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2012年04月の記事は以下のとおりです。

最大の功績

 1980年代にソニーを率いた,大賀典雄さんが亡くなったのが昨年の春。

 あれほど偉大な著名人であったにもかかわらず,その扱いの小ささに,時代の流れを理由に求め,その結果さらに寂しい思いに浸ってしまったことを思い出します。

 すでに過去のこととして過ぎ去った彼の死ですが,遅まきながら彼の大ファンである私も,ようやくにして少しだけ思いを書き綴ってみようという気になりました。

 私は,当然ながら,大賀さんとは一度もお会いしたことはありません。底辺に暮らす私など,どうやっても大賀さんに会うことかなうはずもなく,そのことは至極当然の事と思っているのですが,彼を知る誰もが「怖い人だった」と振り返れば,私もそんな彼に一度怒られてみたかったかなあと,思います。

 というのも,彼の言葉,彼の思いには,非常に人間くさいところが多くあり,いちいち共感出来るからです。もし私が彼の逆鱗に触れ怒られたのであるとすれば,それはおそらく私も自らを欺いた故であろうと思うし,もし彼が私を諭すのであれば,それは私の誤りを正す光になっていたはずだからです。

 これが,同じソニーの経営者(創始者)であった,井深大さんや盛田昭夫さんであったなら,おそらく反論もしただろうし,言い訳もしたことでしょう。すでに神格化されたお二人は,私にとっては遠すぎて,その人間性をリアルに感じることは出来ません。

 神格化されると,その人の過ちは,偉大な功績によって塗りつぶされてしまいます。美しい芸術品に仕上がった人生は,ますます賞賛を浴びる一方で,本来の人生とは違う道を,一人歩きはじめてしまいます。

 大賀さんは,まだ神格化されていません。

 ですので,彼の過ちを我々も知る事ができます。大賀さんの魅力は,自信に満ちた方であると同時に,過ちを自ら評価し,誤りであったことを悔やむ,その人間性にあると思っています。

 有名なエピソードで,まだ役員になりたての大賀さんは,当時の社長であった岩間さんが,アメリカのメーカーでさえもさじを投げ,誰も成功すると思っていなかった撮像素子・CCDの開発に,会社が吹っ飛びそうなほどの投資を行うと決めた時に,大反対をしました。

 語られるところによると,それは穏やかに反対するというものではなく,どえらい剣幕で岩間さんとCCDをなじったというのです。岩間さんにしてみれば,自らへの批判だけならともかく,技術者として「これだ」と信じたCCDを否定されることに,心中穏やかならぬものがあったことと思います。

 果たしてCCDは大変な苦労を伴い,なんども絶望の淵を彷徨いながら,実用化にこぎ着けます。CCDはその後,ソニーの製品に搭載され莫大な利益を生み,CCDそのものも主要な半導体製品として,ソニーに大きな貢献をすると共に,映像を記録する装置の高性能化と小型化を実現し,大げさな言い方をすれば人類の発展に大きく寄与することになります。

 固体撮像素子の伝統を持つソニーは,現在もこの分野のリーディングカンパニーで,すでに肉眼では見えないものが見えようになった,ここ数年のデジタルカメラの進歩は,ソニーのCMOSセンサによるところが大きいです。

 しかし,これほどの大成功に,岩間さんは自ら立ち会うことを許されませんでした。まだまだCCDが開発中だったころ,岩間さんは突然亡くなります。

 岩間さんの後を継いで社長に就任した大賀さんは,あれほど反対したCCDの開発を中断しませんでした。そして,ようやく量産に成功したCCDを岩間さんの墓石に埋め込み,その墓前で涙ながらに「自分が間違っていた」と謝罪をするのです。

 誰にでも過ちはあります。判断のミスが大きな損失を出すこともあります。しかし,そのことを悔やむことをしない人は,同じ過ちを何度も繰り返してしまいます。悔やむこと,それはとても苦しいことで,出来る事なら忌避する事を望むものです。

 悔やむことと同時に,謝罪することは,その地位が高いほど,そのプライドが高いほど,難しくなります。ソニーという日本を代表する企業のトップが,自らの過ちを認め謝罪し,そして功績をたたえるという行為を,すでに亡くなった人に対して行うという,この真摯さ,誠実さ。

