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2015年12月の記事は以下のとおりです。

VP-7722Aの再修理

  • 2015/12/28 21:54
  • カテゴリー:make:

 1ヶ月ほどから,産業廃棄物から不死鳥の如く復活を遂げた我が家のオーディオアナライザVP-7722Aの調子が悪く,どうしたものかと思っていました。

 VP-7722Aは完全独立2ch構成が特徴で,レベルはもちろん歪率もS/Nも左右同時に測定可能,しかも2ch独立を生かしてチャネルセパレーションも祖規定できてしまうと言う便利なオーディオアナライザです。基本性能はもちろん高く,歪率で言えば-120dBを測定可能ですし,測定可能な周波数範囲は40kHz程度まで伸びています。

 完全なハイレゾ環境の測定は無理ですし,近年では常識となったデジタルアンプの測定に必要なフィルタが装備されていないなどで,最前線の設計現場にはちょっと厳しいものがありますが,アマチュアにはもったいないくらい素晴らしい測定器です。

 で,そのVP-7722Aですが,ch2の入力がうまく動いていません。歪率を測定しようにも,3Vrms付近を入れるとカチカチとリレーが繰り返し動く音がして,測定結果がちらちらと動き,まともな結果が出ません。他の電圧であれば測定出来ることから考えると,どうも特定のレンジだけが測定出来ない状態になっているようです。

 歪率に限らず,レベルも測定不能ですし,2ch同時でなくてもch2だけを測定してもだめです。ch1は生きているので,また産業廃棄物になってしまうわけではないのですが,一度同時測定の便利さを知ってしまうと,もう元には戻れませんし,やっぱりきちんとメンテをして使いたいものです。

 ですが,なにせ相手は複雑で知られたオーディオアナライザです。前回の修理も奇跡的に修理出来たと表いるのに,今回は全然動かないわけではないので,故障箇所の特定にもそれなりの苦労をしそうな感じがします。

 とりあえずやってみるさと,ラックから取り出して分解を始めます。

 まず,どの基板の故障かを特定するために,ch1とch2のフロントエンド基板を入れ替えて見ます。結果,問題はch2の基板について回ることがわかったので,原因はこの基板にあるようです。

 また,他のレンジが動いていることを考えると,入力のアナログ回路は問題はないと思われます。リレーの音がカチカチすること,特定のレンジで値が出てこないことを考えると,レンジ切り替えのリレーに関係する故障であると目処が立ちます。

 とはいえ,リレーの駆動回路,駆動回路を動かすマイコン,リレーの出力の回路周辺など,リレーは広範囲の回路と繋がる部品なので,難しいことがわかっただけと言う気もします。

 しかし,相変わらず人の手を拒むような規模の大きなシステムです。途方に暮れて手の出しようがないと思っていても仕方がないので,とにかく基板を目視で確認して,問題がありそうな場所を見ていきますが,あいにく目視では異常なし。

 こういうのは案外,リレーが壊れていたりすんだよなーと思いつつ,ダメモトでいくつかあるリレーのコイルをテスターであたっていきます。大体120Ωくらいの抵抗値ですが,3つ目のリレーのコイルが10kΩ以上の値を示しています。

 こりゃおかしいですね。コイルが断線している可能性が大です。無限大にならずとも,ドライブ回路の抵抗値が見えてくるのでこのくらいの値になるのも無理はありませんし,これはリレーを基板から外して確認するしかありません。

 基板から外して確認すると,コイルの抵抗値が無限大です。ビンゴ,こいつが不良でした。ここまで,検討を始めてわずか10分。なんと簡単に問題が見つかったことか。しかし油断は出来ません。これで治るかどうかは,新しい部品に交換して動作するかどうかを見なければわかりません。

 交換しようにも,在庫がなければ買ってこないといけませんから,どんなリレーかよく調べてみます。壊れたリレーを見ると,黄色い小型のリレーで,松下電工の「DS2E-S DC5V」とあります。とりあえず5Vで動作する2回路のリレーのようです。

 ラッチングリレーやリードリレーならもうお手上げだったのですが,そういう感じでもなさそうです。手持ちを見てみると,こんなこともあろうかと秋月で買っておいた941H-2C-5Dというものが,どうも大きさからピン配置から機能や規格から,ぴったりのような感じです。1個100円なんだけど,大丈夫かなあ。

 コイルの抵抗値は140Ωとちょっと高めですが,問題ないでしょう。信号の切り替えに使うものですので,接点の容量の問題はないでしょうし,とりあえず交換してみましょう。

 結果ですが,修理出来ました。あっけないくらい簡単に直ってしまいました。

 後で調べてわかったのですが,この松下電工のリレーは有極性でかつ高感度タイプでした。交換した秋月のリレーは有極性ではないのですが,高感度タイプでした。これで問題なく動いてくれているのだと思います。もし,同じ物が簡単に買えるならいずれ交換しようとも思ったのですが,高感度タイプではないものばかりがひっかかり,同じ物は売っていないようです。

 秋葉原のお店をつぶさに見ていけばあると思いますが,まあそこまでしなくてもいいかなと。

 ここまでわずか15分。いやー,我ながら大したものだと自画自賛できるスピードです。

 しかし,私のことですから,これで終わるはずがありません。

 ついでに,動作不良になりつつあるパネルのスイッチを交換しようと考えました。チャタリングが強烈に発生して,スイッチが何度も押されたような状態になるのです。

 以前分解して部品取りにしたFMステレオエンコーダVP-7635Aから取り出したスイッチに交換するのですが,VP-7722Aの操作パネルの取り外しが結構大変でした。無理に引っ張ってしまって,フレキが切れる寸前です。

 なんとかスイッチを交換し,元通り組み直しますが,フレキの差し込みが悪いらしく,うまく動いてくれません。全然動作しなかったり,どのスイッチも連打されたりと散々ですが,どうにかやっつけました。この作業で2時間・・・なにをやってんだか。

 しかし,この結果,さらに確実な操作と動作が期待出来るようになりました。実は以前からch2のレンジ切り替えがうまくいかないときがあり,そういうときは一度入力を切断し,再度入れ直すと測定出来たりしたので,騙し騙し使ってのですが,今回の修理でこの問題も解消したところを見ると,以前からリレーの調子が悪かったんだろうと思います。

 こういう測定器を持っていることで,自作の幅は広がりますが,別の楽しみとして測定器を自分でメンテするというのもあります。なにせ相手は技術的な頂点に位置する測定器です。これを完全とはいえなくても,その人が必要とする精度や性能にまで追い込んで使うというのは,難しいしうまくいかない場合もありますが,単なる電子工作とは別次元の楽しみがあります。

 冷静に考えると,こういう産業機器とか測定器というのは,簡単に買い換えないで修理することが当たり前ですから,修理や保守はしやすいように出来ています。そのことを念頭に置いて,落ち着いてパズルを解いていくのは,実に面白い作業だと思います。

 またしばらく,このVP-7722Aには働いてもらえそうです。

グラフィックイコライザを買いました

  • 2015/12/18 15:21
  • カテゴリー:散財

 劣化し低域が落ちてしまったテープ,あるいは当時の機材の問題から高域が上がりすぎたテープの補正のために,グラフィックイコライザを買いました。

 買ったのは,安いことで有名なベリンガーの15バンド,FBQ1502です。

 このモデル,実はすでに生産終了となっていて,現在は後継機種であるFBQ1502HDとかいうものに変わっているようです。価格についても,数年前は1万円以下で売られていたものが,現在は13000円くらいになっており,円安と物価の上昇を実感出来ます。

 腐っても1Uラックの15バンド2chのグライコが1万円以下というのは,確かに「安いなー」という印象がありますが,その感覚になれてしまうと現在の13000円は妙に高いと思ってしまうから不思議です。

 ご存じの方も多いですが,このベリンガーという会社はドイツのメーカーなのですが,製造を中国で行うことを前提にして,実用品をびっくり価格でと言う,100円ショップみたいなことをやっている会社です。

 楽器というよりも,マイクやミキサー,エフェクターなどのPA機器をやっているので,同じ範疇に入る電子楽器やギターアンプを作ったりはしていないようです。

 確かに,グラフィックイコライザのような枯れた電子機器が,なんでこんなに効果なのかと私も思った事がありました。数が出ないからとか,信頼性を重視しているからとか,いい部品を使っているからとか,そういう理由を勝手に考えて納得していましたが,ベリンガーさんはそこから,なら安く作ってみるか,と行動を起こしたところがすごいと思います。

 特に壊れやすいとか,そういう話が目立ちますが,音が悪いとか,使い勝手が悪いとか,そういう評判が案外少ないので,メーカーの意図通りという感じでしょうか。

 私の場合,そんなに頻繁に使うものでもなく,補正をしないといけない場合に出番があるという程度のものですから,高価なものは避けたいです。信頼性に関してもおおらかですし,音質についても,そもそも補正をかけるようなソースですから,余程ひどいものでなければOKです。

 そんな観点で行けば,もうベリンガーしかありませんわね。

 問題は機種選定です。まずステレオで補正しますので,2chは必須。面倒なので2ch分が同時に調整出来るとよいです。バンドはあまり荒いと調整出来ないから駄目ですが,かといって多すぎるのも面倒です。

 ということで,候補は9バンドステレオのものと,15バンド2chのものがのこりました。前者は9000円。数年前は5000円だったそうです。ハーフラックサイズでとてもチープで,5000円なら買うけど9000円はないなと,すでに心は離れていますし,9バンドというのもちょっと少ないです。

 ただこいつにも利点はあり,入出力がRCAピンジャックだということ,それとステレオなので2ch同時に調整がかかるので,手間がかかりません。

 しかし,やっぱりやめました。なぜなら,15バンド2chのFBQ1502が安く買えたからです。

 今この機種を買うと,13000円くらいします。2ヶ月ほど前までは1万円くらいで買えたようなのですが,時既に遅し。

 ですが,あるところにはあるんですね,送料込みで9800円というのがありました。再生品なので新品ではないですが,メーカーの保証もつきますし,動きさえすれば問題はないかと。すぐになくなると思われたので,迷わずポチリました。

 届いたFBQ1502は,箱も潰れておらず,中身も問題なし。傷も見当たらず,使われた形跡もなく,新品そのものです。ただ,ACケーブルやマニュアルの袋は開封されており,製造年も2014年1月とありましたので,やはり再生品なんだと思います。

 さくっと動かしてみましたが問題なしなので,早速改造です。保証のある品物を買った日に改造するなどしない私ですが,これは話が別です。コストダウンを受ける部品の代表が電解コンデンサ。しかし安い電解コンデンサは,音質の劣化もあるし,すぐに駄目になってしまうと言う,今どき価格と性能が密に創刊を持つという珍しい部品でもあります。

 本当は機構部品が一番高価なので,ボリュームのスライダーとかが問題になりそうですが,こういうものは交換出来ないですから,今回は特に信号系に入っている電解コンデンサを交換です。

 入力側に220uF,出力側に470uFがシリーズに入っていますので,これを在庫してあったMUSEとFineGoldにします。耐圧を高いものにしたので外形が大きくなってしまい,やむなく基板の裏側に取り付けました。

 本当は,電源に入っている1000uFが心許なかったので,105℃品の2200uFにしかったのですが,これは大きさが問題で,どうしても良い場所に配置できずに,断念しました。熱源である3端子レギュレータの真上に来てしまうと,さすがにまずいです。

 スライダーがついている基板は,分解するのが面倒なのでそのままにしましたが,どうもここにも電解コンデンサがついている様子です。中途半端なのもいやなので,これもそのうち改造しましょう。

