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2016年11月08日の記事は以下のとおりです。

KT-1100Dの顛末~その1

 先日から散々悩んでいるKT-1100Dですが,いろいろやってますがうまくいってません。セパレーションが時々刻々と変動して,ちっとも安定しないのです。

 はっきりいって万策尽きたと言っていいと思います。

 詳細は次に述べるとして,結論を書けば,どこか壊れているか,こんなものかの,いずれかだと思います。もう疲れました。


(1)LA3350を予熱する

 フタを開けた状態でセパレーションを最良点に持っていっても,時間が経てば平気で30dB以上悪くなってしまうという,とんでもないドリフトを起こしているKT-1100Dですが,筐体内には結構な発熱がある電源回路が存在しているので,温度の変化は結構あります。

 セパレーションの最良点は大体74dBくらい(これはかなりいい数字です)なのですが,これがすぐに50dB台になり,フタを閉じれば40dB台,そのまま一晩放置すると30dB台まで悪化しています。

 これだとやはり温度変化ではないかと思う訳ですが,指でさわって特性が大きく変わる箇所を探してみると,一番大きい変化をするのはLA3350でした。

 ステレオデコーダICであるLA3350を,38kHz生成用のPLLとして使っているのがKT-1100Dですが,このPLLのVCOのフリーラン周波数が温度で大きく変動します。事実,フリーラン周波数をぴったり19kHzにするとセパレーションの値は70dBを越えますが,1Hzでもずれると60dB台止まりです。

 LA3350に繋がる抵抗をすべて金属皮膜に変更し,コンデンサはマイカコンデンサに置き換えて,温度特性を小さくしてみたものの変化無し。これはもうLA3350自身の問題と考えるしかありません。

 そこで,LA3350を暖めることにしました。

 気温の変化も含めて,LA3350を一定の温度に出来ればいいのですが,そのためにあまり大げさな装置は組みたくありません。そこで,パワーアンプの熱暴走対策用のバイアス回路をちょこっといじって,一定温度で発熱する回路を作りました。

 実際に発熱する熱源たるパワートランジスタと熱結合したバイアス生成用のトランジスタの2つで構成され,自身の発熱はもちろん,周囲温度によるコレクタ電流の増大を押さえる回路です。

 さっと試作して,ドライヤーで暖めたり冷やしたりしても,コレクタ電流が一定に保たれることを確認しました。これで一定の温度になっているはずです。設計では,14Vで65mAから120mAくらいまで調整可能にしてあります。

 熱源トランジスタのVCEは約12Vでしたから,これに100mAを流せば1.2Wです。表面温度w調べて見ると,60度くらいになっています。

 これをLA3350にくっつけてみます。

 なるほど,VCOの周波数は安定してきました。しかし採取的なセパレーションはやはり変動します。変動の幅は小さくなっているように思いますが,それでもフタを閉じて40dB台になってしまいます。きっとLA3350だけではないんでしょう。

 結局この回路は外してしまいました。


(2)カレントミラーの熱結合

 先日も書きましたが,MC1495の電流出力を引っ張り出すカレントミラーを熱結合してみました。実は,熱結合前に,トランジスタの片側だけを触っても全然セパレーションが変化しなかったので,きっと意味のない対策だろうと思っていたのですが,やってみたら本当に効果がなく,がっかりしました。


(3)基板のたわみ

 面白い事に,基板を上から押し込む方向にたわませればセパレーションは悪化する方向に,逆に引っ張り上げてたわませれば,良くなる方向に値がずれていくのです。物理的な位置関係や歪みが変わることで10dB程もセパレーションが変化するのですからよっぽどで,ベークで出来た基板だけに熱による変形は大きいだろうと思いました。

 そこで,基板を固定しているビスを緩めて,熱の変化でも基板が変形しにくいようにしてみました。

 結果はダメ。変化無しです。


(3)熱源を外に出す

 KT-1100Dは,安定化されていない22Vから,安定化した14Vを得るための電源回路を持っています。制御用のトランジスタが比較的大きな放熱器にネジ留めされており,これが結構な熱を放っています。

 フタを閉じれば筐体が徐々に熱を持つようになります。

 最終手段として,この熱源を外に出して,密閉された空間の温度上昇を食い止めようと考えました。

 やったことは単純で,熱源たるトランジスタを放熱器ごと取り出し,筐体の背面に取り付けて,ケーブルで基板に取り付けます。

 かなり機内の温度上昇は押さえられ,フタを開けてももわっと熱い空気が吐き出されることはなくなったので,その結果が楽しみだったのですが,一晩放置した後のセパレーションは43dB。確かにいくらかの改善はありますが,それでもこの悪さです。

 それに,熱源を外に出すという作戦は,外気温の変化には無抵抗です。この日の朝は冷えましたので,そのせいで大きくずれた可能性はあります。

 どっちにしても,これはあまり大きな効果はありませんでした。


(4)万策尽きた

 ここまでやっても改善が見られないということですので,仮に温度変化が原因だとすれば,その影響を受けている原因箇所は複数あるという事でしょう。それらすべてを熱的に対策するのは無理です。

 あるいは,本来なら温度変化を受けないように作ってある回路が壊れているケースです。一見するとちゃんと動いている回路ですから,故障箇所を探すのは難しい作業です。これもしんどいですね。

 最後に,こんなものだという話。KT-1100Dという機種は,温度に対してセパレーションが大きく変動するものだということですが,そんな話は聞いたことがありませんし,可能性は低そうです。

 やっぱり,この個体の故障ではないかと思うのですが,動作確認前にケミコンの交換を始めたもんですから,交換ミスがあるのかも知れません。だからといってこんな温度変化に関する問題が出るとは考えにくいのですが,どっちにしても私が今考えうる対策は,もう全部やりました。そしていずれも効果に乏しいものでした。

 これで折り合いを付けるしかないなあと思うのですが,幸いにしてもう1台,KT-1100Dの動作品を入手出来る事になりました。

 動作品と言っても,とりあえずステレオ受信が出来るというだけの話ですから,本当に大丈夫かどうかはわかりません。

 しかし,この新しいKT-1100Dで温度変化がないなら,やはり故障していたということになるでしょう。逆に,新しいKT-1100Dも温度変化が大きいのであれば,この機種はこんなもんだとあきらめも付くというものです。


 ところで,ベストに調整したときの測定値ですが,これがなかなかよい値が出てきたんですね。セパレーションは大きくずれるのですが,それ以外は安定しているので残念なのですが,参考までに書いておきます。

・WIDE時
 歪率 L: 0.0068%  R: 0.0068%
 S/N L: 74.0dB  R: 74.0
 セパレーション L->R: 73dB  R->L: 73dB
 

 このうちセパレーションが,どんどん悪くなってしまい,そのうち30dB台になります。外気温の影響も受けますし,これを実用的に使うというのは,ちょっとないなあと思います。

 大事な事はピーク性能ではなく,安定した性能です。F-757は絶対性能はこんなに良くないと思いますが,安定性はよいので,こっちを常用することも視野に入れようと思います。

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