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2009年01月の記事は以下のとおりです。

SMC Takumar 28mm / F3.5

ファイル 257-1.jpg

 先日,近所の中古カメラ屋に行くと,「Sタクマー28mm/F3.5」と書かれた値札が目に入りました。

 驚いたのは,その程度の良さ。確かに30年以上前のレンズですので使用感はありますが,塗装の剥げもヤケもなく,傷もへこみも見あたりません。さらに,あの角形のメタルフードも付属しています。このフードが新品同様なのです。

 お値段は5800円。うむー,悩む値段です。

 私はすでにSMCタクマーの28mm/F3.5を持っています。相当程度の悪いカビ玉をジャンクで購入し,レンズをばらして磨いて,絞り羽根も分解して粘りを取り,ヘリコイドグリスを入れ替えて,さらに鏡筒は全塗装して使っていました。手間も苦労も厭ずにいられるだけの写りをこのレンズは持っており,意地になって探し手に入れた凹んだ角形フードと一緒に,M42レンズの定番として使っていました。

 別に不満もなく使っていましたが,目の前にある28mm/F3.5の程度の良さにはよだれが出そうです。

 しかし,値札には「Sタクマー」とあります。「SMCタクマー」ではないのです。

 28mm/F3.5に「Sタクマー」があったかどうかは忘れましたが,本当にSuperタクマーだとしたら,ちょっとこれは遠慮したいところです。ES2で開放測光が出来ないばかりか,マルチコーティングされていないレンズでは,おそらくあの28mm/F3.5の写りにはならないだろうと思うからです。

 まあ無駄遣いはしないでおこうかと思ったのですが,一応店員さんに見せてもらって,もし期待はしていないがもしもSMCタクマーなら買おうと考えました。

 はたして,それはSMCタクマーでした。

 しかも,想像以上の程度の良さ。私のレンズはやや黄色がかっているのですが,このレンズは吸い込まれそうな青緑の光りを反射しています。大事に保存されていたんでしょうね。ヘリコイドも適度な堅さですし,絞り羽根も素早く動いてくれます。

 大きな傷もホコリも,もちろんカビもその時は見つからなかったので,迷わず買うことにしました。

 うきうきして自宅に戻り,細かいところを眺めてみたのですが,後玉に白い点が1つあります。最初に見たとき見つからなかったのでゴミだろうと考え,コンコンと叩いたりしたのですが全然動きません。結構大きな点なので放っておくのも気になり,後玉の裏側のようでしたから,さっと分解して取り除くことにしました。

 ところがこれが失敗の始まりだったのです。

 金属の枠をゆるめ,レンズを鏡筒から外すのですが,あまりにぴったり入っており,レンズサッカー吸い付けてもなかなか外すことが出来ません。

 仕方がないので,レンズの縁を少しずつとがったものでこじり,わずかずつ外していきます。いよいよ外れた時にレンズサッカーに吸い付け,裏返して綿棒で拭ってみます。

 ・・・とれない。ホコリではなかったようです。傷?拭っても取れないのだから傷でしょうが,それにしてもどうして裏側にこんな大きな傷が付いているんでしょう。

 事件はその時起きました。サッカーからポロっと外れて,机の上にレンズが転がったのです。

 大慌てでレンズを拾い上げましたが,私は落ちた時の衝撃で縁が欠けてしまったことを知ることになります。もう真っ青です。

 いやいや,多少の欠けなら,レンズを押さえる金属枠で隠れるし,それにフィルム面に届く光がこんな外側ギリギリの所を通るはずがないので,実用上問題ないよ,と平静を装って組み立てることにしました。

 残念な事に,組み立ててみると欠けた部分がかなり大きく,入射角によってはキラキラと輝くこともあります。確かに直接フィルムに届く光線はこの欠けを通らないかも知れませんが,別の角度からやってくる光線が派手に反射し,ゴーストやフレアが出る可能性は大いにあるでしょう。

 この時すでに夜中の3時過ぎ。かなり疲れながら,点光源(LED読書灯)を用意して,乱反射によるゴーストが起きていないか捜します。

 そうすると,ある条件で画面の上から下まで,ど真ん中に一本線がすぱーっと出ることがありました。レンズを回すとその線の傾きも変わります。

 特殊な条件ならいいかと思っていたら,普通に撮影する条件でも,やっぱり出ています。これはもうレンズとしては使い物になりません。

 やってしまいました・・・

 新品なら買い直せばよいでしょう。しかしこれは中古。それも遙か昔に生産を終えたものです。それほど貴重なものではないかも知れませんが,こういうクラシカルなものを集めている人間は,自分だけのことを考えるのではなく,文化財を代表して保護しているという気概を持たねばなりません。(おおげさですが)

 私はカメラファン失格だ・・・そんな風にうなだれながら,なんとか手を考えました。

 1つは,乱反射を防げばいいので,欠けたところを黒い塗料で塗ってしまうことです。これは随分状況を改善したのですが,それでも実レベルにはほど遠い縦線が出てきます。

 やむを得ません。私が元々持っていた28mm/F3.5から移植しましょう。

 そもそもこの新しいレンズの後玉には,大きな白い傷がありました。もう1つのレンズから外した後玉はなかなか綺麗です。

 レンズには研磨の段階でバラツキがあるため,他のレンズをとうまく組み合わせてそのバラツキを相殺するように組み立てます。よって後玉だけ交換しても性能は確実に下がってしまうと思います。

 そうはいっても,使い物にならないのは話になりません。なんとしても寝る前に作業を終わらせようと頑張った結果,交換作業が終わったのが朝の5時。

 翌日に試写をする予定で眠りにつきました。

 翌朝,頭を冷やして考えてみたのですが,久々にレンズの分解を行った私は,大事な教えを忘れていたことに気が付きました。

 分解せずに済むなら,可能な限り分解しないこと。

 軽い気持ちで分解したら,それが取り返しのつかない結果を招いてしまいました。また初心者に後戻り,情けない限りです。

 試写の結果は,現像がまだですが,私の好きな28mmF3.5らしい写真が撮れていることを,祈っていたいと思います。

甦るwristPDA

  • 2009/01/21 12:25
  • カテゴリー:make:

 スケジュール帳やアドレス帳をPDAに任せるようになって随分になります。電子手帳に始まり,ザウルス,そしてPalmと移行してきましたが,残念ながらPalmの次がなかなか現れず,レガシーなシステムに私の記録と予定をゆだねていることに,ちょっとした焦りを感じるようになっています。

 よく言われることですが,Palmは非常に良くできたシステムで,情報が欲しいときにさっと開いてアクセス出来ることが最大の利点だと思っています。また,紙に匹敵するくらい入力が楽に出来ることも特筆すべき点でしょう。

 今さらPDA論をぶつのもお笑いぐさなのですが,PDAは紙の手帳と列ぶことが最低必要で,そこからどれくらい便利になるかが勝負です。Palmは紙かPDAかを議論するに値する,唯一の存在だったと今でも思います。

 スマートフォンがPDAに取って代わるといわれて久しいですが,かつては普及を待ち遠しく思った私も,冷静に考えてみると携帯電話のビジネスモデルにPDAが適するとは考えにくく,やっぱり別々に持つしかないなあという結論に至っています。

 しかし,PDAを持ち歩くのもやや煩わしく,アドレス帳とスケジュール帳とメモくらいの,薄くて軽い入力が楽ちんなPDAが出てくれればいいのになあと思っていたりします。

 一時,これが現実になりそうな時がありました。

 2005年に,FossilがWristPDAというPalmOSベースの腕時計PDAが登場しました。随分話題になったので覚えている方も多いと思いますが,このWristPDA,PalmOS4で動いており,世代はやや古いとはいえPalmが持っていた機能はなにも妥協せずすべて搭載してあったという,なかなかに意欲的なマシンでした。

 私はFossilのものとブランド違いのABACUSのものの2つを所有していて,特に荷物の多い帰省の時などに使っていましたが,最大の欠点は電池があっという間になくなることです。

 USBから充電をするのですが,最長でも3日ほど,普通なら2日ほどで切れてしまいます。Palmは電池が切れるとメモリの内容が完全に消えてしまうので,スケジュールやアドレスのデータはもちろん,追加したアプリケーションや設定なども全部消えてしまいます。これを再度インストールするにはPC(加えて別にもう一台のPalm)が必要で,出先では絶望です。

 さらに,その電池も購入から3年以上が経過し,いよいよ充電すら出来ないほどに劣化してしまいました。電池の切れたポータブル機器はゴミです。

 そこで電池の交換をしないといけないのですが,少し前までは小型の二次電池の入手が難しく,交換は絶望的でもありました。しかし,最近はiPodShuffleなどの小型機器が数多く出ており,これに使われる電池も特別なものではなくなっています。

 我々素人でも,これらの製品を購入し,ばらして電池だけ使うことができますから,どうにか手段はあるという感じでしょうか。

 私の場合も,ある機器から外したリチウムポリマー電池を使って,電池の交換を行ってみました。

ファイル 256-1.jpg

 元々の電池はコイン型のリチウム2次電池です。直径30mmですので,縦横30mm以内の電池ならおさまります。厚さはざっと5mm以内なら大丈夫ですね。

 ということで,交換して電池の寿命を測ってみたのですが,1日半ほどしか持ちませんでした。うーん,オリジナルが3日ほど持ったことを考えると,かなり物足りない結果です。

 もう少し容量の大きな電池を手に入れる機会があれば逃さないようにし,出来れば3つほど確保して入れ替えて見ようと思います。

 ところで,実は最後のPalmとして,TungstenTXを,個人輸入代行業者に依頼中なのですが,現在入荷待ちです。随分時間がかかりそうで心配しているのですが,他の業者なら在庫があって即納だったりしたので,失敗したなあと悔やんでいます。円高ですし,今ならちょっとお買い得かなあと思って買うことにしたのですが,やっぱりよく調べて行動しないとダメですね。

部屋がおでんくさい

  • 2009/01/20 13:10
  • カテゴリー:料理

 さすがに1月中旬,一年で一番寒い時期です。今年はそれでも突然3月並の暖かさになったりとよく分からない転機になっていますが,冬と言えばおでんです。

 最近はコンビニのおでんがおいしくなって,それほどおでんが好きではなかった私でも「おでん=うまいもの」というシナプスの接続が完了するくらいですので,これが自宅でできればどんなによいか,と思っていました。

 おでんは秘伝のだしと適度な煮込みにうまさの秘訣があると言われますが,果たしてこれを新兵器圧力鍋で打破できるか,試して見ましょう。


・おでん(二人分)

[用意するもの]
 ジャガイモ・・・3から4個
 にんじん・・・1本
 大根・・・4きれ
 ちくわ,はんぺんなど・・・適量
 こんにゃく・・・適量
 その他おでんにふさわしい具材・・・適量
 だし昆布・・・適量

[作り方]
 1.カップ6.5杯の水を圧力鍋に入れ,だし昆布を40分ほどつけておく。
 2.大根を厚さ4cm程度に切り圧力鍋に投入。続けてこんにゃくも入れる。
 3.みりん80cc,しょうゆ80cc,コンソメ1個を入れて強火にかける。
 4.沸騰する直前にだし昆布を取り出す。この昆布はかなりおいしい。
 5.しばらく沸騰させるとアクが大根から出てくるのでこれをすくい取る。
 6.残りの具材を全部投入し,フタをして圧が上がるまで待つ。
 7.圧力が「強」になったら弱火にして圧力を維持。
 8.8分間経ったら火を止め,自然冷却。30分放置する。
 9.この段階で既に完成だが,弱火で煮ながら食べると非常においしい。

[注意]
 にんじんをおでんに入れる習慣は多くの人がないと思われるが,一度やってみて下さい。非常にうまい。


 結論から言うと,これはうまい。

 おでんというのは,だしそのものは非常にシンプルで,様々な具を煮込むことで味が複雑にまろやかになっていくんだということでしょうね。

 またやってみよう。

ハードディスクの業界再編におもう

 何度も何度も「物理的限界」と言われた容量が新しい技術で打破され,その都度大幅な容量増加と価格の低下(暴落)が起こってきたハードディスクですが,価格の下落からもはや体力勝負の様相を呈しており,数年前から合併や買収などの再編が進んできたのはご存じの通りです。

 今一番ホットなのは富士通が東芝にハードディスク部門を売却,ディスクの製造についても昭和電工に売却するという話でしょう。

 ハードディスクはいわゆる「メカトロニクス」の集大成的製品で,機械的な構造が大半を占めている以上どんなに容量が小さくとも最低限かかるコスト(つまり容量に関係なく必要となる部品や機構の占める割合が大きい,モーターや大きな筐体は仮に容量が小さくとも絶対必要で,その上高価な上に値段が下がりにくい,ということです)が目に見えて大きく,これ以下では作れないという限界点が半導体に比べて高めになります。

 だから,ある程度の値下がりはあっても,そこから先の値下げはなくて,容量が大きくなる方向に向かっています。秋葉原などのPCパーツショップで売られるバルクのハードディスクなどを見ていると,3.5インチのハードディスクで6000円くらいがどうもその限界点のようで,容量に関係なくこの価格以下で売られるものは,なんらかの事情がある特別なものという感じですね。

 SDカードやコンパクトフラッシュ,あるいはSSDといったような半導体を使ったストレージはコストの大半が半導体であり,半導体というのはいわゆる「印刷」と似たようなものですから,作れば作るほど値段が下がります。原材料の価格がそれだけ低いということですね。

 だから,相対的にビットあたりの価格が数倍も高い半導体を使ったストレージは,これからどんどん値段が下がる可能性があるのに対し,ハードディスクはどんなに頑張ってもある価格から安く売ることはできないのです。

 ほっとけばフラッシュメモリ陣営がビット単価でハードディスクに追いつくことは目に見えています。そこでハードディスク陣営は部品代が容量にあまり関係しないという弱点を逆手に取り,大幅な容量アップでフラッシュメモリ陣営の追撃をかわそうという力が働いてきました。

 その力がかなり強力だったようで,これほど華麗に「理論的限界」を突き破ってきた工業製品も珍しいと思いますし,容量が増えていくまでのスパンが以前に比べて短くなっています。すごいことだと思います。

 しかし,設備産業としての性質が弱いとはいえ,新しい技術開発には膨大なお金がかかりますし,10年くらい前までは3万円くらいが売れ筋と言われた3.5インチのハードディスクがどの商品も軒並み1万円を切っている状況を見ると,単純に単価が1/3になっているという事だけ見ても,もうハードディスクは儲からないものになっていると考えて良いのではないかと思います。

 数を売る,もうこれしか方法はないわけで,業界の再編が起こるのは至極当然なことです。

 年寄りの昔話に少々付き合って頂くことになるのですが,ハードディスクの価値がこれほど下がってしまったことに対し,私は寂しい気分が拭えません。

 コンピュータの開発史を見ていくとつくづく思うのですが,コンピュータの発展を阻害する最大の原因は,いつも記憶装置にありました。我々はコンピュータの進歩は演算装置の進歩とつい短絡的に考えてしまいがちで,それはそれで間違ってはいないのですが,一方で不可欠である「記憶装置」の価格や規模が小さくならず,現実解としての記憶容量は常に要求を下回り続けたという歴史がありました。

 初期のコンピュータは今で言うメインメモリしか持っておらず,外部記憶装置は持っていないか,あるいは紙テープやパンチカードという読み出ししかできない低容量の原始的な「メモ」くらいしかありませんでした。

 メモリを増やせばコンピュータはもっといろいろなことに使えると分かっていても,その価格や大きさが大きすぎ我慢を強いられた中で,高速だけど少容量なものと,低速だけど大容量なものに分け,それぞれに役割分担をさせて記憶を司る部分を作ることになったのです。

 こうした記憶装置の階層化という概念はむろん現代のコンピュータにも引き継がれていていますが,特に低速大容量の記憶装置として使われたものが,磁気を使う記憶装置です。

 磁気テープ,磁気ドラム,磁気ディスク,と構造の違いはあれ,いずれも低速大容量を実現出来るものだったのですが,特に磁気ディスクの内,ウィンチェスタ型のハードディスク(現在のハードディスクです)は特に高速性と大容量を擁立できる優れたものとして,現在まで主流であり続けているのです。

 コンピュータメーカーにとって,演算能力の向上も大事ですが,とにもかくにも記憶装置をちゃんと用意できることが極めて重要であり,ここに解を持たずしてコンピュータメーカーと名乗ることは不可能なことでした。

 ですから,ほぼ例外なく,コンピュータメーカーは半導体メモリを製造する能力と,ハードディスクなどの磁気記憶装置を製造する能力を有していました。

 大型のコンピュータが中心の時代ですから,数はそれほど出ませんし,なにより信頼性が重要とされた世界でしたから,複雑な機構部品を組み合わせた磁気記憶装置は現在に比べると「手作り」のようなものでした。

 これは想像ですが,記憶装置を作っているエンジニアは,自分達こそコンピュータを支えるエンジニアであるという,自負があったのではないでしょうか。

 現在のハードディスクメーカーは,その自社のコンピュータを成立させるために必要だった「基幹部品」を外販することで立ち上がったケースと,専業メーカーとして外販だけを行って来たメーカーに分けられます。

 今回の主役,富士通もコンピュータメーカーとして不可欠なハードディスクの製造能力持っていました。ハードディスクを他から買うことが出来た時代ならいざ知らず,コンピュータの黎明期からコンピュータ専業メーカーであり続け,そのために論理回路設計とは全然世界の違うハードディスクの開発を内部に持たざるを得なかったことで,彼らのハードディスクに対する意地や誇りのようなものが生まれていったのではないかと思うのです。

 コンピュータはもはや日用品です。特別な存在ではありませんし,その部品はそれぞれの専業メーカーにより大量生産されて,いわゆるコンピュータのメーカーはそれを組み合わせているだけです。すべてのものを自社内部で作っていた時代は,すべてが性能向上の伸びしろであり,より早く,より大容量,より使いやすく差別化され,進歩してきました。

 しかし,現在は,その技術開発は専業メーカーの頑張り次第になっています。インテルがサボればCPUの性能向上はありませんし,サムスンがサボればDRAMの容量も増えません。何が正しいという話ではなく,こうした状況変化に,コンピュータの黎明期にあったようなワクワク感が全く見あたらないことが,心情的に残念です。


 ・・・いい機会ですので,ハードディスクメーカーの業界再編の歴史をまとめておきます。

 ハードディスクの最初の製品はよく知られているように1956年に誕生したIBMの305RAMACシステムに用意された磁気記憶装置です。ディスクの直径は約60cm,枚数は50枚で容量は5MB,それでも当時は高速大容量なランダムアクセス外部記憶装置として画期的だったそうです。

 その後コンピュータの外部記憶装置として進歩していきましたが,1960年代に入るとディスクを交換出来るハードディスクがメジャーになっていきます。私はディスクパックを見たことも触ったこともありませんが,当時の写真などを見ると,洗面器を裏返し取っ手を付けたようなパックを持っている人が映っていたりします。この時点で容量は400MBから500MB程度。

 1970年代に入ると,ディスクを交換出来ないようにする代わりに完全に密封し,高密度記録と高信頼性を達成した「ウィンチェスタ型」がIBMから登場します。これが現在のハードディスクの直接の先祖になるわけですね。

 そのIBMは1990年代前半まで基本的にハードディスクを外販していませんでした。それがOEMという形で他社のPCに搭載されたり,バルク品が出回るようになったことで,私などは伝説のIBM製ハードディスクが買えると喜んだものです。当時から基本的にIBMのファンだったりしますが,2003年に日立にハードディスク部門を売却,日立GSTとして現在もメジャーメーカーの1つです。

 メジャーメーカーの一角を占めるSeagateTechnoligyですが,この会社はなかなか面白いです。その源流は,IBMのRAMACシステムの開発者だったAlan Shugartが1972年に立ち上げたShugartAssociatesに求めることが出来ます。いろいろあったらしくAlan Shugartは会社設立後間もなく会社を去りますが,1976年に開発した5インチミニフロッピーディスクはその後のコンピュータに広く使われました。かのSteveWozniakが出来たばかりのShugart製5インチフロッピーディスクドライブを神業でApple][に繋ぎ,ここにパソコンとフロッピーディスクのコンタクトがなされました。

 1979年,Alan ShugartはFinis Connerと一緒にそれまで大型であったハードディスクの小型化を目指し,5インチハードディスクのメーカーとしてShugartTechnologyを立ち上げます。

 ただし,この会社名にShugartAssociatesからクレームが付いてしまい,SeagateTechnoligyに改称します。そして1980年,最初の製品であるST-506のヒットで5インチハードディスクとその制御インターフェースは不動のものとなり,SeagateTechnoligy自身も圧倒的な存在感を示すようになります。

 1985年には創業者の一人Finis Connerが退社,翌1986年にはConnerPeripheralsを立ち上げます。ConnerPeripheralsは5インチよりもさらに小さい3.5インチのハードディスクの開発を行っていた技術者たちの会社と合併し誕生したのですが,1990年代には多くのPCに搭載されていました。しかし1996年に血を分けた兄弟とも言えるSeagateTechnologyに買収され,消滅します。

 SeagateTechnologyは1989年にCDCのハードディスク部門を買収,ハイエンドコンピュータメーカーが持つ高度な特許を手に入れてさらに高性能な製品開発にも成功します。そして2006年にはMaxtorの買収を経て,現在に至っています。

 そのMaxtorはIBMの元従業員によって1982年に創業,1990年には破産したMiniScribe(1980年創業)の資産を買い取り,PC用のハードディスクに参入します。当初市場の評判も今ひとつだったのですが次第に評価を高め,2000年にはQuantumのハードディスク部門を買収します。

 そう,Quantumも有名なメーカーでしたね。1980年に創業したストレージ機器のメーカーで,1990年代には生産を松下グループの松下寿が行っており,品質は折り紙付きでした。1994年にDECのストレージ部門を買収しますが,注力する分野をテープドライブに定めたQuantumは,2000年にハードディスク部門をMaxtorに売却します。Quantumはもちろん今でも存在していますが,完全に裏方に回ってしまった感じです。

 最後の主役はWesternDigitalです。1970年に半導体メーカーとして創業します。日本の8bitパソコンによく使われたフロッピーディスクコントローラである富士通のMB8877はWesternDigitalのWD1791に源流がありますし,WD33C93などのSCSIコントローラLSIは1990年代によく使われたのでご記憶の方も多いでしょう。

 半導体メーカーとしてフロッピーディスクドライブやハードディスクの制御に関する製品を長く手がけていたWesternDigitalは,1988年にTandonのハードディスク製造工場を買い取り,ハードディスク市場に参入します。1990年のCaviarシリーズが大ヒットし,大きな成功を収めると,鈍化していた半導体部門を他社に売却し,ハードディスク専業メーカーとして再出発を図ります。

 その後浮き沈みがありつつも技術開発能力の高さと信頼性で支持され,現在の3大メーカーの一角を担っています。

 そんなわけで,ハードディスクが特殊なコンピュータの構成要素から今や家電品に組み込まれるほどの市民権を得た現在,業界の再編が起こるのも無理はないなと,そんな風に思いました。

 今後,コンピュータから身近な民生品にその利用範囲が広がったハードディスクは,その作られ方や売られ方,価値などどんな風にかわっていくのでしょうか。とても高価で底なしの記憶力を誇る夢の装置に憧れた私としても,注目せざるを得ません。

K10Dにバッテリーグリップ

ファイル 253-1.jpg

 さて,先日中野のフジヤカメラに出かけたことを書きましたが,ここではSuperA以外にもう1つ中古品を買っています。

 K10D用のバッテリーグリップD-BG2です。価格は11500円でした。

 バッテリー(もしくは縦位置)グリップは最近の中級機種には用意されることが増えた定番のオプションですが,これほど好き嫌いのはっきり出るものも珍しいのではないでしょうか。

 私も大昔は否定的でしたが,D2Hを使うようになりカメラを自然に縦位置に構えられることの良さ(つまり縦位置と横位置を同じ感覚で使え区別しないで済むということ)を味わって以来,この種のグリップには極めて肯定的です。ただ,単純に縦に構えやすくなるだけに数万円の出費はどうかなあと,疑問を感じてはいます。

 K10Dのバッテリーグリップは定価で2万円を越え,販売価格でも17000円ほどするのが普通です。

 見た目の格好の良さや,横位置でもホールド感が増す(特に大型のレンズを取り付けたとき)ということに2万円出せるかと言えば,そもそも大きく重たくなるというデメリットもあるわけですから,大半の人が反対派になるのは当たり前でしょう。

 私の場合は否が応でも縦位置グリップが付いてくるカメラを持っていて,その魅力を知っていたため,出来ればK10Dでも欲しいと思っていましたが,それでも申し訳ないけど出せる値段は1万円以下です。

 そんな風に思っていたら,中古のガラスケースに2つのD-BG2がありました。1つは10500円,もう1つは11500円,どちらも付属品は一切無しです。

 両方見せてもらいましたが,10500円の方はかなりラフに使われていたようで,外観も汚いです。11500円はほぼ新品に近く,1000円の差ならこちらだと高い方を選んできました。

 早速取り付けて見ましたが,やっぱり扱いやすくなりますね。レンズを軸に左手で支え,右手でくるくると縦横を自由に変えられる自由さは,縦でも横でも脇が空かず同じ姿勢でホールドできる安定感も手伝って,買って良かったと思わせるものがあります。

 それと電池の交換についても,いい感じです。バッテリーグリップがない場合は本体のグリップ部に電池を入れるのですが,これが結構取り外しが面倒臭いのです。バッテリーグリップなら横からぱぱっと取り外せます。K10Dは本体とバッテリーグリップの2箇所にそれぞれ電池を入れて使えるのですが,私の場合そこまで電池を酷使する人ではありませんし,そもそも電池を1つしか持っていないので,バッテリーグリップにしか入れていません。

 ちゃんと使い込むには,やはり縦位置で手の添え方や姿勢が変わらない方がいいわけで,縦位置が扱いにくいと自然に縦構図を避けるようになります。デジタル一眼のCMOSセンサは(フォーサーズを除いて)案外横に長いですから,縦位置にしてみるとはっとするようなものがファインダーに入ってくることがあり,楽しいものです。

 ちょっと高価ではありますが,もしそのデジタルカメラに縦位置グリップが装着できるなら,ちょっと使ってみてはどうでしょうかと,私は思います。
 

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