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2016年11月24日の記事は以下のとおりです。

MacBookPro(Late2016)15inch TouchBar,使った!

  • 2016/11/24 09:12
  • カテゴリー:散財

 さてMacBookPro,上海から出荷されたのが11月15日,予定日である19日の午前中にきちんと届きました。新しいPCを買うのも久々なら,出荷から届くまでワクワクした買い物も久々です。

 店頭での販売も19日からという事ですので,私は先頭グループで祭りに参加したということになります。こんなのも初めてです。


 「箱も商品」という考え方から,箱をさらに段ボール箱に入れて送ってくれることはいつも通りですが,この段ボール箱が良く出来ていて,緩衝材として入っている段ボールの端っこをぐいっと外に広げると,すすーっと中の箱がせり出してくるのです。

 こういうのって,なかなか出来ないです。感心しました。

 箱を開けると出てきましたよ,スペースグレーのMacBookProが。なんだかMacBookAirをそのまま大きくしたような感じがします。15インチという大きさにもかかわらず剛性感は高く,手に持った瞬間にうれしくなります。

 入っているものを確認すると,本体とACアダプタとUSB Type-Cケーブルだけ。あれこれと付属品が入っていると得をした気がするものですが,冷静になったときにそれら細々したものを片付けるのにうんざりすることが私は多いので,このシンプルさはむしろ好都合です。

 そしてMacBookProを開きます。

 開くと勝手に起動します。これも聞いていたとおりです。そして,あのおなじみの起動音もなくなりました。これもまた,聞いていたとおりです。起動音は確か,1990年代前半に登場したMacintosh Quadraという初の68040搭載モデルから採用されたものがそのまま長く使われていたと記憶していますが,寡黙に立ち上がるMacに寂しさを感じながらも,実はもうMacは電源を切るとか起動するとか,そもそもそうした概念がなくなっているんじゃないかと思いました。

 そういえば,ここ数年は起動音を聞いていませんでした。時々再起動したときに音が出るので,びっくりするくらいです。

 さて,電源が入ったら設定には手を付けず,さっさと古いMacBookProから環境移行アシスタントで環境を移行します。せっかくだから環境移行アシスタントを使わずに,いちから手作業で環境構築をしようかとも思ったのですが,時間もかかるし,コピー漏れや設定漏れがこわくて,環境移行アシスタントに頼ることにしました。

 古いMacBookProとは,Firewire800で直接繋ぎます。古いMacBookProをターゲットモードで起動して,新しいMacBookProでは環境移行アシスタントを起動します。あとは指示通りに従い,しばらく放置です。

 私の場合,どちらも同じ容量のSSDだったので容量の問題は発生せず,2時間半ほどでスムーズに移行作業が終わりました。OSのバージョンが異なるため,そこでの問題を心配しましたがこれも問題なしです。

 再起動してみると,古いMacBookProと全く同じ環境がそこに再現されていて,その完璧ぶりに感動しました。ScanSnapもLightroomもSafariはもちろん,デスクトップにおかれたアイコンまで同じ。

 そしてTimeMachineです。新しいMacBookProで引き継いでくれます。その代わり古いMacBookProでのバックアップはもう出来なくなります。環境移行なんだから,それで全然構いません。

 ということで,これだけあっさりと環境移行が終わり,その日の午後には実運用に入ることが可能でした。この時間短縮は素晴らしいですよ。

 数日間触ってみたところで,インプレッションです。


・全体的な話

 大きさは古いMacBookProとほぼ同じです。ただ,薄くなり,軽くなったこともあって,ぱっと見たところ小さく見えます。MacBookAirの15インチモデルだとウソを言ってもばれないんじゃないかと思います。

 この薄さを実現しているのは,賛否両論あるUSB Type-Cコネクタへの一本化のおかげです。Type-AコネクタやHDMIなど,あれこれついていると便利なように思いますが,人によっては使わないもの,時々しか使わないもののために,誰にとっても重要な薄さを犠牲にするのは私は正しくないと思っていて,このシンプルさをもっと他も見習って欲しいです。

