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2018年10月26日の記事は以下のとおりです。

アナログテスタの常用機としてCX-270Nを購入

 先日,サンワのアナログテスタ「YX-361TR」を買いましたが,2%以上の誤差があまりに目に付き,力業で調整を試みたという話を書きました。

 結果,私が使いたい範囲において満足な精度を達成したわけですが,そうなってくると妙な愛着と5000円近い価格もあって,常用して使い潰すのがもったいなくなってきます。

 「フルークは神棚に,現場はサンワのPM3」と言った人もいるそうで,まさに言い得て妙です。

 そんなわけで,アナログテスタが使い道によっては大変便利で有用であるとわかったこともあり,もう1つ,安くて使い潰せる実用機を買いたいと思いました。精度の追い込みはすでに出来る事がわかっているので,どんなテスタが来ても,基本部分がしっかり作られていさえすればあとはどうにでもなります。

 そこで早速調べてみたところ,カスタムのCX-270Nというモデルがよさそうです。実用的な機能とレンジ,そしてしっかりとした基本性能で,価格は3000円程度ととてもリーズナブルです。

 とはいえ安いには理由もあって,保証期間が1年間と短いこと,落下の衝撃に対する保証がないこと(これはYX-361TRにもありません),設置角度の規定がないこと,温度や湿度などに対する規定がないこと,校正のトレーサビリティが不可能で公式なドキュメントには測定値を記載できないという問題があるわけですが,個人の趣味でそこまで求めることはなく,年に数回精度の確認をやって安心出来ればそれでよいです。まして,国産かどうかということには,こだわりません。

 まあ,このあたりが神棚か現場かの違いの本質なのでしょう。

 基本性能は,DCが20kΩ/V,ACが9kΩ/Vで,DC電圧のレンジが0.1-0.5-2.5-10,50,250,1000V,DC電流も50uA-2.5-25-250mAとなっていて,YX-361TRと同じで使いやすいです。

 特に電圧の最小レンジと電流の最小レンジが共通になっているあたり,メータそのものの感度が50uAであることを示しています。これもYX-361TRと同一です。

 その上,YX-361TRでは別売りオプションが必要なhFEの測定が最初から可能になっているので,実用性は高いと思います。

 とはいえ,LEDによる導通チェッカも,バッテリチェッカーも持っていないですし,なによりセンターメータ機能がありません。まあ,個人的にこれらの機能はほとんど使わないし,アナログテスタに期待するものでもないので,全然構いません。

 ということで,基本機能がしっかりした安価なCX-270Nに狙いを定めてみると,この商品は家電関係のパーツのメーカーにOEMで供給され,家電のルートでも手に入ることがわかりました。

 計測器のルートでは値引きは少ないし,お店も限られてしまうのですが,家電やホームセンターならいくらでもありますし,安いです。

 案の定,ヨドバシで2750円にポイント10%と,実質2500円以下という価格で買うことが出来ました。YX-361TRの半額です。

 届いたら早速確認です。ブリスターパックを開けると,想像以上に綺麗な筐体と,ゆったりとした動きのメータにワクワクします。ロータリースイッチの感触も素晴らしいです。

 詳しい説明は見当たらなかったのですが,直接見てみたところ,どうもトートバンド式のようです。このあたりもYX-361TRと同じです。

 ただ,そこはやはり値段の問題もあり,全体的に作りは雑です。筐体も厚ぼったい感じがしますし,汚れのような焦げのような成型不良もあります。ヒューズや電池を交換するときには必ず回すことになる背面のネジは太いタッピングビスで,何度か開け閉めするだけでなめてしまいそうな感じです。

 メーターも動きは良いのですが,どうも見にくいです。ミラーはあるのですが曇っていて針の反射が見えないので,その効果がほとんどわかりません。スケールの印刷もなぜか見にくく,こういう所はさすがにYX-361TRは良く出来ています。(余談ですが横河の2051は精度と言い読みやすさと言い,本当に素晴らしいです)

 背面にはスタンドもありますが,アナログのテスターは水平で使わないと指示が狂いますから,実は使ってはいけません。その意味では無用の長物といえるのですが,こういうところのこだわりのなさが,また残念な気分になります。

 こういう細かいところで価格や長く売られているかという差が出るのかも知れません。

 で,測定器の命である精度を見ていきます。

 電圧と電流を前回同様,基準電圧発生器,HP34401A,横河2051などで確認していきますが,電圧も電流も,なんとほとんどズレていません。十分許せるレベルです。最初にきちんとゼロ点調整をしてやれば,ほぼ値が正確に出ます。

 例えば,CX-270Nで10Vになるよう電源を調整してやると,この時34401Aは10.02Vになっています。私の読み取り誤差まで含めて,0.2%の誤差です。どうです,なかなか優秀でしょう。

 電流もCX-270と2051で200mAになるように電子負荷を調整して(そう,CX-270Nと2051の指示はほぼ一致しているのです)やると,この時34401Aは198.6mAです。これで0.7%ですが,250mAフルスケールの電流計としては,十分過ぎる精度でしょう。(JIS1級で1%ですからね)

 これならなにも調整することなく,実戦投入できます。ちょっと拍子抜けです。

 半額なのに,最初からこの精度です。YX-361TRは仕様の範囲内とはいえ,一目盛り分の誤差があったわけですから,なにより精度が重要な測定器において,これはちょっと残念な事だといわざるをえません。

 やれ国産だの,やれ老舗だの,やれ専門メーカーだのと言いますが,結局精度で半額のテスターに負けてしまうサンワに対して,私はがっかりしましたし,それまで私が持っていたサンワの良いイメージが崩れてしまったことも,もう隠しようがありません。

 もし,この精度が2%ズレたYX-361TRを,中学生が奮発して買ったものだとしましょう。彼はもうこの1台で,やっぱりアナログテスタはだめだなと,そう思ってしまうんじゃないでしょうか。

 アナログテスタの良さをもっとも知らしめないといけないサンワが,その評判を落としてしまうようなことをするとは,確かに使用の範囲内ですから問題はないとしても,やっぱり残念でなりません。

 

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