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2008年12月の記事は以下のとおりです。

痩せたトラ技

 先日,ふとしたことから20年以上前の「トランジスタ技術」を何冊か古本で購入しました。切り抜きもなく,多くの人が収納のために捨ててしまう「広告」も完璧に温存されている,今時珍しいものです。

 「トランジスタ技術」は1964年10月の創刊です。まだまだ真空管が全盛の時代で,電子回路もまだまだこれから新しい回路やデバイスが登場するという,とても面白い時代だったのではないかと思います。

 私は生まれていないので伝聞に過ぎませんが,当時の電子回路技術者は,原理も使い方も全然違い,不安定で壊れやすい固体素子「トランジスタ」に対して,相当の焦りがあったそうです。

 真空管ならお手の物だったベテランほど,トランジスタには手こずったと聞きますし,口の悪い人の中には,まだまだこれからというトランジスタにあった,あまたの欠点をあげつらい,「だからトランジスタはダメ」と結論したりしたそうです。

 デバイスを作る方もしかりで,当時の精鋭が終結した真空管の設計や製造部門が,半導体の部隊を非常に低く見ていたことはよく知られた話です。

 ただ,そういう逆風が殊更強かったのも,一方でトランジスタの可能性を認めざるを得なかったからだったのでしょう。ベテランほど危機感が強く,そんな人ほどトランジスタが使いこなせず,この時に一斉にエンジニアの世代が入れ替わったと聞きます。

 新しい時代のデバイスの使いこなしでふるいにかけられたエンジニアが,今の我々の大先輩に当たるわけですね。

 閑話休題。

 「トランジスタ技術」といえば,あの分厚い広告で知っている方も多いでしょう。当時広告が多いことで知られた「マイコン」や「I/O」をも寄せ付けない分厚さで,他を圧倒していました。

 それほど広告が効果的だったのでしょうし,また「トランジスタ技術」がプロのエンジニアが読む雑誌だったということでしょう。子供だった私も,トラ技の広告を眺めていると,なにか背伸びをしたような気分になったものです。

 正確に調査をしたわけではありませんが,1970年代のトラ技は15mm程度,これが20mmを越えるのは1980年代に入ってからで,最も分厚かったのはおそらく1985年くらいではないでしょうか。

 手元にある1987年12月号の厚さを測ってみると,なんと26mm。

 ちなみに今月のトラ技(2009年1月号)は,13mm。実に半分になりました。

 1980年代中頃,日本の半導体産業は売り上げで世界の頂点に立ち,日本の電子工業界はまさに肩で風を切っていました。Japan as No.1などと言われ,自動車を含むあらゆる分野で日本の存在感が増した,そんな時代でした。

 LSIの集積度はどんどん上がり,新しいことがどんどん出来るようになりました。コンピュータがワンチップに収まり,後にマイコンブームと呼ばれる時代がやってきました。

 今回購入した1984年から1987年までの7冊のトラ技の広告を見ていると,そんな当時の空気を感じることが出来ます。

 300MHzを越える帯域とリードアウトカーソル付きのアナログオシロスコープは計測器メーカーなら登らねばならない山であり,菊水,リーダー,松下通工,日立,ケンウッド,岩通,YEWと,国産の計測器メーカーが果敢に挑戦していました。そのほとんどがオシロスコープから撤退した現在を,誰が想像できたでしょうか。

 LSIメーカーも,マイコンや周辺のチップで攻勢をかけていて,32bitのCPU,256MbitのDRAM,ISDNコントローラやLCDコントローラなどを積極的に展開,冷蔵庫くらいの大きさのコンピュータがいよいよデスクサイドにおけるくらいになる現実に,明るい未来を見ていました。

 今や押しも押されぬOrCADも,当時はまだまだキワモノソフトの時代です。パソコンでCAD?値段が168000円?そんなCADつかえるかよ,と当時の人はみんな思ったでしょう。

 やたら目に付くのはフロッピーディスクドライブです。秋葉原の部品屋さんの広告は例外なく自作マイコンの部品供給源となっていて,そこには必ずといっていいほどフロッピーディスクドライブが出ています。ほとんどが5inchですが,YD-274なんていうフルハイト(今で言う5インチベイ2つ分の高さです)の2Dドライブが84000円に斜線となっています。ううう。

 ヒューレットパッカードの広告も目立ちますね。電卓のHP-16Cの広告なんか初めてみました。それにミニコンの広告も出ています。HPPAですか・・・これはもしかすると,後にPA-RISCと呼ばれるものの源流,ですかね。でも冷蔵庫並みにでかいですよ。

 ラジオ会館の広告では,店主の似顔絵が描いてあります。なるほど,これが,あんな風になるというわけですね・・・でも,なくなった店もあるので,とても寂しいです。

 こういう雑誌ですから非常に少ないのですが,時におねいさんが出てくる事もあります。いやー,80年代ですねえ。逆にいいですね,ここまでくると。

 今はつぶれた会社,お店もたくさんありますね。藤商電子,Otec,コムスポット寝屋川,ニノミヤ,亜土電子,SNKなんかは求人広告が出てますね。日本テクサですか・・・そうですか,200人近い社員がいたんですね。あ,キーエンスが大証二部に上場したと広告が出ていますよ。

 秋月の広告は別格ですね,当時も。今も昔もぎっしり細かい文字で書いてあったように思うのですが,昔の方がはるかにスカスカです。しかし昔の方がはるかにマニアックで,今読んでいてもワクワクするのはなぜでしょうか。

 80年代に30mm近い分厚さを誇ったトランジスタ技術ですが,その後のバブルの崩壊と「失われた10年」と呼ばれた不況の中,広告はどんどん減って,トラ技は薄くなっていきました。

 トラ技は景気の変動をその分厚さに反映することが多く,薄くなってもまたしばらくすると分厚くなるものでした。分厚くなると「もうかってまんな」という気分になったものです。しかし,今回は違っていました。

 景気の低迷と海外半導体メーカーの台頭により,トラ技の広告が減っていく中,インターネットの普及という大きな流れが押し寄せます。広告媒体の変化,雑誌の売り上げの低迷という雑誌一般に見られる影響を受け,前半のメーカーによる広告に加え,後半の部品屋さんなど小売りの広告も軒並み削減。

 そして,景気の回復した(といわれている)ここ数年も厚さは回復せず,現在も薄くなり続けているようです。おそらく,ですが,30年前の水準になっているのではないかと思います。

 どおりで,2009年1月号の広告を読むのは簡単だったのに,1987年12月号の広告は,たっぷり1時間以上もかかってしまいました。面白かったからいいのですが,この読み応えは確かに往年の「トラ技」です。

 以前は一度目を通した広告はゴミとして処分していましたが,今にして思えば本文と同じくらい面白いだけに,もったいないことをしたと思います。前述の通り,トラ技は買ってすぐに「三枚に下ろす」のが流儀なので,広告の生存率も低いでしょうから,せめて今回の広告だけは,スキャンして残しておこうと思います。

FA77mmのレンズキャップの傷

 FA77mmF1.8の,たぐいまれなるその美味を堪能していた私は,突然冷や水を浴びせられました。レンズキャップに付いていた大きな傷を見つけてしまったのです。

 FAリミテッドレンズはレンズキャップもアルミで,内側は布張りの高級感あふれるものです。別売りもされていますが,2500円ほどもしたんじゃないかと思います。このキャップの縁の部分に,長さ1cm程の大きなひっかき傷が見つかりました。

 よくよく見てみると,ひっかき傷の上から塗装されているので,製造の段階で付いた傷でしょう。出荷時の検査で本来なら不良品としてリジェクトされないといけないもののはずです。

 K10Dもそうでしたが,最近のペンタックスはちょっと品質について甘いところがあるようです。他社からのOEMの方が品質がよいなんてことになったら,それはとても恥ずかしいことだと思います。

 レンズそのものには全く問題はなかったのでどうしようかと迷いましたが,やはり新品を買ったのですから,ここは面倒くさがらずきちんと行動することにします。

 まずは,レンズを買ったお店に電話です。

 ちょっとぶっきらぼうな男性が電話にでたのですが,事情を話すと「これは申し訳ございませんでした」と最初に謝って下さいました。お店の人は悪くないので,いえいえとこちらが恐縮してしまいます。

 それでどうしましょうか,と言われたのですが,私としてはどういう選択肢があるのかをまず知りたかったのでそう伝えると,レンズごと一式着払いで送り返して,その後新品を送り直すというのが1つ,もう1つはレンズキャップだけ交換するというものでした。

 別に本体に問題があるわけではありませんし,交換すると手間も時間もかかります。キャップだけで済むなら手元にレンズを置いておけますし,今回はキャップだけの交換でお願いすることにしました。

 キャップも送り返せばよろしいですか,と聞くと,返してもらう必要はなく,そのまま持っていてください,とのことでした。郵便で送るということで,届くまで少々時間がかかるのは別に構いません。

 ここで一度電話をおいたのですが,交換ではなく新しいキャップをお店が私にプレゼントしてくれるというのですから,新品じゃないかもなと思って,また電話しました。同じ方に出て頂いて,それは新品なんですかと聞くと,もちろんですとのお返事。

 ただ,キャップの在庫がないので,在庫のレンズからキャップを外して送るので,裸になってしまいますがいいですか,という気の遣いようです。いやはやまいりました。

 前述の通りキャップは2500円ほどします。これを送ってくれるというんですから,メーカーの不良品の処理をかぶることになるわけです。不良品はお店からメーカーへ送り返すのが普通ですし,今時の通販業者ならそれすらやらず,ユーザーに直接メーカーに問い合わせろで終わることも多いです。

 私が心配することではないでしょうが,レンズキャップが外された在庫のFA77mmは売り物になりません。どれだけの在庫があるのか知りませんが,もともと数の少ないレンズを,ボーナスシーズン&値上げ前の駆け込み需要の旺盛なときに,1つ在庫が減るというのはお店にとって金額以上の損失になるはずです。

 もし,レンズキャップの入荷が遅れたら,レンズそのものも長く売れなくなります。もし私が一式すべてを返品したり,レンズキャップをきちんと返せば,直ちにメーカーに返品ができ,代わりのものが届くか,返金されることでしょう。お店にとっては,これは結構大きな差になるんじゃないかと思うのです。

