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2018年12月06日の記事は以下のとおりです。

もしかすると4K放送は流行るかもしれない

 さる12月1日,4K/8Kの本放送がスタートしました。放送技術史に残る大きな出来事だと思います。

 ほんの10年ほど前までアナログ放送を日常的に見ていたことを考えると,とても感慨深いものがあります。

 私が記憶に残っている放送技術の進化は,まず音声多重/ステレオ放送からでした。これはその必然性がさっぱりわからず,テレビも対応しないことから,長く体験することなく過ごしていました。

 中学生の時,生まれて初めてプリント基板をエッチングで作ったのが,音声多重アダプターだったことを思い出します。

 そこからしばらく間が開き,衛星放送がスタート,特にBモードステレオがCD以上のデジタル音声である事に驚愕しました。

 その後アナログハイビジョンがなんとか離陸,クリアビジョンはその恩恵をほとんど受ける事なく過ぎ去っていき,CS放送による多チャンネル時代がやってきます。

 やがて衛星放送は効率の良いデジタル放送に移行し,デジタルハイビジョン放送が始まります。そして日本独自のアナログの頂点であったアナログハイビジョン放送は終了しました。

 この流れが地上波放送にも押し寄せ,地上アナログテレビ放送は地上デジタル放送に,かなり無理矢理に移行していきます。かくして,VHF帯からテレビ放送が消え失せたのでした。

 そしていよいよ2018年12月に,ハイビジョンを遙かに超える解像度の4K/8K放送が衛星放送でスタートしました。

 こうしてみると,近年の進歩の速度が速いと言うことと,技術的な飛躍が大きくなっていることに気が付きます。放送は手元の機器を入れ換えれば済むと言うものではなく,インフラが入れ替わる必要があり,台数も費用も全く異なる送信側と受信側が歩調を合わせる必要があるところに難しさがあります。

 それだけにシステムの更新には大きなエネルギーが必要になり,そうそう気軽に変更したり修正したい出来ませんから,システムには高い完成度と将来性が求められます。

 こんなことをいう人は少ないかも知れませんが,アナログ放送の仕組みとして長く君臨したNTSCは実に50年も使われ続け,我々の日々の生活に根を下ろしていました。

 白黒テレビとの高い互換性と必要にして十分な性能を両立し,アナログ故の「無駄」な部分を適当に残していたことで機能拡張も可能になるなど,長生きするシステムの条件を満たしていました。

 当時としては最先端の技術で組み立てられ,電子工学を学ぶ人間が一度は完全理解に苦労するNTSCは,成功したシステムの最たる例であったと思います。

 まあ,それを言い出すとAMラジオ放送は100年の歴史があり,戦前のラジオは今でも立派に放送を受信出来るわけですから,それには全然かないません。ただ,AMラジオがまだまだ個人発明家や勘と経験に頼った技術開発が色濃い時代に完成したものであるのに対し,NTSCは数学的なアプローチで情報を以下に効率よく伝送するかを解決した技術であって,その緻密さと完成度は雲泥の差です。

 ゆえに,AMラジオは手巻きのコイルとコンデンサ,ダイオードとイヤホンで作れるのに対し,NTSCはとても手作り出来るようなものではありませんでした。統一された規格によって大量生産が行われ,コストダウンが進んで行くことが普及の条件となるという,企業による研究開発と大量生産が前提となったまさに戦後型のシステムだと言えると思います。

 前置きが長くなりました。

 4K/8K放送の特徴はあちこちで書かれているので,わざわざここで書こうとは思いませんが,初めてインターレースによる400ライン表示を見たときの感動や初めてハイビジョンを見た時の感激を思い出すと,やはりテレビは解像度であって,チャンネルが増えるとかサラウンド音声になるとか,そうしたものよりもずっと直感的で派手な変化ゆえ強く訴えてくるものがあるんじゃないかと,密かに期待していました。

 この手の官製祭りには冷ややかで,のらないか,あるいは様子を見てようやく重い腰を上げるのが常な私ではありますが,夏に4Kチューナーを内蔵したテレビに偶然買い換えたことをきっかけにして,今回の4K祭りには最初からのってみたのです。

 東芝のレグザ55BM620Xに買い換えたのは,気に入って使っていた日立の43型プラズマの画面に致命的な傷を付けてしまったことがきっかけでしたが,予算内でできるだけ大きな画面のレグザを買おうという方針で選んだに過ぎません。

 下手をすると58型の型落ちを選んでいたかもしれず,これがすんでのところで売り切れてしまったことも,この機種になった理由の1つです。

 そもそもBSも見ていない私が,4Kチューナー内臓を理由に選ぶ事もないわけで,その意味では全く偶然だったといっていいかも知れません。

 もっといえば,テレビにはなにも期待しておらず,毎日とりあえずニュースと天気予報が見られればそれでよいと思っていたので,わざわざ手間をお金をかけて他の番組を見る気も最初からありませんでした。

 しかし,55型にしたことで,ちょっとテレビを見るのが楽しくなってきました。4Kパネルにdot by dotで表示される画像は綺麗だろうなあと言う期待もふくらみ,BSアンテナさえ付ければ4Kを見る事ができるなら,この際BSも見られるようにしたらどうかなあと思うようになったのです。

 実際,NHKのBSは面白い番組も多く,見たいなと思ったことも何度かあります。これはよいきっかけかも知れません。

 しかし,うちはもともとテレビを重視しない家です。BSはアンテナも配線もありません。

 ということで,11月の頭からBSを見るための設備を揃えることを始めたのです。

 電気屋さんに頼む,というのは一番楽で確実でしょうが,お金もかかるし立ち会いの時間も確保しないといけません。お金はともかく時間がとにかく厳しい現状では最善策ではありません。

 加えて,他人が家に上がり込んでくるという心理的負担も大きいです。

 そこで,この手の話は自前でなんとかすることにしています。

 そうなると,解決すべき難問は,BSアンテナの設置と,ケーブルの引込です。

 まず考えたのは,bSアンテナを屋根裏に置く事です。こうすれば危険な屋外の高所での作業がなくなり,ケーブルの引込も必要はなくなります。

 50センチとやや大きめのアンテナを購入し,屋根裏で受信を試したところ,受信は出来てもほとんど映らないくらいに微弱で,使い物になりません。

 屋根裏はさっさとあきらめ,今度はベランダに出します。ベランダの手すりに取り付ける方法は景観上もうれしくないので,エアコンの室外機の上に置きます。BSは横と言うより上から電波がやってきますので,アンテナを上に向ければ受信出来ますから,案外室外機に置くというのは良い方法なのです。

 これだとバッチリ受信レベルを確保出来ます。設置はこれで解決です。

 次にケーブルの引込です。

 まずBSのケーブルを地デジアンテナの引込口から引っ張り込む作戦を立てて実行しましたが,そんなに簡単にいくはずもなく断念しました。

 そこで,地デジとBSを混合する方法を考えます。混合器を設置する場所がないとか,地デジアンテナは片手を延ばしてやっと届く場所なので,高いところで怖い思いをするとか,心配な事はありつつもどうにか混合ができました。

 テレビに分波器を用意してBSと地デジを分離し,BSコンバータに15Vを給電する設定を行うと,無事にBSと4K試験放送が見れるようになりました。レベルも十分です。

 しかし,地デジのレベルが低いです。少ないとは言え金堂と分離の際に損失があり,これが顕在化するくらい,もともとのレベルがギリギリだったようです。

 そこで,手元にあった地デジブースタをBSと地デジが混合したケーブルに挟み込みます。すると地デジは満足なレベルになりますが,BSがまったく映りません。

 冷静に考えると,15Vの電源がこのブースタで通過せず,BSコンバータが動作しなくなっている判明しました。そこで,別の地デジブースタに付属していた電源部をさらに挟み込み,BSも映るようになりました。

 しかし,BSのレベルが下がっています。地デジブースタと電源を通るときに減衰するのでしょう。特にBSの20ch以降という高い周波数で顕著で,釣りチャンネルなどはブロックノイズが出まくっています。(別に見ないからいいんですが)

 幸い4Kではレベルが稼げているのでこのままで一度作業を終えて,12月1日の放送開始を迎えました。

 まず4K。番組そのものが今ひとつだったりするので大した感想もないのですが,それでも4Kの解像度は想像以上です。画面に映っているという感じではなく,目の前にあるという感覚に囚われる時が,時々でてくるほどです。

 クラシックのコンサートなどは演奏者の顔と楽器がちゃんと見えるようになり,以前の放送のようにカメラの切り替えが必要なくなり,自分が注目するパートと楽器をずっと追い続けることが出来るようになりました。これはすごい進化です。

 あと,暗部が潰れない,色がはっきり出ることも素晴らしく,55型の大画面でも破綻が少ないので,画面に近づいて見ることができます。

 そうすると,視野のほとんどが画面という映画のような体験が出来るようになるので,その没入感に驚きを隠せません。

 なるほど,それまでの24bitカラーでははく,実に30bitカラーの情報量は確かにすごい。H.265というコーデックも優秀なのか,画像の破綻も少ないです。

 考えてみると,日本のデジタル放送は2世代前のMPEG-2が使われています。コーデックの世代は,圧縮率という「効率」で語られることが多いですが,圧縮率以外にもより自然に見えるような工夫が成されているので,コーデックは世代が新しいほど美しく自然に見えるものです。

 その点で,4K/8KのH,265はMEPG-2から2世代も進んでいます。私はこの点だけでも,4K/8K放送の進化は一足飛びだと言って良いと思っています。


 BSも見てみると,画像も美しいし,奇をてらわない楽しいコンテンツが一杯でした。4K//8K放送のために,BSは事前に前に再編が行われていますが,この時1920ピクセルの解像度が1440ピクセルに画素数が大幅に減らされていて,地デジ並みとなっています。

 伝統的に画質の優位性を謳っていたBS放送が地上波と同じではダメだろうと思っていましたが,唯一NHKのBSプレミアムだけは1920ピクセルを維持していて,さすがに一目でわかる違いがありました。

 今年は,年末年始向けのテレビガイド雑誌の売れ行きが好調なのだそうです。

 テレビ離れが叫ばれて久しく,今やテレビを見るのは年寄りばかりと揶揄されていますが,先日の受信料値下げの根拠が受信料収入の増加が見込めることだったりして,実はテレビに人が戻ってきているんじゃないかと思います。

 4K放送は価格も手ごろですし,出費以上の価値が得られたと感じるだけの感激があります。3Dテレビは店頭でパッと試せない事もあって体験もせずに終わった人も多いと思いますが,4Kは違います。店頭でちらっと見ればもうその違いは歴然です。

 次にテレビを買い換えればもれなく4K放送が見られるようになっていることを考えても,4K放送は想像以上にヒットし,普及が進むかも知れません。

 さて,話を私に戻すと,地デジのレベルが低く,BSの高周波帯の減衰が大きい現状は,すでにちゃんと映らないチャンネルも出ているし,アンテナを接続する機器を増やすと直ちに影響が出るくらい,ギリギリのレベルです。

 このまま放置すると,忘れた頃に問題を引き起こす可能性が高いです。現状は暫定として,より完璧な対策をやっていくことになるのですが,この話は後日。

 

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