの良い嫁さんはまだそれを持っており,押し入れを探して引っ張り出してきました。

 残念ながらフィルムはもう死んでいます。撮影してもなにも出てきません。

 そこでちょっと時間を見つけて,渋谷のカメラ屋さんに出向くと,とてもわかりやすいところに売られていました。10枚入りが2パックで1500円ほどだったと思います。

 それにしても,チェキのカメラ本体がまだまだ結構な種類があり,それなりの値段で売られているんですね。チェキが実は人気があり,今でも新製品が出ては売れて続けているという話は聞いたことがありますが,コンパクトデジカメがここ数年で「なかったことになる」ほど市場が縮小しているのに対し,立派なものだと思います。

 本体がこれだけ出ているのなら,フィルムの方はまだまだ安泰だと思いながら,買って帰りました。早速チェキに装填し,撮影してみます。

 沈胴式のレンズを引っ張ると電源が入ります。フォーカスはパンフォーカス,絞りもなくて,明るさに応じてフラッシュが自動で動作します。結局操作するのは,レリーズボタンだけです。

 これで本当に綺麗に写るのかと思いきや,考えてみるとこれほど大きな撮像エリアを持つデジカメはそうそうなく,レンズの解像度が低くても高画質,無理をしない設計が出来るから素直な描写と,大きなフォーマットである事のメリットはそれなりにあるだろうと,ウイーンと吐き出されてきたフィルムをしばらく眺めてみます。

 お,ゆっくりゆっくり画像が浮かび上がってきました。最初は青,そして緑,最後に赤が出てきて,綺麗な色調に整います。こんなもんかな,と思うところから,さらにくっきりと発色し,びっくりするほど綺麗な写真が出てきました。

 娘も,この変化に大はしゃぎ。チェキから吐き出された白い紙に,じわじわと画像が浮かび上がってくるのを,ワクワクしながら見ています。

 そうそう,インスタントカメラの面白さは,今も昔もこれなんですよ。

 銀塩時代は言うに及ばず,実はデジカメになっても,結局紙に出す事は,すぐに出来ません。自分で出来る人も限られています。だから,チェキの優位性,チェキの面白さといったオリジナリティは,今も昔も変わっていないんですね。ここに気が付くのが遅すぎました。

 そもそも紙に出すことはないんじゃないのか,と言う話もありますが,LCDに出してもみんなで見られるわけではないし,カメラ本体を持っていないとみることが出来ません。データを渡せばいいと言う話ですが,それでもそのデータを表示する機械がなければ,タダの数字の羅列です。

 人間の目にダイレクトに届く媒体は,やっぱり紙なんだなあと思います。

 ずっと遊んでいるわけではありませんが,娘はチェキで何枚か写真を撮りました。結果がジワジワと浮かび上がる楽しさは,直感的で説明不要な面白さがあります。これはいいですね。

 そんなことを考えていると,最近網にかからなくなった銀塩関係のニュースをふと見る事がありました。2014年の春にコダックがフィルムを値上げし,さらに2015年の初めに再度の値上げを行いました。

 今や,モノクロフィルムの100ft缶を買うと,15000円ほどするんですね。私が今冷凍庫で保管しているTRI-Xの100fは,確か3000円中頃の値札がついていたと思います。36枚撮りのT-MAXだって,1000円近くするんだそうです。

 ほんの数年前,カラーフィルムが1本100円で売られていたことが,ウソのようです。

 銀塩は,それを表現手段にする芸術家,それを楽しむ高尚なホビーになると以前からずっと思っていましたし,この結果は予想通り,販売が停止しないだけ予想以上の結果であると言って良いほどだと思いますが,それでもモノクロのフィルムが1本1000円というのは,さすがにおいそれと使えません。

 中判のフィルムは値上げがさらにすごいらしく,数倍の値段に改定されたケースもあるようです。35mmフィルムはデジタルに完全に置き換え出来るとしても,中判についてはまだまだデジタルは追いつかず,独自性が発揮されると思っていただけに,需要減少を理由に値上げされることについては,想像以上の厳しさでした。

 フィルムがこれだけ贅沢品になると,それまで頑張っていた銀塩カメラのユーザーが,もうくじけてしまうんじゃないかと思います。だから処分しようとする人が出てきます。

 でも,当時は非常に高価で,思い入れも一杯詰まった銀塩カメラはもはや二束三文の価値しかなく,本体よりもずっと安い値段で買った50mmの標準レンズの方の買い取り価格の方が高いという事が起きているようです。

