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大型裁断機に圧倒される

  • 2010/02/01 14:21
  • カテゴリー:散財

 2006年にScanSnapを導入した私は,自宅と実家にある雑誌や本,資料などをスキャンして,かなりのスペースを節約してきました。

 実際,一度読んだら二度と読まないものって実に多くて,そういうものは思い切って処分するのも手なのですが,そういう時に限ってもう一度読みたいとか,そんな風に思うものです。

 とりわけ,技術系の雑誌や本は資料的価値のあるものも多く,今必要でないとはいえ,ひょっとすると未来の自分を救うかもしれない,と思うと,やっぱり捨てられません。

 それで電子化するという作戦に出たのはいいんですが,問題は綴じて本になっている状態を紙にばらして,スキャンできる状態にすることです。想像すれば分かることですが,これが実に大変です。

 一枚一枚ちぎるなんてのは話にならず,普通のカッターナイフで切るのは仕上がりも効率も悪い上,怪我はするわ床を傷つけるわゴミは出すわで,なにひとつ良いことはありません。

 当時から,事務機メーカーの大型裁断機がScanSnapユーザーの間で売れていることは知っていましたが,これは3万円以上もする高価なもので,おいそれと買えるものではありませんでした。

 そこで,私は一度に30枚程度しか裁断できないペーパーカッターを購入し,分厚い本は何度かに分けて,裁断していました。例えばトラ技などでは3から4回くらいに分けて裁断をしていました。

 ですが,トラ技3年分とか,広告も含めてスキャンとか,そういう状態になるともう腕も肩も痛くなるほどです。実用レベルとはいえお世辞にも綺麗に裁断できているとは言えませんし,なんとかしたいなあとは思っていました。

 つい先日,その大型裁断機が1万円ちょっとで売られているという話を耳にし,探して見ると,10900円で中国製のものが販売されていることがわかりました。amazonでは14800円なので,そのへんはさすが中国製,同じものなのに実売価格がバラバラです。

 細かい製品名などは意味もないと思うので書きませんが,一応スペックは,

  大きさ 約38(縦)×53(横)×17.5(厚さ)cm
  重さ 17kg
  最大裁断厚 37mm

 と,まあなかなか勇気のいる仕様です。

 そもそも,37mmってコピー用紙で400枚といいますから,そんなの素人にはどう考えてもオーバースペックです。それにこの17kgってなによ。

 設置面積,重量を考えると,処分する雑誌の方が小さいくらいじゃないかと思うほどです。

 購入者のレビューとしては概ね好評で,細かい文句はあるにせよ,1万円なら文句も言えないという実にサバサバとした感想です。

 人気商品らしく,安い店はすでに完売。ところが数日後,偶然在庫のあるのを見つけ,かなり迷いましたがポチりました。いやー,17kgですよ・・・

 この週末に届いたのですが,まずもって目障りなほどの大きさです。もしも嫁さんがいたら,裁断機ごと家を追い出されるんじゃないかと思うほど,暴力的な感じがします。

 大きく重く,重機のような無骨さ満点で男心をくすぐりますが,作りの雑さはやっぱり中国製で,塗装は剥げている,汚れている,溶接が綺麗でない,無理に板金を曲げて部品を取り付けてある,使い道の分からないパーツが付属している,説明書はさっぱり役に立たない,などは覚悟しておく必要があります。

 ちなみに,私の場合,ネジが1つ外れて転がっていました・・・大丈夫か,これ。

 安全ロックが付いているとはいえ,あくまでロックがかかってからは安全,と言う話に過ぎず,37mm厚の紙が入る隙間にはロックがかかってなくても手が簡単に入ります。長いハンドルがもし何かに触れて刃が下りたら,指など簡単に飛んでしまうと思います。

 大きな力のかかる,しかも危険な道具なので,取り扱いには細心の注意が必要ですが,この手の製品にはあると思われる,工場での検査を合格したという印が,どこにもありません。職人さんが手作りしてる感じが丸出しなだけに,力を入れて裁断を行った時に破損したりはしないか,と非常に不安です。
 
 ちょっとやばそうな雰囲気に及び腰になりながら,話の通り少々油で汚れているのでエタノールで綺麗に拭き取り,ともあれ裁断してみます。

 おー,これはすごい。確かに一刀両断です。しっかり本を押さえで固定しないと斜めに切れたりするのですが,切るときには全く力がいりません。切り口もきれいですし,なんと言ってもゴミが出ません。

 ということで,分厚い雑誌を裁断してみましょう。

 今やとても貴重なのではないかと思われる,1984年4月号のトランジスタ技術です。この時期のトランジスタ技術はトランジスタとは無縁の一般人からも「電話帳」と揶揄される専門誌だったわけですが,そのほとんどは購入直後に三枚におろされ,広告は捨てられてきました。

 私はこの号がどうしても読みたくなり,最近古本屋で買ったのですが,全部で約700ページという製本の限界にチャレンジした圧倒的なボリュームと,Japan As No.1時代の勢いに気圧されつつ,特に広告の懐かしさと面白さに本文以上の時間をかけて1枚1枚きっちり目を通してしまいました。

 例えばですね,今はT-ZONEと言われるお店が亜土電子だったころの広告が出ています。広告の内容は電子パーツとキットの広告ですが,なんと9ページもの広告です。今はなきダイデン商事が7ページ,藤商電子が6ページ,若松通商でなんと10ページです。

 90年代にはPC-9801用の周辺機器メーカーとして知られたグロリアシステムズはこのころApple][やPC-8001のデッドコピーの基板を売っていますし,IOデータ機器も1ページだけ,PC-8801用の拡張ユニットなどを広告しています。コンピュータリサーチや緑電子,ICMも広告が出ていますよ。懐かしいですね。

 お,本多通商の広告も見つけました。CP/Mですか・・・当時からマニアックですね。スーパービデオもあります。テレビ修理技術者募集って,応募した人たちは今どうしているんでしょうか。

 鈴蘭堂の広告もあります。コンパスオカモトの広告もあります。本州商会もCP/Mの広告を出しています。おお,キョーワインターナショナルの広告もあります。ロビン電子,イケショップ,広瀬無線,タンゴトランス,カホ無線・・・あれ,前が曇ってよく見えないや・・・

 求人広告もなかなか盛況ですね。九州松下電器,八重洲無線,タイトー・・・そう,80年代は,まだまだ日本人が普通に働く意義を見つけていた時期でした。

 当時のICの価格ですが,亜土電子の広告によると,74LS00で35円,74HC00が90円です。この辺のロジックICは驚くほどでもありませんが,Z80Aが580円,8086-2が18000円,68000-10が22000円ですか。uPD7220は8000円もします。TMS9918でも3500円ですか。うーん,高いですね。

 4164(64kbitのDRAM)が1350円,27256(256kbitのEPROM)が48000円です。いやー,これは高いわ。

 MOS-FETで,2KS134と2SJ49のセットが2700円,特価で2SC1815が10本100円だそうです。

 こうしてみると,今でも秋葉原にはCPUもDRAMもグラフィックチップもフラッシュメモリも売っていています。当時これらの部品を買う人はハンダ付けも設計も出来る,それ相応の技術力を持っていたので,今のPCパーツとはちょっと違うかも知れませんが,相変わらず秋葉原は電子部品であふれかえっている街なんだなあと思います。

 横道に随分それました。

 さて,この貴重な1984年4月号のトラ技を裁断してみましょう。

 最初に,前部ハンドルを回して押さえを本に押しつけて,動かないようにしっかり固定します。

ファイル 353-1.jpg

 続けて後部ハンドルで本の後ろも固定します。そして注意しながら裁断レバーを押し込むのですが,この時ロック解除ボタンを押さなければ,レバーが下がりません。

 特に抵抗もなく,すっと刃がおり,あの分厚いトラ技の背表紙がころんと転がります。ああ,これはまさに断頭台・・・

ファイル 353-2.jpg

 そして,裁断された本体の様子です。綺麗に裁断されており,紙がさっとばらけてくれます。

ファイル 353-3.jpg

 あとはこれをスキャンするだけです。

 実際には,紙が薄いこと,静電気の発生があること,そして長年密着していたことで,重なって紙が送られたりするので結構手間のかかる作業なのですが,この分厚いトラ技をわずか数秒でばらせるというのは,なんと画期的なことでしょうか。


 それで,私個人としては,費用対効果で大変満足な結果なのですが,残念ながら他の人には全くお勧めできません。確かにこの性能が1万円で手に入るというのは画期的なことですが,あまりに欠点が目に付きすぎるのです。

・でかい,重い
 本をスキャンするために裁断する,と言うだけに,この設置面積とこの重さというのは,ちょっと普通では考えられません。家族の同意はまずもって得られないと思います。それに,常に使うものではありませんから,普段は邪魔なことこの上ないです。

・作りが雑
 別に雑でもいいんですが,安心感が失せるほど雑な作りは,使用中の破損が大事故に繋がるだけに,もう少し考えて欲しいと思います。

・はっきりいって危険
 大型裁断機なんて普通使ったことがない人が大半なわけですが,どこが動いてどこが危険だからどこを触ってはいけないとか,そういう話が一切わからないんですね。これが日本やヨーロッパのものなら,危険なところには手が入らないとか,あきらかに危ない部分には警告のシールが貼られているとか,そういう配慮があると思うのですが,これには全くありません。ごっつい刃が数センチもぐぐーっと下りてくるのを目の当たりにすると,背筋の凍る思いがします。

・ロック機構が簡単すぎる
 安全ロックがあるとはいえ,無理にレバーを押せば壊れて刃が下りてしまう位のものです。それに,レバーが下りないようなロックとはいうものの,ロックがかかるのはレバーを目一杯上に持ち上げた時ですので,途中の位置では上げ下げ自由です。これは危ない。

・案外精度が低い
 裁断面は綺麗ですが,慎重にしないと,すぐに斜めに切れてしまいます。

・中国製・・・
 中国製がいかん,ということではないのですが,例えばネジが1つ外れていたり,意味不明な部品が入っていたりと,もう少し品質に気をつけてもらわないと,本当に怪我をします。怪我をしたら,きっと大けがになるものだけに,自己責任で済ませるのではなく,そもそも事故が起きないような工夫をするべき商品だと私は思います。

 てな具合に,他の方には一切おすすめできません。かなり慎重に扱わないと,本当に恐ろしいことになるような気がします。

 私も恐る恐る使っていますが,私としてはこの半分の200枚の裁断能力でいいですから,もっと小さく,もっと軽い,そしてもっと安全な製品を15000円くらいで出してもらえないかと思います。普通の用途で400枚は多すぎますし,その性能のために大きく重くなり,しかも事故が起きたときの被害も大きくなりがちです。

 近いうちに引っ越しを考えているのですが,引っ越し前にこの巨大な荷物を増やした事への反省も込めて,こういう変なものを買うときには,注意しないといけないと思いました。

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