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2010年11月の記事は以下のとおりです。

X-07が壊れてしまった

 なんか,最近ものが良く壊れて困っています。

 といっても,生活が成り立たなくなるような大事なものが壊れているわけではないので,気楽なものです。

 私が古いポケコンやハンドヘルドコンピュータを集めていることはご存じの方もいらっしゃると思いますが,私がかつて心血を注いで修理したキヤノンのX-07が,壊れてしまいました。

 時々電源を入れて動作を見ていたのですが,液晶の画面上に気泡のようなものが出てきてどんどんひどくなって来たこと,そしてドット抜けがかなり出てきた事が問題でした。

 気泡はまあ反射シートかなにかを張り直せばいいとして,ドット抜けが問題です。ドット抜けというと,その画素が死んだか,あるいはパネルと基板をつなぐゼブラゴムの接触不良あkと相場が決まっていますが,点灯しない画素も,黒にならないだけで白の時は周囲と同じようなグレーに点灯しており,全く通電されていない状況とは違うようなのです。

 そうなるともう半導体の問題となってしまうわけで,もし液晶ドライバなどが壊れているならお手上げという恐ろしい事態になります。

 とにかくこの抜けたドットの場所など,規則性を見つけ出しましょう。

 X-07は,横120ドット,縦32ドットで構成されたディスプレイを持っています。液晶ドライバはVRAM内蔵のものが2つ使われており,横に4ドットずつ交互に担当しています。よって,4ドットずつ白黒の帯を表示すると,どのドライバに問題があるかがわかるかも知れません。

 やってみると,IC22と回路図に書かれた,4から7ドットを担当するドライバの部分でドット抜けがひどいです。綺麗に全てのドットが抜けている訳ではなく,抜けるラインもあれば,綺麗に出ているところもあるので,面倒な感じです。

 先に偏光フィルムと反射シートを交換し(この反射シートは銀のラッカーを厚紙に吹き付け,マットな銀色のシートを作りました),検討を始めると,あろうことか起動しなくなってしまいました。本格的に壊れてしまって焦る私。

 パターンが1本新たに切れていたので,これをつなぎ直し,なんとか復活しましたが,相変わらずドット抜けはあったまま。そういえば昔,こんなにドット抜けがひどくなかった時,電池が切れてくるとドット抜けがひどくなったことを思い出し,電源電圧を少し上げてみました。

 回路図では4.65Vに調整することになっていますが,これを5Vまで上げてみると,ドット抜けがかなりおさまりました。5.2Vまで上げると完全に消えます。

 しかし,昔はここまで電圧を上げなくてもドットは抜けなかったわけですから,これはもうLCDドライバICの劣化が始まっていると考えるのが普通です。ここで調子に乗って5.2Vなんかにしてしまうと,ますます劣化が進み完全破壊に至るかも知れません。

 そこで,今回は実用範囲で支障のない,5.0Vで手を打ちました。このころのICですから,5V動作は大丈夫でしょう。

 X-07はこれで一応完全に修理出来たのですが,劣化が進行しているという事実は大変重く,あとどのくらいこのX-07が動作してくれるのか,不安も残す結果となりました。

 とりあえず一段落したので,他のマシンも確認します。PC-8201・・・大丈夫ですね。HC-20・・・あれ液晶の偏光フィルムに斜めのひび割れてが出てますね。交換しないと。

 HC-20は偏光フィルムを交換したのですが,電源を入れても動作せず。

 ピーと起動音は出ますが,そこから先の表示が出ません。

 壊れました。

 HC-20は68系のマシンで,私も詳しくはわかりません。またサブCPUを搭載し,メインCPUと連携しながら動作するので,修理は面倒臭そうです。

 メイン基板をしげしげと見ると,ほとんど全ての電解コンデンサの足下に白い粉が付着しており,基板からは緑青が出ています。うわー,液漏れ&基板の腐食です。

 もう絶望的な気分になりつつ,長期戦になると覚悟を決めて,修理を進めたいと思います。

 実はもう1つ,今年の正月から使っているパナソニックの髭剃り器「ラムダッシュ」の自動洗浄機の調子もおかしいのです。なぜか洗浄が終わると,洗浄機の足下が洗浄液で濡れてしまいます。洗浄液がこぼれているのか,それとも内部で漏れているのか・・・これの顛末も後日。

パンダGOPANだゴパンだ

  • 2010/11/15 18:58
  • カテゴリー:散財

 三洋電機という会社,私は大好きです。ここは一言で言うなら鈍くさい会社で,決して要領のいい会社ではありませんけども,実力は非常に高く,みんな真面目で純粋で,安いものから高級品まで揃え,その上でどれも一定水準を満たしてハズレがないという,なんとも「損をしている」メーカーです。

 イメージ先行でいうなら,三洋電機は2番手グループでしょう。しかし,彼らが出している商品はどれも本当に消費者本位であり,押しつけがありません。会社としてみると,数年前の中越沖地震での半導体工場の大被害など,リスク管理が全然甘いと思うところもあるのですが,まあどんな世の中にも完璧なものはありません。

 自社の商品を声高に連呼し,買ってみるとうんざりするような製品が多い中,多くを語らずしっかり作ってある製品が多い三洋電機くらい朴訥とした製造業というのも,好感が持てるというものです。

 三洋電機を買収したパナソニックは,商売も技術もお金も世界随一,そんななか三洋はいつも「弟分」と言われ続けてきましたが,戦前から続く名門・松下電器産業の背中は,やはり大きなものだったということでしょうか。

 しかし,兄弟というのは,共通点がありながらも,不思議と個性がはっきり分かれて,それぞれに強みを持つように育ちます。松下と三洋,まさにこれだと私は思っています。

 個人的経験でいうと,三洋の製品を使っていて,故障や使い勝手の悪さ,価格も含め,とにかく嫌だ,と思った事がただの1つもありません。どれもこれも本当に真面目に作ってあり,こちらが求めるものにストレートに応えてくれますし,お金にならんのじゃないかなと思うことで,ちゃんとやってくれたりするので,かえって心配になるほどです。

 カーナビのゴリラ,布団乾燥機,電気敷き毛布,エネループ,電子工作で使った半導体やコンデンサ,仕事で関わったARM9コアのSoC,どれも真面目で,着眼点に個性があり,すべてがユーザーの満足度を上げていく,そりゃこんなことをやっていたら,どっかに買収されてしまうわなと,ファンとしては寂しい気持ちが先に来ます。

 半導体は元モトローラのオンセミコンダクターに,それ以外は基本的にパナソニックに買収されて,おそらくどちらも三洋のブランドを残すことはしないでしょう。これも寂しいですが,三洋の皆さんの,きまじめなスピリットだけは,消えないで欲しいと心から願っています。

