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2017年12月08日の記事は以下のとおりです。

D850の初仕事

 9月の発売日に無事に手に入り,その後何の問題もなく私と馴染んでいるD850。D800との違いは元々少なく,Lightroomが対応してからはD800と全く同じワークフローで印刷まで完了しますし,そこから出てくる画質にも恐ろしいほど違和感がないため,特にストレスなくスッと手に馴染んで生活の一部になった感があります。

 そんなことならD800でも別に良かったんじゃないのか,と非難されそうな気もしますが,まあそれはそれ,と軽く考えています。

 そのD850とオーナーの私にとって,ちょっと大きなイベントがありました。いや,何のことはない,子供のお遊戯会の撮影です。

 子供は保育園の年長さんなので今年で最後になりますし,成長の速い保育園の子供にとっての年長さんというのは,年下の子供たちと違って体も大きく,やっていることも高度になるので,実に興味深い被写体です。

 当たり前の事ですが,子供は撮影者の意思に無関係に動き回り,出てきてはひっこむを繰り返しますし,これも当然ですがやり直しが利かないシビアな現場ですので,私のようなのんびりしたアマチュアには緊張の仕方さえ分からないくらいです。

 D850は高画素と連写,そして高感度と高性能を高次元でバランスした一眼レフであり,まさに死角はありません。何かのために何かをあきらめることが必要ない,現時点で最も汎用性の高いカメラといってよいと思います。

 かつて,現場になれていないアマチュアが分不相応な高価なカメラをこれ見よがしに持ち込む姿に嫌悪していた私は,いつしか自らが嫌悪の対象そのものに成り下がっていたことに軽いめまいを覚えましたが,この鬱屈した気持ちを跳ね返すには,その高価なカメラを使いこなし,それでなければならない理由を胸を張って語るしかありません。

 ということで,ようやく現場に持ち出せたD850の印象を書いてみたいと思います。

 あまり大げさな装備もどうかと思っていましたが,娘の晴れ舞台を綺麗に残したいという自然な気持ちもありますし,これがD850の評価の機会という気持ちもあって,レンズは70-200F2.8VRII,バッテリグリップにEN-EL18を入れて9コマ/秒を仕込みました。

 え,気合い十分な完全武装ですって?いえいえ,ストロボがありません。
 
 そんなわけで,若干周囲に引かれながらも,9コマ/秒を炸裂させてきました。

(1)高感度と画質

 会場は明るいので,D800でもそんなに問題になることはなかったのですが,それでも200mmで手ぶれを防ぎ,かつ被写体ブレも押さえ込もうとすると,やっぱり1/250秒以上のシャッター速度は欲しいです。そうするとISO2000から3000くらいになってしまう場合も覚悟せねばなりません。

 D800でもISO2000や2500くらいで破綻することはなく,ノイズ軽減を強めれば問題なかったのですが,D850はさらにそこからもう2段くらいのゆとりがあるように思います。

 そのゆとりはノイズの少ない画像を得ることにも使えますし,1/500秒を切るために使うことも出来るので,とても融通が利きました。

 Lightroomで処理をしていて感じたことですが,高画素機というのはノイズリダクションをかけやすいです。画素数が少ないと,ノイズ軽減で塗りつぶされた感じが強く出てしまい,不自然な仕上がりになりやすいので慎重に調整をするのですが,画素が増えると少々ルーズな調整をやっても,ノイスだけスッと消える感じがあります。

 当たり前の事ですが,ノイズというのは空間周波数に対して広く分布する成分であり,これを減らして本来の情報を強調するには,本来の情報が豊富なほど有利です。高画素は情報が多いといい切れませんが,D850は画素ごとの情報量も豊富なので,ノイズ軽減を調整中に急激に破綻することがありません。

 露出不足で潰れたところから,現像で綺麗な画像が浮かび上がらせる経験をD800でそれなりに味わっていた私ですが,プラスの露出補正をした際の明部が良く粘り,ちゃんと階調が残っているのは驚きました。これはD800以上です。

 露出に失敗して現像時に補正をかけると,やはりなにか失うものだったのですが,D850には±2段くらいならなにも失うものはありません。沈んでいた画像が浮かんで最初から失敗などなかったようになります。このスムーズさは情報量の多さからくるものでしょう。

 そして,色による偏りが少ないのもすごいです。どの色も豊富な階調を保持していて,さらに磨きのかかったホワイトバランスと相まって,複雑な色の光源とカラフルな衣装によって生まれる異なる色のグラデーションも,見事に記録しています。

