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2007年01月の記事は以下のとおりです。

カメラ関係のメンテナンス

 さて,年末から年始にかけて数多くのレンズやカメラのメンテナンスを行ってきましたが,まとまってきましたので駆け足ですがレビューします。

・MEsuper

 年内に終わらせようと頑張ったMEsuperですが,レストア自身は終わったものの試し撮りがまだで結果については年越しとなりました。

 先日ようやく試し撮りを終えたのですが,結論から言うとNG。実用になりません。

ファイル 84-1.jpg

 これは1/2000秒のオートの結果です。絞りはF2.8ですが,非常にアンダーで露光ムラもひどいです。マニュアルの1/2000秒でも同じ結果となります。レンズはFA43mmですから,レンズが悪いということはないはずです。

 原因を調べましたが,どうも1/2000秒のシャッター速度があまりに高速になっているようで,実力で1/4000秒近く出てしまっているようです。当然露光ムラも大きくなっており,使い物にはなりません。

 1/2000秒が使えないのは残念なんだが面倒なので割り切るかなあ,と甘えたことを考えていたのですが,よくよく調べてみると1/125X秒から上の高速シャッターが,やはり全体的に速めになっています。1/500秒よりは1/1000秒,1/1000秒よりは1/2000秒と,高速になるに従ってズレが大きくなっていきます。

 ただ1秒はきちんと出ているので,シャッター速度を低速側と高速側で別々に調整できないMEsuperの場合,やはり調整では解決しないような根本的な問題がどこかにあるんだろうと思います。

 幕速も気になって測定してみましたが,先幕が6.0ms,後幕が6.5msなので,先幕が少し速めですが,後幕が追いついてしまうようなことはないでしょう。それに幕速が遅いわけではないので,露光不足が起こっている今回の現象とは無関係であるはずです。

 低速シャッター専用のMEsuperなんてあり得ません。再修理決定です。


・MC W Rokkor28mm/F3.5 SG

 ミノルタXEが非常に好感触であったことに気をよくして,28mmを探していたところ,3400円ほどで手に入れました。手元に届いた28mm/F3.5は結構大きなカビがありましたが,それ以外には汚いくらいで,十分許容範囲です。

 カビは後玉の裏側にありました。これをささっとぬぐい取り,ついでに他のレンズもばらせる限りばらして掃除をします。ただし前玉を含む前群については,分解の必要もないほど綺麗だったのでこのまま使います。

 傷もなく,綺麗に蘇った28mm。お気に入りのSMCtakumar28mm/F3.5と同じ時期の製品で似たようなスペックですから,自ずと期待が高まります。

ファイル 84-2.jpg

 期待以上です。ミノルタのロッコールレンズは発色の良さを良く耳にしますが,これは本当だったんだなあと感じました。

 ただ,どうしても慣れないのが絞りリングの回転方向。フォーカスリングの回転方向がニコン/ペンタックスと逆なのはまだ許せるとしても,絞りの方向が逆なのは,私としては大混乱です。慣れというのは恐ろしいものです。


・MD Rokkor 50mm/F1.4

 XEを譲ってくださった方が,どうぞと贈って下さったのがこの50mmです。少々カビがあります。

 カビの場所は後群の先頭のレンズ,凹面にありました。しかし,コーティングにまで達していないので拭き取れば復活します。

 これまたついでですので,後群を数枚ばらして,ホコリや曇りを拭き取ります。前群は綺麗だったのでこのまま使います。

 作例は,あまりいいものがとれなかったのであげませんが,写りはばっちりです。


・MC Wide Rokkor 135mm/F3.5

 ソフトコーティングであることに気が付かず,1面だけコーティングをはがしてしまった135mmですが,これも綺麗になって復活しました。条件の悪いところでのゴーストやフレアの試験はやってませんが,試写の結果とりあえず目立つような問題はなし。


・Ai Zoom-Nikkor 35-105mm

 これもXEを下さった方が,50mmと一緒に送って下さいました。マクロ領域への切り替えがあるレンズで,ずっしりと重たいレンズです。

 鏡筒は塗装も至る所が剥げており,傷やへこみも多くあります。しかしレンズには傷はありません。

 カビもなかったのですが,かなり大きなゴミが入り込んでいたため,分解掃除を試みます。ズームレンズの分解はかなり難易度が高いのですが,それでもこのころのレンズは定石通りにネジをゆるめていけば,綺麗に分解が出来ます。

