エントリー

2019年09月03日の記事は以下のとおりです。

F2がAI対応に

 先日,生きていれば格安,死んでいれば高価なゴミというF2を買ったわけですが,週末に時間が出来たので,様子を詳しく見てみました。

 まず手始めにボディからです。シリアルから1972年ごろの製造で,マイナスネジが使われる初期型です。確かに低速のシャッター速度もきちんと出ているようですし,ぱっとみてわかるようなおかしな所はないようです。

 しかし,裏蓋を開け閉めしている時に,裏蓋がやや斜めになって閉じることに気が付きました。可能性は2つ,フタがゆがんでいるか,ボディがゆがんでいるか,です。

 右肩の大きな打撃痕があるのですが,これだけのへこみを作るんですから,かなり強くぶつけた(あるいは落下させた)のでしょう。外側だけで済むはずもなく,おそらくボディが歪んでしまっているんじゃないかと思います。

 ボディが歪んでいると,フィルムに平面が出ません。フォーカスが周辺でズレるとか,どこかから光が漏れるとか,そういうトラブルが発生します。そうした致命的な問題を出すボディの歪みは,修正する方法がありません。

 よって完全なゴミになってしまうのですが,このF2はおそらくボディが歪んでしまっていると思います。価格のうち,ボディは0円になりました。

 次は,お目当てのフォトミックAファインダーです。

 とりあえず明暗に反応してメーターが動きますし,AI連動レバーを回してもスムーズにメーターが動きます。致命的な故障は起きていないと思っていました。

 一安心してメカを分解,注油してスムーズに動作するようにしましたが,続けて調整を行ったところ,レンズを交換すると調整が大きく狂うことに気が付きました。

 詳しく調べてみると,明るい場所と暗い場所で全然値が違ってきます。

 これは電気系に問題があるということです。まず200kΩのソリッド抵抗を確認しますが,ちょっと大きめ(220kΩ)ではありましたが,一応問題なしです。

 そうなるとCdSです。祈るような気持ちで左右のCdSを取り外してテスターで確認すると,やはり片側のCdSが死んでいました。真っ暗にしても抵抗値が上がり切りません。

 困りました。

 まさかCdSの不良だったとは。これでこのファインダーも0円になりました。つまり,今回の買い物は全くのゴミに高価なお金を払ったことになりました。やっぱり中古カメラ専門店はよく分かってますね。

 カメラ用のCdSは,リニアリティのある測光範囲を広く取る必要があるので,γ(簡単に言うと100lux時の抵抗値と10lux時の抵抗値の比率)が小さい事が望ましく,市場で流通していたものとしては最も小さい0.5くらいの物を使うことが多かったようです。

 ところが,単なるON/OFFのスイッチとして使う場合にはγは大きい方が設計が楽で動作も確実であり,通常簡単に手に入るものは0.7とか0.8とか,使いやすい大きめの物ばかりだったりするのです。

 それにCdSはばらつきが大きく,20%程度のバラツキは普通にあります。出来れば選別して似たような物とペアにしたいところですが,そのためには数を買って実測してペアを組むしかありません。

 壊れたCdSを交換出来ればよいのですが,同じ物は手に入らないので,理想的にはペアを組み直して2つとも一気に交換するのがベストです。しかし,そもそもW他足は手持ちで使えそうなCdSを持ってはいません。以前,NikomatELを修理するのに,秋葉原で様々な種類のCdSを買ってきましたが,どれ一つ使えそうなものがなかったのでした。

 NikomatELと同時代のフォトミックファインダーですから,CdSも同様の特性である可能性が高いと思うのですが,つまり残っているCdSに使えそうな物はないということです。

 そうはいっても一応確かめてみます。生きているCdSは,真っ暗にすると500kΩ以上の値を示します。15Wの蛍光灯に15cmくらい近づけると1.5kΩくらいになります。

 これに近いものを探してみると,1つだけ見つかりました。しかも外形は6mmのメタルCANでガラス窓です。ただ,値は常に20%ほど大きめに出ます。しかしγは揃っているような感じです。

 これくらいならなんとかなるかもしれないと,早速交換してみます。

 一応,明るさに応じてメーターが適切に振れるようになってくれました。動作そのものは治ったようなのですが,問題は調整が可能かどうかという問題と,精度の問題です。

 試行錯誤をしたのですが,やはり完璧に調整することはかなわず,被写体の明暗によって,測光値に半段ほど差が出ています。これくらいの違いならまあ実用上は困らないので,とりあえず良いとします。

 いろいろな開放F値のレンズを試したり,いろいろな明るさの被写体で試したりと何度か繰り返していますが,全然ズレてしまって困るという問題は起きてはいません。

 というわけで,完璧とは言いがたいですが,とりあえず実用レベルに復帰したフォトミックAファインダーですが,実際に使ってみた感じでいうと,F2がクラシックカメラから現行機種になったような錯覚をしてしまいます。

 なんといっても,AI方式に連動するようになった事が大きいです。うちでいえば,AI45mmF2.8Pも,AIAF85mmF1.8Dも普通に使えます。試していませんが,AIAF300mmF4Sも使えるでしょう。

 ガチャガチャをしなくていいと言うのも地味に便利ですし,デザインも少し変わっていて,おでこの部分がやや狭くなっているので,バランスが良くなって見た目も格好いいです。

 ただ,ファインダー内に表示される絞りの値が見にくくて,F3に持ち帰るとその見やすさに驚きます。F3はやはりF2の改良型だったんだなあと思われる瞬間です。

 もちろん,現像して結果を見なければ使えるかどうかわかりませんが,完璧を求めなければ使えそうな感じですので,これで一旦修理を終わります。

 それにしても,いくらメーター不良と書いてあっても,CdSが死んでいるファインダーにおそらく歪んだボディを組み合わせて12000円というのは,もっとあこぎなカメラ屋さんでも付けない値付けじゃないですかね。

 いくらF2とはいえ,基本的に修理不能なジャンク品ですからね,逆説的な言い方をすれば,こういうお店でそれなりの保証のある高価なものを買えば,自分に見る眼がなくても失敗しないという事になるでしょう。

 さて,CdSをどうにか調達しないといけないですね。F2用として売られているものを探すのもいいですが,汎用の物から使えそうな物をストックしておき,他のカメラの修理にも使えるとよいと思うのですが,そもそもCdSのことを私はあまりよくわかっていません。

 実はCdSって,詳しい文献が少ないのです。RCAが開発したことになっていますが,登場は1960年代のようですし,1970年代中頃にはフォトトランジスタが使われるようになって,どちらかというと光センサとしては安かろう悪かろう的な扱いだったようです。

 ただ,人の目に近い感度特性を持っていたり,抵抗が変化する受動デバイスだったことで,詳しいことを知らなくてもそれなりに使える,手軽な光センサだったことは事実で,カドミウムが規制対象になる2000年頃までは,割と目にすることも多かったように思います。

 環境規制が理由だとすればこのまま絶滅するだろうと思っていたのですが,どういう訳だから未だに入手可能で,中国あたりで現在も生産されていると聞きます。保守用の部品として作られるにしては規模も大きいようなので,手軽で安いというのは,それなりに需要があるのかも知れません。

 

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2019年09月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed