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2015年12月07日の記事は以下のとおりです。

DATとその他の機器をメンテ

 25年も30年も経過すると,部品の寿命を迎えているような機器も多くあり,特に寿命が短く確実に来る電解コンデンサの機能低下が,機器全体の性能を落としてしまうことが目立って来ます。

 またこの電解コンデンサが,電源回路に使われたり,音が直接通る海路に使われたりすることが多い部品だったりするのでたちが悪いです。

 先日からオーディオ機器のオーバーホールをコツコツと行っていますが,作業としては電解コンデンサの交換が主で,とりあえずちゃんと動いて実用レベルになってくれれば,それ以上のことはしないというのが方針です。

 幸いなことに,私の機器はメカの劣化が少なく,ほとんど手を入れることなくちゃんと動いてくれています。

 昨日,ようやく計画していた作業がすべて終わったので,簡単にまとめておくことにします。

・GX-Z9100EV

 先日詳細を書きました。電解コンデンサを交換(基本的にはすべてを交換)し,テープガイドのグリス固着を防ぐ為に柔らかいオイルを数滴注油,モード切替カムの位置調整を行って,一度完成させました。

 このメンテの際に,コネクタへのケーブル差し込みのミスで,テープセレクターが正しく動作しないという問題が出たことと,電源のショートのせいでヒューズ抵抗を焼いてしまったことも,これまでにかきました。ヒューズ抵抗は2Aのヒューズに交換して修理完了としました。

 ところが昨日,プレイボタンを押したところ,ヘッドがなかなか上がらずに,音が出始めるまでに随分待たさせるようになっていました。使っているうちに音が出るまでの時間は短くなっていきますが,それでもモーターが唸るような異音がして,ヘッドがなかなか上がらないことには変わりがないので,もう一度分解することにしました。

 異音の原因はモード切替のモーターからです。ヘッドを上げて押しつけているのはこのモーターですから,こいつから異音がするというのはちょっと問題です。さらによく見ると,モーターにかかっているゴムベルトがスリップしているような感じです。

 ゴムベルトの交換を予防的にしなかったのは,メカを降ろして分解しないと,交換出来ないと思ったからです。予防の効果は認めるとしても,そのことでメカを分解し,万が一テープパスが狂ってしまうような話だと,もう最悪です。

 しかし,ゴムベルトがスリップしている以上,交換せざるを得ません。こういう場合,私はバンコードを使って,メカを分解せずにベルトを交換するようにしますが,バンコードを溶着する作業空間がないことと,手元にちょうどいいくらいのサイズにバンコードで作ったベルトがあり,もったいないのでこれを利用することにしました。

 じーっとメカを眺めていると,モード切替のモーターは3本のビスで外せそうです。この時カムを駆動するギアも一緒に外れそうなので,輪になったベルトを簡単に交換出来るようです。

 果たして,ビスを外すと,うまい具合にモーターとギアがまとめて外れました。ちょっときつかったのですが,手持ちのベルトをプーリーに引っかけ,元に戻します。

 動かしてみると,ばっちり治りました。しかも,電源投入時やカセットを入れた時に必ず発生していた「カタカタカタ」という音もなくなりました。

 この音ですが,どうやらモード切替カムが,ベルトの緩みからバックラッシュをしていて,規定の位置にピタッと止まらず,行きすぎては戻し,戻しすぎては進めを繰り返していたようです。ベルトのスリップがなくなったことで,ピタッと位置が出るように制御出来て,カタカタ音も出なくなったようです。

 実に気持ちがいいですね。購入時の小気味良い動作が甦りました。こうなると,フライホイールにかかるベルトの劣化も心配ですが,これはまだしっかり引っかかっているような感じですので,もう少し様子を見ましょう。


・XD-S260

 私が初めて手に入れたDATです。これが私のエアチェック環境を激変させ,高音質で,かつ確実な録音でライブラリを増やすのに,負担を大きく軽減してくれました。

 ミニミニコンポサイズの260mmで,安く小さい割には信頼性も高く,音も悪くなかったので,とにかくよく使いました。

 何だかんだで録音済みのDATがたくさんありますから,これをファイルベースで管理するのに,きちんと再生出来るDATのデッキが必須という判断から,オーバーホールを行うことにしたものです。

 まず,トレイが出てきません。これは前例があり,10年ほど前にトレイを動かすモーターのゴムベルトが伸びきっていることが分かっているのでバンコードで交換用ベルトを作り,交換です。前回は輪になったベルトを使ったのでメカを分解しましたが,今回はバンコードですので,ベルトを通してから溶着して輪にします。こうするとメカをばらさなくてもいいんですね。