 このFBQシリーズは,熱を持つことで有名で,ラックにしまい込むと特に熱が籠もってしまい,動作が不安定になったり壊れてしまうことが知られていますし,電解コンデンサの容量抜けでハムが出やすくなることも報告されています。

 だから,電解コンデンサを交換すること,熱対策をすることは,この機種では定番化した改造のようななのですが,私の場合そこまでしなくてもよかったかなあと思ったりしています。

 さて,少しいじってみたのですが,さすがに15バンドあると楽に調整が出来ます。足りないなと思う帯域を協調したり,ベースラインをはっきり聞きたい時にさっと調整出来たりと,なかななのものです。スライダーの感触はオモチャみたいで良くありませんが,これはまあ仕方がありません。

 安いとは言え,オペアンプは性能に定評ある4580が全面的に採用されていて,歪みもノイズも少なく,音質も大変立派なものだと思います。

 グラフィックイコライザのせいではないのですが,当たり前の話として,高域が落ちた昔のテープの補正を行うと,それはもうひどくノイズも大きくなってしまうんですね。これにはもう閉口しました。

 4kHzや6.3kHzをあげると盛大にノイズが盛られますし,10kHzや16kHzでも耳障りなノイズが乗ってきます。

 かといってノイズを気にすると,補正が弱すぎて面白くないですし,困ったものです。

 そこで,一種のノイズゲートである,ダイナミックのいずリダクションを試しに入れて見ました。中学生の時にLM1894Nを使って作ったものですが,押し入れに残っていたので引っ張り出してきたのですが,これが思いの外よいのです。

 当時は,ノイズが出たり引っ込んだりが不自然に感じて使わなくなり,再生時だけにかけるノイズリダクショの限界を感じたわけですが,上手に調整すると劇的にノイズを減らせるので,真面目に使ってみようかなと画策中です。

 どんどんハイファイから遠ざかってしまいますが,もともとのテープの状態から考えると,まあこのくらいは仕方がないかと思うところです。

 これと,あとは高域が上がりすぎたテープの補正です。再生イコライザの調整不良で起こった問題ですので,グラフィックイコライザがよく効くでしょう。

 もともと,わかりやすい機能として,ヘッドホンステレオやラジカセ,ミニコンポなどにこぞってグラフィックイコライザが盛んに搭載されたことがありました。

 この時は,5バンドくらいでそんなに積極的に音をいじれるわけでもなく,またノイズも増えてしまい,音質そのものを損なう場合が多かったことで,ネガティブな印象が定着して,次第に廃れてしまいました。

 とはいえ,デジタルオーディオプレイヤーやスマートフォンの音楽再生アプリでは搭載されていて当然の機能の1つになっているので,廃れたと言うよりも当たり前になったというのが正しい表現かもしれません。

 それでも,今回のように15バンドもあるグラフィックイコライザは,一部のオーディオマニアが積極的に音場補正に使うことがあるくらいで,今のDSPを使えばいいものがいくらでも作れるんじゃないかと思いますが,相変わらず高級オーディオ界の日本人のグライコアレルギーは結構根深いものがあるようです。

 今回,音の補正にグラフィックイコライザを使ってみたわけですが,非常に使えるという印象です。以前と違って音質の劣化も少なく,もっと使ってみようと思わせるものがありました。

 足りなかったものがぴたっと収まった感じがします。こんなことなら,もっと昔から手に入れておけば良かったなと思います。

DR-100mk2のライン入出力レベルについて

 前回,DR-100mk2のレベルダイヤグラムのことを書きましたが,実際に信号を入れて挙動を確かめたところ,間違っていましたので訂正を兼ねて,再度まとめてみようと思います。

 まず,最初に言い訳ですが,前回のレベルダイヤグラムは誰かが勝手に作ったものというのではなく,某所から手に入れたDR-100のサービスマニュアルに記載されていたものです。

 DR-100とDR-100mk2は入力系統に仕様の変更がありますかr,同じという前提で話をするのはまずいのですが,今回の話は録音と再生という基本機能そのものであることから,仕様の変更はないものと考えています。

 だから,DR-100のレベルダイヤグラムをDR-100mk2でも同じだと思っていたのですが,結論は誤りでした。DR-100とDR-100mk2とは同じ仕様で,サービスマニュアルが間違っているのか,DR-100とDR-100mk2が異なる仕様になっているのかは,DR-100を持っていないのでわかりませんが,とにかくレベルダイヤグラムは適用できないというのが答えです。

 なら,正しくはどうなのよ,ということになるのですが,残念ながらメーカーが出所となるレベルダイヤグラムは手に入りませんでした。ただ,DR-100mk2で追加されたXLRでのライン入力に関してはキーフィーチャーだったようで,レベルダイヤグラムがカタログに記載されていました。

 よって,この数字をアンバランスのライン入力(LINE2)にあわせて,実機の動きと矛盾しないように書き換えるというのが,今回の話になります。


(1)ライン入力の仕様について

 DR-100mk2のライン入力は,前述のようにバランス入力とアンバランス入力の2系統があります。前者であるLINE1入力はプロスペックを満たすために,基準レベル+4dBu,最大レベル+24dBuとなっています。ヘッドマージンは20dBです。

 もう1つのLINE2入力は民生機器への接続用で,基準レベル-10dBV,最大レベル+6dBVです。ヘッドマージンは16dBとなっています。1dBVは1.0Vrmsですので,-10dBVは0.3Vrms,+6dBVは2.0Vrmsです。


(2)ライン出力の仕様について

 DR-100とDR-100mk2はライン出力を独立した端子で持っており,仕様は両機で共通です。民生機器接続用のアンバランスで,基準レベル-10dBV,最大レベルが+6dBVです。


