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2010年01月の記事は以下のとおりです。

買ったぞラムダッシュ

  • 2010/01/08 15:19
  • カテゴリー:散財

 正月に実家に戻った際,しばらくぶりに顔を合わせる弟と少し話をしました。実家までの途中で梅田のヨドバシに寄り道し,そこで髭剃り(とガンプラ)を買ってきたといいます。

 見るとそれは,昨今あちらこちらで目にするパナソニックのラムダッシュ。自動洗浄ではないタイプですが,基本仕様は最上位機のものと同等で,そのそり味は最高のはずと息巻いています。価格は2万円ちょっとという話です。

 なぜそれを?と尋ねると,彼はアトピーがひどくなり,医者から化粧品などの刺激物は厳禁,ヒゲも剃るな,と無理難題を突きつけられて困っていたそうです。しかしヒゲを剃らないわけにはいかず,肌に優しい髭剃りを探したところ,このラムダッシュに行き着いたというのです。

 私も彼もそうですが,ヒゲが濃いほうなので,深ぞりを求めてずっとブラウンのユーザーでした。しかしブラウンは肌への負担もそれなりにあり,私などは下手をすると血が出ることもあるほどです。切れ味と肌への負担は両立せず,どちらを重視するかで振動式と回転式を選ぶというのが,私の固定観念でした。

 ところがここ数年でパナソニックのラムダッシュが,その両立を果たしているという噂がチラホラと聞こえるようになります。髭剃りの世界はブラウンかフィリップスというヨーロッパ信仰が根強く,国産は電池で動く安物か,中途半端で無個性で,つまるところこだわりのない人が買う無難なもの,というイメージも私にはあります。

 そういえば昨年のタモリ倶楽部でも,フットボールアワーの岩尾さんがラムダッシュを絶賛していました(過去の最上位機種が木目調でセルシオみたいだったというのが笑えました)し,さすがに私もちょっと気になっていました。

 それにしても,あの醜悪なデザインはどうか。

 まるで蟻の頭のような大きなヘッドに,不気味な曲線で作られた細身のボディ,自動洗浄機の「いかにもパナソニック」といった何の変哲もないデザインとの不釣り合い加減。タモリ倶楽部での実演でも改めて分かったのですが,使っている様子があんなに滑稽に見えるとは。ついでにいうと,意味不明な「ラムダッシュ」というネーミングがこっぱずかしくて背中がむずむずします。

 一方で,私のブラウンの中級機種(BS7630)は購入から7年が経過し,電池も弱ってきていてそろそろ買い換えないといけないという切迫感がありました。それを見越して刃も2年近く交換していていないので,切れ味も最悪になっています。ここで機種選定に迷うくらいなら,もう1回だけ刃を交換しようと電気店に向かったのですが,弟のしたり顔と「いやー最高やな」という感想が,妙に気なり出しました。

 この際だし,買うか,ラムダッシュ。

 帰り道の家電量販店でふらふらと髭剃り器のコーナーを見ていると,弟が買った値段と同じくらいで売られています。私は以前のブラウンで憧れだった自動洗浄を買い,そこで期待以上の満足感を得た人なので,今回も自動洗浄モデルしか対象に入っていません。

 弟が言ったように,自動洗浄は通常モデルよりも6000円ほど高いのですが,毎日,しかも長く使うものだからこそ,自動洗浄は必須だと思っています。後で6000円足して自動洗浄に出来るわけでもないので,ここで迷う奴はチキンだと言い切ってしまいましょう。

 ということで,結局自動洗浄付きのES-LA72を購入。26800円でした。実はamazonで買うともう3000円も安いです。ヤ○ダ電機が安いなんてのは絶対ウソだと思います。

 まだ使い始めて数日ですが,こういうのは初期の印象がすべて。ファーストインプレッションを書いてみたいと思います。なお,そもそもオッサンの髭剃りの話ですので,綺麗なものではありません。ご了承ください。


・使い方

 これまで使っていたブラウンのものは3枚刃で前後対称でしたが,ラムダッシュは4枚刃で,前後は非対称です。ということは常に向きを意識して動かさないといけないので,これまでの調子で髭剃りを動かすわけにはいきません。これがなかなか難しく,これまでのようにスムーズに動かせません。

 この辺は慣れだと思うのですが,同じ振動式だと思って買い換えると,この違和感の大きさに驚かれると思います。

 印象としてはブラウンは線接触,ラムダッシュは面接触,これくらいの違いがあるように感じました。


・そり心地

 これはもう抜群です。噂に違わずと言いますか,2万円そこそこでここまで見事にそれるとは,日本人がこだわる民族だという事を再認識させてくれます。このそり味のためにヘッド部分に毎分14000回振動する小型リニアモーターとヒゲをつまみ出す振動モーターを2つも入れたわけですが,結果としてあの不細工なデザインです。設計者がそり味だけを追い求め,それ以外の要素に目もくれなくなっていく姿が目に浮かびます。この熱いこだわりっぷりこそ,日本人の仕事です。

 切れ味も爽快ですし,ヒゲの濃い部分にさしかかってもモーターの回転数が落ちない蹂躙っぷりも見事です。ヒゲの悲鳴が聞こえてきます。

 深ぞり性能も従来のブラウンのものとは比べものになりません。たぶんヒゲの伸び方からいって,2,3時間分は深く剃れているのではないでしょうか。


・肌への負担

 これこそ声を大にして言いたいところで,本当に肌への負担がありません。肌が全然痛くありませんし,ささくれだったりザラザラになったりもせず,本当にヒゲだけが切り取られたような感じになっています。

 これは2つの理由があるように思います。1つは切れ味がそもそもよいこと。もう1つはヘッドが大きく肌に触れる面積が大きいため,圧力が分散するということです。

 持ち方もあるのですが,気が付くとこれまでのように,ぐっと力を入れて押し当てていません。力を抜き,まるでなぞるように顔の表面を滑らせていくことが,とても自然に出来るようになっています。