 さて,これでDATがローディングされるところまでは,動きました。しかし,どうも不安定です。テープが走ったり走らなかったり,クリーニングテープを引きちぎったり。

 テープガイドに注油を行い,スムーズに動くようにすると,ぎこちない動きがだいぶよくなりました。それでも安定して動作しません。

 テープローディング用にモーターのベルトが滑っている可能性もあると思ったのですが,径の小さなベルトなので手持ちがなく,バンコードで作るのも難しく,結構元のベルトが一番良い結果が得られました。

 あれこれ分解していると,全然動かなくなったり,テープをロードしなくなったりして慌てましたが,最終的にはなんとか再生が出来るようになってきました。

 ただ,頭出しを行うと確実に「CAUTION」と出てしまいます。

 これは,ブレーキが壊れているのが原因でした。頭出しで高速回転するリールが,再生に切り替わったときに止まらず,テープがたるんでしまうわけですが,そのせいでリールが回ることなく再生されている状態をエラーと認識しているのだと思います。

 見てみると,ブレーキのゴムが溶けてドロドロになっています。部品を取り出し,ゴムをアルコールで拭いますが,代わりのゴムなどありません。内径が2mm,外径が3.5mmくらいのチューブを輪切りにするとちょうどいいのですが・・・

 周りを探してみると,VVFケーブルの被覆がサイズとしてはぴったりです。ゴムではないですが,ブレーキの代わりくらいにはなるでしょう。これに交換します。

 組み立てると,なんとかブレーキがかかって,CAUITONも出なくなりました。

 しかし,途中で再生が止まることもチラホラ。なんでかなあと思っていると,キャプスタンがグラグラです。これはわざと緩く固定してあるのかと思ったのですが,キャプスタンモーターを固定する3本のビスのうち,2本だけが緩んでいたことを考えると,どうも動いてはいけないもののようです。

 とりあえず3本のビスをきちんと締めておきました。

 再生中に止まることはなくなりましたが,ドロップアウトで盛大にノイズが発生とか,今ひとつな感じです。デッキが悪いのか,テープが悪いのか,はたまた録音機と再生機が違う場合に怒るオフトラックなのか,そこがよくわかりませんが,このデッキで録音したテープは問題なく再生出来ているようなので,これで完了とします。

 あとは電解コンデンサの交換です。ADにはクリスタルセミコンダクタの,DAにはフィリップスのものをつかっていて,それなりに音が良いと言われているものなのですが,アナログ回路はそんなにお金のかかった感じはしません。

 気になったので,M5218はOPA2134に交換しておきます。良くなることはあっても,悪くなることはないでしょう。

 電源を含め,すべての電界コンデンサを交換します。電源回路の電解コンデンサは少し容量が大きいものに交換し,信号系のものも手持ちの関係で大きなものにしておきました。まあ大丈夫でしょう。

 完成しましたが,今のところ問題なしです。音質云々ですが,冷静に考えるとデジタルアウトから取り出しますので,アナログ回路に奢った新しい電解コンデンサは,あまり役には立たないのかも知れません。


・DTC-59ESJ

 いろいろ悪評の多い,ソニーのDATです。悪評が多いと書きましたが,では他の機種が出てくるか,他の評判のいい機種があるかといえばそういうものでもないので,なんだかんだで一番ポピュラーなDATデッキということになるでしょう。

 幸いなことに,私のDTC-59ESJはメカに問題はなく,持病とされるヘッドクリーナの取り外しと,RFアンプのコンデンサの交換だけやれば,とりあえず問題なく動く状態でした。

 ヘッドクリーナはもうボロボロで,確かにこれで動かしてしまえばヘッドにゴミをくっつけることになるなあと震え上がりましたが,電源を入れる前に取り外して終了。

 RFアンプのコンデンサですが,当時は超小型の電解コンデンサが手に入らず,面実装品の小型のものとして,5Vの電源ラインに6.3V耐圧のものを使っています。こうしたマージンのなさと,無理に小型化したコンデンサであること,そして面実装品であったことなどが重なって,液漏れが多発したんだと思います。

 無理にリードの電解コンデンサに交換している人も多いようですが,それだとシールドケースも閉まりにくいですし,かといって同じ電解コンデンサにするのも怖いので,面実装のタンタルコンデンサにします。

 タンタルコンデンサは,故障モードがショートですので,壊れたら重大事故になります。そこで壊れにくいように,十分なマージンを持って使うのが定説なのですが,5Vなら最低その3倍である15V耐圧のものを選ぶべきです。

 手持ちのタンタルコンデンサをみると,22uFは16Vと20Vのものがあります。どちらも同じ大きさなので20Vを選びますが,ちょっと長さが大きくて,うまくハンダ付けが出来ません。