 閑話休題。

 そうなのです,大人気のGOPAN,欲しくて欲しくてたまらんかったこのコメからパンを作る夢のマシン,発売と同時に手に入れました。なにやら年内絶望という声も聞こえてきますが,ここまでヒットする白物家電も最近珍しいんじゃないかと思います。

 コメの粉を砕いて粉にするには,大きな筒の中で空気をグルグル回し,壁にぶつけて砕くという仕組みを使うそうです。この設備に億単位のお金がかかることが,お米の粉が小麦粉よりも高価な理由の1つでだそうですが,パンを焼くだけなら別にペースト状でもいいじゃないかという素晴らしい発想で誕生したのが,GOPANです。

 私が子供だった1980年代,お米はパンにシェアを奪われ,その消費量が減り続けた結果,食糧政策はコメ余りと減反政策に揺れ続け,米でパンを作って消費拡大,などという戯言が,出ては消え出ては消えを繰り返して,いつしか人々の気を引くようなものではなくなりました。

 しかし,ここへ来てお米で出来たパンがとてもおいしく作る事が出来るようになり,高いけどおいしい,どこでも買える訳ではないけど食べたい,と言う評価が定まるようになりました。家で作って焼きたてを食べたいという声が大きくなってきたのは当然と言えるでしょう。

 でも,米の粉は相変わらず手軽なものにならず,三洋も前の機種で市販の米粉を使った製パン機を出しますが売れず,消えていきました。

 GOPANは,そうした前の機種の弱点を,いかに克服するかという正攻法で誕生した,これまた生真面目なマシンなのです。

 それに,さすが三洋ですね。米でパンを作ることだけにあぐらをかかず,餅もつけます。いや,ほんとよくわかってらっしゃる。私たちはご飯が好きで,当然餅も大好きです。私は関西人ですので丸餅ですが,嫁さんは関東人なので切り餅です。この差を埋めるには自分で作るしかありません。

 それに経験した人は分かると思いますが,餅つきというのは実に楽しいのです。わいわいやるにはぴったりです。

 もし,単に米が使える製パン機だというなら,私はきっと買いませんでした。私の基準では,製パン機は餅もつけねばなりません。ですからGOPANの予約が始まった時,5万円という高価格にもひるまず,私はGOPANの購入を即決できたのでした。

 買ったのは手堅くヨドバシ.com。実はクレジットカードの番号が某所から流出したため,予約中にカードの番号を変えるという事故が発生して一悶着あったのですが,ヨドバシ.comのおかげでちゃんと発売日に届きました。

 米のパンを作るのに必要となるグルテンも一緒に買いました。市販の米粉ミックスにはこれが含まれているそうですが,米粒から作るGOPANには,このグルテンの供給が最も心許ないポイントでしょう。スーパーで売られるようになるのはまだ先だとは思いますが,それも米粉を使った製パン機の普及次第です。


 そんなこんなで早速ですが,お米でパンを焼いてみました。インプレッションいってみましょう。


(1)大きさ,質感

 まず,大きいです。普通の製パン機が横に大きくなった感じですので,設置面積はガスストーブや小型の石油ファンヒータくらい見ておく必要があります。そして重いです。私は製パン機を買ったことがありませんので比較は出来ませんが,ずっしりと重い鉄の塊という印象です。そうですね,ブリキのバケツに水をしっかり張ったと気の重さという感じでしょうか。

 そんな重さ,大きさですので,いちいち押し入れや戸棚に片付けるというのはちょっと無理があり,おそらく片付けたら最後,使わなくなると思われます。そこで我々はテレビと食器棚のスペースに置くことにしました。

 そうなると見た目が問題です。今回買ったのはワインレッドですが,表面はとてもプラスチッキーで,高級感はありません。本体はツヤあり,フタの部分がシボのあるつや消しで,どうも不格好なのです。デザインはあまりよいとは言えませんし,これを置いておくと部屋が狭くなった気もするし,生活感も増すので,そういうのがお嫌いな方は面倒でもいちいち片付けることを前提にすべきです。


(2)音

 音はtwitterでもつぶやいている人が多いのでご存じかも知れませんが,とにかく音が大きいです。何事かと思うような爆音です。コメを水に浸し,ミルが動作を始めると,まるで削岩機かと思うような音が30秒続き,5分間止まり,また30秒動作して5分休んで・・・を1時間ほど繰り返します。ミルの動作中はテレビの音もきこえなければ,普通の会話も難しいくらいです。

 音の大きさもそうですが,耳障りな音でもありますので,壁の薄いアパートやマンションなどで,上下左右の方に怒られるかも知れません。夜は絶対出来ません。

 こういっては何ですが,開発された方はこういう音が気にならないような,大きな一戸建てのお家に住んでいるのでしょうね。都会の小さい部屋に住んでいると,この音が出たときに「これじゃダメだ」と思うんじゃないかと思います。


(3)問題点

 昨日2回,お米のパンを作りましたが,2回とも成功とは言いにくいものでした。特に1回目はひどく,私のこのマシンに対する信用度はほぼゼロになったほどです。

 というのは,こねる工程で,羽根が回転しなかったのです。

 WEBの説明によると,米パン用の羽根は,左回転の時は米を砕く歯が6300rpmで回転,こねるときは羽根が右回転で400rpmで回るのだそうです。

 パンケースに材料を入れる前に,ミルの付いた専用の羽根を軸に取り付けるのですが,説明書では軸に差し込んで,左右に何回か回せとありました。私は回す作業を忘れていて,軸に差し込んだだけで,材料を入れたのです。とはいえ,しっかり奥まで差し込んだことは確認しました。

 しばらくしてミルが動作し,米がドンドン砕けていきます。牛乳のように白い液体になってから,グルテンとドライイーストが自動投入され,LCDにはこねる行程に入ったことが表示されています。

 しかし,羽根が全然まわりません。こんなものかと眺めていましたが,一向にこねる気配もなく,音だけブーンといっているので,これはおかしいとフタを開け,止まっている羽根を少しだけ触ってみたところ,突然勢いよく右回転を始め,グルテンとドライイーストをパンケースの外に飛び散らせました。

 あわててフタをしますが,すでにこねる行程は終わりに近づいた頃で,満足にこねられることなく,発酵にすすんでしまいました。

 しばらくして焼きの工程に進んだのですが,パンケースから飛び散った粉が焦げて焦げ臭い匂いが立ちこめました。そして出来上がった米パン第一号はあまり膨らまず,底の部分はお餅のようにドロドロの状態でした。

