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2011年10月の記事は以下のとおりです。

5GHzの802.11nを使う

  • 2011/10/13 13:24
  • カテゴリー:散財

 うちは未だにADSLで,実力で5Mbpsくらいしか出ていません。はっきりいって遅いのですが,私にとっては速度よりも常時接続であることが重要であって,もう10年以上ADSLです。

 よって,家庭内のLANの速度に対する要求も低く,長く802.11bで不自由なく使っていたくらいで,5年ほど前にようやく11gへの移行を果たしたという状態でした。ただ,11gに移行してもほとんど違いが分からず,気休めだった事を覚えています。

 まことに幸せな人だなあと自虐的に思うのですが,さすがに夫婦で暮らし始め,ファイルの共有やらPogoplugやらAppleTVやらが出てき始めると,家庭内LANの速度も少々気になり始めます。そもそも,この数年でストレージのサイズが大きくなり,それに伴ってファイル1つのサイズも巨大になっています。

 そこで,802.11nへの移行を検討しました。

 802.11nは100Mbps超を実現する規格ですが,複数のアンテナ,複数のチャネルを使って送受信を行うものです。速度と到達距離の改善が行われていますが,使用される電波の帯域が拡張されるわけではありませんので,現実の速度は11gなんかと変わらないだろうと思っていました。

 しかし,802.11nが登場して2年以上が経過し,どうもそうでもないらしいと分かってきました。まあ,私が単純にバカだっただけの話ですが。

 うちは,AirMacExpressの初代を使っています。必要にして十分な基本機能を持ち,小型で格好良く,Appleのユーティリティで設定可能という純正のメリットもそうですが,AirTunesに対応する唯一の機器だったことが決定的でした。

 おかげで,私のiTunesにある12000曲を越える音楽は,高級DAコンバータを介して真空管アンプに繋がり,B&WのCM1から再生されるという,Hi-Fi音楽ソースとなったのでした。この便利さは今は嫁さんが享受しています。

 今回の11n移行についても,このAirTunesは必須です。今はAirPlayと名を変えて,AppleTVや他のメーカーの機器にも範囲を広げていますが,WiFiルータで対応している物は,Apple純正でもAirMacExpressしかありません。

 嫁さんなど,AirMacExtremeがAirPlayに対応していない事実を知って,「なにがExtremeやねん」と慣れない大阪弁で悪態をついていたほどです。(彼女はソフト屋なので,「エクストリーム」という言葉になにやら神聖な物を感じているようなので,なおさらなのでしょう)

 幸いなことに,現行のAirMacExpressは,11n対応はもちろん,懸案だった5GHzにも対応したものです。しかもお値段は8400円とリーズナブルです。

 うちはAirMacExpressと電子レンジが近い位置に設置されていて,電子レンジを使うとネットワークが一斉に切れるという状況があります。また,Bluetoothとの併用にも問題があったりするので,できれば5GHzで運用したいと思っていました。

 ということで,機種選定は終わりました。AirMacExpressです。

 アップルストアの在庫をみると,一応在庫ありとなっています。ヨドバシをみると,5%のポイントと引き替えに,在庫無しで入荷後即発送とあります。まあ2週間ほどで入荷するだろうと5%につられてヨドバシで手続きをしました。

 3日後,納期は1ヶ月後という連絡をもらい,さすがにこれは厳しいと判断,アップルストアにいってみると,在庫無しで5-7営業日となっています。ちなみに,ヨドバシの実店舗では唯一京都のお店のみあった在庫が,この時点ではなくなっており,日本中のヨドバシから姿を消してしまいました。

 うーん。

 どのお店を覗いても在庫はありません。アメリカのアップルストアには在庫があるので一時的な物だとは思いますが,ヨドバシの納期回答は信用出来るのと,アップルストアの納期回答は信用出来ないのとを鑑みて,やはり3週間はかかると判断しました。(今日アップルストアの在庫を見ると,在庫あり即納となっていました)

 9月末にはレビューが出ていますので,この段階ではまだ買えたのでしょうね。惜しいことをしました。

 日本国内に品物がないならもうどうしようもないわなとあきらめていたところ,アップルストアの整備再生品のことがふと頭をよぎりました。

 調べてみると,なんと,在庫がありました。7100円。安い。もちろん11n対応の現行品です。

 24時間通電で,触って操作をする物ではありませんし,付属品が揃っていないという問題だって,結局ゴミになるような付属品は必要ありません。即納,安い,アップルによる1年保証,余計な付属品が付いてこない,ということで,最適な買い物になりそうです。

 ただ,802.11n Enablerも付属しておらず,必要なら250円で買ってくれと書いてありました。250円ですからね,これを足しても安い買い物ですから,迷わずポチりました。