 ただ,いくら薄い軽いとはいえ,常に持ち運ぶような気軽さがあるわけではありません。マシンの性能も高いですし,これはいざというときに持ち運べる,トランスポータブル型のワークステーションと考える方が正しいと思います。


・TouchBar

 さて,今回のモデルで台風の目になったのが,ファンクションキーの代わりにおかれたTouchBarです。ディスプレイの横幅と同じだけのピクセル数を持つOLEDにタッチパネルを組み合わせたもので,やれファンクションキーがなくなって困るだの,やれESCキーがないのは致命的だのと,まだ有効な使い方が出揃っていない今は否定的な意見が支配的なように感じます。

 実際に目にすると,まずその表示の鮮明さと精緻さに目が釘付けです。まるで薄いシールを張り付けたような綺麗さで,角度によって色が変わったり見え方が変わったりしません。OLEDでなければこの素晴らしさは実現出来なかったでしょう。

 そして,発色のいいカラーが出ていることに気が付くとまた感激。音量や画面の明るさを変更する時も,スライダの呼び出しをしてから指の位置を変えず,そのまま左右に動かせばよいという親切さです。

 TouchBarのカスタマイズ時には,機能をTouchBarまでドラッグしますが,この時LCDからTouchBarまで,するするアイコンを動かして好きな場所におくことが出来ます。ちょうど2画面あるような感じです。

 タイムラグもなし,ユーザーの作業を邪魔することもなく,次々に表示と機能が変わっていくTouchBar。必要のある人にはとても便利で楽しく,しかしながらTouchBarを使うことを強制されるわけではないので,必要のない人には全く無視して良い存在に仕上がっており,これは本当によく出来ています。

 実は,これまで,画面の明るさや音量を変えるときに,いちいちFnキーを押しながら行うのが嫌でした。二本の指が必要になりますからね。そこで私はKarabinarというソフトを使って,Fnキーなしで変更出来るようにしていたのですが,sierraでは使えなくなったのです。

 Airでは困っていたわけですが,TouchBarでは画面の明るさと音量を指1本で変更出来るようになりました。これでKarabinarはいりません。

 つくづく考えてみると,このTouchBarというのはAppleらしい発明です。WindowsもMacも,タブレットやスマートフォンの「画面を触る」というインターフェースをPCに統合しようとしています。この流れは止まらないと思います。

 しかし,かつてJobsも話したように,人間の腕は垂直に切り立った画面を触るには重すぎるのです。そして不自然な動作で疲れてしまうUIを導入して大失敗したのがWindows8です。

 Appleは,画面を触るUIのために,キーボードの上側にもう1つ画面をおきました。これでPCの利点である目線の先に自然に立っている画面と,タッチパネルとを同居させることに成功したわけです。

 もちろん,Windows8のように直接画面を触るUIにも,視線を動かさずに済むというメリットはあります。しかし,それまで見るだったLCDが,突然指示を出すための装置になってしまうことへの違和感が大きいことや,視線移動を嫌うそもそもの理由がキーボードのブラインドタッチを邪魔するものであったことを考えると,PCで画面をタッチするUIというのは,あまり意味がないものだと言えます。

 TouchBarでは,視線の移動もなく,ブラインドタッチも続けたまま,使うことが出来ます。ユーザーは視線移動やブラインドタッチが中断される事へのデメリットを上回るメリットがあると思った時に,TouchBarの直感的な操作を選ぶことが出来るのです。

 惜しいのは,押したことのフィードバックがないことと,ESCキーの左側の空白にもESCキーの反応があることです。

 どっちも誤操作に関する問題なのですが,フィードバックがないので,触った後の反応を視覚で確認するまで視線を動かせません。それに,なれてくればTouchBarもブラインドタッチで操作できるようになるでしょうから,その際の反応を返してもらえないことで結局視線が動くのであれば,それはもったいないと思います。

 ESCキーについては,私はvi使いですが,別に違和感はありませんでした。しかし,私は癖でついついキーボードの左上に左手をおくので,知らないうちに中指がESCキーの近くに行っていることがあります。

