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Errの出ているFLUKE 101を修理

  • 2018/11/20 13:09
  • カテゴリー:make:

 秋です。測定器の秋です。

 アナログテスタをきっかけに,これまでにDL2050の較正が済みました。あきらめていたこれらの較正が出来た事で,一気に壁を突き破った感があります。

 DL2050の較正は,較正データを記録したEEPROMを直接いじるという方法を導入し,満足いく結果を得ました。この方法は,きっと他にも役立つはずです。

 というわけで,M68000のマニュアルに書かれた名文句"Break Away from the Past"を思い出しながら,これまでに頓挫したテーマに再度挑むことにしました。

 そう,FULKE 101の復活です。

 FLUKE 101は2014年に購入したもので,6000円程度で買える最も安いFLUKEです。最小限度の機能に絞り込んであり,見た目もとてもかわいらしいテスタです。でもそこはFLUKEらしく,作りはしっかりしていますし,内部もきちんと作られていて,安全面も偽りなしです。なによりFLUKE原理主義者を(ギリギリ)黙らせるそのご威光が最大の価値です。

 ところが,私にいわせると実力は今ひとつで,仕様そのものも中国製の安い測定器と同程度ですし,実力もその範囲にとりあえず入っているという感じです。FLUKE原理主義者が「あれは中華FULKEだ」と他のモデルとは区別したい気持ちもわからなくはありません。

 個人的にも,他のFLUKEだと較正方法が公開されているのに101(と106,107)は公開されていないところが,他とは完全に異なるポリシーを感じていて,良くも悪くも異母兄弟っぽい感じがするなあと思っていました。

 なにより,ここ2年ほど起動時にErrと出てきて,数パーセントの誤差が出るようになってしまい,もう使い物にならなくなっていたために,1700円の中国製テスタを買いましたが,もはやこれで十分に101の代わりはこなせます。

 ですが,このまま101を捨てておしまいにするのももったいないので,なんとか復活出来ないかと考えるのも,また自然な発想です。DL2050のように,正しいEEPROMの値を書き込んでやればきっと復活するはず,そう考えるととにもかくにも,手が動き始めました。

 まず,Errと出てしまう101からEEPROMを外します。24AA024という2kbitのI2CタイプのEEPROMが入っています。これを外し,AKI-PICで読み込みます。0xFFだらけでまともなデータが出てきませんから,やはりデータが壊れているのでしょう。

 先頭だけ0x00になっているので,ここを0xFFにするだけでエラーは出なくなりそうな気がしますが,それはぐっと我慢して,EEPROMそのものの物理的な破損がないかを確かめるため,いろいろなデータを書いて確認をします。

 結果,EEPROMは壊れていないことがはっきりしました。

 それならデータを正しいものにすれば問題は解決しそうで,誰か101のEEPROMデータをインターネットの海に放流していないかを調べてみますが,そういう違法行為をする人はいません。ほっとしました。

 なら,101に使われているチップのデータシートを探し出し,これにデータに関する記述がないかを調べるのが良さそうです。しかしこれも玉砕。そもそも101のチップがなにかも不明でした。きっとカスタムでしょう。

 そうなると,考えられる手段は1つ。もう1台101を買って,これからデータを吸い出し,書き込むことです。これなら違法性はありません。もう1台という所に抵抗がありますが,今は5000円くらいで買えるということもあり,修理代が5000円と考えたらまあ許せるだろうと,ポチりました。

 韓国語の純正ホログラムが貼られた怪しげな新しい101が届き,一通り動作確認をしてから早速分解して,EEPROMを摘出します。

 読み出してデータを保存,壊れた101のデータと比較すると,なるほど完全に壊れています。

 読み出したEEPROMはすぐに買ったばかりの本体に戻し,動作を確認します。

 続けて,古いEEPROMに新しいデータを書き込み,壊れた101に戻します。

 すると,Errは出なくなりました。予想通りですが,うれしいですね。

 これでとりあえず故障から復活したのですが,それでも誤差が大きすぎて使いものにはなりません。そうなると,EEPROMからデータを直接書き換えるか,真面目に較正をするかのどっちかになります。

 まあ,EEPROMのデータは残してあるので,適当に較正をやっても復活出来ますから,試行錯誤をやってみましょう。

 結果を先に書くと,うまく較正ができたのです。

 少なくとも私はこの情報を探し出すことが出来なかったので,ひょっとしたら世界で最初に101の較正方法を公開した記事になるかも知れません。

(1)電池を外し,奥にある「Calibration Seal」を剥がす。

(2)ミノムシクリップで電池を繋ぐ。電池を入れてしまうと,電池の奥にあるチェックランドに当たれなくなる。お奨めは外部に電池ボックスを用意し,ここから3Vを引っ張ってくること。

(3)101の電源を入れる。較正したいモードにスイッチを回す。ここでは直流電圧にする。

(4)電池ボックスの奥にあるS3というランドを,数秒間ショートする。

(5)ピーッと音がして,稲妻マークが出る。これがCALモード。

(6)さて,ここからが肝心。101はオートレンジという事もあり,通常のテスタのように各レンジで較正を行う必要はなく,なんと4.5Vだけを合わせれば,他のレンジもすべて合う。

(7)ということで,34401Aで4.50000Vにあわせた電源を繋ぎ,この状態でHOLDボタンを押す。ピーと音がなって,4.500という表示になるはず。これで較正完了。

(8)他のレンジの電圧も確認し,問題ないことを確認して,電源をOFF。これでCALモードから抜ける。

 私はやっていませんが,おそらく他のレンジでも同様のはずです。とはいえ,どの電圧(抵抗値)で較正を行うのかはやっていないのでわかりませんが,それは各自試してみて下さい。私はDC電圧だけ合っていれば,あとはそれなりでも構いません。

 結果,私がきちんと確認出来る50mVくらいから,30Vくらいまでの間は,ほぼ34401Aと同じ値が得られるようになりました。これはすごい安心感ですよ。

 そこで,新しい101も同様の方法で較正しました。これで,34401Aを基準に,2台の101とDL2050,アナログテスタが一致するようになりました。


 では早速,高齢の精度を調べてみます。

 いつものように,基準電圧発生器を使います。製造元で製造時に測定された値は,

2.50165V
5.00302V
7.50454V
10.00533V

 です。

 まずは,新しい101を較正した結果です。

2.501V -0.65mV -0.025982851%
5.003V -0.02mV -0.000399759%
7.50V -4.54mV -0.060496713%
10.00V -5.33mV -0.053271606%

 続けて,古い101を較正した結果です。

2.501V -0.65mV -0.025982851%
5.003V -0.02mV -0.000399759%
7.49V -14.54mV -0.193749384%
9.99V -15.33mV -0.153218335%


 まず,4.5Vで較正を行った結果として,5Vでの精度は素晴らしいです。6Vまでのレンジであれば,この2つの101は同じ結果を出すと考えて差し支えないでしょう。

 問題なのは,レンジが60Vに切り替わってからの誤差で,新しいものは比較的まともですが,古いものはあまり良い精度ではありません。

 これは外部にある分圧抵抗の誤差が見えているんだろうなと思うのですが,それでも0.2%以内ですから全く問題ないと割り切ってよいでしょう。

 つまるところ,分圧抵抗の誤差をある範囲に入れることは出来れば,相対誤差はこの抵抗の誤差で決まり,絶対誤差については,ある1つのレンジをきちんとあわせ込めばその相対誤差範囲にすべて入ってくるという考え方です。

 ただ,較正というのは分圧抵抗の誤差も較正されるべきと私は考えているので,どれか1つを合わせて後は抵抗の誤差の実力で,というのは,いわばリファレンス電圧を合わせただけともいえ,なんとも中途半端な感じがあります。(そのかわり校正作業は楽ちんなわけですが)

 ついでにいうと,古い101の較正データはAC電圧は抵抗では新しい101の較正データがそのまま入っていますから,まったくあてになりません。事実,AC100を測定してみると1V程ズレていました。1%ほどの違いがあるという事ですので,これは結構大きいです。

 ただ,DC電圧で使うことがほとんどですし,それがこの精度で揃ったわけですから,これで誤差や精度を気にせず使う事が出来そうです。

 さて,2台の101がこのレベルで揃い,34410AやDL2050とも違いがなくなってくると,先日購入したZT109もこの精度が出るようにしたいですよね。

 チップセットこそわかっているのですが,較正の方法は相変わらず不明なまま,これで多機能な中華DMMをどこまで追い込めるのか・・・続きは後日。

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