 実のところ,私も時々フィルムを使いたい時があるのですが,冷凍庫からフィルムを出す前に,はて現像をどうするかなと思い至って,結局フィルムを出さずに終わってしまうのです。というのも,以前はお願いしていた近所のカメラ屋さんが少し前に閉店し,現像をお願い出来る場所が遠くになってしまったからです。

 フィルムの価格が上がる,打っている場所が限られる,現像してくれるところも探さないといけない,という環境の変化が,ジワジワと我々の周囲に迫ってきます。気が付いたら,もう銀塩カメラは,実用的な価値を失っているのです。

 かつて,ディスクカメラのボディを中古カメラ点で見ては,ゴミにしか見えなかったことをふと思い出し,これがまさかライカやニコンでも起きてしまうようになることを,私はため息をつきながら反芻するのです。 

Adobe税の季節

  • 2015/05/08 11:33
  • カテゴリー:散財

 Lightroomのメジャーアップデートがあり,バージョンが6になりました。

 AppleがApertureを突然大幅に値下げし,これに対抗する形でAdobeがLightroomを値下げ,しかも他の現像ソフトからの乗り換えキャンペーンで,実質的に1万円に値下げを行い,まさかの現像ソフトの価格破壊が起こりました。

 結果どうなったか。仕掛け人だったApertureは開発を中止し,この市場から撤退しました。一方のLightroomは他のAdobe製ソフトと同じサブスクリプションを導入し,CCをラインナップに加えることになりました。

 ついでにいうと,メーカー純正だったニコンのCatureNX2も開発が終了し,後継ソフトは機能が削減されて無償で配布されるという事態になりました。

 定評のあったSilkyPixは健在ですが,最近その評判をとんと耳にしなくなりましたので,存在感はかなり希薄になったといえるでしょう。主力商品が現像ソフトだけという小さなソフトメーカーでは,この戦いは厳しすぎたんじゃないでしょうか。

 平たく言えば,結局喧嘩を仕掛けたAppleが敗北し,これに巻き込まれて他のソフトも大きな傷を負ったということでしょう。勝ち残ったLightroomだって無傷ではないでしょうが,プロからアマチュアまで幅広く使われるようになったLightroomがデファクトになったことは,ユーザーはもちろん,Adobeにもそれなりのメリットをもたらしているはずです。

 で,私が恐れていたのは,Adobeが残存者利益を得ようとするだろうということです。そりゃ当たり前のことですし,正しい事だと思いますから,反対はしませんが,Adobeの「権利の主張」には昔から結構えげつないものがあって,勝者として好き買ってやるようなことがあったら残念だなと思っていたのです。

 その1つは,サブスクリプションへの全面移行です。従来通りのパッケージ版の販売は中止,月々数百円を払い続ける事でしかLightroomを使う事が出来ないという仕組みになってしまうなら,私はlightroomを使うのをやめようと思っていました。

 経済的な話をすれば,例えば月々1000円として年間12000円ほど。メジャーアップデートの周期が1.5年ごととしてその度に1万円のアップデート版のパッケージを買うとすれば,その間常に最新のものが手に入り,しかもPhotoshopまで使えてしまうのですから,かなりお得だなとは思います。

 しかし,私が抵抗があるのは,対価によってなにが手に入るのかという根本的な違いです。パッケージを買えば,そのソフトを購入することになるので,永久に使用することが出来ます。

 しかし,サブスクリプションは,使用する権利が手に入るだけですので,ソフトそのものの所有権は手に入らず,ソフトは手元に残りません。いわばレンタルですから,月々の料金を支払わないなら,そこでもう使用することが出来なくなります。

 試用期間が決まっているなら,サブスクリプションも結構でしょうが,その期間が過ぎたらもう全く使えないというのは,アマチュアには厳しいなあと思うのです。

 アマチュアは,それで収益を上げるわけではありません。これで作成したファイルやデータの価値は,プロのそれとは少し違っていることを考慮すると,10年後でも20年後でも,大きな価値を持っている場合が多いでしょう。

 確かに,PCもOSも変わってしまって,Lightroomが手元に残っていても動かせないかもしれません。しかし,PCやOSは工夫をすればどうにかなります。工夫の余地がないのは,手元に残っていないLightroomを入手することです。

 私は,Adobeが収益の改善にサブスクリプションを導入し,これに主なソフトを移行させたことで,完全にアマチュアを見てくれなくなったんだなあと思ったのです。同時に,Lightroomのようなアマチュアが使っているソフトは,まだそのままパッケージ版を残してくれていたんだと思っていました。