 羽根を見ると,何かにぶつけてひっかいたような2つのやや深い傷がついています。このパンのどこかに,金属粉が混じっているのでしょうか。

 この段階で,私は怒り心頭でした。1.5合ものお米が,無駄になってしまったかもしれないのです。こんなもったいないことが許されるはずがありません。

 確かに羽根の取り付けで,左右に回さなかったことは私の誤りでしたが,納得いかないのは左右に回したところで,くるくる回るだけの話であり,別にかちっと手応えがあるとか,音がするとか,そんな訳ではありません。つまり,どうなったら確実にセットされたのか,全く分からないのです。

 ということは,上手く羽根が回るかどうかは,その時次第の運。こんな恐ろしい装置,はっきりいって使えません。

 失敗の後,掃除をしてから何度か羽根を観察したり,軸に取り付けたりして見ましたが,右回転の時にラッチがかからず,空回りすることがどうやって防止できるのか,やっぱり分かりません。

 なるほど,パンケースの内壁に出っ張りがあり,この出っ張りと羽根の先端に付いているシリコーンゴムのブレードが接触していれば,左回転のミルの時は羽根は回らず,右回転になった瞬間にラッチがかかり,羽根が回る仕組みになっているようです。

 しかし,今回の失敗時,羽根の先端のブレードは内壁の出っ張りには接触しておらず,ミルの時もこねるときも同じ位置にありました。お米というのは重いですから,少なくともミルで回転しているとき羽根は回転しないでしょうし,こねる場合に右回転を始めたとき,運悪くラッチが外れるような位置にいたら,羽根が回らないことになります。

 取り付け時に左右に何度か回すだけでそれが防げるとはちょっと思えず,どうやったらこの致命的な誤動作を完全に防げるのか,見当も付かないのです。これでは予約で外出中に米パンを作る事などできず,基本的につきっきりで見ていないといけなくなります。
 
 2回目は,一応正しい流れでパンが焼けました。1回目に比べてはるかにパンらしいものではありましたが,だからといって綺麗に膨らんだわけではなく,やや小さい膨らみ方でした。

 ただし,生の部分などはありません。1回目は羽根が突然回転したときに,ドライイーストも飛び出してしまい,少なめになっていました。また,新米は水を少なめにとありましたので,1回目は水を10g少なくしましたが,今回は10g増やして,標準的な量にしました。

 おかげでなんとかギリギリ,パンと呼べるものになったのだと思います。うーん,塩が多いと膨らみが小さくなるのですが,入れたバターが有塩だったことや,グルテンが実は専用計量スプーンだとやや多めに入るという罠があったことも,いまいちだった理由かも知れません。


(4)味

 これが一番言いたかったことなのですが,米パンは,パンではありません。あくまで米であり,その点でご飯そのものです。パンの気分で食べるとすぐに満腹になりますし,腹持ちが良いのでなかなか満腹感がなかなかおさまりません。

 お米独特の香りや食感はありますが,小麦独特の香ばしさや軽い食感がないので,これはもう別の食べ物と考えた方がよいのではないかと思います。パンをお米で作るのではなく,お米使った新しい食べものが出来たということです。

 私は,米で作るパンがおいしいといいなあと思っていたのですが,確かにおいしいとはいえ,やはり小麦で作るパンにはかないません。

 ただ,ちょっと思ったのは,このお米のパンの重さというのは,イングリッシュマフィンに近いかも知れません。イングリッシュマフィンは,ハムやレタス,チーズを挟むととてもおいしく食べる事が出来るのですが,もしかするとこの米パンも,そうした具材を載せたり挟むと,おいしいかもしれないですね。


(5)取説

 最近の家電品には珍しく,取説がわかりにくく,どこに何を書いているのか,さっぱりわかりません。系統立てて書かれていない,大事な事が小さく書かれている,どうなっていれば正常なのかがわかりにくく,今起きていることが正しいのかまずいのか分からないなど,とにかく取説があてになりません。

 先程の羽根を取り付ける話もそうですが,軸に差し込んだ後左右に回すことが必要だとして,もし回さないとどうなってしまうのか,回したあとどうなっていれば正常なのか,そういうことが書かれていないので,これで大丈夫なんだろうかという心配がつきまといます。結果は数時間後までわかりませんし,失敗していた場合も途中でやり直せません。

 また,パンケースを本体にセットした後,取っ手を前側に倒す必要があります。後ろ側にも倒せるのですが,そうするとグルテンとドライイーストの投入を行うとき,フタが取っ手にぶつかってしまい,投入に失敗するのだそうです。後ろに倒れないようにするのがまず先にすべきことでしょうし,それが出来ないなら取説には大きく目立つように書いておかなければならないでしょう。

 失敗すると取り返しがつかないことなのですから,ここはユーザーの心配を払拭できるような情報を,きちんと記載しておいて欲しいと思います。


(6)まとめ

 正直なところ,綺麗に作るのがとても難しい上,それほどおいしいとも思わなかった米パンを家のお米から作ることが出来るという機能に,通常の製パン機よりも数万円高いことを,どれだけ納得出来るかにかかってくると思います。

 通常のパンをおいしく作る事が出来るのはあたりまえとして,もちがつけることまで考えても,3万円くらいまでで買うことが出来ると思います。

 そこから1万円以上も高価であることが理解できる人というのは,米パンというものがどんな味の食べ物かをよく知っていて,その焼きたてを食べたいというとても贅沢な望みのある人なのではないでしょうか。私は,やっぱり小麦のパンがよいです。

 
(7)おすすめできるか

 かつてはかりも使わず,オーブントースターだけでそこそこおいしいパンを焼いた経験のある私から言わせると,迷っている方は様子を見た方がいいと思います。

 お米からのパン作りは画期的ですが,あの爆音は間違いなく近所迷惑ですし,ミルの歯が欠けて金属が混じる事故とか起きそうです。グルテンは専用品しか使う事が出来ず,入手にも不安があります。

 お米のパンがおいしいかどうかは個人差があるとして,素直に強力粉を使って作ればとてもおいしいパンが出来上がるのですから,別に普通の製パン機でも十分といえるでしょう。なぜ米パンなのか,なぜ家の米から作らねばならないのか,その辺をよく考えて,ブームが落ち着いてから買っても遅くはないと思います。

文殊菩薩の怒り

 なく子も黙るじゃじゃ馬,高速増殖炉「もんじゅ」が,なにやら大変なことになっているらしいのです。

 先日NHKの9時のニュースで,重量物が落下したとかで,運転再開の目処が立たなくなったという話をしていましたが,これはウソではないにせよ,本当に大事なことを報道していないように感じている人たちが,少なからずいるようなのです。

 私も聞きかじりですし,専門家というわけではないので本当かどうかを精査するだけの力はありません。しかし,どうもただ事ではなさそうだという気がして,ここにとりあえず書いておこうと思った次第です。