 ただ,私が一式返品すると,送料だけで往復2000円近くかかります。これをお店で負担するのは確かに損です。キャップだけの交換ならそんなにかからないでしょうが,それでも無料ではありません。郵便でちょちょっと送って済めば,それが一番安くつくのは事実です。

 私もお店にいたことがあるのですが,メーカーや卸との関係が良好だと,本来は一式でないと不良交換出来ないはずでも,とりあえず在庫からお客さんに欠品してたものをさっと渡し,数日中に急いで代わりのもの持ってきてもらえたりします。メーカーの責任で起こった事故を,とにかくお店が早期に解決したわけですから,メーカーもお店にとても感謝してくれます。こうして,お店とメーカーとの間が信頼で結ばれるんですね。

 ただ,そういう信頼を維持して昔ながらの商売をしていたら,安売り店に勝てません。お客の多くは,直接的な価格の安さを重視するようになっているからです。機械的,事務的に商売をすることで販売コストを下げることが当たり前になり,こういう融通がなかなか利かなくなっている傾向のなか,このお店は非常に「トラディショナル」であると言えるでしょう。それでいて売値は安い。これはなかなか出来る事ではないですよ。

 最終的には,お店は額面上の損をしないようになると思いますが,さっき書いたように売れないものを在庫で持つことの損失をある期間背負うことになります。私のような一般顧客に対し,そこまでしてもらえることに,私は非常に感心しました。

 せっかくですので,その新しいキャップが届くことを心待ちにしたいと思います。そして,期待以上のサポートをして下さったお店に,感謝したいと思います。次もここで買うことにしましょう。

 ところで,K10Dについては,シャッターのレリーズ回数を調べて,本当に新品だったのかどうかを確認してみることにしました。調べて見ると,152枚目の写真のレリーズ回数が352ということで,工場出荷の段階で200回ということになります。このくらいのレリーズ回数は普通という事で,このK10Dは新品であると判断しました。

 なんか釈然としないのですが,あれこれやりとりするのも面倒なので,もういいことにしたいと思います。

FA77mmF1.8Limitedを買う

  • 2008/12/11 15:09
  • カテゴリー:散財

 私は正直,ペンタックスのリミテッドレンズを「三姉妹」と呼び,FA77mmを次女と言ったりFA43mmを長女と言ったりするセンスには嫌悪感がありますし,FA77mmに「トロトロ」などという気持ち悪い愛称を付けることにも激しい抵抗があるので,リミテッドレンズの評判を額面通りに受け取ることはしないでおこうと思っていました。

#そういえばコシナの廉価版広角レンズを「三姉妹」と呼ぶ人もいましたね。私は三女の20mmF3.5を持ってますが・・・

 ただ,ペンタックスは昔からレンズの良さにボディが付いてきていないと言われることがあったくらいのメーカーで,単純な良し悪しを越えて,他には代わりがいない個性の豊かなレンズを継続的にリリースし,レンズのペンタックスという評判を不動のものにしてきました。

 多層マルチコーティングの先駆者であったり,後の世にパンケーキレンズと呼ばれることになる薄型レンズがプレミアがついて高値で取引されたり,放射能レンズと言えばスーパータクマーかズミクロン,あげくFA☆85mmF1.4はあまりの性能の良さにニコンがパクったとかホントかウソかわからん話まで出てくる始末です。

 一般的にはカメラそのものの良さが評判になりやすく,レンズの良さを高い評価に繋げるのはある程度のマニアから上だと思うのですが,何十年もレンズの良さを訴求し続ける,目立たないしわかりにくいけど真面目なスタンスは,もっと評価されてしかるべきと思います。

 そのペンタックスも残念ながら往時の勢いはすでになく,多くのレンズが他社のOEMだったりする現実に,過去を知るファンは涙したことかと思いますが,良いように解釈すればどこが作っても同じような安い(けど性能はいいんですよこれが)ズームレンズはあえて他社から調達し,ペンタックスしか出来ないような個性のあるレンズに資源を集中したと考えれば,ファンも(勝手に)納得するんじゃないかと思います。

 そんな中でFA77mmF1.8Limitedです。

 リミテッドレンズの素晴らしさは,数値だけで追い込まず設計者の感性と撮影結果からチューニングを重ねた光学系に,往年のタクマーレンズを彷彿とさせるアルミ削りだしの鏡筒,そしてAFレンズながらマニュアルレンズとしての使い勝手を全く犠牲にしない「撮影する楽しみ」を満喫できるところにあります。

 おそらく,この手のレンズのなかでは最も支持され,成功したレンズだろうと思うのですが,銀塩時代に生まれたフルサイズのFAリミテッドレンズには31mm,43mm,77mmの3つがあります。どれもすばらしい個性を持つレンズで,高い評価を得ています。

 また,国産の単焦点レンズとしてはそれなりに高価であり,憧れのレンズでもあります。

 私も,このレンズの素晴らしさには随分昔から憧れていて,ニコンをやめてペンタックスに鞍替えするかと何度も思ったものです。結局ニコンとペンタックスを使い分けるという方針で「両方」のユーザーになってしまうわけですが,特に欲しかったFA43mmはまともなボディが揃った時点で手に入れて,期待以上に感性に訴えるその写りに大変満足をしていました。