 岩間さんの「先見の明」を賞賛するこのエピソードに,私はむしろ大賀さんの自らへの厳しさ,他人に対する優しさといった,豊かな人間性を見ます。

 東京芸術大学で声楽を学び,ドイツに留学した音楽家でありながら,経営者としてソニーを世界の大企業に育てた大賀さんは,よく知られているように音楽と技術に精通した経営者でした。

 音楽,すなわちコンテンツと,技術,すなわちコンテンツを記録・再生するハードウェアの両方を「両輪」と例えたその考え方は,まだまだハードウェアの生産に勤んでいた日本の製造業に,なかなか違和感のある考え方だったろうと思います。

 もう1つエピソードをご紹介します。

 大賀さんと言えば,今なお音楽メディアとして主役の座にいるコンパクトディスクの推進(私は開発者と呼んでいいと思うのですが)にあたった,中心人物です。

 CDは,オーディオ信号をディジタルで扱う技術と,レーザーと強力なサーボ機構を用いた光ディスクの技術の2つが揃わねば完成しません。今にして思うと,1970年代後半にこれだけ難しい技術を完成させて,巨大なビジネスに繋げた大賀さんの手腕には驚嘆するものがあります。

 まだCDという名前がなく,LPレコードの次世代技術として各社がめいめいに提案していたディジタルオーディオディスク「DAD」の1つに過ぎなかったころ,その開発の陣頭指揮にあたっていた大賀さんの元に,ソニー方式のDADの開発者が説明にやってきます。

 曰くディジタルだから音がいい,曰く光学読み取りだから高密度,ゆえにLPレコードと同じ30cmの大きさで,13時間も音楽が高音質で入るのです,と。

 当時,DADを提案するメーカーは世界中にありましたが,どれもLPレコードでおなじみの30cmという大きさを変えることはしませんでした。それくらいLPレコードの存在が大きく,音楽を配布するメディアとして「30cm」という大きさに疑問を持つこともなかったのでしょう。

 LPという名前は,LongPlayの略です。LPの誕生後SPと呼ばれるようになった当時のレコードに対し,圧倒的な高音質と長時間記録を誇ったLPは,音楽メディアの技術開発が,音質と記録時間を軸に行われたことを物語っています。ディジタルオーディオと光技術は,その正常進化を劇的に進める決め手だったはずでした。

 技術者の報告を聞いて,大賀さんの顔色が変わります。

  君は,音楽の価値をなんだと思っているのか。
 音楽家が,1つの音楽を作るのに,どれだけの苦労をしているか,分かっているのか。
 1枚のレコードに13時間入ります,などと,よくもそんなことを平気な顔で言えたものだ。
 一体,そのレコードを,いくらで売るつもりなのか。
 君は,音楽家を殺す気か。

 その30cmの巨大なDADをやにわに掴んだかと思うと,壁に投げつけたと言います。

 そして,各社「高音質」「長時間録音」をうたい文句にするDADを尻目に,ソニーとフィリップスは高密度記録によって得られるメリットを「ディスクの小型化」に求め,やがてそれは高音質でも高密度でもなく,小さい事を名前に持つ「コンパクトディスク」と呼ばれるようになるのです。

 ここで重要な事は,ディスクの直径についてよく知られる,フィリップス提案の11.5cmの大きさに対して,カラヤン指揮の第九が丸々入る75分に必要な12cmをソニーが主張し譲らなかったことではなく,技術の進歩によって当然のことと思われていた「長時間記録」というゴールを音楽を作る側の立場で否定し,その進歩を「小型化」に振り向けたことです。

 以後,12cmというディスクのサイズは,扱いやすいディスクのサイズとして否定されることなく,現在のBlu-rayに至るまで,守られ続けています。

 もし,普通の製造業の社長なら,音楽制作の苦しみなど知るはずもありませんから,そうかそうか,従来のLPと同じサイズで6時間も入るのか,それは素晴らしい,と大いに喜んだことでしょう。

 しかし,大賀さんは技術に明るい芸術家です。音楽家がどれほどの苦しみを乗り越えて音楽を産み出すのか,それこそ死ぬ思いで作りあげているかをよく知っていたからこそ,高密度記録という新しい技術は,正しい方向に使われるようになったのです。