(3)コーデックの入出力レベル

 コーデック(ADコンバータとDAコンバータ)の入出力レベルについては,フルスケールを0dBとおいて,dBFSで表記します。

 カタログに記載されたDR-100mk2のレベルダイヤグラムによると,ライン出力のレベルは,0dBFSで+4dBVです。従って,基準レベルである-10dBVでは-16dBFSです。これはカタログのレベルダイヤグラムに書いてあるとおりですし,実機での計測でも同じ結果が得られました。

 また,同じレベルダイヤグラムに記載があるLINE1の入力レベルを見ていくと,基準入力レベルである+4dBuが-20dBFS,最大入力レベルである+24dBuが0dBFSと書かれています。


(4)レベルメーターについて

 DR-100およびDR-100mk2のレベルメーターには数字が入っていませんが,逆三角形の印がついているところが-16dBであり,ここを下回らないように入力レベルを調整せよと取説に記載があることから,この印がコーデックの-16dBFSであると考える事ができます。


(5)アッテネータについて

 アッテネータといっていいか分かりませんが,入力レベルの調整用のボリュームは,最大で-31dBの減衰を行う事が可能となっています。サービスマニュアル記載のDR-100のレベルダイヤグラムでは-31dBから0dBとありますが,DR-100mkのカタログ記載のレベルダイヤグラムでは,-15.5dBから+15.5dBまでと記載があります。

 この場合,0dBはボリュームの真ん中になると考えていいと思いますが,減衰量と回転角がリニアであるとはどこにも書かれていませんので,違うかも知れません。

 減衰しか出来ないボリュームで+15.5dBというのはおかしいので,前段に15.5dB以上のゲインを持つアンプがあるのが前提ということになります。

 果たして実機がそうなっているかどうかを確かめてみると,ツマミが10(最大)で-10dBVを入れると,レベルメーターはちょうど0dBを示しました。

 また,ツマミを0(最小)にして,+6dBVを入れると-25dBを示しました。まあ難しい事は考えずに,普通に-31dBから0dBの減衰という理解が,一番しっくりくると思います。


(5)LINE2入力の仕様を推測する

 と,ここまで書き連ねてきた事実と考察から,問題のLINE2入力の仕様を推測します。

 まず,LINE1の基準入力レベルが,ヘッドマージンを割り引いたレベルとなっていますので,これをLINE2に当てはめてみると,基準レベルである-10dBVは-16dBFSとなります。

 そして,それぞれの数字にヘッドマージンの16dBを加えてみると,入力レベルが+6dBVで0dBFSとなります。ということは,DR-100mk2のLINE2入力の電圧とレベルメーターとの関係は,0.3Vrmsで-16dB,2.0Vrmsで0dBということになるわけです。


(6)短くまとめると

 入力→ 0.3Vrms = -10dBV = -16dBFS = -10dBV = 0.3Vrms 出力→
 入力→ 2.0Vrms = +6dBV = DdBFS = +6dBV = 2.0Vrms 出力→


(7)それで?

 なにを当たり前の事をごちゃごちゃ書いているのかと,大多数の方は思ってらっしゃることでしょう。結論はとても簡単で,例えば基準レベルが-16dBFSだと知っていれば,こんな考察など必要なく取説を読むだけでこのくらいの情報は得られます。

 私は民生品のオーディオ機器しか扱ってこなかったので,レベルダイヤグラムなどあまり意識してきませんでしたし,レベルを合わせるなどと言う注意もしてきませんでした。

 胸を張って言えるようなこととは違うのですが,これですっきりしたのは,録音時には-16dBから0dBの間で,メーターがウロウロするようにすればよいという取説の記述の根拠です。

 確かに,仮にDolby-Cで20dB改善されたカセットでも,ダイナミックレンジは70dBほどですから,最大レベルを仮に-16dBとしても,ダイナミックレンジは理論上80dB確保出来ることになるので,十分カバー出来ると考える事ができます。

 まあ,小さいレベルの時には,量子化雑音が占める割合が大きくなってしまうので,やっぱりレベルはギリギリを狙っていくのがいいと思いますが,ピークレベルメーターですべてのオーバーを拾えているという保証もないですから,取説に従っていこうと思います。

 だけど,ヘッドマージンとして用意された16dBってのが,デジタル録音では一番おいしいところだったりするんですよね。ここを使わず,いざというときのために撮っておくというくらいの意味で残しておくのは,旧世代の私としては,ちょっと悔しい気もします。

 そうそう,もう1つ実験したことがあります。

 入力レベルを調整するつまみですが,DR-100mk2は2重になっていて,左右独立でレベル調整が出来るようになっています。

 ですが,少なくとも私のモデルでは,内側と外側のツマミの数字が回しきったところで揃いません。0にしても10にしても,ちょっとずれるんです。

 このズレが,実際の音量の差になっているなら問題ですが,単にツマミのガタで怒っているなら,無視しても良いでしょう。

 そこで,ツマミをまず両方とも10に回しきって揃えた後に,外側のツマミを回して両方とも0にします。ここで左右の音量を測定し,そこからさらに内側だけさらに回します。

 これを,0で揃えて10まで回しきった後にも同様に行います。そしてレベルが変われば問題,変わらなければ問題なし,と判断します。

 
 結果ですが,ツマミのガタでした。どちらのケースでも,さらに回したところで値は変わりません。

 案外,このボリュームはよいものを使っているような感じで,ボリュームそのものにガタはないですし,左右の変化のずれも少ないようです。

 昨日思い出したのですが,昔使っていたA-450という古いカセットデッキは,どうもアジマスが狂っていたのと,ディスクリートで構成されたDolby回路の調整がずれており,左右の音量差が出ているテープが多く,しかも周波数と絵ベルで定位が変わってくるという非常に面倒なものになっています。