 そもそも,「もんじゅ」ってなんだ,という話です。

 高速増殖炉はよく,使った燃料以上の燃料を作り出す「夢の原子炉」などと言われます。確かに高速中性子を使い,燃料であるプルトニウムを,使った以上に生成するので間違いではありませんが,これで人類は無限のエネルギーを手に入れた!などと大騒ぎする人は,さすがに最近はいなくなりました。

 高速増殖炉の狙いは,燃料であるウランの効率的な利用です。ウランという鉱物資源は無尽蔵にあるものではなく,限りがあります。その点では石油や石炭と同じですね。

 現在世界中で稼働している軽水炉はこの天然ウランの中に1%未満しか含まれていない,ウラン235でなければ,動いてくれません。大部分を占めるウラン238では燃えない,つまり連鎖反応が起こってくれないのです。

 そこで,ウラン濃縮とか遠心分離とか,なんとなくパキスターンな,実にきな臭い仕組みが必要になる上,もともと少ない資源の,そこからさらにわずかしか採れない燃料が,近年の原子力発電ブームの影響もあって,ここ最近ビックリするほど値上がりしているのです。

 枯渇の心配があるうえに,世界中で温暖化ガスを出さない「クリーンな発電所」である原子力発電所がボンボコ作られてしまえば,そりゃ値段もあがります。これで原子力発電の経済性が変わってくる可能性さえあるほどです。

 そうなると,今まで捨てていた,天然ウランの大部分を占めるウラン238を利用出来ないものか,と言う話になります。例えばこのウラン238が現在価値のあるウラン235の100倍存在していたら,一気に資源の枯渇まで100倍も時間が稼げます。ある試算では数万年とか。エネルギー問題は解決したも同然と言い切る学者がいてもおかしくありません。

 ところがそうは問屋が卸しません。連鎖反応を起こすためには,中性子をぶつけて核分裂を起こさねばなりませんが,軽水炉で使われている速度の遅い中性子では,分裂しやすいウラン235しか使えません。

 ここで発想の転換です。実は軽水炉でも,飛び出した中性子のうちいくらかは,ウラン238とぶつかってプルトニウム239に変化していて,しかもこのプルトニウム239が中性子にぶつかって連鎖反応し,核分裂してエネルギーを発生させていることが知られています。その割合は,一般的な軽水炉で30%程度といわれています。

 この,ウラン238がプルトニウム239に変化することを,転換といいます。

 なら,この転換する割合をもっと増やして,プルトニウム239を積極的に燃やしてやる(連鎖反応で核分裂させる)ような原子炉を作れば,間接的ですがウラン238を燃やせることになるのではないでしょうか。

 これが,高速増殖炉です。

 ウラン238を積極的にプルトニウム239に転換するために,速度の速い中性子を使う事にします。これが高速増殖炉の名前の由来です。核分裂によって生じた中性子は,軽水炉の場合,生じた熱を取り出すのに使う水にぶつかって速度が落ちます。また,ウラン238にぶつかっても速度が落ちます。すると核分裂の速度が落ちて暴走の危険が少なくなります。軽水炉がそれでも安全と言われるのはこのためです。

 高速増殖炉では,核分裂で生じた中性子の速度を落とさないように,ウラン238にぶつけてプルトニウム239に転換させねばなりません。だから熱を取り出すのに水では都合が悪く,別のものが必要になるのです。

 この,熱を取り出すものを,冷却剤といいます。軽水炉では水が使えた冷却剤ですが,高速増殖炉では中性子の速度を落とさないで済むような液体として,溶けた金属,なかでもナトリウムを使うと言うことが行われています。

 ナトリウム?実物を見たことがない人がほとんどだと思いますが,実は私も見たことがありません。あぶないですからね,私はどちらかというと見たいとも思いません。

 なにせ,水と強烈に反応して爆発します。空気に触れればあっという間に酸化しますし,なにせ反応性が高いので,触れたものはボロボロになります。だから保存は灯油の中に漬けてあるそうです。とても柔らかい金属で,まるでバターのように切れるのだそうですよ。融点は金属としては低く,液体は水に近い重さなので,冷却系の設備の設計が楽だという話も耳にします。

 世界中でいろいろな冷却剤が候補に挙がりましたが,どれも扱いにくく,結局一番ましなナトリウムが使われているというのが実情のようです。

 ナトリウムは中性子の速度を落とさないので,高速中性子をウラン238にぶつけて,効率よくプルトニウム239を作り出すことができます。あとはこのプルトニウム239をガンガン燃やして,ウラン238をプルトニウム239にしてやれば,打ち出の小槌ってわけです。

 プルトニウムを使う危険性の問題,核兵器製造へのリスクの問題,などなど諸問題があるのは実に深刻ではありますが,これも上手く高速増殖炉が稼働したら,の話です。残念ながら開発から60年を経た現在においても,まともに動いている高速増殖炉は1つもありません。

 しかし,その存在自体が大変に危険なものであることは,もんじゅのナトリウム漏れ事故をはじめ,イギリスやフランスの事故でも明らかです。なんという面倒な化け物を作ってしまったものよと,思わざるを得ません。

 さて,そんな物騒なもんじゅですが,今回の事故がどれほどやばいか,です。

 事故は,簡単に言うと,原子炉の上部に取り付けられた,炉心の交換を行うための設備の一部分が,原子炉の中に落ちた,と言うものです。

 原子炉は液体ナトリウムで満たされています。当然空気に触れてはいけないので,反応しないようなガス(アルゴンだそうです)を充填してあります。こんなややこしい設備ですので,当然原子炉のふたは分厚く,ここにパイプを通して,左側から腕を伸ばし,炉心をつまみ出しては,右側に待機する入れ物にいれて,これを原子炉の外に引き上げるような感じです。

 今回落下したのは,この右側で待機している,入れ物に繋がったパイプです。炉内中継装置というそうですが,これを引き上げるフックのようなものが外れて,するすると原子炉内に落ちたんだそうです。

 すぐに引っ張り上げられると思ったようですが,残念ながらパイプの長さを継ぎ足す部分が引っかかり,装置が変形し,抜けなくなったそうです。設計上の限界の力で引っ張り上げたのに,びくともしないのであきらめた,というのが先日の報道だったわけですね。

 さあ困った,どうしましょうか。

 深刻なのはここからです。結論を言うと,どうにもならない可能性があります。

 まず,この炉内中継装置とやらを抜く方法ですが,引っ張っても抜けないことはわかりました。では削るなり切るなりして抜けるかと言えば,金属のくずが出てしまい,これが炉内にパラパラと落ちてしまうため,出来ません。

 では,フタをあけて取り出しましょう。おっと,液体ナトリウムとアルゴンガスが詰まってました。これを抜かないとナトリウムが大爆発しますね。

 でも,抜いてしまうと,冷却剤がなくなってしまうので原子炉が暴走します。これは困った。先に炉心を抜かないといけません。

 あ,炉心を抜く装置が壊れたんだった・・・・

 仕方がない,このもう原子炉は廃棄しよう・・・え,炉心が抜けないので廃棄できないじゃないか!

 ・・・ということは,原子炉の運転も廃棄も出来ないのに,ナトリウムを98度に維持して循環させ,維持管理しないといけないということになるわけですか。放置するために維持管理しないといけないなんて,これって文殊菩薩の怒りを買っちゃいましたか?

 まあ,ちょっと調子に乗りすぎましたか。しかしこの問題はとても深刻なように思います。現状維持,つまり放置するために設備を維持し,運転を続けないといけない状況になっているということですから,お金も手間もかかるのは当然として,いずれやってくる設備の寿命がきたら,この原子炉は暴走するか,大爆発をするしかありません。

 そうならないために,永遠に設備を維持し,更新し,トラブル無しで動かすことが求められるのです。この負の遺産は,想像を絶するものがあります。絶望でめまいがしそうです。

 毎年国の予算で維持されるわけで,費用面でも,安全面でも,とんでもないものを,我々は次世代に押しつけてしまいました。

 そもそも論は言っても仕方がありませんが,やっぱり言いたい。そもそも,ナトリウムを使うような高速増殖炉なんて,あぶないばっかで実現不可能な代物だったんじゃないんですか?

雨のアキバと秋月で買った容量計の話

  • 2010/11/08 14:19
  • カテゴリー:make:

 少し前のこととなりますが,10月半ばの3連休の初日のことです。当日の東京地方は雨だったのですが,先頃定年された会社の方と一緒に,アキバ巡りをしようという話を実行に移すべく,私は待ち合わせの時刻に秋葉原にいました。

 彼の用事は主にPCパーツで,特に電源ユニットにいいものが欲しいということと,手に入れられたばかりのNEX-5向けに,32GBのSDカードを買いたいということだったのですが,私は元来PCパーツはからっきしで,アキバへはもっぱら電子パーツを買うために訪れます。

 前回行ったのは半年ほど前ですから,ちょうど今年の酷暑のアキバを知らないのは幸いだったと言えるのでしょうが,今のアキバは再開発のまっただ中で,ビルがなくなり向こう側が見えたり,背の高いビルが視線をふさいだりと,景観がコロコロ変わるので,毎度毎度驚きがあります。

 まだ残暑の残る10月ではありましたが雨のおかげで涼しく,また人が少なかったこともあって随分助かりました。みんな「面白いものを買おう」とがっついた視線がビリビリしている,この街には独特の雰囲気があります。

 今回私は,特に急ぎで買うものもなかったのですが,秋月電子では欲しいものが溜まっていたので,彼には事前に秋月で買い物をしたいという事は伝えてありました。

 電源ユニットは案外高価であることがわかったのですが,足で稼ぐのが秋葉原,さすがに歩き回ると予算ぴったりでとてもよいものが見つかったようでした。ただ,雨という事で後日買うということになりました。

 SDカードは価格を見て回ったところ,やっぱり今の旬は8GBから16GBというところです。私の目安は,半分の容量のSDカードを2枚買ったときの値段と比較して,1割程度安いとそれを旬と認定,といった感じなのですが,まだ16GBは8GBの2倍ちょうどくらいという線でした。しかし8GBと16GBではちょっと用途が違ってくる(16GBなら動画も躊躇なく扱える)ので,目的によってどちらが旬かは違ってくると感じました。

 いずれにせよ32GBはまだまだ高価で,16GBを2枚買った方が全然安いわけですから,どうしても32GBでなければならない人向けに売られている商品を,とりあえず大きなものが欲しいなという理由ではちょっともったいないと思いました。よってこちらも買わない事に。

 ちょっとした細々としたものは別にして,ほとんど手ぶらの二人は最後の店である秋月電子に向かいますが,電子パーツでアドレナリンが出るのは私だけで,彼は秋月の外でタバコを吸っておられました。

 この段階で二人はすでに3時間歩き回っていて,天気の悪さもあってすっかり疲れていたのですが,私は秋月に,彼はタバコで復活を遂げたということですね。

 秋月では,電池や白色のLED,ATtiny2313を1レールという感じで,部材の在庫を確保したのですが,前日に秋月のホームページで見つけた,コンデンサ容量計のキットを楽しみにしていました。

 この容量計,中国のキットらしいのですが,ATmega48を使ったもので,誤差1%(2%という記述も・・・どっちや),1pFから500uFを測定可能,オートレンジとゼロアジャスト機能を装備,無調整で組み立てたら即利用可能で,お値段は950円と安いものです。

 基板と部品がセットになっているし,当然ファームは書き込み済みですので,気楽に作る事の出来るキットと言えるでしょう。少し前にStrawberryLinuxのLCメーターを組み立てましたが,あれより全然安く,測定範囲も広くて,誤差が1%ということですので,ちょっと期待して,購入翌日の日曜日に組み立ててみました。

 まず,A4の紙に英文で組み立て方,回路図,部品表が印刷されています。組み立て方には大したことは書いていませんが,回路図と部品表を照らし合わせると,どうも抵抗がいくつか入っていないようです。

 どの抵抗がいらないのかはわかりにくく,確かに部品表に記載がない部品は取り付けられませんが,一言「部品表にない部品は取り付けないでください」と書いてあると安心なんだけどなと思います。

 また,中国の抵抗って,カラーコードが読みにくくて困りました。1%品は5本のコードが書かれていますが,日本のように左右をはっきりさせるための,誤差を示す帯を細くするということが徹底されておらず,カラーコードを読み続けて30年のこの私が,読み違いをして取り付けてしまうという,自尊心の砕けるようなミスを起こしてしまい,落ち込みました。

 さらに,1%である必要のない抵抗が1%だったりして,回路図をみて首をかしげたり,もっと深刻だったのは10kΩが1本足らず,39kΩが1本多かったことです。入れ間違えたんですね,きっと。

 回路図を見ると単純なプルアップでしたので,炭素皮膜の5%の10kΩをパーツケースから取り出して完成です。秋月に言えばもらえた抵抗だとは思いますが,電話代で抵抗が買えますので,今回はまあいいや。

 電源をいれて,ストレー容量をキャンセルするゼロアジャストボタンを押します。値は比較的安定して,0pFを表示しています。

 ここで,先日日本橋で買った1000pF,1%を測定してみます。

 すると,値がバラバラ動きます。最低値は976pF,最大値は997pFで,1秒に3回ほど値が変わります。これは結構困ったものです。1000pFくらいの容量なら,ちゃんとゼロアジャストしてあればストレー容量の影響は5pF以下と考えたいので,最大値と考えるとまあこんなものかと考えられそうです。

 しかし,値が変動するのはおかしいです。

 今度は0.1uFの1%を測定してみます。結果は97.5nFと言う感じで,やはりやや小さめに出てくるようです。さすがにこのくらいの容量だと,ストレー容量が5pFあっても影響は小さいはずで,1%のコンデンサなのですからここはやはり100nFと,ばちっと値を出して欲しいところです。

 部品の付け間違いなどを調べて見ましたが,あいにくそういう間違いはありません。近い値が出ていることを考えると,精度はともかく動作はしていると考えて良いでしょう。

 真面目にこの容量計を考えてみます。

 まず,詳細が全然書かれていないので推測となりますが,実はELMさんのホームページに昔から掲載されている「デジタル容量計」の回路を見比べて見ると,非常によく似ています。特に3.3MΩと3.3kΩという特徴的な値も含め,そっくりな回路です。(私自身,この容量計の評判を耳にして,そのまま作ってみようと部品を揃えていましたが,時間がなくて取りかかれないままなのです)

 仮に,ELMさんの容量計のコピーであるとして,その原理を考えてみます。ELMさんのホームページから,回路図,動作説明,そしてソースリストを手に入れます。

 そして,今回のキットの回路図を眺めて下さい。(キットの回路図の入手はjyetechでgoogle先生に尋ねてみて下さい)

 原理的には,被測定コンデンサに充電をし,少しずつ上昇する電圧をAVRのコンパレータでキャプチャして,電源電圧の0.17倍の電圧に達した時刻と電源電圧の0.5倍の電圧に達した時刻から,その時間差を求めます。

 充電に使った抵抗の誤差が1%なら,この時間差によって一意に決まる被測定コンデンサの容量も,また1%の誤差となるわけです。2つの電圧の差から時間を求めていますので,電圧の絶対精度は結果に影響せず,測定中の電圧変動が誤差に直結します。

 この回路では,充電に使う抵抗を3.3kΩと3.3MΩと切り替えています。これは測定レンジの切り替えのためで,ELMさんの回路の場合約60nFを境に3.3MΩをLow,3.3kΩをHighとしているとのことです。

 さて,その0.17倍と0.5倍の切り替えですが,まずは被測定コンデンサを放電させねばなりません。これはAVRのPD6がLowになると,被測定コンデンサの両端がR9の120Ωでショートされます。

 続いて,コンパレータに0.17Vccの電圧を与え,この電圧になったらタイマをトリガするように設定しますが,これはAVRのPB5を出力方向にし,Highにすると,R13の10kΩとR15の39kΩの合成抵抗である7.959kΩと,R16の39kΩによって作られます。

 被測定コンデンサの電圧が上昇し,0.17Vccを越えると,AVRのPB5の方向を入力に切り替え,Hi-Zにします。こうするとコンパレータの電圧はR15とR16による分圧で作られる0.5Vccとなります。

 こうして,0.17Vccになった時刻と0.5Vccになった時刻の2つから,かかった時間を求めて,容量に換算して表示するという仕組みです。

 この方式で問題となる誤差は,まず被測定コンデンサに充電電流を流す抵抗です。ここはキットでも1%品を使っています。

 次に,コンパレータの電圧を作る分圧抵抗で,これもすべて1%品です。0.5Vccを作る39kΩは0.17Vccでも使いますから誤差は相殺されるとしても,R13の10kΩについては1%がまるまる効いてきそうですね。この段階で2%の誤差が蓄積されました。

 そうそう,クロックの精度も一応みておきましょう。タイマのカウントを使って時間の測定を行っているのですから,クロックの誤差がそのまま測定値に影響を与えます。このキットでは12MHzのクロックですので,おそらくタイマの最小カウントは83nsという時間です。しかし,いくらラフな設計であっても,水晶発振子を使う限り,多くても100ppm,普通は50ppmまでですので,これはほとんど気にしなくてもよいでしょう。

 そう考えていくと,影響として支配的なのは,R13の10kΩと,R11の3.3kΩもしくはR12の3.3MΩですね。

 これくらいなら無調整でもなんとかいけそうな気がしますが,ELMさんの容量計では,校正機能がついていて,校正用のコンデンサを使ってデジタル的にゲインを補正することができます。この結果,1%精度での測定が可能になるのですが,今回のこのキットではこうした機能は,少なくとも説明書には見当たりません。

 ということで,このキットでは校正が出来ず,また安定性も今ひとつという事もあり,ちょっと真面目に検討をしなければならなくなりそうです。ちなみに,この100pF1%のコンデンサを,1年ほど前に買った秋月のテスタで測定すると,ばっちり1nFと表示されました。あんなに長いテスタリードを経て測定しているのに,なんでぴったりの値が出てくるのか不思議な気もしますが,うまくキャンセルする仕組みがあるのかも知れません。

 回路図やスペックを見ると,ELMさんのコピーであることはほぼ間違いないと思います。ELMさんのオリジナルでは,AT90S2313を使っていますが,7segLEDを駆動するのにピンが足りなくなり,外に別のロジックICを追加するという方法を取っています。

 このキットではそれを嫌って,ピン数の多いAVRを使い,ICの数を減らすという工夫を行っています。

 原理的に素性はいいはずで,ちゃんと作れば精度はそれなりにでると思うのですが,やはり金属ケースに入れるなどの工夫は必要かも知れません。

 本当は真面目に検討したいのですが,いいアイデアが浮かばず,1ヶ月近くが経過してしまいました。校正をするのにクロックを可変するとか,1%の抵抗を可変にするとか,いろいろ考えてみたのですがいずれも一長一短があって,実行に移していません。いい方法はないものでしょうか。

秋の夜長に逆ポーランド

  • 2010/11/04 19:30
  • カテゴリー:散財

 一部のマニアに圧倒的な支持を受けているHewlett-Packardの電卓ですが,ふとしたことから,HP20bが安く売られていることを知り,ついつい買ってしまいました。

 このHP20b,金融用電卓という,私のようなお金に疎い人間にはなんだかピンと来ない電卓なのですが,HPの電卓は逆ポーランド計算機であること,科学技術用の関数電卓のパイオニアであることに加え,金融用の計算機の代名詞としても,よく知られています。

 とりあえず,ローンの計算やら,複利の金利計算やら,私にとっては人生で2度か3度しかないと思われる計算を,わざわざ専用の計算機でやることはないよなーと無関係を決め込んでいたのですが,約3500円という価格で逆ポーランド計算機が手に入るというのはなかなか面白い話で,いっちょ買ってみるか,という事になったのです。

 もう1つ,実はこの計算機,ARM7を使ったプラットフォームとして,自作をする人に各種の技術情報が公開されているという,珍しい電卓です。回路図,書き込み方法,SDKがHPから無償で配布されているので,その気になればこの電卓で走るプログラムを作ることが出来ます。

 キーボード,電源回路,ドットマトリクス表示を含むLCDを装備し,小綺麗なプラスチックの筐体まで用意されたプラットフォームが3500円ですので,これはmake:な人にとってはたまらんものがあるでしょう。

 発売から数年経過した現在,さぞやたくさんのプログラムが作られたんだろうなと期待して探してみましたが,残念な事に皆目見つかりません。HP42sのエミュレーションを行うプログラムは見つけましたが,パワーマネージメントが実装されていないなど,ちょっと実用にならない感じです。

 SDKがあるとはいえ,開発環境は自分で揃えなければならないので,誰でも簡単に取り組めますよというものでもなく,それなりの気合いと根性がなければいけない世界ですから,私のような甘い人間は最初から他力本願で,もしダメでもHP20bという電卓として,普段の生活に便利に使おうと考えていました。

 ということで,先日の土曜日に手元に届いたHP20bですが,私がぱっと触った第一印象は,なかなかええやないかこれしかし,というものでした。

 この電卓,登場時は1万円近くしたものなんだそうですが,特に評判が悪いのがキーです。HPの電卓に特徴的なクリック感がないこと,そしてキーの上側を支点に下側だけが沈む,あの独特な機構が採用されておらず,普通の電卓のようにキー全部が沈み込む,というもので,熱心なマニアはこれがとにかく許せないのだそうです。

 私はそんなに熱心ではありませんので,純粋に使いやすいかどうかだけで判断しましたが,使いやすいとは思えないが,まあそんなにヤイヤイうるさくいうほどでもないなあと思います。

 確かに誤入力もおきやすいし,クリック感がないので本当に入力されたか不安になることもありますが,少なくとも触っていて「嫌だな」と思うような感じはなく,使っていて楽しい電卓ではないかと思いました。

 ふと,評判の良いHP35sのキーが,私にはそんなによいとは思えなかったこと思い出しました。あのクリック感と深いストロークが,肩に力が入ってしまうのですね。HP20bはその辺がとてもライトな感じです。

 持った感じも悪くありません。左手で持ち,右手でキーを押すようにすると,案外サクサク入力出来ます。なにかと出番の多い[INPUT]キーがちょうど左手の親指で押せる位置にあるので,スタックに積むという操作がとても楽です。

 パッケージには英語と日本語それぞれのクイックスタートガイドが同梱されています。全部を網羅したマニュアルではありませんので,ここに書かれていないこともたくさんありますので,本家HP.comから英文のマニュアルをダウンロードしておく事をおすすめします。

 さて,ここまで印象がよいと,技術用の計算に使えるのかどうかが俄然気になってきます。理系には理系の数字に対するこだわりもありますので,ここが気に入らないと,即ジャンク箱行きです。

 まず逆ポーランド記法による入力です。初期設定では連鎖(Chain)モードという,普通の電卓のような入力方法になっているので,せっかくHPなんですから,これは即座に逆ポーランド記法にしなければなりません。

 [SHIFT]と[Mode]で設定メニューに入り,上下キーを何度かおして,Chainが出てきたら[INPUT]キーでRPNにします。これで切り替わりました。

 なお,ALGモードという,ちょっと気になるモードも用意されています。これは,乗除算や括弧の中身を先に計算するとか,演算の規則に従って計算をするモードです。+なり-という演算子を打ち込んだだけでは計算が行われませんので,ポケコンに近いと言えば近いですね。

 一応式の通りに打ち込めば答えは出ますし,馴染みやすいと言う点ではこれを目当てにこの電卓を買ってみるのも悪くはないかも知れません。でもシャープやカシオの関数電卓がもっと安く売っているのですから,わざわざこれを買う理由にはならないですね。ついでにいうと,式の評価の結果保留される計算の数は7つまでとのことです。

 さてさて,ここまでは楽勝です。次は表示の桁数。なんとこの電卓,初期設定では小数点以下が2桁に丸められて表示されます。なんと3.141592が3.14としか出てきません。内部では15桁精度が保持されており,表示される段階で丸められるのですが,これはちょっと論外ですよね。ゆとり教育にもほどがあります。(あ,ゆとり教育では3でしたね)

 で,さすがにこれは設定を変更できます。[SHIFT]と[Mode]で設定に入ることが出来ますが,最初に出てくるFIXという設定を,現在の値の2から変更すればよいのです。

 しかし,ここを9なんかに設定すると,クリアしたときの表示が0.000000000と小数点以下ずらーっとゼロが列んで,見にくいことこの上無しです。なんでわざわざこんなことをするのかなあと思いつつ,これは金融向けの電卓なんだと,無理に納得するしかありません。

 ここでTipsです。英文マニュアルによると,このFIXの値を-1に設定すると,通常の電卓と同じ表示になるそうです。小数点以下ゼロになっている桁は表示がされず,3.1415926は3.14でも,3.141592000でもなく,ちゃんと3.141592と表示されます。

 ただ,普通の電卓と違うところもあって,1/3は,普通の電卓なら0.33333となるところを,この設定では3.333333(-1)と出てきます。(-1)というのは左端の指数表示の小さい数字表示領域の表示です。

 これは指数を使った表示ですが,私たちにとってはこの表示は大変身近で,見やすいものです。0.0000043などと言われてもややこしいだけですが,4.3(-6)と出てくれればすっきりですね。10倍単位で大まかに大きいか小さいかをさっと判断するというのは,慣れればとても便利な考え方です。

 もう一つTipsです。このFIXの設定はショートカットが用意されています。[SHIFT]を一度押し,[SHIFT]を押しながら数字のキーを押すと,その数字がFIXに設定されます。1を押した後[+/-]を押せばちゃんと-1に設定もされますので,使ってみて下さい。

 ところで,このFIXの設定は,[SHIFT] [RND]による丸めにも有効なのですが,-1が設定されていると0が設定されていると解釈されるようで,小数点以下がばっさりと落とされます。本当なら設定が別に出来て,FIXが-1でも[SHIFT] [RND]で少数以下2桁に丸めるなどと出来れば便利かなと思うのですが,残念です。

 この段階で,普通の電卓を越えました。さて,次は常用対数の扱いです。もともと金融向けですので,複雑な関数は期待できないのですが,この電卓はちょっとした関数なら扱えるようになっています。

 しかし,キーボードには「log」の文字がありません。LNやらeやら,自然対数に関係する関数はありそうなのですが,肝心の底を10に持つ対数が扱えないのは辛いところです。

 これをgoogle先生に尋ねてみたところ,底の変換公式を使ってしのげ,と恐ろしいことを書いてありました。ただでさえ逆ポーランド記法という慣れない方法でスタックを意識しながら操作するのに,底の変換公式まで持ち出すとなると,もうポケコンでいいよ,とあきらめてしまいそうです。

