エントリー

2017年03月22日の記事は以下のとおりです。

ヘルシオホットクックは軍用調理器具の民生版か

  • 2017/03/22 14:56
  • カテゴリー:散財

 毎日の夕食作りになれてきたのとは裏腹に,時間がかかってしまう事が増えました。手際は確実に良くなってきていると思うのですが,なぜ開始時刻を早めても終了時刻が遅くなるのか,わからないのです。

 一品増やしたから,というのがもっともらしい理由ですが,その実5分ほど余計にかかっているに過ぎず,やはり主菜に時間がかかっているとしか思えません。

 確かに,以前のように塩を振って焼くだけとか,そういうことは少なくなっているし,その結果料理が偏らなくなってきているという実感はあるのですが,時間がかかってしまってはあまり意味がありません。

 今の私の状況を整理すると,

(1)コンロが不足し煮物が出来ない
(2)ほうれん草や小松菜のお浸しが面倒くさい
(3)揚げ物をローテションに加えたことで付きっ切りの作業が増えた

 という感じです。


 私は本来煮物は好きなのですが,大根を煮てお浸しをして味噌汁を作るともうコンロが埋まります。これらを順番に回していくと,結局30分ほどの時間がこれだけで消費されてしまい,主菜に充てられる時間が限られてしまうのです。

 主菜も,コンロを使わない焼き魚やエアフライヤーを使う料理ならまだいいのですが,フライパンを使う炒め物はコンロでやる他なく,大忙しな割には10分ほども後ろにずれていたりします。

 (2)も似たような理由です。無水鍋を使うと5分もかからずにお浸しが出来るのですが,それでも水にさらして切って盛りつけて冷蔵庫に入れてまでをやると,やっぱり10分は見ないといけません。作業は楽なのですが,放置できないので結構負担です。

 (3)は揚げ物特有の問題で,揚げ油から引き上げるタイミングを見計らうために常にモニターをしなくてはいけませんし,そもそも持ち場を離れたり眼を放すのは危険です。小さいフライヤーなので,揚げ時間10分でも,2倍3倍の時間がかかってしまうのも深刻です。

 とはいえ,うちはまだそんなに大量の揚げ物をするわけではないし,揚げ油の消費サイクルから考えても,フライヤーを大型化するのはまだ早い気がします。

 そこで,抜本的に時間の最適化と,手薄になっているメニューのてこ入れを効果的に行う方法として,新しい調理家電の導入を計画しました。

 調理家電を使えば,コンロが空きます。コンロを使う料理が並列化されスループットが向上します。

 いわば,浮動小数点演算を新しいパイプラインとして並べて,整数演算を邪魔しないようにする作戦です。

 では,その私にとっての浮動小数点演算とはなにか・・・煮物です。時間がかかり,火加減や材料の投入順番,そして混ぜる作業と,案外目を離せない,長時間料理です。圧力鍋は投入順番と混ぜる作業を省略出来る画期的なプロセッサでしたが,それゆえ可能な料理に制限がありました。

 しかも電気を使う調理家電から選択するとなると・・・おお,ありましたよ,シャープの「ヘルシオホットクック」です。

 2015年秋に登場するや否や,無水料理を知らない若い世代はその濃厚なカレーに驚きの声を上げ,ブームの後急速にしぼんだ無水鍋ブームを知る高度成長期を生きた人々にとっては既視感をもって迎えられた,あれです。

 無水鍋にはそれなりのメリットがあるのですが,今ひとつメジャーになれないのはやっぱり扱いが難しいからだと思います。私も無水鍋を使いますが,火加減が強いと焦げたりしますし,水がないので調理時間が短いことはメリットと感じつつも,変化が急峻なので,結局付きっ切りになってしまうのです。

 これをマイコン制御で自動化するというのが,この商品の売りだったわけですが,そもそも無水鍋に疑問を感じていた私は,当初全く関心を持ちませんでした。

 しかし,発売から1年半が経過してなお,その無水カレーのおいしさが評判になり続けていることを無視できず,気になって調べてみると,なにやら今の私の問題点を解決出来そうな予感がします。

 値段も,当初6万円もしていた(電気無水鍋に6万円はない)のに,最近は32000円ちょっとまで下がってきています。この値段なら手が届きます。

 気になったのは,目の付け所は良くても,詰めが甘いシャープという点です。これまでシャープの製品を何度か使ってきましたが,確かに目の付け所は良くてオリジナリティあふれる製品が多かった一方で,その結果は平均以下だったり,基本機能が今ひとつで常用出来ないとか,そういう残念な結果に終わることが多かったのです。

