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2019年09月24日の記事は以下のとおりです。

Rollei35の修理 ~その3

 さて,修理中のRollei35,一度完成した後に心配になってシャッタースピードを測定してみると,目も当てられないほどに狂っていたという話の続きです。

 くよくよしていても仕方がないので,サービスマニュアルを読んでみます。

 まず1/500秒。これはシャッターをなにも制御しない,シャッターそのものの実力で作るそうです。調整はなく,確認だけしてね,とあります。私の個体はズレが1割未満ですから,シャッターまで完全に分解してベンジンで洗って組み立てた割には,いい値が出ているんじゃないでしょうか。さすがコンパー。

 1/2秒は先日も書きましたが,スローガバナーの脱進機のシャフトが動作時にぶつかるタブを曲げて,脱進機の動きを調整します。当初1秒近く出ていたのですが,これを1割り増しくらいで調整出来ているので上々でしょう。

 本当は1/500秒の確認,そして1/125秒,1/30秒,1/2秒,1/15秒と順番に調整していくのが正しいのですが,そんなことは知らずにまず1/2秒をあわせてしまいました。そのせいでこんなに無茶苦茶な値になっているのかも知れません。

 で,1/125秒です。これはガバナーの脱進機にある偏心したネジを調整するそうです。前板の穴からアクセス出来ると思ったのですがダメで,結局全部ばらす必要に迫られました。

 この偏心ネジによって,スローガバナー全体の取付位置が大きく変化します。こんな調整方法ってありか?

 1/125を8msにあわせ込むと,1/250は自動的に4msになりました。これで1/500,1/250,1/125はほぼあわせ込めました。

 そうすると次に1/2秒です。ここはタブを曲げて500msよりも1割ほど長い時間にあわせたはずなのに,ガバナーの位置が変わったせいか420ms程度まで短くなってしまっていました。

 これではいかんと,長めに調整を試みますが,どうしても470msから長くなってくれません。時間がなくなって焦ってきて,ついつい乱暴にクネクネと曲げていると,ポキッとタブが折れてしまいました。おかげで脱進機が動作しなくなってしまいました。

 ああ,またやってしまいました。崩れるように布団に倒れ込む私。

 私が悪いのですが,どうもRollei35はうまく分解や調整が出来ずに,無理をして壊れることが頻発します。F2だとこういうことはなかったので,それがドイツの設計だからか,それともF2よりも基本設計が古いからか,それとも品質や耐久性への考え方の違いなのか,どうも私と相性が悪いです。

 それに,こんな方法でシャッタースピードを調整しても,簡単にずれてしまうでしょう。今使われているRollei35のどれほどの個体が,正しいシャッタースピードを維持できているのでしょうか?

 ここまで来ると,さすがにもう交換しかなく,部品取りの個体をもう1つ調達してからにするかと思っていたのですが,これもまた幸いなことに真鍮製です。少し硬めのコネクタピンをスローガバナー本体にハンダ付けして修理をします(折れた部品も一緒にハンダ付けするつもりでしたが,作業中ピンセットにつまんでいたところ,どこかに飛渡行ってなくしてしまいました・・・)。

  これでハンダ付けの位置を何度か調整して,とりあえず470msを出す事に成功しました。もうこれ以上はいじりません。耐久性も心配だなあ。

 次に1/30秒,これも脱進機のバネを曲げて調整するそうですが,もう「曲げる」ことにアレルギーが出てしまったので,やめます。速度を測ると28msですので,調整の必要もなかったです。よかったよかった。

 最後に1/15秒ですが,これはシャッタースピードダイヤルの下側にあるカムを,偏心したビスで動かして調整します。一度ダイヤルを外さないと偏心ビスを回せませんので,ばらして組み立てて速度を測って,またばらして組み立てて,を繰り返すことになります。

 何度調整を試みても,結局98msよりも短くすることが出来なかったのですが,サービスマニュアルの通りに先に1/125をあわせてからにすると,今度はえらく短くなってしまいました。そこで再度調整し,70ms程度にすることができました。

 そうこうしているうちに,先に調整を済ませた速度が狂ったり,無調整で出ていなければならない1/500秒が4ms近くになってしまったりと,もう手に負えなくなってきました。手のひらの上でボロボロと崩れていく感覚です。

 あまり根を詰めてはいかんと,日を改めて調整作業を再開します。

 まず,前板を取り外します。これまでは前板を取り外さず作業をしようとしましたが,これはもう観念して外します。そしてシャッタースピードダイアルも仮組みします。ここを適当やったことで,カムがきちんと動かず,シャッタースピードに狂いが出ていました。

 最初に1/500秒からとりかかります。無調整のはずなのに2msといい数字が出ることもあれば,3.8msと倍近く遅くなるときもあります。これはシャッターの駆動機構の摩擦が不安定なのかも知れませんし,もしかするとシャッター羽根の組み方がおかしいのかもしれません。

 サービスマニュアルをよく見て,シャッター羽根の組み方を確認しますが,どうもこの通りに組んだ記憶がありません。なら,以前2msで揃っていたのはどういうことだと思う訳ですが,気になって仕方がないので,念のためばらしてみます。

 結果,きちんとサービスマニュアルの通りに組んでありました。少なくともシャッターの組み方が原因でシャッタースピードが遅くなっていたわけではないようです。

 で,よく調べていくと,シャッター羽根を動かすスプリングが浮き上がって,レンズとボディの間に入っているシムにぶつかり,擦っていました。これが原因かも知れません。

 それと,本体のシャッター駆動のピンの動きも渋く,ここも分解清掃して注油です。これでスムーズに動くようになりましたが,速度も2ms程度で落ち着くようになりました。

 ところで,シャッタースピードテスターのフォトトランジスタの一夜角度のずれも,高速シャッターでの測定誤差になります。レンズに近い方がいいだろうと近づけていましたがそうでもないようで,やっぱりフィルムの面と同じくらいの距離に置くのがよいようでした。