 だから,もしもLightroomがサブスクリプションに切り替わったら,Adobeはこれもアマチュアから取り上げてしまうんだなと,寂しく思ったのです。

 果たして,新しいLightroomはどうなったかといえば,サブスクリプションでも使えるようになりましたが,パッケージ版も残りました。価格も変わっていません。

 変わったことがあるとすれば,アップグレード版のパッケージ販売がなくなったことと,乗り換え版がなくなったことでしょうか。後者は乗り換えさせようという他のソフトが白旗を揚げたので当たり前として,アップグレード版がダウンロード販売で,しかもそれはAdobeのサイトからだけ可能というのは,かなり後退したという印象が拭えません。Adobeがアップグレード版の販売を軽く見るようになったということでしょう。

 そうそう,サブスクリプションはlightroomCC,パッケージ版はLightroom6という名称になりました。もしかすると,パッケージ版のLightroomは,6が最後になるかも知れません。

 ついでにいうと,lightroom5を今買うと,無償で6へのアップグレードが出来ます。乗り換え版を1万円ほどで購入出来れば,Lightroom6の乗り換え版を買うのと実質同じに出来ますが,もう在庫が残っているお店もないので,これは難しいでしょうね。


 さて,前置きが長くなりましたが,Lightroom6のアップグレード版がダウンロードでしか買えないのであれば,待つ必要もないと言うことで,発売当日に購入して最新版に移行しました。

 Adobeのサイトは,誰でもいつでも「わかりにくい」と言っていて,逆に使いやすいという話を誰からも一度も聞いたことがないくらい評判が悪いのですが,私も今回それを改めて痛感しました。これがAdobeの収益を落としていることは間違いないと思いますよ。買うのが面倒すぎます。というか,買うところまでなかなか到達出来ません。

 私の場合,Safariでは買えなくて,結局Firefoxをインストールしてようやく買うことができました。それも,9600円のアップグレード版を購入するのに,ほとんど勘に頼ってダンジョンを彷徨った結果で,よっぽど頭のいい人が作ったサイトなんだなあと,嫌みの一つもこぼしたくなります。

 ともかく,半日かかって手に入れたアップグレード版ですが,実際に移行してみると特に差を感じません。

 私は,表面的な違いを感じさせない新製品を評価するクセがついていて,これまでの操作の範囲で,その作業が快適になったり新しい機能が使えたりすることを歓迎する人です。操作系を変更せずに新機能を追加することは相反する事だけに困難なわけですが,ここをうまくやっているものは少ないようで,実は案外普通に目にします。

 自動車なんかはそうでしょうね。でも,発展途上のもの,特にPCはコロコロ変わって模索が続きました。

 でも,やっぱりメジャーアップデートだけに,違いに気が付きます。よく言われている新機能,例えば顔認識やHDRやパノラマ合成,フィルターブラシなどは私はありがたいと思っていないので使っていませんが,前のバージョンからの移行で気付いた点を少し書いてみます。

 まず,私が一番期待していたGPUを使った高速化ですが,私の環境では劇的な高速化が得られず,期待外れに終わりました。Early2008という非常に古いMacBookProで,もともと遅いマシンですし,GPUもGeForce8600Mですから,これで劇的な変化があるとは思っていませんでしたが,心持ち速くなったかなという程度の変化でした。

 現像でパラメータを変化させた時の,画面の更新の速度が上がったように思ったのですが,これはGPUをOFFにしても変わらなかったので,きっと根本的な改善が成されたのでしょう。

 一方で,その現像のプレビューは,ちょっと気になる挙動をします。これまでは,他の画像をプレビューした後,元の画像に戻った時に,キャッシュからあふれて解像度が下がっていたり,修正が反映されていない場合でも,プロファイルの適用は維持されたままでしたから,そんなに違和感はありませんでした。

 しかし,Lightroom6では,キャッシュからあふれるとプロファイルの適用も維持されなくなるようです。これは私にはかなり厳しく,違和感のある変更でした。

 そもそも,D800をRAWで使っているような人は,2008年のMacBookProなんか使っているはずもなく,もっと高速で,もっとメモリの大きいマシンを使うだろうから,こういう不満は私だけの問題なのかも知れません。

 全体として,Lightroom6は動作が少しだけ軽くなっていますし(他の方のレビューでは,CPUの占有率が上がっているので軽くなっているように思うだけだ,という意見もあって,本当はどうかわかりません),Lightroom5と同じことをするだけなら,全くなにも考えずに移行できます。

 少なくとも私の環境では,CanonのPRO-100はそのまま問題なく使用できましたし,初期のバージョンにありがちな不安定さもなく,空気のようなアップグレードだったと思います。

 使い込んでいくことと,バージョンアップが行われることで新機能が追加されていくことで,どんどん良い体験ができるようになるでしょう。考えようによっては1万円でこれだけ楽しみな買い物もないかも知れません。

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