 調べていくと,MacOSX10.4 Tigerでは必要だった802.11n Enablerも,Leopard移行では必要なくなっているらしいです。なら全然問題なし。


 商品が届きましたが,付属品は全て揃っています。ものは新品そのものですので,単純に安売りのものを買っただけという気がします。納期も早くて,よい買い物をしました。

 しかし,大きな誤算が1つ。5GHzと2.4GHzが同時に使用できるものと思っていたのですが,それはAirMacExtremeの機能であり,Expressではどちらか一方しか使用できないのですね。いや,これは失敗しました。

 当初の目論見通り,5GHzで11nを使うと,2.4GHzの11nに比べて倍ほど速度が違う事がわかったのですが,5GHzで運用するには2.4GHzでしか繋がらない機器をどうするか,考えなくてはいけません。

 うちで2.4GHzのものは,PS3やNintendo3DS,PSPやKindle3くらいのものですから,すべて11gです。古いAirMacExpressを2.4GHzの機器のアクセスポイントとして併用することを考えましたが,1つだけ問題があります。

 それは2階の部屋のマシンを繋ぐ方法です。2階のマシンはメディアコンバータを使って,11gで繋がっています。このコンバータは2.4GHzの11nに対応しているので,速度向上が期待できます。

 ここで,古いExpressを使うと,2階のマシンは前のまま。新しいExpressを2.4GHzで11nにすれば,電波の干渉や速度の低下はありますけども,多くの機器で速度が向上し,前の機器もそのまま使用できます。

 ということで,いろいろ考えましたが,当面2.4GHzの11nで運用することにしました。
 
 設定を終わってみると,なんだか速度もそれほど上がったように感じず,相変わらず電子レンジを使うと切れてしまい,代わり映えがしないなあという実感です。つまらないというか,新しさがないというか。

 2.4GHzのシステムはそのまま温存し,5GHzを新たに追加する形で運用しても良かったのかもしれません。5GHzに対応する機器は優先的に5GHzの11nに繋いでゆくという方が,シンプルではあります。

 ただ,Etherのハブのポートが埋まってしまって,2つのExpressを動かすには大幅な変更が必要になります。ネットワークケーブルもACケーブルも,とにかく余裕がないので,もう少し考えないといけません。

 例えば,2階のマシンのメディアコンバータを5GHz対応にするとか,2階のマシンのNICを5GHzの11nにするとか,そういう手もあります。しかし結構お金がかかります。5GHzのメディアコンバータはまだ5000円ほどしますから,費用対効果を考えるとちょっともったいないですね。NICについても大体同じです。

 ・・・古いExpressを使わないで,2階のマシンのメディアコンバータを11nのアクセスポイントとして稼働させ,2階のマシンは手持ちのUSBに繋ぐ11nのNICを使いましょうか。こうすれば一応問題は解決することになりますね。

 そう思ったら試してみたくなるのがこれ人情という物。

 昨日,2階のマシンのメディアコンバータ「MZK-MF150」を1階に降ろし,2.4GHzのアクセスポイントとして使う事にしました。

 メディアコンバータのスイッチをAPモードに切り替えて設定をやり直すだけでさくっと終わると思っていたら,これがとんでもないじゃじゃ馬でした。

 まず,いくら設定を変更しても全然電波がつかまえられません。電波が出てないのではないかと言うほどどのマシンからもAPを確認出来ず,あえなくリセット。工場出荷に戻しました。これでようやくAPが見えるようになり,電波が出ていることに確信が持てました。

 続けてIPアドレスなどの設定です。おきまりのものですのでさっさと済ませます。この段階でPS3とNintendo3DS,そしてchumbyまでは正常に繋がりました。

 ところが,IDEOSを繋ごうとすると,全く繋がりません。Kindle3も繋がったり繋がらなかったりと不安定です。またMacBookAirでも繋がってきません。繋がらない理由がMACアドレスフィルタリングの設定かも知れないと考え,その設定を全部消して試しますがやっぱり改善しません。

 もう一度工場出荷時に戻して再設定。やり直しますがやはりいまいちです。そこで,暗号化方式をAESからAES/TKIP(自動切り替えということでしょう)に変えて試すと,ウソのように繋がります。

 TKIPで繋がる可能性があるけどまあいいかと割り切って,今度は2階のマシンの設定です。2階のマシンにはUSBドングル型の802.11nのアダプタをあてがいますが,その設定は案外簡単で問題はなしです。

 ところが,どうも速度が出ていないのです。リンク速度が11g時代のものとそんなに変わらないので,おかしいなと思って確認したら,APが11gモードだと出ています。そんなわけあるかい,ちゃんと11n/g/bのミックスモードにしたぞ,と再度確認します。

 もし,このAPが11gでしか動かないというなら,古いAirMacExpressを使うまでのことです。くやしいのgoogle先生に聞いてみると,説明書には書かれていない話として,WPA-PKIでかつAESを使用したときのみ11nが使えるようになるというのです。まあ,11nの仕様がそうなんだから当たり前のことですが,こんなの普通気が付かないですよ。AES/TKIPという設定があったら普通これを選ぶと思いますし・・・

 そんなわけで,WPA-PKIでAESの設定にすると,ちゃんと11nで動き始めました。2階のマシンのリンク速度も向上しています。体感速度はさっぱりですが。

 しかし,IDEOSが繋がらない問題は残ります。なら,マルチSSID機能を使ってSSIDを2つ用意し,IDEOS用にTKIPで繋がる設定を作る事にしました。ところがですね,このMZK-MF150は,複数あるSSIDの全てがAESでないと11nにならないのです。

 ここで頓挫するかに思われましたが,試しに全く同じWPA-PKIのAESで2つのSSIDを用意してみると,あっさり2つ目のSSIDでIDEOSが繋がるようになりました。なぜかKindle3もPS3も,時々こけていたNintendo3DSも,まったく問題なく繋がります。

 MacBookAirでもちゃんと11nで繋がっているように表示されていますが,APの子機情報を確認すると,2階のマシンは広帯域で繋がっていますが,MacBookAirは狭帯域で繋がっています。MacBookAirの方が電波状態は良い位置にありますので,この結果は納得いきません。

 電波の干渉の成果もしれないとか,いろいろ考えてみましたが,結果は改善せず。とりあえず2.4GHzの11nで繋ぎたいものは1つしかないですから,このままでいいことにしましょう。

 MZK-MF150を本格的に設定してみて思ったのですが,やはり設定の楽さ,確実さ,そしてバグのなさではAirMacExpressが一番です。設定したとおりに動きますし,設定の数も適度に絞られており,迷いません。そして設定の反映がスムーズで,再起動も高速ですので,今回のような試行錯誤があってもストレスが小さくて済みます。

 MZK-150は,細かい設定がいろいろある割に,その設定の意味が分からないのでどうしておくのがいいのか判断出来ないとか,ちょっとした設定をする度に再起動が必要で,その再起動が2分近くかかるので,MACアドレスフィルタリングのようにたくさんの設定が必要な場合,結構な時間がかかります。1回の再起動が90秒として8つ登録すると,それだけ12分も純粋な待ち時間が発生します。これでは30分や1時間といった時間は簡単に無駄になります。実際,昨日は夜8時頃から初めて,終わったのは12時過ぎでした・・・AirMacExpressなんか,30分ほどで全部終了したんですけどね。

 また,取説に書かれていない事も多いです。先程の11nが有効になる条件についても(当たり前過ぎるからかも知れませんが)書かれていませんし,かなり専門的な設定も多いです。結局バグとしか思えない不安定さにも悩まされましたし,結論から言うと多機能だけども,安全に使える範囲は結構狭いということになりそうです。

 一応,これでうちのネットワークは5GHzの11nと2.4GHzの11n/gを共存させて,完成しました。5GHzの高速性と安定性は抜群の物があり,メインマシンであるMacBook,MacBookPro,MacBookAirとiPad2は非常に快適です。Pogoplugとのやりとりも実用になる速度になったと思います。

 2.4GHzは旧機器の救済という意味もあるわけですが,こちらはいまいち不安です。毎日使う物でないだけに,たまに使おうと思ったら繋がらないということがおきかねません。しかしないと困るものですので,注意して使うしかないです。

 そんなわけで,なかなか混乱を極めたWiFiの再構築ですが,一応これで一区切りです。とにかく5GHzの11nを使いたかったので,それが達成出来たことはなによりでした。本来なら,2階のマシンと1回のマシンをネットワークで繋いでデータのやりとりが出来ればいろいろ応用範囲も広がるところですが,これは今回はあきらめることにします。

周波数カウンタをグレードアップ

  • 2011/10/11 14:59
  • カテゴリー:make:

 周波数カウンタの改良をしました。

(1)精度

 これまでは,12.8000MHzに調整したTCXOを使っていました。しかし,これも25年近く前の部品ですし,調整だってスペアナの周波数カウンタ機能を使って行った物ですので,どうも自信がありません。

 そこで,某巨大オークション経由でOCXOを買いました。といってもジャンクの外し品で,精度もどれくらい出ているかわかりません。値段も安く,あてにする方が間違いと思われるほどです。

 周波数カウンタへの内蔵も考えたので5Vで動く物を選びましたが,現物が届いてあきらめました。まず想像以上に大きいこと。そして大飯ぐらいなこと,特に起動直後は800mA近くも電流を食っています。そして熱いこと。OXCOなんですから当たり前ですが,この熱さでは小さいケースに閉じ込めるわけにいきません。致命的なのは,ウォームアップに1時間ほどかかったことです。