 それでもなんとか取り付けましたが,どうもどっかでショートしたらしく,再生しても音が出ません。やりなおしです。

 もう一度手持ちを探すと,長さの短い小型のものが,10Vならある事がわかりました。不安ですが,2倍のレーティングにかける事にし,コンデンサに交換です。

 結果は,今のところは問題なし。仮に音が全く出なくなったら,コンデンサの破損だと思って,その時手に入るもっと良い部品に交換することにしましょう。

 先に基板の電解コンデンサの大半を交換します。手持ちの関係もあり,電源の平滑コンデンサである5600uFと6800uFは交換出来ませんでしたが,あとのものはすべて交換しました。

 これで組み立てて音を出しますが,最低限必要はところに注油をして,スムーズに動くようにしました。音も出ています。

 ところが,ヘッドフォンが常に最大音量なんですね。レベルツマミを回しても音が小さくなりません。調べてみると,このレベルツマミのボリュームが壊れていて,無限大になっているようです。代わりのボリュームを探しましたが,20kΩという抵抗値,シャフトの長さと形状でぴったり合うものがなく,仕方がないのでボリュームを分解して修理しました。

 この結果レベルが調整出来るようになりました。同時に,ヘッドフォンアンプとして搭載されていたM5218も,OPA2134に交換しておきます。NE5532やLF412は,このデッキの音質を決めている重要なOP-AMPなので,このままにします。LF412なんて,渋いですねえ。

 次に思いついた改造が,DATのメカを照らす照明を明るくすることと,SBMのLEDを交換することです。

 当時はアンバーのLEDしか照明に使えるものがなかったので,色も悪く,また暗いものを使ったのでしょうが,今は非常に明るいLEDが手に入ります。こういうオーディオ機器は,電球色がいい雰囲気を作りますので,ここは電球色のLEDに交換します。

 結果,とても明るく,見やすく,高級感も出ました。この改造はおすすめです。

 SBMのLEDは,今は緑になっていますが,これも品がないんですね。もともとDTC-59ESJにはLEDは使われていませんし,緑色もどこにもありません。だからとってつけたような不自然さがあるんですが,これをアンバーにしました。落ち着いたいい色で光るようになり,こちらもおすすめです。

 そして,いよいよ組み立てたところで,問題発生。メカをオープンしても開ききらず,しばらくすると勝手に閉じてしまいます。DATを取り出すときにも同じで,手でぐいっと開かないと,せっかく出てきたテープがまた吸い込まれてしまいます。

 もう一度分解して見ましたが,DATのローディングの機構の,油ぎれのようです。開ききる手前で一番重くなるところがあるようで,ここでモーターが回りきらず,リミットスイッチを押せないまま,閉じてしまうのです。

 注油してやるとスムーズに動くようになり,問題はなくなりました。

 これで作業は終了。


・自作のMOS-FETアンプ

 先日,アナログプレイヤーをメンテした際に,アンプの入力セレクターを改造しました。これまではPHONO入力からイコライザアンプに入っていたのですが,以前から書いているとおりイコライザアンプは外部に用意しましたので,PHONO端子は使わずにいました。

 ですが,ただでさえ入力端子が足りない中,遊ばせておくのももったいないので,内蔵のイコライザをバイパスし,PHONOも単なるライン入力になるようにしたのです。

 この時,電解コンデンサも交換すべきだったのですが,面倒でやらなかったのです。

 しかし,今回,カセットからDR-100mk2で録音をしている時に左右が入れ替わっていることに気が付きました。どこで入れ替わっているのかよく分からず,結局結線を外してアンプをラックから取り出してしまいました。

 結局,ここまでやったんだからと,電解コンデンサの交換をしました。

 自分が高校生の時に,部品屋さんで集めた電解コンデンサを,今こうして外して交換し,捨てることになるとは,感慨深いものがあります。

 今見ると,1970年代後半の設計らしく,電解コンデンサも大容量のものが使われていません。小さく安くなったコンデンサのおかげで,今の常識よりは,1ランクは小さなものが使われている印象です。

 これを一気に交換します。といっても,電源基板がほとんどで,使われていないイコライザの電鍵ラインに入ったものが他にあるくらいです。パワーアンプ部のドライバ基板には1つも電解コンデンサはありません。

 交換しても,別に問題はなし。左右に入れ替わりもアンプ内部の話ではなくほっとしました。


 ということで,私の手持ちの古い機器は,一通り交換を済ませました。手持ちのFine Goldはほぼ払底したのですが,電解コンデンサは使わずにストックしても腐ってしまいますから,在庫を持たずにとっとと使った方がいいです。

 もう10年くらいはこのまま使えるかなと思いますが,果たしてこんなにかさばるオーディオ機器を,持ち続けることの意味も分からなくなってきます。もし仮に,私が今日死んでしまったら,家族は困るだろうなあと,そんな風に思いながら交換作業をしていました。

 難しいものです。

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