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2017年02月03日の記事は以下のとおりです。

蔵書の管理とプリンターの話

 定期的に増える雑誌のたぐいはともかくとして,暇つぶしに読む小説などの書籍や,過去に購入した技術書なども毎週末にPDFにしていくと,気が付かないうちに電子化された本の数が膨れあがっていきます。


 2017年2月3日現在,蔵書データベースにPDFとして登録してある書籍は1848冊,データベースには登録しないことにしている雑誌(トランジスタ技術や日経エレクトロニクスなど)がざっと1000冊となっています。

 気が付かないうちに増えていたKindleの電子書籍が214冊もあり,紙の本が480冊ということですので,全部で3542冊ですか・・・まあ,個人で数を誇るには1万冊が最低必要らしいですし,まだまだ修行が足りません。(ちなみにISSPによる2009年の家庭の蔵書数調査によると,日本は平均91冊,500冊以上はわずか6%ほどということです)

 驚いたのは,娘の絵本が339冊になっていて,ここに未登録の絵本月刊誌(こどものとも)の定期購読分を加えると,400冊くらいになってしまうことです。いやはや,5歳の子供の蔵書が400冊ですよ・・・えらいことです。

 私が1つだけ誇れることがあるとすれば,その蔵書のほぼすべて,一度は目を通していることです。それも部分的にとか,資料として一部だけとか,そういうのではなく,概ね読了しています。どんなことがどの本に書かれているか,うっすらでも覚えているのはそのおかげでしょう。

 それはそれとして,特にScanSnapiX500を導入してからは,スキャン速度の高速化以上に,重送などの紙関係のトラブルがほぼなくなったことと,特に重送の検出が確実に出来るようになったことで,スキャン後の全ページ確認にかける時間が激減し,PDF化の負担が非常に軽くなりました。

 またスキャンの品質も向上,かつ安定して,これなら変色したり破れたりする紙で残すよりも,ずっと価値があるのではないかという気さえして,「仕方なく」ではなく「より積極的に」PDF化を進める動機となっています。

 これまで,小説やノンフィクションなどの文章を読む本はKindleで読む事を第一に考えていたので,紙で残すことに理由を見いだせず,読む前の購入直後にPDFにしていたのですが,技術書のような図面が多いもの,あるいは資料性が高いもの,机の上に広げて他の作業中に参照する必要のあるものなどは,紙の本のままにしてありました。

 技術書にも2種類あり,1つは物語のように順を追って解説を行っているものと,数ページごとに完結した内容になっているものに分かれます。前者は理論の解説や設計法の説明などで,後者は設計例や製作記事,データブックにあたります。

 製作記事などは前後の記事との関連性は薄く,そこだけ読めれば問題はないわけで,かえって分厚い本を広げて作業をするのは邪魔になるものですが,前者のような解説記事は,前後の内容との関連が重要だったりするので,本になっている方がありがたかったりします。

 どちらにしても,これら技術書は出力先として,まだまだKindleでは荷が重いため,価値がある本はPDF化の対象から外れていました。

 ですが,得てしてそうした本というのは大判で分厚く,本棚を占拠しがちです。その割に出番はそんなに多いわけでもなく,これを紙で残す理由ってなんだろうなあと,改めて考えたのが年明けすぐのことです。

 そこで,真空管アンプに関する本(無線と実験の別冊がほとんど)をざっと見てみたところ,これは絶対に作らないだろうなと思うような製作記事もたくさんあり,こうしたものはPDFにしたほうが,保管場所も減るし,どこでも見られるようになるのでかえって便利なんじゃないかと,思い至りました。

 しかし,万が一,そうした製作記事で製作をすることになったらどうするか。やっぱりプリンタで紙に印刷することになるでしょう。

 ・・・まてよ,印刷同等のクオリティで印刷する仕組みがあれば,技術書の大半をPDFに出来るという事じゃないか?

 すでにトランジスタ技術や初歩のラジオといった月刊誌はすべてPDFになっており,製作記事や図面などは,その都度紙で印刷していますが,まったく問題なく運用できています。

 とはいえ,写真印刷用のインクジェットプリンタをこうした用途に使うには,印刷品質やランニングコスト,また印刷速度の面からも不適切です。そこで浮上するのがモノクロレーザープリンタです。

 乾式コピー機そのものだったその昔,100万円していたレーザープリンタは,30年前には30万円,20年前には10万円になり,今や1万円までで買えるものになりました。そんなに安く売る必要などないのになあと思うのですが,消耗品で稼ぐ商売をやる市場である以上,仕方がないのかも知れません。

 思い起こせば,「レーザープリンタ」などと未来的な響きが小学校高学年の単純な思考を支配し,その価格が100万円というこれまた小学校高学年には天文学的国家予算レベルの大金ゆえ「とにかく無茶苦茶高い近未来のプリンタ」という記憶しか残さなかったことが,私とレーザープリンタとのファーストコンタクトだったように思います。