 突然ESCキーが連打され,何事だとびっくりしては実はESCキーの近くを触っていると気が付く事が何度もありました。といいますか,私にこんな癖があったことすらこれまで知らなかったのですが,この癖に必然性はありませんので,まあ私が気をつけることにしましょう。


・TouchID

 指紋認証が実装された新しいMacBookProですが,電源ボタンの位置にTouchIDが仕込まれています。電源ボタンを兼ねることから,物理的に押下可能なボタンになっているのですが,これが便利なようでなかなか馴染みません。

 まず,完全にパスワードを置き換えるものではないことが挙げられます。起動直後のログインではパスワードが必須,その後のスクリーンセイバーからの復帰はTouchIDで可能なのですが,今どちらの状態かは画面だけではわかりません。

 結局パスワードであればどっちもで対応可能ですので,いちいち確認せずにさっさとパスワードを打ち込んだ方が早いです。

 コントロールパネルの設定変更でも同様です。TouchIDでよい場合もあれば,パスワード必須のものもあります。セキュリティレベルの違いで差があるのでは分かりますが,もう少し規則性がはっきりすると使い心地もかわるでしょうか。

 期待外れだったのはTouchIDの認識率の悪さです。スクリーンセイバーからの復帰でtouchIDを使うようにしていたのですが,結構な割合で二度三度とTouchを要求されますし,結局ダメでパスワードになることもしばしばです。特に風呂上がりは全滅で,「私は本当に私なのか」という,まるでハヤカワのハードSFのような自問をする羽目になりました。

 ApplePayも使いませんし,たぶんTouchIDは使わなくなると思います。

 
・LCD

 15インチのRetinaの表現力はまさに圧巻で,その精細感はまるで印刷物です。すでに目が悪くなっている私にはもったいないくらいですが,それでも元のMacBookProには戻れません。

 解像度と共に素晴らしいのは,発色の良さ,そして明るさ,輝度ムラのなさです。

 今回のMacBookProの色域はsRGBを越えていますが,白は鮮やかになり,黒の白浮きもなくなって,コントラストが圧倒的に高くなっています。赤色もきらびやかになり,LCDもここまで来たかとため息が出ました。

 明るくなったことはあまり意味がないかなと思いましたが,Lightroomを使う時には,その余裕に助けられることがありました。暗い部分を画面を明るくして見るという自然な行動がコンピュータで出来ることは当たり前のようで,なかなか難しいことです。

 そして,輝度ムラがほとんどなくなりました。15インチにもなると輝度ムラは避けられず,視野角による見え方の変化もそれなりにあります。古いMacBookProでもそのあたりの性能には最初驚きましたが,新しいMacBookProではそうした不自然さはもうほとんど感じません。まさに写真編集のための道具です。

 LCDの前にもう1枚透明なパネルがありますが,この部分とLCDとは一体化していて,奥行き感がありません。まさに表面に浮かんで描かれます。アンチグレアではありませんが,映り込みも反射もコントラスト低下もほとんどなく,まったく意識することがありません。

 そういえば,ひところの新機種レビューでは,必ずといっていいほどアンチグレアでないことを揶揄するものが目に付きましたが,このMacBookProにについては,全く言及されていません。もうこの問題は決着したという事ですね。

 ところ私は,カラーマネジメントとしてColorMunkiDisplayを使っていました。今回,もしも必要がなければいい機会だから使わないようにしようかと思いましたが,使ってみるとやはりやや色温度を低めにしてくれて,プリンタとの差が小さくなりました。

 使わないで済むならそれが一番だと思っていましたが,とりあえずこれまで通り使って様子を見ようと思います。


・キーボード

 新しいMacBookProに対するもう1つの不安(あるいは批判)は,バタフライ式のキーボードにありました。12インチのMacBookと同じ構造のキーボードですが,このMacBookが出た時に,みな想像以上に使い勝手が悪かったので,今回も心配されたんだと思います。

 確かに,モバイルとしてある程度の妥協や割り切りが出来るMacBookに対し,UNIXを使ったり文章を書いたりするプロが使うMacBookProでは,キーボードに対する期待感が全く違います。不安が出るのは当然です。