 さて,次に1/125秒です。前述のように偏心したネジを回して,ガバナーの取付位置を調整します。これもなかなか微妙で,一度シャッターを切ると位置が動いてしまい,シャッタースピードも変化してしまいますから,うまく調整しないといけません。油断すると12msくらいになってしまうので,慎重に慎重に調整をします。

 これで1/125秒と1/250秒が調整されました。次は1/30秒ですが,タブを曲げるのも怖いし,すでに30ms近くが安定して出ているので,ここはチェックだけです。


 続けて1/2秒です。ここは壊した脱進機を再度調整し,なんとか470ms程度を安定して出せるような位置にしました。タブをあまり倒しすぎると,バルブでシャッターが閉じなくなる問題も出るので,ガバナーの背中と同じくらいの高さにしておくのが私の場合は一番よい結果が得られました。

 最後に1/15秒です。これはシャッタースピードダイアルの裏側にあるカムの偏心ネジを回すのですが,ここにアクセスするためにいちいちダイアルを分解するのも手間で,壊す可能性も高くて困っていました。

 で,よく見ると,前板の裏側に穴が開いており,ここから偏心ネジを回せるようになっていることに気が付きました。そりゃそうですよね・・・

 おかげでスムーズに調整が進みました。相変わらずクリティカルな調整ですが,根気よく進めます。

 何時間か続けて,最終結果は以下の様になりました。

1/2 472ms
1/4 232ms
1/8 110ms
1/15 69.2ms
1/30 27.6ms
1/60 15.4ms
1/125 8.9ms
1/250 4.56ms
1/500 2.02ms

 一応JISの範囲にすべて入りました。回数を確認しても,バラツキは小さいです。

 この数字だけを見ると好成績で,実用上何の問題もないと思うのですが,残念な事に1/15秒がいまいちで,1/8から切り替えるときと,1/30から切り替えるときで,速度が違っていることがあります。

 うーん,まあもうこれでいいかなあ。

 さあ,そして最後に組み立てです。

 もうすっかり慣れた分解と組み立てを済ませ,張り皮を貼ります。そうそう,巻き上げレバーの飾りネジですが,新品が手に入ったので交換します。

 ここで,ようやくRollei35の修理が完了しました。大変でした。

 確かめていないのは絞りです。まあこれは試写して,結果で判断しようと思います。

 さっそく試写です。ところが,晴れた日の屋外で,どうも露出計が明るすぎてF22でも1/500秒以上が必要になってしまうのです。これはあきらかにおかしいです。

 そこで確かめて見ると,低輝度ではほぼあっていますが,高輝度では高めに出ています。ずっと家の中で調整をしていたので,高輝度側の調整が適当になっていのでしょう。外に出るのが嫌いな人はこういう時に困ります。

 この日はよい天気だったので,外にグレーカードを出して16EVを,室内で9EVを調整しました。

 そもそも外光式ですし,あてにはなりません。ただ,どうしても17EVでは誤差が1段ほど高めにでてしまい,そこから飽和してしまうことになりました。17EVは状況によっては十分屋外であり得る明るさなので,これは大きな使用制限となるでしょう。

 何度か微調整を重ねていき,最後に1EVごとに値を確認します。

 主に部屋の白い壁を使い,16EVから8EVまで,Rollei35の露出計の指針と追針をあわせ,その時の露出を単体露出計で測ります。これで1EVごとに信用出来るか出来ないかがわかるのですが,幸いなことにどの露出でもほぼ正確でした。

 これでようやく露出計も実用レベルです。

 綺麗に組み上げてようやく終了です。テストのフィルムを現像し,問題がなければ完成です。ケースの合わせ目やシャッターの隙間からの光漏れも心配なので,見ておきたいです。

 あと,ヘリコイドグリスが柔らかすぎて,軽く回りすぎます。手持ちが#10だから仕方がなかったのですが,せっかくなので#40を手配しました。

 また分解の必要が出てきますが,ヘリコイドグリスを高粘度のものにするのは,次の宿題です。


 さて,今回の印象ですが,私はよほどF2の方がいいと思いました。メカとしての完成度の高さ,実用機としての利便性,撮影時に感じる感触の素晴らしさです。Rollei35は小ささでは飛び抜けていましたし,TessarもSonnarもとても良く写るレンズです。

 しかし,利便性は犠牲になっていますし,目測式と言うだけで実用機から少し離れてしまいます。その上シャッタースピードもばらつきが大きいですし,フォルムの争点も特殊,沈胴式レンズにもお作法があったりと,なにかと窮屈です。

 でも,それもRollei35の魅力ですし,なによりそうした不便さは,小型のボディにあの機能を詰め込んだ結果の妥協点でもあります。ここに疑問を感じるような人は,最初からRollei35なんて使ってはいけないのでしょう。

 でも,レンズの沈胴とか,手が覚えてくると,撮影のテンポが出てきて楽しくなります。金属製カメラ独特の重くてヒンヤリとしたあの感覚も,1/2秒から1/500秒まで出るシャッターも,スムーズに動く絞りも,そして巻き上げの感触も,やっぱり出来ていて,コンパクトでもやはり高級機なんだなあと思います。

 ラフに扱うことは憚られますが,時間をかけてきちんと撮影するときには,とても楽しいカメラです。このあたり,撮影される側も小さく可愛いカメラだけに,肩の力が抜けてくれるのがうれしいです。

 しかし,疲れた。もう二度とコンパクトカメラの分解修理はやりたくないです。

 

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