 6時間記録出来る30cmのDADが覇権を握っていたら,どうなっていたでしょうか。アルバムを仕上げる労力は数倍になり,だからといって1万円では買ってもらえるはずもなく,クリエイターはクオリティの低い音楽を生み出すことになったでしょう。ベスト盤や古い録音もたった1枚のディスクにたくさん詰め込まれ,たたき売られるのです。結果として音楽の価値はずっとずっと下がってしまったことでしょう。

 大賀さんのここまでの予見に,私は大賀さんのディジタルオーディオへの功績は,まさにこの一点にあると確信するのです。

 音楽は感動を生み,弱った人を支え,心を豊かにするものです。一方でその音楽は,音楽家の想像を絶する苦痛の中から生まれます。この事実こそ,音楽の価値だと私は思います。

 技術の進歩は,音楽をより身近に,より安価に提供する道でもありました。一部の王族や貴族だけがかかえることを許された楽団の時代から,少人数で演奏出来る大音量の楽器の発明と大人数を集めることで安価に提供できた大衆向けコンサートの実現,そして音楽を記録して「工業製品」として量産できる仕組みの誕生と,マルチトラック録音などの効率的な音楽制作手法の確立と,一度たりとも技術が低価格化に貢献しなかったことはありません。

 おそらく,CDが史上初めて,技術の進歩を経済性ではなく,利便性の原資にあてた例ではないかと思います。

 私は,この話を聞いて,大賀さんが音楽を救ったのだと思いました。

 そして今,音楽は1曲単位でばら売りされ,アルバムという発表のあり方はすでに瓦解してしまいました。あれほどの心血を注いだ音楽が,1曲わずか100円です。

 技術の進歩は,いよいよ低価格化,低価値化に使われてしまい,誰もそれを止めることが出来ませんでした。

 よく言われるように,音楽業界は崩壊寸前です。

 アップル,つまりスティーブ・ジョブズは音楽を愛し,音楽家を愛していて,その音楽が広く手軽に聴けるような仕組みを作りました。

 残念だったことは,彼が音楽制作側の人間ではなかったことです。


 幸いなことに私は,大賀さんに献花をする機会を得ました。わずか数分の出来事ですが,私なりのお別れをしたつもりです。

 遅くなりましたが,こころから,安らかにお眠り下さい。

Lightroom4こそデジタル暗室かもしれない

  • 2012/04/04 13:24
  • カテゴリー:散財

 AdobeのLightroom4を買いました。

 D2Hを中心に使っていた頃,現像ソフトはNikonCapture4からCaptureNX,そしてCaptureNX2と順当にバージョンアップしてきたのですが,K10DやDP1sが増え,PentaxQまでRAWで扱うようになり,機種を問わず同じワークフローで処理できる現像ソフトが必要になってきました。

 また,メーカーごとに異なる純正の現像ソフトは,操作方法や考え方の違いもありますが,画像の傾向がバラバラで,特に発色の違いが気になります。光学的,あるいはセンサの特徴を楽しむのはありとしても,現像ソフトのポリシーは楽しめません。それはあまりに強力で,極端な話,レンズやセンサの違いなど吹き飛ばしてしまうほどの影響力を持っているからです。

 そうすると,マルチプラットフォームの現像ソフトを使うことになりますが,安いものでもなく,現像しかできないソフトを一から覚えるのも気が進まず,手持ちで使い慣れたPhotoshopCS5のRAWプラグインを使ってしのいでいました。

 最新のRAWプラグインは現像パラメータをかなり細かく設定出来るので重宝していますが,所詮はプラグインで,一度現像してしまうと,修正はまたRAWプラグインに戻らねばなりません。Photoshopとの行き来が双方向ではないのが窮屈で仕方がありません。

 決定的になったのは,そのRAWプラグインが落ちまくるということです。しかも落ちてしまうとRAWファイルを壊してしまいます。どうやらRAWプラグインが確保するキャッシュに問題があるらしく,キャッシュを手動でクリアするとかなり落ちなくなりますが,それでも完璧ではありません。そもそもキャッシュをクリアしてしまうとレスポンスも悪くなるので,どうもよろしくありません。

 結局の所,現像してRAWプラグインからPhotoshopに画像を渡してしまうと,そこから先は印刷をするだけがほとんどです。そう考えると,見栄を張らずに現像ソフトを使った方が楽になるんじゃないかと,思ったわけです。

 現実問題として,選択肢に入ってくるのは,CaptureOne,Lightroom,そしてApertureの3つくらいでしょう。CaptureOneはプロ御用達ですが,安価なExpressだとレンズの収差補正ができません。これはPentaxQでは致命的です。

 そこで,結局大手メーカー製のLightroomとApertureの二択となりました。LightroomはPhotoshopの,ApatureはiPhotoのサブセットという感じで見ていたのですが,これは限りなく誤りに近い認識だと知りました。すでに独自の進化を遂げています。

 RAWの現像を行うエンジンは,LightroomではPhotoshopのRAWプラグインが,ApertureではMacOSXのRAW現像エンジンが,それぞれコアになっています。その印象からいうと,どうもApertureは私の好みにではありません。

 それに私はこれまでPhotoshopに慣れていますし,ApatureがMac専用であることもちょっと気になっています。AppleがApatureのRAWエンジンをどこに作らせているかは知りませんが,そりゃAbobeに一日の長ありでしょう。

 で,検討をしたころの値段がそれぞれ結構していたので,まあそのうちということでペンディングになっていました。

 そこへ,先日のLightroom4の発売のニュースです。β版の頃から評判は聞いていましたが,白く飛んだところや,黒くつぶれたところからモリモリ画像を浮かび上がらせる力に評価が集まっています。

 またノイズ低減には以前から定評がありますが,そのノイズ低減やホワイトバランスの影響範囲でさえも,部分的に選択することが可能になりました。ウソ写真と言われればそれまでですが,むしろ撮影者が共有したい記憶を,機材の制約から開放するという意味合いで使うのが,正しい道であるように思います。

 PhotoshopのRAWプラグインでは,補助光効果というスライダで名案を調整出来たのですが,これをもっと積極的に行えるLightroom4は,今まさに私が使いたいソフトと言えるものがあります。

 カメラのせいにするつもりはありませんが,どうも面倒くさがりな私は,写真の命たるライティングに力が入りません。D2Hを使う人がこれでは駄目だと分かっていますが,ストロボをたくのも,レフ板をかざすのも,やっぱり面倒なのです。

 そしてそのLightroom4が,随分値下げされていることを知ります。もともと3万円ほどしたソフトと思ったのですが,通常版で17000円ほど,アップグレードだと1万円です。

 しかも,乗り換え版という,他社ソフトを持っている人向けのパッケージが10800円と,もう何が何だか分からない値下げっぷりです。この乗り換え版,一応使っている他社ソフトのシリアル番号をadobeに登録する必要がありますが,別に他社ソフトが使えなくなるわけではないし,他社製品ならなんでもいいので,古いソフトでも構わないそうです。ぶっちゃけた話をすると,別に他社ソフトのシリアルを登録しなくても使えます・・・

 一説によると,ApertureがAppStoreで販売されるようになってから,9000円になった(現在は6900円)ことに対抗したものだと言われていますが,LightroomはWindowsでも動くわけですから,結局この対抗措置はWindowsのユーザーにとって単なる棚ぼたに過ぎなかったのではないかと思います。

 私の場合,CaptureNXの乗り換えという事で,乗り換え版を買うことにしました。値下げ競争は実売価格の低下も招いている様な感じで,最安値はamazonで,なんでもいいから本を買うと1000円引きになるというキャンペーンを使って,随分安く買うことが出来ました。amazonが身銭を切ったわけではないでしょうから,我々が納めている「アドビ税」を原資にしているのかと思うと,複雑な気持ちです。

 さて,Lightroom4に期待する機能は3つ。1つは現像処理の効率化と複数機種間の画像傾向の統一,1つは失敗した写真の復活,最後に印刷センターとしての機能です。

 このうち,先に印刷センターの機能について書きますが,よく言われるようにLightroomの印刷機能は評判が悪く,色が転んでしまうのです。印刷だけはわざわざPhotoshopを使うという人がいるくらいです。

 実際使って見ると,確かに緑に転びます。ですが,私の場合それほど厳密にあわせ込んでいるわけではないし,そもそもプリンタのICCプロファイルを作って色の管理していない私が,色の違いにわめき散らすのは分不相応です。

 むしろ,Photoshopよりも面白い機能があります。

 まず,プリンタドライバに渡すデータを細かく設定出来ることです。私のPM-G850という古くて安いプリンタで意味があるかどうかは別にして,16bitでデータを渡せたり,プリンタ解像度を設定出来たりします。実際には初期設定の240ppiでなにも問題がない(PM-G850は1インチあたり1440本のノズルを持ちますが,ノズル1本あたり1色で,6色インクですので,全ての色を表現するには6つのノズルが必要です。ゆえに1440/6で240ppiが正解です)のですが,使うプリンタによっては最適な設定が可能なわけで,これは安心な機能でしょう。

 また,光沢紙を使うかどうかや,印刷時のシャープネスや明るさが調整出来たりします。この明るさの調整は私にとっては大変助かる機能で,私の環境だとどうしても暗めに印刷されてしまうため,かつては明るめの画像を作っていました。おかげで破綻する画像が出てきたり,階調が減ってしまうものも出てきてしまうため,あまり使いたくなかったのです。

 現像の機能そのものは,評判通りです。暗い部分から画像が出てきます。実際にはノイズまみれで使い物にならない場合も多いのですが,ノイズリダクションとの併用でかなり救えます。D2Hがアップグレードしたかのような感じです。

 出来上がった画像もなかなか自然な感じで,思い通りに調整ができます。1つのスライダを動かすと,内部で多くのパラメータが同時に動くのだと思いますが,それらをすべて手動で行うのはもう無理だと思いますし,ゴールに素早く到達出来ることは,ストレスを軽減するという意味で私は好ましいと思います。

 ただし,これは見方を変えるとLightroomを使って調整すれば誰がやっても似たような結果になるという事に繋がりますから,初心者向けと言われることは納得ですね。でも,初心者向けだろうがなんだろうが,結果がじぶんの「見て欲しい画像」になってくれるなら,簡単な方がいいです。

 レンズの収差補正も問題なしです。レンズプロファイルによる補正がメインになりますが,色収差の補正,周辺光量の調整も大丈夫です。私はPentaxQ以外では,これらを積極的に使うことはしませんが,今後これを当て込んだカメラやレンズが増えてくるような気がします。

 速度も決して軽いわけではないのですが,重いわけでもありません。比較的サクサクとプレビューし,現像して行くことができます。機種が違っても同じ手順ですから,そこも気が楽です。

 また,大量の画像をまとめて編集する能力がありますので,Photoshopのように大量の画像を一度に処理しても使い心地が変わらないのも素晴らしいです。

 ただ,細かいところで操作方法やショートカットがPhotoshopと違っていています。画像の拡大縮小はコマンドキーと+,-であって欲しかったですが,Zキーでした。しかも全体と1:1の切り替えだけです。

 また,ホワイトバランスのグレーポイント設定は,Wキーにアサインされていますが,設定後にホワイトバランス設定のモードが解除されるので,思ったような結果にならなかった場合に,いちいちWキーを押さねばなりません。慣れるしかないでしょうね。

 ということで,現像と印刷に絞って2,3日使って見ましたが,とりあえずPhotoshopからRAW現像を切り替えていこうと思います。本来,Lightroomで過去の写真も全て管理するべきですし,Lightroomの目玉機能1つとして,この管理機能があるわけですから,もったいないと思います。

 しかし,私はファイルはOSの標準機能で管理することを徹底する人ですから,個別のアプリで管理することを好みません。必ずしもMacOSのファイル管理が楽ちんとはいえないのですが,Spotlightもアイコンプレビューも,あるいはQuicklookも良く出来ていると思います。


 デジタル一眼レフを持っている人はもちろんですが,RAWで記録出来るカメラを持っている人は,一度は現像ソフトを使ってみると面白いと思うのです。メーカー純正の付属品の現像ソフトは,なにかと制約も多く,あまり便利とも思えませんし,面白い事が出来るとも思えません。

 写真は,紙に焼き付けてようやく完成です。紙焼き付けることが写真の醍醐味とすれば,現像ソフトは,これを高次元で楽しむ道具と言えるでしょう。

 さてさて,Lightroomを手に入れたからには,もう他のデジカメが増えても心配ありません。D800?K-01?OM-D?どんとこい,ってところですね。

Zoom H1で音が歪む

 先日,SACDを24bit/96kHzのリニアPCMで録音しておけばN-30でSACDも(完全ではないにせよ)再生が出来るようになるんじゃないかと書きました。

 少し予備実験をしょうと,私が持っている唯一の24bit/96kHzのレコーダである,ZoomのH1を引っ張り出し,ライン接続でPD-D9に繋いでみました。

 すると,なんとえらい歪むではないですか。

 入力レベルが大きいのだなあと思って入力レベルを絞ってみるのですが,歪みもそのまま小さくなる感じです。PEAKランプも点灯しませんので,どうも入力オーバーではないということになります。

 繋いでいるヘッドフォンが悪いのかと別のヘッドフォンにしましたが駄目です。ソースが元々歪んでいるのかと確かめましたが,そんなことは当然ありません。

 さあ,困った。なんで歪むのか。

 気になってZoomのサイトのH1のFAQを見てみました。

 「INPUT LEVELを“1”まで下げても、音が歪んでしまいます。」というドンピシャな質問があり,その回答を見てみますと,

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 また、H1ではINPUT LEVELが“16”のときに、アナログゲインの最小値が得られる設計となっています。INPUT LEVEL“15”以下は、デジタル的に音量を下げる処理を行っているため、アナログ歪みの発生を回避できない場合があります。
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 なんと。

 そんなこと,説明書には書いてなかったです・・・最近の説明書は,コスト削減のためか,大事な事を書いていないことが多いのです。説明書に書いてあることが一番詳しい,説明書に書いていないことはない,という状況が亡くなったのは,いつの頃からでしょうか。

 一方で,WEBサイトのスペックを見ていると,これに関連した情報も記載があります。

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●ゲイン: 0~+39dB(デジタルアッテネートによる最小ゲイン:-28dB)
●入力インピーダンス 2KΩ(入力レベル: 0~-39dBm)
----

 なんと。

 この2つをすり合わせると,INPUT LEVELが16の時に,ゲインが0dBになるようです。私はこれまで,INPUT LEVELを15にしてライン録音を行っていましたから,この段階ではデジタル的に音量を小さくしていたことになります。

 うーん,入力オーバーを防ぐためにアッテネートをするのに,アッテネートがデジタルで行われてしまうと言うのは,いかながなものでしょう。アナログでの入力オーバーが起こってしまえば,手の打ちようがないわけです。

 外部にアッテネータを付ければよいだけのことですが,一言でいいから,このあたりの話を説明書に書いておいて欲しいなあと思います。

 さて,以下の話は専門家にとっては眠たいだけの話ですが,PD-D9を繋いで歪む原因が,本当にこれであるかどうかを計算で確かめてみましょう。

 まず,H1の入力電圧範囲を計算してみます。ゲインが0dBから+39dBですので,歪まない範囲で最も小さいゲインは0dB,すなわち1倍です。このゲインの時に,歪まない範囲で最も大きな音を入れられることになるわけです。

 で,入力インピーダンスが2kΩ,この時の入力レベルの範囲が0から-39dBmということですので,H1で許される最大のライン入力レベルは,0dBmとなります。

 単位であるdBmというのは,1mWを0dBとおいた場合の値のことです。例えば,インピーダンスが600Ωの時に0dBmというのは,600Ωで1mWの電力のことを意味しています。そして600Ωに1mWを供給する交流電圧は,P = E^2 / Rですので,E = √PR,よって0.775Vrmsです。

 H1の場合,このインピーダンスが2kΩということですので,0dBmの電圧は,1.41Vrmsですね。この電圧を超えたら,歪むわけです。

 一方の,PD-D9のスペックを確認してみます。すると,200mVrms(1kHz,-20dB)とあります。通常,デジタルオーディオ機器の最大出力はフルスケールで,これを0dBとおきますから,-20dBで200mVrmsのPD-D9は,0dBフルスケールで2Vrmsの電圧を出力します。これが最大値です。

 比較してみると,PD-D9が最大出力を出せば,H1にとって入力オーバーになることがわかります。H1の最大入力である1.41Vrmsは,PD-D9においては-3dBとなりますから,それ以上のレベルの音が飛んでくると歪んで当然なのですね。

 とりあえず,二連ボリュームを間に挟んで少しレベルを下げてみました。なるほど,歪みはなくなっています。左右で3dBだけちゃんと減衰するアッテネータを作るのはまた今度として,とりあえず結果が出たのでよしとしましょう。

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