 家電品は毎日使って価値のあるものです。ゆえに毎日の家事の省力化に繋がらない家電品に,家電品を名乗る資格はありません。

 とりあえず取説をダウンロードしてみます。レシピ集も,版権の関係からダウンロード出来ないメーカーが多いなか,シャープはダウンロード可能です。版権がシャープだけにあるということなのでしょうが,良心的だという好感と,レシピを権利として主張するプロの手が入っていないことへの漠然とした不安とが交錯します。

 ・・・なになに,100レシピ!すごい!材料を突っ込んでスイッチを押し,しばらくして煮込み料理が完成,ってなものが,100種類も出来るのか!

 しかし,つぶさに見ていくと,袋入りのラーメンまでレシピとして1つカウントされてます。特においしいとか,特に独自の味になるとか,そういう話もなくただただラーメンです。しかも15分ですって。

 小さい部品を外して洗う手間を乗り越えて,しかも5倍も時間をかけて,手に入るものはインスタントラーメンです。

 あかん,これはこの商品の設計思想,間違ってる。

 この段階で大変な地雷なわけですが,それでも無水カレーは魅力的です。他も探してみましょう。

 ・・・なになに,トマトリゾットが4から6分!うそだ,絶対ウソだ。でも,そう書いてあるんだから,仕方がありません。八宝菜も15分!八宝菜と言えばご馳走ですよ。材料を入れ,スイッチを押せば,15分後に八宝菜なんて,もう中華料理屋は潰れてしまいますよ。

 試さねば。

 先日の土曜日の午前中に,我が家には深紅の「ヘルシオホットクック」が鎮座していました。1.6Lの小型のものです。

 なんか,石ノ森章太郎原作の特撮モノの,主人公(赤ですし)のヘルメットみたいな形状です。

 ということで,この3連休は,家族の協力も得ながら,ヘルシオホットクック評価大会となりました。とはいえ我々も人間ですので,ご飯は最大でも一日3食です。朝はパンですので,昼と夜だけしか機会はありません。


(1)ほうれん草のお浸し・・・○

 ほうれん草を洗って,水を切らずにそのまま入れて,手動モードで運転します。ほうれん草の無水調理は,火の通りにムラがあり,硬さの調整も極めて難しいので私はある時点から苦手になってしまったのですが,ヘルシオホットクックでは問題なく出来ました。

 たかがお浸しで大げさなマシンを使い,洗い物も増えてしまうのに抵抗がないとは言えませんが,それでも放置で完成するのはとても助かります。これは成功ですね。


(2)ブリ大根・・・×

 今が旬で,どうやって食べても美味しいブリ。とてもよいブリが手に入ったので,これでブリ大根を作ってみます。

 私はすでに圧力鍋で美味しいブリ大根を作ることになれているので,これを越えなければいけません。

 このブリ大根はみりんで煮込むんですね。私は料理酒で煮込みますので,このあたりに考え方の違いが見て取れます。

 出来上がったブリ大根は見た目はとても美味しそうなのですが,みりんに砂糖ですのでとにかく甘くて,どうにもなりません。

 また,味の複雑さも足りず,ブリ大根のあの味を表面的に作っただけの残念な料理になっています。かといって火の通りがベストかというとそんなこともなく,ふっくらしているわけでも,じっくりしみ通っているわけでもないので,時間ばかりかかってこの程度なら,このマシンで作るメリットはありません。二度としないと思います。


(3)茶碗蒸し・・・○

 茶碗蒸しはたくさんの種類の材料を少量ずつ集める必要があり,なかなか手間もお金もかかる上に,蒸すのがまた面倒で時間がかかる料理です。その分美味しいのですが,主菜になり得ない一品に主菜以上の手間をかけるのは現実的に難しいため,私は作らずにきました。

 しかし,娘が市販の茶碗蒸しを食べる機会があった時に,こんなに美味しいものがあるのかと驚愕したのを見て,考えを改めました。同時に買った桜の花びらの蒸し茶碗を使って,茶碗蒸しです。

 時間は茶碗をセットしてから25分程度で完成で,その間なにも見ている必要はありません。茶碗蒸しは火加減も案外難しく,すが入らないように作るのは結構大変だと聞いたことがあるのですが,そこが自動化されているのは素晴らしいです。