 周波数や音量で定位が変わることはもう仕方がないとして,明らかにずれているものは左右独立のボリュームの利点を生かして,左右の音量バランスが同じになるように調整をすることが出来ました。

 こうして録音した音楽を,録音後に再生してみると,回転部分などどこにもないのにちょっとした感激があるから,録音という作業は楽しくてやめられません。

 ただ,楽しいのは結構なのですが,安いテープで30年を経過したようなものは経年変化で高域の減衰が目立って来ているものがありますし,そうでないものも転写がおきていたり,磁性体が剥がれてしまうという劣化も出てきています。

 このため,左chだけ音がこもってしまうのが10秒だけ続くいったような,それまでの作業をパーにしてしまうような事故もおきやすくなっています。

 20年以上経過し,ひどいものは30年にもなるようなテープが,今でも再生出来ることがそもそも大したものなのかも知れませんが,ここはさすがに音が出なくなるデジタルと違い,ダメになってもダメなりに音が出るアナログは,頼もしいなあと思います。

 何度か録音をやってみて,大体作業の流れや注意点も見えてきました。あとは単純作業の繰り返しになりますが,なにせカセットもDATも数があるので,短期的に時間を作って処理しても追いつきません。死ぬまでにコツコツをやっていくという長期的な覚悟で,取り組んでいく必要があると思っています。

 とはいえ,ちょっと無視できないなと思っているのが,当時の機材の問題(調整不良)による高域が異常に出ているテープと,経年変化や劣化による高域が落ちてしまっているテープです。

 一度デジタルで取り込んだ後に,ソフトで補正をかけようかと思ったのですが,時間もかかるし,アナログの段階で補正が出来る方がいいと考えて,グラフィックイコライザを買うことにしました。

 オーディオ用途のものはもう絶滅しているんですが,業務用にはたくさんの品種があります。随分安くなっていることに気が付いたのですが,今回は価格破壊者として知られる,ベリンガーのものを手配しました。

 積極的に音をいじることを良しとしなかった私は,グラフィックイコライザーを使いこなせる自信がありません。試行錯誤でいじっても,結局うまくいかなかった経験もあるので,15バンドで左右独立という自由度の高い機器を目の前にして,果たしてきちんと目的を果たせるのかどうか・・・

DR-100mk2で録音

 DR-100mk2を使って,DATの録音を少しだけやってみましたが,なかなか大変です。

 まず,面食らったのは,デジタル入力なのにPEAKインジケータが点灯し,あげく「OVER」とレベルメーターに表示されてしまったことです。

 本来,デジタル入力ですから0dBFS以上の入力は入ってくるはずがありません,なのにOVERとはどういうことか?

 理由はともかく,本当に私のDATから0dBFS以上と認識される信号が出ているなら問題です。そこで,XD-S260からDTC-59ESJに入れ,ここからDR-100mk2に入れて見ました。

 すると,DR-100mk2ではOVERとなる信号でも,DTC-59ESJでは0dBとなり,オーバーにはなりません。断定するのは難しいですが,デジタルの信号ですので,フルスケールは0dBであり,これ以上を表現する事が出来ない以上,信号そのものがレベルオーバーになっている可能性は,ないと考えていいでしょう。

 残る可能性は2つ,DR-100mk2がデジタル入力の信号を増幅してしている,もう1つはレベルメーターの表示が実際よりもずれている(というよりより慎重な方向に修正されている)というこことです。

 前者の可能性ですが,私は当初低いと考えていました。意味もないし,わざわざDSPで処理するようなことでもないと思っていたからで,そんなものは世の中にほとんどないと思っていたのです。

 ところが,MD全盛の時代に,デジタル入力でもレベル調整をしたいというニーズが多くあり,中級機種から上のモデルではレベル調整が可能なものがいくつもあったようなのです。確かに,デジタル入力時にレベル調整をしないというのは,その信号が既に適切なレベルに調整されていることが前提であり,もしもそうでないソースがあったら,調整したいと思うのは普通の欲求でしょう。

 なんに使うのかと思ったのですが,例えばアナログ録音されたMDをデジタルでコピーするとか,テレビや衛星ラジオなど,あまりレベルを厳密に管理していないと当時言われていたソースを録音するなら,使い道はあるかも知れません。

 でも,私に言わせてみれば,デジタルでレベル調整をすることで音質劣化のデメリットが普通に発生するわけですから,一度アナログに戻してアナログでレベル調整をしてやればいいんじゃないのかと,思うのです。

 話を戻しますが,こうした過去の機器にあったデジタル入力時のレベル調整ですが,レベルが固定という事はなく,可変になっています。目的から考えると当たり前の話ですが,DR-100mk2には調整がありませんので,レベル調整は行われていないのではないかと,そんな風に思っています。

 もう1つの可能性である,レベルメーターのズレですが,私はこの可能性が大きいと思っています。この手のレコーダーというのは,どうもレベルオーバーによる音質の劣化がなにより嫌われるようで,あまり上限ギリギリを狙ってレベル設定を行うことはしないようです。ま,そりゃそうですね,マイクで録音することを主眼においたハンディレコーダーですから,どんな大きさの音が来るか分かりません。

 さらに,歪ませるよりはノイズに埋もれさせた方がましだ,という考え方が浸透してきたようで,これを根拠にレベルを小さめにして録音し,あまり上限ギリギリを狙わないようになってきているみたいです。

 機器の性能向上もあり,ノイズフロアが下がってきているのがその背景にあるようです。特に24bitの録音が可能な機器な場合,マイクやプリアンプのダイナミックレンジから考えると,上限ギリギリを狙わなくても,十分なダイナミックレンジが取れるのですから,無理をすることはありません。

 そんなわけで,レベルメーターがより安全な方向にずれているんじゃないかと思うのです。機会があったら確かめてみようと思います。ここで例えば,2Vrmsの1kHzを入力して,0dBFSを越えてしまったら私の考察が正しかったことになりますし,0dBFSぴったりになれば,やっぱり信号のレベルそのものが変わってしまっていたことになりますね。