 どちらにしても,D850は画素方向と明るさ方向の3次元で,情報量が飛躍的に増加しています。少々の失敗はこの情報量でカバー出来ると感じる人も多いでしょう。


(2)連写とレスポンス

 EN-EL18を使えば9コマ/秒というD2Hを越える連写速度が手に入るD850ですが,ミラーの動作速度も確実に上がるので,ブラックアウトの時間も短縮されます。これはもう気のせいではなく,確実です。

 EN-EL15ではCHモードでワンショットなのに,EN-EL18では思わず2枚撮影してしまうということが起こるくらい,レスポンスが良くなります。

 とても軽快で,気持ちよく,意のままに撮影出来るのですが,ミラーが高速で動作することもあり振動の発生も大きく,油断するとブレが出ますし,しっかりホールドせねばというプレッシャーが負担になることもありますから,私は普段はEN-EL15で運用しています。

 今回,非常に限られたシャッターチャンスを生かすために,9コマ/秒で臨みました。D800では連写をすると,ちょうどよいところでシャッターが切れていないことがありましたが,そこはさすがに9コマ/秒です。必ずどこかに気に入った画像が収まっています。

 加えて軽快なシャッター音は,またこの音を聞きたいという中毒性を持っており,一度押したレリーズボタンからなかなか指が離れません。

 こうして,あっという間に何百枚というカットが記録されます。

 そして,この連写とレンスポンスを支えるのが,非常に高いAFの性能です。

 D800も良かったと思うのですが,そこはやはり連写速度に見合った性能になっていました。クセもあるので撮影者はそれを見越して使うことも求められたと思うのですが,D850はそんなことは考えずとも,フォーカスを外しません。

 事実,撮影した写真のほとんどでフォーカスを外していませんでした。

 見やすいファインダーで被写体をとらえ,使いやすいUIでフォーカスポイントをさっと動かし,AF-ONを押せば一瞬で狙った所にフォーカスが合います。

 少々動いてもちゃんと食いついていき,まつげをきちんと解像するそのAF性能には,もう脱帽です。


(3)トリミング耐性

 最後にすごいと思ったのは,このトリミング耐性です。

 保育園のイベントですので,撮影に使える場所には厳しい制限がかかっています。制限がなくてもマナーの問題ですので無茶はそもそも出来ませんが,撮影条件の良し悪しは,自分の意思だけでは決まりません。

 距離については保護者ですので裸眼で見えなくなるような距離ではないのですが,最前列でない限りは視野が開けているという可能性は低いです。

 自ずと人垣の隙間から被写体を狙うことになりますが,そうすると上半身だけとか,顔だけとか,右側にハゲ頭とか,左側にでかい横顔とか,そういう面倒が起こります。

 別にハゲ頭を見たいわけではない我々は,当然そこをトリミングで削り取ることにするわけですが,左上にちょこっと子供の顔がある,という状況で,しかもその顔がとてもいい表情だったりすると,そこだけ切り抜くようなトリミングをしてでも,この写真を救いたいと思うものです。

 ですが低画素機ではそういう自由度もなく,やはり撮影時の努力で防ぐしかないのですが,D850の4600万画素はD800の3600万画素を越えた,トリミング耐性を備えていました。

 本当に,ちょこっと入っていた顔を切り抜いてもへこたれません。この余裕と安心感はすごいです。

 高価な一眼レフの高画素化は,実はそれまで害悪とされていたトリミングを積極的に使う事の出来る新しい価値を産み出しているのではないかと思うほどです。

 
 とまあ,D850で強化されたところに注目して現場に出てみましたが,想像以上にD850の使いやすさと失敗の少なさ,そして余裕と安心感を堪能しました。このカメラはもう手放せません。

 私の周りにはスマートフォンはもちろん,ビデオカメラやコンパクトデジカメ,EOS Kissクラスの一眼レフやm4/3のカメラを使っていた人がたくさんいました。皆一様にシャッターチャンスを逃すまいと頑張っていていましたが,背面のLCDに写った写真をのぞき見すると,そんなに良い写真になっているとは思えませんでした。

 しかし私は,自分の観覧席に悠々と座り,座ったまま手持ちでぱぱっと撮影していました。そして家でじっくり現像してトリミングをして,満足な写真を仕上げました。

 隣にいた嫁さんに私は自分の思ったことをつぶやきました。

 それは,機材の悪さは自分の足でカバーせねばならず,条件の悪さは機材にかけたお金である程度カバー出来る,ということでした。

 つまるところ,カメラの性能というのはここに集約出来るのかも知れず,少々条件が悪くてもへこたれない適応性ともいうべきものが,価格に対して手に入るメリットなのでしょう。

 裏を返せば,安い機材であっても,自分の足と努力でカバー出来る場合が多いという事も言えて,アマチュアらしいバイタリティを忘れないようにしたいものだと,改めて思いました。

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