 このレンズは4群に分かれており,しかも群単位で外せます。ですから順番に外していって,気になる群だけ分解すればよいようです。私の場合,幸いにして鏡筒の分解を行うことはせずに済みました。

 ゴミを取り除き,ついでに拭き掃除も可能な限り行って,かなり綺麗になりました。

 しかし,このころのズームレンズってのは,私の腕や感性では,正直使い道がなかったりするんですね。Fマウントのズームレンズはタムロンの28-200を持ってますし,デジタルなら18-200が万能選手です。ちょうどこのレンズの領域の単焦点レンズはいろいろ持っていることもあり,性能云々を理由にせずとも,面白さという点でこのレンズを持ち出すことは少ないのではないかと今は思っています。

 それでもレンズが綺麗に磨けると情がわくもので,剥げた塗装のタッチアップと,文字のスミ入れを終えて見違えるようになりました。


・タムロン28mm/F2.8

 これは昨日書いたのですが,MEsuperと一緒についてきた28mmのレンズです。Kマウントの28mmも,手元にあって悪いものではないということで,結構気合いを入れてレストアしました。

 カビがあったのは後玉の裏側で,コーティングには達していません。ヘリコイドグリスが抜けてスカスカでしたのでグリスを充填し,好ましい感触になりました。

 無限遠はオートコリメータで出して,これは問題ありません。

 で,MZ-10に取り付けようとしたのですが,なんと取り付けが出来ません。Kマウントでこんなことがあっていいのかと,レンズの組み立て不良を疑ったのですが,結果はKAF2マウントのパワーズーム用電源供給端子が,レンズの裏側出っ張っているガードにまともにぶつかっているのがわかりました。

 FA43mmと比べてみると,FA43mmではこのガードはパワーズーム用電源供給端子を避けるように小さくなっており,28mmについてもこの程度まで小さくしないと駄目なようです。

 帰省直前のあわただしい中,少々乱暴な方法ですが,ペンチで挟んで折り取ります。折った部分はつや消しの黒で反射防止をしておきます。これで問題なし。

 試写したのですが,普通に良く写る28mm,という以外,特に個性を感じることはありませんでした。出番は少ないでしょうね,これは。

 フィルター径が49mmということで,純正の角形フードがそのまま使えます。これを大阪で買い求めて取り付けてみるとなかなかどうして,格好いい。やっぱ広角レンズには角形フードですよ,角形。

 なお,この28mmをプチプチに来るんでバッグに突っ込んでいった結果,プチプチを突き破って飛び出したとがった部分がFA43mmのフォーカスリングを傷つけた話は,いつも使っている特製の半光沢黒を丁寧に塗ってごまかしました。ぱっと見ではばれないでしょう,きっと。


・タムロン35-70mm/F3.5ミノルタMD
 XEのてこ入れとして,いわゆる標準ズームを1使っておくことにしました。レストアなど必要ない美品でしたが,1500円かそこらだったと思います。

 このころの標準ズーム,特にレンズメーカー品については,私は全然良い衣装を持っていません。ファインダーで見れば分かる収差が平気な顔をして現れるのは,安かろう悪かろうという問題ではなく,その会社のポリシーの問題だと感じていました。

 ただ,1995年以降のレンズの性能には目を見張るものがあり,以降偏見はなくなりました。

 で,このレンズです。これも実は良く写るレンズでした。広角から望遠,マクロ領域までいろいろ遊んでみましたが,とりあえず破綻もなく,非常に無難にまとまっています。

 性能を言い出すとさすがに昔のズームだなあと感じるわけですが,しかし性能の低さが直ちに悪い方向に向いているという訳にはいかないとも思います。

 ただ,最大の欠点は重いこと。XEとの組み合わせは,もはやこのレンズとだけでも「重いなあ」と不平を周期的に繰り返す重さです。

 どういう使い道があるかなあと考えていたのですが,28mm-50mm-135mmが揃ったXEで,やはりこのレンズの出番は少ないように思います。


 こんな感じです。

 やっぱり当面の目標は,MEsuperですね。思い当たる確認箇所があるにはあるので,ここを調べる必要がまずあるのですが,そのためにはミラーボックスを外さないといけません。ほとんど全バラシになりますので,生半可な気持ちで取りかかると失敗します。