 あれですよ,当時はレーザープリンタとかページプリンタとか,電子写真式プリンタとか,いろいろな言い方が混在していたんですよ。あげく,商品名がレーザーショット(今思えばこれって結構殺戮的な響きですね)とか,そういう80年代的な名称だったりするので,ますます縁遠いものに思えてくるわけです。

 それに,当時はプリンタにも得手不得手があり,互いの弱点をカバーし合うべく,様々な方式が共存していたんです。ジオンのモビルスーツのようなものです。

 紙は高いが本体が安いサーマルプリンタ,活字並みの品質だがアルファベットしか印字できないデイジーホールプリンタ,普通紙に印刷出来るがうるさいドットインパクトプリンタ,静かだけど滲みがひどいインクジェットプリンタ,普通紙に高品質で印字できるがインクリボンが高い熱転写プリンタ,ピクセル単位で各色の濃淡が付けられ写真印刷が可能だが非常に高価でサイズも小さい熱昇華型プリンタ,大昔には紙の上にアルミ箔を張っておき,これを破ることで印字していた放電プリンタなるものもありました。

 これまで書いてきた乾式コピーにレーザーを組み合わせたレーザープリンタ,レーザーではなく横一列に並べたLEDで露光するLEDプリンタ,変わったところでは上下左右に自由に動くペンで広げた紙に文字通り線を描いていくX-Yプロッタ,ペンは左右にしか動かないが紙を上下に動かすプロッタプリンタ,今でも根強いファンがいるIBMのセレクトリックタイパー(通称ゴルフボール)などなど,形すら似ていないプリンタが存在しました。

 これとは別の分類で,文字をドットに分解して印刷するドットマトリクスプリンタ,1行単位で印刷するラインプリンタ,1ページ単位で印刷するページプリンタなど,それこそ覚えるだけでも大変な種類があったものです。

 今生き残っているプリンタは,インクジェットプリンタ,レーザープリンタ,複写伝票用にドットインパクトプリンタくらいでしょうか。

 10年単位でそうしたメカと電気とソフトの融合であるプリンタの自然淘汰が起きてきたのですが,90年代初頭にようやく30万円くらいになったレーザープリンタの中でも,突出していた孤高の超高級機が,AppleのLaserWriterII NTX-Jです。

 いやー,今書いていてもしびれます。200万円近い価格,frog designによる非常識なまでに完成されたかっちょいいデザイン,AppleTalkによるネットワーク共有がすでに「標準」になっていて,そこら辺のパラレル接続のプリンタとは住んでいる世界の違いを見せつけていました。

 PostScriptをページ記述言語に採用していて,しかもそれがAdobe謹製で,NTX-Jで正しく印刷出来ないならそれはデータが悪いと,誰もが信じたものです。

 そして,それだけでも6桁の価格が付いたといわれる,モリサワのリュウミンL-KL,中ゴシックBBBの2つをスケーラブルなPostScriptフォントで搭載,そのためにSCSI接続の40MBのHDDが外付けになっていました。(この外付けHDDもfrog designなわけですよ)

 これだけのシステムですから,プリンタに入っているコントローラも重装備で,なんと68020が搭載され,メモリもSIMMで増設出来ました。1989年の登場ということですから,この頃のMacintoshが68000だったことを考えると,本体よりも数段上のワークステーション級のパワーを装備していたんです。

 そして,その印刷のなんと美しいことか。PostScript搭載機が吐き出すテストプリントは,さすがAdobeと唸らせる美しいもので,国産のプリンタの無味乾燥でセンスのかけらもないテストプリントのみすぼらしさが,惨めに感じたことを覚えています。

 特にA4一杯に大きく印刷された「&」の曲線の,なんともなまめかしいことこの上なく,このプリンタがあればもう印刷屋さんなんか潰れてなくなるんじゃないかと思ったものです。

 事実,このプリンタの存在と,PageMakerによってDTPの世界が一気に花開き,コンピュータによる文書処理の1分野として,文書作成であるワードプロセッシングと袂を分かつことになるのです。

 そんな漠然とした憧れが,あの独特のオゾン臭で人間の動物的な部分へのプリミティブな記憶と共にすり込まれた私は,このころ中古のMac用のレーザープリンタを始めて手に入れます。1万円だか2万円だか,そのくらいで買ったLZR-650という小型のレーザープリンタです。

 ただし,ドラムが逝ってしまっていて,まともに印刷出来ないものですが,くっきり滲まず,普通紙に印刷でき,水をかけても大丈夫,網点による美しいグレイスケールを吐き出すこのプリンタは,私の印刷環境を一気に変えてしまいました。

 それまで,プリンタと言えばプログラムリスト(あるいはダンプリスト)をかろうじて判読できる文字でただ吐き出すだけのものでしたから,およそ印刷物と張り合うようなものではなかったのです。

 当時,インクジェットプリンタの性能が格段に上がり,カラー化も進んでいたときだったのですが,スペックからは見えない,レーザープリンタの印刷の品質の高さに私の迷いはなく,中途半端なカラーよりは,しっかりしたグレイスケールが表現出来るモノクロの方がずっと見る人を惹きつけるものだという持論もぶれることなく,長くレーザープリンタは私の主力機でした。

