エントリー

2011年04月の記事は以下のとおりです。

GreenFan2で酷暑に備える

  • 2011/04/15 17:06
  • カテゴリー:散財

 関東地方に住む私は,この夏の電力不足に今から恐れおののいています。冬は寒ければ着込めばいいし,部屋に閉じこもっていればなんとかなります。しかし夏の暑さは素っ裸になったらそれ以上脱ぐものはありません。私が夏が嫌いな理由です。

 私は10年ほど前までは,夏でも冷房を入れることはほとんどありませんでした。しかしここ数年はもうどうにもならないくらい暑くて,エアコン無しでは過ごせません。昨年の夏,私が作業をする部屋は42℃を記録し,調子に乗ってエアコンを使わずにいたら2時間ほどで気分が悪くなって,動けなくなりました。まじで死ぬかと思いました。

 加えて,7月末には嫁さんが産休に入るので,これはもう死活問題になりかねません。もし計画停電なんてことになると,本当に年寄りや子供から死者が出るような気がします。快適になるまで冷房を入れず,みんなが死なない程度に冷房を入れるようにして,全員が生き残らないとまずいなと思います。

 救いなのは,まだ3ヶ月ほどの猶予があることでしょうか。3月末から停電がなくなり,電気については平常を取り戻しつつあるのですが,日本人の悪い癖で,喉元過ぎれば・・・と危機感が薄れていくのですね。確実に電気の足りない夏はやってくるというのに。

 そんなわけで,私はいざというときのために,蓄電する仕組みを用意することにしました。キャンプ用に売られているもので,鉛蓄電池とインバータを備えた電源装置です。

 品薄で私もまだ手配をしたに過ぎませんが,バッテリーの容量は約20Ahと言いますから,インバータの効率を85%とすると,ざっと245W/hです。インバータの定格が100W程度ですから,仮に100Wの電化製品をこの電源で使い続けると,ざっと2時間半ほど動かせる計算です。

 これを長いと見るか短いと見るか,非常に微妙な所です。

 今時100W程度の電化製品っていうのは結構ないんですね。電子レンジも冷蔵庫もテレビもだめだし,エアコンなど論外。ドライヤーも掃除機もダメですし,洗濯機もダメ。もしかしたら給湯器の電源くらいはまかなえるかも知れません。

 ああ,ネットワーク機器は大丈夫ですね。ADSLモデムとか無線LANは大丈夫でしょうが,まあそこまでして使いたいかどうか・・・

 停電すれば貴重な電源になるこれを,どうやったら有効に利用出来るか,とりわけエアコンを動かせない状況で,どうやって涼むのかが一番の課題です。

 そう考えると,今年は私も扇風機の導入が避けられないと腹を決めました。扇風機は私は大嫌いでして,夏しか使わず邪魔で,鬱陶しい割には効果も少なく,所詮気休めという感じがしていました。それに扇風機の風は強すぎて,どうにも疲れてしまうし,本や新聞などの紙類を吹き飛ばしてしまうので,気に入りません。

 しかし,死ぬよりましかと,今年は15000円の予算を組んで,扇風機を買うつもりをしていたのです。

 と,そこに飛び込んできたニュースが,GreenFan2という扇風機が登場したというものでした。

 昨年,実は扇風機には文字通り新風が吹き込んだ年でした。ダイソンの羽根のない扇風機は見た目の斬新さで話題になりました。これに加えて密かに話題になっていたのが,GreenFanという扇風機でした。

 ぱっと見るととてもちゃちな扇風機で,聞いたことのないような小さいメーカーが作った,眉唾扇風機だと思って私は相手にもしなかった(そりゃそうです,何度も言うように扇風機の効能に疑問を持つ扇風機嫌いな人なのですから,私は)のですが,消費電力がわずか3Wと非常に低いという,他にはない特徴があるのです。

 これの2011年モデルがこの4月に発売になりました。お値段は34800円と扇風機にしては非常に高価で,その金額に見合うメリットが本当にあるのかどうか,よく分かりません。それにこの会社の社長は私なんかと同世代で,どうも信用ならんのです・・・

 しかし評判はよいようです。

 このGreenFanなるもの,回転する羽根が内側と外側に分かれており,外側の羽根で作られた風量が内側の羽根で作られた風量の2倍あるように作ってあります。

 扇風機の風も,直接あたれば疲れますが,一度壁に当ててからだとそよそよと過ごしやすい風になるのですが,GreenFanはこれを参考にしたものらしく,内側の羽根で作った風を外側の羽根で作った風にぶつけることで,自然に吹いてくる風に似たようなものに変えるんだそうです。

