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2016年04月22日の記事は以下のとおりです。

料理のベースとしての調味料 その2

  • 2016/04/22 09:47
  • カテゴリー:料理

 さて,今日も調味料について続けます。


(5)油

 人間に限らず,肉を食べる動物は,獲物に含まれる脂肪分を「おいしい」と感じるようになっています。お茶のCMかなにかで「美味しいものは糖と油で出来ている」といってましたが,あれは我々の動物としての出自を考えると,当たり前のことです。

 ですので,美味しい料理には油は欠かせません。油には調味料としての役割もありますが,c100度を超える温度を安定して供給し続ける役割もあります。

 200度の油に食材を放り込むと,食材の中の水が沸騰して飛んでいきます。こうやって食材から水を抜く事が出来るのです。また,湯せんと同じで,局所的に熱が加わることを避ける力もあります。油を引いて焼くと焦げ付かないのは,油が熱を平均化するからです。

 しかし,油ほど選択肢が難しい物もありません。油は複雑な分子構造を持つ有機物ですから,同じように見える油でも完全に同じという物はないでしょう。当然味も変われば,沸点や人体への吸収率も違ってくると思いますし,もっというなら毒性も違ってくるでしょう。

 それに,油は酸化しやすく,保存状態で質が大幅に変化します。複雑な構造の有機物で,かつ経年変化でその構造がコロコロ変わるなんて,もう生鮮食料品に匹敵します。

 また,油脂というのは20世紀初頭の化学工業の発展と共に歩んできた工業生産品であり,食品でありながら化学工業と紙一重なところがあるので,油断は禁物です。

 前置きはこのくらいにして,まず液体の油から考えてみます。最初はサラダ油です。名前の通り,サラダに使える油として作られていますが,メーカーや品種によって様々な組成で作られていますし,本物の紅花油や菜種油,コーン油などは高価で手に入りにくいです。

 ですので,食べると言うよりは,焼き物をするために必要な薬品という位に考えて私は使っています。また,テンプラやフライなど,油に漬けてしまう調理法は私はやりませんので,消費量も少なめです。

 ですが,ほとんど味がなく,無色無臭に近い油ですので,積極的に使うこともあります。油揚げの入った味噌質が美味しいのは油のせいですので,味噌汁にちょっと油を入れてみて下さい。びっくりするほど美味しくなります。

 また,油の蓄熱作用を利用すると,冷めにくいスープも作ることが出来ます。こういう使い方の場合,コーン油や菜種油は,香りが強いので不適かも知れません。

 食べる油としては,オリーブオイルをおすすめします。独特の味と香りがあり,口にまとわりつかないさっぱり感がそのままでも,火を通してもとても美味しく頂けます。

 オリーブオイルにはランクがあり,どれも同じというわけではありません。

 もっとも良いものは,エクストラバージンオイルで,これはそのままサラダにかけて食べるのに適しています。これと一緒によく見かけるのがピュアオリーブオイルですが,これはもう全然ランクが下で,食用に適さない残りカスを精製して食べられるようにしたオリーブオイルと,中程度の品質のオリーブオイルを混ぜたもので,ギリギリ食べられるようにしたものだと私は思っています。

 ですので,火を通さない食べ方をするならエクストラバージンオイルしかダメなのですが,使い分けをするほどの話ではないので,とりあえずエクストラバージンオイルを1つ常備しておき,これですべての調理をするのがよいと思います。

 ちなみに,オリーブオイルを多めにフライパンにひき,安いロースハムを軽く炒めると,とても美味しくなります。ピーマンも,茄子も,オリーブオイルで炒めると抜群です。

 オリーブオイルは多くが輸入ですので,それこそ有象無象のものが並んでいますし,値段もピンキリです。ただ,オリーブオイルの本場であるイタリアやスペインでも,品質表示が偽装されたり,ランクアップのための不正な化学処理が行われていたりして政府が介入する事態になるほどややこしいですから,ちゃんとした日本の大手メーカーのブランドで売られている物を使う方がよいと思います。

 次にごま油です。ごま油はゴマの香りを楽しむ油です。ですが,熱を加えると香りが飛んでいってしまいますので,あくまで仕上げに使うものと割り切って下さい。また,ごま油は大変にしつこい油ですので,たくさん入れると極端に味が落ちますし,胸焼けもします。


(6)バター,マーガリン

 固形油脂としては,やっぱりバターです。バターも,我々日本人にとっては雪印か明治のバターしか知らないんですが,世界中に様々なバターがあり,香りも味も違います。思うに,日本のバターはとても無難で応用範囲も広いですが,その分ちょっと個性が足りないなと思います。

 バターは牛乳から作りますが,油である事は変わりないので,基本的には体に悪い食べ物です。マーガリンに至ってはバターの代用品として工業的に作られたものだけに何をされているかわからず,さらに罪深いと言えます。

 バターは積極的に塩味を付けたいときに使う油です。ゆえに,無塩バターは通常の料理では使いません。もともとお菓子やパンで使う物ですが,これも塩を少々控えれば通常のバターで対応可能ですから,無理に高価な無塩バターを使うことはないでしょう。

 バターは油の力で脱水し,同時に豊かな風味と塩味で着付けをする,一石二鳥な調味料です。ほうれん草やインゲン豆をさっと茹でてからバターで炒めると,実に美味しく食べられます。

 また,醤油との相性も抜群です。魚のムニエルのソースに,焦がしバター醤油を使ってみて下さい。

 マーガリンですが,やはり体に悪い油ですので,積極的に食べるようなものではありません。ただ,バターの代用品という時代は終わっていて,バターとは違う別の調味料として扱うべきと思います。

 その使い道ですが,残念ながらパンに塗る以外にはありません。むしろパンにはマーガリンが一番あうんじゃないかと思います。

 ショートニングや,バター風味のマーガリンなどもありますが,料理には使いませんので,無視して下さい。


(7)塩

 塩は私はたくさん使います。味付けと言うよりは,下ごしらえに使うのですが,肉でも魚でも,調理前にびっくりするほど振りかけて,常温に戻しつつ余計な水分を吸い取り,身を引き締めます。

 こうすると,チルドに入れて4,5日経過した魚でも,美味しく食べることが出来ます。

 冷蔵庫から取り出した肉や魚に塩を振りかけて15分もすると,表面にうっすら水が浮いてきて,塩を溶かしていきます。こうなると調理に最適な状態です。塩が粒のままなら,もう少し待つ必要があります。

 さて,この塩というのもスーパーに行けば様々な種類があり,まさにピンキリです。確かに天然の粗塩などは,そのまま口に入れても豊かな味わいがしますが,私は塩については,最も安い普通の塩を選んでいます。

 高価な塩と安価な塩の違いは,結局のところ,主成分である塩化ナトリウム以外に何が入っているかという差です。それは塩化カリウムだったり,塩化マグネシウムだったりします。塩化マグネシウムとはにがりのことですね。高価な塩に苦みがあるのは,こいつのせいです。

 私に言わせれば,せっかく純度の高い塩が手に入るのに,わざわざ不純物が入っていて,味が変わってしまうようなものを使うことはないと思います。その上,ただでさえ吸湿性の高い塩化ナトリウムなのに,それ以上に吸湿性の高い他の塩(えん)が入っているせいで,サラサラとしていない塩は,使いにくくて仕方がありません。

 塩は基本的な調味料なのに,応用範囲が広く,かつ使いこなしが難しいものです。安いものが上手に使えるようになるまで,高価な塩はお預けです。


(8)砂糖

 以前は,私は砂糖は邪道だと思っていたので,全く使いませんでした。家に砂糖が常備されていない時期もあったほどです。

 ですが,美味しいものは油と糖で出来ているという通り,砂糖が味蕾に吸い込まれた時に感じる幸せというのは代えがたいものがあり,甘みと感じる直前の,うまみと感じる程度の少量を使うことで,料理が実に幅広くなったように思います。

 砂糖には,甘みとうまみ以外に,とろみや照りをつけるための目的と,少しこがして色を付ける目的もあります。うまみは特に「コク」となるので,コクが欲しい料理には欠かせません。

 砂糖といっても,普通に料理で使う上白糖もあれば,グラニュー糖もありますし,黒糖や氷砂糖もあります。それぞれ単独で食べると違いがよく分かりますが,高い砂糖はとても上品な味がします。

 また,単独で売られていない糖も活用可能です。100%のリンゴジュースに入っている糖分はブドウ糖などの果糖です。これは上白糖よりも甘みが少ない,さわやかな味がしますが,こうしたジュースを使うことで甘みを整えていく方法も使ってみましょう。


