エントリー

2006年12月の記事は以下のとおりです。

重大な問題

 ミノルタXEの修理に関して,昨夜の進捗ですが,大変な問題にぶつかりました。実はこの機体,オート不良が出ています。

 まず最初に,カバーを開けた時に出てきたと思われるバネの居場所ですが,結局全くわかりませんでした。

 このバネ,非常に特徴的な形をしているので,サービスマニュアルをきちんと見ていけば必ず特定できると思い,頑張って目を皿のようにして見ていったのですが,どこにもこんな形状のバネは出てきません。

 確かにミラーボックスや底面にあるガバナー機構を全部ばらして確認できたわけではありませんが,考えてみるとバネが出てきたのはトップカバーを開けたときであって,前板やミラーボックスを取り外したときに出てきた訳ではありません。

 それに,ミラーボックスから万が一バネが外れても,それがトップカバーを開けて転がり出てくる位置にまで出てくるということは,内部の隙間を考えると難しいでしょう。

 もう1つ,ほとんどのバネは中央の穴にビスが通っており,仮にバネが外れても転がり出てくるようなことは起きないものがほとんどです。

 こんなことを考えながら,すべてのバネの場所を覚えてしまうくらい繰り返して確認しても分からずじまい。このまま作業が進まないのも時間の無駄ですし,XEから出てきたバネであることは間違いとしても,それが直ちに機能的に問題を出すかどうかは別の話だと考えて,とりあえず電気回路の確認が出来る程度に組み立てることにしました。

 ただ,この作業が本当に無駄だったかというと決してそんなことはなくて,バネのかけ間違いを1カ所,バネの外れを1カ所見つけて,正しい状態に戻すことが出来ました。

 しかし,このカメラはバネが多いですねえ。ニコンFEやペンタックスES2も,こんなにバネは多くなかったですし,それぞれのバネの動きを見るとちゃんと役割が分かるのに,このXEというカメラについては複雑で,1つの軸に2つのバネが使われているなどざらで,動きを見ても何をやっているのか推測が出来ないものが多数あります。今回見つけた外れたバネも,戻す前後でなにが違うのか,全くわかりませんでした。設計者のしたり顔が目に浮かびます・・・

 ということで,右側のカバーをかぶせて,巻き上げレバーとシャッター速度ダイアル,電源スイッチを取り付けます。動作はとりあえず問題はなさそうです。

 ファインダーをのぞくと,ど真ん中にホコリがぽつっとあるのが目につきます。どうもプリズムとコンデンサーレンズの間の隙間から入り込んだみたいです。

 ブロワーで吹き飛ばそうとしましたがだめ。妥協はしないという方針から,再度プリズムを外して掃除することにしました。間違いはここでおきました。

 ゴミを除去して,綺麗なファインダーになったところで,電気回路の確認を始めてみます。まず露出計の調子を見ます。グレーカードを用意し,基準となるF3で明るさを調整してから,XEで測光してみます。

 結果はほぼ問題なし。ペンタカバーをしていないので誤差が出ているように思いますが,一応手をかざして試してみると,ほとんどF3と同じ値を示してくれます。本当は高輝度と低輝度で調べる必要がありますが,今はとりあえず調整ではなく動作確認ですので,これで先に進みます。

 次にシャッター速度の確認です。いつものようにオシロスコープを使って確認します。

 マニュアルモードでは,全速度全く問題なし。ここまで完璧だと気分がいいです。続けてオートモードを確認してみたのですが,なんと高速側で全く速度が出ていません。

 X速度以下では問題なさそうなのですが,X速度以上だとX速度そのものが測定されてしまいます。マニュアルに戻して1/1000秒を測定すると・・・先程きちんと出ていた速度が,X速度と同じになっていました。

 こわれた・・・

 焦ったのですが,1つ思い当たることがありました。

 先程,ファインダースクリーンのホコリを除去するのに,右側のカバーを外さずプリズムを外したため,プリズムの上のある回路基板に繋がる電線を無理に引っ張ることになりました。

 これで配線の位置が変わってしまい,メカシャッターで動作させる場合のレバーに引っかかって,メカシャッターモードに強制的になってしまっているのではないかと考えた訳ですが,調べてみるとその通りでした。

 X速度ではメカシャッターモードになっているので,電池が切れても動作させることができます。しかし,それ以外の速度では電子シャッターですので,電池が切れているとミラーが上がったままになります。