 ここで再びTips。常用対数を扱う方法です。HP20bにはMathメニューという,普段余り使わないと思われる関数群をメニューから選択する方法があります。クイックスタートガイドも,説明書もさっと流してあるだけなのでスルーしそうですが,このMathメニューに,常用対数が用意されていました。

 例題)電圧増幅率2倍は,何dBか?
 操作)2 [SHIFT] [Math] [↑] [↑] [INPUT] 20 [*]
 答え)6.02

 Mathメニューの一番最後にLOGという項目があります。ここに素早く到達するには↑を2度押すのが良いようです。

 さて,これで電気屋さん必須のdBの計算が出来るようになりました。どうにか技術向けにギリギリ使える電卓と言えそうです。

 もう1つおまけのTipsです。[SHIFT] [Math]のあともう一度[Math]を押すと,円周率πの値が表示されます。スタックして使うと,いちいち打ち込まなくていいので楽です。

 続いてRPNならではの使い方です。電気屋さんはよく,抵抗を2本使って電圧を分圧して欲しい電圧を作ります。これをさくっと計算して見ます。

 例題)12kΩと24kΩを直列につなぎ,12kΩに3.3V,24kΩに0Vを加えた。中点の電圧はいくらか?
 操作)24 [INPUT] [INPUT] 12 [+] [/] 3.3 [*]
 答え)2.2

 これは単純な計算だけですので,普通の電卓でも問題ないように思いますね。でも,実はこの計算,同じ値が分母と分子に二度出てきます。これを2度打ち込むことが苦痛でない場合は別に構わないのですが,RPNですと[INPUT]を2度押して,スタックに2つ積むことで入力回数を減らせるのです。

 今回は24くらいだからいいですが,これが23.946826だったりすると,面倒なばかりか入力ミスも心配になります。これは便利な仕組みです。(とはいうものの,電気屋としては23.946826はもはや24としても問題ない数なので,あんまり説得力はありませんね。)

 では続いて,抵抗の並列接続の合成抵抗を求めましょう。

 例題)47kΩと27kΩを並列に繋いだ時の合成抵抗はいくらか?
 操作)47 [INPUT] 27 [*] [SHIFT] [ANS] 47 [+] [/]
 答え)17.1486kΩ

 いろいろな入力方法があると思うのですが,私がまず考えついたのはこれです。本当は47も27も入力済みなので,両方とも再利用できるとよかったのですが,スタックの状態を考えるのはこのくらいが限界ですね,今の私には。

 悔しいので意地になって47も27を再利用する方法を考えてみました。

 操作)47 [INPUT] [INPUT] 27 [INPUT] [INPUT] [↓] [*] [↓] [+] [↑] [∝] [/]

 まず4つのスタックに数字を詰め込み,上下キーとスワップを使って計算します。確かに数字の入力は一度きりですが,スタックの操作がややこしくて,ちょっと私にはしんどいです。

 こんな感じで,本来電卓は暗算にはちょっとつらい計算を手伝ってくれることがありがたいわけです。私などはゆるい技術者ですので,複素数計算や行列計算が,電卓でやらねばならないほど身近な存在ではありませんので,このくらいで十分です。

 ついでですので,発光ダイオードの電流制限抵抗の計算もやってみましょう。

 例題)電源電圧5V,VF=1.8VのLEDに8mAを流す抵抗を求めよ。
 操作)5 [INPUT] 1.8 [-] 8 [SHIFT] [EEX] 3 [+/-] [/]
 答え)400Ω

 ここで,[SHIFT][EEX]ですが,これは指数を使って入力するものです。8mAというのは0.008Aのことで,8x10^(-3)Aのことです。8E-3Aと書くこともありますね。ミリとかマイクロとかナノとか,こういう補助単位を我々は頻繁に使います。1つや2つなら頭の中で計算できますが,たくさん出てくると素直に補助単位も入力に反映させた方が楽な場合も多く,私は間違いを防ぐためにも,多用する癖があります。

 まあ,もっというと私の場合いちいち真面目に計算などせず,ざっくり1kΩをいれて3.2mAで動かしてしまうんですが・・・最近のLEDなら1mAも流せば十分明るいですし・・・え,そんな話はどうでもいいですか。そうですね。

 では次にHP20bに備わっている,ちょっと面白い計算機能です。

 例題)3.141,2.718,1.414,1.732,2.236の総和,平均を求めよ。

 まず,[SHIFT] [Data]でデータ入力モードにします。X(1)と出ますので,ここに1[INPUT]とし,Y(1)に3.141[INPUT]と入れます。X(2)となるので2[INPUT],2.718[INPUT]とし,以下同じように入力していきます。

 Y(5)まで入ったら,[SHIFT] [Stats]で統計モードに入ります。2Varsと表示されていると思いますが,無視して[↓]を3回押します。Sumsと出るのでここで[INPUT]を押し,[↓]を押してΣYにすると,11.241という総和が出てきます。

 次に平均です。[SHIFT] [Stats]で[↓]を押すとDescriptiveと表示されます。ここで[INPUT]を押すとアイテム数が5と出ていますので,[↓]をy Meanと出てくるまで押します。すると2.2482と出ています。

 これ,案外便利に使えるかも知れません。なお,このデータのクリアは[SHIFT] [Reset]でStatsを表示させ,[INPUT]を2度押します。

 もう1つお遊びをご紹介。日数計算です。

 例題)1972年10月3日生まれの人は,2010年11月4日まで何日生きたことになるか?

 まず,[SHIFT] [Date]で日付入力モードに行きます。Date1の入力画面になりますので,10.031971[INPUT]と押します。ややこしいのですが,最初に月,ピリオドを入れて日,続けて年を入れます。

 [↓]キーを押すとDate2の入力画面になりますので,同じように11.042010[INPUT]と入力します。

 ここで,入力した画面で,画面右の指数表示の部分に数字が出ていますが,これ実は曜日です。2010年11月4日は木曜日ですので,月曜日から数えて4番目,すなわち4という数字が出ています。

 そしていよいよ日数の表示です。[↓]を押して,Between Daysが出てきたら[=]を押す(押さないとダメです)と,13911と表示されます。この2つの日付の間は,13911日あるということになります。

 これはなんの役に立つのか,私にはちょっとわからないのですが,おそらく私の知らない金融の世界では重要な計算なのでしょうし,ネタとしてワイワイおもしろがる計算としては,なかなかのものではないでしょうか。

 最後にお約束の,HPの電卓に古来から伝わる,伝説の計算をやっておしまいにしましょう。

√( (8.33*(4-5.2)÷((8.33-7.46)*0.32))) / (4.3*(3.15-2.75)-(1.71*2.01)) )

 答えは,もちろん,4.57278428023です。普通の電卓,あるいはポケコンでこの計算を頑張って解いてみて下さい。ふふ。

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