(9)ソース

 関東ではブルドッグソースが有名ですが,ここではウスターソースを取り上げます。ソースというのは,フランス料理でもよくでてくるように,基本的には料理ごとに作るものですので,あんな風にボトルにいれて,ジャブジャブかけて食べるような汎用の調味料ではありません。

 ですが,明治になり,ぶっかければ手軽に洋食の味になるという「西洋の醤油」くらいのノリで,イギリスで使われていたあるソースを売り出したところ,大正から昭和にかけてのコロッケやとんかつのブームに後押しされて,すっかり日本の食卓の定位置におさまったのが,ウスターソースです。

 ウスターソースを作るのは,手間がかかります。たくさんの野菜や果物を使い,煮込んでは濾して煮込んでは濾して,ドロドロになるまで繰り返して作りますから,野菜の味が凝縮されています。

 どうも大手メーカーのソースはコショウの辛みが強いように思いますが,それでも塩辛さ,甘さ,酸味,うまみ,そして香辛料の辛みまで備えたウスターソースは,他では代用不可能なので,常備しておく価値のある調味料です。

 そして,ソースこそ地域やメーカーによって味が大きく異なります。好みの物を見つけるにはとても骨が折れますが,量産品を手がけるメーカー勤めの技術者である私としては,やはりコストと入手性を重視したいところで,ここはブルドッグソースがいいんじゃないかと思います。


(10)オイスターソース

 中華料理には必須の調味料ですが,さすがにカキを煮込んで作る調味料だけに,うまみ成分は強烈です。塩分も強いので注意が必要ですが,これを入れればあっという間に本格中華の出来上がりです。ただ,貝類の独特の臭みがありますので,熱はきちんと通して下さい。

 天津飯や芙蓉蟹といった,卵を使う料理に欠かせない「あん」ですが,これも酒と濃口醤油と鶏ガラスープではなく,後述する中華だしと薄口醤油と酒,そしてこのオイスターソースを使うと,ぐぐっと格が上がります。

 また,もやしとキャベツとにんじんに豚バラという簡単な野菜炒めでも,オイスターソースを使うと全然食いつきが違ってきます。特にピーマンを使う青椒肉絲はオイスターソースが中心的な役割を果たします。


(11)コンソメ

 私もつい先日まで知らなかったのですが,日本で普通に手に入る,固形の「コンソメ」というのは,正確にはブイヨンというんだそうです。正確なコンソメというのは出汁ではなく,スープなんだそうですが,味の素がこの手間のかかるコンソメスープをお湯の溶かして作る事の出来る「コンソメスープのもと」を売り出したところ,日本ではこれを「コンソメ」というようになったらしいです。

 でも,私は日本人で,家庭料理を嗜む人です。生まれたときからコンソメはコンソメであり,西洋出汁です。
 
 コンソメは非常に重要な出汁で,私の場合これを切らすと全く前に進めません。スープでもカレーでもシチューでもスパゲティでもカボチャのポタージュでも,洋食のベースはほとんどこれです。

 コンソメは塩も油もたくさん入っているので,入れすぎは禁物ですが,しっかりとコンソメを使わないと,カレーだって味が落ちます。

 で,コンソメという言うからには,味の素のコンソメがうちでは常備されているのですが,以前似たような物で味が違う,マギーブイヨンとの使い分けを模索したことがありました。

 しかし,マギーブイヨンは味の素のコンソメに比べて効き目が穏やかで,コクも出てきません。DX7とXpanderをユニゾンで鳴らして深みを出すのと同様に,両方を混ぜて使ったりもしましたが,結局マギーブイヨンを入れてもあまり変化がないので,もうやめてしまいました。

 ただ,この穏やかさをうまく使って,他の調味料,例えば醤油などをうまく使う事も可能です。


(12)酢

 酢もよく使う調味料です。もともと酸味とは傷んでしまったものの味ですから,酸っぱい物は食べられないと,体が覚えています。同様に苦い物や辛い物は毒物の証として反射的に口から出すわけですが,これを美味しいものとして再定義し,酸味と共に使いこなすというのは,生命活動を越えた文化的活動のなせる技と,感心してしまいます。

 世界中に酢は存在し,味も違えば材料も,作り方も違います。共通しているのは発酵によって作られた酢酸が,酸味の主役である事です。発酵のために糖があれば酢が出来ますので,米や麦,林檎やぶどうといった果物から作られ,それぞれに独特の味と香りがあります。

 同じ酢酸だからと,バルサミコ酢で三杯酢を作っても美味しくないし,サラダに使うドレッシングを米酢で作っても今ひとつです。

 使い分けが大事なのですが,そんなにゴロゴロと酢を常備するわけにもいきませんから,ここはちょっと高いのですが,米100%の米酢を常備しましょう。安いのは穀物酢といって,トウモロコシなどの雑多な穀物で作るものがあり,これはこれであっさりとした味わいがあるのですが,米酢には米酢らしいコクと香り,そしてしびれるような酸味があり,これはなかなか他では出せません。

 いわゆる「味ぽん」でもいいんですが,醤油とみりんと酢で三杯酢を作って,もやしをさっと茹でた物にかけて食べると,安いのにとてもおいしいです。

 余裕があれば,洋食に使うワインビネガーを1つ持っておくと,米酢ではカバー出来ない料理へ応用可能です。


(13)中華だし

 中華だしなんてのも,本当は時間をかけて作るもんなんだと思いますが,手軽に本気の中華を食べるためにぜひ使いたいのが,半練りタイプの中華だしです。

 鶏ガラスープや,顆粒の中華スープもありますが,そんなものをこちょこちょと使うよりは,高価ですがカンに入った半練りタイプ一発で勝負に出てください。

 餃子に,春巻きに,野菜炒めに,チャーハンに,卵スープにと,もうとにかく隙あらば投入する位の気持ちで使っても,全然失敗しません。

 おそらくですが,世の中の多くの中華料理屋さんの味が,すなわちこの味なんじゃないかと思います。

 最近,ライセンスの関係からややこしいことになったようですが,私はずっとウェイバーという赤い缶を使っています。これをお湯に溶いて,溶き卵を回し入れるだけで,本格的な中華スープが完成します。わずか3分です。


(14)香辛料

 子供が小さいので香辛料はあまり使えませんが,コショウはコショウ弾きで粗めにひいたものだと,香りが強い割には辛さが抑えられてよいです。コショウの粒は高温多湿に弱いので,使う直前まで冷蔵庫に入れておき,コショウひきに入れる分量も出来るだけ少なくするのがコツです。

 洋風の煮物で必須なのが,ローレルです。カレーでもシチューでもコンソメスープでもカボチャのポタージュでも,煮込む物は必ず入れます。

 これ,香りも味も強くないのですが,入れると入れないとでは大違いです。無駄に思うかも知れませんが,かすかな苦みと,口に入れた瞬間に広がる香りは,それがローレルの仕業であると分からなくても,おいしさを何倍にも引き上げてくれます。

 バジルやナツメグも,ほんの少し入れると何倍もステップアップするのですが,乾燥させた小瓶に入った物を持っておけばよいと思います。

 パセリも乾燥したものを常備しておくといいです。香り云々というより,あの濃い緑色が,料理を実に美味しく見せてくれます。

 常備しておくべきは,おそらくショウガでしょう。ショウガだけはチューブに入った物はダメで,面倒でも生の物を買ってきて使うしかありません。

 入れすぎると味をぶちこわしますが,入れないともはや食べられないくらいになってしまいます。思うに,人間には「この料理にはショウガの味」という刷り込みが成されていて,豚の生姜焼きとか鯖の味噌煮にショウガの味がしないと,まずいと思うのではないかと思います。

 なので,こればかりは切らしてしまったからあきらめる,と言うものではなく,うっかり切らしてしまったなら,急いで買いに行くか,思い切って使わない別の料理に切り替えるかをしないといけないです。

 あの,冷や奴にのせたショウガのうまさときたら,もうたまりません。辛さと酸味がさわやかで,量を調整しつつ様々な料理に展開したい香辛料です。


 てなわけで,1回目はとても長くなりましたが,調味料について書いてみました。どの料理にも共通することですし,常備されていることが前提ですので,仕方がないなと思います。

 この,常備というのが案外大切なことで,使いたい時にいつでも用意されていること,特に味見をしてその方向をちょっと修正したいときに,使い慣れた調味料があるかないかは成否を分けるものです。

 とはいえ,常備する物ですから,たくさんの品種は置けません。厳選されたものを切らさないように維持することがとても大切です。個人的には,ここに取り上げたくらいの調味料があれば,普通の料理には困らないと思います。マヨネーズもケチャップも,あれば便利ですが料理にはほとんど使いません。

 さて,次回以降はレシピです。私自身がこれを見ながら料理をするために書くという目的が主になりますので,短く簡潔に書きます。


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