 時間的にも気分的にもゆとりのあるときに,やるしかないなあと考えています。

 それにしても,ちょっとレンズや機材を増やしすぎになってきたと思います。レンズもカメラも,新品ではない以上,気が付いたら壊れているということが起こるものです。数が増えれば壊れるカメラも増えるので,私一人が面倒を見られる台数はそれほど多くはありません。

 そういう意味でも,どうしても欲しいなあと思うものを除いては,もうむやみに増やすのは控えようと思います。

 うーん,でもなあ,Kマウントのレンズは,もうちょっと欲しいよなあ・・・

実家に持って帰った機材

 今年の帰省では,とにかくMZ-10とFA43mmは絶対に持って帰ろう思っていました。これにD2H,AF-SNikkor18-200mm/F3.5-5.6DX,Planar50mm/F1.4ZFを持っていけば,無難な撮影も趣味に走ることも可能です。

 さらに,帰省の前日に無理して仕上げたタムロンの28mm/F2.8(Kマウント)も試し撮りをすることにして持ち帰りました。結果は散々だったわけですが。

 MZ-10は音もやや大きいですし,今ひとつキビキビした動きがないのでレリーズすることそのものはあまり楽しいものではないのですが,FA43mmがとにかく面白いです。画角そのものもいいですし,結果を想像しつつファインダーをのぞき込むワクワク感もよいです。

 たいした写真ではありませんが,いくつか。

ファイル 83-1.jpg

 通天閣ですね。昨年秋にリニューアルしたので撮ってみました。でも,周囲の雰囲気も含めてテンポがそれほど変わらないのが,新世界のよいところです。

 動物園の入り口付近のコンビニ前でだらだらしていたオッサンとオバチャンが,パトロールでふと立ち寄った自転車の警察官に笑いながら「この酔っぱらい逮捕してぇなぁ」と楽しそうに話しかけ,警察官もまんざらではなかった姿に,吉本新喜劇やさんまの駐在さんはノンフィクションであることを今更ながらに実感した次第です。

ファイル 83-2.jpg

 天王寺動物園を横断する橋になぜか存在する足形です。この先に,猫と戯れるオッサンがいて,ほのぼのした空気がありました。でもまあ,この界隈はあまりカメラを向けると何が起こるかわからんところなので,油断は禁物です。

ファイル 83-3.jpg

 母の還暦に贈ったロウバイが,今年初めて花を付けました。この写真の中の,一番大きなつぼみは,翌日には開花していました。ちょうど年末の強風が吹き荒れていたときのお話です。

ファイル 83-4.jpg

 同じく実家の庭にあった鉢植えです。

 こういうヴィヴィッドな色合いが冬にはアンバランスなのかも知れませんが,実物を目にするとどきっとしつつ,でもほっとするものもあります。

ファイル 83-5.jpg

 庭の隅にひっそりと実を付けた南天です。濃い緑と艶やかな赤に思わず息を呑む南天ではありますが,あまり大きく繁った木はかわいらしさよりもある種の恐ろしさが先に来てしまうので,このくらいの木の大きさ(50cmくらいですかね)が個人的にはベストです。

 背景も汚いし,踏み入れるのが難しい位置だったので構図は無茶苦茶ですが,まあ仕方がないとしましょう。写真がへたくそなのは今に始まったことではありませんし。

 タムロンの28mmの作例が1つもないのですが,これはろくな結果が出てこず,がっかりしたからです。誤解のないように書いておきますが,レストアはちゃんと出来ていて,無限遠も出てますし,普通に良く写るレンズだったのですが,色合いがどんよりとしており,鈍重な印象を強く持ってしまったことが「ボツ」の烙印を押すに十分だったということです。

 それにしても,今更ながらにFA43mmはいいなあと思います。結局,銀塩のカメラというのは,撮影から結果を見るまでに時間がしばらく空いてしまうので,撮影時の期待と結果を見たときの印象の差分に,かなり大きなズレ(というかバイアス)が加わります。

 人間は期待と結果の裏切られ具合が適当だと心地よく感じるものなので,FA43mmに対する高評価というのは,結果の印象が期待よりもずっと良かったということになるのでしょう。その傾向は,おそらくデジタル写真より銀塩写真の方が,より大きなものになるのではないでしょうか。