 配線がレバーに引っかかっているときは,電池を抜いても全速度でシャッターが切れてしまいましたから,やはりメカシャッターモードになっていたことは確実です。

 面倒くさがらず,カバーを外し,基板を外して,その下側にある配線をうまく逃がして,元に戻したところ,この問題は完全に解決しました。

 気をよくして,オートモードの速度チェックを行うと・・・やっぱりだめ。

 症状は先程と全く同じで,X速度以上で生業がなされず,X速度そのままが出ています。1/60秒以下の低速側は,10秒まで全く問題がありません。

 これは困った。サービスマニュアルでは,シャッター速度の調整を低速側と高速側で分けていません。回路上も分けていないようなので,どちらかだけ正しい動作をするというのはちょっと考えにくいのです。

 確かにシャッターが全開になるかならないかという差が低速側と高速側にはあるわけですが,だからといって高速側の速度が一律メカシャッターと同じというのは,ちょっと辻褄が合いません。

 絞り込みスイッチを押し,絞り込みモードで試してみると,メカシャッターと同じ速度で一定するのではなく,無茶苦茶速度がばらつくこともわかりました。いずれもメカシャッター以下の速度にはなりませんが,1/1000秒や1/250秒が出るかと思えば,明らかに1/1000秒以上の速度だったり,ひどいときは全くシャッターが開かず,ミラーがジャムを起こして降りてこなくなります。規則性はありません。

 面倒くさがらず,回路基板の確認を行ってみたのですが,感度/絞りのスライド抵抗に流れる電流に大きな違いがあるようで,もしそれがICの破損によるものだとすると,本当にお手上げになってしまいます。

 でたらめとはいえ,オートモードで高速シャッターが切れているわけですから,まだ脈はあるといった感じなのですが,こういう場合の問題はやっぱり難しく,諦める覚悟も必要です。

 マニュアルシャッターが正確であるということは,タイミングコンデンサを含む時定数回路には全く問題はないということです。

 絞り込み測光で速度がばらつくということは,CdSにあたる光の強さで動きに差が出ているのかも知れません。そうすると対数圧縮回路かメモリコンデンサの不良になるでしょう。

 ひょっとするとミラーボックスを外し,組み立てたときにスイッチの位置がおかしいまま組み立ててしまったのかも知れません。それで,メカの動作に正しいスイッチの動作になっていないということです。

 いずれも仮説に過ぎませんが,オートモードがダメになる場合,低速側で全く速度が出なくなるものですし,マニュアルシャッターもおかしくなるのが普通です。

 ただ,条件がいろいろついているということは,問題の切り分けを行うヒントがあるということです。サービスマニュアルを見ながら,もう少し頑張ってみようと思います。

途中経過

 日曜日から始めたミノルタXEのレストアですが,途中経過を書いておきます。結論から言うと,まだまだです。

 分解してみたところ,水没や落下による歪みなど,致命的な問題は見あたりませんでした。シャッターも露出計も問題なく動作しているようですし,症状としてスプロケットと巻取リールが回転せずフィルムが送られないという問題以外は,確かにないように思われました。

 しかし残念なことは,仮に作業が全部終わっても,実用機として活用できるかどうかはなかなか微妙な感じです。

・ペンタプリズム

 一番深刻だったのはペンタプリズムでした。この時代のカメラの多くは,プリズムのクッションにモルトプレーンが使われていますが,また悪いことにこの時期のモルトプレーンは加水分解でドロドロに溶けてしまうのです。

 その結果起きる最も深刻なものが,ペンタプリズムの蒸着の剥げです。プリズムには銀なりアルミなりを蒸着して鏡を作ってありますが,これが溶けたモルトプレーンで侵されてしまい,腐食して剥げてしまいます。

 ペンタックスのSPやオリンパスのOM-1も有名ですが,この時代のミノルタにも多発している問題で,修理にはプリズムの交換か,再蒸着しかありません。しかし,交換用のプリズムも腐食が進んでいるケースが多いですし,再蒸着は素人にはとても無理です。

 今回のXEは,腐食は全く見られなかったのですが,分解してモルトプレーンを確認すると,もうドロドロに溶けています。このまま放置しても,蒸着が腐食するのは時間の問題でしょう。

 こういう場合,溶けたモルトプレーンを綺麗に除去し,新しいものに張り替えるのが最善なわけですが,アルコールで拭いてみると蒸着が剥がれてしまいました。もうかなり浸食が進んでいたということなんですね。

