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2010年12月の記事は以下のとおりです。

HC-20修理その3

 この土日,集中的に検討の時間を確保,朝から夜まで徹底的に調べることで,故障していたHC-20がとりあえず動き出しました。今回は原因がきちんと絞り込めず,時間ばかり消費するという,まさに忍耐の修理でした。

 修理に取りかかった早い時期にバスの衝突が起こっていることがわかったわけですが,メモリの不良の可能性を潰すことも考慮して,もともと付いていた16kbitのSRAMを全てとっぱらい,代わりに256kbitのSRAMに置き換えるということを行いました,実はこれが故障原因の発見を遅らせた張本人で,余計なことをすると失敗するといういいお手本になりました。

 やはり,修理というのは,順番に手順を追ってやっていかないとだめですね。

 さて,故障の根本原因は,電解コンデンサの液漏れによる,プリントパターンの断線にありました。断線箇所は全部で3箇所です。

 まず,SRAMの電源であるVCのスイッチのトランジスタQ7のベースと,R40との間が切れていました。これは最初に発見した断線だったので日誌にも書きましたが,修理することによりSRAMの電圧が正常になり,動作時で5V,バックアップ時で3VがSRAMに供給されるようになりました。

 次に,SRAMのCE2が切れていました。場所は16Cという場所で,アドレスはおそらく1800から1FFFまでの2kBです。ここと16Dにある40H138の12ピンとの間が断線し,SRAMのCE2はオープンになっていました。

 通常,SRAMはチップ全体の動作を制御するCSと,出力を出すか出さないかを制御するOEの2つで制御します。しかしHC-20で使われているSRAMは,CSに相当するCEが2つあり,それぞれCE1とCE2と名付けられています。どちらも全く同じ働きです。

 SRAMのCE2がオープンになることで,バスの衝突が起きていたと考えられます。惜しいですね,バスの衝突まで分かっていたのに・・・

 最後に,これは回路図の記載を見つけられなかったのですが,uPA54Hというダイオードアレイの,7ピンが切れていました。プリンタへのコネクタの近くにあり,プリンタのヘッドのドライバICと列んで配置されているので,おそらくヘッドか,モータの逆起電力吸収用のものではないかと思います。

 この3つの内,結局2つ目のSRAMのCE2の断線が一番大きな問題だったわけですが,これを見つけたのは結局全ての電解コンデンサを外し,パターンを目視で追いかけ,テスターで断線を調べるという,非常に原始的な方法によってでした。

 しかし,こうして断線を見つけたのは良かったのですが,前述の通りSRAMを256kbit品に置き換えていたので,このCE2の断線はすでに関係のないものになっていたのです。念のため繋いでみても,マウントされていないSRAMのCE2など,繋いだところでなにも変化はありません。

 といいますか,本当だったら256kbitのSRAMに置き換えた時に,さくっと動いてくれないと困るわけですね。動かないでいた理由は現在確認中ですが,どうもアドレスのデコードを行う回路で,凡ミスをしたようです・・・

 しかも悪いことに,このミスで起こることは,やはりバスの衝突なのです。結果として,CE2の断線と,256kbitSRAMへの換装失敗が,同じ現象として見えたことが,どちらの問題も見過ごしてしまうと言う最悪の事態を招いたのです。

 もう1つ,ロジックICのうち,40HシリーズについてはLCDの駆動に使われ6V以上の電圧が加わるICを除き,すべて74HCシリーズの新品に置き換えました。また,CMOS4000シリーズについても,アンバッファ品を除いて全て新品に入れ替えています。(アンバッファ品は入手できなかったのです)

 というのも,先に挙げた3つのパターン切れを修復してもまだ動作せず,もう個々のICの破損しか疑えなくなってしまい,あらかじめ用意してあったICに交換したのです。ソケットを使って交換しましたので,もとの40Hシリーズに戻すことも出来ますが,今後の補修部品の入手のことや,劣化が進んでいたりして,しばらくたって破損するようなことがあったりすると面白くないので,予防的対策として入れ替えたままにしました。

 なお,ICをすべて交換した当初,状況に変化はなく動作もしなかったため,交換の前後で状態が変化したのかどうかはわかりません。もしかしたら壊れたICがあったのかも知れませんし,全然壊れていなかったのかも知れません。なにぶん,動かなかった原因は自分でくっつけた256kbitのSRAMにあったわけですから。

 ICの交換後,それでも動かないことで私の気力はほぼ限界に来ていたのですが,もしかすると256kbitのSRAMに問題があるのではないかと,このSRAMのCSをもとのSRAMのCE2にくっつけたところ,文字化けはしますが,初めて起動音と共に,なにやら画面にぐちゃぐちゃと表示が出るようになりました。

 いままで全く画面に出てこず,起動音もまともになることがなったことを考えると,画面に何かが出るという事はコンピュータとして動いていることを示すものであるわけで,少なくともCPUやROMなどのカスタム部品が壊れている可能性がぐっと低くなったことがわかります。事態は大きく動きました。俄然やる気が出てきます。

 おかしなことを自分でやるからダメなんだと,その256kbitのSRAMを外して,もとのSRANに戻してみます・・・おおー,動き出しました。

 キーボードも動きます。プリンタも動作します。電流値も正常範囲のようですし,RTCも動いています。動作そのものは問題なさそうです。

 ただ,LCDを見ていると,太い2本のスジが入っており,ここの濃度がやや薄いような感じです。LCDの偏光フィルムを交換したときに,ゼブラゴムが上手く接触しなかったのでしょうね。

 気をよくした私は,もう一度LCDを分解し,組み立て直しました。なんどか繰り返しますが,もっとくっきりとスジが入ったり,表示そのものが無茶無茶になったりと,どんどん状態が悪くなります。