 ここで,自分自身のために,レベルについてまとめておきます。

 DR-100のレベルダイヤグラムを見ると,ライン2入力(3.5mmのジャックy)の標準入力が-10dBVで,これがレベルメーターの-16dB(-16dBFS)に相当します。最大入力の+6dBVでレベルメーターの0dBとなり,これがADコンバータ(CODEC)のフルスケール,つまり0dBFSになるようになっています。ヘッドルームは16dBとなりますね。

 入力のボリュームの可変範囲は31dBとなっていますが,基準入力である-10dBVが
-16dBFSであることから考えると,入力ボリュームを0に絞った場合には-41dBVとなり,これが-47dBFSになるというわけです。

 0dBVが1Vですので,-10dBVは0.33V,+6dBは2Vと言うことになりますので,まあ普通のラインレベルを受ける端子としては,ギリギリの線です。

 これはDR-100での資料を基にしていますが,DR-100mk2でもこれは同じでしょう。

 それで,DR-100にはない,XLR入力のライン1になると,基準レベルが+4dBu,最大入力レベルが+24dBuと書かれています。カタログにレベルダイヤグラムが出ていましたので,同じように考えてみましょう。

 レベルダイヤグラムによると,基準レベル+4dBuが-20dBFSとなっています。ヘッドルームは20dBで,最大入力は+24dBuです。これはライン2入力とは全然違っています。

 なお,このレベルダイヤグラムには出力も書かれているのですが,+24dBu = 0dBFS = +6dBVです。出力の+6dBVはライン1でもライン2でも同じ仕様です。

 で,ライン1での基準レベルは20dB下がったところですので,+4dBu = -20dBFS = -14dBVです。(ちなみにライン2では-10dBV = -16dBFS = -10dBV)

 +4dBuは1.23V,+24dBuは12.3Vです。このあたり,さすがプロ仕様です。

 取説では,レベルメーターが-16dBを中心に行き来するようにし,かつPEAKインジケータが点灯しない範囲で入力レベルを設定しろ,とあります。なるほど,レベルダイヤグラムをきちんと読んでみると,この説明にも納得がいきますね。


 さて,他にも,AUTOREC機能は,レベル設定の下限が-48dBなので,頭切れも尻切れが簡単に発生してしまいますし,PRERECはAUTORECとは別の設定項目なので,手動でも2秒前から録音されてしまうとか,尻切れを防ぐRELAYの設定も5秒まで設定出来るとはいえ,設定単位が1秒でとても大雑把であるとか,あれこれと面倒なところもあります。

 最初は,AUTORECで楽をしようと思っていましたが,結局使い物にならない事がわかってしまい,すべて手動に切り替えました。それでも,ファイルを分けるTRK INCで僅かながら頭切れが起こっているようなので,心持ち前でボタンを押すように,心がけています。

 そうして苦労して録音を進めていても,DATの調子がどうも悪くて,途中でCAUTIONを出して止まってしまい,またやり直しです。

 こんなことをやっていたら,いつ手持ちのDATがファイル化出来るか,見当も付きません。そうこうしているうちにデッキも動かなくなり,テープは劣化して,再生不可能になります。さすがの私も,ちょっと焦ってきたというのが,本音です。

 

DATとその他の機器をメンテ

 25年も30年も経過すると,部品の寿命を迎えているような機器も多くあり,特に寿命が短く確実に来る電解コンデンサの機能低下が,機器全体の性能を落としてしまうことが目立って来ます。

 またこの電解コンデンサが,電源回路に使われたり,音が直接通る海路に使われたりすることが多い部品だったりするのでたちが悪いです。

 先日からオーディオ機器のオーバーホールをコツコツと行っていますが,作業としては電解コンデンサの交換が主で,とりあえずちゃんと動いて実用レベルになってくれれば,それ以上のことはしないというのが方針です。

 幸いなことに,私の機器はメカの劣化が少なく,ほとんど手を入れることなくちゃんと動いてくれています。

 昨日,ようやく計画していた作業がすべて終わったので,簡単にまとめておくことにします。

・GX-Z9100EV

 先日詳細を書きました。電解コンデンサを交換(基本的にはすべてを交換)し,テープガイドのグリス固着を防ぐ為に柔らかいオイルを数滴注油,モード切替カムの位置調整を行って,一度完成させました。

 このメンテの際に,コネクタへのケーブル差し込みのミスで,テープセレクターが正しく動作しないという問題が出たことと,電源のショートのせいでヒューズ抵抗を焼いてしまったことも,これまでにかきました。ヒューズ抵抗は2Aのヒューズに交換して修理完了としました。

 ところが昨日,プレイボタンを押したところ,ヘッドがなかなか上がらずに,音が出始めるまでに随分待たさせるようになっていました。使っているうちに音が出るまでの時間は短くなっていきますが,それでもモーターが唸るような異音がして,ヘッドがなかなか上がらないことには変わりがないので,もう一度分解することにしました。

 異音の原因はモード切替のモーターからです。ヘッドを上げて押しつけているのはこのモーターですから,こいつから異音がするというのはちょっと問題です。さらによく見ると,モーターにかかっているゴムベルトがスリップしているような感じです。

 ゴムベルトの交換を予防的にしなかったのは,メカを降ろして分解しないと,交換出来ないと思ったからです。予防の効果は認めるとしても,そのことでメカを分解し,万が一テープパスが狂ってしまうような話だと,もう最悪です。

 しかし,ゴムベルトがスリップしている以上,交換せざるを得ません。こういう場合,私はバンコードを使って,メカを分解せずにベルトを交換するようにしますが,バンコードを溶着する作業空間がないことと,手元にちょうどいいくらいのサイズにバンコードで作ったベルトがあり,もったいないのでこれを利用することにしました。

