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2013年10月の記事は以下のとおりです。

K-3は実は一昔前のプロ機レベル

 K-3はペンタックスのフラッグシップ機ですが,価格はボディのみで15万円程度と,明らかにプロフェッショナルを対象としたモデルではありません。ペンタックス自身もハイアマチュア用と位置づけていますし,「プロ機じゃないのね」という第一印象から,ちょっと軽く見られがちです。

 一言で言えば,現段階でAPS-C世界最強のカメラです。ペンタックスはそういうことは言わないけれども,一番後で出てきた機種で,しかも2大メーカーがAPS-Cから少し力を抜いている今,当然と言えばそうかも知れません。

 スペックをぱっと見ると,これって私が長く愛用したD2Hを軽く越えているんです。意味のない比較のように思うかも知れませんが,個人的にD2Hは,手に入れてみて,さすがプロ機と感激したモデルですので,これを越えるかどうかが気になるのです。

 APS-Cで2400万画素はD2Hの400万画素をはるかに超えていますが,連写速度はなんと8.3コマ/秒で,連写数はRAWでも23コマ,JPEGでは60コマです。

 私は常々,連写速度というのは単なる速度ではなく,システム全体のバランスを示すものだと考えていますが,K-3があのボディに,どうやって8コマ/秒を越える速度で連写出来るだけのエネルギーを囲い込むことが出来るのか,不思議なくらいです。

 そのくせ,シャッター耐久は20万回です。D2Hが15万回ですから,もうプロが使っても構わないレベルに来たと言えるのではないでしょうか。

 大事な事は,8.3コマ/秒で1/8000秒,シンクロ速度1/180秒で耐久20万回,最低動作温度-10℃というシャッターは,そう簡単に作る事の出来ないもので,中級機レベルのシャッターとはもう別次元だということです。ペンタックスもとうとうここまで来たか,と私は非常に感慨深いものを感じています。

 画素数や感度は,純粋に搭載するセンサの性能で決まる世界ですので,低価格機でもD2Hを越えるものはざらにあります。しかし,メカの性能や信頼性,あるいはお金をかけないと達成出来ないスペックなどで,低価格機とプロ機は別物になります。K-3が凄いのは,この価格でプロ用に匹敵してると,感じることです。

 唯一公開されていない数字が,レリーズタイムラグです。D2Hは0.037秒でしたが,K-3はどうなっているでしょうか。この時代の数値と現在の数値は,計測方法が変わっているの直接の比較は出来ないのですが,今のところD2HやD800が最高レベルであることは変わりなく,これくらいの速度を実現してくれていれば,ほとんど感覚的な遅れは感じずに済むでしょう。

 AFポイントは27点,AEセンサは8.6万画素のRGBセンサです。D2Hがそれぞれ11点,1005画素のRGBセンサだったので,その差は歴然です。

 そしてK-3はマグネシウム合金を使ったボディを,防塵防滴にしてあります。D2Hも同じような強靱な骨格を持っていて,そこはプロ機ならではの堅牢性を誇っていますが,残念ながら防塵防滴まではありません。

 そして,D2Hは約1kg。K-3は800gと2割も軽いのです。プロ機は重いのが当たり前になっていますが,これはプロ機にふさわしい装備を入れれば重くなると言う話であり,プロだってそりゃ軽い方がいいに決まってます。冷静に考えてみて下さい。スピグラからライカに変わった事実は重いです。


・ローパスレス

 最近のカメラは,ローパスレスが流行しています。これは,高画素化が進んでいて,もはやローパスフィルタが必要ないくらいになってきたことに加えて,ローパスフィルタが高価であり出来れば削除した方がメーカーもうれしいし,レンズ性能が上がってきた昨今では,ローパスフィルタが足を引っ張っているという現状もあります。それに,ローパスレスといえば,市場の評判も良いですしね。

 しかし,本来モアレというのは,アンチエイリアシングノイズですから,一度発生すればもう取り除く術はありません。モアレ除去が画像処理で出来ると言っている方もいますけど,モアレ以外の画像に影響を与えないように除去することは,どんな画像処理を行っても不可能です。

 モアレは入ってしまえば除去不可能,しかしローパスフィルタは解像度を落とす原因になるので外したい,ということで,メーカーもユーザーもジレンマを抱えていました。

 ここでペンタックスはK-3で目からウロコの仕組みを搭載します。光学的なローパスフィルタは搭載しないのですが,センサをサブピクセル単位で振動させて,ローパスフィルタを作るのです。

 1画素より小さい振動の手ぶれを作るわけですね。

 なるほど,これをやれば,1画素以下で解像した画像は,全部ぼけてしまいます。モアレというのは,この1画素以下の周波数で起こりますから,それをなくせばモアレは発生しないですね。

 これは,もともとペンタックスが昔から搭載していた,センサ駆動式の手ぶれ補正を応用したものです。この発想も素晴らしいと思いますが,このアイデアを実現出来るほどセンサをリニアモーターで動かすことが出来るようになっていたことも,驚きです。これはもう他社にはない,ペンタックス独自の技術です。

 もともと,手ぶれの補正はせいぜい数Hzの振動を打ち消すもので,APS-Cという大きく,質量もあるものをリニアモーターで正確に打ち消すことが出来ているのは,周波数が遅いからだったのです。

 しかし,今度のローパスフィルタは,1画素の半分の大きさで振動をさせ続ける必要があります。しかも手ぶれ補正をしつつ,です。

 ペンタックスの資料をみると,1/1000秒のシャッター速度以下で効果が出ると言っています。ということは,最低でも振動周波数は2kHzと言うことになるのでしょう。ただ,これでは1/8000秒では問題を起こすと思うので,実際には16kHz以上でしょうか。

 APS-Cで2400万画素という事は,単純計算で画素ピッチが3.92μmとなります。この半分を振動させるわけですから,約2μmですね。これを1秒間に16000回以上振動させることになるわけです。あれだけの質量を16kHzで,しかも正確に振動させるなんて,ちょっと大変そうに思うんですが,大丈夫なんでしょうか。

 まあ,最悪,振動を停止してローパスレスで使えば問題ないんですが,長く使う高価なカメラですし,ここが壊れる可能性がどれくらいあるのか,気になります。消費電力も大きいでしょうし,万が一壊れた場合には致命傷になります。そもそも実績がなくて,本当にこれでモアレが消えるのか,副作用はないのか,調整ズレや故障で撮影した画像がことごとく使い物にならないものになってしまうことはないのか,など,やっぱり私はこれを積極的に歓迎できません。プロも同じ気持ちかも知れませんね。

 
・処理速度

 連写速度と同じ事なのですが,2400万画素のデータを8.3コマ/秒で記録出来るというのは,これはなかなか凄い画像処理能力を持っていると思います。画像処理エンジンが新しくなったということですが,噂では富士通のMilbeautの最新型を採用しているそうです。

 この新しいMilbeautは9月に富士通から発表になっているのですが,CPUコアにはARMのCortex-A5,2400万画素で最大12fpsの処理能力,光学補正を含む各種画像処理のに新アルゴリズムを搭載,従来に比べて2倍の処理能力を実現とあります。

 特に,この2400万画素で12fpsというスペックは注目すべきで,これが出来たから8.3コマ/秒が可能になったのでしょう。そして時期的に,最新のMilbeautを使ったのはK-3が最初と考えられますから,他の一眼レフよりも頭1つ飛び抜けた性能を持っていることも,納得です。

 
 ということで,ペンタックスは,2大メーカーがフルサイズに軸足を置いてしまって手薄になったAPS-Cを重点的に責めてきました。2大メーカーにAPS-Cのフラッグシップモデルを望む声は相変わらずあるのですが,特にニコンはそんな気配も見せず,キヤノンはニコンの様子を見て,と言う感じで,一定の需要があると思われるAPS-Cのハイエンドモデルは,EOS7Dからでもすでに2年以上の時間が経過しているのです。

 D400やEOS7DMarkIIなどを期待する声を放置し,フルサイズ競争に入ったことは間違いではありませんが,知らないうちにまさのペンタックスが,APS-Cで覇者になったことを,きっと2大メーカーにはどう見えたのでしょうね。

 案外,APS-Cで存在感を示し,生き残るという戦略は,ペンタックスにはちょうどいいのかも知れないなと思います。ペンタックスのフルサイズを求める声も大きく,私もそうだったのですが,レンズラインナップがあまりに貧弱ですし,これをてこ入れするのはあまりに果てしない作業なので,私は非現実と思うようになっています。

 古いレンズを使いたいという話もわかりますが,D800を使ってわかったのは,古いレンズはやはり3600万画素ではあまりに悪いところばかりが見えてしまうと言う現実です。

 だから,もしペンタックスがフルサイズモデルを作るなら,長く放置されていたフルサイズのレンズラインナップを,最初から作り直すくらいの覚悟で拡充しないと行けないのです。これは,とてもお金も時間もかかります。

 それなら,優秀なレンズをすでに持っているAPS-Cに絞るというのは,悪くないでしょう。幸い,ペンタックスには,645DやQという,他のフォーマットのカメラもあるわけですし。

 そう考えると,もうフルサイズを待つことはないし,待っても出ないんじゃないかと思えます。K-3が良く出来たカメラであるなら,これで5年戦うことは,十分意味があるんじゃないでしょうか。

GRの機能拡張ファームがリリース

 手に入れてから4ヶ月になる,GRの新しいファームがようやく登場しました。

 ようやく,というのは,出る予定になっていたものを待ちわびている様子です。しかし,別にリコーは新しいファームを出すと,事前にアナウンスをしていません。

 しかし,リコーのGRシリーズは過去に何度も機能拡張ファームをリリースして,旧機種が最新機種に搭載された機能を持つようになったりしました。GRもこれに習うだろうという暗黙の了解があります。

 これ以上に,多くのユーザーから指摘をされた問題点が,修正される機会になるだろうという期待が,いつになるかわからんけども,いずれ必ず対応されるという,これまた暗黙の了解がありました。

 今回のケースでは,プログラムモードにおける,プログラム線図の問題です。購入時にも書きましたし,多くの方が同じような不満や疑問をあちこちに書いているので詳しくは書きませんが,GRのプログラムは,F4を出来るだけ維持しようと粘る傾向があります。

 それこそ数分の一秒のシャッター速度になっても,F4に張り付き,F2.8にはなりません。ISO感度をバーンと上げて意地でもF4でいこうとします。

 せっかく開放から高い描写力を誇るレンズを搭載しているにもかかわらず,F4で粘るがゆえに,手ぶれはするわISO感度は上がって画質は低下するわで,どうも意図がわからないんですね。

 もちろん,カメラ設計者が何らかの意志を持ってこのプログラムを作ったわけですから,多分性能が最も高くなるF4を出来るだけ使うようにしたんだと思いますが,F4とF2.8の画質差よりも,シャッター速度が1段遅くなることで発生する手ぶれや,ISO感度が低下することで起こる画質低下の方がずっと問題があるわけで,やはり納得がいかないわけです。

 そしてGRにとって初めてファームウェアアップデートが昨日公開されました。結論から先に書くと,この問題も対応がなされています。


・プログラム線図の修正

 これまでは,シャッター速度がかなり下がってもF4を出来るだけ使うようになっていて,ISO感度が随分上がってしまうこととあいまって,実質的にプログラムモードは使えなかったGRでしたが,今回のファームウェアアップデートでは,ここが対策されています。

 目に付くのは,ノーマルモードと開放優先のモードの2つが選べるようになったことです。私は最初,ノーマルモードは従来のモード,そしてF2.8を優先的に使うモードを開放優先と,要望の多かったモードを「追加」したのだと思っていました。

 従来のモードの評判が悪かったとしても,メリットがあったから採用したものであったはずで,そのメリットを利用していたユーザーが不便になってしまうことは許されません。だから,従来モードと新しいモードの2つを搭載することは理にかなっています。

 ところが,プログラム線図を見てみると,どっちもF2.8に早めに切り替わっています。開放優先の方は,F2.8が可能になったらさっさと開放にするというモードになっていますが,F4まで粘る性質は線図からは読み取れません。

 何かの間違いかも,と実機で確認してみますが,やはりどちらのモードでもF4で粘るようなことはなく,F2.8を積極的に使おうとします。

 まあ,本来の姿に戻っただけという気もしますが,F4に張り付くという特殊性故に,これを便利に使っていたユーザーは,今回のファームウェアでは困ることになりそうです。

 で,2つのモードですが,確かに線図を見ていれば違いは明らかです。しかし,実際にいろいろな明るさの状況で試して見ても,あまり大きな違いを実感できません。

 結局の所,シャッター速度とISO感度を少しで稼ぎたい暗い場所でもF4を使おうしたことに従来のプログラムは問題をはらんでいたわけですし,これが解消されてしまえば,特にどちらのモードでも大差はないんじゃないかと思います。

 私の感想では,僅かとは言えF2.8とF4の画質の違いは明らかにあって,十分な明るさを確保できているのであれば,F4を使った方が好ましい写真が撮れると思っていますから,ノーマルモードでいいんじゃないかと思います。その点で言えば,従来のF4張り付きモードも残しておいて欲しかったかなと思います。わがままですかね。


・クロップモードの追加

 1600万画素,APS-Cという大型高精細のセンサを持つGRには,通常時の28mm相当に加えて,クロップをつかった35mm相当のモードを持っていました。光学系で複数の画角を持っていれば理想ですが,どうしても性能や大きさにしわ寄せがいきます。

 GRは単焦点レンズを持つこともアイデンティティですから,ここはクロップが正解でしょう。

 このプロップに,47mm相当のモードが追加されました。

 たしかに50mm付近の画角は便利な場合もあり,慣れた人には安心する画角なわけですが,同時にいかに大型高精細のセンサとはいえ,そこまでプロップして大丈夫なんかいな,と私は思いました。

 まだ試写をしていませんが,単純計算をすると500万画素ちょっと,という画素数になります。数年前とは言いませんが,10年くらい前のコンデジなら,こんなもんだったんじゃないでしょうか。

 確かに,優秀なレンズに新しいセンサを持つ優秀なカメラから,トリミングで中央部だけ切り出すわけですから,それなりのメリットはあるでしょう。でも,そうはいっても500万画素では,使い道は限られるじゃないかと思います。

 ちょっとした事には便利かも知れませんが,せっかく28mm相当というレンズなんですから,ぐっと近寄って撮影しないともったいないですね。

 ふと思ったのですが,もしかして,これってSNS連携機能の1つなんじゃないかと。携帯電話やスマートフォンの内蔵カメラも高画素化,高画質化が進んでいますが,それでも500万画素程度の機種はまだまだありますし,実際のところ,そうした画素数でもTwitterやFacebookへのアップロードには十分すぎます。画素数よりは,ぱっと見てわかる高画質こそ重要かもしれず,それには開放から使える優秀なレンズが必要です。

 なら,画素数ではなく,GRであることが大切なわけで,そう考えると47mmクロップは実に面白い機能という事になります。

 それに,500万画素をバカに出来ません。私が昨年まで使っていたD2Hは400万画素でしたが,優秀なカメラでしたし,レンズを選べば6つ切りくらいまではいけたかも知れません。

 ある人が言っていたのですが,こういう機能をつけるなら,いっそのことクロップの段数を増やして,ズームにしちゃったらいいのに,というアイデアがあります。こうなるともうクロップじゃなくて,デジタルズームですよね。

 デジタルズームは画質の低下よりも安価に高倍率ズームを実現するちょっと後ろ向きな方法だったわけですが,クロップがそういうとらえられ方をしていないというのは,ちょっと興味深いところです。

 その点で言えば,手ぶれ補正も,センサ駆動型かレンズ駆動型かではなく,ソフトだけで処理するデジタル式をもっと高級機に導入してもよいのではないかと思います。それこそ,耐久性が求められるプロ用の超高級機に搭載されれば,撮影の幅が広がるような気もしますが・・・まあ,それはないか。


 他にもいろいろ変更点はありますが,印象に残った機能はこの2つです。シャッター速度が上がったことや,高感度行きでのノイズリダクションが強化された話は,実際に使ってみて実感できるかどうかにかかっています。今評価することは避けたいと思います。

 そうそう,まだアップデートをされていない方に,設定はリセットされないようです。もちろん,私のGRがたまたまそうだったというだけの話かも知れませんから,設定が消えても怒らないで下さいね。

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