 FA77mmについては,むしろFA43mmよりも欲しかったといってもいいと思います。しかしやっぱり高価です。ちゃんとした使い道がはっきりしているならともかく,とりあえず押さえておくか,では手が出せない価格です。

 しかし,あの吸い込まれそうな前玉,たまりません。

 そうこうしているうちに,来年2月に値上げになることが発表されました。実に2万円以上の値上げです。ますますあの魅惑の前玉が遠のいてしまいます。

 しかもこれからボーナスシーズン。工場が国内から海外に移転されることも決まっているので,特にFAリミテッドレンズには駆け込み需要が集中することが予想されます。すでに現時点でシルバーは在庫が切れている店が多く,ブラックも安売り店から順に消えているような感じです。

 ええい,悩んでいる場合ではない,と買うことにしました。FA77mmF1.8Limited-Blackをとうとう買ってしまいました。

 なお,FA31mmについては,不思議と全然欲しいと思わないんですよね。高価であることもそうですし,広角を得意としない私にとっては完全に持て余し気味です。しかもこれをAPS-Cのデジタル一眼に付けると46mm相当ですから,全然うれしくありません。

 さて,昨日の夜,荻窪のさくらやさんにお願いしたFA77mmが届きました。銀塩時代のレンズだけに,箱は小さく,昔ながらのグレーの箱です。10万円クラスの大口径中望遠レンズが収まっている箱とはちょっと思えません。

 取り出してみると,これは50mmレンズかと思うようなコンパクトなレンズです。Planar50mmF1.4/ZFよりも小さいでしょう。

 しかし,その密度感というか,凝縮感には感動的なものがあり,アルミ削りだしの鏡筒の質感の良さと剛性感に,まず最初にノックアウトされてしまいます。すばらしい。

 そしてレンズキャップを外して,前玉をのぞき込みます。いやー,吸い込まれそうです。幸い傷やホコリもなく,とても綺麗です。77mmでF1.8という大口径レンズですが,フィルター径は49mmです。

 この49mmというのは結構重要なことで,タクマーレンズの時代は広角から中望遠まで,とにかく49mmに収まっていました。ニッコールもそうだったのですが,出来るだけフィルター径を変えないようにしよう,と頑張っていたようです。

 加えて,昔のレンズは前玉も小さく(これはむしろ直径の大きなレンズを量産する技術が未熟で,とても高価な特殊レンズになっていたことが理由でしょう),レンズ全体もコンパクトでした。

 Aiニッコールの105mmF2.5もそうですが,前玉が鏡筒の直径ギリギリまで大きいレンズはとても格好がいいものです。同じ直径の前玉でも,もしフィルター径が72mmだったらきっと不細工に見えることと思います。目が大きい方が美しく見えるというのは,人間も同じかも知れません。

 K10Dに取り付けて見ます。ファインダーをのぞき込むと,明るい視野と案外自然な画角に気が付きます。115mm相当になるというので一瞬の非日常を感じるかと覚悟をしていたのですが,それもありません。私は案外,凝視をするタイプの人間なのでしょう。

 絞りを開放し,とりあえず室内でそこら辺の写真を撮ってみてみます。

 写したものは何でもないものですが,非常にびっくりしました。線は繊細でありたおやかで,深い色調と豊かな階調をたたえています。今自分が見ている実物をも越えるような気さえします。勝手なイメージですが,この写りが男性的か女性的かと問われれば,それはやはり女性的と言うほかありません。

 ボケもとても綺麗で,うるさすぎることはありません。ただ,銘玉と呼ばれる数々の85mmレンズのような,混じりけのない無垢なボケということはないです。そこはやはり傾向というか,クセというか,このレンズの個性があります。

 それと,色収差が大きいですね。銀塩時代に作られたレンズで,しかもスペックで追い込まないというコンセプトのレンズだったわけで,収差の修正には慎重だったと思うのですが,そういう事情も考えてこの色収差をきちんと理解している人でなければ,現代の10万円のレンズとしてはクレームの嵐となったのではないでしょうか。

 銀塩時代には問題にならなかった収差も,デジタルになってピクセル等倍が当たり前になると,かなり目立つものです。特に1000万画素を越えると実害はないけども目立つ存在です。

 個人的には,色収差を補正するのに他の特性が引っ張られることも好きではなく,個性としてある程度は許容した方が面白いと思っています。どうしてもというなら現像ソフトで修正も可能ですし。

 このレンズも,F2.8からF5.6位が最も特性がよくなるとされていますが,F1.8でも全然大丈夫です。この手のレンズは絞りを開放するとわざとらしい写真になったり,ボケの不自然さや汚さが目立ってしうものですが,FA77mmについてはそれはなく,絞り開放も積極的に使っていけるという実感を持ちました。

 続けて,銀塩でも試してみましょう。MEsuperを引っ張り出し,FA77mmを装着します。そして期限切れになったコニカミノルタのセンチュリア200をつめます。久々のフィルム装填です。