 じーっとメカを眺めていると,モード切替のモーターは3本のビスで外せそうです。この時カムを駆動するギアも一緒に外れそうなので,輪になったベルトを簡単に交換出来るようです。

 果たして,ビスを外すと,うまい具合にモーターとギアがまとめて外れました。ちょっときつかったのですが,手持ちのベルトをプーリーに引っかけ,元に戻します。

 動かしてみると,ばっちり治りました。しかも,電源投入時やカセットを入れた時に必ず発生していた「カタカタカタ」という音もなくなりました。

 この音ですが,どうやらモード切替カムが,ベルトの緩みからバックラッシュをしていて,規定の位置にピタッと止まらず,行きすぎては戻し,戻しすぎては進めを繰り返していたようです。ベルトのスリップがなくなったことで,ピタッと位置が出るように制御出来て,カタカタ音も出なくなったようです。

 実に気持ちがいいですね。購入時の小気味良い動作が甦りました。こうなると,フライホイールにかかるベルトの劣化も心配ですが,これはまだしっかり引っかかっているような感じですので,もう少し様子を見ましょう。


・XD-S260

 私が初めて手に入れたDATです。これが私のエアチェック環境を激変させ,高音質で,かつ確実な録音でライブラリを増やすのに,負担を大きく軽減してくれました。

 ミニミニコンポサイズの260mmで,安く小さい割には信頼性も高く,音も悪くなかったので,とにかくよく使いました。

 何だかんだで録音済みのDATがたくさんありますから,これをファイルベースで管理するのに,きちんと再生出来るDATのデッキが必須という判断から,オーバーホールを行うことにしたものです。

 まず,トレイが出てきません。これは前例があり,10年ほど前にトレイを動かすモーターのゴムベルトが伸びきっていることが分かっているのでバンコードで交換用ベルトを作り,交換です。前回は輪になったベルトを使ったのでメカを分解しましたが,今回はバンコードですので,ベルトを通してから溶着して輪にします。こうするとメカをばらさなくてもいいんですね。

 さて,これでDATがローディングされるところまでは,動きました。しかし,どうも不安定です。テープが走ったり走らなかったり,クリーニングテープを引きちぎったり。

 テープガイドに注油を行い,スムーズに動くようにすると,ぎこちない動きがだいぶよくなりました。それでも安定して動作しません。

 テープローディング用にモーターのベルトが滑っている可能性もあると思ったのですが,径の小さなベルトなので手持ちがなく,バンコードで作るのも難しく,結構元のベルトが一番良い結果が得られました。

 あれこれ分解していると,全然動かなくなったり,テープをロードしなくなったりして慌てましたが,最終的にはなんとか再生が出来るようになってきました。

 ただ,頭出しを行うと確実に「CAUTION」と出てしまいます。

 これは,ブレーキが壊れているのが原因でした。頭出しで高速回転するリールが,再生に切り替わったときに止まらず,テープがたるんでしまうわけですが,そのせいでリールが回ることなく再生されている状態をエラーと認識しているのだと思います。

 見てみると,ブレーキのゴムが溶けてドロドロになっています。部品を取り出し,ゴムをアルコールで拭いますが,代わりのゴムなどありません。内径が2mm,外径が3.5mmくらいのチューブを輪切りにするとちょうどいいのですが・・・

 周りを探してみると,VVFケーブルの被覆がサイズとしてはぴったりです。ゴムではないですが,ブレーキの代わりくらいにはなるでしょう。これに交換します。

 組み立てると,なんとかブレーキがかかって,CAUITONも出なくなりました。

 しかし,途中で再生が止まることもチラホラ。なんでかなあと思っていると,キャプスタンがグラグラです。これはわざと緩く固定してあるのかと思ったのですが,キャプスタンモーターを固定する3本のビスのうち,2本だけが緩んでいたことを考えると,どうも動いてはいけないもののようです。

 とりあえず3本のビスをきちんと締めておきました。

 再生中に止まることはなくなりましたが,ドロップアウトで盛大にノイズが発生とか,今ひとつな感じです。デッキが悪いのか,テープが悪いのか,はたまた録音機と再生機が違う場合に怒るオフトラックなのか,そこがよくわかりませんが,このデッキで録音したテープは問題なく再生出来ているようなので,これで完了とします。

 あとは電解コンデンサの交換です。ADにはクリスタルセミコンダクタの,DAにはフィリップスのものをつかっていて,それなりに音が良いと言われているものなのですが,アナログ回路はそんなにお金のかかった感じはしません。

 気になったので,M5218はOPA2134に交換しておきます。良くなることはあっても,悪くなることはないでしょう。

 電源を含め,すべての電界コンデンサを交換します。電源回路の電解コンデンサは少し容量が大きいものに交換し,信号系のものも手持ちの関係で大きなものにしておきました。まあ大丈夫でしょう。

 完成しましたが,今のところ問題なしです。音質云々ですが,冷静に考えるとデジタルアウトから取り出しますので,アナログ回路に奢った新しい電解コンデンサは,あまり役には立たないのかも知れません。


・DTC-59ESJ

 いろいろ悪評の多い,ソニーのDATです。悪評が多いと書きましたが,では他の機種が出てくるか,他の評判のいい機種があるかといえばそういうものでもないので,なんだかんだで一番ポピュラーなDATデッキということになるでしょう。

 幸いなことに,私のDTC-59ESJはメカに問題はなく,持病とされるヘッドクリーナの取り外しと,RFアンプのコンデンサの交換だけやれば,とりあえず問題なく動く状態でした。

 ヘッドクリーナはもうボロボロで,確かにこれで動かしてしまえばヘッドにゴミをくっつけることになるなあと震え上がりましたが,電源を入れる前に取り外して終了。

 RFアンプのコンデンサですが,当時は超小型の電解コンデンサが手に入らず,面実装品の小型のものとして,5Vの電源ラインに6.3V耐圧のものを使っています。こうしたマージンのなさと,無理に小型化したコンデンサであること,そして面実装品であったことなどが重なって,液漏れが多発したんだと思います。

 無理にリードの電解コンデンサに交換している人も多いようですが,それだとシールドケースも閉まりにくいですし,かといって同じ電解コンデンサにするのも怖いので,面実装のタンタルコンデンサにします。

 タンタルコンデンサは,故障モードがショートですので,壊れたら重大事故になります。そこで壊れにくいように,十分なマージンを持って使うのが定説なのですが,5Vなら最低その3倍である15V耐圧のものを選ぶべきです。

 手持ちのタンタルコンデンサをみると,22uFは16Vと20Vのものがあります。どちらも同じ大きさなので20Vを選びますが,ちょっと長さが大きくて,うまくハンダ付けが出来ません。

 それでもなんとか取り付けましたが,どうもどっかでショートしたらしく,再生しても音が出ません。やりなおしです。

 もう一度手持ちを探すと,長さの短い小型のものが,10Vならある事がわかりました。不安ですが,2倍のレーティングにかける事にし,コンデンサに交換です。

 結果は,今のところは問題なし。仮に音が全く出なくなったら,コンデンサの破損だと思って,その時手に入るもっと良い部品に交換することにしましょう。

 先に基板の電解コンデンサの大半を交換します。手持ちの関係もあり,電源の平滑コンデンサである5600uFと6800uFは交換出来ませんでしたが,あとのものはすべて交換しました。

 これで組み立てて音を出しますが,最低限必要はところに注油をして,スムーズに動くようにしました。音も出ています。

 ところが,ヘッドフォンが常に最大音量なんですね。レベルツマミを回しても音が小さくなりません。調べてみると,このレベルツマミのボリュームが壊れていて,無限大になっているようです。代わりのボリュームを探しましたが,20kΩという抵抗値,シャフトの長さと形状でぴったり合うものがなく,仕方がないのでボリュームを分解して修理しました。

 この結果レベルが調整出来るようになりました。同時に,ヘッドフォンアンプとして搭載されていたM5218も,OPA2134に交換しておきます。NE5532やLF412は,このデッキの音質を決めている重要なOP-AMPなので,このままにします。LF412なんて,渋いですねえ。

 次に思いついた改造が,DATのメカを照らす照明を明るくすることと,SBMのLEDを交換することです。

 当時はアンバーのLEDしか照明に使えるものがなかったので,色も悪く,また暗いものを使ったのでしょうが,今は非常に明るいLEDが手に入ります。こういうオーディオ機器は,電球色がいい雰囲気を作りますので,ここは電球色のLEDに交換します。

 結果,とても明るく,見やすく,高級感も出ました。この改造はおすすめです。

 SBMのLEDは,今は緑になっていますが,これも品がないんですね。もともとDTC-59ESJにはLEDは使われていませんし,緑色もどこにもありません。だからとってつけたような不自然さがあるんですが,これをアンバーにしました。落ち着いたいい色で光るようになり,こちらもおすすめです。

 そして,いよいよ組み立てたところで,問題発生。メカをオープンしても開ききらず,しばらくすると勝手に閉じてしまいます。DATを取り出すときにも同じで,手でぐいっと開かないと,せっかく出てきたテープがまた吸い込まれてしまいます。

 もう一度分解して見ましたが,DATのローディングの機構の,油ぎれのようです。開ききる手前で一番重くなるところがあるようで,ここでモーターが回りきらず,リミットスイッチを押せないまま,閉じてしまうのです。

 注油してやるとスムーズに動くようになり,問題はなくなりました。

 これで作業は終了。


・自作のMOS-FETアンプ

 先日,アナログプレイヤーをメンテした際に,アンプの入力セレクターを改造しました。これまではPHONO入力からイコライザアンプに入っていたのですが,以前から書いているとおりイコライザアンプは外部に用意しましたので,PHONO端子は使わずにいました。

 ですが,ただでさえ入力端子が足りない中,遊ばせておくのももったいないので,内蔵のイコライザをバイパスし,PHONOも単なるライン入力になるようにしたのです。

 この時,電解コンデンサも交換すべきだったのですが,面倒でやらなかったのです。

 しかし,今回,カセットからDR-100mk2で録音をしている時に左右が入れ替わっていることに気が付きました。どこで入れ替わっているのかよく分からず,結局結線を外してアンプをラックから取り出してしまいました。

 結局,ここまでやったんだからと,電解コンデンサの交換をしました。

 自分が高校生の時に,部品屋さんで集めた電解コンデンサを,今こうして外して交換し,捨てることになるとは,感慨深いものがあります。

 今見ると,1970年代後半の設計らしく,電解コンデンサも大容量のものが使われていません。小さく安くなったコンデンサのおかげで,今の常識よりは,1ランクは小さなものが使われている印象です。

 これを一気に交換します。といっても,電源基板がほとんどで,使われていないイコライザの電鍵ラインに入ったものが他にあるくらいです。パワーアンプ部のドライバ基板には1つも電解コンデンサはありません。

 交換しても,別に問題はなし。左右に入れ替わりもアンプ内部の話ではなくほっとしました。


 ということで,私の手持ちの古い機器は,一通り交換を済ませました。手持ちのFine Goldはほぼ払底したのですが,電解コンデンサは使わずにストックしても腐ってしまいますから,在庫を持たずにとっとと使った方がいいです。

 もう10年くらいはこのまま使えるかなと思いますが,果たしてこんなにかさばるオーディオ機器を,持ち続けることの意味も分からなくなってきます。もし仮に,私が今日死んでしまったら,家族は困るだろうなあと,そんな風に思いながら交換作業をしていました。

 難しいものです。

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