 使い古された言葉で恐縮なのですが,写真なんて,結局入ってきた光を記録する光化学反応に過ぎないわけで,でもそこに「伝えたいこと」「表現したいこと」を誇張して加えることで,記録以上の意味を持たせることに成功したのだという歴史を,つくづく思い起こさせます。

 FA43mmは,その誇張が実に適度であるということなのでしょう。絞りで写りを調整し,シャッターを切って見ると,そこに自分が見たそのものではなく,見たと錯覚している「印象」が写っています。

 未だに私にはレンズの味やクセを堪能する技術も感性も持ち合わせていません。でも,数あるレンズに自然と好き嫌いが分かれていく事実も否定できません。カメラやレンズは精密機械で光学機器でありながら,一方でこうした理屈で説明できない神秘性を内在するところに,ひょっとすると人を虜にする何かがあるのかも,知れません。

罰当たり

 昨夜のNHKの9時のニュースを見ていると,甲府の方で墓石を倒されまくるという事件が起こっているという話が放送されていました。

 ビデオが終わってスタジオにカメラが戻ってくると,どうもいつもピント外れなコメントに思わず苦笑いを強いられる柳沢キャスターが,

「1つ2つならまだしも,これだけの数ですからね,罰当たりですね」

 といったようなことを,コメントしておりました。

 いつもならきちんと相づちをうつ相方の伊藤キャスターは,じーっと彼の目をのぞき込み,しかしながら一切の相づちを打つことなく,「柳沢さん,それはまずい,まずいですよ」とまっすぐなビームを発し続けます。

 そんなビームにお構いなく,柳沢キャスターの暴走は止まりません。

 諦めた伊藤キャスターは,もはや天に祈るような気持ちで,彼のコメントが一秒でも早く終焉を迎えることを待っていたに違いありません。

 待ちに待ったコメントの終了の後,微妙な間があって,そして何事もなかったかのように次のニュースを読み上げます。

 いや,実にスリリングでした。

 私は,柳沢キャスターの大人の寛容さに豊かな人間性を垣間見て,さすが世界各地の紛争地域を渡り歩き,次の瞬間には死んでいるかも知れないという極限を経験してきた方だなと,感服した次第であります。

 番組の終了直前,不適切であったと謝罪し,「1つでも倒してはいけません!」とすぱっと言い切った彼の「過ちは素直に認める」という姿勢に,言い訳と捨て台詞で悪いと思ってるんだか思ってないんだか分からないようなかつての久米宏さんとは違う,これまた大人の潔さを見たのでありました。

 まあ,やっぱり9時のニュースはみんな見てますのでね,油断はしたらあかんと思いますよ。

ホーローの鍋がもたらす心理的影響

 昨年特価品を購入して電磁調理器の良さを知った私は,電磁調理器への全面移行を目指すにあたり,主な調理器具の買い換えを画策していました。

 すでに中型の鍋は,母親が私に送ってくれたものがありますので,これでは少々大げさになるような用途に向けた小型の鍋と,フライパンをまずは用意することから始めることにしました。使用頻度から考えて,とりあえずこの2つを用意すればおおむね移行できるはずでしょう。

 鍋などどこで買っても一緒なわけですが,実家に帰省した折,近くのスーパー(これが結構安い上に品数も多い)に初売りに出かけてみます。

 なんか,最近は土鍋でさえも電磁調理器に対応するんですね。一人用のテンプラ鍋もあったりして,なかなか物欲をそそりますが,土鍋など冬しか使いませんし,テンプラ鍋に至っては全く使わないでしょう。余計なことは考えないようにして通り過ぎます。

 フライパンを品定めするのですが,すでにほとんどが電磁調理器対応になっているんですね。しっかりした印象でT-FALのものがぱっと目につきましたが,一方で安いものはアルミのフライパンの底面に鉄板を貼り付けたもので,全体が熱されるという電磁調理器の利点から考えるとちょっとどうかなあ,という感じです。

 T-FALのものは何層にもなっている構造で,手に取ると良さが分かるのですがずっしりとした重さがあって,ちとつらいところです。面白いのは昔ながらの鉄製のフライパン。電磁調理器の登場と相前後する形で偶然にもアルミ製に取って代わられ,ここのところ余り目にすることがなかった鉄製のフライパンは,実は電磁調理器との相性が抜群で,まさに復権という感じでしょうか。(鉄分補給に,と書かれていたのにはちょっと笑いましたが)

 一回りしてから特売のワゴンを見ると,やや深めになったフライパンが1000円でした。1000円ですからね,気に入らなければ使わなければよいだけと,余り悩まず気軽に買うことにします。宣伝文句によると,電磁調理器はガスと違って,フライパンを持ち上げて材料を混ぜるようなことは出来ないわけだから,深いものが断然使いやすいはずだ,ということです。今ひとついってることに論理的なつながりを感じませんが,深いフライパンはそれだけでも便利そうです。サイズは26cm。大きめの方が便利です。

 次に小さい鍋をどうしようかなあと思っていると,目についたのがホーローのミルク鍋。1.2Lの小型のもので,袋入りラーメンのサイズにぴったりです。

 なにより,真っ白な綺麗なホーローが素晴らしい。ホーローは鉄の表面にガラスを溶かして着けたものですから,傷が付きにくく,いつまでも綺麗に使えます。落とすと割れるのはガラス故で,そういう特別な配慮の必要な調理器具を使ってみたいなと言う気持ちもありました。

 言うまでもなく電磁調理器には完全対応。ホーローというのは,電磁調理器には最適なんじゃないかと思うのですが,それを実証するチャンスでもあります。

 価格は1980円。安いですね。手頃なサイズだったので買いました。

 実家から他の荷物と一緒に送ったのですが,どうも取っ手の部分が邪魔になり,うまく梱包できません。そこで取っ手を外してしまいました。荷物が届いてから組み立て直して使うという作戦ですが,実はこれが失敗の元と,この時気が付くはずもありません。

 荷物が自宅に到着してから組み立てをします。フライパンは問題なく済んだのですが,ホーローのミルク鍋は問題を起こします。

 取っ手の先のネジを締めていくのですが,いつまでも締め上がりません。いくらでも締まっていきます。このまま締め続けると壊れてしまうのは明白なので,適当なところでやめておくのですが,既にこの時,取っ手をくっつける部分に大きな力がかかってしまって,ホーローにひびが入っていたのです。

 初めて使ったあと,ひびから赤いサビが流れ出ているのに気が付いて,1回目の使用からこれかいなとかなりがっかりしたのですが,どっかにぶつけたわけでもないし,きっと不良品だったにいないと思って観察すると,どうも少しずつひびが大きくなって行くようなのです。

 ここで閃いたのがネジの締めすぎ,だったわけです。あわてて取っ手がぐらつかない程度にゆるめてからはひびが大きくなることはなくなったのですが,それでもすでに割れてしまったひびからは赤いサビがとってもとっても出てきます。

 ホーローはここから腐食が進み,やがて使えなくなってしまいますから,可能ならここでぴしっとシールをするべき。でも耐熱性のあるシール材など,私は持っていません。

 でも冷静に考えると,直接火にかけるならいざ知らず,電磁調理器ですからそんなに温度が上がるとは思えません。そこで手持ちのタミヤエナメル塗料(もちろん白)を塗り込んでみました。

 鍋全体が熱いうちに筆で塗り込んでいきます。あっという間に塗料が乾いて,どんどん重ね塗りが出来ます。おかげで丈夫な塗膜が出来上がり,傷はすっかり見えなくなりました。

 それ以後,サビは出てきません。とりあえずシールできたようです。なんとかなるもんですね。

 ちょっとお湯を沸かしたいとき,一人分のみそ汁を作りたいとき,ちょっとラーメンを食べたいとき,実にこの鍋は重宝します。ガスコンロだと真っ白なホーローは次第に汚れてしまうものですが,電磁調理器は全く汚れません。だから気軽に使ってみようという気になります。

 それに,サイズが適当なせいもあるのですが,お湯がすぐに沸きます。時間的にも手軽になったことは,非常に大きなメリットです。

 鍋1つでこれほど変わるものなのかと,改めて「道具」の善し悪しについて考えさせられた新年でした。

skipサービスと東海道新幹線

 昨年の秋から,全日空(以下ANA)がskipサービスなるものを始めました。

 実家への帰省を新幹線から飛行機に切り替えてから数年,運賃の問題よりもWEBで決済まで済ませることの出来る便利さがすばらしく,もう新幹線に戻る気がしません。

 しかもシステムの変更行われる度に便利になっていきます。そしてとうとう,チェックインまで省略されるようになったチケットレスの完成形が,このskipサービスです。サービス改善にどん欲な会社というのは,全体に活気があるものです。

 ANAはskipサービスを導入するにあたり,持っていると便利なEdy内蔵のマイレージカードを会員全員に無償で郵送する徹底ぶりで,チケットなしでいきなり手荷物検査場に直行という「失敗したときの損害の大きさ」という不安を乗り越え,ぜひ使ってみようという気持ちになっていました。

 私にとって今回の帰省は,skipサービス開始後初めて飛行機を利用する機会だったのですが,年末年始の混雑の中にも関わらず,あえて挑戦する覚悟を決めて羽田に向かうことにしました。

 skipサービスというのは,チェックインを必要としない「究極のチケットレス」で,

(1)WEBで空席状況を調べる
(2)便を予約する
(3)クレジットカードで運賃を決済
(4)座席の予約も済ませる
(5)当日いきなり手荷物検査場に直行
(6)検査官にチケットを見せる代わりにマイレージカードをカードリーダにかざす
(7)そのまま搭乗口まで進む
(8)登場時にゲートのカードリーダに同じマイレージカードをかざして乗り込む

 と,これだけの話です。

 以前ですと,自動チェックインを使っても,空港でチケットを決済したクレジットカードを使って受け取る必要があって(それでもチェックインに列ぶ必要がなく楽ちんだった),行きの時点で復路のチケットを受け取っている場合には,自動チェックイン機を使うか,窓口に列んでチェックインを行う必要がありました。

 Edyを内蔵したマイレージカードや携帯電話を使えばこの自動チェックインもかなり楽になるよう,後に改良されるわけですが,結局チケットを受け取ったり,チェックインが必要になったりするわけなので,手間は一緒です。

 これがskipサービスだと,マイレージカード1枚持っていけば,行きも帰りも,チケット受け取りもチェックインも,全然行列しなくて済むわけですので,帰省客でごった返す時期には大変ありがたいサービスです。

 ただ,いきなり手荷物検査場に直行と言われても,もしなんらかの手違いがあって認証が出来なかったりすると,私はせっかく列んだ手荷物検査の行列から,いきなりチェックインの行列に列び直す羽目に陥ります。

 私は,いつもチケットを受け取ったり,チェックインを済ませたりしてから空港内のレストランなどで見送りに来てくれた友人と食事をしていました。チケットの受け取りで一度トラブルがあったときは,食事の時間を削って事なきを得たことがあります。

 ですが,skipサービスでは,トラブルの有無が判明するのは手荷物検査場です。当然すでに食事のために時間を使ってしまった後だけに,何かあったら時間不足に陥ってしまいます。これはゆゆしき問題です。

 つまり,トラブルが絶対にない,ということを前提にしたシステムだという事になります。余程の自信があるんでしょう,このシステムに。いくらでも問題など出てきそうなものですが・・・もしコンピュータの問題かなにかでskipサービスが完全に停止したら,全部窓口で処理しないといけませんが,大勢の人が出発ギリギリに窓口に殺到する状況を,一体どう処理するつもりなのでしょうか。

 今回は都合により友人の見送りもなく,食事もしないで済む時間だったので,空港についたらいきなり手荷物検査場に向かいます。

 結論から言うと,この心配は杞憂でした。いや,なにかトラブルがあった場合のリカバーが完璧だったということではなく,何も問題が起きなかっただけですので,果たして杞憂と言っていいのか,私には分かりません。

 それ程待つことなしに手荷物検査の行列に列びますが,自分の順番に予想以上に早く到達すると,いつものように係の方から「チケットを拝見します」と促されます。

 「skipサービスなんですが」と私が恐る恐るいうと,「ではカードをこちらに」と指示されるので言われたとおりにかざすと,あっという間に認証が終わり,何度ともなかったように手荷物検査を済ませる事が出来ました。

 あまりにさくっと済んだ私の手続きを私の後の人が思わず「すげー」と声を上げたとき,同時に私も心の中で「すげー」とつぶやいておりました。

 この時受け取るぺらぺらのレシートには,登場予定の便,座席,搭乗口の案内が記載されていいます。このように,本来ならチケットに記載されたであろう情報を,現場で始めて目にするのは,検査の後になってしまうのです。やっぱり不安・・・

 さて,いよいよ機内への案内が始まりました。行列に列んで,改札機に用意されたカードリーダーに,先程のマイレージカードをかざします。

 これまたあっという間に認証が終わり,出てきたレシートを受け取って座席を確認します。

 はい,これでおしまい。

 帰りも全く同じです。

 面白いのは,手荷物検査を済ませると,その予約はskipサービスを済ませた扱いになる(つまりチェックインが済んだ事になる)んですね。だから,携帯電話でskipサービスの利用方法のサイトへ飛ぼうと思っても,skipサービスは使えませんときちんと案内が出てくるのです。

 マイレージカードを忘れてしまえばオシマイかというとそうでもありません。事前に携帯電話にQRコードを取り込んでおくか,印刷しておけば,これをカードリーダーにかざすことで同じ結果を期待できるそうです。マイレージカードを持っていない人やたまにしか飛行機を利用しない人でも利用できるというのは,素晴らしいことです。こういうことは,確固たる信念がなければ真っ先に削られてしまう仕様の1つでしょう。

 また,自動チェックイン機もまだ設置されているので,これを利用することも可能です。

 それで冷静に考えてみたのですが,私は今回の帰省に際して,結局行きも帰りも切符の手配に列んだりどこかに出向くことを一度もしませんでした。すべてがネットで自宅にいながらに手続きが完了し,本人であるかどうかの確認は非接触のICカードで一瞬のうちに完了,です。

 果たしてこの手軽さ,東海道新幹線では可能でしょうか。数年前に調べて雲泥の差があった新幹線のシステムが,ひょっとしたら改良されているかも知れないと期待して調べなおしましたが,結果は全く変化なし。ANAが同じ時間で幾度の改良を重ねてきたのに比べて,あまりにもやる気がないなあと感じます。

 勝手に比較してみます。

・WEB予約と決済
 東海道新幹線でも可能ですが,会員になる必要があります。クレジットカードの機能を持つカードを持っていなければならず,これは年会費として1050円がかかります。飛行機の場合,予約までなら誰でも可能,決済は手持ちのクレジットカードでokですし,決済が済めば座席の予約も,多くの場合skipサービスも受けられます。
 年会費が必要な会員限定という段階で,本来新幹線が持っている手軽さを損なっています。一方,手続きが面倒で新幹線のように自由席に飛び乗る手軽さがないと言われた飛行機がここまで便利になっていることを,JR東海は知らないのでしょうか。

・予約の可能時期
 予約は,飛行機では2ヶ月前,新幹線では1ヶ月前からです。2ヶ月前からだとさすがに予定も立たないものかも知れませんが,実は毎年同じ時期に帰省ラッシュがあることを考えると,予定が立たないからではなく,立てようとしないだけの人がたくさんいるということだと思います。
 2ヶ月前に予約が可能な飛行機では,もし予定が早くに立つ場合,その特典として割引と好きな便を利用できるわけです。これが新幹線だと1ヶ月前からですので,結局発売と同時に予約が殺到してしまいます。つまり早くに予定を立てた人に対して,何の還元もないわけです。公平といえば公平ですが,その割にWEBからの予約が会員限定なわけですから,矛盾しています。

・切符
 前述の通り飛行機はskipサービスやチケットレス,自動チェックインによってチケットの存在はもはや形式的なものになっています。これを持っていることだけがすべてではない,ということです。
 一方の新幹線は,結局会員でない人はいつもの通りみどりの窓口で列んで買うしかありません。一見さんお断り,ってやつですね。
 それに,新幹線では,結局最終的には切符を手に入れなければなりません。会員カードで改札をパスし,検察を受けることが出来て初めて,飛行機に列んだと言えるのでしょうが,そんな未来は当分来そうにありません。

・運賃
 基本的には飛行機の方がはるかに高価です。ですが,ご存じの通り,特に私の利用する東京-大阪間はドル箱路線で,格安料金の設定があります。これを上手に使えば東海道新幹線より安くなることもしばしばです。
 さすがに年末年始はそうはいきませんが,新幹線に対してとんとんくらいの料金には出来ます。燃料費の高騰から運賃が値上げされて飛行機の方がやや高めになりましたが,便利さと速さはわずかばかりの差額を十分に補って余りあります。
 ただ,この春にもう一度値上げがあります。これで差が開くとちょっと考えるかも知れません。
 新幹線には割引は基本的にはありません。むしろ繁盛期には価格が割高になります。会員限定のサービスでは割引があるそうですが,これは私には現時点で無関係なので考慮しません。

・空港もしくは駅までのアクセス
 羽田までは京急を使えば早くて便利。大阪伊丹からはシャトルバスを使えばこれまた楽ちんです。シャトルバスは高速道路の事故などで簡単に遅れますし,定員になると定刻前でも発車するので,信用に足る存在ではありませんが,伊丹空港と大阪南部を結ぶ経路は実質これだけですので,文句は言えません。
 一方新幹線はアクセスになんの問題もありません。これは当然ですね。

・所要時間
 のぞみで2時間30分,飛行機は1時間ですので,差の1時間30分で空港までのアクセスや手荷物検査にかかる余計な時間を帳消しにして,まだ十分なおつりが来ます。同じ時刻に到着するように設定しても,朝ゆっくりできる飛行機は非常に楽です。

・手続き
 新幹線には手続きはなにもなく,改札と車内の検札くらいのものでしょう。飛行機はskipサービスを使っても手荷物検査を避けるわけにはいきません。持ち込める手荷物もバッグ1つですので,これも新幹線と違って預けることになります。これもまた列ぶんですね。
 そんなわけで,やっぱり時間的なゆとりはないといけません。ただ,危険なものの持ち込みを防げているのは手荷物検査のおかげであって,新幹線だって本当は実施されてもおかしくないと,私は思っています。時速300kmで走行する密閉された空間に,刃物を振り回したり毒ガスをまいたりする人がいたり,まして爆弾などが持ち込まれたりすると,受ける被害は飛行機のそれと大差はないのではないでしょうか。

・急用への対応力
 予約も何もないけどとにかく行こう,ではすまされないが飛行機で,新幹線なら自由席がありますから,どうにかなります。この「万が一」の対応は心強いものがあります。

・旅の気分
 これはもう新幹線の圧勝。新横浜を過ぎて,名古屋までの時間で駅弁を広げ,大きな窓越しに刻々と変化する景色を眺めながらの食事には,飛行機にはない魅力があります。
 実は2時間半という時間もなかなか絶妙といえて,食事して一眠りすれば,大体新大阪に到着しています。
 喫煙者にとって,たばこが(いろいろ制約があるにしても)吸えることは,これはもうそれだけで十分なメリットでしょうね。

・安全性
 これはもう,なんともいえません。気分次第,運次第でしょう。ダメなときはダメ,そういうものだと思います。
 ただ,潜在的な乗客の心理の差にはなっているようで,私の見るところ,飛行機の乗客には,それがたかだか1時間の搭乗であっても,みんなある種の覚悟があるのか,それとも運命共同体としての連快感がそうさせるのか,とにかく非日常の世界という空気ゆえ,あまり横柄な人もいないし,お行儀の悪い人も目にしません。
 しかし新幹線ではこうはいきません。見るに堪えない行儀の悪い人を散見するのは,それが陸上交通だから,日常の延長に見えるから,でしょうか。その点で新幹線というシステムは偉大であると思います。


 いろいろ比べてみましたが,新幹線は,それでも鉄道という交通機関が持つ「旅のプロセス」を楽しむきっかけがたくさん残っています。その点飛行機は結果だけを求めるものだと言えて,うまく使い分けるのがよろしいと,それが私のたどり着いた結論です。

 新大阪駅から大阪環状線や地下鉄御堂筋線を使って移動する際の,もっとも大阪らしい街と人を堪能するのもまた楽しいもので,こうした魅力は鉄道という庶民の足がまだその機能を失っていないことを十分に感じさせてくれるものです。

 残念なのは,そうした魅力にあぐらをかいて,努力を怠るJR東海の存在でしょう。ちっとも便利にならない東海道新幹線は,国鉄時代のそれと同じです。JR東日本管内の新幹線はそこそこ便利になっていますが,これにすら及ばないのは,JR東海が東海道新幹線を独占しているからに他ならず,「国民の財産」を利益を生む打ち出の小槌としてしか見ていない,なによりの証でしょう。

 私が東海道新幹線を使わないのは,これが気に入らないからなのですが,どうにかならないものなのでしょうかね。その意味でも,航空会社には頑張ってもらいたいものです。

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