 で,触った感じですが,私は全く問題なし。というか,大変心地よく,とても快適です。押し込むと言うより,あるいは叩くと言うより,なでるような感じで恐る恐る使っていましたが,案外強く叩いてもしっかりとしていて,そのクリック感も癖になり,とても楽しくタイピング出来ています。

 ストロークは浅いですが,遊びがなくグラグラしませんし,どこを押さえても同じように沈むので,実際のストローク以上に「押した」という感じが強くあります。キーの縁を押してもふにゃっとした感じがないので,癖になりそうです。


・トラックパッド

 そうそう,巨大なタッチパッドも忘れてはいけません。この部分に不安を感じる人はいなかったようですが,私は最近のMacを使っていない人でしたから,物理的に押し込めないトラックパッドに馴染めるか,実は結句不安でした。

 結論から言うと,快適です。

 以前のMacBookProやAirではトラックパッドが狭くて,指3本のスワイプや,広げる動作は辛いものがありました。しかし,そこらへんのスマートフォンよりも大きな面積のトラックパッドでは,そうした操作も楽々です。

 ハプティクスによるフィードバックも適切で,もう前の機種には戻れません。これも素晴らしいものでした。


・拡張性

 そして最大の懸念が,この拡張性です。プロが使う道具ですので,あらゆる用途に対応出来ることが望まれるのは当然なのですが,その実現には様々なインターフェースをもれなく搭載していざというときに備える事がこれまで取られてきました。

 Thunderbolt3(USB Type-C)への一本化はこれに逆らう流れに見えるわけですが,よく考えるとそうではなく,同じ目標の実現方法として,インターフェースそのものを万能にするというアプローチを果敢に取ってきたものだとわかります。

 どんなものも繋がる,どんなインターフェースも包含する,それこそ充電さえも可能な万能インターフェースを4つ用意しておくことで,もう機能別のコネクタをバラバラと並べることはしなくてよくなったのです。

 このことで,人によっては全く使わないインターフェースを無駄に用意することはなくなりましたし,物理的な制限(大きさとか奥行きとか)も少なくなり,あの持ち運びに便利で,美しい筐体が実現したわけです。

 確かに,今の周辺機器をそのまま移行できないのは面倒くさいです。しかし,徐々にそうしたものは淘汰されていくでしょうし,変換ケーブルでしのぐこともできます。私はこのType-Cへの一本化は大賛成でした。

 ところで,買った変換ケーブル類ですが,すべて問題なく動作しています。belkinのGbit Etherのケーブルは,差し込むだけで即動作しました。ただ,ファイルのダウンロードが中断したりすることがあり,これがこのケーブルのせいかどうかは分かりませんが,もう少し注意しておこうと思います。

 そうそう,SDカードリーダやHDMIも搭載した「3Q-LEVO Type-C USB ハブ ウルトラスリム」というハブを買ってみたのですが,これが失敗でした。

 新しいMacBookProでも使えると言うことだったのですが,最初に差し込んでも認識せず,何度か抜き差しするとようやく認識するという不安定さです。

 また,ハブにあるType-Cを介して充電をしようとしても,ACアダプタを87Wとは認識してくれないので,電力供給が制限されます。

 このType-CにBelkinのEtherアダプタを繋いでも動作しませんし,これでは使い物になりません。もうちょっと様子を見ますが,返品の可能性も視野に入れておきます。


・音質

 音質はわざわざ書いておきたいくらい良くなっています。この薄い筐体で,よくこれだけの音が出せるなと感心しました。

 よく見ると,左右に底面にスリットがあります。ここから低音が出ているようなのですが,このスリットもType-Cへの一本化によって作られたスペースで可能になったものだと思います。

 声は聴き取りやすく,音楽も楽しく聴けます。そこらへんの安い外部スピーカーはもはや必要がないでしょう。


・マシン性能

 ちょっと期待外れだったのが,サクサク感というか,キビキビとした速度です。新しいマシンほどキビキビ動くというのが当たり前だと思っていたので,ここは期待が高すぎたのかもしれません。

 画面の書き換え速度や反応速度などは,古いMacBookProでもそんなに不満はありませんでした。新しいMacBookProでも,意識するほど高速化したという感じはありません。

