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2008年09月の記事は以下のとおりです。

こんなことがありました

 先日,こんな事がありました。

 私は,毎週火曜日の朝,会社の近くの本屋さんに定期購読をお願いしている「鉄道データファイル」を買いに立ち寄るのを楽しみにしています。

 毎週毎週,必ず本屋さんに立ち寄る用事があるというのは面白いもので,なにか面白い本が出ているかも知れないという期待もありますし,季節ごとにあるキャンペーンが始まったとか,新しい雑誌が出ているとか,果ては店員さんが増えたとか,そういうことが分かったりするものです。

 母親が長く本屋に勤めていることもあり,私も本と本屋さんが大好きで,冷やかしでも案外店員は邪険にしないことを知っている私は,その雰囲気を気軽に楽しんでいます。でも実は,ついつい他のものも買ってしまうんですが・・・

 大体1年ほど,この本屋さんにお願いしていたのですが,その日の朝もいつも通り,レジの店員さんに話しかけました。


店員さん:いらっしゃいませ。
わたし :取り置きをお願いしているxxxですが。
店員さん:***さんですが?
わたし :いえ,xxxです。(聞き間違いを訂正)
店員さん:少々お待ち下さい。

(背後の棚をみるが見つからないらしい)

店員さん:書名はなんと?
わたし :鉄道データファイルです。

(再度探してようやく見つかったらしい)

店員さん:定期ですね。
わたし :そうですね。
店員さん:定期と取り置きは違うので,次回からは定期とおっしゃってください。
わたし :・・・わかりました


 結構きつい言い方をされたこともあり,なかなか素直に納得出来なかったのですが,あいにく私の後ろには何人も列んでいたので,ごねるのはやめようと思いました。それで結局「わかりました」といって店を出たのですが,やっぱり釈然としないのです。

 私の視点で言うと,素人のお客に,取り置きと定期購読の区別は付かないんではないかと思うのです。店頭に出す予定の在庫から1冊私の分を確保するのを取り置き,私のために1冊出版社から毎号毎号送られてくるのを定期購読,とすると,その違いは本屋さん内部の処理の違いですし,そもそも私は希望している本を手に入れたいだけなので,どっちでも構いません。

 定期購読という言葉をお客さんが全員知っているかと言われれば,やはり業界の用語に近いので,取り置きという普通の日本語よりは知られてないように思います。それをお客が使いこなさないと,本が出てこないというのは,ちょっと敷居が高いんじゃないのかなあとも,思うわけです。

 9月になって最初でしたし,もしかすると本屋さんの仕組みが変わって,定期と取り置きを明確に区別することになり,お客さんにもきちんと分けてもらおうということになっていたのかも知れませんが,それにしても「取り置き」と言ったお客の商品が見つからないときに,定期購読で探し直してみようと思ってもらえないのも,不思議な気がします。

 そんな風に考えて,その日一日,とても沈んだ気持ちでいました。

 毎週のことですから,次の火曜日も同じ事を言われるのではないか,迂闊に「取り置き」などといってしまったら,また怒られるんじゃないかと,そんな風に気を遣わねばならないことも,負担に感じていました。そう考えると,それまで楽しみにしていた火曜日の朝が,楽しくないものに見えてきました。

 こりゃーいかん,そう思った私は,本屋の立場も聞いてみようと,母親に電話してみました。母親はこの道30年です。

 私の話を一通り聞いた母は,「それは本屋がおかしいな」と結論しました。それが定期なのか取り置きなのかは,本屋の内部の話であって,お客さんには全然関係ない,どっちで話をされても,本屋なら同一視するもんだ,ということでした。

 まして1年も買い続けたお客さんに,定期だといえ,というのは失礼だと,そんな風にいいました。母は,定期購読者は慣れてくると,名乗らない人も出てくるくらいだと笑っていいます。

 母親は続けて,電話して問いただしてみなさい,と言います。私も,正直毎週火曜日の朝が気が重いので,定期購読を解約しようと思っていましたが,それを電話で言うか,直接本屋さんでいうか,迷っていました。母は,その本屋の本部に電話してみろ,ともいうのですが,それはさすがにやめました。

 結局,翌日その本屋に電話し,責任者の方に変わって頂いて,当日のやりとりを説明した後,定期購読を解約しました。意地を張っているのでも,嫌がらせでもなく,やっぱり朝っぱらから怒られたこと,それが毎週毎週続くと思うと憂鬱になる,という理由を,正直に伝えました。

 本屋さんは,「レジの担当がそう申したのですね。それは完全に私どもの落ち度です。謝って済むことではないのですが,申し訳ございません。」と,平謝りでした。

 その責任者の方は,私のことをよく知ってらっしゃるとのことで,毎週発売日の朝に来ていることを把握していたそうですが,当然取り置きと定期を区別することはしていないし,それをお客さんに区別してもらえ,と言ったこともないということでした。

 言い訳になるかも知れませんが,と前置きされて,おそらく一度探して見つからなかったことをお客さんの言い方のせいにしたかったのだろうと思います,ということでした。

 本人にはよく注意しておきます,といわれるので,別に謝って欲しいわけでもないし,叱って欲しいというわけでもないので,と伝えると,他のお客さんにも同じ事をするかも知れないので,これはきちんと指導します,ということでした。

 会社の近くで,便利にしていた本屋さんだけに,今後一切行かない,ということはないと思う,ただ今回の定期購読の件は,毎週毎週のことだから申し訳ないけども,解約すると伝えて,電話を切りました。

 実際,私も今後その本屋さんには何度も足を運ぶと思うのです。むやみにケンカをしても,私だってなんのプラスにもなりません。

 他の本屋さんに定期購読の申し込みをして,この件は一応解決したのですが,しばらくの間モヤモヤとしたものがあって,すっきりしませんでした。怒られた店員さんはどう思うのかなあとか,もしかしたら私の勘違いだったらどうしようかなとか,今度その本屋に立ち寄った時に謝られてしまうようなことがあったら困るなあとか,いろいろ考えてしまいました。

 きっと店員さんには,店員さんなりの事情や考えがあったのでしょう。それもきちんと聞かないうちに,電話で一方的に責任者に話をした私のやり方が本当に正しいかどうかは,ちょっとわからないとも思っています。でも,意外なことで怒られたという印象は間違いではなく,それが誤解や勘違いであったとしても,「取り置きと定期は別なので次からは定期と言ってください」は余計な一言だったと,そう思います。

 偉そうなことをいうようですが,お店というのは,ちょっとしたことでお客さんが離れていくものです。今回のような明らかなきっかけがなくとも,わずかな雰囲気の変化や居心地の悪さで,自然に足が遠のくものです。

 ポイントカードを両手で返すことはしてくれても,レシートやおつりは片手でポイ,では片手おちだなと思いませんか。

 あるいは,残高がゼロになった図書カードを,問答無用でゴミ箱に入れられたら,どう思いますか。残高がゼロでも,その図書カードはお客さんの持ち物です。大事な人からのプレゼントで記念に取っておきたいかも知れません。図案が気に入って残しておきたいと思っているかも知れません。

 なぜ両手でポイントカードを渡さないといけないのか,残高ゼロの図書カードは価値が本当にゼロなのか,そうしたことに想像力を持っているかどうかを,お客さんは無意識のうちに感じているものです。

 本屋さんというところは,店員さんの想像力が豊かで,そういう方々の働く姿を見るのも私の楽しみの1つでした。今回の電話についても,私の立場に立ち,想像力を働かせて謝ってくださったので,そこはさすがだなと思ったわけですが,出版不況と通販の台頭に加え,売り上げは上がらないのに入荷と返品が増え続け,本屋さんは肉体労働という現状がますます進む昨今,本屋さんがどうやったら愛され,生き残っていけるのかを,業界として考えて頂いて,そしてきちんと生き残って私のような本屋さん大好き人間の期待に応えて欲しいなと,勝手ながら思います。

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