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2016年01月22日の記事は以下のとおりです。

ワクワクしてT50RPmk3nを買った

  • 2016/01/22 15:15
  • カテゴリー:散財

 長く愛用しているフォステクスのヘッドホン,T50RPを買ったのは,2004年9月です。もう11年にもなるんですね,我ながら物持ちがいいなと感心します。

 その間,イヤーパッドを交換しましたが,音が変わることも,壊れることも,ガタが来ることもなく,「昨日と同じように」毎日使っていました。

 当初,さすがに気になった高音の貧弱さについても,慣れてくればなんということもなく,これで普通に聞けたらバランスが取れている,と思うくらいになりました。10年も使っているとそんなもんです。

 その意味で,当初目的にしていたモニター用という狙いは,確実に達成したことになると思います。むしろ,広い帯域で揃った位相,小さい音も大きい音も歪まないリニアリティ,無理に協調しないフラットな周波数特性は,あるのままを聞くという用途には絶対信用のおける頼もしい存在となっています。

 とはいえ,高音が実際に出にくいのは事実,誰に対してもおすすめ出来る機種ではありませんし,「高音出ないけどべつにいいよ」と割り切る気持ちも,特に他の人に使っている理由を説明せねばならない場合には,ちょっと曇ったものになります。

 そう,買った直後は結構がっかりして,いい所もあるんだけども,高音が出ないのは致命的だなあとか思ってしまい,自然にこれに手が伸びなくなり,他のヘッドホンに手を出したりしたのです。

 しかし,気が付けば,T50RPに戻っていました。特にここ数年はぱっと手にとってさっと音を聞くとき,T50RPを無意識に選んでいたようです。いつも使うから,いつも手元にあるという自然な状況だったということです。

 まあ,散々浮気を重ねてもですね,最後には嫁さんの所に戻ってくると言うか・・・あるいはその,洋物とか流出物とかに散々手を出しても,最後にはサンデーのグラビアに戻ってくると言うか・・・

 ・・・それだけお気に入りだったT50RPに後継機種であるT50RPmk3nが出たのは,昨年秋のことです。上位機種が出ても全然気にならなかった私としても,T50RPという,いい意味でも悪い意味でも個性的なモデルの後継ですから,どうなるんだろうなあと思うのは当然です。

 スタジオでの実績も多くあるT50RPですから,音の傾向を簡単に変えないと思います。でも,それでは激戦のヘッドホン市場を戦い抜けないでしょうし,わざわざ新機種で置き換える必要もないでしょう。なら,なにかを変えてくるはず。

 見た目を変える,これまで問題とされていた掛け心地を改善する,そうした改良なら,私は別に必要ないのでパス。でも音が変わる,それもこれまでの傾向を尊重しながら,問題点を潰してくるなら,これは買って試すしかないとおもっていました。

 ぼつぼつレビューが出始めて,高音が出るようになった,素晴らしい音質,この値段でこの音はすごい,と概ね好意的なものが目に付くようになり,私も買う気が盛り上がってきました。

 年末,いよいよ買うかと思ったところで,一番安いamazonでまさかの在庫切れ。まあそのうち在庫も復活するさと待っていましたが,復活どころか3月になると判明し,一気に買う気が失せました。

 こういう場合,値段をつり上げる業者が出てくるのもいつものことで,24000円近い値段になっています。もともと17000円程度で買えた物ですから,これはちょっと抵抗があります。

 そう思って,念のためヨドバシ.comを見てみると,まさかの在庫あり。しかも安い。速攻で購入しました。

 いやはや,ヘッドホンの購入で,こんなにワクワクしたのも久々ですね。期待が膨らむが故ですし,これがいいものだったら,私の主力ヘッドホンが入れ替わるという大事件になるんですから,当然です。

 箱は,印刷こそ変わっていますが,昔のT50RPとあまり変わっておらず,質実剛健です。箱を開くと,プチプチでくるんだだけの本体が出てきます。他に梱包材もなく,輸送の振動や衝撃にもびくともしない堅牢性が滲み出ています。

 ケーブルはT50RPと同じ標準ジャックのものと,3.5mmのケーブルの2つが入っています。ただ,3.5mmのケーブルはオレンジ色で,随分派手です。なんちゅうか,黒の本体にこの色のケーブルってのは,いわゆるジャ○アン○カラーですからね,虎ファンの私としては心中穏やかではないわけですよ,ええ。

 本体に目をやります。まず目に付くのは,ヘッドバンドが合成皮革で覆われて優しくなったことでしょう。T50RPはここがゴムで,初めて手に取ったとき「これでええんか」と目が点になったことを思い出します。使ってみると別になんてことはないんですが,見た目であの豪傑な仕上げは,損をしてたんでしょうね。