 CPUのクロックはそれほど変わっておらず,同時に走るスレッドが4から8になったわけですから,シングルスレッドの場合はあんまり体感速度は変わらないです。

 しかし,スレッドの数が増えた場合に,速度が落ちません。

 CPUのコアの数もそうですが,やはりバスやストレージといった足腰を鍛えてあるんでしょう。スレッドが増えた場合にはデータの転送が足を引っ張るのですから,重たい処理でも速度が落ちないというトルクの太さは,バランスの良いマシンの証です。

 特にLightroomで複数の処理を行う場合,例えば一括の変換や印刷という処理をバックグラウンドで行い,RAWの編集をするといった作業が,ほとんど速度を落とさず行えるのはすごいと思います。

 見た目の速度よりも,へこたれない強さ。最近のコンピューティングは,こういう方向に進化していたんですね。不勉強でした。

 もう1つ,H.264HDというH.264へのエンコーダを試したのですが,これはまあ期待通りの速度でした。古いmacBookProではUSBに繋ぐアクセラレータを付けて34fps程度だった処理速度は,アクセラレータ無しで68fpsと倍になりました。アクセラレータを繋ぐと50fpsくらいに落ちますので,すでにUSBがボトルネックになることがわかります。

 まあ,CPUのコアが倍になりましたから,このくらいの速度アップは当たり前かなと思います。


・使ってみて

 すぐに運用に入ることができて,たまりにたまった写真の現像と印刷を数日間まわしてみました。データは主にD2HとD800のRAWデータで,D2Hは約2000枚,D800は1800枚程の,いずれもRAWデータです。

 これをLightroomで処理していきます。処理バージョンの統一とレンズ補正を一気にかけて,D2HはここからJPEGの生成をします。

 そしてあとは印刷する写真をコツコツと選んでいく作業です。私の場合,現像タブから1枚1枚選んでもライブラリからサムネールで選んでも,結局時間がそれ程変わらないので,現像タブから選んでいき,いいと思ったものを選び出してその場でさっと補正を済ませてしまいます。

 こうすると,補正をかけて救えるものと駄目なものをその場で試せますし,反省点が見えてくるので次に繋げることが出来ます。レンズの癖も良く見えて楽しめますし,いろいろ試行錯誤をしましたが結局このスタイルです。

 いいと思ったもの,補正が済んだものはレーティングを付け,全部終わったらフィルタでレーティングが付いたものだけを表示,ここからさらにふるいにかけて最終的に印刷するものを決めます。

 そして,CanonのPRO-100で印刷です。

 ざっと,私のあまり合理的とはいえないワークフローを書きましたが,こういう鈍くさいことをやっていると,時間はかかるわ,急ぐといい写真を選び損ねるわで,これまでのMacBookProではLightroomを開く気さえ起きなかったのです。

 嫁さんの「高いマシンだけどあなたは使うからなあ」という,脅迫に似たつぶやきに震え上がった私はとにかくLightroomを立ち上げて,処理を進めます。

 確かに,RAWが現像されて高解像度の画像になるまでには数秒かかります。このタイムラグが期待外れの原因ではあったのですが,考えてみると古いマシンではここに10秒以上の時間がかかっていました。次々にフルスペックの画像を確認していきます。ピクセル等倍に拡大してもへこたれません。

 この背後では,D2HのJPEG書き出しが回っています。でも速度が落ちません。

 トリミング,露光量の調整,ホワイトバランスを整えて印刷データを作って行きますが,これも全然ひっかかりが出てきません。スムーズです。キーボードのタッチも快適です。

 印刷データがまとまったらここからプラグインエキストラにあるPRO-100の印刷ツールを起動して,Lightroomからデータを渡します。ここに少々の時間がかかりますが,これも以前のMacBookProだと昼ご飯が食べられるくらいの時間がかかっていたので,雲泥の差です。(ただ,ご飯が食べられるくらいの時間がかかると,本当にご飯を食べに行くのでなんら問題はなかったのです)

 そして印刷。印刷していてもどんどん写真を現像していきます。結局D2Hの2000枚,D800の900枚ほどを,のべ4時間ほどで処理し終えました。私の感覚だと,まさにあっという間です。

