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2020年02月26日の記事は以下のとおりです。

ミノルタオートコードの修理~その3:また壊れた編

 ここのところ,すっかりモノクロフィルムが日常になっているのですが,その最右翼たる中判2眼レフ「ミノルタオートコード」が,早速壊れてしまいました。

 気が付いたのは先週の頭。なにげなく空シャッターを切って至福の時間を過ごしていると,ふとシャッターが閉じきっていない時があることに気が付きました。

 これはシャッターを閉じるバネが折れるという定番の故障かもと思ったのですが,巻き上げの時にはきちんと閉じますし,きちんと閉じる時もありますので,バネの破断ではなさそうです。

 しかも,閉じきらないのは,5枚ある羽根のうち決まった1枚だけです。これはシャッターそのものがおかしいに違いありません。

 このままでは使えないので,早速分解します。

 シャッターをボディから外してしまわなくても修理出来るといいなあと,ボディから外さずに分解しますが,やはりシャッターの羽根を組み直さないといけないようなので,意を決してボディから外して分解します。

 この段階で,シャッターが閉じないときはシャッターの動きが重いこと,そして閉じようとするとなにかに引っかかった感じがすること,勢いよくシャッターを閉じれば閉じるようになること,そして巻き上げを行えば閉じることがわかってきました。

 シャッターを分解してわかったのは,閉じなくなる羽根だけ,外れて落ちてこないことでした。よく見ると,シャッター羽根を固定する支点のネジ(シャッター羽根を動かすセクターリングではない方ですね)の細い隙間に,シャッター羽根が潜り込んでいます。

 ネジの緩みを疑いましたがしっかりしまっています。でも,紙一枚が入らないくらいの狭い隙間は見えていますし,ここに薄いシャッター羽根が挟まって無理に動かされたために,羽根も変形してしまっています。

 あちゃー,これは致命傷です。

 とはいえ,捨てるのもあきらめるのも惜しいですし,とにかく目の前にあるもので対応しないといけないですから,修理を試みます。

 まず,セクターを固定しているネジを入れ換えて,隙間がないようにします。そして羽根も場所を入れ換えます。

 これで組み立ててみると,もう問題は再現しません。これでいけそうです。

 案外簡単に修理出来たなと思っていたのですが,やはりそうは問屋が卸しません。

 組み立てて意気揚々とシャッター速度を測ってみたのですが,特に高速が出ていません。1/400秒も4msを越えていて,1/200秒と違いがないくらい遅いです。

 レンズシャッターは,最高速からガバナーを使って速度を落としてシャッター速度を作っています。だから,ガバナーの調整や取付位置の調整で多くの速度は調整が可能ですが,最高速だけはなにもしない状態,つまり裸の特性がそのまま出てきますので,ここが狂っているともう打つ手がないのです。

 前回の完成時のテストでは,1/400秒で3.4msという速度が出ていて,それでも妥協したつもりでいたのですが,シャッター羽根が引っかかった時点で,すでにこの速度は出ていなかったんじゃないかと思います。

 そこで,徹底的にオーバーホールです。シャッタをもう一度分解し,前回やらなかったセクターリングを外してベンジンで清掃です。

 ここまでやって組み立てても,やはり4msより短くなってくれません。時に10ms程度になることさえあります。

 まずいことになってきました。

 注油もやりましたが改善せず。何度も分解し組み立てますが,やはりだめです。8msや9msになることはありますが,5msを出す事もなくなりました。

 どうせこのままでは使い物にはならない,バネを強化しようと,素人が陥るもっとも危ない誘惑にまけ,チャージレバーにかかるバネを強化することにしました。

 まあ,これも予想通りの話で,バネが変形してしまい,うまく動かなくなりました。そこでバネを1mm程度ずつ短く切って反発力を上げていくのですが,それで結局出て速度が4.6ms。

