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2017年03月14日の記事は以下のとおりです。

トランジスタチェッカーを買ってみる

 先日出たばかりのトラ技を見ていると,ちょっと気になるコラムに目がとまりました。マルチファンクションテスタ,というやつで,LCR-T4 MTesterという名称のようです。

 各種半導体や抵抗,コンデンサ,インダクタを自動判定し,結果を少し大きめのグラフィックLCDに表示します。

 記事によるともともとドイツの有志によって開発されたもので,それを中国の企業が製品化し,世界中に安価にばらまいているという感じです。まあ最近よくあるやつですね。

 以前も目にした記憶があるのですが,あまり興味をそそられなかったので買うことはせずにいました。しかしトラ技の記事に出るくらいですので,まあ1つ買ってみてもいいかなと,amazonを調べて見ることにしたのです。

 記事の通り,国内在庫品は1800円くらいから,中国からの発送だと880円です。どちらも妥当な金額だと思います。とりあえず買っておこうということで,国内在庫品を買うことにしました。

 翌日には手に入れて開封した私は,まずアクリル板で綺麗に加工されたケースが着いていることにちょっとびっくりしました。880円のものは基板だけだと聞いていて,国内在庫品がケース付きであることは,意識していなかったのです。

 これならどう考えても国内在庫品がいいですよね。

 まず基板だけで動作させ,問題ないことを確認してからアクリル板の保護紙を剥がして組み立てます。説明書が全くないのですが,試行錯誤でさくっと完成です。

 ケースがあるのとないのとでは,やっぱり使い勝手が雲泥の差です。普段から手元に置いて使うためには,はやりケースが必須です。

 お。ゼロプレッシャーソケットが使いやすそうです。高級なROMライタの象徴である,TEXTOOLの緑色のソケットはいつ見てもいいですね・・・え,TFXTOOLと書いてある・・・パチモノですか!

 さて,まだ試せていないことが多いのですが,ファーストインプレッションから。

 試したのは,半導体チェッカーの機能です。手元にあるいろいろな半導体を差し込んで判定させてみます。

 バイポーラトランジスタはPNPとNPNの区別,ピン配置,ベース電流とベース-エミッタ電圧,そしてhFEが表示されます。基本的な機能ですね。

 ダーリントントランジスタでは非常に大きなhFEが測定出来ました。一方でパワートランジスタのhFEが数十という小さな値で表示された点については,これで正常であるという知識が必要です。

 FETはJ-FETとMOS-FETを,それぞれP-chとN-chで判別してくれます。

 次にサイリスタ。サイリスタも判別するというので期待したのですが,分かったのはピン配置だけです。他の定格については全く分かりません。

 UJTは構造からダイオード2つと判定されてしまいました。PUTも同様です。トライアックは判別不可能と出てきました。

 ということで,やったのはこのくらいなのですが,結局私が愛用している半導体チェッカ「DCA55」とあまりかわりません。今回のものの方が値段が安く,1画面にすべての情報が出てくるのでボタンを押してスクロールする必要がないこと,抵抗やコンデンサ,インダクタを測定出来ること,ソケットがゼロプレッシャーソケットなので手間がかからないことなど,良く出来ている点も多いのですが,逆に言えばそれだけの違いしかなく,得られる情報についてはそんなに違いはありません。

 LCRの測定に役に立つと思われる校正が出来るそうなので,これを試してからLCRメーターとしての機能を評価したいと思うのですが,すでにちゃんとしたLCRメーターを持っているので,これがありがたいシーンというのはあまりないように思います。

 やっぱり・・・DCA55とDE-5000を持っていたら,これはいらないだろうなあと,最初に興味を持たなかったことは正しい感覚だったとつくづく思いました。

 繰り返しますが,これを選んで使うのはボタン1つですべての情報が得られること,ゼロプレッシャーソケットがあることが便利だと思われるときくらいです。面実装や特殊形状のトランジスタはDCA55のようなICクリップのほうが便利ですし,電池の電圧が12Vと高いことで,測定範囲は精度にも違いがあるかも知れません。

 ということで,あまり出番がないだろうなぁ,という感じです。うーん。

 道具としての充足感もあまりなく,起動画面の変な漢字のロゴもなんだか萎えます。順方向電圧をUFと書いてあるのもがっかりで,せめてここは意味を考えてVFとして欲しかったです・・・

 ところで,DCA55にも共通する話なのですが,パワートランジスタでhFEが30程度にとどまるのは,正常です。

 子供の頃の私もそうだったのですが,hFEというのはとてもわかりやすいパラメータで,ベース電流をhFE倍したものがコレクタ電流になるという教科書的説明から,まるで比例定数のように誤解してしまうのですね。

 ゆえに個体差はあっても,変動しないものと考えてしまいます。

 しかし実際のhFEはベース電流によって大きく変動します。その変動率は大きいトランジスタもあれば,小さいものもあるのですが,小さいものが優秀であるという一般論は正しく,一方で大電流を扱うパワートランジスタでは,それなりのベース電流を流さないと,規格表にあるようなhFEにはなりません。

 正しいかどうかは別にしてですが,トランジスタというのは,ベース電流を流すとコレクタ電流が流れる部品であり,ベース電流とコレクタ電流は必ずしも比例関係になく,hFEなんてのもその条件下でたまたま計算された結果に過ぎないと,それくらいに考えておくといいいかもしれません。

 ですから,よくペアを組むときにhFEのマッチングを取りますが,これはhFEが揃っていることが重要ななのではなく,hFEが揃っていると他の特性もある程度揃っていると期待出来そうだから,と味方を反対に側にする必要があるということです。

 何が言いたいかと言えば,トランジスタの良否判定はそのトランジスタに適切なベース電流を流して行わないとダメだという話で,DCA55にしても今回のLCR-T4にしても,そこを固定してしまっていることが残念だということです。

 ということで,NECの中電力パワートランジスタの定番,2SC1096のhFEが30と出ても,それは不良ではありません。逆に小信号用トランジスタである2SC1815なんかは正確に出てくるでしょう。

 DCA55も6000円超えになっているんですね,ちょっとこれだと高いなあと思います。中学生くらいが,手元のジャンク品を活用したり,部品の知識を増やすのに有益な測定器ですから,2000円で買えるこのテスターは十分価値があるものとは思います。

 また,半導体も劣化し壊れます。20年以上前のラジオなどを修理する場合,結構な割合で半導体の不良が出てくることを実感するのですが,正式な良否判定は回路図を追いかけて,動作状態を正確に把握してから行うべきではあるものの,基本的な機能が損なわれて劣化している場合がほとんどですから,この手のチェッカーでさっと判定出来ると,作業が早く進みます。

 実際,私もオーディオアナライザのVP-7722Aの修理にDCA55は活躍しましたし,ダイソンのDC45の修理にも役立ってくれました。ないと困る存在になりつつあると思います。

 測定対象やその結果から見て,DCA55もLCR-T4も,半導体の判定アルゴリズムには大差がないようです。もしこの手の測定器をお持ちでないなら,この機会に手元に置いておくと便利かも知れません。


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