 そうこうしているうちに,LCDのガラスを基板に押し当て,ゼブラゴムを密着させるためにある,鉄のフレームの裾の部分の爪が金属疲労で折れてしまいました。

 これが折れると密着できず,LCDが正しく動作しません。絶体絶命のピンチです。

 そこで私は,小型のUSBコネクタを分解し,ハウジングに使われている薄手で硬く,バネ性のある金属を鉄のフレームにハンダ付けし,なんとか固定することに成功しました。

 まだ多少の濃淡はありますが,もうこれ以上いじると取り返しが付かなくなると思うので,このくらいで妥協することにします。


 というわけで,HC-20はとりあえず,現状復帰を果たしました。基板の断線というおそろしい故障は,本当に時間を気力を奪います。今後こういうことが起こらないよう,電解コンデンサはすべてタンタルコンデンサとセラミックコンデンサに置き換えました。タンタルコンデンサには故障するとショートするという致命的な欠陥がありますが,そこは3倍以上の耐圧のものを使う事で,信頼性を確保します。

 そうそう,マスクROMをそのまま27C256にコピーして差し替えたところ,問題なく動作しました。とりあえず買ったROMライタは壊れてなかったようです。

 今はまだ基板の状態ですが,今後のプランを考えることにします。

 まず,メモリの増設です。現在16kByteですから,256kbitのSRAMの半分を使い,4000から7FFFまでの16kByteを増設したいと思います。ただ,256kbitですので,本来なら0080から7FFFまで(HC-20は,前半の0000から007FをI/Oの領域として割り当てています)のほぼ32kByteを全部まかなえるはずですから,古いSRAMはすべて取っ払いたいところです。

 ただ,今ある16kByteのSRAMは温存しつつ,256kbitのSRAMのうち半分を使って増設する方法ありますね。これだと,拡張ユニット内蔵の16kByte増設メモリとコンパチの回路にすればいいので,微妙に違う内蔵のSRAMの回路と共通化出来ない場合は,この方法を使うことになるでしょう。

 次に電源です。HC-20は4本パックのNi-Cd電池が内蔵されています。これをACアダプタで充電するのですが,あろうことかACアダプタからは3.9Ωの抵抗が直列に入ってNi-Cdを0.1C程度で充電するようになっているだけですし,Ni-Cdの出力も安定化されていません。

 ざっと,4.4V付近から5.6V付近まで電圧が変動しますが,一応ICの動作電圧範囲に入っているということで,あえて安定化しなかったのだと思います。しかしこういう設計は,今はやらないでしょうね。

 それに,ACアダプタのジャックには,専用のもの以外にも刺さってしまいます。私も迂闊にやってしまったのですが,9Vのアダプタを差し込んだりすると,Ni-Cd電池に直列に入った抵抗はたちまちアッチッチになり,基板には7Vを越える電圧がかかってしまいます。

 こういうトラブルは,本体を壊すだけではなく,火を噴いたり爆発したりと,重大な事故を引き起こすことが考えられます。少なくとも,ACアダプタからの電圧だけは,大きくなりすぎないような工夫が必要です。

 手としては,ACアダプタからの入力に7805などのシリーズレギュレータを入れることがまずあります。しかし,Ni-Cd電池も交換してから10年が経過していますし,特殊なサイズの組電池ですので,出来ればエネループにしたい所です。そこで単三のエネループに置き換えを狙っていますが,これだと元の電池置き場に収まりません。

 そこで,単三を3本だけ使い,これを5Vに昇圧することを最初に考えたのです。この方法だと,ACアダプタからエネループを充電出来ませんが,電池は外して充電するのが安心で,本体内に入れたまま8時間以上も通電することには,やはり抵抗があります。

 筐体をいちいち開けないと充電出来ないというのが玉に瑕ですが,まあ仕方がありません。

 この方法は,一見して良い方法に思ったのですが,大きな問題に気が付きました。5Vへの昇圧回路ですが,HT7750Aを使ったものだと,200mAが精一杯なのです。通常の動作では全く問題になりませんが,プリンタが動作するときはさすがに問題です。

 HC-20に内蔵されているM-160と思われるプリンタは,モータが3.8Vから5.0Vで,電流は200mA必要です。またヘッドは3.9Vから4.5Vで,コイルの抵抗が1.5Ωだそうですから,3Aくらいの電流が流れます。これが4ピンありますから,ピークでは12A!

 まさかこれだけの電流が流れ続けるわけではありませんが,さすがに昇圧回路を通さず,電池から直接取るしかありません。

 でも,単三が3本だと3.3Vから4.2Vとやや低いのです。やはり4本にしないといけないのでしょうが,これだと置き場所の問題もありますし,電圧の変動が面倒です。

 電池が4本収まれば,昇圧回路を併用して5.0Vから5.3V(ショットキーダイオードが入りますので0.3Vほど小さくなります)とするのも手ですが,そうすると電池電圧の検出回路を改造して,電池端からひっぱって来ることになります。
 
 どんな方法が一番良いのか,もう少し考えてみようと思いますが,うーん,結局おかしなことをしないで,エネループを4本仕込むことを考えた方がいいのかも知れませんね。

さらばT-ZONE,そしてすごいぞパーツランド

 かつて,IBMからPC110という,文庫本を少し大きくしたくらいの
サイズのモバイルPCが出ていました。私もこれには随分
はまって,Windows95を入れて持ち歩いていましたが,
T-ZONEはこのPC110のオリジナルオプションを作ってくれるほど
熱心で,増設メモリやら内蔵モデムなど,いろいろ
買いました。

 それ以上に,私のように,学生の頃にアキバに来ることが
出来なかった人は,アキバには亜土電子という店があるらしい,
ここはビル1つが上から下まで全部電子部品の店らしい,と
言う話に,まるで外国の話を聞くような驚きと憧れを
感じた記憶のある人もいたはずで,今回の廃業は,
感傷的な気分にならざるをえないものがあります。

 いささか旧聞になりますが,アキバの名門ショップ,T-ZONEが廃業しました。私が電子工作に興味を持ち,お手本にしていた初歩のラジオやラジオの製作がおよそ秋葉原で手に入る部品を基準に記事を作っていたころ,大阪にいた私は,日本橋と秋葉原の間にある,高い山を意識せざるを得ませんでした。

 もちろん,当時の日本橋も電子部品を手に入れるのにそれほど苦労はなく,ニノミヤは本店とエレホビーの最上階が電子部品の売り場,ジョーシンの1番館も最上階が電子部品売り場でした。

 シリコンハウス共立も三協電子もテクニカルサンヨーはもちろん,個人的には親切にしてもらった記憶しかないアークエレクトロニクスももちろんあって,これらを一回りすれば概ね部品は揃いましたが,ケース,コネクタ,ジャック,スイッチといった機構部品のたぐいは,秋葉原とこんなに違うものかと思うほど,別の部品が売られていたものでした。

 年齢と共にノウハウも付き,スイッチなんて電気を入り切りするだけ,ケースなんて基板がおさまりゃなんでもいい,コネクタなんか単純に線を繋ぐだけ,と割り切って,手に入るものを使いこなすことを覚えるのですが,半導体に至ってはそういう工夫も難しく,秋葉原と日本橋との間と同時に,自分の未熟さにくずおれたものでした。

 1980年代後半のことだと思うのですが,今のツクモexのビルが完成,亜土電子という電子部品とパソコンのお店が入って,上から下までエレクトロニクス一色の「T-ZONE」というお店になったことを知ります。

 電子部品などという,ニッチな商品だけでビルが1つ出来て,上から下まで埋まるものなのか!,アキバというところはなんとマニアックな街だ!と,さも外国の話を聞くような驚きと憧れを感じた記憶が私にはあり,まだ箱根の山を越えたことのない当時の私は,まだ見ぬ秋葉原を,いつしか聖地と考えるようになったわけです。

 時は流れ東京で暮らすようになり,アキバに足を運ぶようになりますが,この時すでにT-ZONEはPCパーツのお店になっており,電子部品は売られなくなっていました。当時,電子部品の大型店舗であったヒロセ無線もつぶれてしまっており,むしろ日本橋の方が部品の入手が容易な印象さえ持ちました。

 ただ,T-ZONEにはその後も度々お世話になることとなります。私はPC110という小型のPCにはまった時期がありましたが,T-ZONEはこのマシンを強烈にバックアップしていて,オリジナル周辺機器を作るほどの力の入れようでした。増設メモリ,高速なモデム,そしてオリジナルカラーの外筐。これらを買いに,土曜日の早朝から出かけてみたり,会社の帰りによってみたりと,よく立ち寄りました。

 そういえば,初代iPodを予約したのもここでした。そう,このころは今のドンキホーテのビルが,T-ZONEだったのです。懐かしいなあ。

 盟友(といっていいかどうかわかりませんが)のツクモはヤマダ電機の一部となり,新興勢力ソフマップはビックカメラの傘下に入って,T-ZONEはCSKの支援を受けたり,ファンドの餌食になったりといろいろあったのち,最後に1つだけ残ったお店が,今回の廃業と共に姿を消すことになりました。

 このお店,決して広いわけではありませんが,それでもいつもお客さんでいっぱいでしたし,品数も品種も決して悪くはありません。価格も安く,多くのマニアが巡回ルートにしていたお店でした。

 廃業の理由について,公式な理由はさておき,PCパーツという業態が,それだけで食べていくのが難しい世界になっていることは疑う余地はありません。かくいう私だって,その昔大きなデスクトップマシン(といってもAT互換機というわけではありませんでしたけども)を何台も持っていましたが,今はほとんど全てがノートPCです。

 PCが日常品になり,自分では手に入れようがないノート型が主流となった今,余程好きな人しか,アキバでパーツを買うことはないわけで,今後今以上にPCパーツの世界が大きくなることは難しいと考えると,T-ZONEのようなお店は,確かに難しい選択を迫られたのかもわかりません。

 皮肉なことに,かつてアキバの後塵を拝していた日本橋は,電子部品のお店が破竹の勢いです。

 数年前に福井のマルツ電波がやってきたかと思うと,続いてアキバから千石電商がお店を出します。

 老舗のシリコンハウス共立は堺筋に面したジョーシンの旧J&Pメディアランドのビルに進出し,文字通り上から下まで電子部品というお店になりました。

 ジョーシンは電子部品から撤退して久しく,かつてこのお店がラジオと電子部品からスタートしたことを知る人も少なくなったと思いますが,盟友(これもそういっていいのかわかりませんが)ニノミヤは,本業以外の躓きからファンドに骨までしゃぶられて倒産した後,電子部品部門がスピンオフ,パーツランドとしてまさかの復活を遂げます。

 パーツランドはひっそりと営業を続け,素人目に持って数年かなと,心配していたわけですが,なんと旧丸善無線,後のOAシステムプラザ日本橋店のビルにこの12月から入り,リニューアルという情報が入ってきました。

 え,上から下まで電子部品のビルが,日本橋に2つもあるわけ?

 アキバがダイナミックに街の様子を変化させ,やってくる客層も大きく変わってしまったこの10年で,変化する元気すらなかった日本橋の地盤沈下は凄まじく,電気街という形態を維持することすら難しくなるのでは,と思っていましたが,リーマンショックから土地価格の下落がかえって大阪の都心部の再開発を遅らせることとなり,パソコン関連のお店が撤退した後,急激に目立って来た電子部品専門店が,こうも力を付けてくるとは,私も想像だにしていませんでした。

 今や,シリコンハウス共立はその名を全国に知られるお店になりましたし,東京の人からもうらやましがられるお店になりました。日本橋に足りないお店は,秋月電子と真空管の専門店くらいではないでしょうか。

 しかし,新しくできたお店だったり,大きなビルに引っ越したお店というのは,古い部品の在庫がなかったりします。電子部品はライフサイクルが長いですし,早期に処分しないといけないようなものでもないので,古い店には30年前の部品が当時の値段のままで売られているのが普通です。

 アマチュアの工作の世界では,30年前の部品でも十分現役だったりしますから,実は今も昔も変化なく地道に商売を続けている電子部品専門店をみていると,心なしかほっとするものがあります。川崎のサトー電気もその1つで,私の場合なんだかんだで通販での利用率は,秋月よりも高かったりします。

 電子工作を支える電子部品専門店こそ,時代の波にさらわれて消えゆくものと思う人が多いとは思いますが,電子工作の世界も日進月歩ですし,工作を楽しむ人だけではなく,芸術や服飾関係の人もお店にやってくるようになりました。確実に裾野は広がっています。それだけ新しい技術が生まれ,応用もされているあるわけで,こうした流れを楽しむことが出来れば,まだまだ十分,面白い趣味であり続けると,私は思っています。

 ところでところでHC-20ですが,検討がさっぱり進みません。

 マスクROMを27256と見なして,本物の27C256にコピーしてみましたが変化無し。ここにいたって,CPUやROM,RAMといった基幹部品に不良がないことが分かったと言うだけで,全然原因が見えてきません。

 昨日も,アドレス線とデータ線のパターン切れがないかと確認しましたが,これも見つからず。電解コンデンサが液漏れしているので,どこかが切れている可能性も高いと思うのですが,なにせディスクリートで作られた回路ですので,追いかけるのも一苦労です。いやはや,ゲートアレイを使った1980年代中盤以降のPCが,以下に修理しやすいかを痛感しています。

 現在,先程のサトー電気に,交換用のゲートICを注文しています。74HCシリーズの在庫は若干ありますが,4000シリーズはほとんど手持ちがないので,壊れていたとき交換する手段がありません。4000シリーズのDIP品など,これからもっと手に入りにくくなるでしょうから,これを機会に少し在庫を持つようにしました。

 オリジナルでは,TC40Hシリーズが使われていますが,これはHC-MOSが登場するまでの過渡期の製品で,速度も遅く,74HCシリーズの登場で市場から消え去りましたが,電池駆動のコンピュータというと,この頃はこれくらいしか使えるICがなかったので,良く見る物です。

 HC-20では,いろいろ検討してみると,多くの部品が74HCシリーズにそのまま置き換え可能です。ですので,とりあえず74HCを発注してあります。

 この時,ちょっとびっくりしたのですが,C-MOSのロジックによくあった,アンバッファタイプが,WEBから買えないんですね。74HC04にしても,4049にしても,4011にしても,アンバッファと間違うなという注意書きが必ず初心者向けの電子工作雑誌にあったものですが,今時アンバッファなんて使わないんでしょうか。

 仕方がないので,アンバッファタイプは,壊れてない限り流用です。

 今後は,アドレスデコーダやちょっとした信号の生成に使われているグルーロジックの故障の可能性と,パターン切れの可能性の2つから,原因を追い込んで行くしかありません。データバスのショートや出力の衝突があることは波形からも明らかですが,その根本原因ははっきりしないままです。

 時間もかかってますが,やっぱりHC-20はあきらめるわけにはいかないマシンです。もうちょっと頑張ろうと思います。

ROMライタを買う

  • 2010/12/06 17:26
  • カテゴリー:散財

 先日よりHC-20の修理を少しずつ行っていますが,なかなか尻尾がつかめず,原因がはっきりしないままの試行錯誤が続くという,誠に辛い状況が続いています。

 万が一マスクROMが死んでいたとしたら,復活への希望も絶たれてしまいます。マスクROMが生きているのかどうかを確かめること,そして手持ちのEP-ROMを活用できるようにすること,あるいはNORフラッシュメモリを利用出来るといいかも知れないということで,ROMライタを買うことにしました。

 とはいえ,UV-EPROMが消えて久しく,車のエンジンのチューニングか,古い機器のメンテにしか使う事のないこれらのROMを書き込む装置も,また絶滅危惧種です。

 私は15年ほど前に,秋月でAKI-80をベースにしたROMライタキットを使って来ました。これはこれでそこそこ気に入って使っていますし,今でも動かそうと思えば問題なく動くのですが,2764,27128,27256と2864の4種類しか対応しませんし,スタンドアロンでの動作はディスプレイがないためわかりにくいですし,さりとてPCとの接続はRS-232Cを使わないと繋がらないなど,なかなか使いにくいものになってしまいました。

 特に27256までというのが致命的で,せめて1Mビットのものが読み書きできないとなにかと不便です。そこで,意を決して,秋月で売っているちゃんとした(本当にちゃんとしているかどうかはわかりません),完成品のROMライタを買うことにしました。

 現在もホームページに載っていますので調べれば分かることですが,LEAPER-3Cという機種名です。お値段は15000円ほど。この種の機器としては破格のお値段といえるでしょう。

 スタンドアロンでのコピーも可能ですし,PCとはUSBで接続出来るので,とても楽ちんです。ただ,それでもかなり昔に登場した製品のようですので,これから対応デバイスが増えるとか,ファームのアップデートがあるとか,その手のサポートは全く期待できないことでしょう。

 さて,手元に届いたLEAPER-3Cですが,台湾製にもかかわらず大変安っぽいです。はっきりいって中国製かと思ったくらいです。

 一応,ACアダプタは秋月オリジナルのスイッチングタイプに交換されていたのですが,付属のCD-ROMはCD-Rですし,こういう行き当たりばったり感が嫌いな人は,手を出すのはやめた方がいいでしょう。私?大好きですね,ええ。

 早速動かしてみます。

 まずはスタンドアロンモードです。HC-20から外したROMを読み出して,チェックサムを取ってみましょう。

 説明書があまりに不親切な上,どうでもいいことが丁寧に書かれていたりするので全く役に立たないことはお約束として,この28ピンのROMを,どのソケットに差し込むのか,そこから悩むことになります。

 LEAPER-3Cには,左右に32ピンのソケットがあります。左がSLAVE,右がMASTERと書かれています。

 ROMをMASTER側に差し込んでベリファイキーを押します。ピーと音がして,チェックサムが出ました。E000?これはなんか変ですね。

 SLAVE側に差し込みましたが,こちらもE000。ますますおかしい。ROMが死んでいて,読み出しが出来ないのかも知れません。別のROMを差し込んで見ますが,やっぱりE000です。HC-20の全てのROMのチェックサムがE000なんてことはあり得ません。

 PCにソフトをインストールし,PCモードで動かして読み出しを試みますが,やはりダメです。ダンプを取ってみると,全てFFです。全く読めていません。

 そこで,かつて修理したOberheimのMatrix-1000のROMを読み込んでみる事にしました。このROMは27256に焼かれているので,素直に読み出せるはずです。

 MASTER側では読み出せず,SLAVE側では読み出せました。うーん,そんなもんなんですかね。

 てことで,またHC-20のROMで試します。ROMタイプを27C64にせず,27C256にして読み出してみると,チェックサムがなにやら意味のある数字になっています。もしやと思ってダンプをすると,途中からそれらしいバイナリが見えるではありませんか。

 27256の32kByteのエリアの内,後半8kByteにそれっぽいものがあります。そこを取り出して8192バイトのバイナリファイルにして,HC-20のROMとして保存しました。

 HC-20には8kByteのROMが全部で4つありますが,それぞれで異なった値になっていますし,所々にASCIIで意味ありげな文字列が見えたりしますので,これでたぶん大丈夫でしょう。

 ということで,書き込みの試験はまだやっていませんが,とにかく読み出しがちゃんと出来たという事で,まずはこのLEAPER-3Cは所期の目的は果たせそうです。

 ・・・しかし,なんでHC-20のROMが2764では読み出せず,27256で,しかも後半で読み出せるのでしょう。

 よくよく考えてみました。

 HC-20のマスクROMは,64kビットのマスクROMで,SMM2365という品種だそうです。回路図はつぶれてよく見えないのですが,実物は28ピンですのでおそらく2764互換だろうと,そんな感じです。

 実は,32kビットまではマスクROMもEP-ROMも同じ24ピンでした。しかし64kビットになるとき,EP-ROMはVppやPGM端子が必要になり,28ピンになりました。一方のマスクROMはアドレス線を1本追加するだけですので,24ピンのままでも成立しました。

 この24ピンのマスクROMは,一般に2364と呼ばれます。

 しかし,この2364は2764と差し替え出来るわけではありませんので,不便です。そこで2764と差し替え可能なマスクROMとして,2365が誕生するわけです。

 2365に限らず,マスクROMというのは基本的にカスタム品種ですので,チップセレクトの本数や論理を,カスタマーごとに選べるようになっています。

 さて,2365のデータシートを入手し,2764と27256のピン配置と並べてみますと,

  2365  2764  27256
26 CE1   NC   A13
27 CE2   PGM   A14

 という感じです。これでもうおわかりですね。

 HC-20のSMM2365は,26ヒピンと27ピンがCE1とCE2になっており,正論理にカスタマイズされています。これを2764で読み出しても,オープンかGNDになるだけで,2365はイネーブルになりません。

 しかし,27256で読み出せば,A13とA14がHighになるところで,2365はイネーブルになるわけです。

 なんか面倒臭いなあと思いつつ,こうした工夫をすることで,インバータが削除できたり,アドレスデコーダが簡略化できたりするので,当時は普通に行われていたことのようです。

 ところでHC-20の本体側の回路ですが,26ピンも27ピンもHighに吊ってあります。よってこのソケットにそのまま2764が差し込まれても,問題なく動くはずです。また,基板にはジャンパがあり,27128までは対応出来るようです。

 さて,先程OberheimのMatrix-1000が壊れた時のROMの話を書きました,これもここで何度か書いているので初めての話ではないのですが,この時の故障は,起動時は問題なく動くのですが,15分ほどすると暴走するというものでした。

 中をあけてみますがさっぱりわからず。正常動作をしているときはそれらしい波形が出ていますが,暴走すると全くプログラムが動いていない様子です。もしやとおもってROMを読み出してみると,暴走していた直後は読み出せず,しばらくすると読み出せるようになりました。

 十分時間を空けてから読み出しを行って,これをEP-ROMに書き込んで試すと,何時間経っても暴走しません。かくして,大事にしていたMatrix-1000は,ゴミにならずにすんだのでした。

 この一件で学んだことは,半導体,特にメモリICというのは,急に読み出せなくなるわけではなく,ジワジワと動かなくなるということです。動くか動かないかという話ではなく,アナログ的に壊れていくのですね。

 もしかすると,このHC-20のROMも,電圧が上がりきらないとか,リークがものすごくあるとか,そういうデバイスとして壊れていて,中身はとりあえず壊れておらず,ROMライタのようなしっかりした機器では読み出せたりするということがあるのかも知れません。

 現在,SRAMを256kビット品に交換しています。16kビットのオリジナルでもいいのですが,容量を増やしたいのと,RAMも案外壊れるものなので,不安を取り除いておこうという気持ちからです。