 ファインダーをのぞき込むと,新たな感動がありました。35mmフルサイズの視野の広さ,そしてマニュアルフォーカス全盛のカメラが持つファインダーの見やすさは,FA77mmの素晴らしさを一瞬で理解させる力があります。

 最近のレンズはAFが前提ですのでピントリングの回転角は小さいものなのですが,FA77mmはマニュアル操作もちゃんと考えてから,昔のレンズ並みに回転角が大きく,AFレンズのクセにしっとりした高いトルクと相まって,完全にMFのレンズとして通用します。早速10枚ほどシャッターを切りましたが,実に楽しいです。

 レンズは本来ガラスで出来ているもの。ガラスの持つ密度感に我々人間は憧れがあり,グラスでも工芸品でも,ガラスで出来た品物に惹かれます。最近のカメラのレンズは軽く,プラスティックも使われて,それでも非常に良く写るようになりました。しかし,ガラスの塊であって欲しいという願いも一方で強く,ペンタックスのリミテッドレンズには,この欲望を満たすものがきちんと備わっています。

 以前も書きましたが,写真というのは,カメラやレンズの性能だけで撮るものではありません。カメラを持った感触,ファインダーを覗いたときの感覚,そしてシャッターを切ったときの振動や音が,もっと写真を撮りたい,という気持ちにさせてくれるのです。

 今回のFA77mmとFA43mmは,私の期待を裏切らないものでした。完全な趣味の世界として,この2つは私の常用レンズになると思います。高い買い物ではありましたが,価値ある買い物だったと思います。デジタルにも銀塩にも,どちらにもどんどんいきましょう。

 ところで,このFA77mm,シリアルナンバーが9000番台なんです。ちょっと調べて見ると,2007年の段階ですでに10000番台になっているそうですから,私のFA77mmは今から2年は経過したものということになりそうです。

 それで,実はFA77mmの話,これで終わりではありません。ちょっと厄介なことになってしまったのですが,それはこの続きで。

BDの高画質を初体験

 PS3を手に入れ,XGAのプロジェクタと組み合わせてなんちゃってHD化をしたのに,BDソフトを全然手に入れていませんでした。

 しかし,そもそも「マジックアワー」のDVDを予約しようと思った際,せっかくならBDにしよう,そうするとPS3が近道か,という流れがあってPS3を手に入れたわけで,最初のBDが「マジックアワー」であることは,むしろ必然ともいえました。

 てことで,初めてのBDですが,いやはや,これは想像以上でした。

 BDの次の光ディスクは技術的には目処が立っているが,その大容量の使い道がないので,ひょっとするとBDが最後のコンスーマ向け光ディスクになるのでは,と言われていたりするのですが,これはそれなりに核心を突いているんじゃないかと,本当に思いました。BDの情報量があれば,私はもう十分です。

 VHSからDVDへの移行は,VHSがディジタルになってきれいになったらこんな感じだろうなあ,という「想定内の」画質だったわけで,その点でDVDの果たした役割というのは,映画は借りるものではなく買うものだ,という意識が大きく変化し定着したことと,映画は数が売れると証明され,結果としてこれを見越した安価な価格設定が一般化した,という,買う側と売る側の意識改革だったのではないかと思います。

 ところが,やっぱ画素数が増えるというのは劇的ですね。髪の毛一本,しわや衣服の縫い目まで映っています。しかも色の深みがすばらしく,画像に圧倒的な情報量が存在することがよくわかります。

 DVDが綺麗なテレビなら,BDは小さい映画館という感じでしょうか。

 私のプロジェクタは720pまでですから,これがフルHDになると,もっとすごいわけです。720pでも違いが歴然だったのに,これ以上の世界が(もうすでに)あるというワクワク感は,近年のデジタル家電の中では,私は余り味わったことがありません。

 オーディオも大したものですね。私の環境では再現できないんですが,デフォルトがリニアPCMの5.1ch。DTSなら6.1chです。画像がこれほど素晴らしくなると,当然高い音質が欲しくなるわけで,いわゆるホームシアターが一部の物好きのお遊びにとどまらず,広く一般化する可能性があるのではないかと,そんな風に思います。

 さてさて,肝心の「マジックアワー」ですが,前半のテンポの良さは期待通りの面白さです。三谷幸喜の真骨頂は,大いなる掛け違いがドタバタしながらもいつの間にやら収束して行くところにあるわけですが,その収束は案外早く済んでしまいます。

 要するに,デラ富樫が偽物とばれてしまうんじゃないかというドキドキを,もっと長く味わいたかったということです。偽物であることがばれてしまって,その後どうなるのか,については,ある程度先が読めてしまうのであまり期待できないわけです。ここが,前半と後半の面白さが天と地ほどに違う,この映画の特徴ではないかと思いました。

 しかし,「ラヂオの時間」も「有頂天ホテル」も,大いなる掛け違いがどこに着陸するのか,を楽しむ映画であったのに対し,「マジックアワー」はそれは前半のお楽しみ,後半は別のテーマに挑んだ作品であるとも言えるわけです。このあたり,一般的にはどういう評価になっているんでしょうかね。


 ということで,20年以上前,ハイビジョンが一般家庭に入るなんて夢のようでしたが,こうして少し前に上映された映画がハイビジョンで,しかも手頃な値段で売られる時代になりました。技術的も大したことですし,ビジネスという点でも大きな革新であったと思います。

 いつだったか,テレビの映画の放送が受けない時代になったと聞いたことがあります。テレビが登場し,映画が放送されるようになると,映画館の動員数が激減し,日本の映画界は大変な騒ぎになりました。この時,娯楽としてテレビは勝者に君臨したわけです。

 しかし,DVDが安価で売られるようになると,CMとカットが入るテレビの映画放送を楽しむことはなくなり,見たい映画はDVDを買うか借りるかする文化が定着しました。このころから,テレビの映画放送は,手っ取り早く視聴率を稼げる番組ではなくなったそうです。

 テレビもハイビジョンになりましたが,パッケージメディアもハイビジョンになりました。BDの圧倒的な情報量は,地上波デジタルを凌駕しているため,こうしたテレビが不利な状況は変わらず,若い人を中心に見なくなりつつあるテレビは,今後ますます苦しい立場になるんじゃないのかなと,そんな風に思います。

 

K10Dも買いました

  • 2008/12/05 18:16
  • カテゴリー:散財

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 K10Dを買いました。

 あちこちで処分価格が出ていますね。PENTAXのデジカメは,発売当時どれだけ評判が良くても最終的には投げ売りが起こる事が多くて,悩ましいです。K10Dも46000円程度が出ています。

 私は昨年の5月に,同じように特価が出ていた*istDLを3万円で購入した,PENTAXにしてみると誠にありがたくないユーザーなわけですが,今回のK10Dも46780円で買いました。送料も代引き手数料も含まれているので,実質45000円台だったことになるかも知れません。

 K10Dはご存じのように,PENTAXがその迷走に終止符を打った渾身のモデルで,高い完成度とてんこ盛りの機能,カメラ・オブ・ザ・イヤーなどの価値ある賞を受賞するなど,「PENTAXはやればできる子」であることをファン以外にも広く知らしめた一台です。

 1000万画素,手ぶれ補正,ゴミ除去,ガラス製ペンタプリズム,多点測距AFと,ハイアマチュア向けに意欲的な仕様を盛り込み,しかし一方でM42レンズまで面倒を見る,ユーザー思いの真面目な作り込みも忘れていません。

 そのK10Dがこの値段なら,買いだと考えてポチりました。そもそも,今使っている*istDLは,不満だらけなのです。(気に入った点が不満を越えているので問題はないんですけど)

 *istDSや*istDLなども,確かに基本的な能力は十分ですし,機能的にも行き届いたものがあって,PENTAXのユーザー視点にはつくづく頭が下がりましたが,いかんせんボディがあらゆる面でちゃちで,*istDLを箱から出したとき,まず最初に「おもちゃみたいだなあ」と余り良くない印象を持ったものです。

 それに,MZ-10を修理した時に感じた,内部機構のコスト最優先,耐久性に対する割り切りが後押しし,基本的に末永く使う事を考えていませんでしたから,自然と愛着もわいてこない状態でした。シャッターは緩慢でだるく,タイムラグの大きさには閉口しましたし,その音は脳内のドーパミンが一斉に引いていくのが分かるほどです。

 ホールド感もいまいちで,手ぶれを連発して落ち込むこともしばしばです。

 K10Dもそうかなあ,と届いた箱を開けてみましたが,質感はなるほど中期機種のそれです。私は質感とは密度感とほぼ同義かなあと思っていまして,K10Dは見た目と重さのイメージがほぼ一致,手にとって「よしよし」と思えるカメラになっています。

 そもそも,*istDLを買ったのも,FA43mmF1.9という本当に素晴らしいレンズをデジタルで常用するという目的のためでした。だから多少の欠点や問題は目をつぶることもできたのですが,これがK10Dになると不満の大半が解消する,と期待して,今回購入したわけです。

 この機種から採用になったリチウムイオン電池を付属の充電器で充電し,FA43mmF1.9を取り付けて電源を入れてみます。「お,おおお」という,いい印象と,「こんなものかな」というそこそこの印象が交錯する,そんな感じでした。まとめてみます。


・AF
 AFは力強く,合焦までの速度も向上しています。電池をリチウムイオンにしたことでAFモータの駆動電圧も上がって,それでキビキビ動くようになったのでしょう。幸い私のK10Dについては精度も良く,測距点がスーパーインポーズされることも手伝って,格段に使い心地が向上しました。

・多点測距
 多点測距が可能になりましたが,AFのモードを切り替えられないので,あんまりうれしくありません。AUTOはどういうアルゴリズムで測距点が選択されるのか不明ですから任せられないですし,SELでは矢印キーで測距点を動かすことが可能でも,不意に動かないようにロックできないのでこれまた信用できません。結局私は中央1点のみでの測距がデフォルトになりました。
 つくづく思うのですが,AFの測距点が増えることが高級機の証のような印象があるなかで,結局それら測距点は同時刻に1つしか動けないわけですから,いかにしてその多数の測距点を切り替えるか,が勝負なわけです。
 複数の自動選択アルゴリズムを搭載するのも手ですし,ユーザーにダイアルやカーソルキーで選択させるのも手ではありますが,個人的には自動選択が撮影者をアシストできるなら,それこそが多点測距の本当の価値であると思います。