 まあ,言ってることはわかるのですが,そんなうまい話があるだろうか,それに流体力学がこれだけ進歩して,今時スーパーコンピュータで擬似的な風洞実験もやれるのに,今さらこんな話が信じられるのか,

 ただ,この話がウソであっても,消費電力が小さい事は事実でしょう。私自身は,なぜ扇風機に隈取り式の交流モーターがしぶとく使われ続けているのかが全然理解出来ず,速度制御も簡単で,消費電力も小さくできるDCモーターをどうして使わないのか,疑問でした。

 このGreenFanは,私が長年感じていた疑問をあっさり打破し,実際にDCモーターを使っ手消費電力を下げた例として存在しています。仮に3Wの消費電力であるなら,この夏私が用意する240Wの電源なら,なんと80時間も駆動できるではありませんか。しかもその制御特性から,超低速回転を実現し,柔らかい風も期待できそうです。

 実際に3Wで済むことはなくとも,それでも消費電力を気にしなくてはいけないほど大きな電力になることはないでしょう。

 確かに高価ですが,この超低消費電力と弱い風を作ることが出来る基本性能については,他に変わるものはありません。

 ただ,現物を見ないとちょっと買えないなあというのも本音のところで,先日アキバのヨドバシにいって,現物を見てきました。

 デザインはそんなによいとは思えず,どちらかというと格好悪くて嫌いなデザインです。なにが嫌いといって,このパクリ感がたまりません。そして35000円もするのにこの剛性感のなさたるや。質感の高さが所有欲を満たすものなのに,このプラスチッキーでたわみの多いひょろっとした扇風機は,見た目にも情けないです。

 しかし,やっぱり消費電力の低さと微風を作る性能はすばらしい。この点に私はかけてみることにし,購入しました。在庫がなかったので,先にお金を払って入荷次第送ってもらうことにしました。

 先日,予想外に早く届きましたので,早速使ってみました。

(1)デザイン

 評判の良いデザインですが,組み立てて対峙すると,やはり嫌な印象しか沸きません。不格好で安定感がなく,剛性感も希薄でソリッドな感じがまるでありません。まるでAppleの製品のようだと賛辞を送る人もいますが,おそらくこの人はAppleの製品を長く使ったことがないのでしょうね。


(2)組み立て

 組み立ては扇風機にしては難しい方でしょう。それほど分解されているわけではないのですが,なにせ箱から出して部品を取り出して並べてみると,バラバラになっているという印象が強くあります。


(3)構造

 うーん,これは,大手メーカーからは絶対に出ない構造ですね。あまりに華奢で,確実にここが壊れるだろうという予感のする構造です。モーターと台座を接続する部分は,重たいモータを支える部分ですし,ユーザーの操作や転倒などによって大きな負荷のかかる部分です。曲げやねじれなどで応力が集中し,まずここから壊れることは避けられません。

 実際,この接続部分が壊れてしまった例がWEBで見られますが,さもありなん。私ならこういう設計は絶対にしないなと思うくらい,頼りない部分です。


(4)風の質

 これは,感動しました。いい意味で完全に期待を裏切られたと思うくらい,良い風です。

 まるで木ねじのようにねじられ,回転した強い風がやってくるこれまでの扇風機とは完全に違い,まるで風全体が1つの大きな塊になってやってきます。風に動きがなく,そのまま吹き抜ける感覚は,まさに自然の風という印象です。

 しかも弱い風が作り出せるDCモーターのおかげで,とても優しい微風が届きます。風の質が高いからでしょうか,微風でもしっかり届くし,十分さわやかで快適なのです。これはよいです。

(5)音

 昨年のGreenFanは,低速時にモーターがジジジと音を出したそうですが,GreenFan2ではそんな音はほとんどしません。弱い風なら風切り音も回っているのか回っていないのか分からないくらいの程度ですし,ホントに窓を開けているかのような錯覚に陥ります。

(6)首振り

 昔の扇風機は,羽根を回すモーターで首振りもやっていたので,風の強さで首振り速度が変わったものでしたが,GreenFan2はそんなことありません。独立したDCモーターで首振りをしますので,なめらかで静かです。ただ,ジジジという音は少ししますね。こういう風の質ですので,無理に首振りをする必要はないように思います。

(7)リモコン

 リモコンは便利です。母の実家に,有線のリモコンが付いた扇風機があったのを私は知っていますが,有線でも結構便利でした。21世紀ですのでそこはもちろん赤外線ですが,やはりリモコンは便利です。ただ,受光部が下の方にあるらしく,そこに向けないと反応しないので,これはモーターのある部分に受光部を付けるべきです。

(8)ACアダプタ

 このGreenFan2は,12V-2AのACアダプタによって動きます。別にそれは構わないのですが,ちょっとACアダプタが邪魔になります。黒の無骨な不細工なデザインは見た目にも見苦しく,デザインにこだわったというのであれば,ACアダプタにこそこだわって欲しいなと思いますし,専用品を起こすことは出来なくても,12Vで2Aクラスならもう少しスマートなものもあったでしょう。私がAppleの製品のパクリだというのはまさにこの辺の話で,Appleの細部にわたるこだわりに対する理解の不足が,こうした見た目をまねればいいやという安易な発想を生んでいるのだと思えて,残念でなりません。

(9)箱

 箱と言えば,箱が2重になっていて,外側の箱は運送用の箱,内側の箱は収納用の箱となっていました。「箱も商品」というのは小売店の常識で,段ボール箱に直接宅急便の送り状貼り付けるなど言語道断なわけですが,作り手が箱を商品として扱うために,わざわざもう1つ外側に箱を用意するというのは,なかなか珍しいのではないかと思います。まあ,果たしてここまでやってGreenと宣うのも,ちょっと無理があるかなと思ったりします。


(9)総合的に

 まず,未体験のさわやかな風は素晴らしいです。お店で体験して欲しいし,体験しなくてもこれを嫌がる人はいないと思います。DCモーターによる低消費電力にウソはありませんし,超低速で制御されることも本当で,この扇風機なら疲れません。これは断言出来ます。

 ただ,つくりはあまりに華奢で,おそらくですがすぐにこわれると思います。所有欲を満たす質感もなければ,使っていて安心感を感じる剛性感もなく,この辺はダイソンの扇風機や大手メーカーの高級品にはかなわないでしょう。

 それと,収納が問題です。箱を捨てないようにしろと書かれていて,収納時にはこの箱を使えとあるのですが,箱が大きいのです。それもそのはずで,箱を眺めてみれば,梱包材がしっかり入っており,かなり隙間があります。

 いわば,本体の収納に貢献しない空気を箱に閉じ込めているようなもので,これは狭い部屋に住んでいる我々には厳しいです。箱を捨ててしまいたいのですが,それではどうやって収納するかについて,私はまだ最適解を見いだせていません。

 結局,製品そのものはそれほど大した作りではありませんが,これが作り出す風は確かに素晴らしく,消費電力が極めて低いという特徴とあわせて,ここに35000円を気前よく出せるかどうかが鍵になると思います。

 他にない特徴ですので,35000円が高いか安いかは,もう本人次第です。

 最後に私の感想を。買って良かったと思います。35000円の価値は微妙ですが,まあ3万円までなら納得の商品だったんじゃないかなと思います。


 
 

ナショセミが現金で買われる

 大きなニュースが飛び込んできました。ナショナルセミコンダクターがテキサスインスツルメンツに買収され,TIの一部門となる事が決まりました。買収金額は65億ドルで,TIは全て現金で支払うという話です。

 いや,これはびっくりしました。ナショセミといえば名門中の名門,半導体の黎明期から現在に至るまで倒産も買収もなく,連綿とその伝統を受け継いできた老舗です。

 1959年にシリコントランジスタの生産を目的に設立されたナショセミは,1960年代にはもはやオペアンプの創造主と神格化されたボブ・ワイドラーによって,次々と画期的なアナログICを誕生させ,安くて便利で面白いアナログICのメーカーとして,それこそプロからラジオ少年の心にまで深く入り込むことになります。

 オペアンプは,かのワイドラーの手になるLM101,単電源の先駆けLM358,クワッドの定番LM324,バイポーラとFETを混載したBi-FETによる高級オペアンプのLF356,C-MOSでも超高性能なLMC660,新世代の高速オペアンプLM6361,Bi-FET入力オペアンプの新世代品LF411,TO-3パッケージに入ったパワーオペアンプのLM12C,電子楽器で多用されたトランスコンダクタンスアンプの超定番LM13600,そして忘れてはいけないのが超高性能ハイブリッドオペアンプで唯一の生き残りLH0032など,どれも定番,どれも有名,そしてどれもその時々に画期的な最先端技術の結晶でした。

 ワイドラーの偉大な業績は,モノリシックオペアンプの基本設計を編みだしたことに加え,バンドギャップリファレンスを作り出したことでしょう。温度特性を持たない安定した基準電圧は,古くは水銀電池を使うしかなかったのですが,その後ツェナーダイオードが登場,そしてモノリシックICだからこそ可能になったバンドギャップリファレンスへと進化します。より安定し,より低い電を発生させるバンドギャップリファレンスの発明によって,三端子レギュレータやADコンバータが誕生することになるのです。

 シリーズレギュレータの世界では,固定電圧の3端子ならフェアチャイルドの78xxが有名ですが,可変電圧タイプだとフェアチャイルドは4端子だったのに,ナショセミは3端子でやってのけました。それが今でも定番のLM317です。

 かつてビデオ信号と言えばNTSCだった時代,同期信号を分離するにはそれなりに面倒な回路が必要だったのですが,これをワンチップでやってのけるLM1881は登場するやたちまち定番になり,アマチュアにもおなじみになりました。

 アナログのICは本当に面白いものがあって,ラジオ少年たちに一番よく知られた海外メーカーではなかったでしょうか。ちょっとしたスピーカアンプならLM386,5Wくらいまで欲しいならLM380,まだまだオペアンプでは厳しかったHi-Fiのプリアンプ用にはLM381,ダイナミックノイズリダクション用のLM1894というのもありました。

 1.5Vの電池でLEDを光らせるLM3909は生産中止になった現在でも少ない在庫を探し回っている人がいるそうですし,電源同期式の時計用LSIのMM5311も定番でした。そうそう,コンパレータといえばLM311,LM339でした。

 74シリーズとピンコンパチなCMOSロジックを先駆けて投入したのもナショセミで,MM74Cシリーズの開発メーカーです。その後74HCに変わられ,ほとんど知られない存在になりましたが,ある時期のエンジニアにとってはとても懐かしいICなんだそうです。

 Ethernetの10Base-Tで定番化したNE2000というNICは,実はナショセミのDP8390を使って作られていました。AT互換機のシリアルポートで有名な16550もナショセミがオリジナルですし,その源流となったINS8250も,もちろんナショセミがオリジナルです。最近だと,LVDSという伝送方式はナショセミの開発です。

 ADコンバータ,DAコンバータもナショセミが定番でした。ADコンバータはADC0801やADC0809,DAコンバータならDAC08は必ず出てきたものです。

 また,ナショセミはCPUのメーカーとしても大きな足跡を残しています。i8080とMC6800に続く第3の8ビットプロセッサとして期待されたSC/MP,Z80のソフトがそのまま動くC-MOSのCPUとして,電池駆動でZ80マシンを作る唯一の手段だったNSC800,もっとも早く市場に投入された32ビットCPUのNS32032と,アナログとデジタル両面で大変強力なラインナップを誇っていたのです。

 こんな風に,工業用,軍用から民生品に至るまで,32ビットプロセッサからゲートICまで,高速オペアンプからオモチャ用のICまで,どんなものでも揃っていて,しかも他の会社にはない個性的な,でも入手は難しくなく安価な,そんなメーカーでした。

 ラジオ少年だった私が好きなメーカーも,このナショセミでした。海外製のICは入手が難しいなか,なぜかナショセミのICは部品屋さんで普通に買えることが多かったのです。

 ナショセミのデータブックを見ていると,ICそのものの面白さ以上に応用回路として紹介された回路例がまた面白いのです。こんな使い方をするのか,本来の目的とは全然違うことが出来るんだな,と,ナショセミのデータブックだけは別格でした。

 1987年,名門フェアチャイルドセミコンダクタを買収します。当時富士通が買収すると言われていたのですが,アメリカ政府から待ったがかかりナショセミが買収したわけですが,1997年には株式を手放しています。

 製品に魅力的なものが多い会社ですが,個性あふれる優秀な人材が多くいらっしゃるのも,この会社の伝統でしょう。先程のアナログICの神,ボブ・ワイドラーもそうですし,全半導体関係者のアイドル,ボブ・ピースを先頭に,枠を窮屈に考えず,むしろ積極的に楽しむくらいのゆとりが,この会社の技術者には見て取れます。良い技術,先進的な技術を,普通の製品に生かすのではなく,ちょっと違った角度から応用して非常に面白いものを作り上げる,そのちょっと違った角度を許すか許さないかは,私はその会社の文化や雰囲気によるものだろうと思うのです。

 今回,TIがナショセミを欲しがったのは,TIがよりアナログICのフォーカスするという戦略がまず第一にあり,その魅力的な製品群が競合と言うよりむしろ補完になるという判断があったことは理解出来ます。

 同時に,その優秀な人材とノウハウ,つまり総合的な技術力によって今だけではなく未来においてもアナログICのリーディングカンパニーでいようという強い思いがあったと思います。

 実は,アナログICの分野というのは,CPUやメモリといったデジタルICと違って,それほど大規模な設備投資を必要としません。だからアナログの専業メーカーには小さなメーカーも生き残っていられるわけですが,同時に一人前になるには10年かかると言われるアナログICの設計者を育成するのがとても大変と言われます。

 日本の半導体メーカーもなんとか一部に食らいついている分野ですが,韓国や台湾,中国などのメーカーはもうアナログICについてはまるで存在感がありません。これは,彼らが最先端プロセスの導入という「お金で済む」話を拠り所にしているからで,おのずとメモリやシステムLSIといったデジタルICで勝負することになります。しかしアナログICにはむしろ最先端ではないプロセスを使わねばならないことがが多くて,枯れた技術が適している場合が多いのです。

 現実は買収ですが,別にナショセミはお金に困っていたわけではありません。むしろTIと結婚したくらいの気分でいるんじゃないでしょうか。65億ドルで結婚というと穏やかではありませんが,TIのような大企業には大企業なりのメリットがあります。これを利用出来ることはナショセミにはメリットのはずで,一方でその独立性が(ある時期までだったとしても)約束される買収であるなら,とても良い話だと考えたのではないでしょうか。

 事実,TIはバーブラウンを買収した際にも,その独立性を極力残そうとしました。高性能で高価な半導体を作ってきたバーブラウンは,今や高性能で安価な半導体を安定して供給出来るブランドとなりました。これに倣うなら,ナショセミのブランドを持つ半導体は,ますます面白くなのではないかと,私は思っています。

 TIもアナログに軸足を置くメーカーの1つです。おそらくTIの技術者も,ボブ・ピースに対して尊敬の念を持っていることでしょう。彼が自分達の仲間になると考えれば,おそらくTIのエンジニアも奮い立つことでしょう。

 TIとナショセミ,どちらも集積回路と半導体の分野を,前人未踏の状態から切り開いてきた偉大なパイオニアです。確かに老舗が減ってしまうことは寂しいことですが,消えてなくなるわけではありません。ワクワクするような,楽しく,創造的な半導体を,ますます作ってくれることを心から期待します。

春が来る

 春になりました。

 4月だというのに,東北の被災地では雪もちらつき,首都圏でも朝と夜には冷たい風が吹きますが,それでも注ぐ太陽の光は,明らかに春先のそれです。

 桜の花もまるで暦を数えていたかのように咲き始めました。我々の周囲で起こっていることなど,気にもかけないたくましさを感じ,やや複雑な気分になります。

 私は春という季節が嫌いです。花粉症はありませんから身体的な都合は皆無ですが,冬の寒さが好きな私は暖かくなる気配を感じることがそもそも鬱陶しいのです。

 6月の梅雨,7月と8月の猛暑,9月の残暑と,湿気と暑さに弱い私にとってはこれから始まる数ヶ月の厳しさに,まさにめまいがしそうです。

 私にとって,新年度のスタートはもはや夢も希望もなく,3月の次の月が4月というだけの話に過ぎません。

 春だから,と言う単純な理由で浮かれる人たちが多くいることをも,気に入りません。もっと積極的にいうと,春が嫌いな事以上に,浮かれた人を見るのが大嫌いです。

 寒いのにおしゃれをしたいという理由で震えながら丈の短いスカートをはく女の人。寒いのに桜の木の下で震えながら冷たい弁当を騒ぎながら食べる人。それは本当に自分の意志でやってますか。誰かに何かに踊らされていませんか。

 まるで虫が這い出してくるようにそこらかしこに人が増え,わざわざ通勤の電車を混雑させ,しかも彼らは一様に土埃を引き入れてきます。一体どこに行くのですか。

 どうして春でないといけないのか。

 変わらぬ日常を楽しみ,繰り返される連続の中で平穏を生きることの落ち着きを,春という季節の訪れと環境の激変が,完全に吹き飛ばして壊してしまいます。

 ・・・壊す,そう,1年に一度,この季節は,凝り固まった体を伸ばし,活動のためのトリガをひく,そんな時期です。もし,この季節がなかったら,日々の平穏と引き替えに,新しい発想も,新鮮な気分も,1年に一度必ず手に入れていたはずのものを,失っていたかも知れません。

ページ移動

  • ページ
  • 1
  • 2

ユーティリティ

2011年04月

- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed