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2019年07月11日の記事は以下のとおりです。

世にも珍しい魚眼ズームAT-X107DXを中古で買う

 突然魚眼レンズが欲しくなりました。

 チェキをオモチャ代わりに遊んでいる娘が,エフェクトの1つである「Fisheye」の面白さに目覚めてしまい,私も再発見の機会を得たというのが理由です。

 「魚眼」ではなく「フィッシュアイ」で,ひどく歪んだ画像を生み出すレンズを覚えた娘は,私よりもずっと先に特殊レンズの洗礼を受けました。

 ついでにいうと,B&Wというエフェクトも再発見の対象となっていて,なんでもないポートレートが,なにかを語ろうとする意味深なものに変わることに新鮮な驚きを感じてしまいました。

 なんというか,私がモノクロで撮影していた頃というのは,とにかく枚数を稼ぐことが目的だったので,そんなに感動的な説得力のある写真を撮ることは一度もありませんでした。

 加えていうと,さすがフジフイルム。デジタルなのに,そのコントラスト,その階調には,思わず笑ってしまうほどの再現性があります。
 
 話を戻すと,私はこれまで魚眼レンズを使ったことも欲しいと思った事もありませんでした。高価ですし,ほぼ例外なくデメキンレンズなので神経質になるし,その割には使い道は限られてしまい,常用出来るレンズではないというのが,興味を全く持たなかった理由です。

 だから,PENTAX Qのトイレンズで,数千円の魚眼レンズがでた時には,真っ先に買いました。結果,面白いと思いましたし,案外使えるもんだなあと思いましたが,やっぱり常用出来ないので,一眼レフ用のまともな魚眼レンズには手を出しませんでした。

 そして,偶然見かけたのが,ペンタックスがコーティングを変更して発売した,魚眼ズームの記事でした。

 APS-C用の10mm-17mmというズームですが,10mmだと180度の対角魚眼,テレ側になると歪みが減り超広角ズームとして使えるという,面白い一本です。

 これ,トキナーとの共同開発らしく,同じ光学系のレンズが他のマウント用に,トキナーから発売されているのですが,これもペンタックスの旧製品も,10年以上前から売られるロングセラーです。(なにせ作例がD200とか,そんな懐かしい時代の作例です)

 ですので,定価はは8万円ほどですが,実売は45000円以下と安くなっています。AFもボディモーターで駆動するものですし,デザインも垢抜けていません。光学特性もずば抜けているとはいえず,この当時の平凡なものですので,今どきの基準で見れば全然ダメなんじゃないかと思います。

 なにより,APS-C用というのが厳しいです。海外版はフードが取り外せて,フルサイズでも使えるようになっているそうですが,国内版はフードが作り付けですので,ケラれてどうにも使えません。

 でも,魚眼ズームだと,ズームによって魚眼と超広角を切り替えて使う事が出来るわけで,魚眼だけではどうにも使えない状況でも,このレンズであればさっと広角に切り替えて使う事ができます。

 ズームレンズは単焦点レンズ数本分の役割をするといいますが,これこそその真骨頂でしょう。APS-Cなら17mmは25.5mm相当です。今どきこれは超広角とは呼びません。

 しかも幸いなことに,このレンズは欲しいと思っていたトキナーのレンズです。

 トキナーのレンズは,AT-X16-28mmF2.8PROを買った時,その色を大変気に入りました。あいにく,解像度が今ひとつで手放してしまいましたが,この青色には未練があり,安ければ買い直そうかなと思っていたくらいです。

 もちろん,この魚眼ズームが同じ「トキナーブルー」を出してくれるとは限りません。でも,時代的にも大なり小なり同じ方向を向いているでしょうし,少なくともタムロンのような傾向ではないと思います。

 だとすれば,この値段で,しかも広角域で,トキナーブルーが楽しめることになります。これはおいしい。

 ただ,今さらこのスペックのレンズを新品で買うのも,ちょっと勇気がいります。ということは,中古を探すことになるわけです。

 AT-X107DXという名前のこのレンズは,ロングセラーではありますが,大ヒット商品ではないでしょうし,そんなに球数があるとは思えません。でも,買った人の多くが「だめだ使いこなせない」とさっさと売りに出している可能性もあり,数は少ないけど値段は安いというレンズかも知れません。

 探してみると,中野の某店で,程度がAランクのニコン用が26000円。他に在庫はないようですし,他のお店では在庫すらありません。むむむ。

 現物を見ないままで中古を買うことは,必ず1つや1つがっかりさせられるものなのですが,いちいち中野に出向けませんし,確認したところで結局買うのですから,もう買ってしまいましょう。Aランクという言葉を信じて・・・

 届いたものは,キャップくらいしか付属品がない状態で,レンズ本体は綺麗で使用感も少ない良品でした。ちょっと当て傷のようなものがありますが,ほとんど気になりません。

 問題はフロントレンズキャップでして,フードに被せるものなのですが,分厚いアルミで出来た非常に質感の高いものなのですが,コイツの表面に傷がたくさんあるのです。

 なにか,シールでも貼り付けたものを無理に剥がして,ゴシゴシ擦ったような感じの擦り傷で,随分目立ちます。安いものならキャップだけ別に買うかと探してみましたが,あいにくアルミ製なので非常に高価とわかり,あきらめました。

 ちゃんと調べていませんがこれ,ペンタックスのFA43mmやFA77mmのキャップとよく似ています。

 手に取ってみると,これがなかなかずっしりとして,いい質感です。小型で取り回しもいいのですが,ちゃちな感じはせず,見た目に反して凝縮感があります。設計はペンタックスだということらしいですが,さもありなん,という感じがします。

 ズームもフォーカスも,可動部分も滑らかです。4万円そこそこで売っているレンズとは思えないです。

 実際に撮影してテストをしますが,光学的には問題なし。さすがに暗いですし,画像も高価なズームに比べるとさっぱりですが,そこはやはり一眼レフ用,ちゃんとした画像が撮影出来ます。

 D850はAPS-Cにクロップすると,撮影エリアの外側が黒く塗りつぶされてファインダーに投影されます。ですのでこのレンズでもなんら問題不自由を感じる事なく使えるわけですが,12mmという超広角の世界に見慣れた人でも,画面がグイーンと曲がる魚眼の面白さは,ファインダーを見ただけで感じられることでしょう。

 ということで,何枚か撮影してみます。このレンズは14cmまで寄れるありがたいレンズで,これだけ寄れれば魚眼も超広角も怖くありません。魚眼は,中央部は歪みが少なく,外に行けば大きく歪むレンズなわけですから,ぐっと寄って被写体を真ん中に据えることは必ず必要になります。

 くっつくんじゃないかと思うほどに近寄った娘の顔を撮影し,本人に見せてみると,にやっと笑ってから「フィッシュアイだ」とうれしそうにいいます。この歪みを表現手法として使うのは難しいですが,魚眼も含めた広角はとにかく「寄る」ことが基本です。

 その上で,180度言う視野角を使い,ぱーっと目の前の画像を一網打尽にするというのはなんと気持ちのいいことか。特に縦位置でいけば,足下から空まで全部入り込んできます。これは面白いです。

 機会があれば,D850をAPS-Cに固定して,このレンズだけで外に出てみたいところです。きっと面白い景色を切り取ることができるでしょう。同時に,バリエーションの少ない,どっかで見たことのあるような写真が量産されることにもなりかねず,そうしたつまらなさに,案外がっかりすることになるかも知れません。

 

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