 やがてドラムがいよいよダメになり,買い換えることにしたのですが,憧れのPostScript機など買えるはずもなく,Apple純正のLaserWriterSelect300を安く買うことが出来ました。QuickDrawプリンタではありますが,当時はすでにTrueTypeも存在していて,個人レベルであれば十分な力を持っていました。

 XEROXのエンジンというのもお気に入りでした。それ程高速でもなく,大きく重く,デザインも今ひとつで,特に印刷の品質も良いわけではない,当時の廉価版レーザープリンタでしたが,TeXを使い始めた時期でもあり,印刷物にどこまで迫ることが出来るかにこだわった当時の私を支えてくれました。

 あれから20年。

 もはやインクジェットプリンタは銀塩写真のレベルを越え,デジタルカメラとの組み合わせで,美しいA3ノビのカラー写真を,トコトンまでこだわって紙に焼くことが,自宅でできるまでになりました。

 インクジェットプリンタが,インクカートリッジで稼ぐという方法で本体価格を1万円にしてから,プリンタというのは安いものという認識が定着したように思うのですが,どう考えても安くなるはずがないと思っていたあのレーザープリンタまでも,1万円そこそこで買える世の中になってしまい,私はとても複雑な気分です。

 ああ,ついつい長くなってしまいました。歳は取りたくないものですね。

 長くなってしまったので,本題であったはずの「散財」については,次回に。

[追補]先日嫁さんに,レーザープリンタの仕組みって知ってるか?と聞いたら,自信満々に「インクジェットなら知ってる」というので説明してもらったところ,インクに電荷を与えて吸い込むとか,なにやらおかしなことをしどろもどろで言っていました。

 情けないので調べておくように宿題を出しましたが,きっと無視するでしょう。悔しいのでここに10歳の子供にも分かるように書いておきます。

 インクジェットプリンタはその名の通り,インクを紙に吹き付けることで印刷するプリンタです。問題はインクをどうやって,正確な位置に,小さい点で,吹き付けるのかということです。

 大きく分けて2つの方法があります。1つはピエゾ方式。ピエゾというのは圧電素子のことで,電圧をかけると変形する性質のものです。細い管に入れたインクを,管に取り付けた圧電素子の変形で打ち出します。ちょうど,お弁当に入っている魚の形の醤油さしのようなものですね。

 もう1つはサーマル方式,管にインクを入れておくところは同じですが,この管を瞬間的に熱して,インクの沸騰によって発生した泡の勢いでインクを打ち出します。

 それぞれ一長一短がありますが,インクの量を減らさないと細かい印刷は出来ず,でもそうすると制御が難しくなりますし,目詰まりも増えてしまいます。それに,たくさんある管が1つでも壊れてしまうと使い物になりませんし,膨大な回数のインクを吐き出しますから,信頼性を高めないといけません。

 打ち出しに最適なインクは,必ずしも美しい印刷の出来るインクとは限らず,美しい印刷が出来るインクは長期保存に耐えることの出来るインクとも限らず,求められる性能がバラバラなのに,それぞれ高次元で両立しないといけないという難しさもあり,本体よりもインクが高いというのは,案外ビジネスモデルの話だけとは言えないんじゃないかと,私などは常々思っています。

 ついでに,レーザープリンタの仕組みも。

 普段は電気を通さないのだが光が当たると電気を通しやすくなる特殊な材料を表面に塗りつけた細長いドラムを用意します。

 最初にこいつに電荷を与えます。電荷というのは,乱暴に言えば静電気です。

 次に,レーザーをこのドラムに当てます。クルクル回る鏡をつかってレーザーを左右に振り,ドラムを回転させながら,ドラムの表面にレーザーを当てるのです。

 レーザーがあたった部分は電気を通しやすくなっているので,静電気が弱まります。この状態で,黒い粉をドラムに振りかけると,静電気の強い部分にはたくさんの粉が,弱い部分には少しの粉が付くようになります。

 そしてこの粉を,そのまま紙に転写します。すると紙にはレーザーを当てたところは白,当てなかったところは黒で,画像が出てきます。

 あとはこれを,熱を加えて黒い粉を溶かして紙にくっつけます。

 今は少なくなりましたが,昔のコピー機というのはこのレーザーの代わりに,コピーしたい紙に強い光を当てて,その反射光をドラムにあてていました。レーザープリンターはこのコピー機の原理を使って作られたものです。

 銀塩写真の原理とは全く異なるものなのですが,光を使って画像を作るという意味で「電子写真方式」とも呼ばれます。ですので,印刷までの工程も写真の用語を使って説明されることがしばしばです。

 例えば,黒い粉はトナーと言いますが,これを可視化する薬剤とみて「現像剤」と言ったりします。ドラムは感光体です。

 そして,レーザーを当てることを露光といい,トナーをドラムにのせる工程を現像といいます。そして紙に移すことを転写,転写されたトナーを熱で固めることを定着といいます。

 この複雑で,また特殊な材料や薬品を使うプリンタが,ここまで小さく,ここまで安く,メンテナンスフリーで,どこでも買えるようになるとは,信じがたいことです。

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