 イヤーパッドの取付も変わりました。以前はハウジングの外周に被せるように取り付けてあったのですが,今回はハウジングに溝を1周つけてあり,ここに噛み込ませるような感じになっています。イヤーパッドが外れにくくなり,また回転しにくくなっているようです。そうそう,耳が直接内側に当たるのを防ぐ為に,スポンジが張られていました。

 取り付け方法が変わったために,T50RPmk3nのイヤーパッドをT50RPに取り付けることは出来ません。逆は可能ですが,そんなのあんまり意味がありませんし。

 ただ,イヤーパッドが変わったことで掛け心地が改善したかと言えば,特別そういう印象はなく,私はT50RPのイヤーパッドを交換した際に,掛け心地が随分改善したことを知っているので,その延長にあるものだと理解しました。長時間の使用でも,耳が痛くなることは今回のT50RPmk3nでもないと思います。

 ハウジングとヘッドバンドを固定するスライダーは,以前は銅色だったのですが,今回はガンメタになっています。私は銅色でもいいと思っていたので,ガンメタは普通になったと言う印象しかありません。

 さて,肝心の音ですが,これまで不満だった高音はきちんと出るようになりました。出過ぎることはなく,本当にフラットです。低音も伸びているようで,低域がきちんと入っているソースをきくと,頭のシンがぶるぶると揺さぶられるのがわかります。

 それでいて,全帯域で位相が揃っていて定位が暴れませんし,小音量から大音量まですーっと自然に伸びるリニアリティも健在です。つまり,周波数,レベルの2軸で破綻するエリアが小さいということです。お見事です。

 それと,T50RPからの利点として,密閉型とオープン型のちょうと中間というのが,今回も踏襲されています。開放感や音の広がりはオープン型のメリットですが,モニターには密閉のタイトな音も欲しいし,遮音もしっかりして欲しいので,その中間であるT50RPは,とてもありがたい存在でした。

 T50RPmk3nについても,セミオープンという特徴は踏襲されていて,メリットがそのまま生きています。これもうれしいです。音像の位置が,いい場所に出てきます。

 ということで,T50RPの問題点だけを丁寧に潰した後継機T50RPmk3nは,本当に良いモデルになっていると思います。最近,これほど真面目にモデルチェンジする物なんて,ヘッドホンに限らずなかなかないもんです。フォステクスの良心を見た気がします。

 従来機種に慣れた耳には,高音がきついかなと思いましたが,それも2時間ほどで慣れました。もうどっちでも大丈夫です。

 冷静に考えてみると,スタックスにより近くなったなと思います。スタックスもT50RPもT50RPmk3nも,平面振動板ですので,位相が揃うのは結構特徴的だと言えて,そこから音を作り込む傾向もフラットを目指している以上は,最終的に似たような音になってくるのも頷けます。

 ただ,両者の間には,セミオープンかオープンかという決定的な違いがあり,これがモニター用か観賞用かを決定的に分けているように思います。

 いずれにせよ,特殊なアンプも電源もいらないT50RPmk3nで,スタックスと音に互換性が出てきたという事は,両方を使い分けている私としてはとても歓迎すべき事で,買って良かったなと思うポイントの1つになりそうです。

 そんなこんなで,もうT50RPmk3nは手放せません。これは「モニター用だから」と言い訳をしたり,一言添えたりすることなく,多くの人に胸を張って「いいですよ」と言えるヘッドホンだと思います。

 これが17000円ほどで買えるのですから,安いと思います。堅牢で長く使えますし,音もいい,無骨であることを許せれば,これがあればもう他のヘッドホンを検討する必要はなく,5万円とか6万円とか,そんな値段でダイナミック型を買う人の気が知れないとまで,思ったりしました。

 T50RPが12000円ほどだったことに比べると,ケーブルがもう1本ついたとはいえ,かなりの値上げになりますが,それでも十分安いと言えるでしょう。

 いや,ちょっと言い過ぎました。嫁さんが買ったソニーのフラッグシップモデル,MDR-Z7は,高いだけあって,その空気感の再現性がものすごく,モニター用のような正確さと,聞いて楽しいこととを高い次元で両立したモデルであることは,私も認めます。それであの値段は,やっぱり安いです。

 ということで,絶対的な値段だけで判断出来ないのがこの手の商品の難しさと言えて,私にはスタックスが相変わらずリファレンス,これに肉薄するヘッドホンとしてT50RPmk3nが,うちの主力に躍り出たという感じでしょう。

 DR-100mk2との相性も良いようで,相変わらず鳴らしにくいT50RPmk3nも結構楽にドライブしてくれます。大げさなことをしなくても,DR-100mk2とT50RPmk3nで,もう私の録音環境は不満ありません。

 一時的に品薄になっているような感じがありますが,モニター用としてならもう文句なくイチオシ,普段使い用にも,ぜひこのヘッドホンの自然な音を楽しめるようになってくれたらいいなあと思います。

 きっと,ロングセラーになるでしょう。長く供給されることも,プロユースのモニター用には必要な「性能」ですから,その点でもT50RPmk3n,おすすめです。

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