 後になってこのくらいの数字は妥協しないといけないことがわかるのですが,この時点で他のバネを2つほどなくしていますし,シャッターの変形も怖いので,もうこのシャッターユニットはあきらめて,新しい物を調達することに方針を変えました。

 またオークションで,ジャンクのオートコードを探します。前回よりも外観は綺麗ですが,やや高いジャンクを手に入れました。

 ここでつくづく思うのは,前回のオートコードは見た目の程度こそ悪かったとはいえ,中身は割にしっかりしていて,良い買い物だったということです。しかも見た目の悪さから価格も破格で,慣れていない人間が分解したシャッターがしばらくの間とは言え高速がしっかり出る程になっていたことは,奇跡的なことであり,つくづく惜しいことをしたものだと,後悔しました。

 新しいシャッターはシリアルナンバーが3000ほど進んでいるのですが,案の定細かい部分で違いがあって,部品に互換性のないものがいくつかありました。基本的にはニコイチや移植をしないで,できるだけもとのシャッターの部品を使って修理をする方針です。

 そこでシャッター速度を測定すると,やっぱりボロボロです。高速側は10msよりも少し短い程度ですし,低速側もばらつきます。なにより動きが渋く,汚れと油ぎれが深刻でした。

 まずはガバナーをベンジンで清掃します。次にシャッターを分解して高速が出るようにします。テストを行うと,大体4ms程度は出るようになったみたいです。それでも3.4msなんていう速度は,全く出てきません。

 ガバナーを組み付けて低速を測定しますが,どうもうまくありません。1/200秒が1/100秒になってしまいます。また1/10秒が1/25秒になったりします。

 これでは使い物になりません。

 そこでもう一度がバナーを清掃,薄い油をひいて潤滑を改善します。また,ガバナーの位置が悪くて1/10秒が出なかったので,位置を慎重にあわせます。

 そして位置決めを時間をかけて行いました。最終的に1/400秒は全く出ませんでしたし,1/10秒も7msから10msでバラツキます。以前のシャッターよりも結果は悪いです。

 でも,これ以上いじっても改善は難しいでしょう,ここら辺が引き際です。

 セルフタイマーは汚れがひどくて動かなくなっていたので,これまでのシャッターから外して交換します。これもなかなかうまくいかずに作業は難航しました。

 最終期にすべてのテストを終えて,シチズンMXVシャッターが完成です。

 本体に取り付けてみます。しかし,クランクを回してもチャージが終わらないことがあります。どうもチャージレバーを目一杯押し下げる事で出来ないようで,これもシャッターを交換したからでしょう。

 このように,当時の部品の精度は今では考えられないほどばらついていて,現物あわせも日常的に行われていました。同じ商品の同じ部品だからと交換をしても,うまく動かないのです。

 仕方がないので,シャッターユニットを右に目一杯回して本邸に固定します。これでようやくチャージが確実に出来るようになりました。

 一応,ここまでで修理完了です。最終的なシャッター速度は今後測定しますが,おそらく故障前の速度の方が高速だったと思います。

 というわけで,このまま完成としてもよいのですが,ちょうど手配していたマミヤRZ用のフォーカシングスクリーンが届きましたので,これを加工して取り付けましょう。(この話は後日)

 ということで,シャッターの羽根が新しくなったことは大きな前進,しかし高速が出ず,低速も大きくばらつくという問題があるのは後退です。しかも元の値段よりも高いジャンクを買う羽目になったことも失敗です。

 そりゃ今かr60年以上も前のカメラですし,追加工で現物合わせをして作っていた当時の工業製品ですので,現代的な感覚として精度を信じることなどしてはいけないものだと思います。

 ただ,モノクロネガなら少々のずれはなんとかなるものですし,大らかな気持ちで撮影するのも,また2眼レフの面白さです。使ってみてわかったのは,実用的な速度が1/25から1/200秒程度であること。このあたりのシャッタースピードがきちんと出ている事が分かっていれば,安心して撮影出来ます。

 さて,完成までもう一息。シャッター速度が狂ってなければいいなあ。

 

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