 負荷をかけてもへこたれず処理速度が「一定である」こと,バックグラウンドで処理がどんどん進むこと,ストレージへのアクセスが高速で待ち時間が短縮されること,トラックパッドやキーボードが快適,膝の上に置いても重くなく熱くならないこと,Lightroomでも長時間バッテリーが持つこと,画面が美しく印刷したときのイメージに極めて近いことなど,本当にこのマシンを手に入れて良かったと思います。使ってみて実感します。


・まとめ

 新しいものが出てくると,なにかと批判も出てくるものですが,不思議なことにAppleの場合は,最初はちょっと違和感があっても使っている内に馴染んできて,いつの間にかないと困るような存在になっているものです。

 今回のMacBookProもそういう感じがします。大きな変更が入っているのに,食わず嫌いをやめて一度使ってみると手に馴染んで快適になります。

 最近気が付いたことは,仮にそうして試して見た結果,やっぱりダメだと思ったら躊躇なく使うのをやめることができる事です。やめたところで従来通りの使い方を継続出来ることが分かっているので,とりあえず一度試して見ようか,という気分にさせられます。

 これがもし,試すまでもなく強制的に大きな変更が成されていて,気に入らなければ古いバージョンのOSに戻すか,古い機種を使い続けるかしか選択肢がないような話だと被害は深刻で,そういう勝手なことをやるメーカーの製品はもう使わないでおこうと,自然に避けてしまうのではないでしょうか。

 Appleというメーカーに対する信頼というのは,こういうことを長年続けてきたことへの安心感なのかもなあと,思います。

 いろいろと心配事も批判もあるのが,良くも悪くもAppleの製品です。しかしそんな話は使ってみればどこへやら,新しいものをまとめる力はさすがといえて,使った瞬間の面白さから,使っていてジワジワと出てくる満足感にいたるまで,やはりこれはAppleのプロ用ノートブックマシン,MacBookProです。

 ちょっと前のMacProを越えるようなパワーを,まさに膝の上で駆使できるのが,MacBookProです。単にCPUやGPUが高速であったり,メモリがたくさんあるとかストレージが高速であるとか,そういうスペックの高さだけではこの使い心地は得られず,それらをうまくまとめて,ユーザの視覚や触覚とどう接続するかという部分に,最終的な仕上がりの差が生まれます。

 確かにmacOSでも,まだまだ完全とは言えませんが,それでも他に比べて抜きんでていることは間違いなく,Windowsに対する感情的なバイアスがすっかりなくなった今の私でさえも,やっぱりMacだと作業を邪魔されることがないなあと感じるあたり,うまくまとめてあるのだろうと思ったりします。

 いつもいっていることですが,ソフトウェアが最終的な製品の使い心地を決めるものであっても,一方でソフトウェアはハードウェアの限界を超えられません。ハードウェアの進化,言い換えると半導体の進化がこうして使い心地に反映されるまでには手間と時間がかかる上,必ずしもうまくいくとは限りません。

 大げさな言い方をしましたが,つくづく考えてみるとAppleはMacという高額な商品を使って,様々な試みを行ってきましたし,それがうまくいってもうまくいかなかっても,果敢に取り組みを続けているなと思います。

 分かりやすい例ではフロッピーディスクを廃止したこと,USBに一本化したことがそうですし,見えにくい部分ではCPUを全く異なるものに3回も変えていますが,OSもアプリケーションもスムーズにこの大変更を乗り切りました。64ビット化だっていつの間にか終わっていて,ユーザーにいちいち32ビットか64ビットかと選択を迫らないでしょう。

 こうしたAppleの良き伝統が,iPhoneの大成功でぶれてしまうことを一番に心配していた私でしたが,それは杞憂だったと思います。

 現状に不満を感じる事なく,その使いやすさとパワーに身を委ね,ちらっとパーソナルコンピューティングの未来まで見せてくれる,少し背伸びして買っても全く損をしない,今回のMacBookProは本当に良いマシンだと思います。おそらくこのMacBookProは成功し,今後のMacのベースになっていくことでしょう。


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