 15分ほどで安定してきますが,そこから1時間くらいはゆっくり周波数が上がっていきます。最終的に落ち着いたのは,電源投入後3時間を経過してからでした。これはちょっと厳しいです。

 そこで,このOCXOはリファレンスクロックとして使い,これを元にTCXOを再調整します。

 ほとんどずれておらず,気温25度で30Hzほど低くなっていました。10MHzに対して30Hzですので,-3ppmですか。おー,結構いい数字だったんですね。

 これをもう少し追い込んで,10時間で±5Hzの変動になるようにしました。これで±0.5ppmです。温度変化に対して±3ppmという仕様ですので,これを加味しても10MHzフルカウントに対し,誤差は±35Hz以内ということになります。

 まあ,8桁のカウンタとしては少々心許ないのですが,ここから先はもう泥沼になりそうなので,妥協することにします。

 それにしても,実力は10MHzに対し3Hz程度のズレだったりしますので,素人が使う測定器としては十分という事にしておきましょう。

 この検討で分かったもう1つのことは,PLLが大変安定して動作していたことでした。12.8MHzから10MHzを作るPLLは,もしかすると周波数の揺らぎが長周期であるのではないかと思っていましたが,電源投入後に30秒もすると,ぴたっと数字が止まって動きません。これなら十分使い物になります。


(2)広帯域化

 現状は,1/10プリスケーラを使った場合,DC~24MHzまででした。プリスケーラを使って精度を一桁悪くして,24MHzくらいで頭打ちというのはあまりに惜しいので,以下の改造を行います。

・高速ロジックICへの交換

 プリアンプ出力を波形整形する74HC14と,1/10分周を行う74HC390の2つが広帯域化を阻んでいますので,これを74ACシリーズに交換します。入手がそろそろ難しくなってくるころかも知れませんので,早めに手配が肝心です。

 74AC14と74AC390は,本来100MHz以上でも動作する高速C-MOSロジックです。一気に100MHzを狙えるかと思いましたが,まずICだけを交換したところ,50MHz位でミスカウントを起こします。それでも随分改善した物ですが,これはもうプリアンプに手を入れないと,実力を発揮できません。

・プリアンプのトランジスタを交換

 プリアンプは,初段が2SK241,2段目が2SC1815,3段目が2SA1015の校正です。2段目と3段目でしっかりゲインを確保して,次の74AC14に送り出します。

 実は,仕様書にかかれた2SC1815や2SA1015のfT(80MHz)は結構控えめな数字で,ちゃんとコレクタ電流を流してやると200MHzくらいまで伸びてきます。FMラジオくらいなら十分作る事が出来る性能です。

 ですが,さすがにしっかりゲインを確保するのは難しいようで,ここに定番の高周波トランジスタである2SC1906を使う事にしました。

 ピン配置も同じですので,まずは2SC1815を交換します。ついでに,電源のノイズ対策(フェライトビーズとパスコン追加)と,シュミットインバータの帰還抵抗を大きなリード部品から,チップ部品に変更しておきます。

 お,60MHzくらいまで伸びました。けど64MHzではコケますね。

 仕方がありません,あまり気乗りしませんが2SA1015を交換しましょう。PNPの高周波用トランジスタというのは品種が少なく,ちょっと定番が思いつきません。ぱっと調べて2SA1161という謎のトランジスタを購入しました。

 東芝のトランジスタなのですが,データシートが見つからず,CQ出版のデータブックで概略を掴んだ程度です。2GHzを越えるfTは立派なものですが,hFEが20というのは小さすぎないか?まるでゲルマニウム時代の2SDxxみたいです。

 これに2SA1015を交換しますと,おおー,なんと68MHzをラクラククリア。シュミットをバイパスして直接プリアンプ出力を74AC390に入れると,100MHzもカウントします。さすが高周波用トランジスタです。

 しかし,今度は低周波で感度がガタ落ちです。従来,1kHzで20mVrmsだった感度は,100mVrmsを越えてもカウントしません。ガタ落ちというか,もう低周波領域では動かなくなったといってもいいでしょう。波形を見ると,ゲインが低いようで波高値が小さいままです。

 こりゃいかんということで,手持ちのPNPトランジスタを片っ端から試すことにします。fTが1GHzの2SA711なんかは期待できそうだったのですが,いまいち。

 で,試行錯誤の末最も良い結果を出したのが,2SA562。2SC1959のコンプリです。2SC1959といえば,2SC1815ではちょっと心許ない時に使う,1ランク大きな電流を扱える便利なトランジスタです。今時はもう1ランク上の2SC2120などが定番化しているのですが,2SC1959は高周波特性も良好で,ちょっと他に変わりがないトランジスタだなあと思ったりします。