・ファインダー
 倍率0.95,視野率95%のガラス製ペンタプリズムは評判通り明るく見やすく,情報表示も良く整理されており本当に良くできていると思います。前述の通り測距点がスーパーインポーズすることもありがたく,これは測距点の位置を知ること以上に,撮影のテンポを作り出すカメラの「相づち」として,大きな意味があると思います。
 AFが優秀になれば,ファインダーなどは構図を確認する役割くらいしか持たないわけで,その見やすさにコストをかけることが難しくなります。しかし,PENTAXはM42レンズを使ったときの見やすさやフォーカスの合わせやすさを犠牲にしないという理由で,伝統的にファインダーの明るさや見やすさにはこだわっています。M42レンズが使えます,ではなく,M42レンズを使って遊んで下さい,というメッセージでもあるわけで,こういうところがPENTAXの良さだと思います。

・シャッター
 シャッターの基本構造は,おそらくですが*istDLなどと同じだと思います。電池が変わったことでモータやソレノイドの駆動電圧が上がり,動きが素早く,力強くなったことと,バネにチャージするエネルギーを増やせたことで,動作がキビキビして好印象です。エネルギー密度が高まったという感じでしょうか。こういうところも質感を向上させるものなんだなあと知りました。また,タイムラグもだいぶ改善されたようです。
 ただし,音は相変わらずで,改善されたとはいえ切れ味は良くないです。ブラックアウトの時間も長いという印象で,こういうところの積み重ねが最終的な写真の良し悪しを決めるのかも知れませんね。

・設定
 設定項目は相変わらず多いです。基本的な機能の選択,ユーザーの好みに合わせる操作性の選択,利便性か趣味性かの選択など,いくつかの種類があるように思うのですが,それぞれがそこそこ上手に整理されていることと,階層が深くないので設定を探すのは比較的楽です。
 また,その設定で何が変わるのかがちゃんとガイドされるので,いちいち説明書を開く必要もありません。これは見習うべきカメラが多いでしょう。
 それにしても,なんとまあ行き届いた設定項目でしょうか。デバッグ担当者は死ぬ思いをしたんではないかと思います。

・画質
 今時1000万画素は珍しくもありませんが,私にとっては初めての10Mピクセル体験です。撮影して分かったのは,レンズの性能がもろに出るなということ,ぶれが目立つなということ,そしてやはり高精細な画質にはその情報量に圧倒的なものがあるなということです。
 D2Hを使っていると,最終的な情報量は画素数によらない,ということを確信出来るのですが,良くできた1000万画素には圧倒的な情報がすり込まれているという当たり前の事を思い出させてくれます。
 それにしても,D2Hに比べて2.5倍もの情報を,これだけの時間で処理してメモリカードに書き込むんですから,大したものです。

・手ぶれ補正
 個人的には,これが一番納得がいきません。PENTAXの手ぶれ補正はボディ内部でイメージセンサを動かす補正方法ですから,どんなレンズにも有効になることが利点ですし,最大で4段もの補正能力があるという強力なものですが,私はあまり実感できずにいます。
 FA43mmで,様々なシャッター速度で撮影をしてみましたが,1/2秒くらいまでだと手ぶれ補正をONにしてもOFFにしても,どちらもほとんど手ぶれがなく,差があまりないのです。
 1秒にすると,どちらも同じくらいにぶれています。故障かもしれないなあといろいろ試してみましたが,K10Dを左右にぶんぶんわざと振って撮影すると,OFFでは派手に流れた画がONではぴたっと止まっています。うーん・・・
 効果は絶大とは言えるかも知れませんが,こんな激しいぶれを,人間が起こすなど普通は考えられませんから,シャッターボタンを押すときの小さなぶれをびしっと押さえてくれるようでなければ,実用的な意味はありません。
 ボディ側での手ぶれ補正の性能を「こんなもんだ」とする意見もあるようですが,もう少し試して,PENTAXの手ぶれ補正のクセを見極める必要があると思います。
 ちなみに,ニコンのVRレンズは,非常に劇的でした。手ぶれをびしっと押さえてくれますし,レンズ内で補正するのでファインダーでその効果が確認出来ます。ファインダーで像が止まって見えることのメリットを強く感じた瞬間でした。
 どっちにしても,PENTAXの手ぶれ補正に過信は禁物です。

・ほこり除去機能
 手ぶれ補正機能を利用して,イメージセンサを意図的にぶつけて付着したほこりをふるい落とすという乱暴な方式のほこり除去機能が搭載されています。
 どういうわけだか,これだけレンズを交換して使っているにもかかわらず,私はイメージセンサにほこりが付着して困ったという経験がほとんどありません。ゆえにあまり必要性を感じてはいないのですが,せっかくですから使ってみようと,電源ONで必ず動作するように設定をしてみました。
 しかし,電源を入れる度に「コトン」と結構な衝撃があり,不安になったので機能をOFFにしました。こういうのは,必要になったときだけやればいいわけで,常用するのはやめた方がいいというのが藁死の結論です。