 完成した茶碗蒸しは絶品です。ダシをきちんととったからというのもありますが,これは市販品を越えたでしょう。娘も大喜びでした。

 それと,些細なことですが,泡が立たないような卵の混ぜ方を,欄外にちょっと書いてあったのが大変良かったと思います。知ってる人にとってはなんでもないことなのですが,私にはとてもうれしい情報でした。


(4)八宝菜・・・○

 自動で調理できる無水料理の1つで,「調理時間15分」と書かれたこの料理が本当にこの時間で出来るのかどうか,この目で見たいというのがヘルシオホットクックを買った動機の1つでした。

 レシピブックには,八宝菜が15分で出来るとは書いていないのですが,この自動メニューの番号で作る他の料理は15分です。

 出来具合を管理しながら時間を調整する自動メニューなら15分では終わらないでしょうが,それでも1時間になったりすることはないでしょう。

 材料を入れて,蓋をして,自動メニューを設定します。

 さすがに15分では完成しそうにないのですが,それでも25分ほどで完成のサインが出ました。ワクワクしてフタを開けてみます。

 無水料理らしく,白菜がクタクタになっていて,ほどよい水気にとろみがついて,美味しそうです。

 鶏ガラスープだけではなくウェイバーを入れたこともあり,味も良くなり,コクが増しています。豚肉の香ばしさは薄いですし,にんじんにももう少し火が通るといいなあと思いますが,これは十分美味しいです。

 確かに,私が作った方が時間はかかりませんし,豚肉の香ばしさは出てきますが,冷静に考えると材料を入れてボタンを押すだけで出来ているんですよね。その間,私は他のことが出来たわけです。

 時間は少々かかるが味は悪くない,しかもほっとけばいいというのは,ルンバと同じ考え方かも知れません。

 30分ほどで完成するなら,帰宅後の夕食に使えるメニューです。これはレギュラー昇格ですね。


(5)ロールキャベツ・・・○

 私はロールキャベツが好きな癖に,自分では作りません。1玉丸々買ってこないといけないキャベツに抵抗があったり,手間がかかり過ぎるとか,いろいろ理由があるのですが,もっぱらこれは嫁さんの担当です。

 その嫁さんが,ヘルシオホットクックでロールキャベツに挑戦してくれました。さすがにキャベツの下ゆでは別の鍋でやるのですが,そこから先は煮込み料理としてヘルシオホットクックの出番です。

 出来上がったものは,確かに美味しいのですが,やっぱりおかんのロールキャベツです。薄味というか,コクがないというか,物足りないです。

 ただ,これも繰り返しになりますが,仕込んでしまえばもうほっとけば完成するわけで,この便利さは確かに強いと思います。


(6)クリームシチュー・・・○

 大体45分ほどで完成するメニューなのですが,市販のシチューの素などをつかわず,ちゃんと小麦粉とバターから作る真面目なシチューにもかかわらず,こんな手間と時間で出来るのですから,大したものです。

 ホワイトソースを小麦粉とバターで作ると,うまくしないとダマになったり,焦げたりします。

 ですが,このレシピでは実にうまく小麦粉が馴染んでいて,とても美味しく滑らかなシチューになっていました。

 私はいつも,シチューやカレーはたくさん作って翌日にも食べるのですが,それは手間がかかるから1日で食べる量だともったいないと思うからで,ヘルシオホットクックのように一度で食べきれるだけの量を簡単に作る事が出来るというのは,シチューやカレーが身近になったということでもあり,ちょっと違った位置付けになってくれそうです。


(7)トマトリゾット・・・×

 お米から作るトマトリゾットが4から6分?ほんまかいな?

 そもそもトマトリゾットなんか,私は作った事がありません。普通にご飯を炊いても40分はかかるのに,なんでこんな短い時間でお米が食べられるように調理できるのか謎は深まるばかりです。

 材料を入れて,蓋をして,手動メニューから時間を6分に設定します。

 そしてスタートします・・・LCDには数字が出てこず,なにやらoが転がっていく表示になっています。

 6分経過しましたが,出来上がりません。

 そういえば,なぜ「調理時間」とあるメニューと,「設定時間」とあるメニューがあるのだろうとふと気が付いて,調べて見ました。調理時間というのは自動メニューで,これは調理開始から完成までの時間でいいんですが,設定時間というのは手動モードにおける,沸騰から弱火で煮込む時間の設定ということで,実は調理時間ではありません。