 で,2SA562と2SA1015を比べてみると,2SA562はコレクタ電流が大きくても小さくても,fTがあまり変化しません。150MHzから300MHzくらいです。一方の2SA1015は,コレクタ電流が小さい時のfTの低下が顕著で,コレクタ電流が低いときは50MHzを割り込みます。でも,コレクタ電流を50mAも流すと,fTは一気に400MHzを越えるのです。

 だから,今回の回路でもコレクタ電流を増やしてやるだけで済んだことかもしれないのですが,面倒なので2SA562に置き換えることで決着です。低周波特性も変わらず,20mVrmsを維持しつつ,高周波は68MHzをクリアする性能を実現しました。

・その他対策

 74AC390の入力部にプローブを当てると,特に64MHzを越えるところでミスカウントがウソのようになくなります。波形の乱れによってトゲが出ているのが,プローブのような小容量のコンデンサをあてがうと消えるので,ミスカウントしなくなるのではないかと思います。

 そこで,10pFくらいのコンデンサをGNDとの間に入れました。これで高周波でもミスカウントしなくなります。

 また,74AC390からの出力ですが,74ACのような高速で強力なドライバを持つICは,出力波形が結構暴れます。そこでダンピング抵抗をいれました。分周後ですので10MHz未満ですからいらないといえばいらないのですが,後段のICを保護する目的もあり,オーバーシュートとアンダーシュートを小さくする目的で,330Ωという結構重い抵抗を入れました。


 ということで,高精度化と広帯域化を実現した周波数カウンタは,かなり使える機材となった気がします。本当なら1/10プリスケーラで100MHzくらいまで測定出来ると素晴らしかったのですが,実際にそこまで必要な事は少ないでしょうし,あまりいじくり回して壊してしまっても残念なので,このくらいでよいことにします。

スティーブ・ジョブズがなくなったこと

 いろいろな理由で触れたくない話なのですが,とても大きな話なので,書かざるを得ません。

 スティーブ・ジョブズが,なくなりました。享年56歳。

 そんなに具合が悪かったのか,が最初に思いついたことでした。ギリギリまで走り続けて,ほっと一息付く間もなく,なくなってしまうなんて。

 互いに面識もなく,年齢も立場もあらゆる面で私と接点のない,しかも外国人の死を,まるで友人の死のような気分で受け止めることになるとは,私にとっても驚きでした。

 いや,もっと強いかも知れません。友人ではなく,共に時代を生きた仲間か,あるいはちょっと年の離れた憧れの兄貴,ちょっと違いますけど若いときに心酔したロックミュージシャンが亡くなったような。なにが言いたいかというと,精神面での影響が大きいなということです。

 やんちゃで,絶対な自信で周囲を引っ張り,かつ振り回し,大きな成功も大きな失敗も経験し,でもぶれない信念がある,まぶしくて強くて,でもどこか華奢な兄貴。

 Apple][,Macintosh,NeXT,MacOSX,iPod,iTunes。彼の生み出した物は,常に私を魅了しました。

 彼の前に道はなく,彼の後に道は出来ます。

 時に,若かったころの私の前には,それはまだまだ細く,整備されていない,でも自由で活気にあふれた,かろうじて道と呼べる物がありました。

 ハードウェアは自分で組み立てる必要があり,プログラムは機械語が当たり前,マクロアセンブラが使えるのは一部のお金持ちに限られた険しい道で,そんな道でも自分の知力と体力で少しずつ前に進むのがとても楽しかった,そんな思い出があふれてきます。

 むろん,ジョブズははるか前にいました。いや,前じゃないですね。別の道を切り開いていました。時々彼の動静を耳にすると,すごいな,ということと,相変わらずだな,ということを,いつも思ったものです。

 ジョブズを語る人は,いくらでもいます。

 ジョブズを知る本や映像も,いくらでもあります。
 
 でも,私にとってのジョブズは,30年常に憧れ,時に反目した,とても身近な人でした。リアルタイムで蓄積してきた彼の記憶で,私はもう十分です。

 その記憶が,とてもよく映像化されていると思う唯一無二の「バトルオブシリコンバレー」を,酒でも飲みながら見るのが,私の弔いです。

Pogoplugを買いました,が

  • 2011/10/03 18:59
  • カテゴリー:散財

 今年の初め頃から少しずつ話題になっていたPogoplugを買いました。

 事の始まりは,嫁さんがiPad2をいたく気に入り,寝ているときとご飯を食べているときと風呂に言っているとき以外はずっとiPad2を使っている状況を見て,NASを導入しないといけないなあと思ったことです。

 うちには一人一台以上のコンピュータが稼働しています。ローカルストレージ以外は信じないという唯我独尊の古い人間である私は,NASもクラウドも設定が面倒な割には使い物にならないと信じていたので,ファイルの移動はUSBメモリを使っています。

 しかし,嫁さんと私との間でデータを共有したり,親に写真を渡すなど外部とのやりとりをする必要が出てきた事,そしてiPad2(と私のIDEOSとMacBookAir)のストレージを拡大する事を考えたいと思うようになりました。

 これらの要件を全て満たすには単純なNASではダメで,DropBoxなどを使う必要が出てきます。しかし,あれば便利だという程度の話で費用の発生も惜しいし,最終的な物理メディアは手元に置いて管理したいという希望もあって,Pogoplugを思いついたのです。

 Pogoplugは,Linuxの動作するスタンドアロンの小型コンピュータです。プロセッサはARMで,内部には必要最小限のRAMとフラッシュしか持ちません。USBを4つ持ち,ストレージはこのUSBに繋いで使います。

 Pogoplugは,メーカーであるクラウドエンジン社のサーバに繋がって,基本的には他とは繋がりません。PCなどのクライアントとはこのサーバを介して,認証とデータの転送が行われます。

 例外はローカルネットワーク内の話で,認証だけはサーバで行われますが,実際の転送は直接接続されて行われます。

 自分の家にあるストレージを外からアクセス出来るようにすると,セキュリティの問題が発生します。外から安全に自分のファイルにアクセスするには,クラウドサービスを利用するのが確実ですが,これには相応の費用もかかるし,容量に制限があります。

 Pogoplugは,認証とストレージを分離したものと考えて良くて,ストレージは手元に置き,認証と転送をサーバで行うようにしたものだと言えます。

 なかなか画期的で面白そうだなと思ったのですが,うちはADSLで遅いですし,ファイルの転送時間が遅すぎて使い物にならないだろうと思っていました。

 ですが,前述の通りローカルネットワーク内ならば,認証だけがサーバで行われるわけで,転送についてはそこそこの速度を期待できるのではないかと思ったのです。外からのアクセスはむしろおまけと割り切り,使う事にすればいいのでは?

 値段を調べると,随分値下がりしています。ヨドバシ.comでもポイントを差し引くと7600円ほどです。即納という事でポチりました。

 届くまでの間に,いろいろ調べてみると,Openpogoなるキーワードが目に付きます。Openpogoというのは,PogoplugにUSBメモリを追加し,ここにいろいろなプログラムを追加してLinuxベースの汎用サーバを作る仕組みです。sambaもFTPもHTTPもDDNSもNTPも追加できます。

 これはうまくすると,私が今立ち上げているノートPCによるLinuxサーバを置き換えることが出来るかも知れないと思ったわけです。Openpogoを入れてもPogoplugとしての機能は全く損なわれませんので,運用に入る前にOpenpogp化しておこうと思いました。

(1)まずはアクティベーション

 とはいえ,初期不良があっても困りますので,まずはアクティベーションまではやっておきましょう。

 Pogoplugは60秒で設定完了を豪語する簡単さです。ほんまかいなと思いますが,やってみるとあまりに簡単に出来てしまい,驚きました。

 Pogoplugをネットワークに繋ぎ,電源に繋いで,ランプが緑に点灯になったら正常動作完了です。Pogoplugはサーバに届いています。この状態でホームページにアクセスすると,このPogoplugをアクティベーションすることができます。

 話はこれだけです。

 例えばIPアドレスやDNSの設定,ルータの設定,NATやポートの設定など,全然必要ありません。そのかわり,IPアドレスはDHCPのみです。

 そしてホームページからアクティベーションを行うのもメールアドレスを設定するだけです。あとはPogoplugの状態がちゃんと見えるようになります。

 私の場合,基本的に固定IPで運用しており,それら手動設定が出来ないと困ってしまいます。ですが,冷静に考えてみるとDHCPのリソースを1つだけ予約し,これしか割り当てられないようにした上でDHCPをONにすればいいだけのことだとわかって,ルータの設定をちょこっといじって,事なきを得ました。

 ここまではあっけないほど簡単でした。

 本来のPogoplugとして使うなら,これほど簡単なものもありません。


(2)Openpogo化

 前述のように,Pogoplugに1GB程度のUSBメモリを差し込み,ここにLinuxのコマンドなどをおくことで,Pogoplugの機能を温存したまま,Linuxの環境を構築出来ます。これを利用して,各種サーバの機能をpogoplugに追加することが出来ます。

 Openpogoは非常にスタンダードなHackであり,多少のLinuxの知識があれば大丈夫と思って,取りかかりました。が,これがもう大変で,結果的には断念しました。


(3)USBメモリの初期化

 Openpogo化の最初のステップは,USBメモリをext2/ext3にフォーマットすることです。その方法もすぐに見つかり,手順通りにやったのですが,うまくいきません。

 1GBのUSBメモリをPogoplugに差し込むと,Pogoplugでマウントします。これをWEBからアンマウントし,ターミナルでログインしてでfdiskで初期化します。SSHでログインまではなんでもなかったのですが,fdiskでこけるのです。

 どうも,USBメモリをアンマウントすると,/dev/sdaも見えなくなってしまうようなのです。ならばマウントしたままでいこうとしたのですが,hbwdというデーモンを殺すとUSBメモリが外された状態になり,/dev/sdaも見えなくなるのです。

 ならばと,hbwdを殺さずにfdiskです。そうするとパーティション情報を書き込む時にwarningが出ます。しかし無視してあらかじめダウンロードしておいたmke2fsでフォーマットです。

 これは問題なく出来たので,次に進みます。なお,USBメモリの不良かと思ったのですがそういう訳ではなく,他のUSBメモリでもやっぱり同じでした。


(3)Openpogoのインストール

 再起動し,先程のUSBメモリを差し込んで,正常にマウントすることを確認します。SSHで炉群印紙,dfで確認するとちゃんとext2/ext3のUSBメモリがマウントしています。

 WEB経由であらかじめ用意して置いたopt.tar.gzをUSBメモリに転送,tarをほどきます。そして解凍したディレクトリを/optにリンクします。これで本来,/optでUSBメモリを参照できるはずです。

 終わったら,起動時に自動マウントするように/etc/init.d/rcSを書き換えます。手順に従って,profileやらmount用のスクリプトやらを揃えて行きます。

 そして再起動。残念ながら,上手く動きません。

 起動の様子を見ていると,どうやら一度緑にランプが変わってから,もう一度ランプが消え,点滅から再度点灯に変わるときに,USBメモリがアンマウントされてしまうようなのです。

 起動中の画面が出ていないので詳しいことは分かりませんが,自動マウントをせずにスクリプトを手動で起動してしてやれば問題なく/optでUSBメモリがアクセス出来ます。スクリプトの記述ミスなどはなさそうです。


(4)失敗その1

 /etc/init.d/rcSをviでいじれるようになったので,固定IPに出来ないかとスケベ心をだしてしまいました。元々のIPをコメントアウトし,私の家のローカルアドレスを割り当てて,DHCPをOFFにしました。

 再起動すると,オレンジのランプが点灯します。失敗です。

 慌ててSSHでログインしようとしますが,繋がりません。ターミナルを遡ると,コメントアウトしたアドレスは,私のローカルアドレスの方で,デフォルトのアドレスが有効になっていました。

 このアドレスでSSHを試みますが,当然弾かれます。やばい。

 慌てず,別のマシンを持ってきて,デフォルトのアドレスと1番違いのアドレスを設定し,これと直結しました。すると無事ログインでき,胸をなで下ろします。

 なお,正しい方のIPアドレスに設定しましたが,DHCPをOFFにすると上手く動いてくれないようで,SSHではログイン出来てもWEBでアクセス出来なくなりました。

 やむなく,DHCPで運用することに決定です。


(5)失敗その2

 これが地獄でした。

 どうも,hbwdが起動するときに,USBメモリがアンマウントされてしまうように思ったので,このデーモンを起動しないよう,/etc/init.d/rcSのこの行をコメントアウトしました。

 そして再起動。

 LEDは緑で点滅から点灯,その後あるはずの消灯から点滅,点灯がなくなりました。USBメモリはアンマウントされないはずと思いましたが,SSHでログイン出来なくなりました。

 えーと,SSHのデーモンが上がっているわけではなかったのですね。hbwdというPogoplugの各種サービスを提供するデーモンの中に,SSHまで含まれていたようです。

 pingでPogoplugの生死を確認すれば,当然反応はあります。しかし,telnetもSSHも弾かれてしまえば,もうrcSを元に戻す方法はありません。

 やってしまいました。もうゴミです。


(6)死の淵から復活

 この手のマシンには,デバッグシリアルが用意されています。ネットワークで繋がるまでの開発はデバッグシリアル主体で行いますし,起動メッセージもデバッグシリアルからしか見えないですから,必ずあるはずです。もしデバッグシリアルがあれば,ここからログインしてrcSを元に戻せるでしょう。

 しかし,デバッグシリアルはあくまで開発用の端子です。量産時には削除してしまうこともあります。しかも最近の半導体はBGAですので,LSIの足から直接デバッグシリアルを取り出すことは絶望的です。

 もう怖い物のなくなった私は,バリバリとカニをばらすかのように,Pogoplugを分解していきます。そして,それらしい端子を見つけました。

 ここでgoogle先生に聞いてみると,やはり先人達がチャレンジしているようで,4つの端子のアサインを公開してくれています。

 レベルは3.3Vですので,USBに繋ぐ場合にはUSB-シリアルコンバータが必要ですし,シリアルポートに繋ぐならレベルコンバータを使わねばなりません。

 オシロで信号を見ると,なにやら波形が出ているので,Pogoplugは声にならない叫びを上げています。なんとかせねば。

 しかし,私はマイコンいじりが趣味な割に,USB-シリアル変換器を持っていないことに気が付きました。

 そこで,AVRライタに付いているFT232RLを使う事を考えました。が,このFT232RLはライタとして認識するようになっているので,残念ながらCOMポートには見えてくれません。

 万事休すか,と思ったところで,MAX238という古いICを使ったレベルコンバータ基板が出てきました。調べてみると5Vでしか動きません。ダメモトで試しますが,やっぱりダメでした。

 これでもう本当に終わったのか,と思ったのですが,もしかすると・・・とトランジスタ技術の付録基板を探してみると,なんと3.3Vで動くレベルコンバータICを搭載した基板が出てきました。2005年4月号の付録だったと思います。

 パターンを切り,Pogoplugに繋ぎます。

 なにやらゴミがターミナルに出てきますが,まともな文字ではありません。ボーレートがあっていないのかと思いますが,それだけではなく,このレベルコンバータICをEnableにする端子がオープンになっていました。

 ここをきちんと処理すると,ちゃんと動くようになりました。

 あとは,ここから/etc/init.d/rcSを元に戻すだけです。


(7)復活,そしてあきらめ

 この段階で,なんとか正常に起動するようになり,SSHでも繋がるようになりました。このトラブルのせいで休日のほとんどを費やした私は,もうこれ以上深追いするのはやめようと,rcSを元に戻し,追加したファイルも削除し,純粋なPogoplugとして使う決心をしました。Openpogoにして,なにかをしようと思ったわけではありませんし。

 調べていて分かったことですが,私と同じようにfdiskで/dev/sdaがないと怒られて先に進めない人は,何人もいるようなのです。しかし解決策は出ていません。Openpogo化出来ないという書き込みに対して複数の人が試行錯誤を行っているスレッドも見つかりましたが,そこでも結局解決してなかったようです。

 結局,hbwdに左右されているような感じがあって,もし双だとするともう手出しできません。ここであきらめるのは正しい判断だと思いました。


(8)Pogoplugの使い心地

 標準状態のPogoplugですが,私はもうこれで十分です。かなり面白いです。

 まず,HDDは2TBのWDのやつ。これに2000円のケースをあてがい,Pogoplug専用にします。HFS+でフォーマットし,MacでPDFやら音楽やらを一気にコピーします。

 そしてPogoplugにマウント。MacやIDEOSに入れたアプリから,このHDDが見えるようになっています。

 嫁さんのiPad2とどうやって共有するかも考えましたが,xxxな写真やビデオを入れないようにして,私のアカウントをそのまま使ってもらうことにしました。これで2TBのストレージを持つiPad2の誕生です。

 Pogoplugの音楽ファイルから,MacBookAirで再生をすることも全然問題なし。嫁さんのiPad2からPDFを選び,iBooksから開いて読む事も可能。ちょっと待たされますが,一度表示が出てくればあとはそんなにストレスなく読み進めることが出来ます。

 これで私の蔵書は,世界中どこに行ってもアクセス可能。私と嫁さんで念願の本棚共有です。

 そしてまだ1.3TBも空きスペースがあります。ここにドンドンファイルを入れていきましょう。


(9)そして

 ということで,Pogoplugは普通の使い方になりましたが,その普通の使い方というのが,とても面白いわけです。

 うちのADSLが遅いせいで,外からの接続は今ひとつですし,家の中でもWiFi経由だと全然速度が出ないので大きなファイルのコピーは出来ませんが,すでにコピーされたデータの共有であるとか,200MB位までのファイルのやりとりなら,全然問題はありません。60GBになる音楽ファイルもローカルに持たず全て参照可能,CDDAをロスレスでバックアップしたファイルも置いておきましたので,手軽にPCオーディオの世界にも手を出せそうです。

 こんな速度では,動画はちょっと厳しそうです。しかし,そもそも動画を見る必要性も低いので,それ程問題とは思えません。

 写真などのファイルを第三者と受け渡しする時にも便利です。

 とにかく,大きなストレージがどこからでもアクセス可能というのは,夢のある話です。具体的な使い方はこれから研究していきますが,いろいろ遊べるというのは確かでしょう。

 楽しみなことです。

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