エントリー

2016年10月27日の記事は以下のとおりです。

KT-1100Dの再調整で泥沼

  • 2016/10/27 11:46
  • カテゴリー:make:

 先日,オーディオアナライザVP-7722Aに,自作したIHF-BPFを装備し,FMチューナーをちゃんと測定出来る環境を整えたわけですが,懸案だったKT-1100Dの再測定を行いました。

 行いましたが,もうとにかくひどい有様で,ここに書く気もおきません。セパレーションは30dBを割り込んで,そこらへんのラジオ並みです。歪み率も良くないので,意を決して再調整することにしました。

 これが不幸の始まりです。

 再調整は,実にスムーズにいきました。RFの調整はいつもの通り難しくなく,簡単にできました。歪みを減らすDCC回路の調整も,IHF-BPFのおかげで不要な高調波がカットされ,とても楽に調整出来るようになりました。

 セパレーションは70dBに達し,歪率もステレオで0.02%@1kHz以下になりました。よしよし,これなら万全だと安心をしたのも束の間で,セパレーションの値がどんどん悪くなって行きました。

 そこでまた調整をしますが,またずれる。これを何時間か繰り返してもなかなか落ち着く気配がありません。適当な所で妥協してフタを閉じると,そこから急激に悪化し,30dB程度になってしまいました。

 温度変化によって,セパレーションがどんどんずれていくんですね。これは以前もそうでした。前回は結局あきらめて,常用温度域で50dB程度のなるような調整をして,手を打ったのです。

 今回もそうしようと思ったのですが,ちょうど暑い日と寒い日が交互に来るときがあり,数日通電してせぱれーしょんの変化を追いかけたのですが,気温によって大きく変動することがわかりました。

 機内の温度がそれなりに高くなっても,やっぱり気温の変化は影響を受けるのです。これでは夏と冬とで性能差が大きくなりすぎて,使い物になりません。

 こんなに温度変化が大きいのは,どこかが壊れているからだろうと故障箇所を調べることにしましたが,やっぱりよくわかりません。

 そもそも,70dB以上のセパレーションをたたき出す回路ですので,本質的な部分で回路が動作していないということはないわけで,きっと交換した部品の温度特性が悪いか,半導体の劣化だと思いました。

 指で触って大きく変動する部品を探してみると,なんだかんだでLA3350というFMステレオデコーダのICを触った時が一番変動が大きいです。

 KT-1100Dのステレオデコーダは,一般的なものとはかなり違っていて,コンポジット信号から副信号だけを抜き出したものと,38kHzのサブキャリアをアナログ乗算器に突っ込んで,L-Rの信号を復調します。ここにお金がかかってます。

 主信号のL+RとL-Rを加算してLを,L-Rを反転してL+Rに加算してR信号を得るというのがKT-1100Dです。

 別にそんなことをしなくてもと思う訳ですが,一般的なスイッチング方式というのは38kHzのサブキャリアを正弦波ではなく矩形波で乗算したものと考える事が出来るわけですが,その結果どうしても綺麗に分離できない部分が出たり,歪みが増えたりするそうなんです。

 そこで,正弦波で分離が出来るように,わざわざ高価なアナログ乗算器を使っているのですが,問題はアナログで信号処理を行う難しさとどう闘うかということです。

 38kHzのサブキャリアは,一般的なステレオデコーダICを部分的に利用して,19kHzのパイロット信号からPLLを使って生成します。LA3350を指で触ってセパレーションが悪化するというのは,どうもこの38kHzの位相が狂ってしまうからじゃないかと考えてのです。

 VCOのフリーラン周波数がずれると,どうも位相のズレが大きくなるようで,PLLがロックすればフリーラン周波数など関係ないと思っていた私は,己の不勉強を恥じました。

 で,そのフリーラン周波数は,指で触ると大きく変動することが分かっています。ここが温度特性を持っているのは間違いなさそうですが,もはやLA3350の内部の話です。故障や劣化が起きているのであれば,交換しか手はありません。

 しかし,LA3350は今はなき三洋の半導体ですし,40年も前の部品です。アマチュアに広く使われていた定番でもないので,入手は絶望的だと思われました。

 しかし,若松通商にあるとわかり,2週間ほど前の土曜日にさっと秋葉原まで買いに出かけました。本当にこのLA3350だけを買いに行った感じで慌ただしかったのですが,帰宅後交換しても現象は変わらずです。

 困りました。

 他の故障があるなら仕方がないのですが,実は気になっていたのが,温度特性の大きなカーボン抵抗ばかりが使われていることでした。ここをずっと温度特性の良い金属被膜にすると,抵抗の数が多いだけにかなり改善されるんじゃないかと思ったのです。

 100個近い抵抗をコツコツを数日かけて交換したのですが,すべてを交換してから通電すると,ステレオにならないばかりか,モノラルでさえも左右でレベル差が倍ほどあります。

 これはつまり,部品を交換し間違えたということです。悪いことにカーボン抵抗のカラーコードは4本,金属被膜は5本ですから,読み間違いをしがちです。大きい鞄ですから裏表をひっくり返すのも大変で,差し込む場所も間違いやすいです。そういうことが重なって,どうも抵抗を付け間違えたようなのです。

 私は回路図を持っていませんし,ケンウッド独自のステレオデコーダーの動作原理も正確に分かっておらず,しかも高価で今や貴重品扱いのMC1495のピン配置や動作など全然わかっていませんので,波形を追いかけてもどの抵抗がおかしいかわかりません。

 試行錯誤を繰り返し,1日1箇所位ずつミスを見つけたのですが,セパレーションが全然良くなりません。真面目にMC1495を勉強し,似たような機種の回路図を眺めて動作を頭に入れて,波形を見ながら調べましたが,それももう限界です。

 もう1台KT-1100Dを手に入れる事も考えましたが,価格が高騰していて手が出ません。

 万策尽きたと嫁さんに愚痴ったのですが,ふと素晴らしいアイデアを思いつきました。
 
 外した抵抗の数を数え,基板上に同じ値の抵抗が同じ数だけあるかどうかを確かめるのです。一致していれば,少なくとも違う値を付けてしまうというミスの可能性は小さくなります。

 この方法で1つ間違いを見つけ,ようやく交換前の状態まで戻せました。この間3日。のべ6時間ほどかけて,自分の尻ぬぐいです。

 なんで1本交換するごとに動作確認をしなかったのか,1本が面倒なら3本でも5本でもブロックでも,なんで逐一動作確認をしなかったのか,そもそも値を間違えるとか,場所を間違えるなんてのは,ハンダゴテを買ってもらったばかりの電子工作初心者の子供がキットを完成させられない原因トップ3に入る基礎的な話じゃないかと,自分を責めてももう遅いです。

 時間がないと言う理由で一気に交換してしまったのが最大の問題であり,結局けちった時間の数倍の時間をかけることになってしまいました。こういうことで,さんざん痛い目に遭ってきたのに,まったく学習しないものです・・・

 かくして,温度変化を確認したところ,少しは改善したようなのですが,相変わらず変動があります。

 あと温度変化に影響がありそうなのは,アナログ乗算器から電流出力を引っ張り出す際の,カレントミラー3段です。高級機であるD3300Tなどは,ここにペアトランジスタを使ってあるのですが,中級機であるKT-1100Dくらいだと,ここには汎用の2SA733や2SC945をバラで使ってあります。熱結合もされていません。

 ですので,ここはhFEでペアを取り直し,接着して銅箔で巻いて熱結合してみようと思います。でもまあ,出来る事はこのくらいなんですよね。LA3350を指で触ってセパレーションが悪くない問題は,このくらいでは解決しないと思います。



ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2016年10月

- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed