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KAマウントに改造する

 レンズが揃っていない*istDLに,1つでも多くのレンズの取り付けて試してみようと思っていたわけですが,こういう場合におあつらえ向きなレンズとして,タムロンのMFレンズがあります。

 タムロンは随分昔から,マウントが交換できるようになっていました。レンズだけ買っても使えず,マウントも一緒に買わないといけないという面倒臭さはありますが,別のボディに取り付けたい場合でもレンズを買い直す必要はなく,必要なマウントに交換するだけで,手持ちのレンズがそのままの性能で利用できるというのは大きなメリットでした。

 レンズマウントが共通になればなあ,と思った人は多いと思いますが,タムロンの方式はその答えの1つだと言えます。

 残念なことにAFレンズではこの仕組みは採用されず,他社と同じようにマウントごとにレンズも作り分けられるようになってしまいました。加えてMFレンズとマウントも製造中止になってしまい,既に過去の物となっています。

 交換式マウントであることが理由で,他のメーカーに性能面で劣っていては商売になりませんから,80年代の複雑なメカ連動にもきちんと程度対応していて,取り外し可能な機構と精度をよくも両立できた物だと感心します。

 私が持っているタムロンのMFレンズは,有名なマクロレンズで,SP90mm/F2.8です。

 昔からマクロレンズを使ってみたくて,F3を買ったときに購入しました。ちょうどこのレンズが出たときではなかったかと思います。

 ニコン用のAFレンズとMFレンズの両方がラインナップされていて,どちらにするか迷いましたが,マウントを交換できるということよりは,F3に使うレンズですから,MFレンズとして作られた物が欲しかったという理由で,MFを選びました。

 そもそも,マクロレンズでAFを使うことはないだろうと思っていましたが,ニコンの場合(他社の場合もそうですが),単純にAFが可能ということ以外に,レンズの情報をボディに電気的に伝える仕組みが用意されていることが大きな差になっています。

 それもボディがF3ですから,余り関係ないということで,MFを選んだのです。

 F3で使う限り期待通りのいいレンズだったのですが,一昨年から始めたカメラの修理によっていろいろなメーカーのボディを持つようになってから,マウントの交換を実際にやってみたいと思うようになりました,

 それで昨年,ES2で開放測光を行えるように,M42の開放測光対応のマウントを新品で買うことにしました。すでに量販店では在庫がなく,通信販売で在庫を探し回り,ようやく手に入れることが出来ました。

 そうこうしているうちに生産が終了,オークションでも高騰するようになってきました。

 *istDLを買った私は,手持ちレンズの少ないKマウントのレンズとして,このマクロレンズを使いたいと考えていたのですが,残念ながらKマウントは新品ではもう手に入りません。

 そこで,オークションで手に入れてみました。新品並みの値段になってしまったのですが,仕方がありません。

 手に入れたのは,KMやMXなどに使う初期のKマウントで,KAマウントには対応しません。一応タムロンからはKAマウントに対応できる物も併売されていたようですが,それは今回手に入りませんでした。

 しかし,*istDLには,KマウントとKAマウントの間に,大きな差があります。Kマウントだと開放測光が使えず,絞り優先オートやプログラムモードも利用できません。

 これはさすがに不便と考えて,手に入れたマウントを,どうにかKAマウントに改造できない物かと考えていました。

 KAマウントの仕様は原則非公開だと思われますが,自分で解析した人たちもいるにはいて,私もそういう先人達の財産を使わせていただきました。

 KAマウントには,たくさんの接点が用意されています。ところがこの接点の使い道は案外原始的で,接点がマウントと同じ電位になっているかいないかという2つの状態しか示していません。

 この方法を使って,2つの接点で最小絞りを,3つの接点で,開放絞りが最小絞りから何段開けたところにあるかをボディに伝える仕組みです。

 また,A/Mという接点があり,ここがマウントと同じ電位になっていれば絞り環がAポジションに,なっていなければそれ以外の位置にあることを示します。

 気が付いた方も折られるでしょうが,KAマウントは,単に電気接点が追加されただけではなく,絞り込みレバーの押し込み量で実際の絞りを正確に制御できる必要もあります。だから単純に電気接点の改造を行っても機能しないのです。

 とはいえ,タムロンのレンズは,ちゃんと絞り込みレバーの角度で絞りを制御するボディにも取り付る事が出来て,ボディによる絞りの制御も問題ありません。ということは,一応レンズ自体は対応可能だということです。

 今回手に入れたマウントは,絞りをボディから制御することが出来ないものですから,マウントに備わっている絞り込みレバーが正しい動作をする保証はありませんが,仕組みをつぶさに見る限り,レバーの押し込み量がリニアにレンズ側に伝達されているようなので,そんなに大きな誤差を持つとは思えません。

 さて,改造ですが,まずマウントを分解します。

 ボディに接する側のマウントに穴を開けるのですが,真鍮製だったので簡単員あなた空きました。ここに電気接点を用意するのですが,冷静に考えると,私の持っているレンズは1つだけ。このレンズ専用にしてしまえば,最小絞りF32,開放F2.8という情報だけを持たせればよいことになります。

 KAマウントのボディ側の接点は少々飛び出しており,接点のないマウントを取り付けると無条件にマウントと同じ電位になります。ただし,A/Mという接点についてはくぼんでおり,接点のないマウントを取り付けた場合でもマウントと同じ電位にはなりません。

 ということは,ボディと同じ電位になって欲しくない接点の位置に穴を開けて,接点が接しないようにすることで,なんとか対応が出来そうです。

 早速穴を開けてみましたが,勘違いもあって,開けてはいけない場所に穴を開けて焦りました。真鍮ですからハンダで埋めることができ,穴をふさぐことでリカバーです。

 そしてA/M接点については,Aモード専用のレンズとして割り切ってしまえば,ずっとマウントに接してよいことになります。FAJレンズのような感じですね。

 前述のように,くぼんだボディ側の接点に確実に接するようにしなければなりませんから,ここには以前ジャンクのFAレンズをばらしたときに出てきたピンとバネを移植します。

 読みが甘くて,十分にピンが引っ込まず,ボディ側のマウントに傷を付けたりしましたが,一応Aモードであることは認識してくれたようです。

 めでたしめでたしと思っていたら,この状態ではMモードの絞り込み測光が出来ないんですね。絞り優先オートで絞り値をボディ側で制御して撮影したところ,結構露出にバラツキが出ました。絞り込み測光ならこうした問題は出てきません。出来れば両方に対応したいなあと考えた私は,A/M接点が,最小絞りの時だけマウントと同じ電位になるよう,さらに改造を行うことにしました。

 A/M接点をスリーブで周囲から絶縁し,ピンの後端にあるスプリングが接する部分に穴を開けます。

 この穴の下には,絞り環と連動するアルミの輪があって,これにスプリングが接するようにしておきます。

 アルミの輪の塗装を剥がし,最小絞りの位置以外はテープを貼って絶縁します。

 これで試して見たのですが,最小絞りでもAモードになってくれません。導通を確かめると,どうもスプリングが接するアルミの輪がマウントと同電位になっていないようです。そこで塗装を剥がしたりして導通を確保したのですが,それでも時々Aモードにならないことがあります。

 そこで根本的な対策として,アルミの輪に接する別の部品からスプリングを出して,ここにきちんと接するようにしました。

 これで試すと,完璧です。

 ようやく,SP90mm/F2.8がKAマウントに出来ました。

 この状態でいろいろ試してみましたが,以前に比べて露出の精度も上がっていて,絞り優先オートやプログラムモードでも実用的に使えそうです。

 90mmのレンズは*istDLでは135mm相当の中望遠レンズになります。それでマクロですから,結構面白い使い方も出来るでしょう。

 マクロレンズとしては切れ味がそれ程すごいわけではなく,柔らかい描写を楽しむ物なわけですが,デジタル対応ではないこともあって,D2Hで試したときはあまりいい結果は出ませんでした。

 *istDLでも同じような傾向なのですが,あまり肩肘を張らずに楽しむために買ったのが*istDLです。細かいことは気にしないで,優れたレンズがバリエーションに加わったということを,素直に楽しもうと思います。

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