 幸い剥がれた部分はファインダーの視野の外だったので見た目に問題は出ませんが,不本意ながらこのまま戻すことにしました。いつダメになってしまうか分かりませんが,モルトプレーンは新しいものを貼り付けておいたので,少なくともモルトプレーン自身の腐食は止まるでしょう。蒸着面に残った溶けたモルトプレーンを除去できなかったことで,これが後々問題を起こすことは避けようがありません。

 あと,小さな事ですが,やっぱりカビが生えていました。拭き取りましたが,少し跡が残っています。


・サブプリズム

 ペンタプリズムから光センサーであるCdSへ光を導くため,サブプリズムが貼り付けられているのがこの時期のミノルタの特徴です。

 CdSはペンタプリズムの前後に1つずつ取り付けられており,画面の上半分と下半分の輝度の差を補正して適正露出を得るというCLCという独自の方式が採用されています。

 普通,この時期のCdSの取り付けは,アイピースの左右なのですが,ミノルタはペンタプリズムの頂点ですし,キヤノンのF-1なんかはピント板の近くから集光しています。いろいろ試行錯誤があった時代です。

 で,XEの場合非常に真面目に光を導いており,ペンタプリズムにサブプリズムを貼り付けてあるのは前述の通りです。問題はこの部分です。

 CdSを取り外して分かったのですが,ペンタプリズムとサブプリズムの貼り合わせ面が変色して腐食し,光を通しにくくなっている上,CdSの表面に均等に光が当たらなくなっています。前後両方のサブプリズムで同じ傾向が見られました。

 まだ露出計の確認と調整は行っていませんが,おそらく露出の誤差はかなり大きいものになるでしょう。変色して茶色になっているということは,色によって測光結果が変わることにもなりますので,露出計は期待できないでしょう。ということは,XEのようなAE機は,その機能の半分を失ったことになります。


・油ぎれ

 今回の問題である巻き上げの異常は,結果だけ言うと多重露光モードになったまま復帰しなかったことにあります。

 この話はXEには知られた問題のようなのですが,ちょこちょこといじって多重露光モードを解除しても,多重露光レバーをいじれば再発するそうです。

 分解して分かったのですが,全体的に動きが渋く,汚れと油ぎれがかなりひどい状態でした。素人修理の御法度に給油があるのですが,背に腹は代えられません。模型で使う良質の薄めのオイルをほんの少しだけさしてやります。

 もともとグリスが塗られていた部分も見つけては,テフロンいりのグリスを少しだけ塗ってやり,かなり動きはましになりました。それでも完全分解したわけではありませんので,ちょっとした引っかかりが気になるところです。

・モルトプレーンの腐食

 ペンタプリズムだけではなく,すべてのモルトが腐食していました。ミラーの保護用のモルトは言うに及ばず,裏蓋の遮光用も全滅です。XEは結構モルトプレーンを多用しているカメラのようで,プリズムのカバーにも遮光用に使われていますし,びっくりしたのは多重露光レバーの回転部分の隙間を埋めて遮光するために,モルトが使われていたことでした。


 という感じで,機械的に壊れた部分はそれほどないにせよ,全体的な程度の悪さは否めないと思います。この時代のカメラですから,当たり前といえば当たり前なのですが・・・

 特にプリズムの腐食は深刻で,最終的に露出計の動作に支障が出るはずですから,実用機として使えるかどうかはかなり疑問です。

 全体のメンテは一応終わったのですが,これから組み立てながら電気回路のチェックを行います。そうするともっといろいろ問題が出てくるのではないかと思います。

 あと,カバーを開けたときに,バネが1つ落ちてきました。これがどこから外れたものなのか,現在も特定できていません。サービスマニュアルとにらめっこが続いています・・・

SMC takumar 28mm/F3.5のレストア完了

ファイル 65-1.jpg

 レストアしていたSMCtakumar28mm/F3.5ですが,完成しました。

 写真ではわかりにくいと思いますが,塗装も綺麗に仕上がって,ぱっと見るとかなりの美品です。というわけで,前回の続きです。

(1)塗装

 シンナープール(実際にはもっと強力なツールクリーナー)につけ込んだ4つの部品ですが,自分で後から塗装したものだけが落ちていました。元の塗装はアルマイト処理をしてあるそうなので,そりゃシンナーくらいで落ちるはずがありません。

 下地処理をどうするか悩んだのですが,本来ならメタルシールプライマーを使うべき所を,塗膜が厚くなることを心配して,「ミッチャクロン」という塗料を薄く吹き付けることにしました。

