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2020年03月04日の記事は以下のとおりです。

ミノルタオートコードの修理~その4:なんとか完成編


 先日から修理に取り組んでいたミノルタオートコードですが,ようやく動き始めました。いやー,今回は過去に例を見ないくらい大変でしたし,こうして修理が終わっても,きっとすぐにダメになってしまうんじゃないかという不安につきまとわれてしまっています。

 前回までに,別のジャンクを入手し,シャッターをそのものを交換したことを書きました。ただし速度が全然出ていなくて,セルフタイマーも動作しなかったために,分解清掃を行いましたが,それでも高速シャッターは満足な速度が出ず,あきらめて本体に組み付けたのでした。

 とりあえずこれで進めようと思って最終テストを行っていると,最高速の速度がどんどん落ちていくことがわかりました。最初は1/400秒で4.5ms位だったものが,5msを越え,8ms,そして10msを越えるようにきました。そしてとうとう閉じなくなってしまったのです。

 ゆっくり動かして見ると,大変摩擦が増えて動きにくくなっています。別に油が染み出た感じもありませんので,これはなにか引っかかっているのかも知れません。

 いずれにせよこのままでは使い物にならないので,また分解です。

 問題を見つけることは出来なかったのですが,シャッターの羽根をもう一度ベンジンで清掃し,組み直します。すると4msを切って,3.4msくらいまで安定して出るようになったのです。これはありがたい。ガバナーも組み直して全速そこそこ出るようにしたのですが,数時間もすると速度が落ちてきます。一晩経つとまたシャッターが閉じなくなっています。

 また分解するも,最初こそ快調なシャッターもシャッターを切る回数が増えるとどんどん遅くなっていき,やっぱり最後には閉じなくなってしまいました。

 これはおかしい。

 どの摩擦が増えているのかを確かめて見たのですが,どうもセクターリングが回りにくく引っかかったような感じになっています。セクターリングも分解して清掃してみましたが,結局改善せず。最初こそ快調ですが100回ほどシャッターを切ると急激に速度が落ちてきます。

 冷静になって,目の前のバラバラのシャッターを眺めてみます。

 セクターリングが擦れた部分は塗装がはげ,金属が欠けています。かなり摩擦が大きくなっていたんでしょう。なら注油するしかない,ということで,注油をしてみました。

 するとウソのように症状が改善。確かにシャッター羽根に注油することは厳禁ですが,他の部分に注油してはいけないということはなく,私の場合ベンジンで綺麗に油膜を落としてしまっていたので,問題が出たんですね。

 ベンジンで薄めて注油しましたが,量が多かったらしく一晩経つと羽根に油が回っていました。それでも速度はきちんと出ていますので,見通しは明るいです。

 今後こそと分解し,羽根をベンジンで清掃,セクターリングの注油も慎重に行い,完璧に仕上げました。今度は大丈夫です。あれから数日経っていますが,速度も出ていますし,油の滲みも出ていません。

 しかし,ここまでですでにもうかなりの疲労が溜まっています。もうダメかも。

 次にガバナーです。ガバナーは今回のシャッターをそのまま使うことにしたのですが,どうもガンギ車のあたりで速度がばらつきますので,前のガバナーを移植します。しかし微妙に手加工で削った部分の大きさが異なり,テンプをガンギ車から離す機構がうまく動作せず,1/10秒が大きくばらつくという問題が出ました。

 ここは調整を行って解決。かなり速度も揃ってきました。

 そしてとうとう完成。本体に組み付け,最終テストです。

 ところが今度はシャッターがチャージされなくなってしまいました。

 がっかりして原因を調べると,プロンター型に特徴的な,チャージバネによって回転するオウムのくちばしから伸びた,セクターに引っかける爪のバネが折れてしまっていました。

 いやはや,このバネの破断はよくあることと聞いていましたが,あと少しだったのにと思うと,もう残念でたまりません。

 しかし再度分解。バネを交換するために1つ1つ部品を外して行きますが,結局ほとんどの部品を外す羽目になり,しかも難易度の高いシャッターチャージバネまで外す必要が出てしまいました。

 もう泣きそうな気分でバネを交換し,そして最難関のチャージバネを組み立てます。これ,かなりのテンションで巻き付けないといけないうえに,きちんとおさまっていないと組み付けられないという代物で,とにかく時間がかかりました。たっぷり2時間ほどもかかったでしょうか。

 でもこれが終わってしまえば,あとはさっと進みます。とはいえ,途中で別のバネをなくしてしまったりして大変だったのですが,それもなんとかクリア。

 しばらくすると,目の前に組み上がったシャッターユニットが現れました。

 疲れ果てたので翌日はもう触らず,二晩寝かせてテストをしますが,とりあえず問題なし。あとは本体に組み込んで速度のテストと無限遠の確認です。

 まずシャッター速度です。

3回測定しました。やっぱりバラツキが出ますからね。

1回目
1 940ms
1/2 484ms
1/5 194ms
1/10 105ms
1/25 40.4ms
1/50 21.2ms
1/100 13.8ms
1/200 5.08ms
1/400 4.44ms

2回目
1 910ms
1/2 468ms
1/5 162ms
1/10 85ms
1/25 39.2ms
1/50 21ms
1/100 13.6ms
1/200 5.12ms
1/400 4.36ms

3回目
1 880ms
1/2 452ms
1/5 164ms
1/10 105ms
1/25 36.8ms
1/50 20ms
1/100 12.3ms
1/200 4.96ms
1/400 4.0ms

 最高速は今ひとつで,1/200よりも僅かでも高速だというのが救いです。まあ実力は1/250程度だと思っていた方がよいと思います。

 あとはまあ,結構いい数字に揃っていると思います。1/10が大きくばらつきますし,実はまれに半分くらいの時間になることもあるのですが,深追いするとろくな事がないので,もう割り切ります。

 ぎりぎりJISに入っている結果がでたこともあり,もう壊れないことを祈りつつ,無限遠を確認しますが,こちらは問題なし。すぐに撮影に入れそうです。

 各部の点検を行って,いよいよフィルムを通します。

 結果は上々。すべてのコマで濃さも揃っていて,シャッター速度について,不必要に不安を持つことはしなくて済みそうです。

 しかし,今回の修理は,組み立ててはバラし,また組んではバラしてを本当に何度もやりました。経年変化で折れてしまったバネも2本ほどありましたし,油ぎれか汚れかのどちらかで動きが悪くなった部品もたくさんありました。

 以前も書きましたが,さすがに1950年代の工業水準で,精度が出ずにすりあわせと手加工で組み上げる職人技に加えて,材料の質も良くなくて特にバネの耐久性が良くなかったことが,今回よく分かりました。

 やっぱり,日本製が高品質であるという意識が常識化するまで,日本の製品は長持ちせず,よく壊れる物なんだなあと思った次第で,これ以前と以後では日本の製品は全然違う物だったという事を体験しました。

 ニコンF2の精緻な感じは私の知る日本製の品質ですし,Rollei35は1960年代ですがさすがはドイツ製と思わせる素材と加工の良さを肌で感じます。

 そう,Made in Japanが安かろう悪かろうであったことは,私も知識としては知っていますが,これを実際に体験出来るとは思っていませんでした。

 今回こそホントにダメだと何度も思いましたが,なんとかここまで持ってきました。あと何本,フィルムを通せるでしょうか。このオートコード,もう本当にギリギリの所で動いているとしか思えません。

 

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