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2016年06月23日の記事は以下のとおりです。

HP53131Aを使ってみる

  • 2016/06/23 08:19
  • カテゴリー:make:

 さて,HP53131Aの続きです。

 53131Aには高精度オプションが用意されていて,これを使うと内蔵発振器の精度を10E-9まで高める事が出来ます。

 OCXOになっているのは当然のことなのですが,このOCXOは電圧制御で周波数を動かす事が出来るもので,その制御電圧はDAコンバータでカウンタ本体から生成されます。

 どうも,正確な10MHzを入れて校正スイッチを入れると,OCXOを調整して10MHzになるようにしてくれるようです。電子校正と取説に書かれているのはこれの事のようです。確かにこれは便利ですね。

 しかし,このDAコンバータがなかなか高価で入手が難しいらしく,自作する場合の最大のネックがこれなんだそうです。高精度なOCXOの入手がそんなに難しくないというのが,今どきの話だなあと思います。

 OCXOにしてもTCXOにしても,どのみち校正が必要なものである以上は,調整方法に外側からアクセス出来ないといけません。電子校正はその手段の1つではありますが,それが難しいなら,手動で合わせる事になります。

 幸い,私が持っているOCXOの1つは,なかなか高精度な実力を持っている上に,電源電圧は5V,電圧制御は出来ないですが,トリマで微調整が出来ます。しかも出力は5Vの矩形波です。

 これを内蔵しようかと思ったわけですが,やっぱり校正が面倒だという理由で,外に置くことにしました。電源だけは53131Aからもらうことにし,24時間通電をすることとしますが,クロックは外部クロック入力に突っ込みます。

 そしてGPSの8MHzで校正をかけます。丸2日微調整を繰り返しましたが,3日後以降は9桁目が±1しかずれなくなりました。なかなかいいです。

 ただ,やっぱりGPSですから,短期的な揺らぎが結構あるのがわかります。これを使って基準クロックを調整出来ても,うまくいって10E-8くらいでしょうから,9桁は全然信用出来ないんですけどね。

 ところで,なんでこんなことをやっているかという話に戻るのですが,TCXOで作った時計が,予想よりも狂わないのが不思議で,ちゃんと測定しないとなあと思った事が理由です。

 TCXOって、1ppmくらいの精度です。1ppmといえば10E-6ですが,これは100万秒に1秒ずれる計算になります。100万秒と言えばすごい数字ですが,一日が86400秒だと考えると,わずか11日で1秒も狂うんです。これは時計としては今ひとつです。

 ですが,実査に作って見たものは,11日どころか,半年くらいでようやく1秒狂うかどうか,という感じなのです。計算間違いか,私の勘違いか・・・

 測定すれば一発でわかると思いきや,10E-6程度の周波数カウンタでは意味がありません。それで,10E-9くらいの精度は最低必要という話になっています。

 そこでGPSです。GPSはそのままでも1秒ごとに10nsくらいのゆらぎであり,これは10E-8くらいの精度を持っていることになります。

 この周波数を基準にして,時計のTCXOをざっくり測定すると,32.768kHzは32.7680020kHzとなりました。精度は6.1E-8となるわけで,1秒ずれるのにざっと190日かかる計算となります。うん,半年くらいで1秒という現実に,概ねあっていますね。

 とまあ,自分がここまで高精度な時間軸を本当に必要とするとは夢にも思わなかったのですが,時計というのは小さな誤差でも積み重なって大きな狂いを膿みますので,やはりこのくらいの精度が必要なんでしょうね。

 しかも,一桁改善した時の効果が大きくて,3年に1秒のズレを一桁改善すると,30年に1秒しか狂わなくなります。当たり前の事ですが,人間の一生なんて本当に短く,我々は長い長い時間の流れを,ほんの一瞬だけ生きているんだなあと思いました。

 ここらでちょっとまとめてみます。1秒ずれるのにかかる時間と,精度の関係です。

1E-5 0.003年(1日)
1E-6 0.03年(11日) 1ppm
1E-7 0.3年(3.6ヶ月)
1E-8 3年
1E-9 30年 1ppb
1E-10 300年
1E-11 3000年
1E-12 3万年
1E-13 30万年
1E-14 300万年
1E-15 3000万年

 ちなみに,普通の水晶発振子が1E-5くらい,TCXOで1E-6程度,OCXOだと1E-7から1E-8と言われています。また地球の自転周期が1E-8,公転周期が1E-10だそうです。

 そして,ルビジウム原子時計が10E-13,セシウム原子時計が10E-14くらい,そして一次標準器という一番精度の高いセシウム原子時計で10E-15くらいという話です。さらに,光格子時計という最新のものだと,なんとまあ10E-18まで見えているそうで,こうなると300億年に1秒のズレになります。さすがにこれくらいになると,もう非現実な世界になってきます。

 なにやら,こういう高精度な時間標準のために,底なしの戦いに身を投じることを,高精度病というらしいのですが,残念ながら私は原子時計に手を出していないので,罹患していないと断言出来ます。

 でも,せっかくの53131Aを意味のある測定器にするためにも,やはり10E-11くらいの精度は,手に入れたいものです。


 さて,話を戻すと,TCXOの時計を10E-9レベルの基準クロックで測定してみました。

 源発の26MHzは26.0000020MHzでした。CLK0からの出力は32.7680020kHzでした。精度を計算すると,源発は26MHzに対し-7.69E-8,CLK0は32.768kHzに対し-6.10E-8です。

 これは,それぞれざっくり150日で1秒のズレと,190日で1秒のズレということになります。

 TCXOのい時計は,2ヶ月動作させて0.3秒くらいのズレだったので,おおよそこの測定結果とあっています。

 しかし,源発のずれと32.768kHzのズレは一致していないといけないはずで,そうなっていないというのは,やはり基準クロックの精度が低く,そのせいでそれぞれのクロックを正しく測定出来ていないんだろうと思います。

 もう一桁,さらにもう一桁精度が上がると,もう少し測定結果が揃ってくるんじゃないかと思います。

 そうなってくると,高精度の周波数基準が欲しくなってきますね。せっかく桁数の多い周波数カウンタを手に入れても,ウソの表示が出ているだけというのは寂しい物です。

 でも原子時計は個人では持ちたくないし・・・GPSDOを作ってみましょうか。


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