 といってもこれはスプレーなので,そのまま吹き付けるわけにはいきません。エアブラシのカップに吹き込み,塗料がたまったところで吹きつけを行います。

 ミッチャクロンは,一部の人には好評のようなのですが,私個人はその効果を実感したことはありません。多少剥がれにくくなるかなーと言う程度の話です。

 次にセミグロスブラックを吹き付けます。ここまではなんの問題はありません。ここまでで終わると塗膜も弱いし,刻印にスミ入れを行ったときに,はみ出したエナメル塗料を拭き取る際に,エナメルシンナーにブラックがわずかに溶け出して,せっかくスミ入れした文字を汚してしまいます。

 そこで,丁寧にクリアを何回にも分けて塗るのですが,ここで失敗。その時は気が付かなかったのですが,つや消しクリアの分量が多かったようで,まるでプラスチック鏡筒のようなつや消しに仕上がってしまいました。

 まあいいかとスミ入れを済ませ(これはうまくいきました),最終組み立てを始めます。


(2)組み立て

 塗装を傷つけないように組み立てを慎重に行ったのですが,前回目処が立ったはずのヘリコイドの組み立てが,どうもうまくいきません。ピントリングまで取り付けてみると,ヘリコイドの回転範囲がやはり狭いままです。これでは無限遠を出すことも出来ません。距離の指標も全然でたらめで,ここでかなり焦りました。

 答えは,ヘリコイドのガイドにはめ込んで鏡筒に固定する金具(これによってヘリコイド全体がくるくる回らないようになる)を固定する方法にミソがありました。この金具をベスで固定するとき,ヘリコイドの位置が中央付近でないと,ガイドに飛び出ている突起か何かに邪魔されてしまい,そこから動かなくなってしまうようです。

 外側のヘリコイドの位置がまずいせいでピントリングが飛び出しすぎてしまったり,試行錯誤の調整がありましたが,こちらもなんか目処が立ちました。

 ところが,やっぱり気になるんですね,つや消し塗装が。他のtakumarと並べてみるとその差は明らかで,つやの程度の差がこれほど印象に差を作るとは思っていませんでした。

 中途半端な妥協をすると後悔すると思った私は,クリアだけ再塗装することにしました。


(3)再塗装

 私が模型を行うときに標準的に使っている「特製半光沢クリア」に,もう少しつやを与える調合を行いました。スミ入れの上から吹き付けることになるので,文字の保護にも役に立ちます。

 3回から4回ほど繰り返して吹き付けたのですが,仕上がりは狙い通り。手前みそですが,なかなかうまく出来た部類に入るのではないかと思います。ただ,結局模型用のラッカーですので,塗膜は弱く,簡単に剥がれてしまうでしょう。


(4)再組み立て

 再塗装の翌日,ささっと組み立てを済ませました。今度は全く問題はありません。

 ところで,分解の理由になっていたトラブルですが,絞りの粘りは絞り込みのピンの油の付着が原因でしたし,絞りリングが途中で回らなくなるのは,実は絞りリングの変形が問題でした。

 目に見えるほどの歪みなら組み立てもままならないわけで,手でぐいっと引っ張って少しずつ修正をしました。ちょっと渋いのは相変わらずですが,実用レベルでしょう。


(5)調整

 調整,と一言で書きましたが,今回の最大の難関はこのプロセスです。そう,ヘリコイド分解の後にやってくる,無限遠出しです。

 無限遠と見なして良い距離の物体にピントが合うようにしておかないといけないのは言うまでもありませんが,これがなかなか難しいのです。特に広角レンズのように,無限遠の物体が小さく写ってしまう上に,被写界深度が深いケースでは,ピントが合っているのかどうかを判断するのがとても難しいです。(ましてこのレンズはF3.5,しかもボディはES2ですからファインダーはもう真っ暗です・・・)

 本当なら,オートコリメータという装置を使って調整を行う無限遠出しですが,今回はこのオートコリメータの原理を手元の機材で再現して見る事にしました。

 コリメータとは,焦点に置かれた点光源を平行光にするレンズのことです。無限遠というのは言うなれば平行光の入射のことですので,コリメータレンズを通った光にピントが合えば,そのレンズは無限遠が出ているということになります。

 いやー,理屈はなんとなく簡単そうなのですが,これを実際に簡単にやってしまった方がいらっしゃって,詳細がその方のホームページに掲載されていました。ありがたいことです。

 まず,基準となる一眼レフを用意します。ここに200mm以上の望遠レンズを取り付け,無限遠を出しておきます。昔のマニュアルフォーカスのレンズなら∞のマークの方向に目一杯回しておけば無限遠になっていますが,最近のオートフォーカスのレンズでは行きすぎてしまうようで,わざわざ無限遠にピントを合わせることから始めないといけません。

 私の場合,一応300mm程離れたところに,28-200mmのズームレンズのピントを合わせてお気,無限遠としました。

 これを先日なおしたばかりのFEに取り付けます。本当はここも信頼できるF3なんかにすべきなのでしょうが,まあいいでしょう。

 このカメラを三脚に取り付けます。

 次に,無限遠を出したいレンズを,別のボディに取り付けます。私の場合はES2に取り付けました。

 そして,裏ブタを開け,フィルムの通る位置に0.4mmのプラ板を貼り付けます。プラ板は紙ヤスリでマット面を作っておき,中央に鉛筆で×印を着けておきます。

 ざらざらの面をシャッター側にして貼り付けるのが大事です。

 次に,もう1つの三脚にES2を据え付けるのですが,私は三脚を1つしか持っていないので,残念ながらES2は机の上に置きます。そしてバルブにしてシャッターを開放,裏側から蛍光灯スタンドで明かりを入れます。

 ES2に向かい合わせて,無限遠を出したFEを置きます。光軸がまっすぐに合えば,FEのファインダー越しに,プラ板に書いた×印が中央に見えるようになります。この時,カメラ同士の距離は関係がありません。

 FEのファインダーを見ながら,×印が最もくっきり見えるように,ES2側のレンズのヘリコイドを回します。鉛筆で×印を書いておくと,鉛筆のザラザラ感が実に良くピントの山を目立たせてくれるので重宝します。

 ぴったりピントが合ったところが,無限遠です。この位置でピントリングを固定して調整終了です。

 作業は割と簡単にできたのですが,気になるのは28-200mmのズームがAF用で,本当に無限遠が出ているかどうか,結局私の目視の精度に依存してしまったことです。

 そこで,10年ほど前に買った,マニュアルフォーカスの100-300mmのレンズを取り出しました。10年ほど前とはいえ,ほとんど使うこともなく,しかも一度修理に出しているので,無限遠はおそらく出ているでしょう。

 早速このレンズを目一杯回して上記と同じチェックをしてみると,驚いたことにぴたっと無限遠が出てくれています。200mmの望遠で300mmの距離は無限遠と言えるという事だと,勝手に納得しました。

 以後はこの100-300mmを使って調整することにしましょう。

 すっかり気をよくした私は,以前目分量で調整したSMCtakumar135mm/F3.5も,この方法で調整することを思いつきました。

 確認してみると,やっぱり全然無限遠が出ていません。

 その前に,レンズに随分とカビのようなものが・・・購入時には分解して掃除したはずなので,やはり発生してしまったということでしょうか。

 あわてて分解して掃除します。まだ初期だったので,問題なく復活です。

 そして無限遠を出していきます。ピントリングをヘリコイドに固定するビスがフィルター枠の固定のための突起に隠れてしまうので,なかなか思った位置に固定できずに苦しんだのですが,なんとか追い込んで終了。いやー,気持ちがよいです。

 他のレンズも試してみましたが,あとは大丈夫でした。


(6)最終組み立てとまとめ

 あとはもう簡単です。フィルター枠をビスで固定し,常用のフィルターをはめ込みます。これで完成です。トップの写真は,ここまでの作業が終わって撮影したものです。

 グリスの入れ替えは好みの問題もあるでしょうが,私個人はちょっと柔らかすぎたかなと思っています。広角は絞り込んでパンフォーカスにすることも多いので,勝手に回ってしまわないよう,堅めがよかったのですが・・・

 それ以上に,ちょっとヘリコイドにガタがあることに気が付きました。バックラッシュがわずかにあるようです。実用上は問題はないのですが,かなり残念な感じです。おそらく,ダブルヘリコイドの,外側のヘリコイドの位置がまずかったのでしょう。

 というわけで,一応私の期待通りの結果に終わってくれて,ほっとしています。今回は無限遠出しをコリメータ法で行うというノウハウを手に入れたのが大きいです。まだテスト撮影は行っていませんが,まあぱっと見る限り大丈夫でしょう。

 お気に入りのレンズだけに,うまくいってよかったです。


(7)そして物語は続く・・・

 このレンズが組み上がった直後,北の国にお住まいのある方から壊れたカメラが届きました。ミノルタXEにMC-Rokkor50mm/F1.7。

 症状は巻き上げレバーを回しても,スプロケットが回らず,フィルムの巻き上げが行われないというものです。シャッターのチャージは行われていて,露出計も生きていますし,シャッターもちゃんと落ちます。(巻き上げの感触は噂通りの絶品でした)

 MC-Rokkor50mm/F1.7は後玉にカビが派手に出ており,どっちにしてもこのままでは使えません。

 修理するチャンスをご厚意で頂いたのですが,軽く調べてみるとXEにはこの手の持病があるらしく,比較的簡単に直るのではないかと決め込んでいたのですが・・・

 まて次号!

SMC takumar 28mm/F3.5を分解中

 昨日,急にSMC takumar 28mm/F3.5のオーバーホールを始めてしまいました。

 購入してほぼ1年が経過したのですが,1500円か2000円かそこらで買ったジャンクレンズなので,なにかと問題を抱えていました。後玉内側に派手なカビがあり,絞り羽根が粘ってまともに動作しない,その上オート/マニュアルレバーがガタガタで動作も渋く,絞りリングが途中で回らなくなることがあったりしました。それに外観もひどく,傷もたくさんあるし,塗装は焼けてしまっています。

 1年前はカビの除去と絞り羽根の粘りを取ることだけやって済ませたのですが,実際に使ってみてその写りに驚き,それがまた私の好みであることを発見して,今私が一番気に入っているレンズになっています。これが使いたいからES2もメンテしてるようなものです。

 ところが,光学的には全く不満のないこのレンズも,鏡筒の問題を無視できなくなりました。先日手に入れたMZ-10にマウントアダプターを使って装着したとき,オート/マニュアルレバーをマニュアル位置にしないといけないのに,ここの動きが渋い上,絞りリングが途中から回らなくなると,実使用に支障が出てきます。

 まあ安いレンズだし,買い直せばいいかと思っていたのですが,実は近所のカメラ屋でも最近このレンズをあまり目にしなくなりました。半年ほど前まではいつもジャンクのカゴに1つや2つ必ず入っていたものなのに。

 今ペンタックスのデジタル一眼の調子が非常によいようですが,おそらくそのこととも無関係ではあるまい,と思ってみても,問題は何も解決しません。

 1年前のメンテの記録を見てみると,ヘリコイドをばらさないといけないような修理は面倒だからやめた,とあります。今回のメンテは主に鏡筒に関してですので,出来ればヘリコイドをばらさなくてもいいようにしたいところです。

 昨日防湿庫から取り出したこのレンズ,早速バラしにかかります。前面の化粧リングを外し,その下にあるビスを3つ外します。するとフィルター枠が外れて前群が外せるようになります。前群を外し,ピントリングを固定している3本のビスを外します。

 この段階で,無限遠出しが必要になってしまいました。そうと決まれば,もう遠慮はいりません。

 ピントリング,指標を書いたリング,そして絞りリングを次々に外します。その下に現れる3本の皿ビスを外すと,マウント部が外れてくれます。

 まずは外れたマウント部のメンテです。オート/マニュアルレバーはこれを固定する2本のビスがゆるんでいたせいでした。ただ,レバー可動部の遮光のために貼られていた1mm厚のモルトが,加水分解と油分のせいでドロドロに溶けています。

 また,絞り羽根自身の動きは非常にスムーズで,粘りの原因は実は絞り連動ピンでした。ピンを抜き,ベンジンで油分を取り除くとウソのように軽く動くようになりました。

 マウント周辺の機構をばらして,古い油を取り除き,モルトも張り替えます。一応これで十分だろうというレベルで,清掃が終わりました。

 さて,せっかくヘリコイドをばらしたのですから,ヘリコイドのグリスを入れ替えましょう。このレンズは,別にグリスが抜けたわけでも,劣化が進んでしまったわけでもないのですが,少々重いなという印象があります。ここまで分解することは二度とないだろうと思ったので,このまま決行します。

 ダブルヘリコイドになっているので,グリスの充填されたネジ山は2カ所あります。2つのヘリコイドリングを分解し,古いグリスを拭き取ります。

 そして新しいグリスを塗りつけ,組み上げます。新しいグリスはやや柔らかめを選んだので,従来よりも操作感が増すことが期待できます。

 ただ,うまく組み付けないと,無限遠が出るほどヘリコイドを引っ込められなくなります。これで大丈夫かなと言うところで,昨日は時間切れ。寝ました。

 後は鏡筒の補修なのですが,シンナーで薄めた黒のラッカーを筆でやっつけで塗った補修があまりにみっともなく,このまま組み上げるのが悔しいので,まずはシンナープールにつけ込んで,古い塗装を剥がします。

 オリジナルの焼き付け塗装がハゲしてしまうとメタルシールプライマーを塗らないといけませんが,もし剥がれないで残っているなら,もう面倒なのでこの上から黒とクリアを吹き付けることにします。文字のスミ入れが面倒臭いなあ・・・

 今日,もし出来れば塗装を済ませたいですね。そうすると週末にでも無限遠出しを行って完成の運びです。

 昨年から,レンズ磨きの腕前も上がって,今見ると拭き残しとかあるんですね。これも綺麗にして,完成度を上げていこうと思います。

 よく言われることですが,このころのtakumarレンズはまさに工芸品のような作りで,デザインといい作りといい質感といい,素晴らしの一言に尽きます。先日のFA43mmはなにか「特別」なような扱いですが,30年ほど前同じメーカーがそれをすべてのレンズに,当たり前のように与えていたことを思うと,実に感慨深いものがあります。

 だからといって,私はプラスチックのレンズをダメだとも思いませんし,唯一正しい答えである「両方用意する」という姿勢を貫いてくれる数少ないメーカーとして,私はペンタックスを大変に評価したいと思います。

 せっかくの28mm,なんとしても復活させねば。

FA43mmF1.9が使いこなせません

  • 2006/12/04 15:09
  • カテゴリー:散財

 Kマウントのボディを手に入れたら,必ず買おうと思っていたレンズが,FA43mm/F1.9Limitedです。

 1997年の発売と言いますから,もうすぐ10年ですか。ちょうどこのころって,パンケーキレンズとかマニュアルフォーカスのレンズとか高級コンパクトカメラなんかが流行った時期だと思うのですが,そんな時期のレンズにふさわしく,金属の鏡筒を持つ,大変に質感の高いレンズです。

 個人的には,ミノルタとペンタックスのオートフォーカスレンズのデザインの悪さと質感の低さには言葉もないと思っていまして,せっかく良く写るレンズなのに見た目で損をしているよなあと残念でなりませんでした。

 ところがペンタックスはミノルタと違い,ボディは相変わらずペナペナでも,レンズだけは他のマウントのユーザーをうならせる素晴らしいものを時折ラインナップすることがあります。FA☆85mmなんか,見かけはプラスチックに銀色の塗装でがっかりですが,その写りにはプロも絶賛,という具合です。

 で,このFA43mmですが,ペンタックスが言うには,フィルムの対角が43mmということで,中判の定義を借りればこの焦点距離こそ真の標準レンズであると。ただ,35mmでもなく50mmでもないこのレンズを,中途半端という人もいないわけではないようです。

 当時,フードをかぶせたその格好の良さにぴぴっときました。そして43mmという中途半端な焦点距離に,F1.9という出たとこ勝負っぽい明るさにもかなりくらくらしていました。

 聞けば実際の写りを重視したとか,色ごとに球面収差を揃えたとか,暗部の階調が粘るようにわざわざフレアを少し残したとか,ただただ良く写るというレンズではないことが歌われています。

 その割にはそんなに高価なレンズではないところがペンタックスのよいところで,これがFマウントで出てくれればどんなに良いことか,と当時思ったものです。

 このレンズを現実的に考えたのは,*istDが出たときです。ニコンからAi対応したデジタル一眼がなかなか私の手の届く価格で出てこないため,いっそのことマニュアルレンズの面倒が非常によい*istDを買って,Kマウントに乗り換えようかと思った時でした。

 結果,D2Hを買うに至ってこの話はなしになったのですが,当時は中古カメラ屋にもFA43mmがいくつも出ていて,いついっても安価に買うことが出来ました。

 そして,今回,MZ-10を修理して手に入れたことで,念願のFA43mmをようやく手に入れる理由が出来たのです。

 これが,例えばNikkor45mm/F2.8Pのようなテッサー型だったらきっと買わなかったと思うのですが,きちんとガウス型になっているのですね。個性という意味でもパンケーキレンズであるという取り回しの良さでも,私の手持ちでこれとかぶるレンズはありません。欲しい。

 躊躇していたのは,MZ-10の修理の状態が原因でした。

 これまでに書いたように,割れたり折れたりしたプラスチックを接着剤で付けたり別のプラスチックを盛り上げたりして修復しただけであり,本質的に一度折れたプラスチックの部品は同じものと交換するしか,完全な方法で修理できません。

 それに,ギアが割れたりストロボが上がらないMZシリーズがどれほど多いことか。カメラはもはや一生ものではなく,3年持てばそれでよい,という設計思想は,コストダウンには貢献しますし,現状においては必要十分であることは理解できますが,同じ時期のニコンのカメラがまだまだしっかりしていることを考えると,使い捨てられることが設計時に決まっているなんて,このカメラの設計者は無念であるに違いないと思います。

 ですから,いくら修理を行ってもどうせまたすぐに壊れてしまうでしょうし,買い直すといっても,現在も製造されている新品を買うわけではありませんから,壊れやすさという点では何も解決になりません。

 FA43mmを手に入れても,ボディが壊れてしまえば他に使い道はありません。そして,確実に,そう遠くない時期に,ボディは壊れてしまうでしょう。

 迷いました。安い中古があれば買ってみようと思ったのですが,あいにくここ最近のペンタックスの躍進は凄まじく,K100DやK10Dのユーザー達が新品中古を問わず,片っ端からKマウントのレンズを買いあさっているようなのです。

 FA43mmも,中古はどこにもありません。新品も限られたところしかありません。Limitedというくらいですから,次の入荷が必ずあるという保証もありません。

 それに,FA43mmを生かし切るには,やっぱりフィルムで使わなければならないでしょう。そのフィルムが楽しめなく日は,やぱり確実に,しかもそう遠くない時期に,やってきます。

 そんなことを考えていると,偶然新品が1つだけあるという店を見つけました。価格も大手カメラ量販店よりも安いです。これも何かの縁だと,買うことにしました。

 手にしてみると,その質感には大変素晴らしいものがあります。私はTakumarレンズが好きなのですが,文字の彫り込みなどを見ていると,まるでTakumarレンズのような感じです。

 AFレンズなのにフォーカスリングにも粘りがあり,マニュアルフォーカスでもがっかりしないものになっています。これは他社も見習ってもらいたいです。

 フードはぜひ使いたいところですが,これは薄さを取るかどうかにかかってくるでしょう。私の場合,小型のMZ-10にフードなしのFA43mmを持ち出すのが気軽でいいのですが,それがどのくらい撮影条件を狭めるものになるかhば,これから考えないといけません。

 で,いくつか早速撮影してみました。

ファイル 63-1.jpg

 えーと,恥ずかしながらこの写真でFA43mmを絶賛するにはむりがありますね。構図もおかしく,やはり43mmという焦点距離に振り回されたという感じでしょうか。少しボヤーとしていて,シャープさがないのですが,背景の夕暮れ時の微妙な空の色の変化は,きちんと捉えていると思います。要するに撮影者の修行が足らんと言うことです。

 もう1枚。

ファイル 63-2.jpg

 これはまずまずです。やっぱり色ですね,このレンズは。

 ついで,といってはなんですが,FA35-80mmという廉価版標準ズームを500円で買って来ました。後玉の裏側がかびていたのですが,樹脂で封止されていたレンズを強引にひっぺがし,カビを取り除いた後に接着剤で貼り付けたという,とんでもない修理を施されたレンズです。

ファイル 63-3.jpg

 ・・・良く写っていると思いませんか。色も十分だし,シャープネスもいい。確かにコンパクトカメラからのステップアップや一眼レフ初心者にとって,このレンズを1つ買えば,すぐに一眼レフの楽しさを味わえるでしょう。いやはや,見くびっていました。単焦点レンズ並みに小さい実用ズームレンズは,持ち歩くのにも苦になりません。こういう世界もあったのだなあと,つくづく思いました。

 そんなわけで,まだまだFA43mmを楽しく使うには練習が必要です。今のMZ-10が壊れてしまった時のために,予備機(といってもジャンクです)を確保しました。それでも信頼できないボディなのですが,そのころにはフィルムも底をついているでしょう。せっかく意を決して新品のレンズを買ったわけですから,今だからこそ楽しめるフィルムを,どんどん楽しもうと思います。

ページ移動

  • ページ
  • 1
  • 2
  • 3

ユーティリティ

2006年12月

- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

新着エントリー

過去ログ

Feed