 沸騰には概ね15分から20分ほどかかりますので,トータルで30分弱かかるメニューという事になります。そういわれれば妥当な時間です。

 また,分量がとても難しいです。4人で1合というのはちょっと少ないですが,2合にしたらしたで,他の調味料の配分がよくわかりません。単純に倍にすればいいかと言えばそういうものでもないようなので,このあたりは試行錯誤が必要なのではないかと思いますが,2合で作った今回の出来は今ひとつでした。

 全体的な傾向通り,コクがなく,平坦な味です。また,設定時間では十分にお米に火が通っておらず,コツコツとしたご飯でした。

 さらに3分ほど加熱を延長し,ようやく食べられるようになったところからさらに10分ほどすると,美味しくなってきました。お米が食べられるようになるまでの加熱時間に,魔法はないという事です。

 滅多に作らないものが出来るといううれしさはあるのですが,美味しいかと言えばそうでもないなあというのが本音で,これをもう一度やるかと言われれば,ちょっと微妙なところです。


 とまあ,こんな感じです。

 使ってみて思ったことは,この調理家電は,無水鍋であることや,火加減をマイコン制御してくれることに加えて,自動で混ぜてくれることがポイントであるということです。

 ほら,給食センターや自衛隊の調理などで,大人数の料理を一気に仕上げる調理マシンがあるじゃないですか,あれって,自動でかき混ぜる仕組みが付いてますよね。あれは,量が半端ないので機械に頼らないと混ぜられないという事情もありますが,弱火で自動的に混ぜる仕組みがあることで,焦げずに,まんべんなく火を通すことが出来るのです。

 あれを人力でやると,付きっ切りになるし,大変です。

 ヘルシオホットクックというのは,この混ぜる仕組みを自動化して搭載した結果,いわばプロ用,いわば軍用の調理器具が,家庭のキッチンに入ってきたものと考えると,これはもう革命としか表現出来ません。

 例えばニコンF3。例えばマキタの電気ドリル。例えばKTCのラチェットハンドル。例えばノイマンのU87。

 ヘルシオホットクックとは,プロの道具を小型にし,しかも複雑な操作をマイコンでアシストして,素人でも使えるようにした,奇跡の民生品なのです。

 ただ,やっぱその辺はシャープらしく,詰めが甘いです。繰り返しになりますが100種類のメニューにインスタントラーメンが入っていたりするあたり,この商品を買う人達がどんな料理を期待しているのかを想像出来ずに,数を揃えることに目的が変わってしまっているのがわかります。

 また,調味料がシンプルであったり,強火で炒める行程が再現出来ないゆえの,香ばしさや歯ごたえが出てこず,どの料理もヘルシオホットクックで作ったという共通項が支配的で,味の傾向や食べ応えでどれもあまり代わり映えしないという「つまらなさ」が顕著です。

 出来上がった料理に対する喜びや驚きが今ひとつですし,味も平坦で悪く言えば料理の下手なおかんの料理です。今や家庭料理も「手軽で便利」だけではダメで,相応の水準を超えなければ支持されないと思います。

 例えばパナのオーブンレンジにあった,ピザソースです。トマトの水煮から作るトマトソースですが,簡単に手に入る材料だけで作る事が出来る上,電子レンジ機能を使うだけのものなのに,味は大変良く,市販のピザソースをある意味で越えたとも思います。

 ゴパンのレシピにあるピザの生地も良く出来ているので,これと先程のピザソースを使って,オーブンレンジで焼き上げたピザは,時間も手間もそれなりにかかりますが,とても美味しく,調理家電の底力を見せてくれるものになっていると思います。

 ヘルシオホットクックには,こういううれしさや驚きがありません。これだけのポテンシャルのある調理家電なのに,味はそこそこだけど時短が売りなので,という言い訳ではもったいなく,無水料理のように積極的にこのマシンでないと食べられない料理を自動メニューに加えておいて欲しかったと思います。

 ですが,無水料理こそヘルシオホットクックの真骨頂です。他のレシピは放置で完成というメリットだけに割り切って,ホットクックならではの美味しい料理は,無水料理でないとダメだと,考え方を切り替えてみると,いいかも知れません。

 煮込み料理は時間のかかるものです。時間を短縮するのが圧力鍋なら,その時間を放置可能な時間にするのが,このヘルシオホットクックです。仕込みから食べられるまでの時間が短くならない以上は,夕食の限られた時間で使うには難しいモノがありますが,概ね45分以内で仕上がるものなら,これで作って見ると,食事に幅が出てきて楽しくなるに違いありません。

 手動モードをもっと使いこなすことが次のテーマになりそうです。



ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2017年03月

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed