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2016年11月の記事は以下のとおりです。

QX5FDで懐かしい打ち込みをやってみる

 コンピュータによる自動演奏の楽しさは,PC-6001のPLAY命令で知りました。自動演奏と当時に和音を出せる面白さは,当時自らの手で和音を出す術を持たなかった私にとって,まさに「出来る事が増える」という画期的な事件でした。

 電子楽器,自動演奏,オーケストレーションというこの3つは,その後の私の趣味の柱の1つを担うまでになりますが,中学生の時の私はそんなことなど全く知りません。

 その後,同じように面白さに目覚めた弟がPC-6001の後継機として,OPMが使える当時唯一のマシンであることを理由にX1turboを選び,私も少し触りました。ただ,X1turboには当時最強のFM音源を搭載可能ではあっても,それを操る方法はほとんど用意されなかったので,使いこなしたという印象は持っていません。

 そうこうしているうちに,D-20というローランドのシンセサイザーを手に入れるわけですが,10万円前半のアマチュア向け機器に,使い物にならない中途半端なシーケンサーを内蔵してプロ用の機器に近い値段になったという,まったく話にならないマシンを喜んで使っていたことを恥ずかしく思います。

 ただ,当時はフロッピー付きのシーケンサーが付いているというのはとても未来的で,当時のプロならみんな持っていたコルグのM1が「ワークステーション」を名乗っていても,フロッピーディスクまでは搭載していなかったことを考えると,D-20は本気度でM1を越えていたと言えます。

 私はまんまとその気合いに騙されたといえる(だって当時178000円もしたんですよ,D-20は)のですが,でもそれに見合う音源やシーケンサーとしての完成度を持っていなかったD-20には,明らかにオーバースペックな機能が搭載されたという事だと,買ってから気が付くわけです。

 そのD-20のシーケンサーですが,ローランドですし,フロッピーディスクも搭載しているのですから,そこはやっぱりMC-500やMC-300譲りかと思うじゃないですか。MC-8で革命を起こし,シーケンサーという一般名称に背中を向け「マイクロコンポーザー」と名乗り続け,プロの期待に応えているMC-500がビルトインされるなら,D-20はとんでもなくお買い得なマシンになっていたはずです。

 しかし,残念な事に,D-20のシーケンサーはMC-500と違うだけではなく,全く使い物にならないものでした。ステップ入力が全く出来ない,もたつく,よたる。ペダルを使ってリアルタイム入力をするとシーケンサーの同時発音数をオーバーする,テンポを変更出来ない,イベントを編集できない,クオンタイズが使い物にならない,などなどです。

 ステップ入力が出来ない事と,イベントを編集できないことはもはや致命的で,これじゃアナログのMTRとなにも変わりません。何度か使ってみたのですが全然ぱりっとした仕上がりにならず,MIDIシーケンサーとはこういうものなのか,あるいはD-20だからこんな程度なのかが分からない,そんな状態が続いていました。

 そこで,外部にちゃんとしたシーケンサーを繋ぐことを考えました。しかしお金のない高校生が,おいそれとシンセサイザー1台に匹敵するだけの買い物をするわけにはいかず,当時既に旧型となっていたQX5の展示品を4万円で買ったのでした。

 これも今にして思うと,そんなに安いものではなかったと思いますが,4万円でまともに動くMIDIシーケンサーを手に入れる事は現実的には難しかったと思います。

 果たしてQX5はどうだったかというと,これが実に楽しかったのです。ステップ入力をあの少ないキーと小さなLCDで行うのは至難の業かと思っていたら,なんのことはない,鍵盤から入力が出来るので非常に楽でした。

 イベントの編集も出来ますし,なによりテンポがずれたりよたったりせず,ばしっとタイミングが出ます。

 慣れればあの小さなLCDでなんでも出来るようになりました。QX5で不満や不足を,当時は感じませんでした。そりゃそうです,D-20とMatrix-1000だけだったのですから。

 QX5はバッテリーバックアップがありましたが,外部ストレージへの記録はカセットテープで行いました。でもこれは時間もかかるし,信頼性も低いので,QX5の演奏データをD-20のシーケンサーで一気録りし,これをD-20のFDDで記録する方法を取りました。

 この方法だと,D-20でイベントの編集は出来ませんし,QX5に戻すことも出来ません。だからQX5で作ったデータを文字通り録音するだけになってしまうのですが,FDDで記録が出来ることは便利でしたし,ステージでもD-20だけできちんとしたシーケンスを演奏出来たので,なかなか便利に使っていました。

 QX5FDはすでにこのころ出ていて,確かにQX5FDを買っていればこんな面倒な事をしなくても済んだだろうし,編集も出来て便利だったろうなと思いましたが,買い直すだけの経済力もなく,そのまま高校時代を過ごしたのでした。

 その後,大学生になってアルバイトをしてからは,Macを手に入れ,念願のPerfoemerを使ってシステムを組みました。鍵盤と音源の数も増えていき,様々な音を混ぜて作る事の面白さを堪能していました。

 そのうち,就職と引っ越しで機材の処分をしたことでシステムは整理されていくのですが,一番問題だったのはMacとPerformerです。Macが新しくなるとPerformerは動かなくなります。動くようにするには少なくない費用がかかるので,使用頻度から考えて後回しとなっていきました。

 単純なMIDIシーケンサーだけでよかったのに,DigitalPerformerにしないとMacOSXに対応しないなどの問題もあり,もうPerformerについていくのはあきらめたのです。
 
 結局,高品位な音源と膨大な同時発音数を期待して購入したRD-700や,個性的で太い音のMicronを楽曲作りで使うことは一度もないまま,10年の時間が流れています。

 そんなおり,娘がピアノを始める事になり,当座私のRD-700を使ってもらうことになりました。もっといいものが欲しくなったら,その時考えてくれればいいです。

 私もRD-700で久々に遊んで見たのですが,やっぱりマルチトラックで楽曲を作ってみたくなります。

 しかし,Performerはすでに動く環境がなく(PCベースだとこれが一番頭が痛いですよね),QX5はすでに処分してしまいました。冷静に考えると,私は今,全くMIDIシーケンサーを持っていない状態だったのです。

 これはいかん。MIDIシーケンサーを使った打ち込みの楽しさを伝承せねば。

 カット&ペーストで作るのも,DAWを使うのもいいんですが,やっぱりMIDIのイベントを1つ1つ見ていじることの面白さも,堪能出来る環境がないと・・・でもそういう機材ってすでにもう絶命しているんですよね。

 かつては市場を二分したローランドのMCシリーズも,ヤマハのQXシリーズも現行機種はありません。すでに20年近く前に新しいものが出なくなっています。

 なら,中古を買うか。

 名機QX3を買うことも考えましたが,値段よりもなにより,大きさが大きすぎです。こんなに大きいと邪魔で仕方がありません。

 使い慣れたQX5をオークションで探してみると,安いです。これでいいかなと思ったところで,QX5FDが見つかりました。これも安いです。

 かつて欲しかったQX5FDです。この値段なら買ってみてもよいでしょう。

 想像以上に程度のいいQX5FDを落札し,届いたのが少し前です。軽く動作確認をして,分解掃除を済ませて,実際に使ってみました。

 ケースのプラスチックの劣化があって,ビスを差し込むボスが数本折れて締まったものを修理したり,電源ケーブルを直出しからメガネコネクタに変更したりと,ちょっとした改造をやってから,早速打ち込みをしてみましょう。

 RD-700につなぎ,ハイハットだけでまずメトロノームを作ります。次にピアノを入れて,ベースを入れ,ドラムを入れます。

 1時間ほど格闘し,出来上がったのは沢田研二の「勝手にしやがれ」です。
サビを入れる所で力尽き,なんだか不完全燃焼のままでした。

 最初はなかなか慣れないのですが,やっているうちに体が勝手に動くようになってきました。QX5はDISPLAYキーを押すことで,小節,トラック,テンポと言った情報がすべてあの小さなLCDに表示出来る慣れた人向けのモードがあるのですが,私もこれの方が見やすく感じるくらいです。

 ベースも,8部音符で刻む部分はテヌートで演奏したいわけですが,鍵盤ではなかなかテヌートが再現出来ません,そこでステップ入力で入れていきます。

 次はドラムです。私はドラムはすべて手で打ち込みます。パターンを並べる方法は使いませんし,繰り返しも含めて全部手で打ち込みます。可能ならリアルタイムで入れた方が,強弱もきちんと入っていくので楽な上に楽しいです。

 とまあ,こんな感じでピアノ,ベース,ボーカル,ドラムを入れたわけですが,本当はここから先が面白くなるはずでした。ですが,RD-700のマルチ音源としての使い方がよく分かっておらず,結局5トラック目を入れる事が出来ずに,ここであきらめてしまったのでした。

 ということで,出来上がった曲はとても短く,楽器の数も少ないまま,ベロシティの調整もパンの調整も,各トラックのレベルのバランスも取る事が出来ないままあきらめたので,なんだか「ミュージ君」で譜面通りに打ち込んだ素人丸出しの音楽になってしまいました。

 とても悔しいですし,いやいやこんなもんじゃないのよ,と言い訳をしたいところです。

 ところでQX5は,データを蓄積するSRAMがバッテリーバックアップされていたので,電源を入れればすぐにデータを再生出来たのですが,QX5FDはバックアップがないのですね。手に入れてから初めて知りました。

 電源を入れる前にFDにデータを記録し,再生したいときにはFDからのロードをしないといけないということなのですが,ステージで使う時に,そんな面倒な作業をしているだけのゆとりってあるものなんでしょうか。もしロードエラーが起きてしまったらアウトですし,そもそもFDを忘れてきたらもう終わりです。

 複数の曲を演奏するときにはFDでロード出来ないとダメですから,QX5では話にならないわけですが,QX5FDにバックアップ機能を付けてくれれば良かっただけなのになと,今更ながらに残念です。

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