・操作感
 操作感も悪くはありませんが,やはりボタンの質感などは今一歩なところがあります。ただ,シャッターボタンは良くなりました。軽いタッチでレリーズできると,それだけぶれが軽減されます。動作も軽く,もう*istDLには戻れません。
 ところで,サブLCDのバックライトの点灯ボタンが独立していないのは納得がいきません。露出補正ボタンでバックライトがONするのですが,ユーザーは露出補正がしたいのであり,バックライトが点灯することは予期していません。露出補正をしようとしてサブLCDがいきなり緑色に光ると一瞬思考が飛んでいき,撮影の邪魔になりました。
 また,周囲の邪魔にならないよう,バックライトを直ちに消す必要があるケースも多いにもかかわらず,消灯は時間が経過して勝手に消えるのを待つしかありません。誤ってもう一度露出補正ボタンを押すと,そこからさらに点灯時間が延長されて,なかなか消えてくれないのです。
 それで,設定からバックライトをOFFにするようにしたのですが,これだとバックライトを点灯させる方法が奪われてしまいます。暗いところで確認するのにバックライトがあると助かる場合もあるのですが,こういう形で封印されてしまうのは甚だ疑問です。
 バックライトですからね,暗いところで使うものなわけですよ。暗い場所でもさっと操作できることが大事なのですから,実は露出補正ボタンへのアサイン自体が問題なんじゃないかと思います。ニコンと比較するのは問題ですが,電源ボタンをON位置よりさらにひねる(PENTAXでいうプレビューです)と点灯という操作は,暗闇での操作も確実で,ここまでしてようやくバックライトは,ありがたい機能になってくれるのです。

・大きさなど
 *istDLは左右の幅が小さく,きゅっと圧縮されたような張り出し感もあって,個人的には好印象だったのですが,K10Dは左右が妙に間延びした感じがして,見た目はあまり良くないなあと思いました。
 しかし手に取ってみると,やはりK10Dはしっくりきます。*istDLは小さすぎて手ぶれを連発しましたが,K10Dは手にスポッとおさまり,自然にシャッターが切れ,おかげで手ぶれ補正OFFでも手ぶれ限界が相当上がりました。
 防塵防滴というのもとてもいいです。防塵防滴が実際に役に立つことはもちろんですが,密閉構造にした事による剛性感や密度感,音の出方が中級機にふさわしいものになっていると思います。

・雑感
 さすが中級機,ハイアマチュア向け,と思わせるものは当然ながらあり,PENTAXはいい仕事をしたなあとうれしくなりました。しかし,一方で今のPENTAXにとっては,これが限界なのかも知れないなとも思いました。
 以前はP30のようなカメラがある一方で,LXや645,67などの高級機がその質感や音で多くのプロやマニアを夢中にさせたわけですけども,今のPENTAXにそこまで望むことはできません。
 むしろ,そうした身の丈を越えた商品展開が昨今のPENTAXの状況を生んでいるといえなくはありませんが,LXはそれまで手がけてこなかった「究極の一眼レフ」を60周年記念で作ろうと奮起した結果ですし,中判の一眼レフも創始者が熱望して商品化されたという経緯もある,良き伝統でもあるのです。
 HOYAというシビアな会社の一部になったことがマイナス要因だとすれば,断片的に漏れ伝わってくる「MF時代のプロ用一眼レフで当たり前に出来た事を実現する」というプロ用デジタル一眼や,来年夏までに登場するK20Dの後継,そして中判の開発凍結の解除などの噂は,あくまで噂ではありますがプラス要因です。
 ただ,すべて膨大な予算と,高い技術力が必要な商品ばかりです。個人的にはこのすべてが実現するのは,かなり難しいだろうなあと思います。(プロ用一眼レフや中判が売れまくって儲かる,なんていう話はあまりないと思います。)

 ところで,「MF時代のプロ用一眼レフで当たり前に出来た事」って,なんでしょうね。

交換式ファインダー(これかなあ)
ミラーアップで撮影(これもあると便利)
機械式のバルブ(撮影に電池がいるんだから意味なし)
戦場でおそわれたとき武器になる(これは欲しい人がいるかも)
電池がなくなっても動く(これは無理)
多重露光(これは実現してます)
交換式フォーカシングスクリーン(これも実現してます)
交換式撮像素子(MF時代にあったかそんな機能)
南極,宇宙でも確実に撮影可能(MF時代でも当たり前じゃない)
フィルム巻き上げ,巻戻し(単なる儀式じゃないか!)
モータードライブ(いらん!)
交換式データバック(いらんっ!)
ねじ込み式レリーズが使える(いらんだろ・・・)
FP接点(FPが必要なフラッシュの入手が不可能だろう)
横走りシャッター装備,しかもゴム引き絹製(個人的にはうれしいが意味あんのか)


 ・・・というわけで,これから寒くなり,外に出るのがますますもって億劫になるわけですが,冬は空気の澄んだ季節でもあります。寒さという緊張感の中でシャッターを切るのもまた楽しいことなので,せっかくですから年末年始をK10Dで切り取ってみようと思います。

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