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2019年10月23日の記事は以下のとおりです。

10年寝かせたTRI-Xは使えるか

 フィルムが高価なものになることは予想できていましたが,デジカメの高画質化が急激に進んで,一眼レフの多機能化が撮影者を支援するようになって,その結果が写真に反映されることを素直に受け入れるようになると,もうフィルムを使う事はないかなあと,思うようになりました。

 惜しいことに,5,6年前の引っ越しの時に大量のカラーネガフィルムを捨ててしまったのですが,これもナニワカラーキットが発売停止になってしまったことを無関係ではありません。一々写真屋さんに700円近い費用を支払って現像に出す事の手間を考えると,当時の私がもうフィルムは捨ててしまおうと思った事に,今の私も異を唱えることは出来ません。

 カラーネガ以上に深刻なのがモノクロフィルムです。

 もちろん,今でもモノクロフィルムは手に入りますが,1本1000円ほどもするというとても高価なものになっています。カラーはお金がかかるからモノクロという時代を生きた私には,考えられない変化です。

 かつての「仕方がないからモノクロ」から「モノクロでなければならないからモノクロ」の時代になったということなのですが,そんなモノクロのメリットの1つが,自家現像が簡単であり,今でも薬品が普通に調達可能であることがあると思います。

 カラーネガについては,ナニワカラーキットがあった時代はやる気さえあれば自家現像を行えました。しかしこのキットの入手が不可能になっただけでなく,カラー現像に必要な薬品類をバラバラに手に入れる事も事実上不可能なってしまったことから,もう外に出すしか選択肢が残っていません。

 モノクロフィルムはフジフイルムがそろそろ復活させるころだと思いますが,それにしても100ftの長尺はラインナップされないでしょう。自分でパトローネに詰め込んでやれば1本200円くらいで使えたので私も何度か買った100ft缶は,安価なものでも1缶7000円,TRI-Xだと15000円もします。

 そんなおり,今から10年ほど前にパトローネに詰め込んで,使い切れずに残ってしまったTRI-Xが5本ほど出てきたことを先日ここに軽く書きました。当時の缶も出てきたので確認すると使用期限は2008年とありましたので,実に11年も常温で放置されたフィルムということになります。

 さすがにもうだめだろうと,即座に捨てようと思ったのですが,昨今のフィルムの値段を見ると簡単に捨てるのも惜しく,修理したカメラのテスト撮影くらいなら使えるんじゃないかととっておくことにしました。

 しかし,もしフィルムの感度が落ちきってしまっていたら,カメラが悪いのかフィルムが悪いのかわかりません。なので,フィルムの実効感度を確かめるためのテスト現像を行う事にしました。

 F3に詰め込んで,ISO400,200,100,50,25相当で撮影をし,カメラごとダークバッグに入れてフィルムを取り出し,タンクに入れます。

 そして現在でも安価に入手可能なフジのスーパープロドールで現像をします。スーパープロドールはTRI-Xでの現像時間が当然発表されていないので,ネオパンPREST400の現像時間で現像します。液温は18℃で5分ちょうどです。

 定着後,ネガの状態をみて実効ISO感度と現像時間を決めていきます。

 さて,10年経ったTRI-Xはどんなものか・・・ドキドキしながらタンクをあけます。

 お,うつってるうつってる,とりあえず生きています。

 ネガを見てみると,明らかにISO400では感度が落ちていて,薄いネガになっています。ISO200ではギリギリ,ISO100なら実用レベル,ISO50とISO25は明らかにオーバーです。

 しかし,ISO100はちょっと使いにくいので,ここはISO200にして現像時間をもう少し延ばすことにしましょう。なんと,ISO200のモノクロフィルムが5本も手に入ってしまいました。うれしい。

 ところで,スーパープロドールとスーパーフジフィックスは今でも購入可能なので,一応買っておきました。ですが,タンクやダークバッグを押し入れから引っ張り出したとき,やはり10年くらいまでに購入した薬品類もたくさん出てきたので,先にこちらを使う事にしました。

 まずスーパープロドール。懐かしい紙の白い袋で,裏面にはネオパンSSの現像時間も記載されています。

 3袋も出てきたのですが,どれも袋の端っこが茶色になっています。なんかやばそうだと思いつつ,30℃の水を1L用意して開封したところ,中から出てきたのはコーヒー豆かと思うほど真っ茶色になって,じとじと湿気を吸い込んだ変わり果てたスーパープロドールでした。

 これはいかんと,即座に捨てたのですが,他の袋も茶色くなっていることから,開けるまでもなく使えないだろうと思います。もったいないことをしました。

 仕方がないので,先日買ったばかりの新しいものを溶かして現像液の完成です。

 次は定着液です。これもスーパーフジフィックスを2袋とフジフィックスを1袋も買い込んであったので,先にこれをつかいます。当時のスーパーフジフィックスは,A剤とB剤の粉末を溶かして作るんですよ。(ちなみにフジフィックスは単剤です)

 なにやら古い砂糖の袋のようにカチカチに固まっていますが,まあ定着液はアバウトでいいのでなんとかなるでしょう。

 30℃の水を1.5L用意し,A剤と溶かします。がA剤は吸湿し溶けて,一部が変色しています。うわー,これはまずい。でも全量投入し撹拌,塊は手を突っ込んで握って砕いて根性で溶かします。

 B剤も同様に吸湿がひどく,一部液体になっていましたが気にせず全量投入,同じように握りつぶして撹拌しますが,かなり溶け残っている上,マッコリのように白濁していますし,しばらくすると硫黄のような黄色い,肉を煮込んだときに出るアクのようなものが浮いてきました。明らかにまずい。

 しかし,定着液はアバウトです。フィルムの切れ端を突っ込んで5分放置してみたところ,ちゃんと乳剤が溶けて抜けてくれました。多分使えます。長期保存性や画質への影響はあるでしょうけど,テスト撮影ですし5本だけですから,もうこれでいいです。

 娘は棒温度計に興味津々です。先端を指でつまみ,温度が上がっていくことを面白がっています。水銀ではなくアルコール式なのでまだ安心ですが,こういうアナログな温度計というのも,最近は珍しいからでしょうか。

 それにしても,フィルムの現像というのは楽しい時間です。1分ごとに10秒の撹拌を行う事にすると,気を抜けるのは50秒だけですから,ぼーっとする時間もありません。こういうインターバルがあるからこそ,なにか思索にふける時間として面白いと思えるのかも知れません。

 ということで,修理が終わったばかりのRollei35LEDにこのフィルムを詰めて出かけたのですが,途中で巻き上げ出来なくなりました・・・

 数枚撮影したところで発生したトラブルなので,もう捨てることにし,そのままフィルムを取り出します。そして撮影済みのフィルムをはさみで切り離し,未撮影のフィルムの先端を整えて,もう一度Rollei35LEDに詰め込みます。

 どうも,巻き上げのスプールが動いておらず,スプロケットが無理にフィルムを送るので,フィルムがスプールの手前で折れ曲がっていました。

 しかし,フィルムを装填しないで巻き上げてみると,ちゃんとスプールは回っていますから,フィルムの装填の仕方が悪いのかもしれません。フィルムのベロが軸にお反対側からそのまま飛び出ていたせいで,フィルムが綺麗に巻き取れなくなっているように思いました。

 今回は丁寧に巻き,撮影再開です。

 しかし,今度は10枚ほどで巻き上げ出来なくなりました。

 うーん,結構いいカットを撮ったので,捨てるのは惜しいです。一度家に帰ってダークバッグ内で復活させることにしますかね。

 しかし,フィルムが悪いのかカメラが悪いのか,どっちにしてもこんな信頼性の低さでは外に元出せません。真面目に考えないといけない課題が増えました。

 そうそう,今さらながらに気が付いたのですが,Rollei35とRollei35LEDは,スプールの回転方向が違うのですね。Rollei35は右回りで乳剤面が外側に巻き取られますが,Rollei35LEDは左回りで乳剤面が内側に巻き取られます。

 右回りに巻く方が,スプロケットにしっかりかかりますので私は好ましいと思うのですが,別にどちらも問題はないと思います。特に今回の問題は,別のフィルムでは綺麗に巻き上げ出来ていましたし,きっとフィルムの先端の整形の問題だろうと思います。

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