 SRAMを交換し,それで動いてくれればうれしいのですが,今回ROMライタを購入したことで,修理不能という最悪の事態だけは回避できそうな感じです。

[追記]2010/12/7

 LEAPER-3Cを悪く言う書き込みは見当たりませんが,他のお店で売られている中国製のライタが,安くて便利という書き込みを見つけてしまいました。

 これ,EP-ROMを書き込むだけなら別になんでもないのですが,SRAMやTTLのテストが出来るそうです。これはジャンク品を分解して外した部品を使う私のような貧乏人には,大変便利な機能だったかも知れません。

 ただ,スタンドアロンで動かないので,そこは残念なところです。USBで動けば別に問題はないし,LEAPER-3Cだって結局USBで繋がないと使い物にならないですから,9800円という値段であることを考えると,こっちの方にしとけば良かったかなあと,思ったりしています。

 あ,そうそう,HC-20については,SRAMを256kbitのものに交換してみました。アドレスデコーダをNANDゲート4つでちょこちょこっと作って試しましたが,結局動作はしてくれませんでした。道は険しいです。

 

AppleTVがやってきた

  • 2010/12/03 18:14
  • カテゴリー:散財

 新しいものやデジタルガジェットに対して,スイス並みの中立っぷりを信条とする嫁さんが,あろうことかAppleTVを買いました。

 国内発売されたのが確か11月中旬でしたが,直後に品薄となり都内の量販店では売り切れが出ており,欲しいと言い出した時には絶望的な状況でした。

 しかしあるところにはあるものですね。自宅の近所の家電量販店に会社の帰りにふらっと寄ってみたところ,複数の在庫がありました。わずかとはいえポイントも付くので,Appleストアで買うより良かったのではないでしょうか。

 珍しく嫁さんが自分のお金で買うというので,そうしてもらいました。ゆえに,もし我々が離婚するようなことがあると,AppleTVは無条件に嫁さんに引き取られることになりますね。わはは。

 テレビは私のお金で買いましたから,天然ガスよろしく,ロシアのように意地悪をしてもよかったのですが,そんなことをしても誰も得をしないという大人の判断で,貴重なHDMI端子を1つ,気持ちよく提供することにしました。

 正直な話,私自身はAppleTVに興味がありつつも,具体的な使い道を考えつかなかったので購入を見送ったところでしたから,嫁さんの所有物であるとはいえAppleTVがどれほどのものなのか,気にはなります。

 簡単にレビューを書いてみましょう。


・簡単?難しい?

 接続は死ぬほど簡単です。HDMIでテレビとつなぎ,電源は直接AC100Vに繋ぎます。ほんとにこれだけです。

 ここで「簡単だ」などという話になると,これは実は正しくありません。ここからがとても大変で,私が思うに,およそ素人さんには無理なんじゃないかと思うほどでした。

 AppleTVは,ネットワーク接続された環境でなければ,全く動作をしません。なぜなら本体にストレージを持たず,コンテンツの再生はすべてネットワークを経由するものだからです。

 ところがこのネットワークの設定がなかなか難しいのです。無線LANを使えば配線は必要ありませんが,まず無線LANのアクセスポイントに対し,AppleTVのMACアドレスを登録し,接続許可をしなければなりません。

 はて,AppleTVのMACアドレスってどこに書いてあるの?

 これを探すのに15分。箱にも説明書にも本体にも書かれておらず,二人は途方に暮れました。

 答えは,電源をいれて,メニュー内の情報を表示することでわかりました。まずMACアドレスフィルタリングの設定をしてから電源を入れようとすると,永遠に電源が入りません。やられました。

 続けてネットワークの設定です。

 うちは固定IPで運用をしていますので,DHCPではありません。使いにくいリモコンでポチポチと設定を続けることは,もはや拷問です。

 DNSサーバの設定がおわると,設定完了,のはずです。ですが,画面が次に遷移しません。設定完了のボタンを押しても,次に進んでくれないのです。なにか設定が間違っているのかなあと,もう一度あの拷問を甘んじて受け,戻るボタンを連打して最初からやり直しますが結果は同じ。

 ぶち切れて戻るボタンを連打,メニューまで戻ってみると,あろうことか無線LANに繋がっていると表示されています。なーんだ,設定は済んでいたのか・・・それならそういってくれよー。

 拷問で傷ついた心と体を引きずりながら,いよいよ真面目に操作をしてみますが,なにやらテーブルの上の嫁さんのMacから「プツプツ」という音がすることに気が付きました。もしかして・・・そう,AppleTVのリモコンに,MacBookも反応しているのです。

 上下キーを押すとMacBookの音量も変化してしまいます。これは大変困りました。Appleは,AppleTVのユーザーに,Macユーザーがいないと思っているのでしょうか???

 きっと無効にする方法があるだろうと試行錯誤に血みどろになっていると,どうも本体とリモコンはペアリングが出来るらしいのです。日本の家電では,リモコンにスイッチがついていて,こうした問題は起こらないようにわかりやすく出来ていますが,さすがというかなんというか,Appleはペアリングをするんですね。

 いろいろ試していると,どういうわけだかAppleTVがリモコンに全く反応しなくなってしまいました。どうやら,ペアリングを行った上で,解除してしまうと動かなくなるようです。

 こうなると初期化が必要ですが,AppleTVにはなんのボタンもありません。リモコンでしか操作できない製品を,どうやって初期化するのでしょう。

 途方に暮れて私は絶命しましたが,嫁さんが初期化の方法を見つけて,根気よく設定をしました。よって私は,どうやって解決したのかを知りません。

 ここまで,約2時間経過。果たして皆さんは,これを「簡単」といってよいと思いますか?私は理不尽な難解さ,これすなわち「不条理」を感じました。


・使い心地

 せっかく動くようになったのですから,少し使ってみましょう。電源スイッチはなく,操作をすればスリープから起き上がって動き出します。一定時間操作しないとスリープに入るので,ユーザーが能動的に電源を切ったり入れたりすることは,基本的には必要ありませんが,そういう概念も真新しいですから,丁寧に説明が欲しいです。

 動き始めるとサクサクと小気味良い間隔で動き,このあたりはAppleの真骨頂です。もともとOSもCPUもiPhoneやiPadのそれと同一ですので,当たり前の心地よさです。

 日本語の入力が出来ない事は,想像以上に厳しい制約です。特にYoutubeは日本語が入らないと,ダウンタウンの名コント「やすしくん」になかなかたどり着けません。

 そんなこんなでYoutubeは問題なし,大画面でみると面白いものですが,これって冷静に考えるとPS3でできる事ですね。それを言い出すとなんでもそうで,映画のレンタルもネットワークで再生することも,PS3で既に実現していますが,私はやったことがないのです。Appleという会社は,こういう無関心な人にもアピール出来てしまうんですね。怖いです。


・映画を見る

 せっかく買ったのですから,夫婦で映画を見ようということになりました。何を見ようかと考えたところ,公開時に見よう見ようと思って結局見そびれていた,ドリームガールズを見る事にしました。もちろんHDでです。

 2時間以上の映画ですから,終わる時刻を考えて,満腹で苦しいおなかをかばいながら,大慌てで夕食の後片付けをします。やっと終わったとAppleTVを操作し,レンタルをしてみます。

 カードの番号の入力に少し手間取ったのですが,手続きは完了。さーみるぞ,と意気込んでみたものの,再生が始まりません。

 ・・・再生できるのは,1時間以上あとだと表示されています。詐欺だ。

 ストリーミング再生出来るんじゃなかったのか,我々は何のために苦しいなか急いで片付けをしたのだ!

 怒りにまかせ,私は風呂に行きました。風呂から出てくると再生可能になっていました。結局再生可能になるのに,1時間半ほどかかりました。

 「1時間もあったら,ツタヤにいって帰ってきて,また返しにいって戻ってくるだけの時間があるやんけ」と毒づいた私を,哀れなものを見るような目でみた嫁さんを忘れません。

 確かにAppleTVは,AppleTVで直接映画をレンタルすると,ストリーミング再生が出来ます。ですから,ダウンロードが全部終わってからでないと見る事ができないというわけではありません。

 しかし,ネットワークの帯域が狭い場合には,途中で途切れることのない程度にバッファリングをしないといけません。AppleTVはなかなか上手に,再生のビットレートとネットワーク帯域の幅から,どれくらいバッファリングすべきかを計算しているようです。

 うちは,ADSLで実力5Mbps程度です。HDのAVCのビットレートがもし5Mbps程度なら,10分程度バッファリングすれば済むでしょう。全部で2時間の映画を,プログレスバーを見る限り半分程度バッファリングしたということは,3時間30分かけて2時間分のデータを取り込んでいることになります。

 ということは,うちのネットワーク帯域である5Mbpsでは全く足りず,その1.75倍の帯域,つまり9Mbps程度ないといけないという事になりますね。

 これから,1280x720のAppleTVのHDのビットレートを9Mbpsとしますと,720x480のSDではこの1/3として3Mbps。これなら全然うちでも間に合いますね。MPEG2はAVCのざっくり倍ですから,DVD-Video出考えると6Mbps相当になりますので,SD解像度の映画でも,ごく普通のDVD-Videoと同程度の画質は期待できそうですね。

 ということで,AppleTVでHDの映画を堪能するなら,10Mbps以上の帯域は確保することをおすすめします。


・画質

 画質は悪くないです。上手く調整をしてあるせいか,9Mbps程度のHDでも目に付いた破綻はありませんし,ごく普通に楽しめました。バッファリングが長かったぶん,途中で止まったり途切れたりすることもありませんし,見ている間は全く違和感も不自由さも感じませんでした。


・結論

 すでにおわかりのように,AppleTVは映画をレンタルして見るという事に限れば,とてもシンプルな仕様になっています。しかし,ここでMacのiTunesと連携する,iPhoneやiPadと連携する,ということになると,途端に話が難しくなります。特に従来AirMacExpressでのみ許されていたAirTunesがAirPlayと名前を変え,AppleTVに対しても音楽をストリーミング出来るようになったので,そういう利用方法が出てくるととても便利になってきます。

 うちはすでにAirMacExpressでAirTunesを使っていますので,特にAirPlayの必要性を感じませんが,AppleTVの底なしのポテンシャルを使い切ろうと考えると,素人にはかなり難しい領域になるように思います。

 価格は8800円,小さくて格好良くて,接続は簡単,使いこなしは底なしに難しく,その代わり自由度も大きいくせに,DLNAには対応しないばかりか,実はPS3でできる事ばかりだったりするこのAppleTVに対する評価は,ちょっと分かれるかも知れません。

 でも,iTunesとの連携でいえば,実質これしか答えはありません。それ相応の覚悟を持って買われるなら,幸せになれる機材といえるかも知れないです。

GPS時計についての考え方

  • 2010/12/03 16:47
  • カテゴリー:make:

 ちょうど1年前に作ったGPS時計は,私にしてはソースの公開をしたこともあり,「作ってみたよ」と言う反響を頂く事があります。

 先日メールを頂戴した方は,どうしたら正確なGPS時計を作る事が出来るのか,という問題について悩んでらっしゃるとありました。

 貴重な情報なのでご紹介したいのですが,世の中にGPSモジュールを使って時計を作っている方はいても,1PPSのパルスを使って正確な時計を作っている方は,この方が知る限りいらっしゃらないのだそうです。つまり,GPSモジュールから出てくるメッセージの時刻情報を,そのまま表示しているだけということでしょう。

 この方法では,特にGT-720Fというモジュールを使った場合には,私が昨年悩んだのと同じように,大きな表示誤差を含んでしまいます。最悪で1秒の誤差(というよりここまでずれれば表示ミス)になるため,もはや時計と呼んではいけないレベルです。

 原因は,GT-720Fの時刻情報が,1/10秒以下を.999としてくる場合があることでした。例えば34秒という時刻を,33.999と1/1000秒前の時刻で送ってくることがあり,これを小数点以下省略で表示すると,1秒ずれてしまうわけですね。もっとも,次の更新で正しい時刻表示がなされますが,更新周期が1秒だったりすると,まるまる1秒ずれたままになります。

 34.500とか34.600だと0.5秒,0.6秒ずれるように考えがちですが,この.500や.600は書略されてしまうので,どちらも34秒と表示されます。よって,表示時刻と現実の時刻との間には,ズレはないことになります。

 ということは,現実の時刻が34秒の時に,33秒と表示されることがないようにすれば,表示誤差は更新周期以内に抑えられます。この考え方から,私は33.999は34と見なす,と言う仕組みを入れ込んだのです。

 実際,GT-720Fは33.999だけではなく,33.950という時刻も送ってくることがありますので,1/100秒を四捨五入することで,この問題を回避しています。

 これも,時刻情報の更新周期が1秒だったりすると成り立ちません。GT-720Fはツールを使って更新周期を0.1秒に出来ますから,1秒に10回時刻情報が出てきます。

 これだと,小数点から上の桁が,1/10秒以上ずれることは基本的には発生しません。例外は先程から書いているように,.999に近いところで起こる表示の誤差です。

 33.900なら,次の更新で34.000になりますから,小数点以下を表示しない方法でも誤差は1/10秒以下です。しかし,33.999なら,次に更新されるのは34.100付近ですので,33.900付近の前回の更新から34.100付近の更新まで,下手をすると0.2秒ほどの誤差を作ってしまいます。

 これを,0.950以上は1.000とするという処理で,1/10秒という最小分解能以下の誤差になるようしたのが,今回のミソだというわけです。

 結果として,出来上がったGPS時計が,GPS衛星が原子時計を搭載して,しかも相対性理論まで使って正確な時刻をもっていながら,それらをふいにしてしまうほど大きな1/10秒の誤差を含むという時計に仕上がってしまったわけです。これでいいのか?という疑問は,当然のことです。

 ・・・私自身のおさらいはこのくらいにして,この頂いたご意見を読んで思った事を書くことにします。直接のお返事としてもよかったのですが,このGPS時計について私がどんな考えでいるのかを,公開してもよいと考えました。


 現在,個人レベルで現実的に手に入れられる時計で正確なものは,電源同期式の時計か,電波時計だろうと私個人は思っています。

 ご存じのように前者にはAC専用,後者には電波を受信出来る環境であることという制約があり,これは実生活で無視できるほど軽い制約ではありません。GPS時計にはその欠点を補う事を目指して作ってみたので,精度として「ばれない程度」ならそれで目的達成としました。

 といいますのも,1/100や1/1000秒の精度は,どうせ表示に至るまでの間で狂ってしまいますから,追い込むことにそれほど意味がありません。

 ただし,過去に書いたように,1秒近くずれることは論外としても,電波時計と並べて目視でずれているのが分かるくらいの差があると,時計としてもはや成り立っていません。

 これを根本解決するには,1PPSのパルスが出てくるモジュールを使い,しかもこのパルスの少し前に,パルスが出るときの時刻(つまり未来の時刻)を吐き出してくれていることが必要です。

 GT-720Fにはあいにくこんな機能はなく,どうしたって「過去」の時刻しか届きません。手前味噌ですが,1PPSを利用出来ないモジュールを使ったGPS時計として,私の作ったGPS時計はよく検討されて,上手く動いているGPS時計ではないかと思っています。

 GPS時計のメリットは,誤差の蓄積がないことです。水晶発振子を使った電波時計は,校正直後の精度は高くとも,その後は水晶発振子の精度で誤差が蓄積するため,校正後の経過時間が大きくなれば,絶対時刻との間にズレがどんどん大きくなってしまうわけです。

 電源同期式の場合は,発電所や変電所で作られた高精度な50Hzもしくは60Hzを分周して1秒を作るので誤差蓄積はありませんが,あくまで24時間での管理ですので,ある瞬間では大きな誤差を含んでいる可能性があります。

 GPS時計というのは,GPS衛星からの時刻情報ですので,基本的にどの瞬間も同じ精度の時刻情報を得ることが出来ます。これがGPS時計の最大のメリットではないかと,私は思っています。

 ですので,GPS時計を作るということは,この「いつでも同じ程度に正確」という点を生かしたものであるべきだと思いますし,それゆえ精度を衛星に搭載された原子時計レベルにすることまでは必要ないと考えています。

 そうなるとおのずと設計の仕方が見えてきて,表示が実際の時刻とどれくらい狂っているかを,きちんと実用上問題のない程度であるかどうかを含めて把握して,それ以上のズレにならないことを保証することに力点を置くことになります。

 この力点に向かって進めて,結局私は1/10秒の精度を常に保証する時計を作りました。これが自作の醍醐味です。本当に正確なGPS時計が欲しければ,市販のGPSロガーを数千円で買うのが一番なのですから。

 さらにその醍醐味は,より高精度なものを作ろうと思案することにもあるでしょう。しかし残念ながら,1PPSが取り出せないGT-720Fでは,もう無理だと当時は考えました。だって,衛星の時計と同期したパルスが出てこないんだから,どうしようもないじゃないですか。

 ・・・ん,まてよ,もう1つGT-720Fを使ったらどうだろう,いや1つと言わず,10個くらい同時に動かして,時刻の情報の多数決や平均など,統計的手法でデータの処理を行うと誤差が薄まらないか。うーん,やってみる価値はありそうだなあ。でもいくらかかるんだろ。

 こんな風に,いろいろなアイデアを出しては実験できることが,自作のおもしろさ,なんですね。

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