 良く剃れるから余計な力を入れないし,しかも面で受けるから本当に肌に負担が小さくて済みます。また,深ぞりが出来るということから何度も何度も同じ場所を剃ることもなく,そういう点でも肌が傷まないようです。

 あと,内刃の往復速度が圧倒的に速く,ヘッドを動かす速度が高速でも十分深ぞりが出来ます。ブラウンの場合,あまり早いとそり残すのでゆっくり動かすのですが,結果として強く押しつけることにもなり,肌への負担が大きいのでしょう。

 それと,これまでずっと電気カミソリ用のプレシェーブローションを使ってきたのですが,これはやっぱりそり残しが減るからで,ラムダッシュに切り替える際,後述する洗浄液が汚染されることを避けるため,使わないようにしました。しかしそれでも全然剃れるのです。ローションを使わないで済むため,ますます肌が荒れなくなったということもあると思うのですが,こういう効果も期待できることを付け加えておきます。


・自動洗浄

 ラムダッシュというとその髭剃り性能に注目が集まりますが,私はあえて自動洗浄について考察したいと思います。

 結論から言うと,これはブラウンの方がよいです。ブラウンでは潤滑剤入りのアルコールで洗浄しますから,脂質も汚れも綺麗に落ち,殺菌能力も高く,嫌な匂いとは全く無縁です。また,洗浄後に乾くまでの時間も短く,洗浄中はアルコールのほのかな匂いが心地よいです。

 それに,カートリッジの交換ですべての液体とこれを蓄える機構が新品に交換され,しかも液体が通る途中の経路もアルコールという揮発性の液体が通るため乾きが早く,非常に清潔です。

 この点はなかなか重要だと思っていて,そもそもアルコールですから腐敗することもカビが発生することもないでしょうが,定期的にタンクも交換される仕組みというのは,タンク内部の衛生状態を気にしなくても良いという大きなメリットがあります。

 一方のラムダッシュですが,本来をウォッシャブルにした上で,水道水に専用の洗浄剤を溶かす形で洗浄液を作り,これを循環させてカートリッジ内部にあるフィルターでヒゲくずを集める仕組みです。いうなれば,洗浄能力は本体の「水洗いOK」によって成し遂げられており,自動洗浄機は洗剤を溶かして循環させ,ゴミを集める仕組みに過ぎないといっていいでしょう。ブラウンでは本体は水洗いできませんから,自動洗浄機によって文字通り洗浄されるという点で,設計思想からして異なります。

 メーカーの話では,アルコールでなくても同等の洗浄能力,殺菌能力があるということで,引火やこぼした場合の始末の悪さというデメリットの大きなアルコールを使わず,あえて安全な水を使う方式を選んだというのです。

 ただし,ブラウンがユーザーにほとんど気を遣わせずとも高い洗浄能力を実現しているのに対し,ラムダッシュは他の液体や薬剤,例えばシェービングローションとか他の洗浄剤,水気などが洗浄液に混ざると洗浄力が落ちたり雑菌が繁殖するため,それらをよく落としてから自動洗浄しなければなりません。

 さらに,そういう面倒な洗浄液を使っているにもかかわらず,タンクは洗浄機に存在していて,交換するわけではありません。カートリッジのフィルタが限界までヒゲくずをため込んだら,カートリッジの交換と一緒に,タンクから洗浄液を捨てる必要があります。そして,そのタンクは言うまでもなく再利用され,綺麗な水道水に入れ替えて洗浄機にセットされることになります。

 タンクは小さな口が開いているだけで,内部を洗浄できません。水に洗剤が溶けた洗浄液が1ヶ月もそこにとどまり,しかも不潔なゴミが溶け込んでいるわけですから,いずれ汚れて不衛生になることは避けられないでしょう。

 水がベースですので,乾くのにも3時間近くかかりますし,洗浄液が通る経路については,例えば冬場などはずっと濡れたままになることでしょう。私は,これはどう考えても気持ち悪いと思います。

 現時点では別に問題はありませんが,それでもブラウンの場合はさわやかな香りがしており,鼻の下を剃るときなど心地よいものですが,ラムダッシュはさわやかな香りもしません。大したことではないように思えるのですが,こうしたちょっとした心遣いというのが,ラムダッシュにはないように思います。

 まあそこは,自動洗浄を最初に実用化し,それをセールスポイントとして君臨するブラウンと,あくまでそり味に力点が置かれ,自動洗浄はどちらかというと営業面からの機能というラムダッシュとの,決定的な差だと思います。

 なお,私は実家にブラウンの水洗いOKの下位機種を常備しており,帰省の度にそれを使うのですが,ハンドソープでいくらしっかり洗っても,どうしても出てしまう洗い残しが原因で,あのいやな匂いを消すことが出来ません。

 これが自動洗浄になると全く臭わないのですから,やはり効果は絶大です。ラムダッシュでは水洗いOKの本体を自動洗浄するのですから,洗い残しなど出ないくらいしっかり洗浄してくれるのだろうし,殺菌も行うので匂いは出ないでしょうが,果たしてその洗浄液とタンクなどの機構がどれくらい衛生的に保たれるのか,ちょっと心配です。

 これはもうしばらく使ってみないとわかりませんね。

 ただ,いい面もあります。カートリッジが液体を含まないので,小さく軽いです。ブラウンのカートリッジは大きく重いので,買うのがはっきり言って面倒です。タンクごと廃棄しないので発生するゴミも(体積は)少ないです。


・充電

 ブラウンのものがニッケル水素電池であるのに対し,ラムダッシュはリチウムイオン電池です。電池の性能が圧倒的に良いことが,あのそり味に少なからぬ役割を果たしていると思いますが,充電も1時間で完了という素早さに加え,自己放電が少なく,メモリ効果もない上,小さく軽いというメリットの多い電池が採用されたことは大変意味があります。


・消耗品とコスト

 これまで使っていたブラウンの交換刃は内刃と外刃のセットで定価5775円です。1年半ごとの交換が推奨されています。一方のラムダッシュは4枚刃であることもあってか,内刃と外刃のセットで定価で7665円と高価です。しかも外刃は1年,内刃は2年が寿命です。

 もっとも,ブラウンだって最新機種のものはもっと高価ですから単純比較は出来ませんが,外刃は1年ごとの交換,内刃は2年ごとの交換が必要とあり,どちらの場合でも内刃と外刃の寿命を完全に使い切ることになる6年間でかかった交換費用は,ブラウンが5575円を3回で16725円,一方のラムダッシュでは内刃と外刃を2回,外刃だけを3回買うことになるので31395円と,倍近くかかります。いやー,これはかなりでかい差です。

 もし,ラムダッシュも18ヶ月ごとに内刃と外刃の両方を交換するとすれば,22995円となり,1.4倍程度まで小さくできます。外刃を毎年交換するというのは,なかなか負担が大きいことがわかります。

 参考までにamazonの実売価格で,どちらも18ヶ月ごとの交換を行った場合,6年後にかかった交換費用を計算すると,ブラウンが4158円の3回で12474円,ラムダッシュが5742円の3回で17226円で,1.38倍となります。

 また,ブラウンの現行機種で考えると,内刃と外刃のセットのamazonにおける実売価格が5663円ですから16989円となり,ほとんどかわりません。

 他方,自動洗浄用のカートリッジですが,どちらも約30日ごとに交換が必要ということで,3個入りの価格がブラウンの場合で実売価格は約2000円,ラムダッシュでは1800円程度ですので,これはそんなに変わりません。

 といいつつ,年間で7200円,6年では43000円もかかりますから,ばかにならないものですね。


・まとめ

 なによりそり味は最高,肌への負担は極めて小さく,いいことずくめのラムダッシュですが,ランニングコストは改めて計算すると結構大きいことに気が付かされます。それが抜群のそり味と引き替えになっているということでしょうが,購入前には本体丸ごとの買い換え周期も考える必要があったかも知れません。

 髭剃り器は本体を新しくすると,消耗品も高価になります。古い機種で満足であるなら,古い機種でも刃の入手は難しくありませんので,その時の価格で販売が続いている刃を交換して使い続けるのも,お得だったりします。

 そういう点で言うと,新しい髭剃り器への買い換えを安易におすすめできませんが,より深く剃る,より肌に優しい,という基本性能の向上の大部分を刃が担っていることを考えた上で,今より良いものを求めるならコスト負担を覚悟して買い換えると,納得のいく結果が得られるように思います。

その無念さたるや

 あまり詳細を書いてしまうと特定されてしまうので適当にぼかして書くしかないのですが,年明け早々,悲しい知らせを受けました。

 私が学生の時に3年半ほど働いていた日本橋のパソコンショップで,事務を担当してくださっていた方が,昨年の12月23日になくなったとの連絡を,とても親しくしてくださった当時のお店の社員の方から頂きました。癌とのことでした。

 詳しいことは私も分かりませんが,とても綺麗でエレガントな女性で,暴言をさくっと吐くのですが嫌みはなく,しかも筋が通っていて反論不可能という,極めて賢い常識人で,二十歳そこそこだった私など,全く相手にされなかった覚えがあります。

 大阪の女性だけに華やかな印象で,私が長年使っているG-SHOESというハンドルネームは,実はこの方が黄金のパンプスを華麗に履きこなしてらっしゃったことに由来します。(と書くと変態っぽいのですが,お店の仲間内でおもしろがって作ったハンドルネームでしたから,変態と言うより中二病という感じでしょうか)

 基本的には売り場には立たず,事務所で伝票やお金まわりの処理を行う裏方さんでした。俗に商流といわれる,ものとお金と伝票の流れは彼女から教わりましたし,現金,クレジットカード,分割払い,売り掛け,代引き,手付け金などお客様にものを買って頂くときに考えなくてはならないお金の種類も,やっぱり彼女から教わりました。

 商売人なら当たり前の知識ですから何をたいそうに,と思われるでしょうが,それまで全く縁のなかった私がこれらをすんなり飲み込めたのは,暗記を求めるのではなく,理由や理屈をきちんと,しかしとてもシンプルに説明してくださった事があります。

 彼女は商業科を出ていたはずなので,教科書に出てくるような小難しい簿記や会計の話も出来たでしょうが,あえてそこは「大阪のおばちゃん目線」でわかりやすく,「~しないと誰々が困りはるやろ」と,理由を語るにも決してお高くとまることのない方でした。

 なにせ,「とにかくそういうものだ」という言い方をすることも,私の記憶する限りなかったように思います。これは本質を理解し,かつ説明が上手だったということの証ですが,こういう人というのは,なかなかいないものです。

 私よりも5つほど年上だっただけのように思いますが,すでに大金の動くパソコンショップの財布の紐を任される人で,歴代の店長も我々下っ端も,みなが全幅の信頼をおいていたわけですが,あの無理のない自然な清潔さというのは,人を見たら泥棒と思えと幼いことより親に教え込まれた(なんちゅう親ですかね)私が見た,初めての泥棒の可能性ゼロの人だったと思います。

 あの当時にして,愛車の三代目ソアラを駆り,タバコをスパーっと豪快に吸う若い女性でしたが,それもまた様になっていて,明るくサバサバとし,曲がったことが嫌いで,頭の回転が速くて賢く,ユーモアに富んで話し上手ということで,必ず一度は彼女に憧れるというのが,新人さんの通過儀礼でした。

 私は,といえば,綺麗な人だなあとは思いましたが,前述のようにはなっから相手にされていないので,寂しいことに「はしか」にかからせてもらえませんでした。それでも兄弟店の事務をしていた仲の良い女性と「黙ってたら男前やのに」と,実に絶妙な表現で私のことを評していたそうですので,まんざらではありません。

 彼女についてはいろいろ面白い話があります。

 店員が昼食に出るなどでちょっと売り場が手薄になったときや,レジが混雑した時などは,ささっと雰囲気を読み取り,自主的にお店に出てレジを担当してくれたこともしばしばあったのですが(このあたりも彼女の賢さを物語ってますね),うちのお店に女性の店員などいないと思い込んでいるお客さんが大多数でしたし,しかもお店の空気がぱーっと変わるほどの美人がてきぱき仕事をしているとくれば,自ずとお客さんの視線が彼女に集まります。

 しかし,そんな彼女は滅多に表に出てきません。いつしか彼女はうちのお店の「レアカード」になっていました。いるんだかいないんだか,噂に過ぎないのではないか,実在しないんではないか,幻なんじゃないか,など,いろいろな憶測を生んでおり,中には我々に彼女は何者だ,と聞いてくるお客さんもいたほどです。

 当時我々のお店が開設していたパソコン通信のホストの掲示板でも,まれに彼女が話題に上ることがありましたが,全く見たことがないという多数派が見たという人を嘘つき呼ばわりしたり,見たという人も一度限りで二度と見ていないと言い出したりと,その神秘性もまた魅力を高める要因になっていたようです。

 彼女はパソコンの事はよく分からないようでしたが,X68000のユーザーとPC-9801のユーザーの違いくらいは分かっていたようですし,スケベなゲームやCD-ROMなどにも一定の理解があったようです。ただ,彼女自身はそんなものにありがたがって何千円も支払う人を個人的な理由によって嫌ってもいました。

 ある時,閉店後に棚卸しを行うことになりました。

 ご存じの方も多いと思いますが,棚卸しは在庫のすべてを数える作業ですから,皆で分担してもとにかく時間と手間がかかります。

 彼女は事務仕事の合間をぬって,売り場で先行して棚卸しを少しずつ進めてくれるという気の利きようがまた素晴らしかったのですが,開店中に数えた商品が売れてしまったら数え直しですので,基本的にデッドストックとなっているものを数える必要があります。

 事務専任で,パソコンの事がわからんという人が,なぜデッドストックを察知して数える事が出来るのかと,デッドストックを仕入れてしまった担当者は毎度毎度震え上がっていたのではないでしょうか。

 そしていよいよ閉店後,棚卸しがスタートします。彼女はパソコンが詳しくないということで,微妙な違いで別商品にしないといけないような商品は割り当てられず,はっきりと商品名が書かれているソフト売り場が担当になります。

 棚卸しは原則的に二人一組で,一人は品名と数を声に出し,もう一人はそれを台帳に記入するという流れになります。

 これは当時の店長の嫌がらせの一環だったと思われるのですが,彼女の割り当てられた棚が,当時流行していたアダルトCD-ROMの棚を含んでいました。(店長は偶然だとしらを切っていましたが)

 彼女は読み上げ担当だったのですが,タイトルからしてすでに十分にいやらしいアダルトCD-ROMの商品名を臆せず読み上げて,粛々とこなしていきます。そして時々,「どーするの,こんなに仕入れて」と不良在庫に苦言をつぶやきます。

 それはもう,男の私が見ていても,大変に男らしい立派な仕事っぷりでした。


 いろいろ思い出しましたが,全然悲しくありません。いなくなったなんて,絶対ウソです。しばらく会っていないだけで,ちゃんと大阪にいる,とそんな風に自然に思っています。でも,そんなことない,もう彼女はなくなったのだ,と,何度も何度も思い直します。

 彼女のお葬式は,年末に行われたそうです。知っていれば私も駆けつけたと思うのですが,残念な事に知ったのは年が明けてからでした。

 親しかった先輩店員さんは,私にいいます。彼女のお葬式に,当時のメンバーが一堂に会した,当時の会長,社長,常務や店長,彼女が新人として指導をした若手も含め,それぞれみんな行方知れずになっていた人々が集まり,みな口々によくもこれだけ集まったものだと,驚いていたと。

 そして,不謹慎だけど,彼女が集めてくれたんだと思う,と,そんな風に続けました。最後に,彼女は太陽だった,と。

 私がこのお店を辞め,東京で就職したすぐ後に,大阪地区での店舗の再編が行われ,私がいたお店は閉店し,彼女も別のお店に移りました。しかしその後会社そのものにいろいろあって,行き詰まってしまいます。同業の会社から支援を受けて再スタートを図りますが,結果として大半の店舗は閉店,大阪地区も例外ではなく,完全撤退となりました。

 これをきっかけに,当時仲間は全員散り散りになり,その消息はほとんど分からなくなってしまったのです。私も東京に来ており,地理的な距離には勝てず,あれだけ親しくしていた当時の仲間とも,連絡を取ることが出来ずにいました。

 いや,私にその気があれば,会うことも出来たはずです。それをせずにここまで来た私が,一番罪深いのかも知れません。

 私が以前活動していたハードロックバンドのメンバーは,このお店の関係者が中心となっています。何度も何度も再結成の話が出つつ,実現に至らずに来ましたが,今度こそ再結成しなければならないと,そんな風に思いました。

不況箱2010

  • 2010/01/06 11:08
  • カテゴリー:散財

 毎年毎年被害者を出している秋葉原のPCパーツ店,クレバリーの不幸袋。福袋ではありません,不幸袋です。

 販売開始から毎年すぐに完売してしまうという,その筋ではよく知られた人気商品ですが,あくまでネタとして人気なだけで,入っているものは本当にゴミです。クレバリーにしてみれば,毎度ゴミだと言っているのになぜか完売するので調子に乗ってしまったのでしょうが,今年はわざわざの話題づくりに躍起でした。

 いわく,稟議書を書いて予算を取っただの,数を増やしただの,ネットブックやCPU,DVD-Rのメディアなどそれとを分かるようにモザイクをかけてホームページに掲載してみたりだのと,今年は違いますぜ,と必死にアピールしていました。

 その甲斐あってか,各種ネットニュースでも紹介されました。

 かくいう私も,不幸袋にはなんどか手を出しそうになり,売り切れという結果にいつも命拾いをしてきた幸運な男なのですが,今年はちょっと違う,にすっかりだまされてしまいました。

 12月22日の夜9時から販売開始だったのですが,当日の私の帰宅は10時ごろ。もう完売しているだろうと思ってホームページを見てみると,まだ販売しているようです。もしやと思いカートに入れようとするとサーバーエラーが返ってきます。

 どうも,アクセス集中で,先に進めないようです。

 友人にもお願いし,二人でカートにいれようとしましたが全然ダメ,友人にはもう結構だとお断りをいれ,私は私で風呂にいってビールをのんでいました。

 12時過ぎにちょっと気になって覗くと,まだ販売中です。公式のtwitterによると,まだ20個ほどしか売れていないとのこと。アクセスが集中してやはり先に進めないようです。完売したというデマはこれで沈静化しました。

 こうなってくると,買えなかったら不幸になるような気がして,とにかくカートにいれてみます。何度か粘ってようやく入ったのですが,購入手続きでまたエラー。カートに入れるところまで戻され,再び苦労してカートにいれるとカートには2つ入っている有様です。

 それで1つ減らそうとするとまたエラー。こんなことを延々繰り返して,時刻は夜中の3時です。

 狭い関門を何度も突破し,激しい競争を勝ち抜き,希有な確立でようやくたどり着く,まるで卵子に群がる精子の気分で,リロードを繰り返します。

 blogやtwitterを見ていると,次々と「もう限界だ寝る」と同志達が脱落していきます。彼らの死を無駄にすまいと私はさらに頑張ります。しかして決済完了が3時半。やりました。敵の本拠地は陥落しました。

 送り先を1月1日にいるはずの実家にしようと思っていましたが,サーバがこんな状態ですので登録済みの自宅の住所に送ってもらうのがやっとでした。弟も実家に戻っているはずなので,年明けのネタとしてぴったりだとおもったのですが,やむを得ません。

 結果的に不況箱2010は,実家に届いたとしても,全く笑えるものではなかったことを,その数日後に思い知る事になります。

 さて,勝利の美酒に酔い,心地よい朝を迎えた私は,決済完了のメールを確認し,激しい闘いの繰り広げられたホームページをなにげなく見に行きました。


  國破れて 山河在り
  城春にして 草木深し
  時に感じて 花にも涙を濺ぎ
  別れを恨んで 鳥にも心を驚かす
  峰火 三月に連なり
  家書 萬金に抵る
  白頭掻いて 更に短かし
  渾べて簪に 勝えざらんと欲す

 無茶しやがって・・・顔を見たこともない同志達の顔が次々に現れては消えていきます。

 そんなこんなで12月25日には発送連絡があり,1月1日に代引きで届く佐川急便の荷物に,2997円を払うよう案内がありました。そう,この不況箱は2000円という安価な箱なのです。この段階で気が付くべきでした。

 そして実家で年末年始を過ごし,1月2日に自宅に戻った私は,1日遅れで不幸箱2010を受け取りました。

 ネットブックなど金目のものは入っていない(ということはこれから出るだろう),DVD-RやSDカードなどはポロポロと報告がある(ということはこのくらいの商品は普通に入っているはずだ)という程度の話は事前に気になって調べていたので,ワクワクして箱をあけます。箱が心なしか軽すぎることは,この時の私にはなんの警戒心も与えませんでした。

 あけて目に付いたのは,梱包材の紙。大量の紙です。ここでさすがの私も,不幸な未来がチラチラ見えるようになります。

 数十秒後,おそらく最低ランクの内容に,私は意識を失っていました。

 ・WEB2.0を極める(クソソフト,ベ○ト電器の値札付き)
 ・ナンバープレイスxペン(クソソフト,ビ○クカメラの値札付き)
 ・子供用サンダル(きもい虫のイラストつき)
 ・第2世代iPod nano専用アルミケース(今さら第2世代専用って)
 ・iWalk(第2世代iPod nano専用ヘッドフォン,どうしようもない)
 ・スキミングブロック(おサイフケータイに貼り付けるらしい)
 ・うちのこ登場!アンパンマン(絶句)

 「うちのこ登場!アンパンマン」は,ほぼ全員の箱に入っていたもののようで,一通り内容を紹介した後,最後に「そしてアンパンマン」と書くのが決まり事になっていました。今回の不況箱2010においては,この「アンパンマン」を全部の箱に入れたと言うことが,クレバリーの唯一の成果だったと言えるかも知れません。

 私としては,別にネットブックが欲しかったわけではありません。でも,PCパーツショップが用意した話題の商品で,PCパーツがゼロというのは,これはさすがにいかがなものかと。

 そもそも2000円ですから,笑って済ませることにしたわけですが,他の人の報告を細かく見ていくと,おでん缶やDVD-Rのメディア,SDカードなど,それでも1つくらいは使い物になるものが入っていたようです。

 メイド服や訳のわからんキーホルダーなど,本当にどうしようもないものも報告されているようですが,クレバリーの客層から言ってソフトの不良在庫以上のゴミはなく,それらが大きな顔をして箱の中に納まっているのを見ると,ふつふつと怒りがこみ上げてきます。

 かといって,あたりとされているフロッピードライブやらサウンドカード,マザーボードなどが入っていても使い道はないし,サーバー用やモバイル用のCPUなどでも困ったでしょうが,それでもPCパーツですからうれしかったでしょうね。

 数年前のとある地方都市のホームセンターが用意した福袋には,割り箸と爪楊枝が箱いっぱいに入っていたそうですし,それに比べればまだましなのかも知れませんが,そもそも福袋というのはそのお店に対する忠誠心から購入に至る商品だったりするので,福袋を作る側の面白さだけで安易にやっちゃうと,取り返しが付かなくなるように思う訳です。(AppleStoreのLuckyBagもしかり,です)

 手伝ってくれた友人はこの無残な結果をみて,「少しとはいえ協力して損した」と死者にむち打つ暴言を吐き捨てました。返す刀で「メイド服なら着てあげたのにねえニヤニヤ」と,そんな気などさらさらないのに,なお私にたたみかけます。「妹さんに着てもらった方がいい」と言い返すのが精一杯でした。

 ずばり,ゴミが大きな箱で送られて来ただけの話でした。友人の「反省した?」に,私はただ黙って頷くしかありませんでした。

 中にはお金を佐川さんに払う前に外で待たせ,開封して中身を確認してから「受け取り拒否」した強者(というかこれはさすがに人としてどうかと)もいたそうですし,これだけ焚き付けておきながらまともなものが入っていない上,某掲示板には明らかにウソと思われる大当たり報告が書き込まれていたりで,店員さんが抜き取ったんじゃないかとか,そもそもあたりなどなかったんじゃないかなどと,その界隈ではちょっとした騒ぎになっているようです。

 店員さんのtwitterでの書き込みが「客をバカにしてる」と怒りを買っていたりするようですし,こういう後味の悪い祭りは,どちらにとっても損だと思うのです。

 例年のように冗談と分かって買う人だけなら「またやられたぜセニョリータ」で済んだだろうと思うのですが,今年は話が一般人にも広まったことで,普通に怒る人が出てきてしまったことは,クレバリーとしても誤算だったんじゃないでしょうか。決してクレバリーにもいい話ではなかったはずですよ。事実,kakaku.comはひどい有様です。

 サーバの不調で一晩中リロード続け,あげく結局買えなくて悔しい思いをした人が一番得をしたというオチは,ちょっと悪ふざけが過ぎたんじゃないかなと,苦言を呈しておきます。こういうのは,ほら,泥を塗りつけるお祭りがあるでしょう,あのくらいにしておかないと。

 それで,ゴミはゴミらしく,さっさと捨ててきれいさっぱり忘れよう,と思ったのですが,その友人の妹さんのiPod nanoが第2世代であることが判明,ケースを差し上げる事になったのですが,ネタとしてiWalkとアンパンマンもご所望とのことで,躊躇なく差し上げました。Web2.0は断られたことを付け加えておきます。

 それにしても,限定200個といいつつ追加したそうですし,トータル300個として2つ2000円だと一晩でざっと60万円の売り上げですか。それも代引きだから現金みたいなもんですし。原価なんてただ同然でしょうから,確かにこれはやめられませんよね。でもね,一応,他店の値札は同業者への気遣いの1つとして,面倒でもはがしておきましょうよ。

年末年始

 2010年になりました。新年おめでとうございます。

 さて,年末年始に数日間実家に戻ったのですが,その間にあった話を少しまとめてみたいと思います。

・実家の地デジ対応

 これがこの年末年始の一番大きなテーマだったのですが,結論からいうととても簡単に解決しました。

 DXアンテナから出ている「UHA-800」という平面アンテナを秋頃に調達し,実家に送ってあったのですが,このアンテナが思いの外性能が良く,魚の骨のような八木アンテナをわざわざ買う理由はもはやないのではないか,と思うほど満足な製品でした。

 カタログスペックでは一般的な八木アンテナと同じ程度のゲインを誇り,BSやCSのパラボラアンテナと同じ感覚で取り付けできるように考慮されている点で,アンテナもここまで進化したのだなあと感慨深いものがあったほどです。

 昨年の秋に室内アンテナでもなんとかギリギリ受信出来ることを確認してありましたから,UHA-800なら間違いなく受信出来るだろうという目処は立っており,気になるのは取り付け場所と向き,そして配線という点でした。

 まず実際の取り付けですが,現在は使っていないCSアンテナを外し,その場所にUHA-800(どうでもいいことですが「さようならどらえもん」で登場したUSO-800とかぶるネーミングですね)を固定しただけでおわりました。

 向きを調整するチェッカーも持っていったのでいちいちテレビとアンテナの間を往復することも必要なく,とても簡単に向きも合わせることが出来ました。

 問題は屋内配線です。ここで頓挫することも覚悟したのですが,実家の新築の際に予備の配線を1本通してくれてあることがわかりました。惜しいのは,この予備の配線は分配器もブースタも通っておらず,直接リビングの2つ目のアンテナコネクタに繋がっているため,他の部屋では見る事が出来ないという点です。

 しかし,現実的に,現在実家にある地デジが受信出来るテレビはリビングにあるものだけです。その他はアナログのままだったりするので,変に配線をいじる訳にもいきません。

 本来なら,難視聴対策の共聴システムからやってくるU/V混合波からUとVを分離し,このVとUHA-800のUとを再混合,ブースタで増幅してBSと混合し分配器で各部屋に分配するのが正しい方法だとは思いますが,そこまでの手間をかけて結局2011年までしか役に立たないというのは割の合わないお話です。

 なら,2011年になってアナログ放送が止まってから,完全に共聴システムからのU/V混合波を切り離し,UHA-800の信号をブーストBSと混合して分配する方がよほど綺麗です。なので,母親と相談して,2011年にもう一度考えることにしました。

 もし,他の部屋で小さい地デジテレビを買った場合には,不要になった室内アンテナを使ってもらうことにします。

 母親の話では,アナログ放送では難視聴対策が必要だったケースでも,地デジになると個別のアンテナで十分高品質で受信出来るという話が出ているらしく(そりゃそうですね),共聴システムを改修する費用が非常に大きいことを考えても,おそらく個別でアンテナを用意してもらうことになりそうだということでしたから,100%完璧ではないにせよ,実用レベルで何ら問題のない地デジ移行に,随分喜んでいました。

 最初は地デジへの切り替えなど,なんと余計なことをするものだと思ったものですが,受信障害が軽減されること,高画質であること,アンテナが小型になること,そしてトータルの費用が随分安くなったことを考えると,ようやく最近になって移行する価値があると思えるようになってきました。


・日本橋を歩く

 伊丹空港から実家までの間に寄り道して,年末恒例の日本橋を巡ってきました。ここでなんども書いていますが,私は16歳と17歳の夏にジャンク屋として知られたデジットでアルバイトとして使って頂き,当時の店長さんから多くのことを学びましたし,19歳から22歳までの3年間,OAシステムプラザでアルバイトとして使ってもらい,主に中古パソコンとMacを得意として,仕入れからサポートまでを一通り勉強させて頂きました。

 浪人中は難波の予備校でしたから,その頃を含めほぼ毎日日本橋に通っていたわけで,何かを作る時でもこまめに部品を買いそろえることが出来ますし,買い忘れれば翌日昼休みにまた買いに出かけるということが出来ました。それに,新しいお店が出来れば出向き,つぶれれば残念がりと,その時期の街の変化を随分楽しんだものでした。

 ですから,私にとっての日本橋は電気街でもヲタクの街でもなく,通天閣でも黒門市場でも大阪球場でもなく,生まれ育ったふるさと,のような感じがしています。

 それだけに,昨今の寂れっぷりを見るのは正視に耐えないものがあるわけですが,電子部品屋さんが全国区のお店として知られるようになってきたことと相まって,ここ数年で少々落ち着きを取り戻した感があります。

 自販機が撤去されていよいよ地下に潜るかと思っていたマジコンも,「マジコンR4」と書かれたのぼりを立てて堂々と店頭販売するあたり,アキバとは違う文化だなあとちょっと笑ってしまいました。

 私もあちこち回るほど元気ではなかったですし,お店の数も場所も随分と変化しているので,結局立ち寄ったお店は5つほど。完成度が高いと評判だったトミックスのC57が,ジョーシンのキッズランドに1つだけ残っており,10%割引のはがきと組み合わせてトータル3割引で買いました。


・デジットへ向かう

 次に向かったのはデジットです。私がいた頃に比べて随分小綺麗なお店になりましたし,怪しいジャンクの数が減ったことは,過去にはやばいジャンクを出していた会社がまともになってきたことの証でしょう。思わず遠い目になります。

 磁気カードのリーダ/ライタとか,工業用の高出力炭酸ガスレーザとか,ATMの部品とか,ちょっとここではかけないようなものもゴロゴロしていた当時に比べ,随分まともになったものです。

 ただ,消費税を取らないことは当時のまま,店員さんも大きな声で愛想良く,知識も豊富で気軽に相談できる雰囲気と,居心地の良さは我々の頃からの伝統です。うれしいですね。

 ここで見つけたのは,大型の16セグメントLEDです。1個50円。安いので買い占めようかと思いましたが,多くの人に使って欲しいので6個だけにしておきました。それでも300円ですからね。1個100円でもいいと思うのですが,このあたりがデジット(というか共立電子産業)の欲張らないところです。ちなみにこれ,シリコンハウスにも置いてありましたし,通販でも買えるようです。

 あとはICで74LS181という,その筋では結構貴重とされているICを3個ほど調達しました。それとデジットには,誤差1%のポリプロピレンコンデンサが安価で売られています。0.001uFと0.1uFをかってきました。0.1uFで確か150円だったと思います。

 というのも,AVRを使ったコンデンサ容量計を作ろうと画策していて,その校正用のコンデンサが必要だったのです。素人が使うものですから,まあ1%程度でも十分でしょう。それより,温度特性や浮遊容量の方が深刻ですよ。

 そうそう,ダブルバスレフのスピーカーのエンクロージャのキットの音を聞いてきました。なかなかしっかり出てくるものです。置き場所さえどうにかなれば,私も1つ欲しいと思いました。


・シリコンハウス共立に向かう

 デジットでのアルバイトは,当初シリコンハウスに「バイトしたい」といきなり電話をした時に,シリコンハウスはいっぱいなので,デジットならどうですか,と言われたことがきっかけでした。

 当時の社長さんに,簡単の口頭試験をされたことを覚えています。A級,B級,C級増幅の違いは何か,だったですかね。

 今はどうか知りませんが,当時はシリコンハウスもデジットも店員さん同士は同じ場所で働いているという仲間意識も強くて,私も閉店後にシリコンハウスでカウンターの中に入れてもらい,自分で欲しい部品をせっせと棚から出して,他の方にレジをうってもらったりしていました。そういえばバイト初日は,シリコンハウスで自己紹介したなあ。みんな大人だったから,随分かわいがってもらいました。

 そのころのシリコンハウスとはお店も変わっているし,若干ですが雰囲気も変わっているので,今のお店には懐かしさはありませんが,日本を代表するパーツ屋として,すでに有名な存在です。

 失礼ながら,私が子供の頃は,電子部品はアキバが本拠地,日本橋はその代用品くらいの感じだったのですが,最近は拮抗しているというか,綺麗に棲み分けがなされているという感じがします。ネットや物流の進歩によって,もはや地域性より個性こそ重視されるようになったという,1つの例でしょう。

 2階で電池ケースをいくつか買って,3階で30円と処分価格だったスタンダードTTLの74181を6個買ってきました。これでも32bitのALUは作る事ができないんですねえ。

 あと,TC9245Nも5個ほど買ってきました。1つ210円というのは安いと思っていましたが,昔からこの値段なんですね。しかし冷静に考えてみると,48kHzまでしか対応しない民生用のDAIレシーバICなど,5個も買う必要があったのでしょうか・・・

 他にも数点トレイに入れてレジをお願いします。シリコンの店員さんはデジットの店員さんと違って声も小さく,愛想がよいとは言えません。こころなしか内々に籠もっている感じがします。それで,会話を楽しもうなどと言う気持ちは全くなかったのですが,デジットと2階での買い物をみた店員さんが,青い色のしっかりしたバッグを用意してくれました。

 ついでにカレンダーも入れておきます,と言ってくださったので,この時期恒例の味マップもお願いしました。

 味マップは年末の楽しみの1つで,私が子供の頃から名物になっていました。なんと37年も前から続いているそうで,これだけ続けばそれだけで立派なものだと思っていると,「実は今年は危ぶまれたんですよ」と店員さんがいいます。

 え,どうしてですか,と聞き返すと「昨今の経済状況ですから」と答えが返ってきたのですが,確かに直接売り上げに繋がらず,また以前のように食べるところに全く困らなくなった日本橋では,あまり必要とされていないのかも知れません。

 そういえば年々,店頭で目に付くことも減ってきたなあと思ったりしましたが,「楽しみにしているので来年もお願いしますね」といささか無責任ではありますが,エールを送って来ました。やや無愛想だった店員さんも,このころにはすっかり和やかな表情をしてらっしゃいました。

 4階では,0.2mmのポリウレタン線500gをリールで買いました。おそらく死ぬときにも残っていると思われますが,こういうのは残りを気にして使っていたらダメです。湯水の如く使って初めて作業に没頭できるというものです。

 私の勘違いでなければ,デジットが200gで2200円,シリコンハウスが500gで2500円ちょっとだったと思うので,随分値段が違うものだと思いました。どおりでデジットではホコリをかぶっていると思いました。

 今年はシリコンハウスで随分と気持ちのいい買い物をさせて頂きました。これはもう仕方がないことなのですが,以前店員さんの知識のなさで簡単に在庫切れ,とされて,釈然としないまま引き下がることが度々ありました。

 説明をしてようやく出してもらっても,プライドの傷ついた彼はその後無言でレジを打つ,ということが何度か続き,もうシリコンハウスには行かないでおこうと思ったことがありました。しばらくぶりの今回も,明るい雰囲気だとは思いませんが,売る側と買う側が対等で楽しく過ごすという商売の原点が戻ってきたような気がします。

 これは,もしかすると,電子工作復権の兆しかも,知れません。


・4時まで飲んだ

 高校時代の友人と会うことになり,彼と会うときにはいつもいく居酒屋に向かいましたがあいにく満席。数件まわりましたがどこも満席で,地方都市でもこんなことがあるのかと彷徨っていたところ,どういうわけだかガラガラのお店を発見。

 ここで11時ごろまで飲んでいたのですが,そろそろ場所を変えようと店を出ました。

 我々は話し込むと長いので,基本的に追い出されることがお開きのトリガなのですが,まだ追い出されないのかなあ,とふと時計を見るとすでにその時点で2時をまわっています。どうも一晩中やっているお店だったようです。

 いつもの居酒屋は12時には閉店するので,ごく一般的な飲み会になるのですが,今回は大変なことになりました。私を含めダラダラと酒を飲み,友人の一人が「もう眠い!限界!」と白旗をあげてようやく終了。4時を回っていました。

 どんな話をしていたのかも覚えてなければ,いったいいくらだったのか,誰が払ったのかも覚えていません・・・

 4時ですから電車はなく,タクシーで帰ることになります。私を除く二人は地元で歩いて帰ることの出来る人だったのですが,こんな時間にタクシーなどつかまるはずもなく,さりとて私を真冬の4時過ぎに一人で放置するのも悪いと思ったのか,しばらく一緒にタクシーを探してくれました。

 しかし,タクシーはおろか,自動車も人影もありません。こりゃ絶望だなあとあきらめて,1時間ほどかかる実家まで歩こうと腹をくくったとき,友人が「迎車」とサインを出しているタクシーを見つけ,すたたた,と駆け寄ったと思ったら,おもむろにゴンゴンとガラスをノックをしているではありませんか。

 「それはなんぼなんでもあかんて」とさすがに焦ったのですが,友人は自らも早く帰りたい一心でさっさと交渉を成立させ,果たして私の目の前でドアが開いたのでした。

 めでたく私はタクシーに乗り込むことが出来て,友人達に見送られたのですが,その後運転手さんと話をしたところ,どうやら私がタクシーを呼んだ,まさにその人だと思ったらしいのです。

 要するに,友人は「あんたを呼んだのは私らや」とウソをつき,私を乗せたということになります。いやー,酔っぱらいってのはたちが悪いです。ああはなりたくないものですねえ。おかげで助かりましたが・・・

 しかし,彼らはいいけども,その後家まで送ってもらう私が運転手に怒られるとか,そんな風に考えなかったんでしょうか。

 私の家までは10分ほど。少し待たせてしまうけれども,私を降ろしてからまた引き返します,といわれていましたが,謝る私に全然怒った様子もなく,私が高校時代の友人と一緒にいた,という話をすると,それはよかったですねえとニコニコしてくれたことが,かすかな記憶として残っています。

 なお,4時半過ぎに家に戻った私が母親に怒られたことは言うまでもありません。この年齢になって,まさかこんなことで怒られるとは思っても見ませんでした。

・ということで

 ということで,数日間を過ごした実家では,それなりに楽しく過ごして戻ってきました。少し気が滅入っていたこともあって,いい気分転換になりましたが,最大の誤算は4時まで飲んだことでしょうか。その後数日の間,しばらく調子が悪く,もう若くないんだなあと思い知った次第です。無茶はやめましょう。

 コンデンサ容量計については,部品を揃えたつもりだったのですが,金皮抵抗を買うのをすっかり忘れてしまい,また当分お預けです。

 年々正月気分が薄れているなあと感じるのですが,それでも1年の節目には変わりません。今は毎年実家で過ごしていますが,それもいつまで続くかわかりません。どちらにしても,慌ただしい年末が過ぎれば年が明け,そしてまた普段の生活がやってきます。

 今年もどうぞよろしくお願いいたします。


 
 

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